特許第6031944号(P6031944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6031944抗イムノコンプレックス抗体、それを産生するハイブリドーマ、及びそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031944
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】抗イムノコンプレックス抗体、それを産生するハイブリドーマ、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/12 20060101AFI20161114BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20161114BHJP
   C07K 16/44 20060101ALN20161114BHJP
【FI】
   C12N5/12
   C12P21/08
   !C07K16/44
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-239164(P2012-239164)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-87290(P2014-87290A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武藤 悠
【審査官】 宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−174460(JP,A)
【文献】 特開昭63−112599(JP,A)
【文献】 金光 修,抗体工学入門,株式会社 地人書館,1994年,初版,p.112 4.8.1
【文献】 ULLMAN EF et al.,Proc. Natl. Sci. USA,90(1993),p.1184-1189
【文献】 TOWBIN H. et al.,Journal of Immunological Methods,181(1995),p.167-176
【文献】 SELF CH et al.,CLIN. CHEM.,40/11(1994),p.2035-2041
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/12−5/28
C12P 21/08
C07K 16/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物種A由来の抗ハプテン抗体とハプテンとの複合体を、動物種Aとは異なる動物種B(但し、ヒトを除く)に免疫し、得られた抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることによりハイブリドーマを作製し、抗イムノコンプレックス抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングし、かつスクリーニング時に、動物種A由来の血清、又は動物種A由来の抗体であって当該抗ハプテン抗体以外のものを共存させることを特徴とする、抗イムノコンプレックス抗体産生ハイブリドーマの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、動物種Aがウサギであり、動物種Bがマウスである方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、ハプテンがステロイドホルモンである方法。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の方法において、抗ハプテン抗体の解離定数が1×10−10(M)以下である方法。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の方法により抗イムノコンプレックス抗体産生ハイブリドーマを製造し、次いで当該ハイブリドーマを培養し、その培養上清から抗イムノコンプレックス抗体を回収することを特徴とする、抗イムノコンプレックス抗体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ハプテン抗体とハプテンとの免疫複合体を認識する抗イムノコンプレックス抗体、抗イムノコンプレックス抗体を産生するハイブリドーマ、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低分子化合物であるハプテンは、通常、競合法とよばれる免疫測定方法によって測定される。競合法は、試料中に含まれるハプテンと、放射性同位元素や酵素などで標識した標識ハプテンとを、一定量の抗ハプテン抗体に対して競合的に反応させる方法である。試料中に含まれるハプテン量が多くなると、標識ハプテンが抗ハプテン抗体へ結合する量が低下する。このことから、標識ハプテンが抗ハプテン抗体へ結合する割合を基にして、試料中に含まれるハプテン量を推定することができる。競合法における測定感度は、用いられる抗ハプテン抗体の親和定数に依存する。親和定数の高い抗ハプテン抗体を得ることは困難であり、そのため、ごく微量のハプテンを測定することは極めて困難であった(非特許文献1)。
【0003】
このような競合法による免疫測定の課題を解決し得る測定方法として、抗イムノコンプレックス抗体を用いた非競合型の免疫測定法が提案されている。抗イムノコンプレックス抗体を用いたハプテン測定系は、例えば以下に示す方法で行なわれ、試料中に含まれるハプテンを競合法によらず測定することができる。
(1)プレート等に固定化した抗ハプテンモノクローナル抗体にハプテンを含む試料を添加し、当該ハプテンを抗ハプテン抗体に捕捉させる。
(2)酵素などで標識した抗イムノコンプレックス抗体を添加する。抗イムノコンプレックス抗体は、ハプテンと抗ハプテン抗体からなる免疫複合体に選択的に結合する。そのため、試料中に含まれるハプテン量の増加に伴って、シグナルの増加が観測される。
【0004】
抗イムノコンプレックス抗体を用いた非競合型の免疫測定法の具体例としては、マウス由来の2種の抗体(抗ハプテンモノクローナル抗体、抗イムノコンプレック抗体)を用いた、テロラヒドロカンアビノールの測定系(特許文献1)や、プロゲステロンの測定系(特許文献2)があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2793587号公報
【特許文献2】特公平6−102037号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ぶんせき、551−552;2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の抗イムノコンプレックス抗体を用いた非競合型の免疫測定法では、2種類の抗体(抗ハプテンモノクローナル抗体、抗イムノコンプレックス抗体)のいずれもマウス由来の抗体を使用している。この方法では、マウス由来の抗イムノコンプレックス抗体を取得する際、マウスに対してマウス由来の抗ハプテンモノクローナル抗体を免疫する必要がある。しかしながら、同じマウス由来のタンパク質を免疫することになるため異物として認識されにくく、抗体価が上昇しづらい問題があった。そのため、前記抗ハプテンモノクローナル抗体をキャリアタンパク質と結合させることで抗原性を与えた上でマウスに対し免疫する必要があった。
【0008】
本発明の目的は、キャリアタンパク質との結合などの特殊な技術を用いずに、簡便に抗イムノコンプレックス抗体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑みてなされた本発明は、以下の態様を包含する。
(1)動物種A由来の抗ハプテン抗体とハプテンとの複合体を、動物種Aとは異なる動物種Bに免疫し、得られた抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることによりハイブリドーマを作製し、抗イムノコンプレックス抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングすることを特徴とする、抗イムノコンプレックス抗体産生ハイブリドーマの製造方法。
(2)上述の(1)に記載の方法において、スクリーニング時に、動物種A由来の血清又は抗体を共存させる方法。
(3)上述の(1)又は(2)に記載の方法において、動物種Aがウサギであり、動物種Bがマウスである方法。
(4)上述の(1)〜(3)のいずれかに記載の方法において、ハプテンがステロイドホルモンである方法。
(5)上述の(1)〜(4)のいずれかに記載の方法において、抗ハプテン抗体の解離定数が1×10−10(M)以下である方法。
(6)上述の(1)〜(5)いずれかに記載の方法により製造されることを特徴とするハイブリドーマ。
(7)上述の(6)に記載のハイブリドーマを培養し、その培養上清から抗イムノコンプレックス抗体を回収することを特徴とする、抗イムノコンプレックス抗体の製造方法。
(8)上述の(7)に記載の方法により製造されることを特徴とする抗イムノコンプレックス抗体。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
(1)ハプテン
本発明におけるハプテンは、通常は競合法により測定されるような分子量の小さい物質であれば特に限定はなく、一例として、トリヨードサイロニン、チロキシン、3,5−ジヨード−L−チロニン等の甲状腺ホルモンや、エストロン、エストラジオール(以下、E2とする)、エストリオール、プロゲステロン(progesterone)、コルチゾール(cortisol)等のステロイドホルモンがあげられる。特に本発明ではステロイドホルモンが好ましく、その中でもE2が更に好ましい。
【0011】
(2)抗イムノコンプレックス抗体
抗イムノコンプレックス抗体は、ハプテンに対する抗体ではなく、ハプテンに対する抗体への抗体でもなく、ハプテンとそれに対する抗体との複合体に対する抗体である。
【0012】
(3)抗ハプテン抗体
本発明において免疫に使用される動物種A由来の抗ハプテン抗体は、ハプテンと強い会合を示すものが好ましい。ハプテン−抗ハプテン抗体間の解離定数は1×10−10(M)以下が好ましく、1×10−11(M)以下がさらに好ましく、1×10−12(M)以下がとりわけ好ましい。動物種Aは特に限定されず、当業者によって使用される免疫動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ヤギなどを用いればよいが、特にウサギが好ましい。
【0013】
(4)免疫
本発明においては、抗ハプテン抗体とハプテンとの複合体を、動物種Bに対して免疫する。免疫に用いられる抗ハプテン抗体の構造は、ハプテンと複合体を形成可能なパラトープ部分を含むものであれば特に限定はなく、インタクトの抗体を免疫してもよいし、Fab化した抗体又はF(ab)’化した抗体を用いてもよい。なお免疫する際、フロイントアジュバンドなどのアジュバンドを併用してもよい。動物種Bは、動物種Aと異なる動物種であれば特に限定されず、当業者によって使用される免疫動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ヤギなどを用いればよい。特に動物種Bはマウスが好ましく、この場合に動物種Aがウサギであることがとりわけ好ましい。
【0014】
(5)抗イムノコンプレックス抗体生産ハイブリドーマの作製
抗イムノコンプレックス抗体を産生するハイブリドーマは、前記(4)で免疫した動物種Bから脾臓細胞等の抗体産生細胞を採取し、それを骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)と融合させることで得ることができる。細胞融合方法に特に限定はなく、通常一般的に行われている方法で融合すればよい。例えばポリエチレングリコール(以下、PEGとする)法、電気融合法、センダイウイルスを用いる方法があげられる。
【0015】
(6)抗イムノコンプレックス抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング
本発明では、動物種Aとは異なる動物種Bに免疫を行うため、前記(5)で得られるハイブリドーマには、目的とする抗イムノコンプレックス抗体を産生するハイブリドーマ以外に、抗ハプテン抗体の定常領域を認識する抗体(目的外の抗体)を生産するハイブリドーマも数多く存在する。このような抗ハプテン抗体の定常領域を認識する抗体は、抗イムノコンプレックス抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングを行う際に、バックグラウンドを上昇させる要因となる。そこでスクリーニングを行う際に、動物種A由来の血清または抗体を系中に共存させると、抗ハプテン抗体の定常領域を認識する抗体は、共存させた動物種A由来の血清又は抗体と反応し、バックグラウンドを低減させることができるので好ましい。これにより、抗イムノコンプレックス抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングが容易に行えるようになる。動物種A由来の血清または抗体の共存量としては、抗体を用いる場合は5μg/mL以上50μg/mL以下が好ましく、血清を用いる場合は反応液量に対し5%以上10%以下が好ましい。
【0016】
(7)抗体性能の評価
得られた抗イムノコンプレックス抗体産生ハイブリドーマを培養し、その培養上清から抗イムノコンプレックス抗体を回収することにより、抗イムノコンプレックス抗体を得ることができる。抗体の回収方法に特に限定はなく、当業者が用いる方法を適宜採用することができる。また得られた抗イムノコンプレックス抗体の評価は、当業者が通常用いる、ELISA(Enzyme Linked Immunosorbent Assay)法やRIA(Radioimmunoassay)法などで行えばよい。
【発明の効果】
【0017】
従来法による抗イムノコンプレックス抗体の取得方法では、キャリアタンパク質との結合などにより免疫源の抗原性を高める必要があった。しかしながら本発明では、動物種Aとは異なる動物種Bに免疫することにより、免疫源の抗原性を高めることができ、容易に抗イムノコンプレックス抗体を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例2で、5匹のマウスから得た抗血清のE2への反応性をELISAで評価した結果を示す図である。
図2】実施例4で、抗体産生細胞培養上清中に含まれる抗体の反応性をELISAで評価した結果を示す図である。
図3】実施例5で、単離した抗体の、抗E2ウサギモノクローナル抗体−E2複合体に対する反応性を示す図である。
図4】実施例5で、単離した抗体の、抗E2ウサギモノクローナル抗体−E2複合体に対する反応性を示す図である。
【実施例】
【0019】
以下、ハプテンとしてE2を用いた場合の実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、用いた抗E2ウサギモノクローナル抗体は、特開2009−240300号公報に記載の方法で得たもの(解離定数KD=2.1×10−14(M))である。
【0020】
実施例1 動物への免疫
免疫動物としては、マウス5週齢メス5匹(マウスNo.1からNo.5)を使用した。抗原溶液とアジュバンドとを等量混合したエマルジョンを作製し、それをマウスに対して1週間間隔で4回免疫した。なお抗原溶液は抗E2ウサギモノクローナル抗体をF(ab’)化したものと、E2とを、モル比で1:540にPBS溶液中で混合し、室温で一時間反応させたものを用いた。マウス1匹あたりの免疫量は抗体量として50μgを免疫した。またアジュバントは、初回の免疫ではフロイント完全アジュバントを、二回目以降の免疫ではフロイント不完全アジュバントをそれぞれ用いた。
【0021】
実施例2 抗体価の確認
以下に示すELISAで抗体価の上昇を確認した。
(1)インタクトの抗E2ウサギモノクローナル抗体(1μg/mL)をELISAプレートに固定化後、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2)E2の希釈系列(50ng/mLから2倍ずつ希釈)を作製し、固定化した抗E2ウサギモノクローナル抗体に反応させた。
(3)B/F(Bound/Free)分離後、実施例1で免疫したマウスから採血した抗血清を、5%のウサギ血清を含んだ0.1%スキムミルク溶液で1000倍に希釈後、プレートに添加して、プレート上に固定した抗体とE2との複合体へ反応させた。
(4)B/F分離後、アルカリホスファターゼ(以下、ALPとする)標識抗体であるαMouse IgG−ALP(Millipore社製)をプレートに添加して、プレート上のマウス抗体と反応させた。
(5)未反応のALP標識抗体をB/F分離後、ALPの基質である4−メチルウンベリフェリン酸(4−MUP)をプレートに分注し、蛍光強度を測定することで検出した。
【0022】
結果を図1に示す。横軸にE2濃度、縦軸に蛍光強度(Intensity)をプロットし、抗血清の抗体価を評価した。マウスNo.1から得た抗血清において、E2濃度の上昇に伴い、蛍光強度がわずかに上昇した。このことから、マウスNo.1の抗血清には、抗E2抗体とE2との複合体を認識する抗体(抗イムノコンプレックス抗体)が含まれることが示唆された。
【0023】
実施例3 抗体産生ハイブリドーマの作製
実施例2で選択したマウスから、以下に示す方法で抗体産生細胞を作製した。
(1)抗体価の上昇したマウスNo.1の脾臓を摘出し、定法に従い脾臓細胞を調製した。調製した脾臓細胞をPEG法に従いマウスミエローマ細胞(SP2/0)と融合させ、ハイブリドーマを作製した。
(2)融合後のハイブリドーマ浮遊液を10%FCS(Fetal calf serum)と1×HAT(siguma製)を含むE−RDF培地(極東製薬製)に懸濁後、マイクロタイタープレートにまいて10日間培養し、培養上清を取得した。
【0024】
実施例4 抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング
実施例3で得られた抗体産生ハイブリドーマを、以下に示す2つのELISAによりスクリーニングした。
(1)抗E2モノクローナル抗体に対する反応性(E2−)
(1−1)抗E2ウサギモノクローナル抗体(1μg/mL)をELISAプレートに固定化後、1%スキムミルクでブロッキングした。
(1−2)5%ウサギ血清を含むPBS溶液中で実施例3(2)の培養上清をプレート上で反応させた。
(1−3)反応後、ALP標識抗体であるαMouse IgG−ALP(Millipore社製)をプレート上で反応させ、B/F分離を行った後、基質である4−MUPを分注し、蛍光強度を測定することで検出した。
【0025】
(2)抗E2ウサギモノクローナル抗体とE2との複合体に対する反応性(E2+)
(2−1)抗E2ウサギモノクローナル抗体(1μg/mL)をELISAプレートに固定化後、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2−2)E2(50ng/mL)のPBS溶液をプレートに固定化した抗体と反応させた。
(2−3)B/F分離後、5%ウサギ血清を含むPBS溶液中で実施例3(2)の培養上清をプレート上で反応させた。
(2−4)反応後、ALP標識抗体であるαMouse IgG−ALP(Millipore社製)をプレート上で反応させ、B/F分離を行った後、基質である4−MUPを分注し、蛍光強度を測定することで検出した。
【0026】
(1)および(2)の測定データを並べてグラフにした(図2)。横軸は培養上清のNo.、縦軸は蛍光強度(Intensity)を示す。評価をおこなった培養上清の中で、抗E2モノクローナル抗体に対する反応性(E2−)対して、抗E2モノクローナル抗体とE2との複合体に対する反応性(E2+)が大きかった上位20個の培養上清の結果を図2に示す。その中からE2−とE2+の差が最も大きかったNo.20を選択し、そのハイブリドーマを限界希釈法により単クローン化し、モノクローナル抗体720−20を単離した。
【0027】
実施例5 モノクローナル抗体の評価
実施例4で単離したモノクローナル抗体720−20の特性を以下の方法で評価した。
(1)抗E2抗体とE2との複合体への反応性−1
実施例2に示したELISAと同様の反応系を用いて、単離したモノクローナル抗体の評価を行った。なおE2希釈系列は50ng/mLから開始した。結果を図3に示す。横軸にはE2濃度を示し、縦軸には蛍光強度(Intensity)を示す。モノクローナル抗体720−20は、E2濃度の上昇に伴い、蛍光強度が大幅に増大することが示された。
【0028】
(2)抗E2抗体とE2との複合体への反応性−2
以下に示すELISAにより、モノクローナル抗体720−20の評価を行った。
(2−1)αMouse−IgGFc(1μg/mL)(MP Biomedicals社製)をELISAプレートに固定化後、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2−2)5%のウサギ血清を含むPBS溶液中で、モノクローナル抗体720−20(1μg/mL)をプレート上で反応させた。
(2−3)あらかじめE2(50ng/mLから希釈系列を作製したもの)と混合したALP標識抗E2ウサギモノクローナル抗体をプレートに添加し、反応させ、B/F分離を行った後、基質である4−MUPを分注し、蛍光強度を測定することで検出した。結果を図4に示す。横軸にはE2濃度を示し、縦軸には蛍光強度(Intensity)を示す。モノクローナル抗体720−20は、この測定系においても、E2濃度の上昇に伴い蛍光強度が増大することが示された。
【0029】
以上の(1)および(2)の結果から、モノクローナル抗体720−20は、ウサギモノクローナル抗体とE2との複合体を特異的に認識する抗イムノコンプレックス抗体であることが示された。
図1
図2
図3
図4