特許第6031079号(P6031079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6031079ピリドピラジノン誘導体インスリン分泌刺激剤、それらを得る方法および糖尿病を治療するためのそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031079
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ピリドピラジノン誘導体インスリン分泌刺激剤、それらを得る方法および糖尿病を治療するためのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20161114BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 3/06 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 3/04 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 9/00 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 9/12 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 9/10 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 25/00 20060101ALN20161114BHJP
   A61P 27/02 20060101ALN20161114BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALN20161114BHJP
【FI】
   C07D471/04 120
   C07D471/04CSP
   !A61P3/10
   !A61P43/00 111
   !A61P3/06
   !A61P3/04
   !A61P9/00
   !A61P9/12
   !A61P9/10
   !A61P29/00
   !A61P25/00
   !A61P27/02
   !A61K31/4985
【請求項の数】13
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2014-233596(P2014-233596)
(22)【出願日】2014年11月18日
(62)【分割の表示】特願2010-549045(P2010-549045)の分割
【原出願日】2009年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-34184(P2015-34184A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】08004052.0
(32)【優先日】2008年3月5日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ボトン、 ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリュール、 エリク
(72)【発明者】
【氏名】ケルゴア、 ミシュリヌ
(72)【発明者】
【氏名】シァロン、 クリスティヌ
(72)【発明者】
【氏名】エルバヴァブ、 サメ
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/076954(WO,A1)
【文献】 国際公開第07/122466(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/109868(WO,A1)
【文献】 特開2000−154139(JP,A)
【文献】 MANCA, P. et al,Antispasmodic activity of tert-aminoalkylderivatives of 3-benzyl-, 3-benzylaza- and 3-benzyldiazaquinoxalinones,IL FARMACO,1992年,Vol.47, No.4,pp.519-522
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩
【化1】

[式中、
Zは、窒素原子であり、
X、Y、Wは、水素により置換されている炭素原子であり;
Aは、アリール、ヘテロアリールであり;ヘテロアリール基は、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有していてもよく;
これらの基はそれぞれ、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
R1は、アルキル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、ヘテロシクロアルキルアルコキシアルキル、ヘテロシクロアルキルチオアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキルチオアルキル、R3R4N−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルであり;
これらの基はそれぞれ、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
Tは、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アリール、アリールスルホニルアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、NR3R4、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノカルバモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、SFであり、2個のT基は、メチレンジオキシを形成していてよく;
R3およびR4は独立に、水素、炭素数6以下の低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールから選択され;
R3およびR4はまた、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有していてもよい、含窒素ヘテロシクロアルキル基を構成していてよく;
R3およびR4は独立に、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよい]。
【請求項2】
Aが、フェニルであり;
該フェニル基は、請求項1で定義された通りのTから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、アルキル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、ヘテロシクロアルキルアルコキシアルキル、ヘテロシクロアルキルチオアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキルチオアルキルであり、これらの基がそれぞれ、請求項1で定義された通りのTから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R1が、アルキル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルであり;これらの基がそれぞれ、請求項1で定義された通りのTから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、エチル;イソプロピル;ブチル;2,2−ジフルオロエチル;2−メトキシエチル;シクロプロピル;シクロプロピルメチル、シクロブチルである、
ことを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Tが、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、アリールスルホニルアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、NR3R4、アジド、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、カルバモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、SFであり、2個のT基がメチレンジオキシを形成していてよい、
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Tが、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシである、
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Tが、メチル、シクロアルキル、Cl、Fである、
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R3およびR4が独立に、炭素数6以下の低級アルキル、シクロアルキルから選択される、
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
下記の化合物:
1−シクロプロピル−3−(4−フルオロフェニル)ピリド[3,4−b]ピラジン−2(1H)−オン
1−シクロプロピル−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリド[3,4−b]ピラジン−2(1H)−オン
1−シクロプロピル−3−フェニルピリド[3,4−b]ピラジン−2(1H)−オン
3−(4−クロロフェニル)−1−シクロプロピルピリド[3,4−b]ピラジン−2(1H)−オン
から選択される化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
a)式(1)の化合物を
【化2】

[式中、
X、Y、Z、Wは、請求項1で定義された通りであり;
Halは、Cl、Brから選択されるハロゲン原子である]、
アミンR1−NH(ここで、R1は、請求項1で定義された通りである)と、塩基の存在下、不活性溶媒中で反応させて、式(2)の化合物を
【化3】

得るステップと、
b)金属または低い酸化状態の金属を酸中で用いて;または、溶媒中の、金属触媒を用いての接触水素化により、式(2)の化合物を還元して、式(3)の化合物を
【化4】

得るステップと、
前記金属または低い酸化状態の金属は、Zn、SnもしくはFe、または塩化Sn(II)から選択され;
前記金属触媒は、Pd、PtまたはNiから選択される、
c)式(3)の化合物を、下式のα−ケト酸誘導体と
【化5】

[式中、
Aは、請求項1で定義された通りであり、
は、Cl、BrまたはOReであり、ここで、Reは、水素、炭素数6以下の低級アルキルである]
溶媒中で反応させて、式(I)の化合物を得るステップと
を含む方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
a)式(1)の化合物を
【化6】

[式中、
X、Y、Z、Wは、請求項1で定義された通りであり;
Halは、Cl、Brから選択されるハロゲン原子である]、
アミンR1−NH(式中、R1は、請求項1で定義された通りである)と、塩基の存在下、不活性溶媒中で反応させて、式(2)の化合物を
【化7】

得るステップと、
d)金属または低い酸化状態の金属を酸中で用いて;または、溶媒中の、金属触媒を用いての接触水素化により、式(2)の化合物を還元して、式(3)の化合物を
【化8】

得るステップと、
前記金属または低い酸化状態の金属は、Zn、SnもしくはFe、または塩化Sn(II)から選択され;
前記金属触媒は、Pd、PtまたはNiから選択される、
e)式(3)の化合物を、下式の化合物と
【化9】

[式中、Rは、Cl、BrまたはOReであり、ここで、Reは、水素、炭素数6以下の低級アルキルである]
塩基の存在下、不活性溶媒中で反応させて、式(5)の化合物を
【化10】

得るステップと;
f)式(5)の化合物を、POBrと不活性溶媒中で反応させて、式(6)の化合物を
【化11】

得るステップと、
g)式(6)の化合物を、下記のボロン酸誘導体またはそのエステルと、
【化12】

[式中、Aは、請求項1で定義された通りである]
塩基およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドの存在下、不活性溶媒中で反応させて、式(I)の化合物を得るステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記金属触媒は、炭素上に担持されているPdまたはラネーニッケルである
ことを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、インスリン分泌刺激剤としての式(I)のピリドピラジノン誘導体に関する
。本発明はまた、これらのピリドピラジノン誘導体の調製ならびに糖尿病および関連する
病理を予防および/または治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
2型糖尿病は、最も一般的な世界的疾患の1つである。2007年には、その有病率は
、成人人口の5.9%(2億4600万人)と推定され、ますます増加している。糖尿病
は心臓血管疾患および卒中の主な危険因子である通り、身体障害性か、または致命的とな
り得る深刻な微小合併症および大合併症をもたらし得るので、この疾患はさらに深刻であ
る。
【0003】
2型糖尿病は、空腹時および食後高血糖により特徴づけられ、2つの主な異常:標的組
織レベルでのインスリン抵抗性および膵臓β細胞からのインスリン分泌の変化の結果であ
る。耐糖能異常(IGT)の段階にある非常に初期に、この後者の異常は出現するようで
ある(Mitrakouら、N. Engl. J. Med. 326: 22〜29、1992年)。UK Prospective Diabete
s Study(UKPDS)において、糖尿病と診断された時点でβ細胞機能の50%が既に失われて
いることが観察されており、これは、β細胞機能の低下は、糖尿病と診断される10〜1
2年前には始まり得ることを示唆している(Holman、Diabetes Res. Clin. Pract. 40 :
S21、1998年またはUKPDS Group、Diabetes 44: 1249〜58、1995年)。
【0004】
不十分なインスリン分泌は、β細胞の量的および質的不良、即ち、β細胞質量の低下と
、非グルコース分泌促進物質に対する応答は保存されているので、グルコースに応じての
インスリン放出、特に分泌の第一相の特異的不良とによる(Pfeiferら、Am. J. Med. 70:
579〜88、1981年)。グルコースに応じたインスリン放出の正常なプロファイルを回復し
て、血糖コントロールを正常範囲内に維持することの重要性は、非糖尿病ボランティアに
おいて、グルコースに応じたインスリン分泌の第一相を遅らせるとグルコース不耐性をも
たらすことを示す研究により支持された(Calles-Escandonら、Diabetes 36: 1167〜72、
1987年)。
【0005】
スルホニル尿素またはグリニドなどの2型糖尿病患者を治療するために役立つ経口抗糖
尿病剤は、β細胞のK−ATPチャンネル上のスルホニル尿素受容体に結合し、細胞内カ
ルシウムおよびインスリンエキソサイトーシスの増大をもたらすことにより、インスリン
分泌を誘発することが知られている。したがって、このインスリン放出は総じて、血漿グ
ルコースレベルとは独立していて、これらの分子での治療は通常、長時間の高インスリン
血症を誘発し、これは、深刻な低血糖症、体重増加および心臓血管リスクの悪化などの深
刻な副作用をもたらし得る。加えて、スルホニル尿素治療で観察される長期間の高インス
リン血症は、β細胞質量の保存作用を伴わない場合、β細胞消耗による二次的不全、これ
らの化合物の別の有害な副作用をもたらし得る。
【0006】
2型糖尿病の新規な治療は、β細胞質量を保存または増大させつつ、とりわけグルコー
スに応じた、インスリン放出の正常なプロファイルを回復させるべきである。これは、エ
クセナチドまたはリラグルチドなどのGLP−1類似体で観察されているが、これらの分
子はペプチドであり、非経口経路により投与しなければならない。
【0007】
新規な経口小分子でのこのような特性は、他の抗糖尿病薬を超える多大な利点になるで
あろう。
【0008】
本発明では、式(I)の化合物は、糖尿病および関連する病理を治療するために有用な
インスリン分泌刺激剤である。これらは、2型糖尿病における不十分なグルコース誘発イ
ンスリン分泌を回復させることにより、血中グルコースレベルを低下させる。
【0009】
特許出願WO2007020521は、PDE V阻害剤としてのピリドピラジノン誘導体を開示し
ている。
【0010】
EP770079は、PDE IVおよびTNF阻害剤としてのピリドピラジノン誘導体を開示
している。
【0011】
特許出願WO2004/031189は、不安および鬱病を治療するための副腎皮質刺激ホルモン放出
因子受容体アンタゴニストとしてのピリドピラジノン誘導体を開示している。
【0012】
US4296114は、抗炎症剤としてのピリドピラジノン誘導体を記載している。
【0013】
先行技術はいずれも、抗糖尿病活性を有するピリドピラジノン誘導体を開示していない
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO 2007/020521
【特許文献2】EP770079
【特許文献3】WO 2004/031189
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Mitrakouら、N. Engl. J. Med. 326: 22〜29、1992年
【非特許文献2】Holman、Diabetes Res. Clin. Pract. 40 : S21、1998年
【非特許文献3】UKPDS Group、Diabetes 44: 1249〜58、1995年
【非特許文献4】Pfeiferら、Am. J. Med. 70: 579〜88、1981年
【非特許文献5】Calles-Escandonら、Diabetes 36: 1167〜72、1987年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
発明の概要
本発明は、式(I)のピリドピラジノン誘導体を対象とする。前記誘導体は、糖尿病お
よび関連する病理を治療するために有用である。本発明によるピリドピラジノン誘導体は
、下式(I)を有し:
【0017】
【化1】
【0018】
[式中、
X、Y、Z、Wのうちの1個の原子は、窒素原子であり、他は、
− 水素、
− T
から選択される置換基により置換されている炭素原子であり;
Xは好ましくは、Nであり;
Aは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールアルキルチオアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、ヘテロアリールアルコキシアルキル、ヘテロアリールチオアルキル、ヘテロアリールアルキルチオアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、ヘテロシクロアルキルアルコキシアルキル、ヘテロシクロアルキルチオアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキルチオアルキル、アリールアケニル(arylalkenyl)、アリールアルキニルであり;ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有していてもよく;
これらの基はそれぞれ、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
好ましくは、Aは、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有していてもよいアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールであり;これらの基はそれぞれ、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
より好ましくは、Aは、フェニル、ベンジルであり、これらの基はそれぞれ、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
Aは好ましくは、アリール、より好ましくは、フェニルであり;
R1は、アルキル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、ヘテロシクロアルキルアルコキシアルキル、ヘテロシクロアルキルチオアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキルチオアルキル、R3R4N−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルであり;
これらの基はそれぞれ、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
好ましくは、R1は、アルキル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、ヘテロシクロアルキルアルコキシアルキル、ヘテロシクロアルキルチオアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキルチオアルキルであり、これらの基はそれぞれ、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
より好ましくは、R1は、アルキル、アルキルオキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルであり;これらの基はそれぞれ、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
いっそうより好ましくは、R1は、エチル;イソプロピル;ブチル;2,2−ジフルオロエチル;2−メトキシエチル;シクロプロピル;シクロプロピルメチルであり;
Tは、優先なしに、下記の基:ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメ
トキシ、トリフルオロメチル、カルボキシ、カルボキシメチル(carboxymethyl)、カルボキシエチル(carboxyethyl)、アルキル(alkyl)、シクロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アリール(aryl)、アリールスルホニルアルキル(aryl sulfonylalkyl)、アリールオキシ、アリールアルコキシ、NR3R4、アジド、ニトロ、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、カルバモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、SF5から選択され、2個のT基は、メチレンジオキシ(methylenedioxy)を形成していてよく;
好ましくは、Tは、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、カルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、アリールスルホニルアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、NR3R4、アジド、グアニジノ、アミジノ、ホスホノ、オキソ、カルバモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、SFであり、2個のT基は、メチレンジオキシを形成していてよく;
より好ましくは、Tは、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル、アルコキシであり;
いっそうより好ましくは、Tは、アルキル、シクロアルキル、Cl、Fであり;
R3およびR4は独立に、水素、低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールから選択され;
R3およびR4はまた、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有していてもよいヘテロシクロアルキル基を構成していてよく;
R3およびR4は独立に、Tから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよく;
好ましくは、R3およびR4は独立に、低級アルキル、シクロアルキルから選択される]
さらに、そのラセミ体、互変異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、エピマーおよび多形体ならびにそれらの混合物、ならびに薬学的に許容できるそれらの塩である。
【0019】
式(I)の化合物は、下記の化合物:
3−(ベンジルチオ)−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−ベンジルスルホニル−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−クロロベンジル)スルホニル]−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−メチルベンジル)スルホニル]−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−フルオロベンジル)スルホニル]−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
3−(ベンジルスルホニル)−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
1−エチル−3−[(4−ブロモベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−クロロベンジル)チオ]−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−クロロベンジル)スルホニル]−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
3−[(3−クロロベンジル)スルホニル]−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
1−メチル−3−[(4−クロロベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−ブチル−3−[(2−フルオロベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−ブチル−3−[(3−トリフルオロメチルベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−ブチル−3−[(4−クロロベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
3−{[2−(4−クロロフェニル)エチル]スルホニル}−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
1−エチル−3−{[2−(4−メトキシフェノキシ)エチル]スルホニル}ピラジン−2(1H)−オン
3−{[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]スルホニル}−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−[(1,1’−ビフェニル−4−イルメチル)スルホニル]−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−{[2−(4−クロロフェノキシ)エチル]スルホニル}−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−{[2−(4−メチルフェニル)エチル]スルホニル}−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
3−{[2−(4−クロロフェニル)エチル]スルホニル}−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−[(1,1’−ビフェニル−4−イルメチル)スルホニル]−1−ブチルピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−メトキシベンジル)スルホニル]−1−プロピルピラジン−2(1H)−オン
3−[(3−フルオロベンジル)スルホニル]−1−メチルピラジン−2(1H)−オン
3−[(2−フルオロベンジル)スルホニル]−1−メチルピラジン−2(1H)−オン
1−ブチル−3−[(4−メトキシベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−エチル−3−[(4−フルオロベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−エチル−3−[(3−トリフルオロメチベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−エチル−3−[(3−フルオロベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−エチル−3−[(2−フルオロベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−ブチル−3−[(3−フルオロベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−ブチル−3−[(2−メチルベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
1−エチル−3−[(2−メチルベンジル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−クロロベンジル)スルフィニル]−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
5−ブロモ−3−[(4−クロロベンジル)チオ]−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
5−ブロモ−3−[(4−クロロベンジル)スルホニル]−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−クロロベンジル)スルホニル]−1−エチル−5−フェニルピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−クロロベンジル)スルホニル]−5−(4−クロロフェニル)−1−エチルピラジン−2(1H)−オン
3−[(4−クロロベンジル)スルホニル]−1−エチル−5−(4−フルオロフェニル)ピラジン−2(1H)−オン
2−[(6−クロロ−4−エチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル)チオ]−N−フェニルアセトアミド
2−[(6−クロロ−4−エチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル)スルホニル]−N−フェニルアセトアミド
5−クロロ−1−エチル−3−[(2−オキソ−2−ピペリジン−1−イルエチル)スルホニル]ピラジン−2(1H)−オン
2−[(6−クロロ−4−エチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル)スルホニル]−N−メチル−N−フェニルアセトアミド
2−[(6−クロロ−4−エチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル)スルホニル]−N−シクロヘキシル−N−メチルアセトアミド
さらに、そのラセミ体、互変異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、エピマーおよび多形体ならびにそれらの混合物、ならびに薬学的に許容できるそれらの塩から選択することができる。
【0020】
より好ましくは、本発明による式(I)の化合物は、
2−(4−クロロベンジル)−4−シクロプロピルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−クロロフェニル)−4−(2,2−ジフルオロエチル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−クロロフェニル)−4−(シクロプロピルメチル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−クロロフェニル)−4−シクロプロピルメチルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−クロロフェニル)−4−シクロプロピルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−クロロフェニル)−4−エチルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−クロロフェニル)−4−イソプロピル−ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−フルオロフェニル)−4−(2−メトキシエチル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−フルオロフェニル)−4−(2−メトキシエチルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−フルオロフェニル)−4−エチルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
2−(4−フルオロフェニル)−4−(2−ヒドロキシエチル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
4−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
4−シクロプロピル−2−エチルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
4−シクロプロピルメチル−2−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
4−エチル−2−フェニルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
さらに、そのラセミ体、互変異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、エピマーおよび多形体ならびにそれらの混合物、ならびに薬学的に許容できるそれらの塩から選択することができる。
【0021】
本発明はまた、一般式(I)の化合物のラセミ体、互変異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、エピマーおよび有機または無機塩、さらに、その多形体を包含するその結晶形および式(I)の化合物の多形体に関する。
【0022】
本発明は、これらの化合物のラセミ混合物だけではなく、その個々の立体異性体および/またはジアステレオ異性体に、さらに、あらゆる比でのこれらの混合物を対象とする。上記で定義された通り、十分に酸性な官能基もしくは十分に塩基性の官能基またはその両方を含有する式(I)の本発明の化合物は、有機もしくは無機酸または有機もしくは無機塩基の対応する薬学的に許容できる塩を包含し得る。
【0023】
「薬学的に許容できる塩」との表現は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機および有機酸付加塩ならびに塩基付加塩を指す。これらの塩は、化合物の最終単離および精製の間にその場(in situ)で調製することができる。詳細には、精製された化合物をその精製された形態で有機または無機酸と別に反応させ、そうして形成した塩を単離することにより、酸付加塩を調製することができる。生じる塩は例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩(hydrogen sulfate)、リン酸二水素塩(dihydrogen phosphate)、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩である。
【0024】
本発明はまた、有機または無機塩基との薬学的に許容できる塩に関する。詳細には、精製された化合物をその精製された形態で有機または無機塩基と別に反応させ、そうして形成した塩を単離することにより、塩基付加塩を調製することができる。生じる塩は例えば
、金属塩、詳細には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および遷移金属塩(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなど)、またはアンモニアまたは第2級もしくは第3級アミン(ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなど)などの塩基で、または塩基性アミノ酸で、またはオサミン(メグルミンなど)で、またはアミノアルコール(3−アミノブタノールおよび2−アミノエタノールなど)で得られる塩である。
【0025】
本発明はまた、ラセミ化合物をキラル分割するために使用される塩に関する。
【0026】
例として、下記のキラル酸を使用することができる:(+)−D−ジ−O−ベンゾイル酒石酸、(−)−L−ジ−O−ベンゾイル酒石酸、(−)−L−ジ−O,O’−p−トルイル−L−酒石酸、(+)−D−ジ−O,O’−p−トルイル−L−酒石酸、(R)−(+)−リンゴ酸、(S)−(−)−リンゴ酸、(+)−樟脳酸、(−)−樟脳酸、R−(−)1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイルヒドロゲノホスホン酸、(+)−カンファン酸、(−)−カンファン酸、(S)−(+)−2−フェニルプロピオン酸、(R)−(+)−2−フェニルプロピオン酸、D−(−)−マンデル酸、L−(+)−マンデル酸、D−酒石酸、L−酒石酸または任意のその混合物。例として、下記のキラルアミンを使用することができる:キニン、ブルシン、(S)−1−(ベンジルオキシメチル)プロピルアミン(III)、(−)−エフェドリン、(4S,5R)−(+)−1,2,2,3,4−テトラメチル−5−フェニル−1,3−オキサゾリジン、(R)−1−フェニル−2−p−トリルエチルアミン、(S)−フェニルグリシノール、(−)−N−メチルエフェドリン、(+)−(2S,3R)−4−ジメチルアミノ−3−メチル−1,2−ジフェニル−2−ブタノール、(S)−フェニルグリシノール、(S)−
【0027】
【化2】
【0028】
[式中、
Halは、ハロゲン原子、好ましくは、Cl、Brであり;
R1は、式(I)において上記で定義された通りであり;
X、Y、ZおよびWは、式(I)において上記で定義された通りである]。
【0029】
少なくとも1当量の炭酸ナトリウムまたはカリウム、炭酸セシウムなどの塩基の存在下
、または少なくとも2当量の考えられるアミンの存在下、テトラヒドロフラン、アセトニ
トリルまたはトルエンなどの不活性溶媒中、20℃から還流の温度で1から24時間、式
(1)のハロ−ニトロピリジン誘導体をアミンと反応させることにより、式(2)のピリ
ジンニトロアミノ誘導体を調製する。ニトロを対応する第1級芳香族アミンに還元するこ
とにより、式(2)の化合物から、式(3)のジアミノピリジン誘導体を調製することが
できる。好ましい方法は、Zn、SnまたはFeなどの金属をHCl水溶液などの酸中で
使用する。他の好ましい方法は、塩化Sn(II)などの低い酸化状態の金属をHCl中
で使用する。特に好ましいのは、接触水素化による還元であり、これは、溶媒中のPd、
PtもしくはNiなどの金属からの金属触媒、好ましくは、炭素上に担持されているPd
またはメタノール、エタノール、テトラヒドロフランなどのラネーニッケルを使用する。
【0030】
ピリドピラジノン誘導体の調製:
【0031】
【化3】
【0032】
この方法は、
Rxが、Hal、ORe(ここで、Reは水素、低級アルキルである)であり;
Halが、ハロゲン原子、好ましくは、Cl、Brであり;
R1が、式(I)において上記で定義された通りであり;
Aが、式(I)において上記で定義された通りであり;
X、Y、ZおよびWが、式(I)において上記で定義された通りである
式(I)の化合物に特に適している。
【0033】
例えば、メタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)またはトルエ
ンなどの溶媒中、20℃から還流の温度で、より好ましくは還流で1から36時間、式(
3)の化合物をα−ケト酸誘導体で環化することにより、式(I)のピリドピラジノンを
調製する。
【0034】
【化4】
【0035】
この方法は、
Rxが、Hal、ORe(ここで、Reは水素、低級アルキルである)であり;
Halが、ハロゲン原子、好ましくは、Cl、Brであり;
R1が、式(I)において上記で定義された通りであり;
Aが、式(I)において上記で定義された通りであり;
X、Y、ZおよびWが、式(I)において上記で定義された通りである
式(I)の化合物に特に適している。
【0036】
少なくとも1当量の塩基、炭酸ナトリウムもしくはカリウム、炭酸セシウムなどの無機
塩基またはトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在
下、例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、DMFなどの不活性溶媒中、20℃から
還流の温度で1から24時間、式(3)の化合物を、例えば、クロロオキソ酢酸誘導体を
用いて環化することにより、式(5)のヒドロキシピリドピラジノンを得る。
【0037】
POBr3などの臭素化剤を使用して、1,2−ジクロロエタンなどの不活性溶媒中、
20℃から還流の温度で、より好ましくは、還流で1から24時間、式(5)の化合物を
臭素化することにより、式(6)のブロモ誘導体を調製する。
【0038】
炭酸ナトリウムまたはカリウムなどの塩基およびビス(トリフェニルホスフィン)パラ
ジウム(II)クロリドなどの触媒の存在下、ジメチルホルムアミドまたはトルエンなど
の不活性溶媒中、20℃から還流の温度で、より好ましくは、還流で1から24時間、式
(6)のブロモ化合物をボロン酸誘導体またはそのエステルと反応させることにより、式
(I)のピリドピラジノンを調製する。
【0039】
下記の例で、本発明を説明するが、これは、本発明を制限するものではない。使用され
る出発物質は、知られている生成物であるか、知られている手順に従って調製される生成
物である。パーセンテージは、別段に述べられていない限り、重量を元に示されている。
【0040】
化合物を特に下記の分析技術を介して特性決定した。
【0041】
NMRスペクトルは、Bruker Avance DPX 300MHz NMR分
光計を使用して得た。
【0042】
質量は、Agilent Series 1100質量検出器に接続されたHPLCに
より決定した。融点(m.p.)は、Stuart Scientificブロックで測
定した。
例:
例1:N−(シクロプロピルメチル)−3−ニトロピリジン−2−アミン
【0043】
【化5】
【0044】
テトラヒドロフラン12ml中の2−クロロ−3−ニトロピリジン3g(18.9mM
)およびシクロプロピルメチルアミン5g(70.3mM)を撹拌しながら1時間還流さ
せた。水を加え、水性層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリ
ウム上で乾燥させた。溶媒を真空下に除去すると、N−(シクロプロピルメチル)−3−
ニトロピリジン−2−アミン3.5gが黄色のオイルとして得られた。収率:95.7%

NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.06(m,2H)、
0.24(m,2H)、0.95(m,1H)3.22(t,1H)、6.53(m,1
H)、8.18(m,1H)、8.25(m,1H)、8.31(m,1H)
下記の化合物を、例1においてと同じ手順を使用して得た。
例1−2:N−(2,2−ジフルオロエチル)−3−ニトロピリジン−2−アミン
【0045】
【化6】
【0046】
71232=203.15 質量分析 M+1=204
例1−3:N−シクロプロピル−3−ニトロピリジン−2−アミン
【0047】
【化7】
【0048】
8932=179.18 質量分析 M+1=180.0
例1−4:N−(シクロプロピル)−3−ニトロピリジン−4−アミン
【0049】
【化8】
【0050】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.46(m,2H)、
0.67(m,2H)、2.45(m,1H)、7.05(d,1H)、8.05(s,
1H)、8.14(d,1H)、8.79(s,1H)
例1−5:N−(シクロプロピルメチル)−3−ニトロピリジン−4−アミン
【0051】
【化9】
【0052】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.20(m,2H)、
0.39(m,2H)、1.05(m,1H)、3.17(t,2H)、6.94(d,
1H)、8.15(d,1H)、8.33(s,1H)、8.91(s,1H)
例2:N2−(シクロプロピルメチル)ピリジン−2,3−ジアミン
【0053】
【化10】
【0054】
N−(シクロプロピルメチル)−3−ニトロピリジン−2−アミン3.5g(18.1
mM)のメタノール36ml溶液に、5%で炭素に担持されているパラジウム700mg
を加えた。反応混合物を室温、水素雰囲気下、室圧で3時間撹拌した。触媒をセライトで
濾過し、濾液を真空下で蒸発させると、N2−(シクロプロピルメチル)ピリジン−2,
3−ジアミン3.1gが固体として得られた。収率:99.5%。
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.00(m,2H)、
0.24(m,2H)、0.89((m,1H)、2.96(t,2H)、4.5(s,
2H)、5.37(t,1H)、6.15(m,1H)、6.44(d,1H)、7.1
3(1d,1H)
下記の化合物を例2と同じ手順を使用して得た。
例2−2:N2−(2,2−ジフルオロエチル)ピリジン−2,3−ジアミン
【0055】
【化11】
【0056】
7923=173.16 質量分析 M+1=174.1
例2−3:N2−シクロプロピルピリジン−2,3−ジアミン
【0057】
【化12】
【0058】
8113=149.19 質量分析 M+1=150.1
例2−4:N4−シクロプロピルピリジン−3,4−ジアミン
【0059】
【化13】
【0060】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.29(m,2H)、
0.61(m,2H)、2.23(m,1H)、4.40(s,2H)、5.65(s,
1H)、6.50(d,1H)、7.49(m,2H)
例2−5:N4−(シクロプロピルメチル)ピリジン−3,4−ジアミン
【0061】
【化14】
【0062】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.02(m,2H)、
0.28(m,2H)、0.84(m,1H)、2.74(t,2H)、4.41(s,
2H)、5.19(m,1H)、6.14(d,1H)、7.35(d,1H)、7.4
1(s,1H)
方法A
例3:2−(4−クロロフェニル)−4−シクロプロピルメチルピリド[2,3−b]ピ
ラジン−3(4H)−オン
【0063】
【化15】
【0064】
メタノール6ml中のN2−(シクロプロピルメチル)ピリジン−2,3−ジアミン4
30mg(2.63mM)および(4−クロロフェニル)(オキソ)酢酸485.4mg
(2.63mM)を16時間還流させた。固体が結晶化した。化合物を濾過し、メタノー
ルで洗浄すると、2−(4−クロロフェニル)−4−(シクロプロピルメチル)ピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン300mgがベージュ色の固体として得られた
。収率:36.5%。
NMR 1H(300MHz/CF3COOD)δ(ppm):0.59(m,4H)、1
.23(m,1H)、4.44(d,2H)、7.44(d,2H)、7.83(m,1
H)、8.11(d,2H)、8.66(d,1H)、8.89(d,1H)
下記の化合物を、例3と同じ手順を使用して得た。
例3−2:2−(4−クロロフェニル)−4−エチルピリド[2,3−b]ピラジン−3
(4H)−オン
【0065】
【化16】
【0066】
NMR 1H(300MHz/CF3COOD)δ(ppm):0.18(t,3H)、3
.30(q,2H)、6.16(d,2H)、6.55(m,1H)、6.84(d,2
H)、7.37(d,1H)、7.63(d,1H)
例3−3:2−(4−フルオロフェニル)−4−エチルピリド[2,3−b]ピラジン−
3(4H)−オン
【0067】
【化17】
【0068】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):1.30(t,3H)、
4.47(q,2H)、7.36(t,2H)、7.51(m,1H)、8.33(m,
3H)、8.69(d,1H)
例3−4:4−エチル−2−フェニルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0069】
【化18】
【0070】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):1.30(t,3H)、
4.47(q,2H)、7.54(m,4H)、8.24(m,3H)、8.67(d,
1H)
例3−5:2−(4−クロロフェニル)−4−シクロプロピルピリド[2,3−b]ピラ
ジン−3(4H)−オン
【0071】
【化19】
【0072】
NMR 1H(300MHz/CF3COOD)δ(ppm):1.15(m,2H)、1
.60(m,2H)、3.27(m,1H)、7.40(d,2H)、7.83(m,1
H)、8.13(d,2H)、8.64(d,1H)、8.86(d,1H)
1612ClN3O=297.74 質量分析 M+1=298.0
例3−6:4−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピ
ラジン−3(4H)−オン
【0073】
【化20】
【0074】
NMR 1H(300MHz/CF3COOD)δ(ppm):1.10(m,2H)、1
.57(m,2H)、3.23(m,1H)、7.06(m,2H)、7.79(m,1
H)、8.15(m,2H)、8.59(d,1H)、8.83(d,1H)
1612FN3O=281.28 質量分析 M+1=282.1
例3−7:4−シクロプロピルメチル−2−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−
b]ピラジン−3(4H)−オン
【0075】
【化21】
【0076】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.46(m,4H)、
1.33(m,1H)、4.34(d,2H)、7.34(t,2H)、7.49(m,
1H)、8.30(m,3H)、8.65(d,1H)
例3−8:2−(4−クロロフェニル)−4−(2,2−ジフルオロエチル)ピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0077】
【化22】
【0078】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):4.88(td,2H)
、6.41(tt,1H)、7.59(m,3H)、8.28(m,3H)、8.66(
d,1H)
例3−9:3−(4−クロロフェニル)−1−シクロプロピルピリド[3,4−b]ピラ
ジン−2(1H)−オン
【0079】
【化23】
【0080】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.97(m,2H)、
1.36(m,2H)、3.12(m,1H)、7.63(d,2H)、7.82(d,
1H)、8.29(d,2H)、8.66(d,1H)、9.04(s,1H)C1612
ClN3O=297.74 質量分析 M+1=298.0
例3−10:1−シクロプロピル−3−(4−フルオロフェニル)ピリド[3,4−b]
ピラジン−2(1H)−オン
【0081】
【化24】
【0082】
1612FN3O=281.28 質量分析 M+1=282.0
例3−11:1−シクロプロピル−3−フェニルピリド[3,4−b]ピラジン−2(1
H)−オン
【0083】
【化25】
【0084】
16133O=263.29 質量分析 M+1=264.1
例3−12:1−シクロプロピル−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリド
[3,4−b]ピラジン−2(1H)−オン
【0085】
【化26】
【0086】
171233O=331.29 質量分析 M+1=332.0
例3−13:2−(4−クロロフェニル)−4−シクロプロピル−8−メチルピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0087】
【化27】
【0088】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.92(m,2H)1
.25(m,2H)2.69(s,3H)3.08(m,1H)7.36(d,1H)7
.61(d,2H)8.34(d,2H)8.52(d,1H)
1714ClN3O=311.77 質量分析 M+1=312.0
m.p.:159〜163℃
例3−14:4−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−6−メチルピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0089】
【化28】
【0090】
1714FN3O=295.31 質量分析 M+1=296.0
例3−15:2−(4−クロロベンジル)−4−シクロプロピルピリド[2,3−b]ピ
ラジン−3(4H)−オン
【0091】
【化29】
【0092】
NMR 1H(300MHz/CDCl3)δ(ppm):0.86(q,2H)、1.2
8(q,2H)、3.00(m,1H)、4.12(s,2H)、7.19(m,3H)
、7.30(d,2H)、8.02(d,1H)、8.50(m,1H)
例3−16:2−(4−フルオロフェニル)−4−(2−メトキシエチル)ピリド[2,
3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0093】
【化30】
【0094】
1614FN32=299.3 質量分析 M+1=300.0
融点:124〜127℃
例3−17:4−ブチル−2−(4−クロロフェニル)−ピリド[2,3−b]ピラジン
−3(4H)−オン
【0095】
【化31】
【0096】
1716ClN3O=313.79 質量分析 M+1=314.0
例3−18:2−(4−クロロフェニル)−4−イソプロピル−ピリド[2,3−b]ピ
ラジン−3(4H)−オン
【0097】
【化32】
【0098】
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):1.55(d,6H)、
5.86(m,1H)、7.40(m,1H)、7.50(d,2H)、8.15(d,
2H)、8.20(d,1H)、8.60(d,1H)
1614ClN30=299.76 質量分析 M+1=299.7
例3−19:4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0099】
【化33】
【0100】
171233O=331.29 質量分析 M+1=332.1
例3−20:4−シクロプロピルメチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリ
ド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0101】
【化34】
【0102】
181433O=345.32 質量分析 M+1=346.1
例3−21:4−(2,2−ジフルオロエチル)−2−フェニルピリド[2,3−b]ピ
ラジン−3(4H)−オン
【0103】
【化35】
【0104】
151123O=287.27 質量分析法=288.0
例3−22:4−(2,2−ジフルオロエチル)−2−(4−フルオロフェニル)ピリド
[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0105】
【化36】
【0106】
151033O=305.27 質量分析 M+1=306.0
例3−23:4−(2,2−ジフルオロエチル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0107】
【化37】
【0108】
161053O=355.27 質量分析 M+1=356.0
例3−24:4−(2−メトキシエチル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−
ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0109】
【化38】
【0110】
1714332=349.31 質量分析 M+1=350.1
例3−25:2−(4−クロロフェニル)−4−(2−メトキシエチル)ピリド[2,3
−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0111】
【化39】
【0112】
1614ClN32=315.76 質量分析 M+1=316.0
例3−26:4−(2−メトキシエチル)−2−フェニルピリド[2,3−b]ピラジン
−3(4H)−オン
【0113】
【化40】
【0114】
161532=281.31 質量分析 M+1=282.1
例3−27:4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−8−メチ
ルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0115】
【化41】
【0116】
181433O=345.32 質量分析 M+1=346.3
例3−28:4−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−8−メチルピリド[
2,3−b]ピラジン−3−(4H)−オン
【0117】
【化42】
【0118】
1714FN3O=295.32 質量分析 M+1=296.1
例3−29:4−シクロプロピルメチル−2−フェニルピリド[2,3−b]ピラジン−
3(4H)−オン
【0119】
【化43】
【0120】
17153O=277.33 質量分析 M+1=278.1
例3−30:2−(4−クロロフェニル)−4−シクロプロピル−7−メチルピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0121】
【化44】
【0122】
1714ClN3O=311.77 質量分析 M+1=312.0
例3−31:4−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−7−メチルピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0123】
【化45】
【0124】
1714FN3O=295.32 質量分析 M+1=296.1
例3−32:2−(4−フルオロ−フェニル)−4−イソプロピル−ピリド[2,3−b
]ピラジン−3(4H)−オン
【0125】
【化46】
【0126】
1714FN3O=283.30 質量分析 M+1=284.1
例3−33:4−イソプロピル−2−フェニルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H
)−オン
【0127】
【化47】
【0128】
16153O=265.31 質量分析 M+1=266.1
例3−34:2−(4−クロロフェニル)−4−シクロプロピル−6−メチルピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0129】
【化48】
【0130】
714ClN3O=311.77 質量分析 M+1=312.0
例3−35:4−シクロプロピル−2−フェニルピリド[2,3−b]ピラジン−3(4
H)−オン
【0131】
【化49】
【0132】
16H133O=263.29 質量分析 M+1=264.1
例3−36:4−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−6−メトキシピリド
[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0133】
【化50】
【0134】
1714FN32=311.31 質量分析 M+1=312.1
例3−37:4−シクロブチル−2−(4−フルオロフェニル)ピリド[2.3−b]ピ
ラジン−3(4H)−オン
【0135】
【化51】
【0136】
1714FN3O=295.31 質量分析 M+1 =296.1
例3−38:2−(4−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシエチル)ピリド[2,
3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0137】
【化52】
【0138】
1512ClN32=301.73 質量分析 M+1=302.0
例3−39:2−(4−フルオロフェニル)−4−(2−ヒドロキシエチル)ピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0139】
【化53】
【0140】
1512FN32=285.28 質量分析 M+1=286.1
例3−40:4−(2−ヒドロキシエチル)−2−フェニルピリド[2,3−b]ピラジ
ン−3(4H)−オン
【0141】
【化54】
【0142】
151332=267.29 質量分析 M+1=268.1
例3−41:2−(4−クロロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)ピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0143】
【化55】
【0144】
1614ClN32=315.76 質量分析 M+1=316.1
例3−42:2−(4−フルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)ピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0145】
【化56】
【0146】
1614FN32=299.30 質量分析 M+1=300.1
例3−43:4−(3−ヒドロキシプロピル)−2−フェニルピリド[2,3−b]ピラ
ジン−3(4H)−オン
【0147】
【化57】
【0148】
161532=281.31 質量分析 M+1=282.1
例3−44:1−エチル−3−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン
−2(1H)−オン
【0149】
【化58】
【0150】
1512FN3O=269.27 質量分析 M+1=270.0
例3−45:2−(4−フルオロフェニル)−4−[2−(ジエチルアミノ)エチル]ピ
リド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0151】
【化59】
【0152】
1921FN4O=340.39 質量分析 M+1=341.1
例3−46:2−(4−クロロフェニル)−4−[2−(ジエチルアミノ)エチル]ピリ
ド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0153】
【化60】
【0154】
1921ClN4O=356.85 質量分析 M+1=357.1
方法B
例4:4−(シクロプロピルメチル)−2−ヒドロキシピリド[2,3−b]ピラジン−
3(4H)−オン
【0155】
【化61】
【0156】
ジクロロメタン20ml中のN2−(シクロプロピルメチル)ピリジン−2,3−ジア
ミン1.6g(9.8mM)およびジイソプロピルアミン1.7ml(9.8mM)に、撹
拌しながら室温で、クロロ(オキソ)酢酸エチル1.1ml(9.8mM)を滴加した。
反応混合物を室温で16時間撹拌し、水を加えた。有機層を分離し、水性層をジクロロメ
タンで2回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、
溶媒を真空下に除去した。化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、ジクロ
ロメタン/メタノール(95/5)を溶離剤として使用してさらに精製すると、蒸発の後
に、4−(シクロプロピルメチル)−2−ヒドロキシピリド[2,3−b]ピラジン−3
(4H)−オン700mgが固体として得られた。収率:33%。
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.19(m,4H)、
1.03(m,1H)、3.90(d,2H)、6.98(m,1H)、7.29(d,
1H)、7.96(d,1H)、11.94(s,1H)
下記の化合物を、例4においてと同じ手順を使用して得た。
例4−2:4−(シクロプロピル)−2−ヒドロキシピリド[2,3−b]ピラジン−3
(4H)−オン
【0157】
【化62】
【0158】
10932=203.2 質量分析 M+1=204.0
例5:2−ブロモ−4−(シクロプロピルメチル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(
4H)−オン
【0159】
【化63】
【0160】
ジクロロエタン10ml中の4−(シクロプロピルメチル)−2−ヒドロキシピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン700mg(3.22mM)および95%のオ
キシ臭化リン972.3mg(3.22mM)を撹拌しながら16時間還流させた。次い
で、反応混合物を、炭酸ナトリウム水溶液を用いて塩基性にし、水性層をジクロロメタン
で抽出した。有機層を分離し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真
空下に除去した。化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン
を溶離剤として使用してさらに精製すると、蒸発の後に、2−ブロモ−4−(シクロプロ
ピルメチル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン650mgが白色の固体
として得られた。収率:66.5%。
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.46(m,4H)、
1.31(m,1H)、4.26(d,2H)、7.49(m,1H)、8.22(d,
1H)、8.68(d,1H)
下記の化合物を、例5においてと同じ手順を使用して得た。
例5−2::2−ブロモ−4−(シクロプロピル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(
4H)−オン
【0161】
【化64】
【0162】
108BrN3O=266.1 質量分析 M+1=267.0
融点:144〜146℃
例6:4−(シクロプロピルメチル)−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリ
ド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0163】
【化65】
【0164】
ジメチルホルムアミド1ml中の2−ブロモ−4−(シクロプロピルメチル)ピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン200mg(0.71mM)およびビス(トリ
フェニルホスフィン)パラジウム(ll)クロリド25.3mg(0.036mM)に、
(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ボロン酸142.9mg(0.93mM)、エタ
ノール0.1mlおよび2Mの炭酸ナトリウム水溶液715μlを加えた。次いで、反応
混合物を撹拌しながら20時間還流させた。水および酢酸エチルを加えた。有機層を分離
し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真空下に除去した。化合物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、ジクロロメタンを溶離剤として使用してさ
らに精製すると、蒸発の後に、4−(シクロプロピルメチル)−2−(4−フルオロ−2
−メチルフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン100mgが白色
の固体として得られた。(収率:45.3%)
NMR 1H(300MHz/DMSO−d6)δ(ppm):0.27(m,4H)、
1.15(m,1H)、4.10(d,2H)、6.96(m,2H)、7.31(m,
2H)、8.08(d,1H)、8.48(d,1H)
1816FN3O=309.34 質量分析 M+1=310.1
下記の化合物を、例6においてと同じ手順を使用して得た。
例6−2:4−シクロプロピル−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0165】
【化66】
【0166】
1714FN3O=295.31 質量分析 M+1=296.1
融点:165〜167℃
例6−3:2−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−シクロプロピルピリド[2,
3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0167】
【化67】
【0168】
1714ClN3O=311.76 質量分析 M+1=312.0
例6−4:4−シクロプロピル−2−(3−フルオロフェニル)−ピリド[2,3−b]
ピラジン−3(4H)−オン
【0169】
【化68】
【0170】
1612FN3O=281.29 質量分析 M+1=282.1
例6−5:2−(3−クロロフェニル)−4−シクロプロピルピリド[2,3−b]ピラ
ジン−3(4H)−オン
【0171】
【化69】
【0172】
1612ClN3O=297.74 質量分析 M+1=298.0
例6−6:4−シクロプロピル−2−(3−メチルフェニル)ピリド[2,3−b]ピラ
ジン−3(4H)−オン
【0173】
【化70】
【0174】
17153O=277.32 質量分析 M+1=278.1
例6−7:4−シクロプロピルメチル−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−ピ
リド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0175】
【化71】
【0176】
1816FN3O=309.34 質量分析 M+1=310.1
例6−8:4−シクロプロピル−2−(4−メチルフェニル)ピリド[2,3−b]ピラ
ジン−3(4H)−オン
【0177】
【化72】
【0178】
17153O=277.32 質量分析 M+1=278.1
例6−9:4−シクロプロピル−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0179】
【化73】
【0180】
171233O=331.29 質量分析 M+1=332.1
例6−10:2−(2−クロロフェニル)−4−シクロプロピルピリド[2,3−b]ピ
ラジン−3(4H)−オン
【0181】
【化74】
【0182】
1612ClN3O=297.74 質量分析 M+1=298.0
例6−11:4−シクロプロピル−2−(2,4−ジクロロフェニル)ピリド[2,3−
b]ピラジン−3(4H)−オン
【0183】
【化75】
【0184】
1611Cl23O=332.18 質量分析 M+1=333.2
例6−12:4−シクロプロピル−2−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ピリド[
2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0185】
【化76】
【0186】
161033O=317.27 質量分析 M+1=318.0
例6−13:4−シクロプロピル−2−(2−メトキシフェニル)ピリド[2,3−b]
ピラジン−3(4H)−オン
【0187】
【化77】
【0188】
171532=293.32 質量分析 M+1=294.1
例6−14:4−シクロプロピル−2−(4−メトキシフェニル)ピリド[2,3−b]
ピラジン−3(4H)−オン
【0189】
【化78】
【0190】
171532=293.32 質量分析 M+1=294.1
例6−15:2−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−イソプロピルピリド[2,
3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0191】
【化79】
【0192】
1716ClN3O=313.78 質量分析 M+1=314.0
例6−16:2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−イソプロピルピリド[2,3−b
]ピラジン−3(4H)−オン
【0193】
【化80】
【0194】
1613Cl23O=334.20 質量分析 M+1=334.0
例6−17:2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−イソプロピルピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0195】
【化81】
【0196】
1716FN3O=297.33 質量分析 M+1=298.1
例6−18:2−(2−エトキシフェニル)−4−イソプロピルピリド[2,3−b]ピ
ラジン−3(4H)−オン
【0197】
【化82】
【0198】
181932=309.36 質量分析 M+1=310.1
例6−19:4−シクロプロピル−2−(6−メトキシピリジン−3−イル)ピリド[2
,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0199】
【化83】
【0200】
161442=294.31 質量分析 M+1=295.1
例6−20:4−シクロプロピル−2−(2−チエニル)ピリド[2,3−b]ピラジン
−3(4H)−オン
【0201】
【化84】
【0202】
14113OS=269.32 質量分析 M+1=270.0
例6−21:4−シクロプロピル−2−(2−フリル)ピリド[2,3−b]ピラジン−
3(4H)−オン
【0203】
【化85】
【0204】
141132=253.26 質量分析 M+1=254.0
例6−22:2−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−(2−ヒドロキシエチル)
ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0205】
【化86】
【0206】
1614ClN32=315.75 質量分析 M+1=316.0
例6−23:2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(2−ヒドロキシエチル
)ピリド[2.3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0207】
【化87】
【0208】
1614FN32=299.3 質量分析 M+1=300.1
例6−24:2−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−(2−メトキシエチル)ピ
リド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0209】
【化88】
【0210】
1716ClN32=329.78 質量分析 M+1=330.0
例6−25:2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(2−メトキシエチル)
ピリド[2,3−b]ピラジン−3(4H)−オン
【0211】
【化89】
【0212】
1716FN32=313.33 質量分析 M+1=314.1
例6−26:4−シクロプロピル−2−(2,4−ジメチルフェニル)ピリド[2,3−
b]ピラジン−3(4H)−オン
【0213】
【化90】
【0214】
18173O=291.35 質量分析 M+1=292.1
生物学的アッセイ
本発明の化合物を、グルコースならびに他の生理学的および薬理学的インスリン分泌促
進物質に対するそれらの優れた応答に関して評価するために、INS−1細胞を選択した
【0215】
膵臓INS−1細胞の培養
Asfariら(Endocrinology 130: 167〜178、1992年)により記載された通り、1mMの
ピルビン酸ナトリウム、50μMの2−メルカプトエタノール、2mMのグルタミン、1
0mMのHEPES、100IU/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプ
トマイシン(CM)を含有し、10mMのグルコースおよび10%(vol/vol)の
熱不活化ウシ胎児血清(FCS)を補足された完全培地のRPMI1640中でINS−
1細胞を培養した。
【0216】
インスリン分泌アッセイ
INS−1細胞を播種し、48−ウェルプレート中で培養した。2日間培養した後に、
培地を除去し、5mMのグルコース、1%FCSに培地を変えて細胞を24時間培養した
。次いで、2.8mMのグルコースを含有するKrebs−Ringer重炭酸塩HEP
ES緩衝液(KRBH;135mMのNaCl;3.6mMのKCl;5mMのNaHC
O3;0.5mMのNaH2PO4;0.5mMのMgCl2;1.5mMのCaCl2
および10mMのHEPES;pH7.4)0.1%BSAで細胞を洗浄し、同じ緩衝液
中、37℃で30分間予備インキュベーションした。次いで、細胞を2回洗浄し、4.2
mMグルコースおよび様々な濃度の試験分子を含有するKRBH 0.1%BSA中で1
時間インキュベーションした。回収された上澄み中のインスリン濃度を、ラットインスリ
ン抗体(Insulin Rat Elit PLUS、cat. ref 10−11
45−01)を使用してELISAで測定した。
【0217】
インスリン分泌結果を、対照に対する%で示す(グルコース4.2mM)
【0218】
【表1】
【0219】
糖尿病N0STZラットの島でのインスリン分泌
物質および方法
島の単離および処置
14±3週齢の非絶食N0STZ(PORTHAら、1974年)雄ラット(Charles R
ivers−Domaine des Oncins、l’Arbresle、Fran
ce)にペントバルビタールナトリウムで麻酔を掛け(Nembutal(登録商標):
5ml/kgで45mg/kg、腹腔内投与)、体温を加熱ランプで維持した。
【0220】
ラットの膵臓ランゲルハンス島をラット8匹の膵臓から、コラゲナーゼP(Boehr
inger、Meylan、France)消化により単離した。島をハンクス平衡塩類
溶液[NaCl(137mM);KCl(5.36mM);MgSO4、7H2O(0.8
1mM);Na2HPO4、12H2O(0.34mM);KH2PO4(0.44mM);
CaCl2、2H2O(1.26mM);NaHCO3(4.17mM)]中での沈降、続
くフィコール比重差分離により精製した。次いで、島を立体顕微鏡下で選び、3つの島か
らなるバッチを37℃で、連続的に振盪しながら、加湿条件下(95%O2、5%CO2
、必要なグルコースまたは化合物濃度を含有するKrebs/Hepes pH7溶液[
NaCl(115mM)、NaHCO3(24mM)、KCl(5mM)、MgCl2(1
mM)、CaCl2、2H2O(1mM)、0.2%ウシ血清アルブミン(Fractio
n V、脂肪酸不含、Boehringer、Mannheim)、10mMのHepe
s]1ml中で90分間インキュベーションした。化合物をDMSOに2.10〜2Mス
トック溶液で溶かした。次いでこれらを、必要な濃度で、必要なグルコース濃度を含有す
るKrebs/Hepes緩衝液中で希釈した。
【0221】
インキュベーションの終了時に、培地を集め、ELISA(EUROBIO、Cour
taboeuf、France)を使用して、インスリンレベルを測定した。
【0222】
【表2】
【0223】
島を選び、高まっていく化合物濃度の存在下、2.8または8mMのグルコースの存在
下にインキュベーションした。インキュベーションの終了時に、培地を集め、ELISA
法を使用してインスリンレベルを測定した。結果は、グルコース対照(2.8または8m
M)に対する%として示されていて、平均±SEMを表している。
【0224】
N0STZ糖尿病ラットから単離された島において、化合物は、非刺激性の低グルコー
ス濃度(2.8mM)の存在下では、高濃度ですら(10-4M)作用を示さなかったが、
8mMのグルコース、刺激性グルコース濃度に応じてインスリン分泌を増強した。これら
の結果は、インスリン分泌に対する化合物の作用は、グルコースレベルに左右されること
を示し、これらの化合物での治療により、低血糖のリスクが回避されるはずであることを
示唆している。