【文献】
Pablo P. Boix et al.,Role of ZnO Electron-Selective Layers in Regular and Inverted Bulk Heterojunction Solar Cells,The Journal of Physical Chemistry Letters,2011年,2,407-411
【文献】
Kyung-Sik Shin et al.,Enhanced Power Conversion Efficiency of Inverted Organic Solar Cells with a Ga-Doped ZnO Nanostructu,The Journal of Physical Chemistry C,2010年,114,15782-15785
【文献】
Jan Gilot et al.,Double and triple junction polymer solar cells processed from solution,Applied Physics Letters,2007年,90,143512
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属がドープされた亜鉛酸化物を含む塗布液を活性層上に塗布成膜することによって前記酸化物層を形成する、請求項1または2に記載の有機光電変換素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の有機光電変換素子は、支持基板上に、陽極、活性層、酸化物層、および陰極がこの順で積層された構成の有機光電変換素子である。
【0015】
陽極および陰極のうちの少なくとも一方は、透明又は半透明の電極によって構成される。透明又は半透明の電極から入射した光は、活性層中において、後述の電子受容性化合物及び/又は電子供与性化合物に吸収され、それによって電子と正孔とが結合した励起子が生成される。この励起子が活性層中を移動し、電子受容性化合物と電子供与性化合物とが隣接するヘテロ接合界面に達すると、界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子と正孔とが分離し、独立して移動することのできる電荷(電子と正孔)が発生する。発生した電荷は、それぞれ電極へ移動することにより外部へ電気エネルギー(電流)として取り出される。
【0016】
(支持基板)
本発明の有機光電変換素子は、通常、支持基板上に形成される。支持基板には、有機光電変換素子を作製する際に化学的に変化しないものが好適に用いられる。支持基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム、シリコン板等が挙げられる。透明又は不透明な陽極から光を取り込む形態の有機光電変換素子の場合、支持基板には光透過性の高い基板が好適に用いられる。また不透明な基板上に有機光電変換素子を作製する場合には、陽極側から光を取り込むことができないため、陰極が透明又は半透明な電極から構成される。このような電極を用いることにより、たとえ不透明な支持基板を用いたとしても、支持基板側に設けられる陽極とは反対側の陰極から光を取り込むことができる。
【0017】
(活性層)
活性層は、単層の形態または複数の層が積層された形態をとりうる。単層構成の活性層は、電子受容性化合物及び電子供与性化合物を含有する層から構成される。
【0018】
また複数の層が積層された構成の活性層は、たとえば電子供与性化合物を含有する第一の活性層と、電子受容性化合物を含有する第二の活性層とを積層した積層体から構成される。なおこの場合、第一の活性層が、第二の活性層に対して陽極寄りに配置される。
【0019】
また、有機光電変換素子は、中間層を介して複数の活性層が積層された構成であっても構わない。このような場合は、マルチ接合型素子(タンデム型素子)となる。なおこの場合、各活性層は、電子受容性化合物及び電子供与性化合物を含有する単層型であっても構わないし、電子供与性化合物を含有する第一の活性層と、電子受容性化合物を含有する第二の活性層とを積層した積層体から構成された積層型であっても構わない。
【0020】
中間層は、単層の形態または複数の層が積層された形態をとりうる。中間層はいわゆる電荷注入層や電荷輸送層によって構成される。中間層には、たとえば後述の電子輸送性材料を含む機能層を用いることができる。
【0021】
活性層は塗布法により形成されることが好ましい。また活性層は、高分子化合物を含むことが好ましく、高分子化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、活性層の電荷輸送性を高めるために、前記活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物を混合してもよい。
【0022】
有機光電変換素子に用いられる電子受容性化合物は、そのHOMOエネルギーが電子供与性化合物のHOMOエネルギーよりも高く、かつ、そのLUMOエネルギーが電子供与性化合物のLUMOエネルギーよりも高い化合物から成る。
【0023】
前記電子供与性化合物は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
低分子の電子供与性化合物としては、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ポルフィリン、金属ポルフィリン、オリゴチオフェン、テトラセン、ペンタセン、ルブレン等が挙げられる。
【0024】
高分子の電子供与性化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
【0025】
前記電子受容性化合物は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
低分子の電子受容性化合物としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C
60等のフラーレン類及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。
高分子の電子受容性化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。これらのなかでも、フラーレン類及びその誘導体が好ましい。
【0026】
フラーレン類としては、C
60、C
70、カーボンナノチューブが挙げられる。C
60フラーレンの誘導体の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。
【0027】
活性層が、フラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体からなる電子受容性化合物と、電子供与性化合物とを含有する構成では、フラーレン類及びフラーレン類の誘導体の割合が、電子供与性化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、50〜500重量部であることがより好ましい。また有機光電変換素子としては、前述の単層構成の活性層を備えることが好ましく、ヘテロ接合界面を多く含むという観点からは、フラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体からなる電子受容性化合物と、電子供与性化合物とを含有する単層構成の活性層を備えることがより好ましい。
【0028】
中でも活性層は、共役高分子化合物と、フラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体とを含むことが好ましい。活性層に用いられる共役高分子化合物としては、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等があげられる。
【0029】
活性層の膜厚は、通常、1nm〜100μmであり、好ましくは2nm〜1000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、さらに好ましくは20nm〜200nmである。
【0030】
(酸化物層)
本発明の有機光電変換素子は、金属がドープされた亜鉛酸化物を含む酸化物層を含む。この酸化物層は、活性層と陰極との間に設けられる。
【0031】
前記酸化物層に含まれる金属がドープされた亜鉛酸化物は、亜鉛酸化物に、ガリウム、アルミニウム、インジウム、およびホウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属がドープされたものである。
【0032】
前記金属の酸化物にドープされる金属としては、ガリウムが好ましい。
【0033】
またドーピング濃度は、通常0.1モル%〜50モル%であり、0.5モル%〜30モル%が好ましく、1モル%〜20モル%がさらに好ましい。
【0034】
酸化物層は、塗布法により形成することが好ましく、たとえば上記の金属がドープされた亜鉛酸化物と溶媒とを含む塗布液を、当該酸化物層が設けられる層の表面上に塗布することにより形成することが好ましい。なお本発明において、塗布液は、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液も含む。また塗布液に含まれる上記の金属がドープされた亜鉛酸化物としては、ガリウムドープ酸化亜鉛が好ましい。
【0035】
酸化物層を形成する際には、粒子状の前記金属がドープされた亜鉛酸化物を含む塗布液を成膜して、当該酸化物層を形成することが好ましい。このような電子輸送材料としては、いわゆる金属がドープされた亜鉛酸化物のナノ粒子を用いて、酸化物層を形成することがより好ましい。なお粒子状の前記金属がドープされた亜鉛酸化物としては、ガリウムドープ酸化亜鉛が好ましい。粒子状の金属がドープされた亜鉛酸化物、およびその好ましい態様としての粒子状のガリウムドープ酸化亜鉛の球相当の平均粒子径は、1nm〜1000nmが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。平均粒子径はレーザー光散乱法や、X線回折法によって測定される。
【0036】
陰極と活性層との間に、金属がドープされた亜鉛酸化物を含む酸化物層を設けることによって、陰極の剥離を防ぐとともに、活性層から陰極への電子注入効率を高めることができる。なお酸化物層は、活性層に接して設けることが好ましく、さらには陰極にも接して設けられることが好ましい。このように金属がドープされた亜鉛酸化物を含む酸化物層を設けることによって、陰極の剥離を防ぐとともに、活性層から陰極への電子注入効率をさらに高めることができる。このような酸化物層を設けることによって、信頼性が高く、光電変換効率の高い有機光電変換素子を実現することができる。
【0037】
金属がドープされた亜鉛酸化物を含む酸化物層は、いわゆる電子輸送層及び/又は電子注入層として機能する。このような酸化物層を設けることによって、陰極への電子の注入効率を高めたり、活性層からの正孔の注入を防いだり、電子の輸送能を高めたり、活性層の劣化を抑制したりすることができる。
【0038】
(電極)
本発明の有機光電変換素子は一対の電極を有する。該一対の電極の一方の電極は陽極であり、他方の電極は陰極である。該一対の電極のうち少なくとも一方の電極は、透明又は半透明であることが好ましい。透明又は半透明の電極の材料としては、導電性を有する金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅が挙げられ、ITO、IZO、酸化スズが好ましい。また、電極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0039】
本発明の有機光電変換素子が有する一対の電極の一方の電極は、不透明であってもよい。不透明の電極として、例えば、光を透過しない程度の膜厚の金属薄膜を用いることができる。不透明な電極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物が挙げられる。
【0040】
本実施形態では陰極は真空成膜法により形成される。真空成膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
【0041】
また有機光電変換素子としては、前述した素子構成に限らず、陽極と陰極との間に付加的な層をさらに設けてもよい。付加的な層としては、例えば、ホールを輸送する正孔輸送層、電子を輸送する電子輸送層、バッファ層等が挙げられる。例えば正孔輸送層は陽極と活性層との間に設けられ、電子輸送層は活性層と酸化物層との間に設けられ、バッファ層は例えば陰極と酸化物層の間などに設けられる。バッファ層を設けることによって、表面の平坦化や、電荷注入を促進することができる。
【0042】
前記付加的な層としてのホール輸送層または電子輸送層に用いられる材料としては、それぞれ前述した電子供与性化合物、電子受容性化合物を用いることができる。付加的な層としてのバッファ層に用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化物等を用いることができる。また、酸化チタン等の無機半導体の微粒子を用いて電荷輸送層を形成することもできる。例えば電子輸送層が成膜される下地層上にチタニア溶液を塗布法により成膜し、さらに乾燥することによって電子輸送層を形成することができる。
【0043】
<2>有機光電変換素子の製造方法
本発明の有機光電変換素子の製造方法では、陽極を形成する工程と、前記陽極上に活性層を形成する工程と、前記活性層上にガリウム、アルミニウム、インジウム、およびホウ素からなる群から選ばれる1種以上の金属がドープされた亜鉛酸化物を含む酸化物層を形成する工程と、前記酸化物層上に真空成膜法により陰極を形成する工程とを含むものである。なおこれらの各工程は記載の順におこなわれることが好ましい。また所定の層上に所定の層を形成するという形態には、これらの層が互いに接するような形態、およびこれらの層の間に他の所定の層が介在する形態も含まれる。
【0044】
<陽極形成工程>
陽極は、例としてあげた陽極の材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって前述した支持基板上に成膜することで形成される。またポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機材料を含む塗布液、金属インク、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陽極を形成してもよい。
【0045】
<活性層形成工程>
活性層の形成方法はとくに限定されないが、製造工程の簡易化の観点からは塗布法によって形成することが好ましい。活性層は例えば前述した活性層の構成材料と溶媒とを含む塗布液を用いる塗布法により形成することができ、例えば共役高分子化合物およびフラーレン類及び/又はフラーレン類の誘導体と、溶媒とを含む塗布液を用いる塗布法により形成することができる。
【0046】
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、s−ブチルベゼン、t−ブチルベンゼン等の炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類系溶媒等が挙げられる。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
【0047】
前記活性層の構成材料を含む塗布液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができる。これらのなかでもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
【0048】
<酸化物層形成工程>
本工程では、活性層上に、酸化物層を形成する。すなわち前記活性層の形成後、かつ前記陰極の形成前に、上述の金属がドープされた亜鉛酸化物を含む酸化物層を形成する。酸化物層は、塗布法により形成することが好ましく、たとえば上記の金属がドープされた亜鉛酸化物と溶媒とを含む塗布液を、当該酸化物層が設けられる層の表面上に塗布することにより形成することが好ましい。また塗布液に含まれる上記の金属がドープされた亜鉛酸化物としては、ガリウムドープ酸化亜鉛が好ましい。
【0049】
酸化物層が活性層に接して設けられる場合には、前記塗布液を活性層の表面上に塗布することによって酸化物層が形成される。なお酸化物層を形成するさいには、塗布液が塗布される層(活性層など)に与える損傷が少ない塗布液を用いることが好ましく、具体的には塗布液が塗布される層(活性層など)を溶解し難い塗布液を用いることが好ましい。例えば陰極を成膜する際に用いられる塗布液を活性層上に塗布した場合に、この塗布液が活性層に与える損傷よりも活性層に与える損傷の小さい塗布液を用いて酸化物層を形成することが好ましく、具体的には陰極を成膜する際に用いられる塗布液よりも、活性層を溶解し難い塗布液を用いて酸化物層を形成することが好ましい。
【0050】
酸化物層を塗布形成する際に用いる塗布液は、溶媒と、前述した金属がドープされた亜鉛酸化物とを含む。
前記塗布液の溶媒としては、水、アルコール、ケトン等があげられ、アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等があげられ、ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン及びこれらの2種以上の混合物等があげられる。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
【0051】
<陰極形成工程>
陰極は、活性層または酸化物層などの表面上に真空成膜法により形成されることが好ましい。
【0052】
本発明によれば光電変換効率の高い有機光電変換素子を製造することができる。
本発明の有機光電変換素子は、透明又は半透明の電極に太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。
また有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
【0053】
また、本発明の有機光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明又は半透明の電極に光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
以下の実施例において、重合体の分子量として、GPCラボラトリー製GPC(PL−GPC2000)を用いてポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。重合体の濃度が約1重量%となるようにo−ジクロロベンゼンに重合体を溶解させた。GPCの移動相にはo−ジクロロベンゼンを用い、測定温度140℃で、1mL/分の流速で流した。カラムは、PLGEL 10μm MIXED−B(PLラボラトリー製)を3本直列で繋げた。
【0056】
合成例1
(重合体1の合成)
内部の気体をアルゴン置換した2L四つ口フラスコに、上記化合物A(7.928g、16.72mmol)、上記化合物B(13.00g.17.60mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH
3N[(CH
2)
7CH
3]
3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)(4.979g)、およびトルエン405mlを入れ、撹拌しながら系内を30分間アルゴンバブリングした。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.02g)を加え、105℃に昇温、撹拌しながら2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液42.2mlを滴下した。滴下終了後5時間反応させ、フェニルボロン酸(2.6g)とトルエン1.8mlを加えて105℃で16時間撹拌した。トルエン700mlおよび7.5%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物水溶液200mlを加えて85℃で3時間撹拌した。水層を除去後、60℃のイオン交換水300mlで2回、60℃の3%酢酸300mlで1回、さらに60℃のイオン交換水300mlで3回洗浄した。有機層をセライト、アルミナ、シリカを充填したカラムに通し、熱トルエン800mlでカラムを洗浄した。溶液を700mlまで濃縮した後、2Lのメタノールに注加、再沈殿させた。重合体をろ過して回収し、500mlのメタノール、アセトン、メタノールで洗浄した。50℃で一晩真空乾燥することにより、下記式:
で表される繰返し単位を有するペンタチエニル−フルオレンコポリマー(以下、「重合体1」という)を12.21g得た。重合体1のポリスチレン換算の数平均分子量は5.4×10
4、重量平均分子量は1.1×10
5であった。
【0057】
合成例2
(重合体2の合成)
200mlのセパラブルフラスコに、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336(登録商標)、Aldrich製、CH
3N[(CH
2)
7CH
3]
3Cl、density 0.884g/ml、25℃)を0.65g、化合物(C)を1.5779g、化合物(E)を1.1454g入れ、フラスコ内の気体を窒素で置換した。フラスコに、アルゴンバブリングしたトルエンを35ml加え、撹拌溶解後、さらに40分アルゴンバブリングした。フラスコを加熱するバスの温度を85℃まで昇温後、反応液に、酢酸パラジウム1.6mg、トリスo−メトキシフェニルフォスフィンを6.7mg加え、つづいてバスの温度を105℃まで昇温しながら、17.5重量%の炭酸ナトリウム水溶液9.5mlを6分かけて滴下した。滴下後、バスの温度を105℃に保った状態で1.7時間攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
【0058】
次に、当該反応液に、化合物(C)を1.0877g、化合物(D)を0.9399g加え、さらに、アルゴンバブリングしたトルエンを15ml加え、撹拌溶解後、さらに30分アルゴンバブリングした。反応液に、酢酸パラジウムを1.3mg、トリスo−メトキシフェニルフォスフィンを4.7mg加え、つづいてバスの温度を105℃まで昇温しながら、17.5重量%の炭酸ナトリウム水溶液6.8mlを5分かけて滴下した。滴下後、バスの温度を105℃に保った状態で3時間攪拌した。撹拌後、反応液に、アルゴンバブリングしたトルエンを50ml、酢酸パラジウムを2.3mg、トリスo−メトキシフェニルフォスフィンを8.8mg、フェニルボロン酸を0.305g加え、バスの温度を105℃に保った状態で8時間攪拌した。次に、反応液の水層を除去した後、ナトリウムN,N−ジエチルジチオカルバメート3.1gを30mlの水に溶解した水溶液を加え、バスの温度を85℃に保った状態で2時間攪拌した。つづいて、反応液にトルエン250mlを加えて反応液を分液し、有機層を65mlの水で2回、65mlの3重量%酢酸水で2回、65mlの水で2回洗浄した。洗浄後の有機層にトルエン150mlを加えて希釈し、2500mlのメタノールに滴下し、高分子化合物を再沈殿させた。高分子化合物をろ過し、減圧乾燥後、500mlのトルエンに溶解させた。得られたトルエン溶液を、シリカゲル−アルミナカラムに通し、得られたトルエン溶液を3000mlのメタノールに滴下し、高分子化合物を再沈殿させた。高分子化合物をろ過し、減圧乾燥後、3.00gの重合体2を得た。得られた重合体2のポリスチレン換算の重量平均分子量は、257,000であり、数平均分子量は87,000であった。
【0059】
重合体2は、
下記式で表されるブロック共重合体である。
【0060】
合成例3
(化合物2の合成)
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した200mLフラスコに、国際公開第2011/052709号の記載に従って合成した化合物1を2.00g(3.77mmol)、脱水テトラヒドロフランを100mL入れて均一な溶液とした。該溶液を−78℃に保ち、該溶液に1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液5.89mL(9.42mmol)を10分かけて滴下した。滴下後、反応液を−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で2時間攪拌した。その後、フラスコを−78℃に冷却し、反応液にトリブチルスズクロリドを3.37g(10.4mmol)加えた。添加後、反応液を−78℃で30分攪拌し、次いで、室温(25℃)で3時間攪拌した。その後、反応液に水200mlを加えて反応を停止し、酢酸エチルを加えて反応生成物を含む有機層を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後、濾液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られたオイル状の物質を展開溶媒がヘキサンであるシリカゲルカラムで精製した。シリカゲルカラムのシリカゲルには、あらかじめ10重量%のトリエチルアミンを含むヘキサンに5分間浸し、その後、ヘキサンで濯いだシリカゲルを用いた。精製後、化合物2を3.55g(3.20mmol)得た。
【0061】
合成例4
(重合体3の合成)
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した300mLフラスコに、国際公開第2011/052709号の記載に従って合成した化合物3を800mg(0.760mmol)、化合物2を840mg(0.757mmol)、国際公開第2011/052709号の記載に従って合成した化合物4を471mg(1.43mmol)、トルエンを107ml入れて均一な溶液とした。得られたトルエン溶液を、アルゴンで30分バブリングした。その後、トルエン溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを19.6mg(0.0214mmol)、トリス(2−トルイル)ホスフィンを39.1mg(0.128mmol)加え、100℃で6時間攪拌した。その後、反応液にフェニルブロミドを660mg加え、さらに5時間攪拌した。その後、フラスコを25℃に冷却し、反応液をメタノール2000mLに注いだ。析出したポリマーを濾過して集め、得られたポリマーを円筒濾紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、アセトン及びヘキサンでそれぞれ5時間抽出した。円筒濾紙内に残ったポリマーを、o−ジクロロベンゼン53mLに溶解させ、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム1.21gと水12mLとを加え、8時間還流下で攪拌を行った。水層を除去後、有機層を水200mlで2回洗浄し、次いで、3重量%の酢酸水溶液200mLで2回洗浄し、次いで、水200mLで2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させた。ポリマーを濾過後、乾燥させ、得られたポリマーをo−ジクロロベンゼン62mLに再度溶解させ、アルミナ/シリカゲルカラムに通した。得られた溶液をメタノールに注いでポリマーを析出させ、ポリマーを濾過後、乾燥させ、精製された重合体802mgを得た。以下、この重合体を重合体3と呼称する。
【0062】
(組成物1の製造)
フラーレン類の誘導体として25重量部の[6,6]−フェニルC71−酪酸メチルエステル(C70PCBM)(アメリカンダイソース社製ADS71BFA)と、電子供与体化合物として2.5重量部の重合体1と、2.5重量部の重合体2、溶媒として1000重量部のo−ジクロロベンゼンとを混合した。次に、混合した溶液を、孔径1.0μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して組成物1を調製した。
【0063】
(組成物2の製造)
フラーレン類の誘導体として10重量部の[6,6]−フェニルC71−酪酸メチルエステル(C70PCBM)(アメリカンダイソース社製ADS71BFA)と、電子供与体化合物として5重量部の重合体3と、溶媒として1000重量部のo−ジクロロベンゼンとを混合した。次に、混合した溶液を、孔径1.0μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して組成物2を調製した。
【0064】
実施例1
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEDOT:PSS溶液(ヘレウス社製、CleviosP VP AI4083)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。この正孔注入層上に、前記組成物1をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約200nm)を形成した。
【0065】
次に、ガリウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子(粒径20nm〜40nm)の20重量%メチルエチルケトン分散液(パゼットGK、ハクスイテック社製)1重量部と、メチルエチルケトン10重量部とを混合し、塗布液を調製した。この塗布液を、スピンコートにより活性層上に19nmの膜厚で塗布し、乾燥させることにより酸化物層を形成した。その後、真空蒸着機により銀を膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10
−3Paであった。その後、UV硬化封止剤を用いて、有機薄膜太陽電池素子をガラス板で封止した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm
2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。光電変換効率は6.32%、短絡電流密度は10.65mA/cm
2、開放端電圧は0.91V、FF(フィルファクター)は0.65であった。
【0066】
実施例2
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEDOT:PSS溶液(ヘレウス社製、CleviosP VP AI4083)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中150℃で10分間加熱することにより、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。この正孔注入層上に、前記組成物2をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約100nm)を形成した。
【0067】
次に、ガリウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子(粒径20nm〜40nm)の20重量%メチルエチルケトン分散液(パゼットGK、ハクスイテック社製)1重量部と、メチルエチルケトン10重量部とを混合し、塗布液を調製した。この塗布液を、スピンコートにより活性層上に19nmの膜厚で塗布し、乾燥させることにより酸化物層を形成した。その後、窒素雰囲気下で150℃/10分間の条件でベークした。その後、真空蒸着機により銀を膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10
−3Paであった。その後、UV硬化封止剤を用いて、有機薄膜太陽電池素子をガラス板で封止した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm
2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。光電変換効率は5.57%、短絡電流密度は13.63mA/cm
2、開放端電圧は0.71V、FF(フィルファクター)は0.57であった。
【0068】
その後、素子を大気下85℃の恒温槽中で50時間加熱保存した。その後、素子を室温に戻し、光電変換効率を測定した。光電変換効率は5.92%、短絡電流密度は14.26mA/cm
2、開放端電圧は0.72V、FF(フィルファクター)は0.57であった。
【0069】
実施例3
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEDOT:PSS溶液(ヘレウス社製、CleviosP VP AI4083)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中150℃で10分開加熱することにより、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。この正孔注入層上に、前記組成物2をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約100nm)を形成した。
【0070】
次に、ガリウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子(粒径20nm〜40nm)の20重量%イソプロパノール分散液(パゼットGK、ハクスイテック社製)1重量部と、イソプロパノール20重量部とを混合し、塗布液を調製した。この塗布液を、スピンコートにより活性層上に16nmの膜厚で塗布し、乾燥させることにより酸化物層を形成した。その後、真空蒸着機により銀を膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10
−3Paであった。その後、UV硬化封止剤を用いて、有機薄膜太陽電池素子をガラス板で封止した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm
2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。光電変換効率は7.81%、短絡電流密度は17.47mA/cm
2、開放端電圧は0.71V、FF(フィルファクター)は0.63であった。
【0071】
その後、素子を大気下85℃の恒温槽中で1000時間加熱保存した。その後、素子を室温に戻し、光電変換効率を測定した。光電変換効率は6.55%、短絡電流密度は16.44mA/cm
2、開放端電圧は0.72V、FF(フィルファクター)は0.55であった。
【0072】
比較例1
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
有機薄膜太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEDOT:PSS溶液(ヘレウス社製、CleviosP VP AI4083)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中150℃で10分間加熱することにより、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。この正孔注入層上に、前記組成物1をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約100nm)を形成した。
【0073】
次に、酸化亜鉛ナノ粒子(粒径20〜30nm)の45重量%イソプロパノール分散液(HTD−711Z、テイカ社製)1重量部と、イソプロパノール10重量部とを混合し、塗布液を調製した。この塗布液を、スピンコートにより活性層上に50nmの膜厚で塗布し、乾燥させることにより酸化物層を形成した。その後、真空蒸着機により銀を膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10
−3Paであった。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm
2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。光電変換効率は5.22%、短絡電流密度は9.36mA/cm
2、開放端電圧は0.91V、FF(フィルファクター)は0.61であった。
【0074】
比較例2
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
有機薄膜太陽電池の作製、評価)
太陽電池の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEDOT:PSS溶液(ヘレウス社製、CleviosP VP AI4083)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。この正孔注入層上に、前記組成物2をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約100nm)を形成した。
【0075】
次に、酸化亜鉛ナノ粒子(粒径20〜30nm)の45重量%イソプロパノール分散液(HTD−711Z、テイカ社製)1重量部と、イソプロパノール10重量部とを混合し、塗布液を調製した。この塗布液を、スピンコートにより活性層上に50nmの膜厚で塗布し、乾燥させることにより酸化物層を形成した。その後、窒素雰囲気下で150℃/10分間の条件でベークした。その後、真空蒸着機により銀を膜厚100nmで蒸着することにより、有機薄膜太陽電池を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜9×10
−3Paであった。その後、UV硬化封止剤を用いて、有機薄膜太陽電池素子をガラス板で封止した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正四角形であった。ソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm
2)を用いて、得られた有機薄膜太陽電池に一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定することによって光電変換効率を測定した。光電変換効率は4.85%、短絡電流密度は11.95mA/cm
2、開放端電圧は0.72V、FF(フィルファクター)は0.57であった。
【0076】
その後、素子を大気下85℃の恒温槽中で50時間加熱保存した。その後、素子を室温に戻し、光電変換効率を測定した。光電変換効率は4.80%、短絡電流密度は11.90mA/cm
2、開放端電圧は0.72V、FF(フィルファクター)は0.56であった。