特許第6032118号(P6032118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032118
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20161114BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   G09G3/32 A
   G09G3/20 622D
   G09G3/20 623D
   G09G3/20 621F
   G09G3/20 622G
   G09G3/20 623R
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-94791(P2013-94791)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-215565(P2014-215565A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】北野 昌美
【審査官】 西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−25122(JP,A)
【文献】 特開2001−109428(JP,A)
【文献】 特開2007−79531(JP,A)
【文献】 特開平11−95723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G3/00−3/08
3/12
3/16
3/19−3/26
3/30
3/34
3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、前記複数の発光素子に接続された複数の共通ラインおよび複数の駆動ラインと、タイミング信号を出力するソースドライバと、前記ソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて開閉し前記複数の共通ラインを所定の時間間隔をおいて時分割で電圧供給部に接続する複数の第1スイッチ部と、前記複数の駆動ラインを電圧供給部に接続する複数の第2スイッチ部と、を備えた表示装置であって、
前記複数の第2スイッチ部は、前記ソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて開閉し、前記所定の時間間隔内において前記複数の駆動ラインを電圧供給部に接続することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記複数の第2スイッチ部は、前記所定の時間間隔の終わりより早く開くことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミック点灯制御方式の表示装置では、共通ラインへの電圧印加期間中に駆動ラインから電流を引き込むことにより、発光素子を点灯させる。ただし、駆動ラインから電流を引き込んでいない場合であっても、共通ラインから駆動ライン(寄生容量)へ電流がリークすると、発光素子は誤って点灯してしまう。そこで、従来、駆動ラインから電流を引き込んでいない期間内に駆動ライン上の寄生容量を充電する表示装置が提案された(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"TLC5944"、[online]、07 Jul 2009、Texas Instruments Incorporated.、[平成25年4月4日検索]、インターネット〈URL:http://www.ti.com/lit/ds/symlink/tlc5944.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の表示装置では、駆動ライン上の寄生容量の充電が共通ラインへの電圧印加期間が始まるまでに必ず完了するように設計されていなかった。このため、上記従来の表示装置では、共通ラインへの電圧印加期間が始まっているにもかかわらず駆動ラインを介して電流を引き込めない場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、駆動ライン上の寄生容量の充電が共通ラインへの電圧印加期間が始まるまでに必ず完了するように設計された表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を次の手段により解決する。
【0007】
本発明は、複数の発光素子と、前記複数の発光素子に接続された複数の共通ラインおよび複数の駆動ラインと、タイミング信号を出力するソースドライバと、前記ソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて開閉し前記複数の共通ラインを所定の時間間隔をおいて時分割で電圧供給部に接続する複数の第1スイッチ部と、前記複数の駆動ラインを電圧供給部に接続する複数の第2スイッチ部と、を備えた表示装置であって、前記複数の第2スイッチ部は、前記ソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて開閉し、前記所定の時間間隔内において前記複数の駆動ラインを電圧供給部に接続することを特徴とする表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る表示装置の概略回路図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るタイミングチャートである。
図3】本発明の第2実施形態に係る表示装置の概略回路図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るタイミングチャートである。
図5】本発明の第3実施形態に係る表示装置の概略回路図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置の概略回路図であり、図2は、本発明の第1実施形態に係るタイミングチャートである。
【0011】
図1、2に示すように、本発明の第1実施形態に係る表示装置は、複数の発光素子(LED1〜4)と、複数の発光素子(LED1〜4)に接続された複数の共通ライン(COM1、COM2)および複数の駆動ライン(S1、S2)と、タイミング信号を出力するソースドライバと、ソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて開閉し複数の共通ライン(COM1、COM2)を所定の時間間隔Xをおいて時分割で電圧供給部に接続する複数の第1スイッチ部(SW11、SW12)と、複数の駆動ライン(S1、S2)を電圧供給部に接続する複数の第2スイッチ部(SW21、SW22)と、を備えた表示装置であって、複数の第2スイッチ部(SW21、SW22)は、ソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて開閉し、所定の時間間隔X内において複数の駆動ライン(S1、S2)を電圧供給部に接続する表示装置である。以下、順に説明する。
【0012】
(複数の発光素子:LED1〜4)
複数の発光素子には、図1に示すように、例えば発光ダイオード(LED1〜4)を用いる。複数の発光素子(LED1〜4)は、複数の共通ライン(COM1、COM2)と複数の駆動ライン(S1、S2)とに接続される。
【0013】
(共通ライン、駆動ライン:COM1、COM2、S1、S2)
共通ライン(COM1、COM2)や駆動ライン(S1、S2)には、例えば銅箔を用いる。
【0014】
(ソースドライバ)
ソースドライバには、例えばICチップを用いる。ソースドライバは、複数の第1スイッチ部(SW11、SW12)にタイミング信号をそれぞれ出力する。
【0015】
(第1スイッチ部:SW11、SW12)
第1スイッチ部(SW11、SW12)には、例えばゲート電圧がLレベルとなる期間(L期間)で閉じるpチャネル型のFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いる。複数の第1スイッチ部(SW11、SW12)は、ソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて開閉し、複数の共通ライン(COM1、COM2)を所定の時間間隔Xをおいて時分割で電圧供給部に接続する。これにより、複数の共通ライン(COM1、COM2)に電圧が順次印加される。なお、図2中の「CM1」及び「CM2」は、第1スイッチ部(SW11、SW12)の入力信号(例:FETのゲート信号)を示す。
【0016】
(第2スイッチ部:SW21、SW22)
第2スイッチ部(SW21、SW22)には、例えばゲート電圧がLレベルとなる期間(L期間)で閉じるpチャネル型のFETを用いる。複数の第2スイッチ部(SW21、SW22)は、ソースドライバから出力されるタイミング信号が入力されたNAND回路の出力信号で開閉し、所定の時間間隔X内において複数の駆動ライン(S1、S2)を電圧供給部に接続する。これにより、複数の駆動ライン(S1、S2)上の寄生容量(C1、C2)が充電される。なお、図2中の「CHARGE」は、第2スイッチ部(SW21、SW22)の入力信号(例:FETのゲート信号)を示す。
【0017】
(シンクドライバ)
シンクドライバには、例えばICチップを用いる。シンクドライバは、駆動ライン(S1、S2)の全部または一部から電流を引き込む。これにより、電圧が印加されている共通ラインに接続されている発光素子のうち、電流が引き込まれた駆動ラインに接続されている発光素子が点灯する。
【0018】
以上のとおり、本発明の第1実施形態に係る表示装置では、駆動ライン(S1、S2)上の寄生容量(C1、C2)がソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて充電される。このため、駆動ライン(S1、S2)上の寄生容量(C1、C2)の充電は、共通ライン(COM1、COM2)への電圧印加期間が始まるまでに必ず完了する。したがって、本発明の第1実施形態によれば、共通ライン(COM1、COM2)への電圧印加期間の始まりから終わりまでを駆動ライン(S1、S2)から電流を引き込むことができる期間として活用することが可能となるため、点灯時間を細かく設定して発光素子の明るさを微細に変えることにより、表示装置に豊かな表現力を持った表示を行わせることができる。
【0019】
なお、第2スイッチ部(SW21、SW22)を上記FETなどの素子により構成する場合は、第2スイッチ部(SW21、SW22)がタイミング信号から数ナノ秒程度遅れて開閉することがある。したがって、この場合、複数の駆動ライン(S1、S2)は、電圧供給部に、所定の時間間隔Xの始まりから数ナノ秒程度遅れて接続され、所定の時間間隔Xの終わりから数ナノ秒程度遅れて接続解除される。よって、数ナノ秒程度のスケールで考えると、駆動ライン(S1、S2)上の寄生容量(C1、C2)を充電する充電期間(の終わり)は、共通ライン(COM1、COM2)への電圧印加期間(の始まり)に対して数ナノ秒程度重なることとなる。
【0020】
しかしながら、この程度の重なりは、本発明の第1実施形態に係る表示装置において特段の悪影響を及ぼさず誤差の範囲であるため、本発明の第1実施形態では、この程度の誤差がある場合であっても、所定の時間間隔X内において複数の駆動ライン(S1、S2)が電圧供給部に接続されているものと考える。
【0021】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る表示装置の概略回路図であり、図4は、本発明の第2実施形態に係るタイミングチャートである。
【0022】
図3に示すように、本発明の第2実施形態に係る表示装置は、スイッチ制御部を備える点で、本発明の第1実施形態に係る表示装置と相違する。
【0023】
図4に示すように、本発明の第2実施形態に係る表示装置では、スイッチ制御部が、ソースドライバから出力されたタイミング信号が入力されたNAND回路の出力信号を用いて、所定の時間間隔Xよりスイッチが閉じる期間が短くなる信号(例:第2スイッチ部に上記したpチャネル型のFETを用いる場合は、第2スイッチ部が「L期間=X-Y」となるように動作する信号)を生成し、第2スイッチ部(SW21、SW22)に出力する。
【0024】
本発明の第2実施形態に係る表示装置によれば、複数の第2スイッチ部(SW21、SW22)が所定の時間間隔Xの終わりより時間間隔Yだけ早く開くため、駆動ライン(S1、S2)上の寄生容量(C1、C2)を充電する充電期間(の終わり)は、共通ライン(COM1、COM2)への電圧印加期間(の始まり)に対して数ナノ秒程度ですらも重ならないようになり、両期間の間に時間間隔Yが確保される。
【0025】
したがって、本発明の第2実施形態によれば、共通ライン(COM1、COM2)への電圧印加期間の始まりから終わりまでを駆動ライン(S1、S2)から電流を引き込むことができる期間としてより活用することが可能となるため、点灯時間をより細かく設定して発光素子の明るさをより微細に変えることにより、表示装置により豊かな表現力を持った表示を行わせることができる。
【0026】
なお、本発明の第2実施形態において、スイッチ制御部には、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いることができる。
【0027】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係る表示装置の概略回路図であり、図6は、本発明の第3実施形態に係るタイミングチャートである。
【0028】
図5に示すように、本発明の第3実施形態に係る表示装置は、スイッチ制御部がNOT回路とカウンターICとOR回路とを有する点で、本発明の第2実施形態に係る表示装置と相違する。
【0029】
図6に示すように、本発明の第3実施形態に係る表示装置では、スイッチ制御部が、ソースドライバから出力されたタイミング信号が入力されたNAND回路の出力信号を用いて、所定の時間間隔Xよりスイッチが閉じる期間が短くなる信号(例:第2スイッチ部に上記したpチャネル型のFETを用いる場合は、第2スイッチ部が「L期間=X-Y-Z」となるように動作する信号)を生成し、第2スイッチ部(SW21、SW22)に出力する。
【0030】
本発明の第3実施形態に係る表示装置によれば、複数の第2スイッチ部(SW21、SW22)が、所定の時間間隔Xの始まりから時間間隔Zだけ遅れて閉じるとともに、所定の時間間隔Xの終わりより時間間隔Yだけ早く開くため、駆動ライン(S1、S2)上の寄生容量(C1、C2)を充電する充電期間(の終わり)は、共通ライン(COM1、COM2)への電圧印加期間(の始まり)に対して数ナノ秒程度ですらも重ならないようになり、両期間の間に時間間隔Yが確保される。
【0031】
したがって、本発明の第3実施形態によれば、共通ライン(COM1、COM2)への電圧印加期間の始まりから終わりまでを駆動ライン(S1、S2)から電流を引き込むことができる期間としてより活用することが可能となるため、点灯時間をより細かく設定して発光素子の明るさをより微細に変えることにより、表示装置により豊かな表現力を持った表示を行わせることができる。
【0032】
なお、ソースドライバから出力されるタイミング信号に基づいて開閉する形態には、ソースドライバから出力されるタイミング信号が入力されたNAND回路の出力信号で開閉する形態や、ソースドライバから出力されるタイミング信号が入力されたNAND回路の出力信号を用いて生成された信号で開閉する形態のほか、ソースドライバから出力されるタイミング信号それ自体で開閉する形態や、ソースドライバから出力されるタイミング信号を用いて生成された信号で開閉する形態などの、タイミング信号に起因して開閉する様々な形態が含まれる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。一例を挙げると、例えば、共通ラインや駆動ラインの本数、発光素子の個数、第1スイッチ部や第2スイッチ部の個数などは、本発明を何ら限定するものではない。また、図1、3、5では、共通ラインと駆動ラインとが別々の電圧供給部に接続される形態を示したが、共通ラインと駆動ラインとは、同一の電圧供給部に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0034】
COM1、2 共通ライン
S1、2 駆動ライン
LED1〜4 発光素子
SW11、12 第1スイッチ部
SW21、22 第2スイッチ部
CM1、2 第1スイッチ部の入力信号
CHARGE 第2スイッチ部の入力信号
C1、2 駆動ライン上の寄生容量
X 時間間隔
Y 時間間隔
Z 時間間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6