(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一直進突起部および前記第二直進突起部は、前記周方向について異なる位置に配され、且つ、前記光軸方向について同じ位置に配される請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。下記の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、一眼レフカメラ100の模式的断面図である。一眼レフカメラ100は、レンズ鏡筒200およびカメラボディ300を含む。
【0010】
なお、記載を簡潔にする目的で、下記の説明においては、カメラボディ300に装着されたレンズ鏡筒200に対して物体側を、一眼レフカメラ100の前側または先側と記載する。また、レンズ鏡筒200に対して物体から遠い側を、一眼レフカメラ100における後側または背面側と記載する。更に、レンズ鏡筒200の光学系の光軸Xと平行な方向を光軸方向と記載する。
【0011】
レンズ鏡筒200は、光軸Xに沿って配置された第一レンズ群210、第二レンズ群220、第三レンズ群230、第四レンズ群240、第五レンズ群250および第六レンズ群を含む光学系を有する。第一レンズ群210、第二レンズ群220、第三レンズ群230、第四レンズ群240、第五レンズ群250および第六レンズ群は、それぞれレンズ保持枠212、222、232、242、252、262に個別に保持される。
【0012】
図示のレンズ鏡筒200は、第一レンズ群210、第二レンズ群220、第三レンズ群230、第四レンズ群240、第五レンズ群250および第六レンズ群260が相互に接近した沈胴状態にある。これにより、レンズ鏡筒200の光軸X方向の長さが短縮されて携帯性は向上する。ただし、沈胴状態にあるレンズ鏡筒200は、光学装置としては使用できない。
【0013】
レンズ鏡筒200は、固定筒201、ズーム環202、直進筒203、先筒204、カム筒290、案内筒206、先側移動枠207および後側移動枠209を含む鏡筒を有する。固定筒201は、後端にレンズ側マウント部208を有する。レンズ側マウント部208をカメラボディ300前面のボディ側マウント部360と結合させることにより、固定筒201は、カメラボディ300に対して結合される。
【0014】
レンズ側マウント部208およびボディ側マウント部360の結合は解除できる。よって、カメラボディ300は、規格に適合するレンズ側マウント部208を有する他のレンズ鏡筒200と組み合わせても使用できる。
【0015】
ズーム環202は、固定筒201の外周面に配され、ユーザの操作により、光学系の光軸Xを回転軸として回転する。レンズ鏡筒200におけるズーム環202は、レンズ鏡筒200を伸筒させて沈胴状態を解除する場合に、ユーザにより回転操作される。また、ズーム環202は、レンズ鏡筒200の光学系を変倍させる場合にも、ユーザにより回転操作される。
【0016】
レンズ鏡筒200において、第四レンズ群240を保持するレンズ保持枠242は、先側移動枠207に対して移動可能に支持される。レンズ保持枠242は、先側移動枠207に固定された送りねじ組立体270により駆動される。
【0017】
送りねじ組立体270は、ステッピングモータ272、送りねじ274およびフレーム276を有する。フレーム276は、ステッピングモータ272および送りねじ274を一体的に支持すると共に、先側移動枠207に対して固定される。ステッピングモータ272は、送りねじ274を回転駆動する。送りねじ274は、ラック部材278を介してレンズ保持枠242と係合する。
【0018】
これにより、レンズ保持枠242に保持された第四レンズ群240を移動させることができる。第四レンズ群240が移動した場合、レンズ鏡筒200の光学系の焦点位置が変化する。よって、カメラボディ300側からの信号に基づいてステッピングモータ272を電気的に制御して、レンズ鏡筒200を合焦させることができる。
【0019】
カメラボディ300は、ボディ側マウント部360の後方に配されたミラーユニット370を備える。ミラーユニット370の下方には合焦光学系380が配される。ミラーユニット370の上方にはフォーカシングスクリーン352が配される。
【0020】
フォーカシングスクリーン352の更に上方にはペンタプリズム354が配され、ペンタプリズム354の後方にはファインダ光学系356が配される。ファインダ光学系356の後端は、ファインダ350としてカメラボディ300の背面に露出する。
【0021】
ミラーユニット370の後方には、シャッタユニット310、ローパスフィルタ332、撮像素子330、基板320および表示部340が順次配される。液晶表示板等により形成される表示部340は、カメラボディ300の背面に表われる。基板320には、制御部322および画像処理部324等が実装される。
【0022】
ミラーユニット370は、メインミラー371およびサブミラー374を含む。メインミラー371は、メインミラー回動軸373により軸支されたメインミラー保持部372に支持される。
【0023】
サブミラー374は、サブミラー回動軸376により軸支されたサブミラー保持部375に支持される。サブミラー保持部375は、メインミラー保持部372に対して回動する。よって、メインミラー保持部372が回動した場合、サブミラー保持部375もメインミラー保持部372と共に変位する。
【0024】
メインミラー保持部372の前端が降下した場合、メインミラー371は、レンズ鏡筒200から入射した入射光束上に斜めに位置する。メインミラー保持部372が上昇した場合、メインミラー371は、入射光束を避けた位置に退避する。
【0025】
メインミラー371が入射光束上に位置する場合、レンズ鏡筒200を通じて入射した入射光束は、メインミラー371に反射されてフォーカシングスクリーン352に導かれる。フォーカシングスクリーン352は、レンズ鏡筒200の光学系と共役な位置に配されて、レンズ鏡筒200の光学系が形成した像を可視化する。
【0026】
フォーカシングスクリーン352上の像は、ペンタプリズム354およびファインダ光学系356を通じてファインダ350から観察される。ここで、ペンタプリズム354を通じて像を観察することにより、ファインダ350からは正立正像を観察できる。
【0027】
測光センサ390は、ファインダ光学系356の上方に配され、分岐されさた入射光束の一部を受光する。測光センサ390は、被写体輝度を検出して、制御部322に撮影条件の一部である露出条件を算出させる。
【0028】
メインミラー371は、入射光束の一部を透過するハーフミラー領域を有する。サブミラー374は、ハーフミラー領域から入射した入射光束の一部を、合焦光学系380に向かって反射する。合焦光学系380は、入射した入射光束の一部を焦点検出センサ382に導く。これにより、制御部322は、レンズ鏡筒200の光学系を合焦させる場合に移動するレンズの目標位置を決定する。
【0029】
上記のようなレンズ鏡筒200およびカメラボディ300を備える一眼レフカメラ100においてレリーズボタンが半押しされると、焦点検出センサ382および測光センサ390が有効になり、被写体像を適切な撮影条件で撮影できる状態になる。
【0030】
次いで、レリーズボタンが全押しされると、メインミラー371およびサブミラー374が退避位置に移動して、シャッタユニット310が開く。これにより、レンズ鏡筒200から入射した入射光束は、ローパスフィルタ332を通過して、撮像素子330に入射する。こうして、レンズ鏡筒200の光学系により撮像素子330の撮像面に形成された画像が撮像される。
【0031】
図2は、レンズ鏡筒200の断面図である。
図2では、光軸Xの図中上側に、広角側に変倍されたレンズ鏡筒200の断面を示す。また、
図2では、光軸Xの図中下側に、望遠側に変倍されたレンズ鏡筒200の断面を示す。
【0032】
図2において、
図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。ただし、
図2は、光軸Xを含む断面である点で
図1と共通するものの、
図1とは異なる断面を示す。よって、共通要素の一部は、
図1と異なる形状で描かれる。
【0033】
レンズ鏡筒200において、直進筒203は、リード部281においてズーム環202と係合する。直進筒203は、固定筒201に対する回転が抑制されているので、ズーム環202が回転操作された場合、光軸X方向に並進する駆動力をズーム環202から受ける。
【0034】
カム筒290は、それ自体の後端付近に配されたバヨネット爪286により、直進筒203の後端付近に係合する。バヨネット爪286は、直進筒203の内面に周方向に延在するバヨネット溝に係合するので、カム筒290は、光軸Xの周りに回転できる。しかしながら、直進筒203が光軸X方向に並進した場合は、直進筒203に連れ従って、カム筒290も光軸方向に移動する。換言しれば、カム筒290と直進筒203とは、光軸X方向に限って係合されている。
【0035】
また、カム筒290は、それ自体の外周面に固定された連結ピン285を通じて、ズーム環202内面に光軸Xと平行に設けられた直進溝405に係合する。これにより、ズーム環202が回転操作された場合、カム筒290も共に回転する。
【0036】
既に説明した通り、ズーム環202が回転操作された場合、直進筒203は光軸X方向に並進し、カム筒290も直進筒203に連れ従って並進する。よって、ズーム環202が回転操作された場合、カム筒290は、光軸Xの周りに回転しつつ、光軸X方向に並進する。
【0037】
案内筒206は、カム筒290の内側に位置し、固定筒201に結合されて固定される。よって、ズーム環202が回転操作された場合、直進筒203およびカム筒290は、案内筒206に対しても並進することになる。案内筒206は、光軸Xの方向についてレンズ鏡筒200の前端側に向かって延在するので、カム筒290を内面側から支持すると共に、直進筒203の後端に設けられたキー287と係合する直進溝288により、直進筒203の回転を規制する。
【0038】
先筒204は、先端に第一レンズ群210のレンズ保持枠212を支持する。また、先筒204は、カムピン282等により直進筒203およびカム筒290に係合して双方から支持される。よって、直進筒203およびカム筒290が光軸X方向に並進する場合は、先筒204も連れ従って光軸X方向に並進する。
【0039】
更に、ズーム環202が回転操作された場合、先筒204は、回転することなく並進する直進筒203と、回転しつつ並進するカム筒290との間で駆動されて、直進筒203およびカム筒290に対しても並進する。これにより、先筒204の先端に保持された第一レンズ群210は、固定筒201から前方に大きく繰り出される。
【0040】
先側移動枠207は、カム筒290および案内筒206の内側に配され、第三レンズ群230および第五レンズ群250を保持するレンズ保持枠232、252を併せて保持する。後側移動枠209は、先側移動枠207の更に内側に配され、第六レンズ群260を保持するレンズ保持枠262を支持する。先側移動枠207および後側移動枠209は、カム筒290に係合して、ズーム環202が回転操作された場合に、光軸X方向にそれぞれ移動する。図中には、後側移動枠209をカム筒290に係合させるカムピン264が見えている。
【0041】
上記のようなレンズ鏡筒200においてズーム環202が回転操作された場合、第一レンズ群210、第二レンズ群220、第三レンズ群230、第五レンズ群250および第六レンズ群260がそれぞれ固定筒201に対して移動する。これにより、レンズ鏡筒200に形成された光学系の倍率が変化する。また、レンズ鏡筒200の変倍の範囲を超えてズーム環202が回転操作された場合、レンズ鏡筒200は縮筒して沈胴状態になる。
【0042】
図3は、レンズ鏡筒200の光軸Xに直交する断面を示す模式的断面図である。
図1および
図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。レンズ鏡筒200において、ズーム環202、固定筒201、先側移動枠207、カム筒290および後側移動枠209は、光軸Xに対して互いに同軸に配され、光軸Xの廻りに相互に回転する。
【0043】
レンズ鏡筒200において、カム筒290に固定された連結ピン285は、ズーム環202の内面に配された直進溝405に係合する。これにより、カム筒290は、ズーム環202と共に回転する。また、カム筒290の外周面に設けられたカムピン292は、固定筒201の内面に配されたカム溝402に係合する。
【0044】
更に、カム筒290は、外周面に突出するカムピン296と、内周面に設けられたカム溝294とを有する。カムピン296は、先側移動枠207の内周面に形成されたカム溝256に係合する。カム溝294は、後側移動枠209の外周面に固定されたカムピン264と係合する。
【0045】
レンズ鏡筒200において、固定筒201の内面には、周方向に隣接して配された一対の直進溝401、404が設けられる。先側移動枠207の直進突起部259は、先側移動枠207からレンズ鏡筒200の径方向外側に向かって突出して、固定筒201の内面に配された直進溝401に係合する。後側移動枠209の直進突起部269は、後側移動枠209からレンズ鏡筒200の径方向外側に向かって突出して、固定筒201の内面に配された直進溝404に係合する。これにより、先側移動枠207および後側移動枠209は、固定筒201に対する回転を規制される。
【0046】
カムピン264、292、296、連結ピン285およびカム溝256、294、402と、直進突起部259、269および直進溝401、404、405とは、各々3本ずつがレンズ鏡筒200の周方向に略等間隔に配される。これにより、カム筒290、先側移動枠207、カム筒290および後側移動枠209は、レンズ鏡筒200の周方向についてバランスよく駆動され、光軸Xに対して傾きを生じることが防止される。
【0047】
また、カム筒290において、連結ピン285は、レンズ鏡筒200の周方向についてカムピン292の近傍に配される。これにより、連結ピン285を駆動した場合に、カムピン292との位置のずれにより生じるカム筒290の光軸Xに対する傾きを抑制できる。
【0048】
また、カム筒290において、カムピン296は、レンズ鏡筒200の周方向について直進突起部259の近傍でカム溝256に係合して駆動される。更に、後側移動枠209のカムピン264は、レンズ鏡筒200の周方向について直進突起部269の近傍でカム溝294に係合して駆動される。
【0049】
これにより、カムピン296、264がカム溝256、294に駆動された場合に、直進突起部259、269とカムピン296、264との位置のずれにより生じる先側移動枠207および後側移動枠209の光軸Xに対する傾きを抑制できる。同様に、カムピン264は、レンズ鏡筒200の周方向について直進突起部269の近傍に配されることが好ましい。
【0050】
図4は、沈胴状態にあるレンズ鏡筒200の部分的な断面を示す模式図である。図を簡潔にする目的で形状を単純化しているが、
図1および
図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0051】
なお、
図3に示したように、カムピン264、292、296、連結ピン285およびカム溝256、294、402と、直進突起部259、269および直進溝401、404、405とは、レンズ鏡筒200の周方向について異なる位置に配される。よって、これらの要素が単一の断面にすべて現れることはない。しかしながら、
図4には、各要素の光学X方向の位置関係を示す目的で、これらの要素を併せて示している。
【0052】
レンズ鏡筒200において、先側移動枠207の直進突起部259と後側移動枠209の直進突起部269は、互いに独立した直進溝401、404に個別に係合する。これにより、レンズ鏡筒200が沈胴状態にある場合、先側移動枠207および後側移動枠209の後端部分は、レンズ鏡筒200の周方向について、互いに異なる位置を占める。また、直進突起部259、269が配された先側移動枠207および後側移動枠209の後端部分は、レンズ鏡筒200の光軸Xを含む断面において、光軸Xと平行な方向について同じ位置を占める。
【0053】
よって、各々の直進突起部259、269が干渉することなく、先側移動枠207および後側移動枠209の後端を、固定筒201の後面に共に突き当たるまで後退させて、レンズ鏡筒200の光軸X方向の長さを短縮できる。
【0054】
図5は、固定筒201の展開図であって、固定筒201の内面における直進溝401、404およびカム溝402のレイアウトを示す。
図4までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。各々3本ずつ設けられている直進溝401、404およびカム溝402のうちの1本について説明する。
【0055】
固定筒201において、直進溝401、404は、レンズ鏡筒200の光軸Xと平行な光軸方向に配され、レンズ鏡筒200の周方向について隣接して配される。よって、直進溝401、404に係合した直進突起部259、269は、光軸X方向の変位を許容されつつ、レンズ鏡筒200の周方向の変位を規制される。これにより、先側移動枠207および後側移動枠209は、それぞれ、光軸X方向に移動可能に固定筒201から支持される。
【0056】
換言すれば、固定筒201は、第三レンズ群230および第五レンズ群250を支持する先側移動枠207と、第三レンズ群230および第五レンズ群250とは異なる第六レンズ群260を支持する後側移動枠209とを共通に支持する。第三レンズ群230および第五レンズ群250を支持する先側移動枠207は、レンズ鏡筒200の光軸Xと平行な方向に移動できる。
【0057】
カム溝402は、光軸Xに対して傾いたプロファイルを有する。よって、カムピン292がカム溝402に対して変位した場合、レンズ鏡筒200においては、カム筒290が光軸X方向に移動する。
【0058】
また、カム溝402は、互いに連続して形成された沈胴区間297および変倍区間298を含む。変倍区間298においてカムピン292がカム溝402に対して変位した場合、レンズ鏡筒200の倍率が望遠端から広角端まで変化する。
【0059】
カムピン292が広角端を超えて沈胴区間297を変位する場合、レンズ鏡筒200は沈胴状態に向かって縮筒する。カムピン292が沈胴位置に到達すると、レンズ鏡筒200は沈胴状態になる。なお、上記の構造において、カムピン292を固定筒201に設け、カム溝402をカム筒290に設けた場合も、上記の例と同じ機能を有する駆動機構を形成できる。
【0060】
図6は、先側移動枠207の展開図であって、先側移動枠207の外面における直進突起部259およびカム溝256のレイアウトを示す。
図5までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。なお、各々3つずつ設けられている直進突起部259およびカム溝256のうちの1つについて説明する。
【0061】
先側移動枠207において、カム溝256は、光軸Xに対して傾いたプロファイルを有する。よって、カムピン296がカム溝256に対して変位した場合、レンズ鏡筒200においては、先側移動枠207がカム筒290に対して光軸X方向に移動する。
【0062】
カム溝256は、互いに連続した変倍区間および沈胴区間を含む。変倍区間においてカムピン296がカム溝256に対して変位した場合、レンズ鏡筒200の倍率が望遠端から広角端まで変化する。
【0063】
カム溝256においてカムピン296が広角端を超えて沈胴区間を変位した場合、レンズ鏡筒200は沈胴状態に向かって縮筒し始める。カムピン292が沈胴位置に到達すると、レンズ鏡筒200は沈胴状態になる。なお、上記の構造において、カムピン296を先側移動枠207に設け、カム溝256をカム筒290に設けた場合も、上記の例と同じ機能を有する駆動機構を形成できる。
【0064】
図7は、カム筒290の展開図であって、カム筒290の外面におけるカムピン264、292のレイアウトと、カム筒290の内面におけるカム溝294のレイアウトとを併せて示す。
図5までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。各々3つずつ設けられているカムピン292、296およびカム溝294のうち、
図7にはそれぞれ1つずつを示す。
【0065】
カム筒290において、カム溝294は、光軸Xに対して傾いたプロファイルを有する。よって、カムピン264がカム溝294に対して変位した場合、レンズ鏡筒200においては、後側移動枠209がカム筒290に対して光軸X方向に移動する。
【0066】
また、カム溝294は、変倍区間および沈胴区間を含む。変倍区間においてカムピン264がカム溝294に対して変位した場合、レンズ鏡筒200の倍率が望遠端から広角端まで変化する。
【0067】
カムピン264がカム溝294の広角端を超えて変位した場合、レンズ鏡筒200は沈胴状態に向かって縮筒し始める。カム溝294においてカムピン264が沈胴位置に到達すると、レンズ鏡筒200は沈胴状態になる。なお、上記の構造において、カムピン264をカム筒290に設け、カム溝294を後側移動枠209に設けた場合も、上記の例と同じ機能を有する駆動機構を形成できる。
【0068】
図8は、レンズ鏡筒200が伸筒した状態を、
図4に示した断面において示す模式的断面図である。図を簡潔にする目的で形状は単純化されているが、
図7までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0069】
レンズ鏡筒200においてズーム環202が回された場合、連結ピン285により係合するカム筒290も共に回転する。また、カム筒290は、カムピン292が係合する固定筒201のカム溝402のプロファイルに従って、固定筒201に対して光軸X方向に並進もする。
【0070】
先側移動枠207は、固定筒201の直進溝401に直進突起部259を係合させて回転を規制されている。よって、カム筒290が回転しつつ並進した場合、先側移動枠207は、カム筒290の外面に設けられたカムピン296に係合するカム溝256のプロファイルに従って駆動されて光軸X方向に並進する。
【0071】
更に、上記の通り、カム筒290自体が光軸X方向に並進するので、先側移動枠207は、カム筒290に対する先側移動枠207の移動量に加えて、カム筒290の固定筒201に対する移動量も合わせて移動する。これにより、レンズ鏡筒200は、第五レンズ群250を大きく移動させることができ、倍率の変化率を大きくできる。
【0072】
また、後側移動枠209は、固定筒201の直進溝404に直進突起部269を係合させて回転を規制されている。よって、カム筒290が回転しつつ並進した場合、後側移動枠209は、カム筒290の内面に形成されたカム溝294のプロファイルに従ってカムピン264を駆動されて光軸X方向に並進する。
【0073】
また、先側移動枠207は、内面に形成されたカム溝256において、カム筒290のカムピン296に係合する。これにより、カム筒290が回転し且つ並進した場合に、先側移動枠207は、カム筒290の並進と、カム溝256のプロファイルによる駆動とを合わせた駆動量で駆動される。
【0074】
更に、上記の通り、カム筒290自体も光軸X方向に並進するので、後側移動枠209は、カム筒290に対する後側移動枠209の移動量に加えて、カム筒290の固定筒201に対する移動量も合わせて移動する。これにより、レンズ鏡筒200においては、第六レンズ群260が大きく移動する。
【0075】
以上、交換可能なレンズ鏡筒200を備えた一眼レフカメラ100を例にあげて説明したが、クイックリターンミラーを備えていないノンフレックスカメラであっても上記の構造を適用できる。また、レンズ鏡筒200とカメラボディ300とが一体に形成されたカメラの他、カム機構により駆動する光学部材を備えた望遠鏡、測量器、顕微鏡等においても上記の構造を適用できる。
【0076】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。