(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032015
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】マグネシウム精錬装置およびマグネシウム精錬方法
(51)【国際特許分類】
C22B 26/22 20060101AFI20161114BHJP
F24J 2/02 20060101ALI20161114BHJP
F24J 2/06 20060101ALI20161114BHJP
C22B 5/16 20060101ALI20161114BHJP
C22B 9/02 20060101ALI20161114BHJP
F27B 5/14 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
C22B26/22
F24J2/02
F24J2/06
C22B5/16
C22B9/02
F27B5/14
【請求項の数】37
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-2068(P2013-2068)
(22)【出願日】2013年1月9日
(65)【公開番号】特開2014-133918(P2014-133918A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100078189
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆男
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 達雄
(72)【発明者】
【氏名】川辺 憲一
(72)【発明者】
【氏名】明田 文孝
【審査官】
酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−050450(JP,A)
【文献】
特開2010−249345(JP,A)
【文献】
特開2014−084501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 26/22
C22B 5/16
C22B 9/02
F24J 2/02
F24J 2/06
F27B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム化合物を含む試料を収容する収容容器と、
太陽光を集光して前記収容容器に照射して、前記収容容器の内部が所定温度となるように加熱する集光装置と、を備え、
前記収容容器は、前記集光装置により前記所定温度に加熱されることにより、熱還元反応により前記試料からマグネシウム蒸気を発生させる反応部と、前記マグネシウム蒸気を凝結させるコンデンサー部とを有し、
前記収容容器の筐体表面には、前記集光装置により集光された太陽光を透過させる太陽光透過部材が設けられ、
前記反応部は、前記収容容器の内部に保持され、前記反応部の内部に前記試料が搬入され、
前記収容容器は、熱還元反応により発生した前記マグネシウム蒸気が前記太陽光透過部材に付着することを防止するためのシールド部を内部に有し、
前記シールド部の表面には、前記集光装置により集光され、前記太陽光透過部材を透過した太陽光を通過させる通過領域が設けられ、
前記反応部は、前記シールド部の内部に保持されるマグネシウム精錬装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記シールド部は、透明材料によって構成された筐体の内面または外面のうち前記通過領域を除いて反射材料をコーティングして構成されるマグネシウム精錬装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記シールド部の前記通過領域には所定波長の光を透過させる膜を設けるマグネシウム精錬装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記反応部と前記コンデンサー部とは一体に形成されて前記収容容器の内部に保持され、
前記収容容器の長手方向の一方の端部は他方の端部より低い高度となるように保持され、
前記コンデンサー部の内部には、前記マグネシウム蒸気から凝結した液体マグネシウムが前記収容容器の前記一方の端部の方向へ、前記長手方向に沿って流れるように案内する案内部材が設けられるマグネシウム精錬装置。
【請求項5】
請求項4に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記収容容器の前記一方の端部の下方に設けられ、前記コンデンサー部で凝結した前記液体マグネシウムを液体の状態で回収する回収部をさらに備え、
前記回収部は、前記コンデンサー部から重力の作用によって滴下した前記液体マグネシウムを回収するマグネシウム精錬装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記収容容器に前記試料を搬入する搬入口と、
前記収容容器から前記試料を搬出する搬出口と、
前記収容容器の内部に設けられ、前記搬入口から前記搬出口までを結ぶ搬送路に沿って、前記試料を搬送する搬送手段と、をさらに備え、
前記搬送路の少なくとも一部は、前記反応部の内部を通過して前記試料を熱還元反応させるための反応用搬送路により構成されるマグネシウム精錬装置。
【請求項7】
請求項6に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記搬送路は、
前記搬入口から第1搬送方向へ前記試料が搬送される第1部分搬送路と、
前記第1搬送方向と逆方向の第2搬送方向へ前記試料が搬送される第2部分搬送路と、
前記第1部分搬送路と、前記第2部分搬送路とを連結し、前記第1部分搬送路で搬送された前記試料を前記第2部分搬送路へ搬送させるため第1屈曲搬送路と、
前記第2部分搬送路と、前記第1部分搬送路とを連結し、前記第2部分搬送路で搬送された前記試料を前記第1部分搬送路へ搬送させるための第2屈曲搬送路とを有し、
前記第2部分搬送路の一部は、前記反応用搬送路により構成されるマグネシウム精錬装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料は円柱状であって、前記試料の中心軸は前記試料の搬送方向と一致し、
前記搬送手段は、少なくとも前記反応部においては前記試料を前記円柱の軸回りに回転させながら搬送するマグネシウム精錬装置。
【請求項9】
請求項6または7に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料は角柱状であって、
前記搬送手段は、少なくとも前記反応部においては前記試料を所定の平面上で二次元移動させるマグネシウム精錬装置。
【請求項10】
請求項6乃至9の何れか一項に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料が使用可能か否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記搬送手段は、前記判定手段により前記試料が使用可能ではないと判定されると、前記試料を前記搬出口を介して前記収容容器から搬出するマグネシウム精錬装置。
【請求項11】
請求項10に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記判定手段は、前記試料が前記反応用搬送路を通過した回数が所定回数を超えた場合には、前記試料は使用可能ではないと判定するマグネシウム精錬装置。
【請求項12】
マグネシウム化合物を含む試料を収容する収容容器と、
太陽光を集光して前記収容容器に照射して、前記収容容器の内部が所定温度となるように加熱する集光装置と、を備え、
前記収容容器は、前記集光装置により前記所定温度に加熱されることにより、熱還元反応により前記試料からマグネシウム蒸気を発生させる反応部と、前記マグネシウム蒸気を凝結させるコンデンサー部とを有し、
前記収容容器の筐体表面には、前記集光装置により集光された太陽光を透過させる太陽光透過部材が設けられ、
前記反応部は、前記収容容器の内部に保持され、前記反応部の内部に前記試料が搬入され、
前記反応部と前記コンデンサー部とは一体に形成されて前記収容容器の内部に保持され、
前記収容容器の長手方向の一方の端部は他方の端部より低い高度となるように保持され、
前記コンデンサー部の内部には、前記マグネシウム蒸気から凝結した液体マグネシウムが前記収容容器の前記一方の端部の方向へ、前記長手方向に沿って流れるように案内する案内部材が設けられるマグネシウム精錬装置。
【請求項13】
請求項12に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記収容容器の前記一方の端部の下方に設けられ、前記コンデンサー部で凝結した前記液体マグネシウムを液体の状態で回収する回収部をさらに備え、
前記回収部は、前記コンデンサー部から重力の作用によって滴下した前記液体マグネシウムを回収するマグネシウム精錬装置。
【請求項14】
請求項12または13の何れか一項に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記収容容器に前記試料を搬入する搬入口と、
前記収容容器から前記試料を搬出する搬出口と、
前記収容容器の内部に設けられ、前記搬入口から前記搬出口までを結ぶ搬送路に沿って、前記試料を搬送する搬送手段と、をさらに備え、
前記搬送路の少なくとも一部は、前記反応部の内部を通過して前記試料を熱還元反応させるための反応用搬送路により構成されるマグネシウム精錬装置。
【請求項15】
請求項14に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記搬送路は、
前記搬入口から第1搬送方向へ前記試料が搬送される第1部分搬送路と、
前記第1搬送方向と逆方向の第2搬送方向へ前記試料が搬送される第2部分搬送路と、
前記第1部分搬送路と、前記第2部分搬送路とを連結し、前記第1部分搬送路で搬送された前記試料を前記第2部分搬送路へ搬送させるため第1屈曲搬送路と、
前記第2部分搬送路と、前記第1部分搬送路とを連結し、前記第2部分搬送路で搬送された前記試料を前記第1部分搬送路へ搬送させるための第2屈曲搬送路とを有し、
前記第2部分搬送路の一部は、前記反応用搬送路により構成されるマグネシウム精錬装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料は円柱状であって、前記試料の中心軸は前記試料の搬送方向と一致し、
前記搬送手段は、少なくとも前記反応部においては前記試料を前記円柱の軸回りに回転させながら搬送するマグネシウム精錬装置。
【請求項17】
請求項14または15に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料は角柱状であって、
前記搬送手段は、少なくとも前記反応部においては前記試料を所定の平面上で二次元移動させるマグネシウム精錬装置。
【請求項18】
請求項14乃至17の何れか一項に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料が使用可能か否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記搬送手段は、前記判定手段により前記試料が使用可能ではないと判定されると、前記試料を前記搬出口を介して前記収容容器から搬出するマグネシウム精錬装置。
【請求項19】
請求項18に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記判定手段は、前記試料が前記反応用搬送路を通過した回数が所定回数を超えた場合には、前記試料は使用可能ではないと判定するマグネシウム精錬装置。
【請求項20】
マグネシウム化合物を含む試料を収容する収容容器と、
太陽光を集光して前記収容容器に照射して、前記収容容器の内部が所定温度となるように加熱する集光装置と、を備え、
前記収容容器は、前記集光装置により前記所定温度に加熱されることにより、熱還元反応により前記試料からマグネシウム蒸気を発生させる反応部と、前記マグネシウム蒸気を凝結させるコンデンサー部とを有し、
前記収容容器の筐体表面には、前記集光装置により集光された太陽光を透過させる太陽光透過部材が設けられ、
前記反応部は、前記収容容器の内部に保持され、前記反応部の内部に前記試料が搬入され、
前記収容容器に前記試料を搬入する搬入口と、
前記収容容器から前記試料を搬出する搬出口と、
前記収容容器の内部に設けられ、前記搬入口から前記搬出口までを結ぶ搬送路に沿って、前記試料を搬送する搬送手段と、をさらに備え、
前記搬送路の少なくとも一部は、前記反応部の内部を通過して前記試料を熱還元反応させるための反応用搬送路により構成されるマグネシウム精錬装置。
【請求項21】
請求項20に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記搬送路は、
前記搬入口から第1搬送方向へ前記試料が搬送される第1部分搬送路と、
前記第1搬送方向と逆方向の第2搬送方向へ前記試料が搬送される第2部分搬送路と、
前記第1部分搬送路と、前記第2部分搬送路とを連結し、前記第1部分搬送路で搬送された前記試料を前記第2部分搬送路へ搬送させるため第1屈曲搬送路と、
前記第2部分搬送路と、前記第1部分搬送路とを連結し、前記第2部分搬送路で搬送された前記試料を前記第1部分搬送路へ搬送させるための第2屈曲搬送路とを有し、
前記第2部分搬送路の一部は、前記反応用搬送路により構成されるマグネシウム精錬装置。
【請求項22】
請求項20または21に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料は円柱状であって、前記試料の中心軸は前記試料の搬送方向と一致し、
前記搬送手段は、少なくとも前記反応部においては前記試料を前記円柱の軸回りに回転させながら搬送するマグネシウム精錬装置。
【請求項23】
請求項20または21に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料は角柱状であって、
前記搬送手段は、少なくとも前記反応部においては前記試料を所定の平面上で二次元移動させるマグネシウム精錬装置。
【請求項24】
請求項20乃至23の何れか一項に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記試料が使用可能か否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記搬送手段は、前記判定手段により前記試料が使用可能ではないと判定されると、前記試料を前記搬出口を介して前記収容容器から搬出するマグネシウム精錬装置。
【請求項25】
請求項24に記載のマグネシウム精錬装置において、
前記判定手段は、前記試料が前記反応用搬送路を通過した回数が所定回数を超えた場合には、前記試料は使用可能ではないと判定するマグネシウム精錬装置。
【請求項26】
マグネシウム化合物を含む試料を収容容器に収容し、
太陽光を集光して前記収容容器に照射して、前記収容容器の内部が所定温度となるように加熱し、
前記収容容器が備える反応部の内部で、熱還元反応により前記試料からマグネシウム蒸気を発生させ、
前記収容容器が備えるコンデンサー部の内部で、前記マグネシウム蒸気を凝結させ、
前記反応部と前記コンデンサー部とを一体に形成して前記収容容器の内部に保持し、
前記収容容器の長手方向の一方の端部が他方の端部より低い高度となるように保持し、
前記コンデンサー部の内部において、前記マグネシウム蒸気から凝結した液体マグネシウムが前記収容容器の一方の端部の方向へ、前記長手方向に沿って流れるように案内するマグネシウム精錬方法。
【請求項27】
請求項26に記載のマグネシウム精錬方法において、
前記収容容器の前記一方の端部において、重力の作用によって前記コンデンサー部から滴下した前記液体マグネシウムを回収するマグネシウム精錬方法。
【請求項28】
請求項26または27に記載のマグネシウム精錬方法において、
前記収容容器に前記試料を搬入する搬入口と、前記収容容器から前記試料を搬出する搬出口とを結び、少なくとも一部が前記反応部の内部を通過する搬送路に沿って、前記試料を搬送するマグネシウム精錬方法。
【請求項29】
請求項28に記載のマグネシウム精錬方法において、
円柱状であって、中心軸が搬送方向と一致する前記試料を、少なくとも前記反応部においては、前記円柱の軸回りに回転させながら搬送するマグネシウム精錬方法。
【請求項30】
請求項28に記載のマグネシウム精錬方法において、
角柱状の前記試料を、少なくとも前記反応部においては、所定の平面上で二次元移動させるマグネシウム精錬方法。
【請求項31】
請求項28乃至30の何れか一項に記載のマグネシウム精錬方法において、
前記試料が使用可能か否かを判定し、
前記試料が使用可能ではないと判定されると、前記試料を前記搬出口を介して前記収容容器から搬出するマグネシウム精錬方法。
【請求項32】
請求項31に記載のマグネシウム精錬方法において、
前記試料が前記反応部を通過した回数が所定回数を超えた場合に、前記試料は使用可能ではないと判定するマグネシウム精錬方法。
【請求項33】
マグネシウム化合物を含む試料を収容容器に収容し、
太陽光を集光して前記収容容器に照射して、前記収容容器の内部が所定温度となるように加熱し、
前記収容容器が備える反応部の内部で、熱還元反応により前記試料からマグネシウム蒸気を発生させ、
前記収容容器が備えるコンデンサー部の内部で、前記マグネシウム蒸気を凝結させ、
前記収容容器に前記試料を搬入する搬入口と、前記収容容器から前記試料を搬出する搬出口とを結び、少なくとも一部が前記反応部の内部を通過する搬送路に沿って、前記試料を搬送するマグネシウム精錬方法。
【請求項34】
請求項33に記載のマグネシウム精錬方法において、
円柱状であって、中心軸が搬送方向と一致する前記試料を、少なくとも前記反応部においては、前記円柱の軸回りに回転させながら搬送するマグネシウム精錬方法。
【請求項35】
請求項33に記載のマグネシウム精錬方法において、
角柱状の前記試料を、少なくとも前記反応部においては、所定の平面上で二次元移動させるマグネシウム精錬方法。
【請求項36】
請求項33乃至35の何れか一項に記載のマグネシウム精錬方法において、
前記試料が使用可能か否かを判定し、
前記試料が使用可能ではないと判定されると、前記試料を前記搬出口を介して前記収容容器から搬出するマグネシウム精錬方法。
【請求項37】
請求項36に記載のマグネシウム精錬方法において、
前記試料が前記反応部を通過した回数が所定回数を超えた場合に、前記試料は使用可能ではないと判定するマグネシウム精錬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム精錬装置およびマグネシウム精錬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自然エネルギーである太陽光のエネルギーを用いて、金属酸化物を還元させる技術が知られている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−535308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、太陽光のエネルギーを用いてマグネシウムを加熱によって精錬する場合、加熱温度を一定に保持する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のマグネシウム精錬装置は、マグネシウム化合物を含む試料を収容する収容容器と、太陽光を集光して収容容器に照射して、収容容器の内部が所定温度となるように加熱する集光装置と、を備え、収容容器は、集光装置により所定温度に加熱されることにより、熱還元反応により試料からマグネシウム蒸気を発生させる反応部と、マグネシウム蒸気を凝結させるコンデンサー部とを有し、収容容器の筐体表面には、集光装置により集光された太陽光を透過させる太陽光透過部材が設けられ、反応部は、収容容器の内部に保持され、反応部の内部に試料が搬入され
、収容容器は、熱還元反応により発生したマグネシウム蒸気が太陽光透過部材に付着することを防止するためのシールド部を内部に有し、シールド部の表面には、集光装置により集光され、太陽光透過部材を透過した太陽光を通過させる通過領域が設けられ、反応部は、シールド部の内部に保持される。
請求項12に記載のマグネシウム精錬装置は、マグネシウム化合物を含む試料を収容する収容容器と、太陽光を集光して前記収容容器に照射して、前記収容容器の内部が所定温度となるように加熱する集光装置と、を備え、収容容器は、集光装置により所定温度に加熱されることにより、熱還元反応により試料からマグネシウム蒸気を発生させる反応部と、マグネシウム蒸気を凝結させるコンデンサー部とを有し、収容容器の筐体表面には、集光装置により集光された太陽光を透過させる太陽光透過部材が設けられ、反応部は、収容容器の内部に保持され、反応部の内部に前記試料が搬入され、反応部とコンデンサー部とは一体に形成されて収容容器の内部に保持され、収容容器の長手方向の一方の端部は他方の端部より低い高度となるように保持され、コンデンサー部の内部には、マグネシウム蒸気から凝結した液体マグネシウムが収容容器の一方の端部の方向へ、長手方向に沿って流れるように案内する案内部材が設けられる。
請求項20に記載のマグネシウム精錬装置は、マグネシウム化合物を含む試料を収容する収容容器と、太陽光を集光して収容容器に照射して、収容容器の内部が所定温度となるように加熱する集光装置と、を備え、収容容器は、集光装置により所定温度に加熱されることにより、熱還元反応により試料からマグネシウム蒸気を発生させる反応部と、マグネシウム蒸気を凝結させるコンデンサー部とを有し、収容容器の筐体表面には、集光装置により集光された太陽光を透過させる太陽光透過部材が設けられ、反応部は、収容容器の内部に保持され、反応部の内部に試料が搬入され、収容容器に試料を搬入する搬入口と、収容容器から試料を搬出する搬出口と、収容容器の内部に設けられ、搬入口から搬出口までを結ぶ搬送路に沿って、試料を搬送する搬送手段と、をさらに備え、搬送路の少なくとも一部は、反応部の内部を通過して試料を熱還元反応させるための反応用搬送路により構成される。
請求項
26に記載のマグネシウム精錬方法は、マグネシウム化合物を含む試料を収容容器に収容し、太陽光を集光して収容容器に照射して、収容容器の内部が所定温度となるように加熱し、収容容器が備える反応部の内部で、熱還元反応により試料からマグネシウム蒸気を発生させ、収容容器が備えるコンデンサー部の内部で、マグネシウム蒸気を凝結させ
、反応部と前記コンデンサー部とを一体に形成して収容容器の内部に保持し、収容容器の長手方向の一方の端部が他方の端部より低い高度となるように保持し、コンデンサー部の内部において、マグネシウム蒸気から凝結した液体マグネシウムが収容容器の一方の端部の方向へ、長手方向に沿って流れるように案内する。
請求項33に記載のマグネシウム精錬方法は、マグネシウム化合物を含む試料を収容容器に収容し、太陽光を集光して収容容器に照射して、収容容器の内部が所定温度となるように加熱し、収容容器が備える反応部の内部で、熱還元反応により試料からマグネシウム蒸気を発生させ、収容容器が備えるコンデンサー部の内部で、マグネシウム蒸気を凝結させ、収容容器に試料を搬入する搬入口と、収容容器から試料を搬出する搬出口とを結び、少なくとも一部が反応部の内部を通過する搬送路に沿って、試料を搬送する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、集光装置により太陽光を集光させて収容容器を照射することにより、収容容器内の試料を熱還元反応に必要な所定温度にて加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるマグネシウム精錬装置の一例を示す構成図
【
図2】第1の実施の形態によるレトルトの構成を模式的に示す図
【
図3】マグネシウム合金の発火温度に対するカルシウムの添加量の影響を示す図
【
図4】難燃性マグネシウム合金を生成する系と、リサイクルの系とを示すシステム系統図
【
図5】第2の実施の形態によるマグネシウム精錬装置の一例を示す構成図
【
図6】第2の実施の形態のレトルト内部の一例を示す構成図
【
図7】第2の実施の形態のレトルト内部の一例を示す構成図
【
図8】コンデンサシールドに設けられた開口の大きさを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来からマグネシウムの精錬方法の一例としてピジョン法が知られている。ピジョン法では、ドロマイト鉱石(CaMg(CO
3)
2)を焼成し酸化物としたものとフェロシリコンとを混合してブリケットを生成する。生成したブリケットを反応炉(レトルト)内に収容し、真空下にて1200℃程度の高温で約8時間一定に加熱することによる熱還元反応によりマグネシウムの蒸気が発生する。このマグネシウムの蒸気を凝集させてマグネシウムを結晶として取り出している。純度の高いマグネシウムは燃焼しやすく、搬送に危険を伴うことから、別の元素を加えてマグネシウム合金として難燃化することがなされている。すなわち、マグネシウム合金を生成するために、必要な物質を添加し、再度加熱を行うことにより、所望の合金を得ている。
【0009】
上記のピジョン法による熱還元工程で難燃化されたマグネシウム合金を得ようとすると、1200℃よりも更に高温の1400℃程度の温度まで上昇させる必要がある。その結果、二酸化炭素が更に多量に発生し環境への更なる悪影響が及ぶことと、1400℃の高温加熱によりガス炉やレトルトの寿命は短くなり、マグネシウムを生成するための製造コストも上昇することとにより、実現が不可能である。また、後工程にてマグネシウム合金を生成する際にも、装置に多大な負担をかけるとともに、二酸化炭素の発生を伴うことになる。
【0010】
−第1の実施の形態−
本発明の第1の実施の形態は、上記した二酸化炭素の発生を防ぎ、高温かつ長時間の加熱に対して耐久性が高く環境負荷の小さいマグネシウム精錬装置に関するものである。本実施の形態のマグネシウム精錬装置は、太陽炉によって集光させた太陽光のエネルギーを利用して、試料(ブリケット)を所定の温度で加熱して熱還元反応によりマグネシウムを精錬する。その際、熱還元反応により精錬されたマグネシウムには所定量のカルシウムが含まれることにより、難燃性を有するマグネシウムが生成される。この場合、熱還元反応中のマグネシウムの蒸気圧に対して、カルシウムの蒸気圧が所定パーセントとなる温度まで加熱される。すなわち、従来のピジョン法を用いて熱還元反応によるマグネシウム生成温度をより高温とすることで、カルシウムを含有させた難燃性のマグネシウムを得るものである。以下、詳細に説明する。
【0011】
図1は、マグネシウム精錬装置1の構成の一例を示す図である。マグネシウム精錬装置1は、集光部10と、レトルト20と、制御部30とを備えている。本実施の形態の集光部10は、主鏡101と、直達光センサ104と、駆動機構105とを有している。
【0012】
主鏡101は、たとえば凹面鏡や平面鏡を複数枚組み合わせて放物面(パラボラ面)を有するように構成される。主鏡101は、レトルト20内で局所的に、たとえば1400℃程度の高温を得るために、2000倍以上の集光度を有し、レトルト20内の試料が搬入される位置に焦点を結ぶように構成される。その結果、太陽光のエネルギーは、集光部10の主鏡101によりレトルト20内の試料を加熱する。
【0013】
主鏡101は、公知の技術を用いて、太陽の移動に応じて水平方向および/または俯仰方向に駆動して、太陽と対向するように追尾駆動を行う。この場合、制御部30は、時刻や集光部10の設置位置(たとえば緯度、経度情報)に基づいて算出される太陽の位置と、直達光センサ104から入力した太陽からの直達光の日射量に応じた信号(直達日射量信号)とに応じて、主鏡101が太陽と対向するための駆動量を算出する。駆動機構105は、制御部30により算出された駆動量を示す駆動信号を入力して、主鏡101を水平方向および/または俯仰方向に駆動させる。
【0014】
レトルト20は、主鏡101に着脱可能に構成され、内部にブリケットB(試料)を収容する収容容器として機能するとともに、ブリケットBを太陽光のエネルギーで加熱することにより、熱還元反応にてマグネシウムを析出させるための反応炉として機能する。
【0015】
図2に、レトルト20の構造を模式的に示す。レトルト20は、耐熱性の高い材料により形成される中空の筒状部材である。レトルト20は図示しない真空ポンプ等に接続されて、内部を真空に維持することが可能である。後述するように、ブリケットBには少なくともMgOとCaOとが含まれている。
【0016】
レトルト20は、集光された太陽光が照射されてブリケットBから熱還元反応によりマグネシウム蒸気を発生させるための反応部21と、発生したマグネシウム蒸気を回収するコンデンサー22と、コンデンサー22を冷却するための冷却部23と、反応部21からの熱を遮断する遮熱板24とを有し、冷却部23側で主鏡101に装着される。反応部21の内部には、ブリケットBが配置され、集光部10にて集光された太陽光により照射される。太陽光により照射されたブリケットBはマグネシウムの沸点(1107℃)を超える温度(たとえば1400℃程度)まで局所的に加熱される。その結果、ブリケットBが還元反応を行うことによりマグネシウムは蒸気として発生し、図示しない吸引装置により吸引され、コンデンサー22へ至る。なお、カルシウムの沸点は1487℃であるため、少量のカルシウムも蒸気となり、コンデンサー22へ至る。本実施の形態では、一例として、マグネシウムの蒸気圧に対してカルシウムの蒸気圧が1パーセント〜5パーセントとなるようにブリケットBを加熱する温度を設定している。
【0017】
コンデンサー22は、内部の温度が所定温度、たとえばマグネシウムの融点以下の適当な温度で保持されるように、冷却部23により冷却される。本実施の形態では、冷却部23は、一例として海水等を用いた冷却水の作用によりコンデンサー22を冷却する水冷式の冷却装置であるものとする。コンデンサー22が冷却部23により冷却されることによって、反応部21で蒸気となったマグネシウムとカルシウムとが吸引装置により吸引され、コンデンサー22内で凝結し、マグネシウムに数パーセントのカルシウムが混入した合金として析出する。析出したマグネシウム合金をコンデンサー22から取り出すことによって、難燃性を有するマグネシウム合金を得る。
【0018】
ブリケットBの生成方法としては、従来からの技術(たとえばピジョン法)のように採掘されたドロマイトを原料とする方法と、海水を精製して得られたにがり等から得られた水酸化マグネシウムMg(OH)
2や、マグネシウムを電極材とした燃料電池等の使用後の電極材から取り出した水酸化マグネシウムMg(OH)
2を原料とする方法とを採り得る。
【0019】
ドロマイトを原料とする場合には、採掘したドロマイト(CaCO
3・MgCO
3)を粉砕し、加熱することにより以下の(1)の反応式により焼成ドロマイト(CaO・MgO)が生成される。
CaCO
3・MgCO
3→CaO・MgO+2CO
2 …(1)
【0020】
一方、酸化マグネシウム(MgO)の還元剤として機能する、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、炭素(C)の金属およびその酸化物、すなわちフェロシリコン(FeSi
2)を、以下の(2)の反応式により生成する。
Fe
2CO
3+4SiO
2+11C→2FeSi
2+11CO …(2)
上記(1)、(2)のようにして生成された焼成ドロマイトとフェロシリコンとを混合し、所定の大きさ、形状を有するブリケットBを得る。
【0021】
水酸化マグネシウムMg(OH)
2を原料とする場合には、水酸化カルシウムCa(OH)
2を加えて加熱脱水することにより、以下の(3)の反応式により酸化マグネシウム(MgO)を生成する。
Mg(OH)
2+Ca(OH)
2→MgO+CaO+2H
2O …(3)
そして、(2)により生成されたフェロシリコンを、酸化マグネシウム(MgO)と混合して、所定の大きさ、形状を有するブリケットBを得る。
【0022】
上述したマグネシウム精錬装置1を用いることによって、以下に説明する精錬工程を実現して、難燃性マグネシウム合金を生成する。上述した方法により生成されたブリケットBをレトルト20内に収容して、1400℃程度の高温にて加熱すると、以下の(4)の反応式に示す熱還元反応を行う。
2(MgO+CaO)+Si→2Mg+2CaO+SiO
2 …(4)
【0023】
上記の(4)式に示す反応により、マグネシウムが蒸気として発生し、コンデンサー22内に凝結する。このとき、少量のカルシウムも蒸気となり、マグネシウム蒸気に混入するため、少量のカルシウムを含むマグネシウムがコンデンサー22に凝結する。本実施の形態では、マグネシウムの蒸気圧に対してカルシウムの蒸気圧が1パーセント以上となるようにブリケットBを加熱しているので、コンデンサー22に析出する合金にも、マグネシウムに対してカルシウムが1パーセント以上添加される。
【0024】
図3は、マグネシウム合金の発火温度に対するカルシウムの添加量の関係を示す図である。
図3に示すように、カルシウムの添加量が1パーセントを超えると、発火温度を1000K以上とすることができる。これは、純マグネシウムの発火温度が800K以下であることに比べてかなり高い。本実施の形態のマグネシウム精錬装置1により生成されるマグネシウム合金では、上述したようにマグネシウムに対してカルシウムの添加量が1パーセント以上となる。したがって、マグネシウム精錬装置1により生成されたマグネシウム合金は難燃性を示す。これにより、搬送時の安全性を確保できる。
【0025】
図4に、上述のようにして難燃性マグネシウム合金を生成する系と、リサイクルの系とを示す。
図4に示すように、難燃性マグネシウム合金を生成し、燃料材や燃料電池等の電極材等の用途に用いることができる。マグネシウム合金を燃料材として使用すると、MgOが残留する。このMgOに反応式(2)により得られたフェロシリコンを混合してブリケットBを生成し、再びマグネシウム精錬装置1のレトルト20内に搬入する。そして、反応式(4)で示す熱還元反応を行わせることにより、再び難燃性マグネシウム合金を生成することができる。また、燃料電池の電極材として使用するとMg(OH)
2が残留する。このMg(OH)
2に対して反応式(3)に示す反応を行わせることによりMgOを生成させる。そして、同様にしてブリケットBを生成し、レトルト20内に搬入して熱還元反応を行わせることにより、再び難燃性マグネシウム合金を生成することができる。この結果、マグネシウム精錬装置1により、マグネシウムを循環利用することができる。さらに、反応式(4)の熱還元反応の際に生成するSiO
2等のスレッジを、還元剤として再び利用することができる。
【0026】
上述した第1の実施の形態によるマグネシウム精錬装置によれば、次の作用効果が得られる。
(1)マグネシウム精錬装置1は、マグネシウム化合物を含む試料としてブリケットBを収容するレトルト20と、太陽光を集光してレトルト20に照射して、レトルト20の内部が所定温度となるように加熱する集光部10とを備えている。レトルト20は、集光部10により所定温度に加熱されることにより、熱還元反応によりブリケットBからマグネシウム蒸気を発生させる反応部21を有する。したがって、太陽光のエネルギーを用いてマグネシウムを熱還元反応により析出させることができる。その結果、ガス炉等にて化石燃料を燃焼させて長時間の高温加熱による二酸化炭素の発生を伴うことなくなり、環境へ悪影響を及ぼすことがなくなる。
【0027】
特に、集光部10により太陽光を集光するので、レトルト20を1400℃の高温まで加熱することができる。したがって、1400℃程度まで加熱してマグネシウムを熱還元反応させることにより、カルシウムを混入させて、難燃性の高いマグネシウム合金を得ることができる。従来の技術では、析出したマグネシウムを再度加熱することにより、他の物質を添加させた合金を得ていた。これに対して、本実施の形態では、集光部10を用いて太陽光を加熱用のエネルギーとして用いることにより、1回の工程で1400℃の高温での加熱を実現できるので、難燃性マグネシウムの製造工程を簡略化できる。さらに、従来の技術のように、再加熱によって合金を得る必要が無くなるので、二酸化炭素の排出を抑制して、環境へ悪影響を及ぼすことがなくなる。
【0028】
(2)レトルト20は、マグネシウム蒸気を凝結させるコンデンサー22を更に有する。したがって、反応部21で熱還元反応により発生したマグネシウム蒸気から効率良くマグネシウム合金を得ることができるので、生産性の低下を抑制できる。
【0029】
第1の実施の形態によるマグネシウム精錬装置を、次のように変形できる。
(1)集光部10による集光度を変更し、加熱温度を変えることにより、マグネシウム合金を生成するための原料を生成するためにマグネシウム精錬装置1を用いることができる。この場合、上記の反応式(3)に示す焼成によりMgOを生成する工程や、反応式(2)に示すフェロシリコンを加熱により生成する工程に利用することができる。この結果、マグネシウム合金の生成に加えて、原料となるMgOの焼成やフェロシリコンの加熱の際にも化石燃料を燃焼させる必要がなくなるので、マグネシウム合金を生成するシステム全体として二酸化炭素の発生を抑制し環境への悪影響を与えることがなくなる。
【0030】
(2)レトルト20の加熱方法は、主鏡101を有する集光部10を用いるものに限定されない。太陽光を集光してレトルト20を照射して、レトルト20の内部温度が1400℃となるように加熱し、レトルト20内に収容されたマグネシウム化合物を含むブリケットBから熱還元反応によりマグネシウム蒸気を発生させることが可能なあらゆる方法を用いることができる。たとえば、集光部10は複数の平面鏡のそれぞれから反射された反射光を一点に重ね合わせて集光するヘリオスタット方式を用いてもよい。
【0031】
−第2の実施の形態−
本発明の第2の実施の形態による材料処理装置を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、集光路の構造とレトルトの構造と精錬されたマグネシウム合金の回収方法とが、第1の実施の形態と異なる。
【0032】
図5〜8に第2の実施の形態のマグネシウム精錬装置1の構造を模式的に示す。
図6は、
図5に示すレトルト20のA1−A1断面図であり、
図7は、
図5に示すレトルト20のA2−A2断面図である。なお、説明の都合上、
図5〜7に示すように、x軸、y軸、z軸からなる座標軸を設定する。
【0033】
第2の実施の形態による集光部10は、凹面鏡からなる主鏡101と凸面鏡からなる副鏡102とを有するカセグレン光学系により構成され、放物面による主鏡101に加えて、双曲面による凸面鏡からなる副鏡102と、副鏡102を駆動する駆動機構102aとを更に有する。主鏡101の表面あるいは裏面は耐腐食加工したアルミや銀の膜が用いられ、副鏡102の表面あるいは裏面は、たとえばエネルギー吸収の小さい誘電体多層膜ミラーが用いられる。集光部10は、太陽光は主鏡101で反射されて副鏡102へ進み、後述するレトルト20内に搬入されるブリケットBの上面(z軸+側)で副鏡102により集光する。なお、副鏡102は、ブリケットBに効率よく太陽光を集光させ、かつ主鏡101の裏面にレトルト20を配置するために、太陽光がブリケットB上で集光する際の開き角(NA)が小さくなるように設計されているものとする。駆動機構102aは、後述する制御部30からの駆動信号により副鏡102を駆動させて、ブリケットBの表面にて太陽光が集光する集光度を変更する。
【0034】
レトルト20は、制御部30により、長手方向(x軸方向+側)の一方の端部が他方の端部(x軸方向−側)よりも高度が低くなるように、
図5にて破線で示す水平面に対して所定の角度θだけ傾いた状態で、図示しない姿勢制御機構を介して支持される。すなわち、x軸は水平面に対して所定の角度θだけ傾いた方向に設定される。なお、上記の所定の角度θは、後述するように還元反応により液体となったマグネシウムがマグネシウム回収部204内に流入、滴下するのに最適な角度として、実験等によって決定されるものとする。
【0035】
レトルト20は、窓材201と、コンデンサシールド202と、第2シールド203と、マグネシウム回収部204と、送り装置205と、温度センサ206と、圧力センサ207と、ポンプ208と、ブリケット搬入口210と、ブリケット搬出口211と、搬送路212とを備えている。窓材201は、レトルト20の上部(z軸+側、太陽炉10側)に設けられた開口を覆い、集光部10にて集光された太陽光をレトルト20の内部に透過させる。窓材201は、後述するコンデンサシールド202からの輻射熱を反射する、透明電極ITO膜(インジウム錫酸化膜)等のなどの可視光(太陽光)を透過し赤外光を反射する膜(太陽光透過赤外反射膜)を備えて構成される。窓材201は交換可能に設けられ、レトルト20内に導かれる太陽光の光束の範囲よりも広い。窓材201は、制御部30から出力される駆動信号に応じて、図示しない駆動機構により、設けられた場所でxy平面に平行な面上を2次元移動可能に構成されている。
【0036】
コンデンサシールド202は、レトルト20の内部に設けられ、普通鋼を材料とする中空の部材である。コンデンサシールド202には、集光部10からの太陽光がブリケットBを照射可能となるように、開口202hが設けられている。コンデンサシールド202の内部には、後述する送り装置205によって搬送路212上をブリケットBが搬送され、ブリケットBはコンデンサシールド202の内部で開口202hを通して太陽光の照射を受ける。また、コンデンサシールド202の底部(z軸−側)のy軸+側端部には下方に設けられたマグネシウム回収部204と連通する連通部202bが設けられている。
【0037】
図8を参照して、開口202hの直径について説明する。
図8では、ブリケットBの上面(z軸+側)とコンデンサシールド202の内壁とのz軸方向の距離をZとし、集光部10からの太陽光の光束がブリケットBの上面で結ぶ径(スポット径)をDとする。太陽光の開き角をθ1とすると、開口202hの直径Hは、以下の式(5)を満たすように形成される。
2(D+2Ztanθ1)≧H>D+2Ztanθ1 …(5)
【0038】
コンデンサシールド202の内部は次のような構成を有している。
図6に示すように、コンデンサシールド202の内部には、マグネシウムが液体の状態で連通部202bを介してマグネシウム回収部204に導かれるように、複数のガイド部材202gが設けられている。なお、以後の説明では、複数のガイド部材202gのうち、開口202hの開口端部に沿って設けられるガイド部材には符合202g1を付し、コンデンサシールド202の底部(z軸−側)に設けられるガイド部材には符合202g2を付し、上記以外のガイド部材には符合202g3を付す。
【0039】
ガイド部材202g1は、開口202hの開口端部からz軸−方向に突設している。ガイド材202g1は、窓材201を介して入射する太陽光の光束を遮らない方向に向かって突設している。すなわち、ガイド部材202g1は、析出したマグネシウム液体が窓材201の方向にはみ出さないように、窓材201を覆う形状となるように形成されている。ガイド部材202g2は、コンデンサシールド202の底部内壁にx軸方向に沿って延在するように設けられる。ガイド部材202g3は、コンデンサシールド202の内壁からz軸方向に沿って突設し、x軸方向に沿って延在するように設けられる。なお、ガイド部材202g1〜202g3の厚みはコンデンサシールド202を構成する部材厚よりも厚くなるように形成されている。なお、ガイド部材202g1〜202g3は、コンデンサシールド202の中心付近に置かれた焦点面の方向に突出していてもよい。また、ガイド部材202g1〜202g3は、断面が矩形のものではなく、たとえば三角状に突出していてもよい。上述したように、ガイド部材202g1〜202g3を有することにより、コンデンサシールド202の内面の表面積が増加するので、多量のマグネシウムの析出を可能にする。
【0040】
コンデンサシールド202の内部は、マグネシウムの融点(651℃)を超える温度、たとえば700℃程度〜800℃程度に保たれ、かつ、コンデンサシールド202のマグネシウム蒸気以外による内部圧力は、1Pa以下に調節される。このため、熱還元反応によって蒸気となったマグネシウムは、酸化することなくコンデンサシールド202の内壁に到達して凝結し、液体となって内壁に付着する。換言すると、コンデンサシールド202は、ブリケットBが熱還元反応するための反応部と、熱還元反応によって発生したマグネシウム蒸気が凝結するためのコンデンサー部とが一体に形成されたものである。上述したようにレトルト20は、水平面に対して所定の角度θだけ傾いているので、液体となってコンデンサシールド202の内壁に付着したマグネシウムは、重力の影響を受け、ガイド部材202g2、202g3が延在する方向、すなわちx軸に沿って案内される。そして、コンデンサシールド202のx軸+側の端面に到達した液体のマグネシウムは、連通部202bを介して、マグネシウム回収部204へ流入、あるいは滴下する。
【0041】
第2シールド203は、コンデンサシールド202を内部に保持するように設けられる。第2シールド203は、コンデンサシールド202からの輻射熱によってレトルト20の筐体外壁を通して熱が外部に散逸することを防ぐために設けられ、集光部10からの太陽光は透過するが、コンデンサシールド202からの輻射熱を反射する材料によって形成される。本実施の形態では、第2シールド203として、石英やガラス等の透明材料によって円筒形に形成された部材の内面に、アルミをコーティングしたものを用いる。ただし、集光部10からの太陽光がブリケットBへ向けて通過する範囲203a、すなわち窓材201に対応する範囲にはコーティングを施さない。なお、第2シールド203として、鏡面加工したステンレスを用いてもよい。また、石英やガラス等の透明材料による第2シールド203の範囲203aに対して誘電体多層膜を設けてもよいし、ITO(インジウム錫酸化膜)膜などの太陽光透過赤外反射膜で被覆してもよい。また、ステンレスによる第2シールド203に透明材料による窓部を組み合わせてもよい。レトルト20の内部に上記の構造を有する第2シールド203が設けられることにより、第2シールド203とレトルト20との間の空間は、200℃程度の温度に保持される。この結果、レトルト20の筐体外壁が高温になることを防ぐことができる。
【0042】
図7に示すように、レトルト20の内部には、x軸−側端部に設けられたブリケット搬入口210およびブリケット搬出口211と、ブリケット搬入口210からブリケット搬出口211までを結ぶ搬送路212とが設けられている。搬送路212は、搬入されたブリケットBをx軸+方向へ搬送する第1搬送路212aと、第1搬送路212aと連結され第1搬送路212aから搬送されたブリケットBの搬送方向をx軸−方向へ変更するための第1屈曲搬送路212bと、第1屈曲搬送路212bと連結され第1屈曲搬送路212bから搬送されたブリケットBをx軸−方向へ搬送する第2搬送路212cと、第2搬送路212cと連結され第2搬送路212cから搬送されたブリケットBの搬送方向をx軸+方向へ変更するための第2屈曲搬送路212dとが設けられている。第2搬送路212cの一部はコンデンサシールド202の内部を通過する反応用搬送路212c1であり、窓材201を通過した太陽光によりブリケットBを照射させて熱還元反応させるために設けられている。
【0043】
送り装置205は、搬送路212に沿って設けられた、たとえばベルトや複数のローラー等によって構成されている。送り装置205は、所定の形状を有するブリケットBを連続的に順次、コンデンサシールド202に搬送する。なお、本実施の形態では、ブリケットBは円柱状に形成され、ブリケットBの中心軸が搬送方向と一致するように搬送路212上で搬送される。送り装置205は、後述するように制御部30からの駆動信号に応じて、x軸−側端部のブリケット搬入口210と第1搬送路212aとを連結し、ブリケット搬入口210から搬入されたブリケットBをx軸+方向へ搬送する。ブリケットBが第1搬送路212aに導かれると、送り装置205は、第1搬送路212aのx軸−側端部を第2屈曲搬送路212dと連結させて、搬送路212上にブリケットBが必要量以上搬入されないようにする。搬送路212上に搬入されたブリケットBは、第1搬送路212a、第1屈曲搬送路212b、第2搬送路212c、第2屈曲搬送路212dの順序で搬送され、再び第1搬送路212aに搬送され、上記の順序で搬送路212上にて搬送される。
【0044】
第2搬送路212cの一部の反応用搬送路212c1では、ブリケットBは、図示しない回転機構により、ブリケットBのx軸方向の中心軸を中心として回転しながらx軸−方向に沿って移動する。これにより、ブリケットBの表面の広い範囲に太陽光が照射されるので、ブリケットBの利用効率が向上する。副鏡102は駆動機構102aにより微小駆動して、太陽光の光軸方向に沿って集光位置を移動させる。これにより、熱還元反応に伴ってブリケットBの表面形状が変形し、
図8に示すブリケットBの上面(z軸+側)とコンデンサシールド202の内壁とのz軸方向の距離Zとの間に変動が生じても、ブリケットBの表面温度は実質的に一定の高温度で推移する。
【0045】
制御部30によってブリケットBが使用可能ではないと判定されるまで、ブリケットBは送り装置205により搬送路212上で搬送され続ける。その結果、同一のブリケットBは、反応用搬送路212c1上を複数回搬送される。制御部30は、たとえば、同一のブリケットBが反応用搬送路212c1を所定回数搬送された場合や、最初に反応用搬送路212c1を通過してから所定時間が経過した場合等に、ブリケットBが使用可能ではないと判定する。この場合、ブリケットBが反応用搬送路212c1を搬送される回数をカウントするカウンタや、時間計測をするためのタイマ等を備えていればよい。なお、上記の所定回数や所定時間は、予め実験等に基づいて、ブリケットBが熱還元反応によってマグネシウム蒸気を発生するのに適した形状が保持可能となるように決定されている。
【0046】
制御部30によりブリケットBが使用可能ではないと判定されると、送り装置205は、第2搬送路212cを第2屈曲搬送路212dから切り離し、ブリケット搬出口211と連結させる。このため、熱還元反応に使用された使用済のブリケットBは、第2搬送路212cからブリケット搬出口211に搬送され、レトルト20の外部に排出される。上述の動作を繰り返すことにより、所定量のブリケットBが搬送路212上にて搬送される。
【0047】
送り装置205は、制御部30からの速度指示信号に応じて、ブリケットBの移動速度を制御する。熱還元反応によりマグネシウムが発生するために十分な期間、ブリケットBが集光部10からの太陽光により照射されるように、移動速度が決定される。
【0048】
温度センサ206は、コンデンサシールド202内の温度を計測して、計測した温度を示す温度信号を制御部30へ出力する。圧力センサ207は、コンデンサシールド202内の圧力を計測する第1圧力センサ207aと、コンデンサシールド202の外部のレトルト20内の圧力を計測する第2圧力センサ207bとによって構成される。第1圧力センサ207aおよび第2圧力センサ207bは、計測した圧力を示す圧力信号を制御部30へそれぞれ出力する。ポンプ208は、制御部30による駆動信号に応じて駆動することで、図示しない注排気系統を介して、コンデンサシールド202の内部、およびコンデンサシールド202の外部のレトルト20内の圧力を所定の圧力となるように調整する。なお、第1圧力センサ207aにより計測されるコンデンサシールド202内部の圧力は、ブリケットBが熱還元反応を起こしている最中には、析出したマグネシウム蒸気の圧力を示す。コンデンサシールド202内の圧力は、マグネシウム蒸気が存在しないときには、上述したように、蒸気となったマグネシウムが酸化しないように1Pa以下に調整される。また、コンデンサシールド202の外部のレトルト20内の圧力は、熱の対流による伝達を防止するために、100Pa以下に調整される。
【0049】
制御部30は、CPU、ROM、RAMなどを有し、各種のデータ処理を実行する演算装置である。制御部30は、上述した直達光センサ104、温度センサ206、圧力センサ207等の各種センサからの信号を入力して、太陽炉10を照射する太陽光の光量、コンデンサシールド202内の温度、コンデンサシールド202およびレトルト20内の圧力を監視する。監視結果に応じて、制御部30は、集光部10の駆動制御、送り装置205の駆動制御、窓材201の駆動制御等の処理を実行する。以下、制御部30による各種駆動制御の処理の詳細について説明する。
【0050】
上記の各種駆動制御の処理を実行するため、制御部30は、判定部301と、集光部駆動制御部302と、送り装置駆動制御部303と、窓材駆動制御部304とを備えている。判定部301は、直達光センサ104、温度センサ206、圧力センサ207から入力した信号に基づいて、集光部10の駆動、送り装置205の駆動、窓材201の駆動の何れを行うかを判定する。判定部301は、上述したように、ブリケットBが使用可能か否かを判定する。集光部駆動制御部302は、判定部301の判定結果に応じて、集光部10を水平方向および/または俯仰方向に駆動させる駆動量を算出し、駆動信号として集光部10の駆動機構105へ出力する。
【0051】
送り装置駆動制御部303は、判定部301の判定結果に応じて、ブリケットBのレトルト20内部への搬入またはレトルト20からの搬出を指示する信号や、ブリケットBの搬送速度を算出し、算出した搬送速度にてブリケットBを搬送するように指示する速度指示信号を送り装置205へ出力する。窓材駆動制御部304は、判定部301の判定結果に応じて、窓材201の駆動方向と駆動量とを指示する駆動信号を出力して、窓材201をxy平面に平行な面上で二次元駆動させる。判定部301と、集光部駆動制御部302と、送り装置駆動制御部303と、窓材駆動制御部304との処理の詳細について、以下で説明を行う。
【0052】
−送り装置の駆動−
直達光センサ104からの直達日射量信号が示す日射量が第1閾値未満の場合には、判定部301は雲や大気の状態等の要因により太陽光の強度が弱く、ブリケットBへの加熱が不十分になると判定し、ブリケットBに太陽光が照射される時間を長くする必要があると判定する。この場合、送り装置駆動制御部303は、送り装置205によるブリケットBの搬送速度が低速となるように、日射量に応じて新たな搬送速度を算出する。そして、送り装置駆動制御部303は、算出した搬送速度でブリケットBが搬送されるように、送り装置205へ速度指示信号を出力する。その結果、太陽光の強度が弱くなった場合であっても、ブリケットBへの太陽光の照射時間を長くすることで、ブリケットBを熱還元反応に必要な温度まで加熱することができる。なお、再び日射量が強くなった場合には、すなわち日射量が第1閾値以上の場合には、判定部301はブリケットBへの太陽光の照射時間を短くする必要があると判定し、送り装置駆動制御部303は、ブリケットBの搬送速度が高速となるように送り装置205へ速度指示信号を出力する。
【0053】
第1圧力センサ207aからの圧力信号が示すコンデンサシールド202内の圧力が第2閾値未満の場合には、判定部301は熱還元反応により析出したマグネシウム蒸気の量が少ないと判定し、ブリケットBに対してより長時間の熱還元反応が必要であると判定する。すなわち、判定部301は、ブリケットBがより長い時間をかけてコンデンサシールド202を通過する必要があると判定する。この場合も、送り装置駆動制御部303は、送り装置205によるブリケットBの搬送速度が低速となるように、コンデンサシールド202内の圧力に応じて新たな搬送速度を算出する。そして、送り装置駆動制御部303は、算出した搬送速度でブリケットBが搬送されるように、送り装置205へ速度指示信号を出力する。その結果、ブリケットBがコンデンサシールド202内を低速で通過するため、太陽光による照射時間を長くすることができるので、より多くのマグネシウム蒸気を析出させることができる。
【0054】
なお、温度センサ206により検出されたコンデンサシールド202内の温度が700℃以上に保持されるように、制御部30は、駆動機構102aに駆動信号を出力して、副鏡102を微駆動させる。その結果、太陽光の集光度が変更されて、コンデンサシールド202内の温度低下を抑制できる。また、太陽光の一部をコンデンサシールド202に照射させることにより、適切な温度が保持された状態でブリケットBを加熱できる。また、第1圧力センサ207aにより計測されたコンデンサシールド202内の圧力が、所定の圧力に保持されるように、制御信号30は、駆動機構102aに駆動信号を出力して、副鏡102を微駆動させる。その結果、太陽光の集光度が変更されて、ブリケットBから析出するマグネシウム蒸気の量が不足とならないように制御できるので、マグネシウム合金の生産性低下を抑制できる。
【0055】
−窓材の駆動−
判定部301は、マグネシウム精錬装置1が起動してから所定の時間が経過するごとに、窓材201を所定方向に所定量駆動するように窓材駆動制御部304へ駆動信号を出力する。窓材201にマグネシウムの蒸気が付着して、太陽光の透過率が低下している領域を避けて、窓材201の透過率が高い領域を通ってブリケットBの表面に太陽光を導くことを目的としている。このため、上記の窓材201が駆動する所定方向と所定量は、これまで窓材201がレトルト20の内部に対面していた領域とは異なる領域がレトルト20の内部に面するように予め決定されている。
【0056】
−ポンプの駆動−
判定部301は、圧力センサ207から入力した圧力信号が示す圧力値に基づいて、コンデンサシールド202の内部、およびコンデンサシールド202の外部のレトルト20内の圧力を一定に保持する。本実施の形態では、第2圧力センサ207bから入力した圧力信号が示す圧力値が100Paを超えることがないような排気速度を有するポンプ208が配置されている。
【0057】
上述した第2の実施の形態によるマグネシウム精錬装置によれば、第1の実施の形態により得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)レトルト20の筐体表面には、集光部10により集光された太陽光を透過させる窓材201が設けられ、コンデンサシールド202はレトルト20の内部に保持され、コンデンサシールド202の内部にブリケットBが搬入される。この結果、太陽光のエネルギーロスを抑制してブリケットBを加熱できるので、マグネシウム精錬効率を向上できる。
【0058】
(2)レトルト20は、熱還元反応により発生したマグネシウム蒸気が窓材201に付着することを防止するための第2シールド203を内部に有し、第2シールド203の表面には、集光部10により集光され、窓材201を透過した太陽光を通過させる範囲203aが設けられ、コンデンサシールド202は、第2シールド203の内部に保持される。したがって、第2シールド203を設けることにより、熱還元反応により高温となったコンデンサシールド202からの熱輻射の影響による熱損失を抑制できるので、マグネシウムの熱還元反応を高温下で継続して行うことができる。さらに、熱輻射の影響によるレトルト20の高温化を抑制することができるので、レトルト20の劣化速度を抑え耐久性を長期に渡って維持することができる。さらに、熱還元反応で生成したマグネシウム蒸気が、レトルト20に設けられた窓材201に付着して、太陽光の透過率を低下させることを抑制できるので、コンデンサシールド202の内部を高温に維持して、マグネシウムの精錬効率を維持することができる。
【0059】
(3)第2シールド203は、透明材料によって構成された筐体の内面または外面のうち範囲203aを除いて反射材料をコーティングして構成される。したがって、コンデンサシールド202からの熱輻射の影響による熱損失を抑制し、マグネシウムの熱還元反応を高温下で継続して行うことができるので、マグネシウム合金の精錬効率を向上させることができる。さらに、熱輻射の影響によるレトルト20の高温化を抑制することができるので、レトルト20の劣化速度を抑え耐久性を長期に渡って維持して、マグネシウム合金の製造コストを低減できる。さらに加えて、レトルト20の筐体表面が高温になることが抑制されるので、作業員による保守、点検、整備等の作業が容易に行える。
【0060】
(4)第2シールド203の範囲203aには所定波長の光を透過させる膜を設けた。この結果、太陽光のエネルギーロスを抑制してブリケットBを高温で長時間加熱できるので、マグネシウム精錬効率を向上できる。
【0061】
(5)レトルト20の長手方向の一方の端部(x軸方向+側)は他方の端部(x軸方向−側)より低い高度となるように保持され、コンデンサシールド202の内部には、マグネシウム蒸気から凝結した液体マグネシウムがレトルト20のx軸方向+側の端部の方向へ、長手方向に沿って流れるように案内するガイド部材202g(202g1〜202g3)が設けられる。レトルト20を水平方向に対して角度θだけ傾けて重力の作用を利用するとともに、複数のガイド部材202gをx軸方向に沿って延伸させているので、液体マグネシウムを所望の位置に集めることができ、凝結したマグネシウムの回収効率を向上させることができる。
【0062】
(6)レトルト20のx軸方向+側の端部の下方に設けられ、コンデンサシールド202で凝結した液体マグネシウムを液体の状態で回収するマグネシウム回収部204をさらに備え、マグネシウム204は、コンデンサシールド202から重力の作用によって滴下した液体マグネシウムを回収する。液体となったマグネシウムを重力の作用を利用してマグネシウム回収部204に滴下させることができ、工程の自動化に寄与する。
【0063】
(7)レトルト20にブリケットBを搬入するブリケット搬入口210と、レトルト20からブリケットBを搬出するブリケット搬出口211と、レトルト20の内部に設けられ、ブリケット搬入口210からブリケット搬出口211までを結ぶ搬送路212に沿って、ブリケットBを搬送する送り装置205とをさらに備え、搬送路212の少なくとも一部は、コンデンサシールド202の内部を通過してブリケットBを熱還元反応させるための反応用212c1により構成される。したがって、送り装置205によりブリケットBを連続的にコンデンサシールド202内部に搬入できるので、工程の自動化に寄与することができる。
【0064】
(8)ブリケットBは円柱状であって、ブリケットBの中心軸はブリケットBの搬送方向であるx軸方向と一致し、送り装置205は、少なくともコンデンサシールド202内部においてはブリケットBを円柱の軸回りに回転させながら搬送する。これにより、ブリケットBの表面の広い範囲に太陽光が照射されるので、ブリケットBの利用効率が向上する。
【0065】
(9)制御部30の判定部301は、ブリケットBが使用可能か否かを判定し、送り装置205は、判定部301によりブリケットBが使用可能ではないと判定されると、ブリケットBをブリケット搬出口211を介してレトルト20から外部に搬出する。この結果、ブリケットBの使用適不適の判定と、使用不適と判定されたブリケットBの搬出とを自動で行うことができるので、マグネシウム合金の精錬工程の自動化に寄与する。
【0066】
(10)集光部10は、凹面鏡により構成される主鏡101と、凸面鏡により構成される副鏡102とを有し、太陽光を主鏡101で反射した反射光を副鏡102へ導き、反射光を副鏡102で反射してレトルト20内のブリケットBの表面に集光させるカセグレン光学系により構成される。この結果、集光部10の裏面にレトルト20を配置することができるので、マグネシウム精錬装置1は作業員が集光部10で集光される太陽光に曝されることのなくレトルト20の交換や整備等の作業が容易に行える構造をとることができる。
【0067】
(11)駆動機構102aは、副鏡102を駆動させて、太陽光が集光する位置をブリケットBの表面上または太陽光の光軸上の少なくとも一方で移動させる。したがって、ブリケットBの上面にて太陽光が集光する集光度を変更することにより、ブリケットBに効率よく太陽光を集光させて、熱還元反応を所望の温度で長時間継続的に行わせることができる。
【0068】
(12)太陽から集光部10へ到達する直達光を検出する直達光センサ104と、レトルト20のコンデンサシールド202の内部の圧力を検出する第1圧力センサ207aと、コンデンサシールド202の内部の温度を検出する温度センサ206と、を備え、駆動機構102aは、直達光センサ104による検出結果と第1圧力センサ207aによる検出結果と温度センサ206による検出結果との少なくとも一つ、または組み合わせに連動させて、副鏡102を駆動させる。したがって、太陽が雲で隠れている等の太陽光の光量が少ない場合やコンデンサシールド202内部の状態に応じて、太陽光の集光度を変更することができるので、太陽光の多少によらず、ブリケットBを高温で継続的に加熱して、マグネシウム合金の精錬効率の低下を抑制できる。
【0069】
(13)直達光センサ104による検出結果と第1圧力センサ207aによる検出結果と温度センサ206による検出結果との少なくとも一つ、または組み合わせに連動させて、送り装置駆動部303は、送り装置205によるブリケットBの搬送速度を決定する。この結果、太陽が雲で隠れている等の太陽光の光量が少ない場合やコンデンサシールド202内部の状態に応じて、送り装置205を制御してブリケットBの搬送速度を低速に変更できるので、太陽光の多少によらずブリケットBを所望の温度にて加熱して、生産性を維持できる。
【0070】
上述した第2の実施の形態によるマグネシウム精錬装置を、次のように変形できる。
(1)マグネシウム回収部204に重力の作用を利用して、連通部202bを介して液体のマグネシウムを流入、滴下させるものに代えて、レトルト20を振動させて、振動の衝撃により液体のマグネシウムをマグネシウム回収部204に滴下させてもよい。この場合、レトルト20を振動させるための振動機構をさらに有する。ただし、振動によりブリケットB上で太陽光が集光する位置が一定とならずに、所望の加熱温度が得られないことがないように、振幅や振動時間や振動のタイミング等を制御することが必要となる。
【0071】
(2)ブリケットBの形状が円柱状であるものに限定されず、搬送路212上を搬送可能な形状に形成されていればよい。たとえば、ブリケットBの形状が角柱状に形成されていてもよい。この場合、第2搬送路212cの一部の反応用搬送路212c1では、送り装置205はブリケットBをxy平面上で二次元移動させる。これにより、ブリケットBの上面の広い範囲に太陽光が照射されるので、ブリケットBの利用効率が向上する。
【0072】
(3)集光部10による集光度を変更し、加熱温度を変えることにより、マグネシウム合金を生成するための原料を生成するためにマグネシウム精錬装置1を用いることができる。この場合、上記の反応式(3)に示す焼成によりMgOを生成する工程や、反応式(2)に示すフェロシリコンを加熱により生成する工程に利用することができる。この結果、マグネシウム合金の生成に加えて、原料となるMgOの焼成やフェロシリコンの加熱の際にも化石燃料を燃焼させる必要がなくなるので、マグネシウム合金を生成するシステム全体として二酸化炭素の発生を抑制し環境への悪影響を与えることがなくなる。さらには、加熱温度を1400℃程度ではなく、1200℃程度まで加熱することにより、マグネシウム精錬装置1では、カルシウムが含有されたマグネシウム合金に代えて、純度の高いマグネシウムを得ることができる。
【0073】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1…マグネシウム精錬装置、10…集光部、
20…レトルト、21…反応部、
22…コンデンサー、30…制御部、
101…主鏡、102…副鏡、102a…駆動機構、
104…直達光センサ、201…窓材、
202…コンデンサシールド、203…第2シールド、
204…マグネシウム回収部、205…送り装置、202h…開口、
202g、202g1、202g2、202g3…ガイド部材、206…温度センサ、
207、207a、207b…圧力センサ、第1圧力センサ、第2圧力センサ、
210…ブリケット搬入口、211…ブリケット搬出口、212…搬送路、
301…判定部、302…集光部駆動制御部、
303…送り装置駆動制御部、304…窓材駆動制御部