(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物が、スルホン酸又は硫酸エステルを有する有機化合物のカリウム、ナトリウム、アンモニア、トリエタノールアミンのいずれかとの塩であることを特徴とする請求項1に記載の接着助剤。
高級脂肪酸塩が、高級脂肪酸のカリウム、ナトリウム、アンモニア、トリエタノールアミンのいずれかとの塩であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接着助剤。
請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の接着助剤及びゴム組成物−繊維複合体用接着剤を混合・分散して製造することを特徴とする請求項4に記載のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の製造方法。
請求項4に記載のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を繊維に含浸し、その後乾燥して得られる処理繊維と未加硫のゴム組成物から得られる複合体を構成してから加硫して得られることを特徴とするゴム組成物−繊維複合体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、テトロン繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維等の各種繊維と、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム等の各種ゴム組成物間の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力に優れ、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性に優れた接着助剤、その接着助剤とゴム組成物−繊維複合体ゴム繊維複合体用接着剤を用いて得られるゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液、並びに接着剤処理液を繊維に含浸し、その後乾燥して得られる処理繊維とゴム組成物を加硫して得られるゴム組成物−繊維複合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定の塩化ビニル系ポリマーラテックスが、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、コア部と、該コア部の外層を形成するシェル部を有し、該コア部が、平均粒子径0.12μm以下の塩化ビニル系ポリマーであり、該シェル部が、該塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、所定の一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)で表される少なくとも1つの繰返し単位をもつポリマー2〜100重量部であり、さらに、該塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物1.0〜5.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有し、かつ、該塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、乳化剤10重量部以下を含有し、塩化ビニル系重合体の平均粒子径が0.30μm以下である塩化ビニル系重合体ラテックスを含有することを特徴とする接着助剤、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液、並びにゴム組成物−繊維複合体である。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明の接着助剤は、特定の塩化ビニル系重合体ラテックスを含有するものである。
【0012】
本発明の接着助剤が含有する塩化ビニル系重合体ラテックスは、コア部と、該コア部の外層を形成するシェル部を有し、該コア部が、平均粒子径0.12μm以下の塩化ビニル系ポリマーであり、該シェル部が、該塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、特定の一般式で表される少なくとも1つの繰返し単位をもつポリマー2〜100重量部であり、さらに、該塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物1.0〜5.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有し、かつ、該塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、乳化剤10重量部以下を含有し、塩化ビニル系重合体の平均粒子径が0.30μm以下のものである。
【0013】
本発明の接着助剤が含有する塩化ビニル系重合体ラテックスは、コア部と、該コア部の外層を形成するシェル部を有するものである。
【0014】
塩化ビニル系重合体ラテックスが有するコア部は、平均粒子径0.12μm以下の塩化ビニル系ポリマーである。平均粒子径が0.12μmを超えると、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性とゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が損なわれる。
【0015】
コア部を構成する塩化ビニル系ポリマーは、所定の方法で得られた塩化ビニル系ポリマーラテックスを所定の重合を行うことで得ることができる。
【0016】
具体的には、この塩化ビニル系ポリマーラテックスは、塩化ビニルモノマー単独、又は塩化ビニルモノマーとこれと共重合可能なモノマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物1.0〜5.0重量部、好ましくは2.0〜4.0重量部、及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部の存在下、乳化重合によって得ることができる。乳化重合は、水を分散媒として、水に対して10〜140重量%の塩化ビニルモノマー単独、又は塩化ビニルモノマーとこれと共重合可能なモノマーを、所定量のスルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物及び高級脂肪酸塩の存在下、重合開始剤を用い、攪拌下重合することにより行われる。
【0017】
ここに、スルホン酸塩を有する有機化合物としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類等が挙げられ、また、硫酸エステル塩を有する有機化合物としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類等が挙げられる。スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物の使用量が、モノマー100重量部に対して1.0重量部未満の場合は、塩化ビニル系ポリマーラテックス製造時に沈殿物が多くなってしまい、さらに、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性と、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下の接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が低下し、好ましくない。5.0重量部を超える場合は、製造時に発泡が大きく、さらに、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下の接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が低下し、好ましくない。
【0018】
高級脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等とアルカリとの塩が挙げられる。入手のしやすさから、ナトリウム、カリウム、アンモニア、トリエタノールアミンとの塩が好ましい。高級脂肪酸塩の使用量が、モノマー100重量部に対して0.05重量部未満の場合は、塩化ビニル系ポリマーラテックスの製造時の沈殿物が多く、濃縮安定性が悪く、さらに、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性と、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下の接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が低下し、好ましくない。2.5重量部を超える場合は、塩化ビニル系ポリマーラテックス製造時及び濃縮時に発泡が大きく、さらに、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下の接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が低下し、好ましくない。
【0019】
塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリンスチン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物、アクリル酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、ベンジル等のエステル、メタクリル酸のメチル、エチル、ブチル、オクチル、ベンジル等のエステルマレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル類エチレン、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類、塩化ビニリデン、スチレン又はその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の塩化ビニルとラジカル共重合しうる通常のビニル化合物の1種以上が挙げられる。
【0020】
用いられる重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性開始剤、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシピバレート、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等の油溶性開始剤等を挙げることができる。この時使用される重合開始剤の添加方法は、通常、一括添加、間欠添加、連続添加のいずれかの方法か、またはその組合せによって行われる。塩化ビニルモノマーの重合率は、全モノマーに対して80〜97重量%であることが好ましい。
【0021】
重合温度は、特に限定するものではないが、30〜100℃が好ましく、40〜80℃がさらに好ましい。
【0022】
重合時間は、特に限定するものではないが、3〜24時間が好ましい。
【0023】
重合の終了は、容器内の圧力を常圧、さらに減圧し、モノマーを回収することにより行う。重合禁止剤を添加して重合を終了させてもよい。
【0024】
必要に応じ、重合終了後のラテックスに、塩化ビニル系ポリマー100重量部に対してスルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物1.0〜5.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有するように、これらの乳化剤を追加添加することができる。
【0025】
さらに、この塩化ビニル系ポリマーラテックスを製造する際に、重合の安定化やスケール発生量の低減を目的として、連鎖移動剤、還元剤、緩衝剤、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物以外の乳化剤等を添加することもできる。
【0026】
このようにして製造された塩化ビニル系ポリマーラテックスは、塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物1.0〜5.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有し、塩化ビニル系ポリマーの平均粒子径が0.12μm以下である。スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物が1.0重量部未満の場合は、塩化ビニル系重合体ラテックス製造時に、沈殿物が多くなってしまい、好ましくない。5.0重量部を超える場合は、製造時に発泡が大きく、好ましくない。高級脂肪酸塩が0.05重量部未満の場合は、塩化ビニル系重合体ラテックスの製造時の沈殿物が多く、濃縮安定性が悪い。2.5重量部を超える場合は、塩化ビニル系重合体ラテックス製造時、及び濃縮時に発泡が大きいため好ましくない。平均粒子径が0.12μmを超えると、シェル部となるモノマーを重合する際に、粗粒が発生するため、好ましくない。
【0027】
これらの塩化ビニル系ポリマーラテックスは単独、または2種類以上のブレンド体であっても問題なく使用可能である。
【0028】
塩化ビニル系重合体ラテックスが有するシェル部は、コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)で表される少なくとも1つの繰返し単位をもつポリマー2〜100重量部で構成されている。このポリマーが2重量部未満の場合は、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性が優れるが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が損なわれ、100重量部を超える場合は、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が損なわれる。
【0029】
【化1】
(式中、R
1は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R
2は水素またはメチル基を表す。)
【0030】
【化2】
(式中、R
3は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R
4は炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシルアルキル基、または水素を表し、R
5は水素またはメチル基を表す。)
【0031】
【化3】
(式中、R
6はメチル基またはエチル基を表す。)
【0032】
【化4】
(式中、R
7は水素またはメチル基を表す。)
【0033】
【化5】
(式中、R
8は水素またはメチル基を表す。)
【0034】
【化6】
(式中、R
9は水素またはメチル基を表す。)
一般式(1)で表される繰返し単位をもつポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸n−プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸イソプロピル、ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸イソブチル、ポリ(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸n−オクチル等が挙げられる。
【0035】
一般式(2)で表される繰返し単位をもつポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸メトキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸エトキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、ポリ(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、ポリ(メタ)アクリル酸n−プロポキシプロピル、ポリ(メタ)アクリル酸n−ブトキシプロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられ、これらの繰返し単位の一種類以上の共重合体でも良い。
【0036】
一般式(3)で表される繰返し単位をもつポリマーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル等が挙げられ、これらの繰返し単位の一種類以上の共重合体でも良い。
【0037】
一般式(4)で表される繰返し単位をもつポリマーとしては、例えば、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸グリシジル等が挙げられ、これらの繰返し単位の一種類以上の共重合体でも良い。
【0038】
一般式(5)で表される繰返し単位をもつポリマーとしては、例えば、ポリアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0039】
一般式(6)で表される繰返し単位をもつポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等が挙げられ、これらの繰返し単位の一種類以上の共重合体でも良い。
【0040】
本発明の接着助剤が含有する塩化ビニル系重合体ラテックスは、塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物1.0〜5.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有し、かつ、塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、乳化剤10重量部以下を含有するものである。
【0041】
スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類等が挙げられる。スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物の含有量としては、1.0〜5.0重量部である。スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物が1.0重量部未満だと、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性と、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下の接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が低下し、5.0重量部を超えると、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下の接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が低下する。ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性をより安定化させ、接着力を向上させるため、好ましくは2.0〜4.0重量部である。
【0042】
高級脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等とアルカリとの塩が挙げられる。入手のしやすさから、ナトリウム、カリウム、アンモニア、トリエタノールアミンとの塩が好ましい。高級脂肪酸塩の含有量は0.05〜2.5重量部である。0.05重量部未満の場合は、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性と、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下の接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が低下する。2.5重量部を超える場合は、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下の接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が低下する。ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性をより安定化させ、接着力をより向上させるため、好ましくは0.10〜1.0重量部である。
【0043】
乳化剤が10重量部を超えると、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れるが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が損なわれる。ここに、乳化剤とは、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物及び高級脂肪酸塩の他に、後に説明するシェル部の重合の際に使用される乳化剤をいう。
【0044】
本発明の接着助剤が含有する塩化ビニル系重合体ラテックスの塩化ビニル系重合体の平均粒子径は、0.30μm以下である。平均粒子径が0.30μmを超えると、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が損なわれる。
【0045】
本発明の接着助剤が含有する塩化ビニル系重合体ラテックスは、本発明の目的を損なわない範囲で、他に、連鎖移動剤、還元剤、緩衝剤、増粘剤、縮合リン酸塩、界面活性剤、分散剤、粘着付与剤、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、造膜助剤、老化防止剤、凍結防止剤等を含有してもよい。
【0046】
増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、縮合リン酸塩としては、例えば、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられ、分散剤としては、例えば、スチレン−マレイン酸モノエステル塩共重合体等が挙げられる。
【0047】
本発明の接着助剤が含有する塩化ビニル系重合体ラテックスは、塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物1.0〜5.0重量部及び高級脂肪酸塩0.05〜2.5重量部を含有し、塩化ビニル系ポリマーの平均粒子径が0.12μm以下である塩化ビニル系ポリマーラテックスの存在下、ラテックス中の塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、下記一般式(7)、(8)、(9)、(10)及び(11)で表されるモノマー並びにメタクリル酸及びアクリル酸の中から選ばれる少なくとも1種のモノマー2〜100重量部、並びに乳化剤を添加し、重合して得られる。
【0048】
該モノマーが2重量部未満の場合は、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性が優れるが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が損なわれる。100重量部を超える場合は、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が損なわれる。該モノマーは、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性やゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力をより向上させるため、塩化ビニル系ポリマー100重量部に対して、5〜80重量部で添加することが好ましい。
【0049】
【化7】
(式中、R
9は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R
10は水素またはメチル基を表す。)
【0050】
【化8】
(式中、R
11は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R
12は炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシルアルキル基、または水素を表し、R
13は水素またはメチル基を表す。)
【0051】
【化9】
(式中、R
14はメチル基またはエチル基を表す。)
【0052】
【化10】
(式中、R
15は水素またはメチル基を表す。)
【0053】
【化11】
(式中、R
16は水素またはメチル基を表す。)
一般式(7)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル等が挙げられる。
【0054】
一般式(8)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0055】
一般式(9)で表されるモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
【0056】
一般式(10)で表されるモノマーとしては、例えば、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジルが挙げられる。
【0057】
一般式(11)で表されるモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0058】
その他一般式(7)〜(11)で表されるモノマー以外に、これらと共重合可能なビニル系モノマーとしては、例えば、メタアクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸1−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノブチル、(メタ)アクリル酸6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸8−シアノオクチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、メタアクリル酸n−プロポキシプロピル、メタアクリル酸n−ブトキシプロピル、酢酸ビニル、ビニルプロピオン酸等を例示することができる。
【0059】
さらに、(メタ)アクリル酸1,1−ジヒドロペルフルオロエチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジヒドロペルフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1,1,5−トリヒドペルフルオロヘキシル、(メタ)アクリル酸1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1,1,7−トリヒドロペルフルオロヘプチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジヒドロペルフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジヒドロペルフルオロデシル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エステル類以外の成分としてはメチルビニルケトン等のアルキルビニルケトン化合物、ビニルエチルエーテル等のアルキルビニルエーテル化合物、アリルメチルエーテル等のアリルエーテル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、p−クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−ブトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルナフタレンなどのビニル芳香族化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル化合物、アクリルアミド、ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−(N−ピペリジメチル)−1,3−ブタジエン、2−トリエトキシメチル−1,3−ブタジエン、2−(N,N−ジメチルアミノ)−1,3−ブタジエン、N−(2−メチレン−3−ブテノイル)モルホリンなどの1,3−ブタジエン化合物、イソプレン、ペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、プロピオン酸ビニル、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ジアセトンメタクリレート、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を例示することができる。
【0060】
上記一般式(7)、(8)、(9)、(10)及び(11)で表されるモノマー並びにメタクリル酸及びアクリル酸の中から選ばれる少なくとも1種のモノマーの添加方法としては、通常一括添加、間欠添加、連続添加のいずれかの方法か、またはその組合せによって行われる。またモノマーを全量もしくは一部を乳化して添加することができる。
【0061】
上記一般式(7)、(8)、(9)、(10)及び(11)で表されるモノマー並びにメタクリル酸及びアクリル酸の中から選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合の際に使用される重合開始剤は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の水溶性開始剤、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシピバレート、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等の油溶性開始剤等を挙げることができ、場合によっては、硫酸第一鉄等の第一鉄塩、ハイドロサルファイトナトリウム、L−アルコルビン酸等の還元剤を添加して重合を開始する。この時使用される重合開始剤の添加方法は、通常、一括添加、間欠添加、連続添加のいずれかの方法か、またはその組合わせによって行われる。本発明の製造方法においては上記モノマー及び必要であれば分子量調節剤との混合物を使用することができる。分子量調節剤としては通常n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が使用される。
【0062】
該モノマーを重合する際に使用される乳化剤としては特に限定するものではなく、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸類、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類等のアニオン系界面活性剤、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のソルビタンエステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリアルキレングリコール類、ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸およびその塩等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。これらは単独でも、2種類以上含有していても良い。添加方法としては、通常一括添加、間欠添加、連続添加のいずれかの方法か、またはその組合わせによって行われる。
【0063】
重合温度は、特に限定するものではないが、30〜100℃が好ましく、40〜80℃がさらに好ましい。
【0064】
重合時間は、特に限定するものではないが、3〜24時間が好ましい。
【0065】
重合の終了は、反応液を冷却し行う。場合によっては、重合禁止剤を添加して重合を終了させてもよい。
【0066】
本発明の接着助剤が含有する塩化ビニル系重合体ラテックスを製造する際に、重合の安定化やスケール発生量の低減を目的として連鎖移動剤、還元剤、緩衝剤、増粘剤、縮合リン酸塩、分散剤、粘着付与剤、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、造膜助剤、老化防止剤、凍結防止剤等を添加することもできる。
【0067】
本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は、上記した接着助剤とゴム組成物−繊維複合体用接着剤を含有する接着剤処理液である。ゴム組成物−繊維複合体用接着剤は、例えば、レゾルシンとホルマリン縮合物の水溶液とゴムラテックスを含むRFL接着剤や、RFL接着剤にマレイミド化合物やキノンジオキシム化合物等の化合物を含有する接着剤、マレイミド化合物にゴムラテックスを含有する接着剤等が挙げられる。
【0068】
RFL接着剤が含むレゾルシンとホルマリン縮合物の水溶液は、例えば、1,3−ベンゼンジオール、1,5−ベンゼンジオール、ビスヒドロキシメチルフェノール、ビスヒドロキシエチルフェノールの如きビスヒドロキシアルキルフェノール等のレゾルシンとホルマリンとの縮合物の水溶液が挙げられる。これらは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基性触媒、もしくは塩酸、硫酸等の酸触媒によって製造される。
【0069】
RFL接着剤が含有するゴムラテックスは、例えば、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスをカルボキシル基等で変性した変性ラテックス、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス及びその変性ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム及びその変性ラテックス、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム、カルボシキ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム、天然ゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体ラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックス等から選ばれた1種または2種以上を混合したラテックス混合物としても使用可能である。
【0070】
レゾルシンとホルマリン縮合物の水溶液とゴムラテックスを含むRFL接着剤は、レゾルシンとホルマリン縮合物の水溶液とゴムラテックスを任意の割合で混合することで得られる。
【0071】
RFL接着剤にマレイミド化合物やキノンジオキシム化合物等の化合物を含有するゴム組成物−繊維複合体用接着剤は、上記のRFL液に、ビスマレイミド、フェニルマレイミド及びN,N−m−フェニレンジマレイミド化合物等のマレイミド系架橋剤、p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋剤、ジアリルフマレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋剤、硫黄等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で用いても良いし、複数種を組み合わせて良い。
【0072】
マレイミド化合物にゴムラテックスを含有するゴム組成物−繊維複合体用接着剤は、上記のマレイミド系架橋剤に、上記の例えば、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスをカルボキシル基等で変性した変性ラテックス、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス及びその変性ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム及びその変性ラテックス、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム、カルボシキ変性水素添加アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム、天然ゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体ラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックス等から選ばれた1種または2種以上を混合したラテックス混合物としても使用可能である。またマレイミド化合物にゴムラテックスを含有するゴム組成物−繊維複合体用接着剤は、水性接着剤中で、均質に存在する上で好ましく、更にはこの水性接着剤中に、カーボンブラックやホワイトカーボン等の補強剤や、後スルホン化ポリスチレン、ポリスチレンスルホン化ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等の分散剤を混合してもよい。
【0073】
本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は、接着助剤をゴム−繊維複合体用接着剤に混合・分散して得られる。混合・分散する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、攪拌翼による混合分散、ホモジナイザー等による混合分散等が挙げられる。
【0074】
本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液には、必要に応じて、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物等を含有していてもよい。
【0075】
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等のポリイソシアネート、またはこれらのイソシアネートと活性水素原子を2個以上有する化合物、例えば、トリメチロールプロパンヤペンタエリスリトール等と反応して得られる多価アルコール付加ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0076】
ブロックイソシアネート化合物としては、前記ポリイソシアネートに、例えば、ジフェニルアミン、キシリジン等の芳香族第2級アミン類;フタル酸イミド類;カプロラクタム、バレロラクタム等のラクタム類;アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム類等のブロック化剤を反応させたブロック化ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0077】
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、分子内に2個以上のエポキシ有するポリエポキシド化合物で、例えば、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類やエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応物、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応物や、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロメチル)アジペート等が挙げられる。
【0078】
これらのイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物を繊維処理剤として、直接、繊維に有機溶剤に酢酸エチル等に希釈し、塗布乾燥してもよく、または、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液に混合・分散させる方法は、これらの化合物を攪拌機により混合・分散させてもよい。
【0079】
本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液により処理される繊維は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド(芳香族ポリアミド)等のポリアミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、スフ等が挙げられるが特に限定されるものではない。また繊維の形状は糸状、コード状、織物、不織布、シート、短繊維、フィルム、シート等の種々の形態があるが特に限定されるものではない。
【0080】
繊維を本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液に浸漬させる方法は、特に限定されるものではないが、1)本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を繊維に含浸乾燥させる方法、2)イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物またはエポキシ化合物を予め酢酸エチル等の有機溶剤に希釈し繊維に浸漬乾燥した後、本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液をその繊維に含浸乾燥させる方法、3)イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物またはエポキシ化合物を本発明のゴム−繊維複合体用接着剤処理液に混合・分散させ繊維に含浸乾燥させる方法等があげられる。
【0081】
本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液によって含浸処理された繊維は、80〜150℃で水分を除去する乾燥処理を行った後、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の樹脂化や繊維との化学結合を促進するため150℃以上の温度で熱処理(ベーキング)を行うことが好ましいが、ベーキング方法に特に制限はない。また、ベーキング処理を行う必要のない繊維はこの処理を行わなくても良い。
【0082】
本発明のゴム組成物−繊維複合体に用いられるゴム組成物とは、原料ゴムと、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤及び加工助剤等からなる副原料物を混練して得られるゴム配合物のことである。
【0083】
原料ゴムは特に限定されるものでは無いが、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等の不飽和型ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン、水素添加ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴムやフッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等の飽和型ゴム等が挙げられるが、これらは単独の使用もしくは2種以上のゴムを併用しても構わない。
【0084】
副原料物は、例えば、カーボンブラックやマイカ、シリカ、クレイ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、マイカ、フェライト等の充填剤に加え、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、大豆油、菜種油等の植物油、ジブチルフタル酸エステルやジオクチルフタル酸エステル等のフタル酸エステル類、液状ブタジエンゴム等液状ゴム等の可塑剤、硫黄、ベンゾイルパーオキサイド等の加硫剤、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、モルホリノジチオベンゾチアゾール、ジフェニルチオウレア、ジフェニルグアニジン、メルカプトベンゾチアゾール、N−スルフェンアミド、ジメチルジカルバミン酸亜鉛等の加硫促進剤、酸化マグネシウム、鉛丹等の金属酸化物からなる加硫促進助剤、無水フタル酸、ニトロソジフェニルアミン等のスコーチ防止剤、N−イソプロピルN´−フェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−t−ブチルカテコール、メルカプトベンツイミダゾール等の老化防止剤、チオキシレノール、ジキシルジスルフィド等の素練り促進剤、ワックス、ステアリン酸等の活剤、テルペンフェノール、がムロジン、トール油ロジン等の粘着付与剤、重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等の発泡剤等が挙げられ、これらを使用するにあたり特に制限はない。
【0085】
原料ゴムと副原料物の混練は、オープンロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等のミキサーによって混合分散されるが特に制約を受けるものではない。
【0086】
繊維の形態がコード、織物、シート等である場合、例えば、ゴム組成物と繊維間の接着力を高める本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液により浸漬し、乾燥し水分を除去した後、繊維(ベーキング処理が必要な繊維はベーキング処理を施した繊維)とゴム組成物を密着させ、これを加硫することにより、未加硫のゴム組成物と繊維との接着を同時に行い、本発明のゴム組成物−繊維複合体を得ることができる。また、繊維の形態が短繊維である場合、例えば、ゴム組成物と本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液により浸漬し、乾燥した短繊維とを混練し、これを加硫することにより、ゴム組成物と繊維との接着を同時に行い、本発明のゴム組成物−繊維複合体を得ることができる。加硫方法には、例えば、プレス加硫、蒸気加硫、熱空気加硫、UHF加硫、電子線加硫または溶融塩加硫等があり、いずれの方法を用いてもよい。
【0087】
上記した本発明のゴム組成物−繊維複合体を成型することでゴム組成物−繊維複合体の成型体を得ることができる。成型方法としては、例えば、カレンダ加工、押出し成型、射出成型、圧縮成型等が挙げられ、これらは特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0088】
本発明の接着助剤をゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液に混合・分散した本発明のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れるものであり、繊維に含浸後乾燥することにより、本発明のゴム組成物−繊維複合体は、ゴム組成物と繊維間の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力に優れる。
【実施例】
【0089】
以下の実施例、比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
【0090】
<スルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物の量、高級脂肪酸塩の量及び乳化剤の量>
コア部を構成する塩化ビニル系ポリマーラテックスの重合終了後の塩化ビニルポリマーラテックスを重合器より採取し、40℃で24時間真空乾燥後の固形分測定によりビニルモノマーの重合転化率を求め、仕込み組成よりコア部を構成する塩化ビニル系ポリマー中のスルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物の量、高級脂肪酸塩の量を求めた。
【0091】
また、同様の操作で、コア部及びシェル部を有する塩化ビニル系重合体中のスルホン酸塩又は硫酸エステル塩を有する有機化合物の量、高級脂肪酸塩の量及び乳化剤の量を求めた。
【0092】
<平均粒子径の測定方法>
塩化ビニル系ポリマーラテックス中の塩化ビニル系ポリマー、塩化ビニル系重合体ラテックス中の塩化ビニル系重合体の平均粒子径は、レーザー透過率が75〜85%となるように水を添加し濃度調整を行った測定用試料を、レーザー回析/散乱式粒径測定装置(LA920、堀場製作所(株)製)を用い、メジアン粒径を求め、平均粒子径とした。
【0093】
<塩化ビニル系重合体ラテックス中のシェル部のポリマー量>
アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、ビニルピリジンについては、ガスクロマトグラフィーGC−14A(株)島津製作所)にてカラムにDB−5(アジレントテクノロジー(株)製)を用い、モノマー転化率から求めた。アクリル酸については、液体クロマトグラフィーにてカラムにInertsil ODS−3を用いモノマー転化率から求めた。
【0094】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性>
繊維に浸漬前のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を100メッシュの金網を通し、凝集物の有無を以下の通り評価した。
【0095】
○:凝集物の発生が全くない。
【0096】
△:わずかに発生が認められた。
【0097】
×:多量の凝集物が認められた。
【0098】
<ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力の測定>
恒温室(25℃、相対湿度65%)で1日以上放置したゴム組成物−繊維複合体のシートをJISK6502に準拠し、幅25mm、長さ100mm以上の短冊状の試験片を作製した。試験片は、引張り試験機(オリエンテック社製、型式RTM−500)を用い、50mm/分の剥離速度で加硫ゴム組成物と繊維間の剥離試験により剥離力を求め、初期の接着力とした。
【0099】
<ゴム組成物−繊維複合体の高温雰囲気下での接着力の測定>
ゴム組成物−繊維複合体シートの剥離試験を高温槽付引張り試験機(東洋ボールドウィン社製、型式UTM−4L)を用い100℃の槽内で初期接着強度と同様の方法で剥離試験を行い、高雰囲気下での接着力とした。
【0100】
<ゴム組成物−繊維複合体の耐熱劣化後の接着力の測定>
ゴム組成物−繊維複合体のシートを175℃、2時間の後加硫をギヤーオーブン中で行い、ゴム組成物−繊維複合体シートの剥離試験を初期接着強度と同様の方法で行い耐熱劣化後の接着力とした。
【0101】
<ゴム組成物−繊維複合体の耐熱屈曲疲労後の接着力の測定>
ゴム組成物−繊維複合体のシートを定伸長屈曲疲労試験機(上島製作所製)を用い、100℃、300rpmで10万回耐熱屈曲疲労試験を行った後、ゴム組成物−繊維複合体シートの剥離試験を初期接着強度と同様の方法で行い耐熱屈曲疲労後の接着力とした。
【0102】
製造例1
表1に示す通り、2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水830.0g、塩化ビニルモノマー750.0g、3重量%過硫酸カリウム6.8g及び5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75.0g(モノマーに対して0.50重量部)を仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、乳化重合を進めた。66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後に重合を停止し、未反応の塩化ビニルモノマーを回収し、5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液270.0g(モノマーに対して1.80重量部)と5重量%ラウリン酸カリウム水溶液46.0g(モノマーに対して0.34重量部)を添加し、塩化ビニル系ポリマーラテックスを得た(塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量:2.56重量部、ラウリン酸カリウムの量:0.34重量部、平均粒子径:0.08μm)。
【0103】
【表1】
製造例2〜3
表1に示す通り、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量を変えた以外は製造例1と同様の操作で、塩化ビニル系ポリマーラテックスを得た(塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量及びラウリン酸カリウムの量、平均粒子径を表1に示す)。
【0104】
製造例4〜5
表1に示す通り、ラウリン酸カリウム量を変えた以外は製造例1と同様の操作で、塩化ビニル系ポリマーラテックスを得た(塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量及びラウリン酸カリウムの量、平均粒子径、平均重合度を表1に示す)。
【0105】
実施例1
表2に示す通り、製造例1で得られた塩化ビニル系ポリマーラテックスを用いて重合を行った。1.0Lのセパラブルフラスコに窒素雰囲気下、塩化ビニル系ポリマーラテックス400.0gを仕込み、内温を60℃に上げた。続いてアクリル酸ブチル16.0gとドデシルメルカプタン0.125gの混合物を連続添加した(重合中の連続添加−1)。同時に過硫酸アンモニウム0.183g、ラウリル硫酸ナトリウム0.131gを脱イオン水15.0gに溶解した水溶液を連続添加した(重合中の連続添加−2)。6時間の反応後、ラテックス中の固形分測定により重合率が100%であることを確認した後、反応液を冷却し、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量:2.56重量部、ラウリン酸カリウムの量:0.34重量部、ラウリル硫酸ナトリウムの量:0.09重量部、乳化剤の合計量:2.99重量部、平均粒子径:0.09μm、シェル部のポリマー含有量:11.1重量部)。
【0106】
【表2】
実施例2〜3
表2に示す通り、製造例2〜3で得られたドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量を変えた塩化ビニル系ポリマーラテックスを用いた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表2に示す)。
【0107】
実施例4〜5
表2に示す通り、製造例4〜5で得られたラウリン酸カリウム量を変えた塩化ビニル系ポリマーラテックスを用いた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表2に示す)。
【0108】
実施例6
表3に示す通り、アクリル酸ブチルをアクリル酸2−エチルへキシルに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表3に示す)。
【0109】
【表3】
実施例7
表3に示す通り、アクリル酸ブチルをメタクリル酸グリシジルに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表3に示す)。
【0110】
実施例8
表3に示す通り、アクリル酸ブチルを酢酸ビニルに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表3に示す)。
【0111】
実施例9
表3に示す通り、アクリル酸ブチル16.0gをアクリル酸ブチル8.0gとメタクリル酸グリシジル8.0gに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表3に示す)。
【0112】
実施例10
表3に示す通り、アクリル酸ブチル16.0gをアクリル酸ブチル8.0gとビニルピリジン8.0gに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表3に示す)。
【0113】
実施例11
表3に示す通り、アクリル酸ブチル16.0gをアクリル酸ブチル8.0gとアクリル酸8.0gに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表3に示す)。
【0114】
実施例12
表4に示す通り、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート7.500gを追加添加し、脱イオン水を100.0gに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表4に示す)。
【0115】
【表4】
実施例13
表4に示す通り、アクリル酸ブチル16.0gをアクリル酸ブチル5.0gに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェルのポリマー量を表4に示す)。
【0116】
実施例14〜15
表4に示す通り、アクリル酸ブチルの量を変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部の含有量を表4に示す)。
【0117】
実施例16
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤の調製>
レゾルシン16.6g、ホルマリン37%水溶液14.7g(乾燥重量5.4g)、水酸化ナトリウム1.3g及び水334.4gを0.5リットルビーカー中で溶解し、室温(25℃)で2時間マグネチックスターラーを用い攪拌し縮合させた後、樹脂固形分6.4重量%のRF液366.0gを得た。
【0118】
そして固形分にして、RF23.3gとポリビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴム100.0gになるようにRF液366.0g及びポリビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス(日本ゼオン社製、ニポール2518GL)250.0gを1リットルの攪拌機のついたビーカーに入れ、攪拌しながら約20時間熟成し、固形分濃度20重量%のRFL液616.0gのゴム組成物−繊維複合体用接着剤を得た。
【0119】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の調製>
固形分にして、RFL樹脂100.0重量部と塩化ビニル系重合体20.0重量部になるようにRFL液200.0g及び実施例1で調製した接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)19.1gを0.5リットルビーカーに入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら10分間熟成後、ブロックイソシアネート化合物として2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体(DM6400、明成化学株式会社製)4.3gを加え10分間攪拌した後100メッシュの金網でろ過し、固形分濃度22重量%のRFL接着剤処理液のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製した。
【0120】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液での処理(テトロン繊維の調製)>
テトロン布(敷島カンバス社製、T−81)をゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液に10分間浸漬後、140℃のギヤーオーブンで乾燥し、引き続いて240℃の電熱プレス上で2分間無圧のベーキング処理を行い、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液による処理繊維とした。
【0121】
<ゴム組成物の調製>
スチレン・ブタジエンゴム(SBR)を原料ゴムとし、以下の配合によりSBR組成物を12インチロールで調製した。
【0122】
SBR(JSR1502、JSR社製) 100.0重量部
亜鉛華 3.0
ステアリン酸 2.0
FEFカーボンブラック 85.0
プロセス油 20.0
N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド 1.0
硫黄 1.5
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物 1.0
1,3−ジフェニルグアニジン 0.2
<ゴム組成物−繊維複合体の調製>
ゴム組成物−繊維複合体は、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤用処理液で処理したテトロン繊維をSBR組成物ではさみ、150℃で30分間プレス加硫して調製した。ゴム組成物−繊維複合体について、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表5に示す。表5から明らかなように、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体(SBR組成物−テトロン繊維複合体)の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0123】
【表5】
実施例17〜30
実施例16と同様にして、実施例2〜15で調製した接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を用いたRFL接着剤処理液のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液、及びゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表5〜表7に示す。表5〜表7から明らかなように、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体(SBR組成物−テトロン繊維複合体)の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0124】
【表6】
【0125】
【表7】
実施例31
<ゴム組成物の調製>
天然ゴムを原料ゴムとし、以下の配合により天然ゴム組成物を12インチロールで調製した。
【0126】
天然ゴム 100.0重量部
亜鉛華 5.0
ステアリン酸 2.0
FEFカーボンブラック 45.0
プロセス油 5.0
N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド 1.0
硫黄 2.5
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物 1.0
1,3−ジフェニルグアニジン 0.2
<ゴム組成物−繊維複合体の調製>
ゴム組成物−繊維複合体は、RFL接着剤処理液のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液で処理したテトロン繊維を天然ゴム組成物ではさみ、150℃で30分間プレス加硫して調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表8に示す。表8から明らかなように、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体(天然ゴム組成物−テトロン繊維複合体)の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0127】
【表8】
実施例32
<ゴム組成物の調製>
クロロプレンゴム(CR)を原料ゴムとし、以下の配合によりCR組成物を12インチロールで調製した。
【0128】
CR(R−10、東ソー製) 100.0重量部
亜鉛華 5.0
酸化マグネシウム 4.0
ステアリン酸 1.5
FEFカーボンブラック 40.0
ジオクチルアジピン酸ビス(2−エチルヘキシル) 5.0
オクチル化ジフェニルアミン 2.0
N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン 0.35
<ゴム組成物−繊維複合体の調製>
ゴム組成物−繊維複合体は、RFL接着剤処理液のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液で処理したテトロン繊維をCR組成物ではさみ、150℃で30分間プレス加硫して調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表8に示す。表8から明らかなように、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体(CR組成物−テトロン繊維複合体)の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0129】
実施例33
<ゴム組成物の調製>
クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)を原料ゴムとし、以下の配合によりCSM組成物を12インチロールで調製した。
【0130】
CSM(エクトス(登録商標)T8010、東ソー製) 100.0重量部
酸化マグネシウム 4.0
ステアリン酸 1.5
SRFカーボンブラック 40.0
ペンタエリスリトール 3.0
ジペンタメチレンジスルフィド 0.2
<ゴム組成物−繊維複合体の調製>
ゴム組成物−繊維複合体は、予めイソシアネート化合物であるディスモジュールRE(住友バイエル社製)を酢酸エチルで希釈した5%溶液に浸漬し、140℃で乾燥したテトロン繊維を、樹脂固形分にして、RFL樹脂100.0重量部と実施例1で調製した塩化ビニル系重合体20.0重量部になるようにしたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液で処理したテトロン繊維をCSM組成物ではさみ、150℃で30分間プレス加硫して調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表8に示す。表8から明らかなようにゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体(CSM組成物−テトロン繊維複合体)の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0131】
実施例34〜37
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤の調製>
レゾルシン11.0g、ホルマリン37%水溶液16.2g(乾燥重量6.0g)、水酸化ナトリウム0.3g及び水235.8gを0.5リットルビーカー中で溶解し、室温(25℃)で6時間マグネチックスターラーを用い攪拌し縮合させた後、樹脂固形分6.5重量%のRF液266.0gを得た。
【0132】
そして固形分にして、RF17.3gとポリビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴム100.0gになるようにRF液266.0重量部及びポリビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス(日本ゼオン社製、ニポール2518FS)247.0g及び水74.0gを加え1リットルの攪拌機のついたビーカーに入れ、攪拌しながら20時間熟成し、固形分濃度20重量%のRFL液583.0gのゴム組成物−繊維複合体用接着剤を得た。
【0133】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の調製>
固形分にして、RFL樹脂100.0重量部と塩化ビニル系重合体20.0重量部になるようにRFL液200.0gと実施例1で調製した接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)19.1gを0.5リットルビーカーに入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら30分間熟成後、固形分濃度22重量%のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製し、ブロックイソシアネート化合物として2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体(DM6400、明成化学株式会社製)4.3gを加え10分間攪拌した後100メッシュの金網でろ過し、固形分濃度22重量%のRFL接着剤処理液のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製した。
【0134】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液での処理(ナイロン繊維の調製)>
ナイロン布(敷島カンバス社製、N−856)をゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液に10分間浸漬後、140℃のギヤーオーブンで乾燥し、引き続いて190℃の電熱プレス上で2分間無圧のベーキング処理を行い、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液による処理繊維とした。
【0135】
<ゴム組成物−繊維複合体の調製>
ゴム組成物−繊維複合体は、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液による処理繊維を各々SBR組成物、天然ゴム組成物、CR組成物、CSM組成物ではさみ、150℃で30分間プレス加硫して調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表9に示す。表9から明らかなように、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体(SBR組成物−ナイロン繊維複合体、天然ゴム組成物−ナイロン繊維複合体、CR組成物−ナイロン繊維複合体、CSM組成物−ナイロン繊維複合体)の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0136】
【表9】
実施例38〜41
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤の調製>
固形分にして、RF23.3重量部とポリビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴム100.0重量部になるようにRF液366.0g及びポリビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス(日本ゼオン社製、ニポール2518GL)250.0gを1リットルの攪拌機のついたビーカーに入れ、攪拌しながら約20時間熟成し、固形分濃度20重量%のRFL液616.0gのゴム組成物−繊維複合体用接着剤を得た。
【0137】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の調製>
固形分にして、RFL樹脂100.0重量部と塩化ビニル系重合体20.0重量部になるようにRFL液200.0g及び実施例1で調製した接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)19.1gを0.5リットルビーカーに入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら10分間熟成後、ブロックイソシアネート化合物として2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体(DM6400、明成化学株式会社製)4.3gを加え10分間攪拌した後100メッシュの金網でろ過し、固形分濃度22重量%のRFL接着剤処理液のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製した。
【0138】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液での処理(ガラス繊維の調製)>
ガラス繊維布(カネボウ社製、KS4300UNT)をゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液に10分間浸漬後、140℃のギヤーオーブンで乾燥し、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液による処理繊維とした。
【0139】
<ゴム組成物−繊維複合体の調製>
ゴム組成物−繊維複合体は、ゴム組成物−繊維複合体接着剤処理液による処理繊維を各々SBR組成物、天然ゴム組成物、CR組成物、CSM組成物ではさみ、150℃で30分間プレス加硫して調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表10に示す。表10から明らかなように、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体(SBR組成物−ガラス繊維複合体、天然ゴム組成物−ガラス繊維複合体、CR組成物−ガラス繊維複合体、CSM組成物−ガラス繊維複合体)の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0140】
【表10】
実施例42
<ゴム組成物の調製>
水素添加NBR100重量部を原料ゴムとし、以下の配合により水素添加NBRゴム組成物を8インチロールで調製した。
【0141】
水素添加NBR(ゼットポール2020、日本ゼオン製) 100.0重量部
酸化亜鉛 5.0
ステアリン酸 1.0
HAFカーボンブラック 40.0
トリオクチルトリメリット酸 5.0
硫黄 0.5
ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィッド 1.5
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド 1.5
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤の調製>
予め−フェニレンジマレイミド(バルノックPM、大内新興製)の50重量%水分散液、及び30重量%カーボンブラック水分散液を、分散剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PS100、東ソー製)を用い、ホモジナイザーで分散液を調製後、固形分にして水素添加NBR100重量部に対しm−フェニレンジマレイミド25重量、カーボンブラック35重量部になるように、水素添加NBRラテックス(ゼットポールZLX−B、日本ゼオン社製)247.0g、ビスマレイミド分散液60.0g、カーボンブラック水分散液として116.7gをホモジナイザーを用い混合・分散させ、マレイミド接着剤のゴム組成物−繊維複合体用接着剤を得た。
【0142】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の調製>
固形分にしてマレイミド接着剤のゴム組成物−繊維複合体用接着剤100重量部に対し塩化ビニル系重合体12.4重量部になるように実施例1で調製した接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)33.4gをゴム組成物−繊維複合体用接着剤に混合しホモジナイザーで混合・分散させ、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液処理液を調製した。
【0143】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液での処理(ガラス繊維の調製)>
ガラス繊維布(カネボウ社製、KS4300UNT)をゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液に10分間浸漬後、140℃のギヤーオーブンで乾燥し、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液による処理繊維とした。
【0144】
<ゴム組成物−繊維複合体の調製>
ゴム組成物−繊維複合体は、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液による処理繊維を水素添加NBR組成物ではさみ、150℃で30分間プレス加硫して調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表11に示す。表11から明らかなように、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0145】
【表11】
実施例43〜45
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の調製>
実施例9〜11で調製した接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を用いた以外は、実施例42と同様にして、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液処理液を調製した。
【0146】
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液での処理(ガラス繊維の調製)>
ガラス繊維布を実施例42と同様の方法でゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液による処理繊維とした。
【0147】
<ゴム組成物−繊維複合体の調製>
ゴム組成物−繊維複合体は、実施例42と同様にして調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表11に示す。表11から明らかなように、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は乳化安定性に優れ、得られたゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が優れた。
【0148】
比較製造例1
<微細懸濁重合法による塩化ビニル系ポリマーラテックスの調製>
1m
3オートクレーブ中に脱イオン水360.0kg、塩化ビニルモノマー300.0kg、過酸化ラウロイル5.7kgおよび15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30.0kgを仕込み、この重合液を3時間ホモジナイザーを用いて循環し、均質化処理後、温度を45℃に上げて重合を進めた。圧力が低下した後に重合を停止し、未反応の塩化ビニルモノマーを回収し、固形分含有率35重量%粒子が0.55μmの平均粒子径を有し、かつポリマーを基として2重量%の過酸化ラウロイルを含有するシ−ドラテックス1を得た。
【0149】
2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水500g、塩化ビニルモノマー500.0g、5重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を16.0g、シードラテックス1を95.0g、0.1重量%硫酸銅水溶液4.0gを仕込み反応混合物の温度を48℃に上げると共に、0.05重量%アスコルビン酸水溶液150.0gを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始してから重合転化率85%までの間、塩化ビニルモノマー100重量部に対して0.7重量部のラウリル硫酸ナトリウムを連続的に添加した。重合圧が48℃における塩化ビニル飽和蒸気圧から2kg/cm
2降下した時に重合を停止し、未反応の塩化ビニルモノマーを回収し、塩化ビニル系ポリマーラテックスを得た(塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量:0.13重量部、ラウリン酸カリウムの量:0.50重量部、平均粒子径:1.52μm)。
【0150】
比較製造例2
<乳化重合法によるアクリル酸ブチルホモポリマーラテックスの調製>
0.5Lのセパラブルフラスコに窒素雰囲気下、アクリル酸ブチル79.00gとドデシルメルカプタン0.125gの混合物を連続添加した(重合中の連続添加−1)。同時に過硫酸アンモニウム0.183g、ラウリル硫酸ナトリウム0.131gを脱イオン水15.0gに溶解した水溶液を連続添加した(重合中の連続添加−2)。6時間の反応後、ラテックス中の固形分測定により重合率が100%であることを確認した後、反応液を冷却し、アクリル酸ブチルポリマーラテックス組成物を得た(アクリル酸ブチルポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量:2.6重量部、ラウリル硫酸ナトリウムの量:0.13重量部、乳化剤の合計量:2.73重量部、平均粒子径:0.21μm)。
【0151】
比較製造例3〜4
表12に示す通り、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量を変えた以外は製造例1と同様の操作で、塩化ビニル系ポリマーラテックスを得た(塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量及びラウリン酸カリウムの量、平均粒子径を表12に示す)。
【0152】
【表12】
比較製造例5〜6
表12に示す通り、ラウリン酸カリウム量を変えた以外は製造例1と同様の操作で、塩化ビニル系ポリマーラテックスを得た(塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量及びラウリン酸カリウムの量、平均粒子径を表12に示す)。
【0153】
比較製造例7
表12に示す通り、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量及びラウリン酸カリウムの量を変えた以外は製造例1と同様の操作で、塩化ビニル系ポリマーラテックスを得た(塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量及びラウリン酸カリウムの量、平均粒子径を表12に示す)。
【0154】
比較例1
表13に示す通り、比較製造例1で得られた塩化ビニル系ポリマーラテックスを用いた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表13に示す)。
【0155】
【表13】
比較例2〜3
表13に示す通り、比較製造例3〜4で得られたドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量を変えた塩化ビニル系ポリマーラテックスを用いた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表13に示す)。
【0156】
比較例4〜5
表13に示す通り、比較製造例5〜6で得られたラウリン酸カリウム量を変えた塩化ビニル系ポリマーラテックスを用いた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表13に示す)。
【0157】
比較例6
表13に示す通り、比較製造例7で得られたドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量及びラウリン酸カリウム量を変えた塩化ビニル系ポリマーラテックスを用いた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表13に示す)。
【0158】
比較例7
表14に示す通り、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート12.000gを追加添加し、脱イオン水を150.0gに変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表14に示す)。
【0159】
【表14】
比較例8〜9
表14に示す通り、アクリル酸ブチル量を変えた以外は実施例1と同様の方法により、接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を得た(コア部を構成する塩化ビニル系ポリマー100重量部に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量、ラウリン酸カリウムの量、ラウリル硫酸ナトリウムの量、乳化剤の合計量、平均粒子径、シェル部のポリマー含有量を表14に示す)。
【0160】
比較例10
<ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の調製>
実施例1で得られた接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)を入れないで、固形分にして実施例16と同一組成のRFL液100.0重量部と2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体4.3gを加え10分間攪拌した後100メッシュの金網でろ過し、ゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製した。この処理液に対し、テトロン繊維を10分間浸漬し140℃で水分を除去した後、240℃で2分間ベーキング処理を行い処理繊維を得た。この処理繊維とSBRゴム組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表15に示す。表15から明らかなように、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は、乳化安定性に優れていたものの、実施例16に比べ、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0161】
【表15】
比較例11
固形分にして、実施例16と同一組成のRFL樹脂100.0重量部と製造例1で得られた塩化ビニル系ポリマーラテックスと、比較製造例2で得られたブチルアクリル酸ポリマーラテックスを室温で30分間混合・分散させたラテックスブレンド(ブレンド比:90/10重量部)の接着助剤(塩化ビニル系ポリマーとアクリル酸ブチルポリマーのブレンド体)と2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体を加えたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製し、テトロン繊維の処理を行い、この処理繊維とSBR組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表15に示す。表15から明らかなように、塩化ビニル系ポリマーとアクリル酸ブチルポリマーのラテックスブレンドの接着助剤を含むゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液は、乳化安定性に優れていたものの、ゴム組成物−繊維複合体の、初期接着力、耐熱劣化後の接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0162】
比較例12
固形分にして、実施例16と同一組成のRFL樹脂100.0重量部と比較例1の塩化ビニル系重合体20重量部になるようにRFL液及び接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)と2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体を加えたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製し、テトロン繊維の処理を行い、この処理繊維とSBRゴム組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表15に示す。表15から明らかなように、実施例16に比べ、比較例1を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性に劣り、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力や耐熱劣化後の接着力及び耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0163】
比較例13〜14
固形分にして、実施例16と同一組成のRFL樹脂100.0重量部と比較例2〜3のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの異なる塩化ビニル系重合体20重量部になるようにRFL液及び接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)と2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4‘−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体を加えたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製し、テトロン繊維の処理を行い、この処理繊維とSBR組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表15に示す。表15から明らかなように、実施例16に比べ、比較例2を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。また比較例3を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、実施例16に比べ、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0164】
比較例15〜16
固形分にして、実施例16と同一組成のRFL樹脂100.0重量部と比較例4〜5のラウリン酸カリウムの異なる塩化ビニル系重合体20重量部になるようにRFL液及び接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)と2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体を加えたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製し、テトロン繊維の処理を行い、この処理繊維とSBRゴム組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表16に示す。表16から明らかなように、実施例16に比べ、比較例4を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。また比較例5を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、実施例16に比べ、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0165】
【表16】
比較例17
固形分にして、実施例16と同一組成のRFL樹脂100.0重量部と比較例6の平均粒子径が0.30μmを超える塩化ビニル系重合体20重量部になるようにRFL液及び接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)と2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体を加えたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製し、テトロン繊維の処理を行い、この処理繊維とSBR組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表16に示す。表16から明らかなように、実施例16に比べ、比較例6を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は劣り、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0166】
比較例18
固形分にして、実施例16と同一組成のRFL樹脂100.0重量部と比較例7の乳化剤量が10重量部を超える塩化ビニル系重合体20重量部になるようにRFL液及び接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)と2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4‘−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体を加えたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製し、テトロン繊維の処理を行い、この処理繊維とSBRゴム組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表16に示す。表16から明らかなように、実施例16に比べ、比較例5を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0167】
比較例19〜20
固形分にして、実施例16と同一組成のRFL樹脂100.0重量部と比較例8〜9のシェル部の含有量が2重量部未満及び100重量を超過する塩化ビニル系重合体20重量部になるようにRFL液及び接着助剤(塩化ビニル系重合体ラテックス)と2.6重量部のジフェニルメタン−ビス−4,4’−メチルエチルケトオキシムカルバメートの水分散体を加えたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製し、テトロン繊維の処理を行い、この処理繊維とSBRゴム組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表16に示す。表16から明らかなように、実施例16に比べ、比較例8を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力は劣っていた。また、比較例9を用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力は劣っていた。
【0168】
比較例21
実施例16で用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を用い、実施例で得られた接着助剤を使用せず、ゴムをSBRから天然ゴムに変更した以外は初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性の評価をテトロン繊維で行った。その結果を表17に示す。表17から明らかなように、実施例31に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0169】
【表17】
比較例22
ゴムを天然ゴムからCRに変更した以外は比較例21と同様にして、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性の評価をテトロン繊維で行った。その結果を表17に示す。表17から明らかなように、実施例32に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0170】
比較例23
固形分にして実施例16と同一組成のRFL樹脂100.0重量部に相当するゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を調製した。テトロン繊維はディスモジュールREで実施例33と同じように前処理し、CSM−テトロン繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表17に示す。表17から明らかなように、実施例33に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0171】
比較例24
実施例34〜37と同一組成のゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を用い、実施例で得られた接着助剤を使用せず、ナイロン繊維の処理を行い、この処理繊維とSBR組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表18に示す。表18から明らかなように、実施例34に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0172】
【表18】
比較例25
ゴムをSBRから天然ゴムに変更した以外は比較例24と同様にしてゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表18に示す。表18から明らかなように、実施例35に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0173】
比較例26
ゴムを天然ゴムからCRに変更した以外は比較例24と同様にしてゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表18に示す。表18から明らかなように実施例36に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0174】
比較例27
ナイロン繊維はディスモジュールREで実施例37と同じように前処理し、ゴムを天然ゴムからCSMに変更した以外は比較例24と同様にしてゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表18に示す。表18から明らかなように、実施例37に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0175】
比較例28
実施例38で用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を用い、実施例で得られた接着助剤を使用せず、ガラス繊維の処理を行い、この処理繊維とSBR組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表19に示す。表19から明らかなように、実施例38に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0176】
【表19】
比較例29
ゴムをSBRから天然ゴムに変更した以外は比較例28と同様にしてゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表19に示す。表19から明らかなように、実施例39に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0177】
比較例30
ゴムを天然ゴムからCRに変更した以外は比較例28と同様にしてゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表19に示す。表19から明らかなように、実施例40に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0178】
比較例31
ゴムをCRからCSMに変更した以外は比較例28と同様にしてゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表19に示す。表19から明らかなように、実施例41に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0179】
比較例32
実施例42で用いたゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液を用い、実施例で得られた接着助剤を使用せず、ガラス繊維の処理を行い、この処理繊維とSBR組成物を加硫接着し、ゴム組成物−繊維複合体を調製し、初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着性を評価した。その結果を表20に示す。表20から明らかなように、実施例42に比べ、接着助剤を含まないゴム組成物−繊維複合体用接着剤処理液の乳化安定性は優れていたが、ゴム組成物−繊維複合体の初期接着力、高温雰囲気下での接着力、耐熱劣化後の接着力及び耐熱屈曲疲労後の接着力が劣っていた。
【0180】
【表20】