特許第6032272号(P6032272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6032272開環メタセシス重合体水素化物の製造方法及び樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032272
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】開環メタセシス重合体水素化物の製造方法及び樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/08 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   C08G61/08
【請求項の数】7
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2014-504997(P2014-504997)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(86)【国際出願番号】JP2013057217
(87)【国際公開番号】WO2013137398
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-60138(P2012-60138)
(32)【優先日】2012年3月16日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-218199(P2012-218199)
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-218200(P2012-218200)
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-218201(P2012-218201)
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-5154(P2013-5154)
(32)【優先日】2013年1月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
(72)【発明者】
【氏名】堤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】田口 和典
(72)【発明者】
【氏名】大迫 ゆみ
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−501936(JP,A)
【文献】 特表2008−546846(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/013208(WO,A1)
【文献】 特表2004−506755(JP,A)
【文献】 特表2010−503713(JP,A)
【文献】 特表2007−501199(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/010317(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0166955(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0220512(US,A1)
【文献】 特表2007−534640(JP,A)
【文献】 特表2005−524733(JP,A)
【文献】 Janis Louie et al.,Metathesis of Electron-Rich Olefins: Strusture and Reactivity of Electron-Rich Carbene Complexes,Organometallics,2002年,Vol.21,p.2153-2164
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00−61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記式(2)
【化1】
〔式中、R28は、C−C20アルキル基;C−C20シクロアルキル基;C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基;又は下記式(3)で表される基
【化2】
(式中、R29は、C−Cアルキレン基を表し、R30、R31はそれぞれ独立して、C−C10アルキル基、又はC−C10ハロゲン化アルキルを表す。)を示す。〕
で表される単量体を含む環状オレフィンを、重合触媒の存在下に開環メタセシス重合させた後、生成した開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素化する開環メタセシス重合体水素化物の製造方法において、
前記重合触媒として、下記式(I)で示されるルテニウム化合物を用いることを特徴とする開環メタセシス重合体水素化物の製造方法。
【化3】
〔式中、X、Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子を表す。
下記式(1−1)〜(1−3)
【化4】
(式中、R17、R18はそれぞれ独立して、フェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、及び、メチルナフチル基を表す。R19〜R22はそれぞれ独立して、水素原子、C−C10アルキル基を表す。R23〜R25はそれぞれ独立して、C−C20アルキル基;C−C20アルコキシ基;C−C20シクロアルキル基;フェニル基;4−メチルフェニル基;2、4−ジメチルフェニル基;2,4,6−トリメチルフェニル基;フェノキシ基;1−ナフトキシ基;2−ナフトキシ基;フリル基;チエニル基;ピリジル基;ピペラジニル基;又はオキサニル基;を表す。)
のいずれかである化合物であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリル基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基;ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基;ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基;ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいC−C20複素環基−C20アルキルスルホニル基、C−C20アルキルスルフィニル基、ホルミル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。
は、式:(Rb1)(Rb2)NSO−で表される基、ホルミル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、式:(Rc1)(Rc2)NCO−で表される基、アミド基、ハロゲン原子、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。Rb1、Rc1は、水素原子、C−C20アルキル基、又は;ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rb2、Rc2は、水素原子、C−C20アルキル基、又は;ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基で表される基を表す。また、Rb1とRb2、Rc1とRc2は、それぞれ一緒になって結合して環を形成していてもよい。
、Rそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、C−C20アリールオキシ基、C−C20アリール基、C−C20複素環基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。
は、水素原子、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリル基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基;ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリール基;ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基;ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有していてもよいC−C20複素環基−C20アルキルスルホニル基、C−C20アルキルスルフィニル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、C−C20アルキルスルホニルアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC−C20アリールカルボニル基を表す。
は、酸素原子、硫黄原子、NR又はPRを表し、Rは、水素原子又はC−C20アルキル基を表す。〕
【請求項2】
開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも98%を水素化させる請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記式(I)で示されるルテニウム化合物が、下記式(I−1)
【化5】
(式中、L、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記式(I)で示されるルテニウム化合物が、下記式(I−2)
【化6】
(式中、L、R、R〜R、Rb1及びRb2は、請求項1の記載と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記式(I)で示されるルテニウム化合物が、下記式(I−3)
【化7】
(式中、R、R〜R、R17、R18、Rb1及びRb2は、請求項1の記載と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記式(I)で示されるルテニウム化合物が、下記式(I−4)
【化8】
(式中、R、R〜R、R23〜R25、Rb1及びRb2は、請求項1の記載と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記環状オレフィンを前記重合触媒の存在下に開環メタセシス重合させた後、得られた反応混合物を水素雰囲気下に置くことにより、前記水素化反応を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の画素分離膜及び平坦化膜、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜及び保護膜等の形成材料等として有用な開環メタセシス重合体水素化物の製造方法、及び前記開環メタセシス重合体水素化物を含有する樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、触媒として遷移金属化合物を用いる環状オレフィンのメタセシス開環重合方法がよく知られている。かかるメタセシス触媒の中心金属としては、周期表第6族のWやMoのほか、Nb、Ta、Re、Zr、Ti、Ru、Os、Ir等が知られている。そのなかでもルテニウムを含む触媒系は、水やアルコール等の触媒失活成分の影響を受けにくいという特長を有しているため、近年、その改良が盛んに行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、配位子として、トリフェニルホスフィンやトリシクロヘキシルホスフィンのような中性電子供与体が2つ配位したルテニウムベンジリデン化合物を用いて、環状オレフィンをメタセシス開環重合させた後、重合反応液に改質剤を添加して重合を停止させ、次いで水素圧力下で環状オレフィンの開環重合体を水素化する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ルテニウムに少なくとも1つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位してなるルテニウムカルベン錯体をメタセシス重合触媒として用い、環状オレフィンを開環メタセシス重合した後、生成した開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素化する開環メタセシス重合体水素化物の製造方法が記載されている。この文献には、用いるルテニウムカルベン錯体として、下記式(a)、(b)で表わされるルテニウム化合物が開示されている。
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、R111、R112は水素原子又はC−C20の炭化水素基等を、X11、X12は任意のアニオン性配位子を、L11はヘテロ原子含有カルベン化合物を、L12はヘテロ原子含有カルベン化合物又は任意の中性の電子供与性化合物等をそれぞれ表す。)
【0007】
上記特許文献1、2等に記載されている環状オレフィンの開環重合体水素化物は、透明性や各種電気特性に優れるため、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の画素分離膜及び平坦化膜、薄膜トランジスタ(TFT)のゲート絶縁膜及び保護膜等の電気絶縁材料等として有用である。
しかしながら、近年における科学技術の進展に伴い、より透明性や電気特性に優れる電気絶縁材料が求められているのが現状である。
【0008】
本発明に関連して、特許文献3には、本発明に用いるのと同様の構造を有するルテニウム化合物が、メタセシス重合触媒として有用であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−195182号公報
【特許文献2】特開2001−240658号公報
【特許文献3】特表2008−546846号公報(US2007/0043180)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、特に光透過率に優れる開環メタセシス重合体水素化物を工業的に有利に製造する方法、及び、この製造方法により得られた開環メタセシス重合体水素化物を含有する樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
(a)前記特許文献3に記載されたものと同様の構造を有するルテニウム化合物を、環状オレフィンのメタセシス重合触媒として用いることにより、収率よく環状オレフィン開環重合体を得ることができること、及び、
(b)得られた環状オレフィンの開環重合体を水素化して得られる開環メタセシス重合体水素化物は、従来のルテニウム化合物をメタセシス重合触媒として用いて、環状オレフィンの開環重合、水素化して得られる開環メタセシス重合体水素化物に比して、光線透過率に優れるため、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の画素分離膜及び平坦化膜、薄膜トランジスタ(TFT)のゲート絶縁膜及び保護膜等の形成材料として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔13〕の開環メタセシス重合体水素化物の製造方法、及び、〔14〕の樹脂組成物が提供される。
【0013】
〔1〕環状オレフィンを、重合触媒の存在下に開環メタセシス重合させた後、生成した開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素化する開環メタセシス重合体水素化物の製造方法において、
前記重合触媒として、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)からなる群から選ばれる少なくとも一種のルテニウム化合物を用いることを特徴とする開環メタセシス重合体水素化物の製造方法。
【0014】
【化2】
【0015】
〔式中、X〜Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、又は、−O−(C=O)−Rで表される基を表し、Rは置換基を有していてもよいC−C20アルキル基を表す。
〜Lはそれぞれ独立して、電子供与性の化合物配位子を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリル基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20複素環基、C−C20アルキルスルホニル基、C−C20アルキルスルフィニル基、ホルミル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。
は、式:(Rb1)(Rb2)NSO−で表される基、ホルミル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、式:(Rc1)(Rc2)NCO−で表される基、アミド基、ハロゲン原子、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。Rb1、Rc1は、水素原子、C−C20アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rb2、Rc2は、水素原子、C−C20アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は、式:G−D−(式中、Dは連結基を表し、Gは高分子主鎖を表す。)で表される基を表す。また、Rb1とRb2、Rc1とRc2は、それぞれ一緒になって結合して環を形成していてもよい。
、R、R、R、R、R10、R11、R12はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、、置換基を有していてもよいC−C20複素環基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。
、R、R、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立して、水素原子、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリル基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20複素環基、C−C20アルキルスルホニル基、C−C20アルキルスルフィニル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、C−C20アルキルスルホニルアミノ基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC−C20アリールカルボニル基を表す。
、Yはそれぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、NR又はPRを表し、Rは、水素原子又はC−C20アルキル基を表す。
Zは、式:−C(R)(R)−(式中、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、C−Cアルキル基、又はハロC−Cアルキル基を示す。)で表される基、又はカルボニル基を表す。〕
【0016】
〔2〕開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも98%を水素化させる〔1〕記載の製造方法。
〔3〕前記ルテニウム化合物が、式(I)、(II)、(III)および(IV)中、L〜Lが、下記式(1−1)〜(1−3)
【0017】
【化3】
【0018】
(式中のR17、R18はそれぞれ独立して、水素原子、又は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子を含んでもよいC〜C20炭化水素基を表す。R19〜R22はそれぞれ独立して、水素原子、C−C10アルキル基を表す。R23〜R25はそれぞれ独立して、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、又は、置換基を有していてもよいC−C20複素環基を表す。)
のいずれかである化合物であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記式(I)で示されるルテニウム化合物が、下記式(I−1)
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、L、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕前記式(I)で示されるルテニウム化合物が、下記式(I−2)
【0021】
【化5】
【0022】
(式中、L、R、R〜R、Rb1及びRb2は、前記と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕前記式(I)で示されるルテニウム化合物が、下記式(I−3)
【0023】
【化6】
【0024】
(式中、R、R〜R、R17、R18、Rb1及びRb2は、前記と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕前記式(I)で示されるルテニウム化合物が、下記式(I−4)
【0025】
【化7】
【0026】
(式中、R、R〜R、R23〜R25、Rb1及びRb2は、前記と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕前記式(II)で示されるルテニウム化合物が、下記式(II−1)
【0027】
【化8】
(式中、R〜R、R17、R18及びZは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔9〕前記式(II)で示されるルテニウム化合物が、下記式(II−2)
【0028】
【化9】
【0029】
(式中、R、R、R17及びR18は、前記と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔10〕前記式(III)で示されるルテニウム化合物が、式(III)中、Yが酸素原子である化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔11〕前記式(III)で示されるルテニウム化合物が、下記式(III−2)
【0030】
【化10】
(式中、R10〜R14、R17及びR18は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔12}前記式(IV)で示されるルテニウム化合物が、式(IV−1)
【0031】
【化11】
【0032】
(式中、R17、R18及びLは、前記と同じ意味を表し、
【0033】
【化12】
で表される基は、窒素原子で結合する含窒素複素環基を表す。)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔13〕前記環状オレフィンが、少なくとも下記式(2)
【0034】
【化13】
【0035】
〔式中、R28は、C−C20アルキル基、C−C20シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、又は下記式(3)で表される基
【0036】
【化14】
【0037】
(式中、R29は、C−Cアルキレン基を表し、R30、R31はそれぞれ独立して、C−C10アルキル基、又はC−C10ハロゲン化アルキルを表す。)を示す。〕
で表される単量体を含むものであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔14〕前記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の製造方法により製造された開環メタセシス重合体水素化物を含有する樹脂組成物。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、光線透過率、比誘電率、耐薬品性、及びプラズマ耐性すべてに優れる開環メタセシス重合体水素化物を、工業的に有利に得ることができる。得られる開環メタセシス重合体水素化物は、有機EL素子の画素分離膜及び平坦化膜、TFTのゲート絶縁膜及び保護膜等の形成材料として好適に用いることができる、
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明について、1)開環メタセシス重合体水素化物の製造方法、及び、2)樹脂組成物、に項分けして詳細に説明する。
【0040】
1)開環メタセシス重合体水素化物の製造方法
本発明の開環メタセシス重合体水素化物の製造方法は、環状オレフィンを、重合触媒の存在下に開環メタセシス重合させた後、生成した開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素化する開環メタセシス重合体水素化物の製造方法であって、前記重合触媒として、前記式(I)、(II)、(III)、(IV)からなる群から選ばれる少なくとも一種のルテニウム化合物を用いることを特徴とする。
【0041】
(1)環状オレフィン
本発明の製造方法において開環メタセシス重合に供されるモノマーは、環状オレフィンのモノマーである。かかる環状オレフィンとしては、(i)ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類等のノルボルネン環を有する多環の環状オレフィン類、(ii)単環の環状オレフィン類、及び(iii)環状ジオレフィン類等が挙げられる。
これらの環状オレフィンは置換基を有していてもよく、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合をさらに有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、極性基等が挙げられる。
【0042】
これらの中でも、耐熱性や溶解性に優れる開環メタセシス重合体の水素化物が得られる観点から、(i)多環の環状オレフィン類が好ましく、ノルボルネン環を有する3−6環体の環状オレフィンがより好ましく、ジシクロペンタジエン類等の3環体の環状オレフィン、テトラシクロドデセン類等の4環体の環状オレフィンがさらに好ましい。
【0043】
ジシクロペンタジエン類の具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチル−ジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]−デカ−8−エン等が挙げられる。
【0044】
テトラシクロドデセン類の具体例としては、
(a)ノルボルネン環以外に二重結合を有しないものとして、テトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン等のテトラシクロドデセン、及び、これらのテトラシクドデセン類に置換基を有するもの等が挙げられる。
【0045】
(b)ノルボルネン環以外に二重結合を有するものとして、9−メチリデンテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン等の環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類等が挙げられる。
(c)芳香環を有するものとして、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン等が挙げられる。
【0046】
(d)極性基を有するものとして、4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−メチル−4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−カルボキシメチル−4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−エキソ−5−エンド−4,5−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン等のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン;テトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物等の酸無水物基含有テトラシクロドデセン;4−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−メチル−4−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−ヒドロキシメチルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−シアノテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−ジエチルアミノテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−ジメチルアミノテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−フェニルスルホニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、テトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボキシイミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;9−トリメチルシリルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン等が挙げられる。
【0047】
本発明においては、環状オレフィンとして、上記以外のノルボルネン環を有する環状オレフィン(以下、「その他のノルボルネン環を有する環状オレフィン」という。)を用いることもできる。
その他のノルボルネン環を有する環状オレフィンとしては、
(e)ノルボルネン環を一つ有する2環体のものとして、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−n−ブチルノルボルネン、5−n−ヘキシルノルボルネン、5−n−デシルノルボルネン、5−シクロヘキシルノルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネン等のノルボルネン類、及びこれらに対応するオキサノルボルネン類;5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−プロペニルノルボルネン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、5−シクロペンテニルノルボルネン等の環外に二重結合を有するノルボルネン類、及びこれらに対応するオキサノルボルネン類;等が挙げられる。
【0048】
(f)ノルボルネン環と6員環とを一つずつ有するものとして、ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−n−ブチルヘキサシクロヘプタデセン、12−n−ヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−n−デシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロへキセニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテニルヘキサシクロヘプタデセン等のヘキサシクロヘプタデセン類等が挙げられる。
【0049】
(g)ノルボルネン環と芳香環とを有するものとして、5−フェニルノルボルネン、5−フェニルオキサノルボルネン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン等が挙げられる。
【0050】
(h)極性基を有するものとしては、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、ノルボルネニル−2−メチルオクタネイト、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5−ヒドロキシ−イソプロピルノルボルネン、5−カルボキシノルボルネン、5−メチル−5−カルボキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシノルボルネン等の酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;
【0051】
5−メトキシカルボニルオキサノルボルネン、5−エトキシカルボニルオキサノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルオキサノルボルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルオキサノルボルネン、オキサノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、オキサノルボルネニル−2−メチルオクタネイト、オキサノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルオキサノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)オキサノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)オキサノルボルネン、5−ヒドロキシ−イソプロピルオキサノルボルネン、5,6−ジカルボキシオキサノルボルネン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシオキサノルボルネン等の酸素含有極性基を有するオキサノルボルネン類;
5−シアノノルボルネン、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸イミド等の窒素含有極性基を有するノルボルネン類;
5−シアノオキサノルボルネン、オキサノルボルネン−5,6−ジカルボン酸イミド等の窒素含有極性基を有するオキサノルボルネン類;等が挙げられる。
【0052】
(ii)単環の環状オレフィン類、及び(iii)環状ジオレフィン類としては、C−C20、好ましくはC−C10の環状オレフィン類及び環状ジオレフィン類、並びに、これらの誘導体が挙げられる。これらの具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン系単量体(特開昭64−66216号公報等);シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルシクロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエン等の環状ジオレフィン系単量体(特開平7−258318号公報等);が挙げられる。
【0053】
これらの中でも、本発明の目的がより達成されやすいことから、環状オレフィンとして、前記式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」ということがある。)を含むものを用いるのが好ましい。
【0054】
前記式(2)中、R28は、C−C20アルキル基、C−C20シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、又は前記式(3)で表される基を示す。
【0055】
28のC−C20アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基等が挙げられる。
−C20シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
−C20アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられる。
【0056】
−C20アリール基の置換基としては、メチル基、エチル基等のC−Cアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のC−Cアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。
【0057】
式(3)中、R29は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基等のC−Cアルキレン基を表す。R30、R31はそれぞれ独立して、C−C10アルキル基、又はC−C10ハロゲン化アルキルを表す。
【0058】
−C10アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基等が挙げられる。C−C10ハロゲン化アルキルとしては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基及びパーフルオロペンチル基等が挙げられる。
【0059】
これらの中でも、R28は、C−C20分岐状アルキル基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、及び、式(3)で表される基(式中、R29がC−Cアルキレン基を表し、R30、R31はそれぞれ独立して、C−C10アルキル基を表す。)であることが好ましい。
【0060】
化合物(2)の好ましい具体例としては、N−(1−メチルブチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−メチルブチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルペンチル)−ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−メチルペンチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−エチルブチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルブチル〉−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−メチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−メチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ブチルペンチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ブチルペンチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルヘプチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−メチルヘプチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−メチルヘプチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルヘプチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−プロピルペンチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−プロピルペンチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルオクチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−メチルオクチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−メチルオクチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルオクチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−エチルヘプチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘプチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−エチルヘプチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−エチルヘプチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−プロピルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−プロピルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−プロピルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルノニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−メチルノニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−メチルノニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルノニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(5−メチルノニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−エチルオクチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルオクチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−エチルオクチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−エチルオクチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルデシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルドデシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルウンデシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルドデシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルトリデシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルテトラデシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−メチルペンタデシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等の、R28がC−C20分岐状アルキル基である化合物;
【0061】
N−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−クロロフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等の、R28が置換基を有していてもよいC−C20アリール基である化合物;
【0062】
N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸メチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸エチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸イソプロピル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)メチルグルタミン酸エチル等の、R28が前記式(3)で表される基(式中、R29がC−Cアルキレン基を表し、R30、R31がC−C10アルキル基を表す。)である化合物;が挙げられる。
これらの環状オレフィンは一種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
化合物(2)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、対応するアミン(R28−NH)と、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とのイミド化反応や、下記式
【0064】
【化15】
【0065】
で表されるマレイミドと、シクロペンタジエンとのディールスアルダー反応により得ることができる。
【0066】
また、環状オレフィンとして化合物(2)を用いる場合、化合物(2)は化合物(2)と共重合可能な他の環状オレフィン(以下、「共重合可能な他の環状オレフィン」ということがある)と共に用いるのが好ましい。
共重合可能な他の環状オレフィンとしては、環状オレフィンとして先に例示したもの等が挙げられるが、なかでも、プロトン性極性基を有する環状オレフィンが好ましい。
【0067】
プロトン性極性基とは、周期律表第15族又は第16族に属する原子に水素原子が直接結合している原子を含む基をいう。周期律表第15族又は第16族に属する原子は、好ましくは周期律表第15族又は第16族の第1又は第2周期に属する原子であり、より好ましくは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子であり、特に好ましくは酸素原子である。このようなプロトン性極性基の具体例としては、水酸基、カルボキシ基(ヒドロキシカルボニル基)、スルホン酸基、リン酸基等の酸素原子を有する極性基;第−級アミノ基、第二級アミノ基、第−級アミド基、第二級アミド基(イミド基)等の窒素原子を有する極性基;チオ−ル基等の硫黄原子を有する極性基;等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子を有するものが好ましく、カルボキシ基を有するものがより好ましい。
【0068】
プロトン性極性基を有する環状オレフィンの具体例としては、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4−メチル−4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン、4,5−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン等のカルボキシ基含有環状オレフィン;
5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−4−エン等の水酸基含有環状オレフィン;等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
環状オレフィンとして、化合物(2)と共重合可能な他の環状オレフィンとを共に用いる場合、共重合可能な他の環状オレフィンの含有割合は、全環状オレフィンに対して、好ましくは10〜90モル%である。共重合可能な他の環状オレフィンの含有割合が少なすぎると、後述する感放射線化合物の感放射線性が低下したり、現像時に溶解残渣が発生するおそれがあり、多すぎると、反応時の溶剤への溶解性が不十分となるおそれがある。
【0070】
共重合可能な他の環状オレフィンの含有割合のより好ましい範囲は、用途により異なる。例えば、後述する、フォトリソグラフィによるパタ−ン化が行われる樹脂膜を形成する場合には、共重合可能な他の環状オレフィンの含有割合は、全環状オレフィンに対して、40〜80モル%であることがより好ましく、50〜70モル%であることが特に好ましい。フォトリソグラフィによるパタ−ン化が行われない樹脂膜を形成する場合には、10〜80モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることが特に好ましい。
【0071】
(2)ルテニウム化合物
本発明においては、開環メタセシス重合触媒として、前記重合触媒として、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)からなる群から選ばれる少なくとも一種のルテニウム化合物を用いる。
以下、式(I)で表されるルテニウム化合物を「ルテニウム化合物(I)」、式(II)で表されるルテニウム化合物を「ルテニウム化合物(II)」、式(III)で表されるルテニウム化合物を「ルテニウム化合物(III)」、式(IV)で表されるルテニウム化合物を「ルテニウム化合物(IV)」ということがある。
【0072】
【化16】
【0073】
式(I)〜(IV)中、X〜Xはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;又はR(=O)O−で表される基;を表す。
ここで、Rは置換基を有していてもよいC−C20アルキル基を示す。
のC−C20アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の目的をより達成しやすいことから、X〜Xはハロゲン原子であることが好ましく、塩素原子であるのが特に好ましい。
【0074】
〜Lはそれぞれ独立して、電子供与性の化合物配位子を表す。
なかでも、L〜Lとしては、下記式(1−1)〜(1−3)で示されるいずれかの配位子であるのが好ましい。
【0075】
【化17】
【0076】
式(1−1)〜(1−3)中、R17、R18はそれぞれ独立して、水素原子、又は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子を含んでもよいC−C20炭化水素基を表す。
19〜R22はそれぞれ独立して、水素原子、C−C10アルキル基を表す。
23〜R25はそれぞれ独立して、C−C20アルキル基、C−C20シクロアルキル基、C−C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、又は、置換基を有していてもよいC−C20複素環基を表す。
【0077】
17、R18の、ハロゲン原子等を含んでもよいC−C20炭化水素基のC−C20炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル等のC−C20アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等のC−C20シクロアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、ヘキセニル基等のC−C20アルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のC−C20シクロアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル(プロパルギル)基等のC−C20アルキニル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、メチルナフチル基等の置換基を有していてもよいC−C20アリール基;ベンジル基、フェネチル基等のC−C20アラルキル基;等が挙げられる。
【0078】
19〜R22のC−C10アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ノニル基等が挙げられる。
【0079】
23〜R24のC−C20アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
−C20シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
−C20アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいC−C20アリール基のC−C20アリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基のC−C20アリールオキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいC−C20複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピペラジニル基、オキサニル基等が挙げられる。
【0080】
これらの中でも、本発明の目的が達成されやすいことから、L〜Lとしては、前記式(1−1)又は(1−2)で示される配位子(カルベン化合物)が好ましく、式(I−1)で示される配位子(カルベン化合物)がより好ましい。
【0081】
前記式(1−1)の具体例としては、1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン等が挙げられる。
【0082】
前記式(1−2)の具体例としては、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジフェニル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−4,5−ジメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン等が挙げられる。
【0083】
〜Lとしては、前記式(1−1)及び(1−2)で示される化合物のほかに、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラフェニル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン等のヘテロ原子含有カルベン化合物であってもよい。
【0084】
また、Lとしては、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類等の配位子が好ましく、ホスフィン類、ピリジン類がより好ましく、ホスフィン類が特に好ましい。
ホスフィン類としては、トリアルキルホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン等が挙げられる。
【0085】
は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリル基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20複素環基、C−C20アルキルスルホニル基、C−C20アルキルスルフィニル基、ホルミル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、又は、C−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。
【0086】
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
−C20アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基などが挙げられる。
−C20アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられる。
−C20アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
トリC−C20アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリブチルシリル基等が挙げられる。
トリC−C20アルキルシリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリブチルシリルオキシ基等が挙げられる。
【0087】
置換基を有していてもよいC−C20アリール基のC−C20アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基のC−C20アリールオキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいC−C20複素環基のC−C20複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、ジオキソラニル基等の含酸素複素環基;チエニル基等の含イオウ複素環基;ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、ピラダジニル基、ピラジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンツピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノリル基、インドリル基、フェナントリニリル基等の飽和若しくは不飽和含窒素複素環基;等が挙げられる。
置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、及び、置換基を有していてもよいC−C20複素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のC1〜C6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、t−ブチル基等のC1〜C6アルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。
−C20アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル等が挙げられる。
−C20アルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等が挙げられる。
−C20アルキルカルボニル基としては、アセチル基、プロピオニル基、プロピルカルボニル基等が挙げられる。
−C20アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
ジC−C20アルキルカルバモイル基としては、ジメチルカルバモイル基、メチルエチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基等が挙げられる。
ジC−C20アルキルウレイド基としては、ジメチルウレイド基、ジエチルウレイド基等が挙げられ、C−C20アルキルスルホニルアミノ基としては、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0088】
は、式:(Rb1)(Rb2)NSO−で表される基、ホルミル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、式:(Rc1)(Rc2)NCO−で表される基、アミド基、ハロゲン原子、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。
【0089】
b1、Rc1は、水素原子、C−C20アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rb2、Rc2は、水素原子、C−C20アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は、式:G−D−(式中、Dは連結基を表し、Gは高分子主鎖を表す。)で表される基を表す。また、Rb1とRb2、Rc1とRc2は、それぞれ一緒になって結合して環を形成していてもよい。
【0090】
の、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基としては、前記Rで例示したのと同様のものが挙げられる。
【0091】
b1、Rb2、Rc1、Rc2の、C−C20アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基としては、前記Rで例示したのと同様のものが挙げられる。
【0092】
式:G−D−で表される基において、Dの連結基としては、単結合;メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等のC−Cアルキレン基;p−フェニレン基、m−フェニレン基等のC−C20アリーレン基;−C(=O)−;−O−;−S−;−NH−;−N(CH)−;−C(=O)−O−;−O−C(=O)−;−NH−C(=O)−;−C(=O)−NH−;及び、これらの組み合わせ;等が挙げられる。
【0093】
Gの高分子鎖としては、−D−で表される部分構造を介して、ルテニウム錯体を担持できるものであれば、高分子が有する繰り返し単位や分子量等に特に制約はない。例えば、表面部又は末端部に、OH基、SH基、NH基、COH基、CHOH基、CHCHOH基、CHSH基、CHNH基等の官能基を有する高分子が挙げられる。
かかる官能基を有する高分子としては、ポリアルキレングリコール、スチレン系樹脂等の有機高分子;シリカゲル、ケイソウ土等の無機高分子;等が挙げられ、入手容易性等の観点から、有機高分子が好ましい。
【0094】
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
スチレン系樹脂は、芳香族ビニル系単量体がその成分として含まれる重合体からなる樹脂である。芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレン、o,p−ジクロロスチレン等が挙げられる。
【0095】
式:−D−Gで表される部分構造は、有機合成化学における従来公知の方法を用いることにより形成することができる。例えば、表面部又は末端部に水酸基(OH基)を有する高分子と、末端部にカルボキシル基を有する化合物(−D’−COH)とを、脱水剤の存在下に反応させることにより、エステル結合を有する部分構造(−D’−C(=O)−O−G)を形成することができる。この場合、−D’−C(=O)−O−が、−D−に相当する。)
【0096】
また、Rb1とRb2、Rc1とRc2は、それぞれ一緒になって結合して、窒素原子を含む環を形成していてもよい。この場合、Rb1とRc1は、それぞれ、Rb2とRc2のいずれの炭素原子と結合していてもよい。
b1とRb2が一緒になって結合して、窒素原子を含む環を形成している場合のRの一例を下記に示す。
【0097】
【化18】
【0098】
(式中、Gは前記と同じ意味を表す。)
これらの中でも、Rとしては、式:(Rb1)(Rb2)NSO−で表される基が好ましく、式:(Rb1)(Rb2)NSO−で表される基であって、Rb1、Rb2がそれぞれ独立して、C−Cアルキル基である基がより好ましい。
【0099】
、R、R、R、R、R10、R11、R12はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、C−C20アリールオキシ基、C−C20アリール基、C−C20複素環基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、又はC−C20アルキルスルホニルアミノ基を表す。
【0100】
、R、R、R、R、R10、R11、R12のハロゲン原子、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、C−C20アリールオキシ基、C−C20アリール基、C−C20複素環基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、及びC−C20アルキルスルホニルアミノ基としては、前記Rで例示したのと同様のものが挙げられる。
【0101】
、R、R、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立して、水素原子、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリル基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20複素環基、C−C20アルキルスルホニル基、C−C20アルキルスルフィニル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、C−C20アルキルスルホニルアミノ基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC−C20アリールカルボニル基を表す。
【0102】
、R、R、R13、R14、R15、R16の、C−C20アルキル基、C−C20アルコキシ基、C−C20アルキルチオ基、トリC−C20アルキルシリル基、トリC−C20アルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20アリール基、置換基を有していてもよいC−C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいC−C20複素環基、C−C20アルキルスルホニル基、C−C20アルキルスルフィニル基、C−C20アルキルカルボニル基、C−C20アルコキシカルボニル基、ジC−C20アルキルカルバモイル基、ジC−C20アルキルウレイド基、C−C20アルキルスルホニルアミノ基としては、前記Rで例示したのと同様のものが挙げられる。
【0103】
、R、R、R13、R14、R15、R16の、ハロゲン原子で置換されていてもよいC−C20アリールカルボニル基としては、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、2−フルオロベンゾイル基、2,6−ジブロモベンゾイル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
【0104】
、Yはそれぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、NR又はPRを表し、Rは、水素原子;又は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC−C20アルキル基;を表す。
【0105】
Zは、式:−C(R)(R)−で表される基、又はカルボニル基を表す。R、Rはそれぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のC−Cアルキル基;又はクロロメチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基等のハロC−Cアルキル基を示す。
【0106】
本発明においては、ルテニウム化合物(I)として、本発明の目的をより達成しやすいことから、下記式(I−1)で表される化合物が好ましく、式(I−2)で表される化合物がより好ましく、式(I−3)、(I−4)で表される化合物が特に好ましい。
【0107】
【化19】
【0108】
(式中、R〜R、Lは前記と同じ意味を表す。)
【0109】
【化20】
【0110】
(式中、R、R〜R、Lは前記と同じ意味を表す。)
【0111】
【化21】
【0112】
(式中、R、R〜R、R17、R18、Rb1及びRb2は前記と同じ意味を表す。)
【0113】
【化22】
【0114】
(式中、R、R〜R、R23〜R25、Rb1及びRb2は前記と同じ意味を表す。)
ルテニウム化合物(II)としては、下記式(II−1)で表される化合物が好ましく、式(II−2)で表される化合物がより好ましい。
【0115】
【化23】
【0116】
(式中、R〜R、R17、R18及びZは前記と同じ意味を表す。)
【0117】
【化24】
【0118】
(式中、R、R、R17及びR18は、前記と同じ意味を表す。)
ルテニウム化合物(III)としては、下記式(III−1)で表される化合物が好ましく、下記式(III−2)で表される化合物がより好ましい。
【0119】
【化25】
【0120】
(式中、R10〜R14、R17及びR18は前記と同じ意味を表す。)
【0121】
【化26】
【0122】
(式中、R10〜R14、R17及びR18は前記と同じ意味を表す。)
また、ルテニウム化合物(IV)としては、下記式(IV−1)で表される化合物が好ましい。
【0123】
【化27】
【0124】
上記式中、R17、R18及びLは、前記と同じ意味を表し、
【0125】
【化28】
【0126】
で表される基は、窒素原子で結合する含窒素複素環基を表す。
で表される基は、窒素原子で結合する含窒素複素環基(以下、「含窒素複素環基A」ということがある。)を表す。〕で示される化合物であるのが好ましい。
含窒素複素環基Aの具体例としては、下記に示すような、5〜8員環の含窒素複素環基が挙げられる。
【0127】
【化29】
【0128】
(式中、R32は、水素原子;メチル基、エチル基等のC−Cアルキル基;フェニル基等のアリール基を表す。
また、これらの基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のC−Cアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のC−Cアルコキシ基;フェニル基、4−クロロフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;オキソ基(=O);ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。また、複数の置換基が一緒になって縮合環を形成していてもよい。
これらの中でも、下記式(4a)、(4b)で表される基が特に好ましい。
【0129】
【化30】
【0130】
(ルテニウム化合物の製造法)
本発明に用いるルテニウム化合物(I)〜(IV)は、以下に述べる方法により製造することができる。
(1)製造法1
ルテニウム化合物(I)は、特表2008−546846号公報に記載の方法により製造することができる。
例えば、式(4)で表されるビニルベンゼン誘導体と、式(V−1)で表されるルテニウム化合物とを、ジクロロメタン、トルエン等の溶媒中、塩化第1銅の存在下に反応させることにより、目的とするルテニウム化合物(I)を得ることができる(下記反応式)。
【0131】
【化31】
【0132】
(式中、L、X、X、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)
また、ルテニウム化合物(I)として、市販されているものをそのまま用いることもできる。
【0133】
(2)製造法2
本発明に用いるルテニウム化合物(II)は、WO2012/013208号パンフレットに記載の方法により製造することができる。
例えば、式(5)で表されるビニルベンゼン誘導体と、式(V−2)で表されるルテニウム化合物とを、ジクロロメタン、トルエン等の溶媒中、塩化第1銅の存在下に反応させることにより、目的とするルテニウム化合物(II)を得ることができる(下記反応式)。
【0134】
【化32】
【0135】
(式中、L、X、X、R〜R及びZは前記と同じ意味を表す。)
また、ルテニウム化合物(II)として、市販されているものをそのまま用いることもできる。
なお、前記式(5)で表される化合物は、例えば、下記のようにして合成することができる。
【0136】
【化33】
【0137】
(式中、R〜R及びZは前記と同じ意味を表す。Lは、Br、I、OSOCF、又は、OSOFを表し、Mは、Sn(R、B(OH)、又は、ZnXを表し、Xは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。ここで、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t-ブチル基等のC−Cアルキル基を表し、Xは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。)
すなわち、式(6)で表される化合物と、式(7)で表される化合物とを、所望によりテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等の触媒存在下で反応させることにより、式(8)で表される化合物を得、さらに、このものと、式(9)で表されるハロゲン化合物とを、NaH等の塩基(Base)存在下で反応させることにより、式(5)で表される化合物を得ることができる(WO2012/13208号パンフレット、特表2001−508458号公報等参照)。
【0138】
(3)製造法3
本発明に用いるルテニウム化合物(III)は、特表2004−506755号公報、特表2007−501199号公報、特開2008−273971号公報、特表2010−503713号公報及び特表2011−522778号公報等に記載の方法により製造することができる。
例えば、式(10)で表されるビニルベンゼン誘導体と、式(V−3)で表されるルテニウム化合物とを、ジクロロメタン、トルエン等の溶媒中、塩化第1銅の存在下に反応させることにより、目的とするルテニウム化合物(III)を得ることができる(下記反応式)。
【0139】
【化34】
【0140】
(式中、L、X、X、Y、及びR10〜R14は前記と同じ意味を表す。)
また、ルテニウム化合物(III)として、市販されているものをそのまま用いることもできる。
【0141】
式(10)で表される化合物の多くは公知であり、公知の方法で製造し、入手することができる(特表2004−506755号公報、特表2010−503713号公報、特表2007−501199号公報等参照)。また、式(10)で表される化合物として市販されているものをそのまま、あるいは必要に応じて精製して使用することもできる。
【0142】
(4)製造法4
本発明に用いるルテニウム化合物(IV)は、Organometallics,第21巻,2153頁,2002年に記載の方法により製造することができる。
例えば、式(11)で表されるビニルアミン誘導体と、式(V−4)で表されるルテニウム化合物とを、ジクロロメタン、トルエン等の溶媒中で反応させることにより、目的とするルテニウム化合物(IV)を得ることができる(下記反応式)。
【0143】
【化35】
【0144】
(式中、L、L、X、X、R15及びR16は前記と同じ意味を表す。)
また、ルテニウム化合物(IV)として、市販されているものをそのまま用いることもできる。
【0145】
式(IV)で表される化合物の多くは公知であり、公知の方法で製造し、入手することができる。例えば、式(4b)
【0146】
【化36】
【0147】
で表される化合物は、(i)カルバゾールとアセチレンを、所望により水酸化ナトリウム等の塩基触媒の存在下に反応させることにより(特開昭48−68564号公報参照)、又は、(ii)カルバゾールからN−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールを得、このものを分子内脱水することにより(WO2006/046540号パンフレット参照)、得ることができる。
また、式(IV)で表される化合物として市販されているものを、所望により精製して、使用することもできる。
【0148】
(3)開環メタセシス重合反応
本発明の製造方法においては、先ず、ルテニウム化合物(I)〜(IV)からなる群から選ばれる少なくとも一種のルテニウム化合物を用いることを特徴とする開環メタセシス重合を重合触媒(以下、これらをまとめて、単に「ルテニウム化合物」ということがある。)として用いて、環状オレフィンの開環メタセシス重合反応を行う。
【0149】
本発明の方法において、環状オレフィンに対する重合触媒の使用割合は、重合触媒中の金属ルテニウム:環状オレフィンのモル比で、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000である。触媒量が多すぎると触媒除去が困難となり、少なすぎると十分な重合活性が得られない。
【0150】
用いる溶媒としては、得られる重合体を所定の条件で溶解し、重合反応に影響しないものであれば、特に限定されない。
かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の鎖状脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素系溶媒;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエ−テル系溶媒;等が挙げられる。なかでも、工業的に汎用で、重合反応時に不活性であり、重合体等の溶解性に優れること等の観点から、エ−テル系溶媒が好ましい。
【0151】
溶媒の使用量は、環状オレフィン1重量部に対し、通常0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。溶媒が多すぎると生産性が悪く、溶媒が少なすぎると重合後の溶液粘度が高すぎて取扱い性に劣る。
【0152】
重合温度は特に制限はないが、一般には、−30℃〜+200℃、好ましくは0℃〜180℃、より好ましくは50〜100℃である。重合時間は、反応規模にもよるが、通常1分間から100時間、好ましくは30分から24時間、より好ましくは1〜10時間である。本反応は、従来の反応に比較して非常に早く、生産性に優れる。
【0153】
重合反応においては、重合体の分子量を調節するために、分子量調節剤を反応溶液に予め添加してもよい。分子量調節としては、ビニル基を有する化合物等が挙げられる。ビニル基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン等を挙げることができる。これらの中で、分子量調節のし易さから、α−オレフィン類が好ましい。
ビニル化合物の使用量は、目的とする重合体の分子量に応じて適宜選択することができる。通常、環状オレフィンに対して0.1〜10モル%の範囲である。
【0154】
また、重合反応終了時においては、所望により上記のビニル化合物を再度添加して、ルテニウムカルベン錯体を重合体末端から遊離させることで、重合停止させることができる。
【0155】
メタセシス開環重合反応により得られる開環重合体の分子量は、後の水素化工程を考慮すると、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーによる測定(ポリスチレン換算)で得られる数平均分子量(Mn)が、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは3,000〜200,000である。
【0156】
(4)水素化反応
次いで、得られた開環メタセシス重合体の主鎖の炭素−炭素二重結合を水素化して、開環メタセシス重合体水素化物を得る。水素化反応は、水素ガスを用いて、水素化触媒の存在下に行なうことができる。
【0157】
用いる水素化触媒は、均一系触媒、不均一系触媒等特に限定されず、オレフィン化合物の水素化に際して一般的に用いられるものを適宜使用することができる。
【0158】
均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルトとトリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナートとトリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリドとn−ブチルリチウムの組み合わせ、ジルコノセンジクロリドとsec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネートとジメチルマグネシウム等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなるチーグラー系触媒;前項記載のルテニウム化合物触媒;ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム;特開平7−2929、特開平7−149823、特開平11−109460、特開平11−158256、特開平11−193323等に記載されているルテニウム等貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
【0159】
不均一系触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等の金属を、カーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた水素化触媒が挙げられる。より具体的には、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等を用いることができる。
これらの水素化触媒は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0160】
水素化反応は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、生成する水素化物の溶解性により適宜選択することができ、前記重合溶媒と同様の有機溶媒を使用することができる。
【0161】
本発明においては、操作の簡便性から、及び該重合体中の主鎖の炭素−炭素二重結合をより選択的に水素化できる観点から、水素化触媒として、前記重合反応で使用したルテニウム化合物を、除去せずそのまま使用するのが好ましい。この場合には、重合反応後の反応混合物を、そのまま水素雰囲気下に置くことにより、水素化反応を連続的に行なうことができる。なお、水素化反応の際、前記ルテニウム化合物に、前記の不均一系触媒を組み合わせて使用するのがより好ましい。不均一系触媒の添加量は、特に制約されないが、開環重合体に対して、通常、0.001〜100重量部である。
【0162】
水素化反応の条件は、使用する水素化触媒の種類等に応じて適宜選択すればよい。水素化触媒の使用量は、開環メタセシス重合体100重量部に対して,通常0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
反応温度は、通常−10℃〜+250℃、好ましくは−10℃〜+210℃、より好ましくは0℃〜200℃である。また、反応温度を段階的に昇温してもよい。−10℃未満では反応速度が遅くなり、逆に250℃を超えると副反応が起こりやすくなる。
【0163】
水素の圧力は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜8MPa、より好ましくは0.1〜5MPaである。また、水素圧力を段階的に昇圧してもよい。水素圧力が0.01MPa未満では水素化速度が遅くなり、10MPaを超えると高耐圧反応装置が必要となる。
水素化反応の時間は、水素化率を制御するために適宜選択される。反応時間は、通常0.1〜10時間の範囲である。
【0164】
炭素−炭素二重結合の水素化率は、開環メタセシス重合体中の主鎖の炭素−炭素二重結合の60%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。
水素化率は、例えば、開環メタセシス重合体のH−NMRスペクトルにおける炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度と、開環メタセシス重合体水素化物のH−NMRスペクトルにおける炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度とを比較することにより求めることができる。
【0165】
水素化反応後は、必要によって触媒残渣及び溶媒を除去しても良い。触媒残渣を除去する方法としては、本発明に用いるルテニウム化合物が通常は反応溶液に対して均一に溶解しているため、反応溶液を多量の貧溶媒中に注いで固形分を回収する方法、有機酸又は無機酸の水溶液で洗浄する方法、シリカゲル、アルミナ、イオン交換樹脂、活性炭等の固体吸着剤に反応溶液を接触させた後、固体吸着剤をろ過する方法、固体吸着剤をカラムに充填し、樹脂溶液と接触させる方法等の従来公知の方法が挙げられる。
また、前記のように、ルテニウム化合物に、不均一系触媒を組み合わせて使用する場合には、前記の処理(固形分の回収、水溶液による洗浄及び吸着剤への接触など)の前に、反応溶液に対して不均一な前記不均一系触媒を、ろ過により除去しておくのが好ましい。
【0166】
本発明の製造方法によれば、光線透過率に優れた開環メタセシス重合体水素化物を、工業的に有利に得ることができる。
得られる開環メタセシス重合体水素化物が、光線透過率に優れることは、例えば、後述する方法により、該開環メタセシス重合体水素化物からなる樹脂膜をガラス基板上に形成し、この膜について、分光光度計により、波長400nmの分光透過率を測定し、それが98%以上であること等により確認することができる。
【0167】
2)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明の製造方法により製造された開環メタセシス重合体水素化物を含有する。そのため、本発明の樹脂組成物は、優れた光学特性、電気特性、機械特性、耐熱特性及び耐光性等を有し、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の画素分離膜及び平坦化膜、薄膜トランジスタ(TFT)のゲート絶縁膜及び保護膜等の製造に好適に用いることができる。
【0168】
本発明の樹脂組成物は、本発明の製造方法で得られる開環メタセシス重合体水素化物、及び、所望により、用途に応じた配合剤を、適当な溶媒に溶解又は分散することにより、調製することができる。
配合剤としては、例えば、架橋剤、無機微粒子、界面活性剤、酸化防止剤、顔料や染料等の着色剤、接着助剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、感放射線化合物、及び帯電防止剤等が挙げられる。
【0169】
用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のグリコールエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ペプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等のエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトン等の非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。
これらの溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0170】
溶媒の使用量は、用途によるが、開環メタセシス重合体水素化物100重量部に対して、通常20〜10,000重量部、好ましくは50〜5,000重量部、より好ましくは100〜1,000重量部の範囲である。
【0171】
各成分を溶媒に溶解又は分散する方法としては、特に制約はなく、例えば、攪拌子とマグネティックスターラーを使用した攪拌方法;高速ホモジナイザー、ディスパー、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミル、三本ロール等を使用する方法;等が挙げられる。また、溶媒に溶解又は分散した後に、例えば、孔径が0.5μm程度のフィルター等を用いて濾過してもよい。
【0172】
本発明の樹脂組成物の固形分濃度は、通常1〜70重量%、好ましくは2〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%である。固形分濃度がこの範囲にあれば、溶解安定性、基板上への塗布性や形成される樹脂膜等の膜厚均一性、平坦性等が高度にバランスされ好ましい。
【0173】
以下、本発明の樹脂組成物の使用方法の具体例を説明する。
〈ゲート絶縁膜〉
TFTのゲート絶縁膜は、例えば、次のようにして製造することができる。
TFTは、基板上に、半導体膜、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、及び、ゲート絶縁膜を有するトランジスタである。
TFTは、一般に、ボトムゲート型(基板上にゲート電極を有し、その上にゲート絶縁膜を介して半導体膜で連結されたソース電極とドレイン電極を有する)と、トップゲート型(基板上に、半導体膜に接したソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を有する)とに大別される。
ゲート絶縁膜は、ゲート電極が形成された基板上(ボトムゲート型)、又は、半導体膜に接したソース電極とドレイン電極が形成された基板上(トップゲート型)に、本発明の樹脂組成物を用いて、湿式法又は乾式法により形成することができる。本発明においては、湿式法が好ましい。
【0174】
湿式法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ラングミュア−ブロジェット(LB)法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、マイクロコンタクトプリンティング、マイクロモールディング等のソフトリソグラフィーと呼ばれる印刷法等を適用することもできる。
【0175】
形成された薄膜は、用いる溶媒、配合割合等にもよるが、通常50〜150℃で0.5〜10分間程度乾燥し、その後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク処理)を行う。ポストベーク処理は、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、所定温度、例えば150〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上なら5〜30分間、オーブン中では30〜90分間加熱処理をすることにより行うことができる。
【0176】
得られるゲート絶縁膜の厚さは、絶縁性が保たれれば特に制限はないが、通常、20nmから1μm、好ましくは80〜500nmである。ゲート絶縁膜の厚さは、素子のサイズの微小化に伴って、可能な限り薄いことが好ましい。
【0177】
〈TFT保護膜〉
TFTには、その劣化や損傷を防止するために、通常、保護膜が形成される。この保護膜を、本発明の樹脂組成物を用いて好ましく形成することができる。
保護膜は、基板上に形成されたゲート絶縁膜、半導体膜、ソース電極及びドレイン電極と接触した状態で形成される。保護膜の形成方法としては、特に限定されず、例えば、前記ゲート絶縁膜の形成方法で示したものと同様の方法により、形成することができる。また、フィルム積層法によっても形成することができる。
【0178】
フィルム積層法は、本発明の樹脂組成物を、樹脂フィルムや金属フィルム等のステージフィルム形成用基材上に塗布した後、加熱乾燥により溶剤を除去してステージフィルムを得る。次いで、このステージフィルムを、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体膜、ソース電極及びドレイン電極が形成された基板上に積層する方法である。
加熱乾燥条件は、樹脂組成物の種類等によるが、加熱温度は、通常、30〜150℃であり、加熱時間は、通常、0.5〜90分である。
フィルム積層は、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータ等の圧着機を用いて行なうことができる。
【0179】
保護膜の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは0.5〜30μmである。
【0180】
保護膜は、用いる樹脂組成物に、配合剤として感放射線化合物及び/又は架橋剤を添加することにより、後述する有機EL素子の画素分離膜と同様に、パターン化されても、架橋されてもよい。
【0181】
得られる保護膜は、ゲート絶縁膜、半導体膜、ソース電極膜及びドレイン電極のいずれに対しても密着性に優れるため、得られる薄膜トランジスタは、優れた信頼性を有するものとなる。
【0182】
〈有機EL素子の画素分離膜等〉
有機EL素子は、一般に、透明基板、平坦化膜、陽極、画素分離膜、有機発光層、及び陰極を有する。このうち画素分離膜及び平坦化膜を、本発明の樹脂組成物を用いて形成することができる。
有機EL素子用画素分離膜は、例えば、次のように形成される。
すなわち、本発明の樹脂組成物を、陽極を有する透明基板上に、前記ゲート絶縁膜の形成と同様の方法で塗布、乾燥等して樹脂膜を設け、フォトリソグラフィー法等により、樹脂膜を所望のパターンに形成し、裾広がり型形状(テーパ形状)の画素分離膜を得ることができる。
【0183】
本発明の樹脂組成物としては、前記配合剤として、感放射線化合物及び/又は架橋剤を含有するものを用いるのが好ましい。架橋剤、感放射線化合物としては、特開2009−295374号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
【0184】
感放射線化合物を含有させることにより、形成された樹脂膜に活性放射線を照射して樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで現像液を接触させて潜像パターンを顕在化させることにより、樹脂膜を所望のパターンに形成することができる。
【0185】
活性放射線は、感放射線化合物を活性化させ、本発明の樹脂組成物のアルカリ可溶性を変化させることができるものであれば特に限定されず、例えば、紫外線、g線やi線等の単一波長の紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線;電子線等の粒子線;等が挙げられる。
これらの活性放射線を選択的にパターン状に照射して潜像パターンを形成する方法としては、例えば、縮小投影露光装置等により、前記光線を、マスクパターンを介して照射する方法;前記粒子線により描画する方法;等が挙げられる。
【0186】
現像液としては、アルカリ性化合物の水性溶液を用いることができる。アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドやテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の有機化合物;のいずれをも用いることができる。アルカリ水性溶液の水性媒体としては、水;メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒;を使用することができる。
【0187】
潜像パターンを有する樹脂膜に現像液を接触させる方法としては、例えば、パドル法、スプレー法、ディッピング法等が挙げられる。現像温度は、通常、5〜55℃であり、現像時間は、通常、30〜180秒間である。
【0188】
このようにして、パターニングされた陽極を有する透明基板上に、パターン化樹脂膜を形成した後、樹脂の架橋反応を行うのが好ましい。基板上に形成された樹脂膜を架橋する方法は、用いる架橋剤の種類に応じて適宜選択することができるが、通常は加熱により行う。加熱は、例えば、ホットプレート、オーブン等を用いて行うことができる。加熱温度は、通常180〜250℃であり、加熱時間は、樹脂膜の厚さ等に応じて適宜選択することができる。
得られる画素分離膜の厚さは、通常0.2〜10μm、好ましくは0.25〜8μm、より好ましくは0.3〜6μmの範囲である。
【0189】
形成される画素分離膜は、透明性、加工性、密着性、低脱ガス性に優れるため、高温条件下で有機EL素子の発光が、経過時間とともに減光することがなく、高輝度で信頼性に優れた有機EL素子の効率よい製造に資する。
【0190】
また、前記有機EL素子の平坦化膜も、本発明の樹脂組成物を用いて形成することができる。平坦化膜も、本発明の樹脂組成物を用いて形成することにより、画素分離膜の脱ガスが少なくなることに加えて平坦化膜からの脱ガスも低減されるため、より信頼性の高い有機EL表示素子及び有機EL表示装置を得ることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて平坦化膜を形成する方法としては、前記画素分離膜を製造する方法と同様に、本発明の樹脂組成物を、基板表面に塗布・乾燥して樹脂膜を形成し、フォトリソグラフィ法により樹脂膜を所望のパターンに形成し、所望により架橋反応等を行うことにより形成することができる。
【実施例】
【0191】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、本実施例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ、「重量部」及び「重量%」である。
【0192】
各特性は、以下の方法により評価する。
<重合転化率>
重合終了後、ガスクロマトグラフィーを用いて反応溶液中の単量体の残存量を測定し、その値より算出した。
【0193】
<水素添加率>
H−NMRスペクトルにより、水素添加された炭素−炭素二重結合モル数を測定し、水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合を算出することにより、環状オレフィン重合体の水素化物の水素添加率を求めた。
【0194】
<重量平均分子量・数平均分子量>
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC−8020」、TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH4000、TSKgel SuperH5000の3種類のカラムを組み合わせて使用)を用い、環状オレフィン重合体及びその水素化物の重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン換算で算出した。なお、展開溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)を用いた。
【0195】
(I)重合触媒として、ルテニウム化合物(I)を使用する例
以下の実施例および比較例においては、下記に示すモノマーおよび触媒を用いた。
<モノマー>
・モノマー(I−1):4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン(TCDC)
・モノマー(I−2):4−メチル−4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン(MTCDC)
・モノマー(I−3):2,3−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン(NDC)(5,6−ジカルボキシノルボルネンに相当する)
・モノマー(I−4):N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(N2EHI)
・モノマー(I−5):N−(1−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(N1EHI)
・モノマー(I−6):N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸メチル(NDMI)
・モノマー(I−7):N−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(NBPI)
【0196】
<触媒>
・触媒(I−A1):1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン[2−(イソプロポキシ)−5−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)フェニル]メチレンルテニウムクロリド
(特表2008−546846号公報に記載された方法により合成した。)
・触媒(I−A2):[2−(イソプロポキシ)−5−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)フェニル]メチレン(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2008−546846号公報に記載された方法により合成した。)
【0197】
・触媒(I−X1):(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド(Org.Lett.,第1巻,953頁,1999年に記載された方法で合成した。)
・触媒(I−X2):(3−フェニルインデン−1−イリデン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(Organometallics,第18巻,5416頁,1999年に記載された方法により合成した。)
・触媒(I−X3):(2−チエニルメチレン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2011−516526号公報に記載された方法により合成した。)
・触媒(I−X4):(2−チエニルメチレン)(1,3−ジメシチル−4,5−ジメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2011−516526号公報に記載された方法により合成した。)
【0198】
(実施例I−1)
TCDC 60部、N1EHI 40部、1,5−ヘキサジエン 2.5部、触媒I−A1 0.1部、及びジエチレングリコールエチルメチルエーテル 400部を、窒素置換したガラス製耐圧反応器に仕込み、全容を80℃にて3時間撹拌することにより、開環重合体I−1を含む重合反応液を得た。
得られた開環重合体I−1の重合転化率は99.4%、重量平均分子量(Mw)は5,400、数平均分子量(Mn)は3,780、分子量分布(Mw/Mn)は1.43であった。
【0199】
得られた重合反応液をオートクレーブに入れ、150℃、水素圧4MPaで1時間攪拌して水素化反応を行なった。この溶液を、ラヂオライトをプリコートした漏斗でろ過することにより、開環重合体水素化物I−1を101部得た。
開環重合体水素化物I−1の重量平均分子量(Mw)は6,350、数平均分子量(Mn)は4,342、分子量分布は1.46、水素添加率は90.0%以上であった。
【0200】
(実施例I−2)
実施例I−1において、N1EHI 40部を、NBPI 40部に変更した以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素化物I−2を102部得た。
開環重合体水素化物I−2の水素添加率は90.0%以上、重量平均分子量(Mw)は5,460、数平均分子量(Mn)は3,620、分子量分布(Mw/Mn)は1.50であった。
【0201】
(実施例I−3〜I−20)
実施例I−1において、用いるモノマーおよび触媒を、下記表1−1に示すように変更した以外は、実施例I−1と同様にして、開環重合体水素化物I−3〜I−20をそれぞれ得た。
【0202】
(比較例I−1)
実施例I−1において、触媒(I−A1) 0.1部の代わりに、触媒I−X1 0.1部を用いた以外は、実施例I−1と同様にして、開環重合体I−r1を含む重合反応液を得た。
【0203】
得られた重合反応液をオートクレーブに入れ、150℃、水素圧4MPaで3時間攪拌して水素化反応を行なった。この溶液を、ラヂオライトをプリコートした漏斗でろ過することにより、開環重合体水素化物I−r1を得た。
開環重合体水素化物I−r1の水素添加率は90.0%以上、重量平均分子量(Mw)は6,480、数平均分子量(Mn)は4,330、分子量分布(Mw/Mn)は1.50であった。
【0204】
(比較例I−2)
比較例I−1において、N1EHI 40部を、NBPI 40部に変更した以外は、比較例1と同様にして開環重合体水素化物I−r2を得た。
開環重合体水素化物I−r2の重合転化率は90.0%以上、重量平均分子量(Mw)は5,290、数平均分子量(Mn)は3,470、分子量分布(Mw/Mn)は1.53であった。
【0205】
(比較例I−3〜I−11)
比較例I−1において、用いるモノマーおよび触媒として下記表1−2に示すものを用い、それらを下記表1−2に示す割合で使用した以外は、比較例I−1と同様にして、開環重合体水素化物I−r3〜I−r11をそれぞれ得た。
【0206】
得られた開環重合体水素化物I−3〜I−20、I−r3〜I−r11は、いずれも、重合転化率は90.0%以上、水素添加率は90%以上、重量平均分子量(Mw)は5,000以上7,000以下、数平均分子量(Mn)は3,000以上5,000以下、分子量分布(Mw/Mn)は1.0以上2.3以下であった。
【0207】
<樹脂組成物の調製>
実施例及び比較例で得られた開環重合体水素化物I−1〜I−20、I−r1〜I−r11を、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルで希釈し、固形分濃度20%として、樹脂組成物I−1〜I−20、I−r1〜I−r11をそれぞれ得た。
【0208】
<光線透過率の測定>
ガラス基板(コーニング社製、「コーニング1737」)上に、上記で得た樹脂組成物I−1〜I−20、I−r1〜I−r11をスピンコート法によりそれぞれ塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間加熱乾燥(プリベーク)して、樹脂膜を形成した。その後、窒素中、温度230℃、1時間の条件でオーブン焼成処理を行なうことで、膜厚3.0μmの積層体を得た。そして、得られた積層体について、分光光度計(日本分光社製、「紫外可視分光光度計V−560」)を用いて、波長400nmで光線透過率の測定を行った。
光線透過率が97%以上である場合を◎、95%以上97%未満である場合を○、95%未満である場合を△と評価した。
評価結果を下記表1−1、1−2に示す。
【0209】
<比誘電率の測定>
上記で得た樹脂組成物I−1〜I−20、I−r1〜I−r11をシリコンウェハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークして、0.12μm厚の樹脂膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中において230℃で1時間加熱することにより、樹脂膜が形成されたシリコンウェハからなる試験用試料を得た。そして、得られた試験用試料を用いて、JIS C6481に準じて、10KHz(室温)で、樹脂膜の比誘電率を測定した。比誘電率は低いほど好ましい。
比誘電率が2.6未満である場合を◎、2.6以上2.8未満である場合を○、2.8以上である場合を△と評価した。
評価結果を下記表1−1、1−2に示す。
【0210】
<耐薬品性の測定>
上記で得た樹脂組成物I−1〜I−20、I−r1〜I−r11をシリコンウェハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークして、樹脂膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中において230℃で1時間加熱することにより、3.0μm厚の樹脂膜が形成されたシリコンウェハからなる試験用試料1〜20、r1〜r11を得た。得られた試験用試料を50℃の剥離液(ST−106、東京応化工業社製)に1分浸漬させ、10秒間純水で洗浄し、空気を吹き付け乾燥させた後、膜厚の変化量を測定し、初期膜厚の変化率を算出した。変化率が100%に近いほど好ましい。
耐薬品性が107%未満である場合を◎、107%以上110%未満である場合を○、110%以上である場合を△と評価した。
評価結果を下記表1−1,1−2に示す。
【0211】
<プラズマ耐性の測定>
スパッタ装置「!−Miller(CFS−4EP−LL)」(芝浦エレテック社製)を用い、室温下でアルゴン流量300sccm、RF出力300Wのプラズマにて、上記で得た試験試料I−1〜I−20、I−r1〜I−r11を10秒間処理した。その後、膜厚の変化量を測定し、初期膜厚の変化率を算出した。変化率が100%に近いほど好ましい。
プラズマ耐性が94%以上である場合を◎、90%以上94%未満である場合を○、90%未満である場合を△と評価した。
評価結果を下記表1−1、1−2に示す。
【0212】
【表1】
【0213】
【表2】
【0214】
第1−1、1−2から、重合触媒として、式(I)で表されるルテニウム化合物を用いて、環状オレオフィンを開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られた、実施例1〜20の重合体水素化物I−1〜I−20は、比較例I−1〜I−11の重合体水素化物I−r1〜I−r11に比して、波長400nmの光透過率、比誘電率、耐薬品性、プラズマ耐性のすべてにおいて、同等又は優れるものであった。
【0215】
(2)重合触媒として、ルテニウム化合物(II)を使用する例
(実施例II−1)
4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン(TCDC)70部、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド30部、1,5−ヘキサジエン2.5部、((1−アザ−2−オキソシクロペンチル)メチレン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.1部、及びジエチレングリコールエチルメチルエーテル300部を、窒素置換したガラス製耐圧反応器に仕込み、全容を80℃にて3時間撹拌し、開環重合体II−1を含む重合反応液を得た。
【0216】
得られた重合反応液をオートクレーブに入れ、150℃、水素圧4MPaで1時間攪拌して水素化反応を行なった。この溶液をラヂオライトをプリコートした漏斗でろ過することにより、開環重合体水素化物II−1を101部得た。
【0217】
(実施例II−2〜II−25、比較例II−1〜II−9)
実施例II−1において、用いるモノマー、触媒を、下記表2に示すように変更した以外は、実施例II−1と同様にして、開環重合体水素化物II−2〜II−25、II−r1〜II−r9をそれぞれ得た。
【0218】
・モノマー(II−1):4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン
・モノマー(II−2):4−メチル−4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン
・モノマー(II−3):2,3−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン(5,6−ジカルボキシノルボルネンに相当する)
・モノマー(II−4):N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
・モノマー(II−5):N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸メチル
・モノマー(II−6):N−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
【0219】
・触媒(II−A1):(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン)((2−メチル−3−オキソ−4−(ペンタフルオロフェニルカルボニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−8−イル)メチレン)ルテニウムジクロリド
(WO2012/013208号パンフレット(化合物番号 P47))
・触媒(II−A2):(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン)((2−エチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−8−イル)メチレン)ルテニウムジクロリド
(WO2012/013208号パンフレット(化合物番号 P33))
・触媒(II−A3):(1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン)((2−エチル−4−(イソブトキシカルボニル)−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−8−イル)メチレン)ルテニウムジクロリド
(WO2012/013208号パンフレット(化合物番号 P34))
【0220】
・触媒(II−X1):(3−フェニルインデン−1−イリデン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Organometallics,第18巻,5416頁,1999年 に記載された方法により合成した。)
・触媒(II−X2):(2−チエニルメチレン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2011−516526号公報に記載された方法により合成した。)
・触媒(II−X3):(2−チエニルメチレン)(1,3−ジメシチル−4,5−ジメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2011−516526号公報に記載された方法により合成した。)
【0221】
得られた開環重合体水素化物II−1〜II−25、II−r1〜II−r9は、いずれも、重合転化率は90.0%以上、重量平均分子量は5,000以上7,000以下、数平均分子量は3,000以上5,000以下、分子量分布は1.0以上2.3以下、水素添加率は90%以上であった。
【0222】
<樹脂組成物の調製>
実施例及び比較例で得られた開環重合体水素化物II−1〜II−25、II−r1〜II−r9を、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルで希釈し、固形分濃度20%として、樹脂組成物II−1〜II−25、II−r1〜II−r9をそれぞれ得た。
【0223】
<光線透過率の測定>
ガラス基板(コーニング社製、「コーニング1737」)上に、上記で得た樹脂組成物II−1〜II−25、II−r1〜II−r9をスピンコート法によりそれぞれ塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間加熱乾燥(プリベーク)して、膜厚3.0μmの樹脂膜を形成した。その後、窒素中、温度230℃、1時間の条件でオーブン焼成処理を行なうことで、積層体を得た。そして、得られた積層体について、分光光度計(日本分光社製、「紫外可視分光光度計V−560」)を用いて、波長400nmで光線透過率の測定を行った。
光線透過率が97%以上である場合を◎、95%以上97%未満である場合を○、95%未満である場合を△と評価した。
評価結果を下記表2−1、2−2に示す。
【0224】
<比誘電率の測定>
上記で得た樹脂組成物II−1〜II−25、II−r1〜II−r9をシリコンウェハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークして、0.12μm厚の樹脂膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中において230℃で1時間加熱することにより、樹脂膜が形成されたシリコンウェハからなる試験用試料を得た。そして、得られた試験用試料を用いて、JIS C6481に準じて、10KHz(室温)で、樹脂膜の比誘電率を測定した。比誘電率は低いほど好ましい。
比誘電率が2.6未満である場合を◎、2.6以上2.8未満である場合を○、2.8以上である場合を△と評価した。
評価結果を下記表2−1、2−2に示す。
【0225】
<耐薬品性の測定>
上記で得た樹脂組成物II−1〜II−25、II−r1〜II−r9をシリコンウェハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークして、3.0μm厚の樹脂膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中において230℃で1時間加熱することにより、樹脂膜が形成されたシリコンウェハからなる試験用試料1〜25、r1〜r9を得た。得られた試験用試料を50℃の剥離液(ST−106、東京応化工業社製)に1分浸漬させ、10秒間純水で洗浄し、空気を吹き付け乾燥させた後、膜厚の変化量を測定した。変化量が100%に近いほど好ましい。
耐薬品性が107%未満である場合を◎、107%以上110%未満である場合を○、110%以上である場合を△と評価した。
評価結果を下記表2−1、2−2に示す。
【0226】
<プラズマ耐性の測定>
スパッタ装置「!−Miller(CFS−4EP−LL)」(芝浦エレテック社製)を用い、室温下でアルゴン流量300sccm、RF出力300Wのプラズマにて、上記で得た試験試料II−1〜II−25、II−r1〜II−r9を10秒間処理した。その後、膜厚の変化量を測定した。変化量が100%に近いほど好ましい。
プラズマ耐性が94%以上である場合を◎、90%以上94%未満である場合を○、90%未満である場合を△と評価した。
評価結果を下記表2−1、2−2に示す。
【0227】
【表3】
【0228】
【表4】
【0229】
表2−1、2−2から、重合触媒として、式(II)で表されるルテニウム化合物を用いて、環状オレオフィンを開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られた、実施例の重合体水素化物II−1〜II−25は、比較例の重合体水素化物II−r1〜II−r9に比して、波長400nmの光透過率、比誘電率、耐薬品性、プラズマ耐性のすべてにおいて、同等又は優れるものであった。
【0230】
(3)重合触媒として、ルテニウム化合物(III)を使用する例
(実施例III−1)
4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン(TCDC)70部、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド 30部、1,5−ヘキサジエン 2.5部、((2−(1−メチルエトキシ)フェニル)メチレン)(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド 0.1部、及びジエチレングリコールエチルメチルエーテル 300部を、窒素置換したガラス製耐圧反応器に仕込み、全容を80℃にて3時間撹拌し、開環重合体III−1を含む重合反応液を得た。
【0231】
得られた重合反応液をオートクレーブに入れ、150℃、水素圧4MPaで1時間攪拌して水素化反応を行なった。この溶液をラヂオライトをプリコートした漏斗でろ過することにより、開環重合体水素化物III−1を101部得た。
【0232】
(実施例III−2〜III−25、比較例III−1〜III−9)
実施例III−1において、用いるモノマー、触媒を、下記表3−1、3−2に示すように変更した以外は、実施例III−1と同様にして、開環重合体水素化物III−2〜III−25、III−r1〜III−r9をそれぞれ得た。
【0233】
・モノマー(III−1):4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン
・モノマー(III−2):4−メチル−4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン
・モノマー(III−3):2,3−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン(5,6−ジカルボキシノルボルネンに相当する)
・モノマー(III−4):N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
・モノマー(III−5):N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸メチル
・モノマー(III−6):N−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
【0234】
・触媒(III−A1):((2−(1−メチルエトキシ)フェニル)メチレン)(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド
(特表2004−506755公報の実施例5参照)
・触媒(III−A2):((2−(1−アセチルメトキシ)フェニル)メチレン)(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド
(特表2010−503713公報の実施例1参照)
・触媒(III−A3):((2−(1−メトキシカルボニルエトキシ)フェニル)メチレン)(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド
(特表2007−501199公報の実施例1参照)
【0235】
・触媒(III−X1):(3−フェニルインデン−1−イリデン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Organometallics,第18巻,5416頁,1999年 に記載された方法により合成した。)
・触媒(III−X2):(2−チエニルメチレン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2011−516526号公報に記載された方法により合成した。)
・触媒(III−X3):(2−チエニルメチレン)(1,3−ジメシチル−4,5−ジメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2011−516526号公報に記載された方法により合成した。)
【0236】
得られた開環重合体水素化物III−1〜III−25、III−r1〜III−r9は、いずれも、重合転化率は90.0%以上、重量平均分子量は5,000以上7,000以下、数平均分子量は3,000以上5,000以下、分子量分布は1.0以上2.3以下、水素添加量は90%以上であった。
【0237】
<樹脂組成物の調製>
実施例及び比較例で得られた開環重合体水素化物III−1〜III−25、III−r1〜III−r9を、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルで希釈し、固形分濃度20%として、樹脂組成物III−1〜III−25、III−r1〜III−r9をそれぞれ得た。
【0238】
<光線透過率の測定>
ガラス基板(コーニング社製、「コーニング1737」)上に、上記で得た樹脂組成物III−1〜III−25、III−r1〜III−r9をスピンコート法によりそれぞれ塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間加熱乾燥(プリベーク)して、膜厚3.0μmの樹脂膜を形成した。その後、窒素中、温度230℃、1時間の条件でオーブン焼成処理を行なうことで、積層体を得た。そして、得られた積層体について、分光光度計(日本分光社製、「紫外可視分光光度計V−560」)を用いて、波長400nmで光線透過率の測定を行った。
光線透過率が97%以上である場合を◎、95%以上97%未満である場合を○、95%未満である場合を△と評価した。
評価結果を下記表3−1、3−2に示す。
【0239】
<比誘電率の測定>
上記で得た樹脂組成物III−1〜III−25、III−r1〜III−r9をシリコンウェハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークして、0.12μm厚の樹脂膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中において230℃で1時間加熱することにより、樹脂膜が形成されたシリコンウェハからなる試験用試料を得た。そして、得られた試験用試料を用いて、JIS C6481に準じて、10KHz(室温)で、樹脂膜の比誘電率を測定した。比誘電率は低いほど好ましい。
比誘電率が2.6未満である場合を◎、2.6以上2.8未満である場合を○、2.8以上である場合を△と評価した。
評価結果を下記表3−1、3−2に示す。
【0240】
<耐薬品性の測定>
上記で得た樹脂組成物III−1〜III−25、III−r1〜III−r9をシリコンウェハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークして、3.0μm厚の樹脂膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中において230℃で1時間加熱することにより、樹脂膜が形成されたシリコンウェハからなる試験用試料III−1〜III−25、III−r1〜III−r9を得た。得られた試験用試料を50℃の剥離液(ST−106、東京応化工業社製)に1分浸漬させ、10秒間純水で洗浄し、空気を吹き付け乾燥させた後、膜厚の変化量を測定した。変化量が100%に近いほど好ましい。
耐薬品性が107%未満である場合を◎、107%以上110%未満である場合を○、110%以上である場合を△と評価した。
評価結果を下記表3−1、3−2に示す。
【0241】
<プラズマ耐性の測定>
スパッタ装置「!−Miller(CFS−4EP−LL)」(芝浦エレテック社製)を用い、室温下でアルゴン流量300sccm、RF出力300Wのプラズマにて、上記で得た試験試料III−1〜III−25、III−r1〜III−r9を10秒間処理した。その後、膜厚の変化量を測定した。変化量が100%に近いほど好ましい。
プラズマ耐性が94%以上である場合を◎、90%以上94%未満である場合を○、90%未満である場合を△と評価した。
評価結果を下記表3−1、3−2に示す。
【0242】
【表5】
【0243】
【表6】
【0244】
表3−1、3−2から、重合触媒として、式(III)で表されるルテニウム化合物を用いて、環状オレオフィンを開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られた、実施例の重合体水素化物III−1〜III−25は、比較例の重合体水素化物III−r1〜III−r9に比して、波長400nmの光透過率、比誘電率、耐薬品性、プラズマ耐性のすべてにおいて、同等又は優れるものであった。
【0245】
(4)重合触媒として、ルテニウム化合物(IV)を使用する例
(実施例IV−1)
4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン(TCDC)70部、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド30部、1,5−ヘキサジエン2.5部、((1−アザ−2−オキソシクロペンチル)メチレン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.1部、及びジエチレングリコールエチルメチルエーテル300部を、窒素置換したガラス製耐圧反応器に仕込み、全容を80℃にて3時間撹拌し、開環重合体IV−1を含む重合反応液を得た。
【0246】
得られた重合反応液をオートクレーブに入れ、150℃、水素圧4MPaで1時間攪拌して水素化反応を行なった。この溶液をラヂオライトをプリコートした漏斗でろ過することにより、開環重合体水素化物IV−1を101部得た。
【0247】
(実施例IV−2〜IV−19、比較例IV−1〜IV−9)
実施例1において、用いるモノマー、触媒を、下記表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素化物IV−2〜IV−19、IV−r1〜IV−r9をそれぞれ得た。
【0248】
・モノマー(IV−1):4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン
・モノマー(IV−2):4−メチル−4−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13.6.02.7]ドデカ−9−エン
・モノマー(IV−3):2,3−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン(5,6−ジカルボキシノルボルネンに相当する)
・モノマー(IV−4):N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
・モノマー(IV−5):N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸メチル
・モノマー(IV−6):N−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
【0249】
・触媒(IV−A1):((1−アザ−2−オキソシクロペンチル)メチレン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Organometallics.Vol.21,No.11,2153−2164.(2002)(化合物番号14))
・触媒(IV−A2):((9H−カルバゾール−9−イル)メチレン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Organometallics.Vol.21,No.11,2153−2164.(2002)を参照)
【0250】
・触媒(IV−X1):(3−フェニルインデン−1−イリデン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Organometallics,第18巻,5416頁,1999年 に記載された方法により合成した。)
・触媒(IV−X2):(2−チエニルメチレン)(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2011−516526号公報に記載された方法により合成した。)
・触媒(IV−X3):(2−チエニルメチレン)(1,3−ジメシチル−4,5−ジメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド
(特表2011−516526号公報に記載された方法により合成した。)
【0251】
得られた開環重合体水素化物IV−1〜IV−19、IV−r1〜IV−r9は、いずれも、重合転化率は90.0%以上、重量平均分子量は5,000以上7,000以下、数平均分子量は3,000以上5,000以下、分子量分布は1.0以上2.3以下、水素添加率は90%以上であった。
【0252】
<樹脂組成物の調製>
実施例及び比較例で得られた開環重合体水素化物IV−1〜IV−19、IV−r1〜IV−r9を、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルで希釈し、固形分濃度20%として、樹脂組成物IV−1〜IV−19、IV−r1〜IV−r9をそれぞれ得た。
【0253】
<光線透過率の測定>
ガラス基板(コーニング社製、「コーニング1737」)上に、上記で得た樹脂組成物IV−1〜IV−19、IV−r1〜IV−r9をスピンコート法によりそれぞれ塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間加熱乾燥(プリベーク)して、膜厚3.0μmの樹脂膜を形成した。その後、窒素中、温度230℃、1時間の条件でオーブン焼成処理を行なうことで、積層体を得た。そして、得られた積層体について、分光光度計(日本分光社製、「紫外可視分光光度計V−560」)を用いて、波長400nmで光線透過率の測定を行った。
光線透過率が97%以上である場合を◎、95%以上97%未満である場合を○、95%未満である場合を△と評価した。
評価結果を下記表4−1、4−2に示す。
【0254】
<比誘電率の測定>
上記で得た樹脂組成物IV−1〜IV−19、IV−r1〜IV−r9をシリコンウェハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークして、0.12μm厚の樹脂膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中において230℃で1時間加熱することにより、樹脂膜が形成されたシリコンウェハからなる試験用試料を得た。そして、得られた試験用試料を用いて、JIS C6481に準じて、10KHz(室温)で、樹脂膜の比誘電率を測定した。比誘電率は低いほど好ましい。
比誘電率が2.6未満である場合を◎、2.6以上2.8未満である場合を○、2.8以上である場合を△と評価した。
評価結果を下記表4−1、4−2に示す。
【0255】
<耐薬品性の測定>
上記で得た樹脂組成物IV−1〜IV−19、IV−r1〜IV−r9をシリコンウェハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークして、3.0μm厚の樹脂膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中において230℃で1時間加熱することにより、樹脂膜が形成されたシリコンウェハからなる試験用試料1〜19、r1〜r9を得た。得られた試験用試料を50℃の剥離液(ST−106、東京応化工業社製)に1分浸漬させ、10秒間純水で洗浄し、空気を吹き付け乾燥させた後、膜厚の変化量を測定した。変化量が100%に近いほど好ましい。
耐薬品性が107%未満である場合を◎、107%以上110%未満である場合を○、110%以上である場合を△と評価した。
評価結果を下記表4−1、4−2に示す。
【0256】
<プラズマ耐性の測定>
スパッタ装置「!−Miller(CFS−4EP−LL)」(芝浦エレテック社製)を用い、室温下でアルゴン流量300sccm、RF出力300Wのプラズマにて、上記で得た試験試料IV−1〜IV−19、IV−r1〜IV−r9を10秒間処理した。その後、膜厚の変化量を測定した。変化量が100%に近いほど好ましい。
プラズマ耐性が94%以上である場合を◎、90%以上94%未満である場合を○、90%未満である場合を△と評価した。
評価結果を下記表4−1、4−2に示す。
【0257】
【表7】
【0258】
【表8】
【0259】
表4−1、4−2から、重合触媒として、式(IV)で表されるルテニウム化合物を用いて、環状オレオフィンを開環重合させた後、得られた開環重合体を水素化して得られた、実施例の重合体水素化物IV−1〜IV−19は、比較例の重合体水素化物IV−r1〜IV−r9に比して、波長400nmの光透過率、比誘電率、耐薬品性、プラズマ耐性のすべてにおいて、同等又は優れるものであった。