特許第6032406号(P6032406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032406
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20161121BHJP
   B65H 19/10 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B41J15/04
   B65H19/10 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-223714(P2012-223714)
(22)【出願日】2012年10月6日
(65)【公開番号】特開2014-76544(P2014-76544A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】木倉 真
(72)【発明者】
【氏名】松本 和悦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 和芳
(72)【発明者】
【氏名】小幡 雄三
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 徳和
(72)【発明者】
【氏名】内野 義識
(72)【発明者】
【氏名】細野 岳
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−293931(JP,A)
【文献】 特開2012−030445(JP,A)
【文献】 特開2000−211777(JP,A)
【文献】 特開2011−084059(JP,A)
【文献】 特開2006−008297(JP,A)
【文献】 特開平08−132700(JP,A)
【文献】 特表2006−511413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/04 − 15/14
B65H 19/00 − 19/30
B65H 21/00 − 21/02
B41J 29/00 − 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を巻き回したロール体から引き出された前記印刷媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記ロール体から引き出された前記印刷媒体を前記画像形成手段に対向して搬送する搬送手段と、を備え、
前記印刷媒体を搬送路上に押える第1の媒体押え手段及び第2の媒体押え手段を有し、
前記第1の媒体押え手段は、前記画像形成手段よりも媒体搬送方向上流側に配置され、
前記第2の媒体押え手段は、前記画像形成手段よりも媒体搬送方向下流側に配置され、 前記第1の媒体押え手段及び前記第2の媒体押え手段は、それぞれ、前記搬送路を開放する開放位置に退避可能に設けられ
前記第2の媒体押え手段は、媒体搬送方向下流側を回転中心として媒体搬送方向上流側が前記搬送路から離間する方向に回転可能に設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の媒体押え手段は、媒体搬送方向上流側を回転中心として媒体搬送方向下流側が前記搬送路から離間する方向に回転可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
印刷媒体を巻き回したロール体から引き出された前記印刷媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記ロール体から引き出された前記印刷媒体を前記画像形成手段に対向して搬送する搬送手段と、を備え、
前記印刷媒体を搬送路上に押える第1の媒体押え手段及び第2の媒体押え手段を有し、
前記第1の媒体押え手段は、前記画像形成手段よりも媒体搬送方向上流側に配置され、
前記第2の媒体押え手段は、前記画像形成手段よりも媒体搬送方向下流側に配置され、 前記第1の媒体押え手段及び前記第2の媒体押え手段は、それぞれ、前記搬送路を開放する開放位置に退避可能に設けられ、
前記第2の媒体押え手段は、媒体搬送方向と直交する方向の一端部側を回転中心として他端部側が前記搬送路から離間する方向に回転可能に設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の媒体押え手段は、媒体搬送方向と直交する方向の一端部側を回転中心として他端部側が前記搬送路から離間する方向に回転可能に設けられていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷媒体は、印刷面と粘着面を有し、前記粘着面に剥離紙を有しない媒体である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の媒体押え手段及び前記第2の媒体押え手段の少なくともいずれかは、前記印刷媒体を押す加圧力を調整可能である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、ロール状印刷媒体を使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ、台紙なしラベル紙など、粘着面を有し、粘着面に剥離紙が付いていない印刷媒体(以下、「ライナーレスラベル紙」ともいう。)に対して印刷を行い、印刷後所要の長さに切断して印刷媒体片(以下、「ラベル片」ともいう。)とするラベルプリンタなどの画像形成装置が知られている。
【0003】
従来、ラベル連続体に仮着されたラベルに印字を行う印字装置に用いられ、ラベル連続体が装填される収納箇所から印字箇所に搬送されるラベル連続体をガイド板との間で挟持してラベル連続体のばたつきを抑制するラベル押え装置であって、ラベル押え手段を収納箇所の上部を開閉する上面カバーに取り付け、上面カバーの閉成時には、ガイド板との間にラベル連続体を挟持する位置に位置決めされ、上面カバーの開成時には、上面カバーと共に上方に移動されるラベル押え手段を備えるラベル押え装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−008297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ライナーレスラベル紙は、ロール体から印刷媒体を引き出して搬送手段にセットしなければならないが、粘着面に剥離紙がないためにロール体から印刷媒体を引き剥がす必要がある。この印刷媒体の引き剥がしによって印刷媒体の先端部分にはロール体の巻き方向と逆方向に大きなカールが発生する。
【0006】
このように大きなカールが発生した印刷媒体を搬送手段にセットするとき、カールを矯正しつつセットできるようにする必要があると共に、印刷媒体のセット作業を容易にする必要がある。
【0007】
この点、上述した特許文献1に開示されている構成にあっては、印刷媒体を押えることはできるものの、押え手段がカバーの開閉動作と連動しているために、開閉カバーを閉じるときに印刷媒体の状態を視認できなくなって正しくセットされているかを確認できず、また、カバー全体を開閉するためにセットを行うときの操作性が悪いという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ロール状印刷媒体のセット操作の操作性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る画像形成装置は、
印刷媒体を巻き回したロール体から引き出された前記印刷媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記ロール体から引き出された前記印刷媒体を前記画像形成手段に対向して搬送する搬送手段と、を備え、
前記印刷媒体を搬送路上に押える第1の媒体押え手段及び第2の媒体押え手段を有し、
前記第1の媒体押え手段は、前記画像形成手段よりも媒体搬送方向上流側に配置され、
前記第2の媒体押え手段は、前記画像形成手段よりも媒体搬送方向下流側に配置され、 前記第1の媒体押え手段及び前記第2の媒体押え手段は、それぞれ、前記搬送路を開放する開放位置に退避可能に設けられ
前記第2の媒体押え手段は、媒体搬送方向下流側を回転中心として媒体搬送方向上流側が前記搬送路から離間する方向に回転可能に設けられている
構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロール状印刷媒体のセット操作の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例の機構部の正面説明図である。
図2】同機構部の給紙搬送ユニットの正面説明図である。
図3】印刷媒体の説明に供する要部正面説明図である。
図4】同実施形態における印刷媒体のセットを行うための構成の説明に供する給紙搬送ユニットを装置本体から引き出した状態の斜視説明図である。
図5】同じく第1の媒体押え手段及び第2の媒体押え手段を展開して搬送路を開放した状態の正面説明図である。
図6】ロール体からの印刷媒体の引き剥がしによるカールの説明に供する説明図である。
図7】本発明の第2実施形態の説明に供する排紙側から搬送方向に向かって見た側面説明図である。
図8】本発明の第3実施形態の説明に供する第2の媒体押え手段の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例について図1ないし図3を参照して説明する。図1は同画像形成装置の機構部の正面説明図、図2は同機構部の給紙搬送ユニットの正面説明図、図3は印刷媒体の説明に供する要部正面説明図である。
【0013】
この画像形成装置は、装置本体100内に、給紙装置となる給紙部101と、画像形成手段である画像形成部102と、搬送手段である搬送部103と、排紙搬送手段である排紙搬送部104と、印刷媒体2の搬送及び引き戻し時に印刷媒体2を案内するガイド手段106とが配置されている。
【0014】
給紙部101には、印刷媒体2をロール状に巻き回したロール体4が装填される。
【0015】
ここで、印刷媒体2は、図3に示すように、画像を形成可能な媒体(以下、「印刷面」ともいう。)2aの一面に粘着層(以下、「粘着面」という。)2bを形成した連続体であり、粘着面2bに台紙(剥離紙、セパレータ)を貼り付けていない状態でロール状にしたライナーレスラベル紙である。
【0016】
ロール体4はスプール5に嵌め込まれ、スプール5は両端部をロールホルダ部材6に配置した第1ないし第3の回転体である第1のコロ111、第2のコロ112、第3のコロ113の三点で回転可能に保持されている。
【0017】
ここで、第1のコロ111はスプール5の両端部を嵌め込むスプール受け部材7に、第2のコロ112はスプール受け部材7に開閉可能に設けた開閉部材8に、第3のコロ113はコロホルダ115にそれぞれ回転可能に保持されている。なお、コロホルダ115は軸114で回転可能に保持されて、スプリング116で第3のコロ113をスプール5側に加圧する方向に勢いを付けられている。
【0018】
画像形成部102は、印刷媒体2に液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド11を搭載したキャリッジ12を備えている。キャリッジ12は、主ガイド部材13及び従ガイド部材14に移動可能に保持されて、印刷媒体2の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復移動される。
【0019】
ここでは、記録ヘッド11に2つのノズル列を有する液体吐出ヘッドを使用し、2つの記録ヘッド11を使用して、4列のノズル列でそれぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインク液滴を吐出するようにしている。ただし、これに限るものではなく、またライン型ヘッドを使用することもできる。
【0020】
また、記録ヘッド11に対するインク供給は、装置本体1に対して交換可能に装着されるインクカートリッジ15から供給チューブ16を介して所要の色のインクをキャリッジ12に搭載した図示しないヘッドタンクに供給し、ヘッドタンクから記録ヘッド11にインクを供給する方式としている。
【0021】
また、記録ヘッド11の性能を維持回復するためのメンテナンス動作などで生じるインクの廃液は、装置本体1に対して交換可能に装着される廃液タンク17に排出されて収容される。
【0022】
なお、画像形成部102は、液体吐出ヘッドの形態に限らず、接触および非接触で画像を形成する各種画像形成手段を用いることができる。
【0023】
搬送部103は、記録ヘッド11の下方に、無端状の搬送ベルトである保護ベルト21が配置されている。保護ベルト21は、搬送ローラ22とテンションが付与された従動ローラ23とに周回移動可能に掛け回されている。
【0024】
このとき、保護ベルト21は粘着面2bに対し粘着性を持たないことが好ましいが、搬送時に保護ベルト21から印刷媒体2が浮いてしまうことを防止するために粘着面2bに対し再剥離可能な程度の弱い被粘着性を有していてもよい。保護ベルト21を粘着面2bにあてがうことで粘着面2bを保護し、同時に粘着面2bが装置内に接触することが防止されることで搬送安定性が得られるとともに、保護ベルト21が粘着面2bから剥離可能であることから、印刷媒体2のみを排紙することが可能になる。
【0025】
つまり、本実施形態では、保護ベルト21は搬送ベルトであるとともに、印刷媒体2の粘着面2bを保護する機能を併せ持っている。
【0026】
搬送ローラ22に対向して対向ローラ24が配置されている。これらの搬送ローラ22と対向ローラ24とからなる搬送ローラ対(回転体対)によって、印刷媒体2と保護ベルト21とを一緒に挟み込んで、記録ヘッド11による画像形成領域に搬送する搬送手段を構成している。
【0027】
また、保護ベルト21には多数の吸引孔が形成されている。そして、保護ベルト21の内側には、画像形成部102の記録ヘッド11に対向して、吸引孔を介して印刷媒体2を保護ベルト21の表面に向けて吸引する吸引ファン27が配置されている。
【0028】
なお、ここでは、吸引によって保護ベルト21に印刷媒体2を吸着する構成としているが、これに限らず、静電力で吸着することもできる。また印刷媒体2の粘着面2bの粘着性を利用して保護ベルト21から浮かないように固定してもよい。
【0029】
また、従動ローラ23側には、拍車コロ群28a,28b、28cが配置されている。なお、拍車コロ群28a〜28cは、それぞれが搬送方向と直交する方向に複数の拍車コロが配置されて構成されている。上流側の拍車コロ群28a、28bは保護ベルト21に対向し、最下流側の拍車コロ群28cは排紙搬送部104の受け部材30に対向する。
【0030】
排紙搬送部104は、保護ベルト21と拍車コロ群28bとの間から送り出された印刷媒体を案内する受け部材30の搬送方向下流側に、印刷媒体2を所望の長さに切断して印刷媒体片(ラベル片)200とする切断手段であるカッタユニット31が配置されている。
【0031】
カッタユニット31は、印刷媒体2を受ける受け部材30の下流側端面で形成される下刃と、下刃との間で印刷媒体2を切断する切断刃(上刃:カッタ)313とを有し、カッタ313が搬送方向と直交する方向に移動することで印刷媒体2を切断する。
【0032】
そして、カッタユニット31の下流側には、排紙ローラ32が配置されている。排紙ローラ32に対向して拍車コロ33が配置されている。これらの排紙ローラ32と拍車コロ33によって、カッタユニット31で切断された状態のラベル片200の先端を装置本体1の排出口105に送り出した状態で保持する。
【0033】
ここで、排紙ローラ32のラベル片200を保持する表面は、例えば非粘着性処理(粘着面が付着しない処理)を施して、ラベル片200の粘着面2bを剥離可能としている。この場合、排紙ローラ32自体を剥離可能な材質で形成することもできる。
【0034】
上記拍車コロ28a〜28c及び拍車コロ33は、印刷媒体2のガイド部材を兼ねる拍車ホルダ35に一体に保持されている。この拍車ホルダ35は軸36を回転中心として、拍車コロ28a〜28c及び拍車コロ33が保護ベルト21や排紙ローラ32から離間する位置に回転移動可能に配置されている。
【0035】
ガイド手段106は、搬送部103を構成している第1ローラを兼ねる対向ローラ24の下流側で、画像形成部102の上流側に配置された分離ローラとなる第2ローラ42と、対向ローラ24を挟んで第2ローラ41と反対側に配置された第3ローラ43とを有し、これらの対向ローラ24、第2ローラ42及び第3ローラ43との間に無端状のガイドベルト44を掛け回している。
【0036】
ここで、ガイドベルト44は、例えば、ポリイミドを基材とし、表層に印刷媒体2の粘着面2bとの離型性を良好にする離型層(例えばシリコーンコーティング)を有するベルト状部材である。
【0037】
そして、これらの対向ローラ24、第2ローラ42及び第3ローラ43は、ホルダ部材45に回転可能に保持されている。ホルダ部材45は軸46を回転中心として回転可能に配置され、対向ローラ24が搬送ローラ22に対向する位置と、対向ローラ24が搬送ローラ22から離間して対向ローラ24と搬送ローラ22との間を開放する位置との間で変位可能としている。
【0038】
また、対向ローラ24はばねなどの加圧手段によって搬送ローラ22側に加圧されている。同様に、第2ローラ42もばねなどの加圧手段によって保護ベルト21側に加圧されている。
【0039】
なお、本実施形態では、上述したように、印刷媒体2の粘着面2bを保護ベルト21側にして画像形成を行う構成で説明しているが、印刷媒体2の粘着面2bに画像形成を行う構成とすることもできる。この場合には、前述したガイドベルト44の表面に非粘着性処理(粘着面が付着しない処理)を施すことが好ましい。
【0040】
本実施形態においては、ガイド手段106が、画像形成部102の媒体搬送方向上流側に配置した第1の媒体押え手段である。ただし、印刷媒体2を押えているのは対向ローラ24、第2ローラ42及びガイドベルト44であり、この場合、ガイドベルト44を備えない場合には、対向ローラ24が第1の媒体押え手段となる。
【0041】
そして、第1の媒体押え手段であるガイド手段106は、上述したように、ホルダ部材45が軸46を回転中心として回転可能に保持されていることで、媒体搬送方向上流側を回転中心として媒体搬送方向下流側が、上記搬送部103から排紙搬送部104に至る搬送路110から離間する方向に回転可能に設けられ、搬送路110を開放する開放位置に退避可能となっている。
【0042】
また、拍車ホルダ35及びこれに保持された拍車コロ28a〜28c及び拍車コロ33が、画像形成部102の媒体搬送方向下流側に配置した第2の媒体押え手段108となる。
【0043】
そして、第2の媒体押え手段108は、上述したように、拍車ホルダ35が軸36を回転中心として回転可能に保持されていることで、媒体搬送方向下流側を回転中心として媒体搬送方向上流側が、上記搬送部103から排紙搬送部104に至る搬送路110から離間する方向に回転可能に設けられ、搬送路110を開放する開放位置に退避可能となっている。
【0044】
このように構成した画像形成装置においては、給紙部101に装填されたロール体4から引き出された印刷媒体2と保護ベルト21とを、搬送部103から排紙搬送部104に至る搬送路110上にセットする。
【0045】
そして、搬送ローラ22を回転駆動することによって、印刷媒体2の粘着面2bが保護ベルト21で保護された状態で搬送され、画像形成部102の記録ヘッド11によって所望の画像が形成される。
【0046】
画像が形成された印刷媒体2から保護ベルト21が剥離されて、印刷媒体2のみが排紙搬送部104に送られ、カッタユニット31によって所要の位置で切断されてラベル片200となり、排紙ローラ32と拍車コロ33との間で、装置本体1の排出口105から抜き取り可能な状態で保持される。
【0047】
また、ガイド手段106は、特に、印刷媒体2の粘着面2b側に画像を形成する場合に、搬送時及び引き戻し時に印刷媒体2を案内して対向ローラ24に印刷媒体2が巻き込まれることを防止する。
【0048】
つまり、対向ローラ24の表面に非粘着性処理をしたとしても、対向ローラ24の曲率が小さいために、対向ローラ24だけでは印刷媒体2の粘着面2bが対向ローラ24の周面に貼り付いて巻き込まれる可能性がある。この場合、対向ローラ24の曲率を大きくすれば良いのであるが、そうすると対向ローラ24と搬送ローラ22とのニップ領域の面積が小さくなって安定した搬送力を得ることができなくなる。
【0049】
そこで、搬送時には、ガイドベルト44で印刷媒体2を押えながら搬送させ、ガイドベルト44を曲率の小さな分離ローラとなる第2ローラ42によって印刷媒体2から確実に分離することで、搬送時の対向ローラ24への巻き込みを防止している。
【0050】
また、印刷媒体2を引き戻すときにも、印刷媒体2の粘着面2b側をガイドベルト44で受けて印刷媒体2が対向ローラ24に巻き込まれることを防止している。
【0051】
画像形成が終了し、カッタユニット31によって印刷媒体2を切断した段階では、印刷媒体2の先端はカッタユニット31の位置にあり、印刷媒体2の画像形成部102に対向している領域は未使用領域となる。このまま、次の画像形成動作を再開すると、印刷媒体2の未使用領域は無駄になる。そこで、印刷媒体2の先端が画像形成部102の手前(上流側)になる位置まで印刷媒体2を引き戻し方向(搬送方向と逆方向)に引き戻すようにしている。
【0052】
なお、この画像形成装置においては、給紙部101、搬送部103及び排紙搬送部104を給紙搬送ユニット107として一体にユニット化し、装置本体100に対して出し入れ可能に装着している。
【0053】
このように給紙搬送ユニット107を一体で装置本体100から引き出し可能にすることによって、第1の媒体押え手段であるガイド手段106や第2の媒体押え手段108を回転移動したとしても、画像形成部102や装置本体100の他の部材に干渉することがない。また、搬送部103から排紙搬送部104に至る搬送路110上がすべて開放されるため、印刷媒体2のセット性も極めて容易となる。あわせて、給紙部101と搬送部103がユニット化されていることで、印刷媒体2をセットした後に装置本体100内の画像形成位置に押し入れたとしても、セットした印刷媒体2がズレたり、スキューしたりすることがなく、セット時の状態を維持して画像形成を行うことができる。
【0054】
次に、本実施形態における印刷媒体のセットを行うための構成について図4及び図5も参照して説明する。図4は同説明に供する給紙搬送ユニットを装置本体から引き出した状態の斜視説明図、図5は同じく第1の媒体押え手段及び第2の媒体押え手段を展開して搬送路を開放した状態の正面説明図である。
【0055】
上述したように、印刷媒体2を保護ベルト21上にセットするとき、印刷媒体2は粘着面2bに剥離紙がない状態でロール状になっているため、ロール体4から印刷媒体2を引き出すときには粘着面2bによる粘着を剥がしながら引き出す必要がある。また、ロール体4から引き出した印刷媒体2を対向ローラ24と搬送ローラ22との間を通して保護ベルト21上にセットするときに、粘着面2bが他の部材に貼り付くことがないようにしなければならない。さらに、印刷媒体2の粘着面2bを保護ベルト21上に貼り付ける(剥離可能な状態で)ときに寄りや皺が発生すると安定した搬送を行うことができなくなる。
【0056】
このように、粘着面2bが露出している印刷媒体2のセットは、通常のロール紙と比較にならないほどセットが難しい点があり、印刷媒体2のセット操作の操作性を向上することが必要になる。
【0057】
そのために、本実施形態では、まず、前述したように、図1及び図4に示すように、給紙部101と搬送部103及び排紙搬送部104とを給紙搬送ユニット107として一体にユニット化し、給紙搬送ユニット107を装置本体100に対して引出し可能に装着している。
【0058】
ここで、給紙搬送ユニット107は、装置本体100の操作パネル109が設けられた面を前面とするとき、給紙搬送ユニット107の引出し方向は、印刷媒体2の搬送方向(媒体搬送方向)と直交する方向であって、装置本体100の前面方向としている。
【0059】
そして、本実施形態では、給紙部101は搬送部103の保護ベルト21の下方に配置しているので、給紙部101へのロール体4の装填方向も搬送方向に沿う方向としている。
【0060】
このように、給紙部101を保護ベルト21の下方に配置することによって搬送方向における装置サイズ(図1で左右方向の長さ)のコンパクト化を図ることができる。
【0061】
このような給紙部101の配置構成では、ロール体4の着脱を上方から行うことが困難な一方、ロール体4から引き出した印刷媒体2の搬送部103へのセットは上方からしか行うことができない。すなわち、セット性を高めるためには、ロール体4の着脱方向側から搬送部103の上方までは開放されている必要がある。そこで本実施形態では、ロール体4を新規に(或いは交換して)給紙部101に装填し、印刷媒体2を保護ベルト21上にセットするときには、まず、装置本体100から給紙搬送ユニット107を引き出す。このとき、給紙搬送ユニット107は、給紙部101に媒体搬送方向からロール体4を装填可能な位置まで引き出される。
【0062】
これにより、印刷媒体2のセット操作を妨げるカバーなどの部材がなく、視認性の良い状態でセット作業を行うことができる。
【0063】
次に、ライナーレスラベル紙のように剥離紙のない粘着面を有する印刷媒体2をロール状にした場合、ロール体4から印刷媒体2を引き出すときに粘着面を引き剥がさなければならないため、図6に示すように、引き剥がした印刷媒体2は巻き方向と逆方向に大きくカールしてしまう。
【0064】
そこで、この印刷媒体2のカールにより搬送部102上で印刷媒体2の先端が保護ベルト21から浮き上がることを抑えるために、本実施形態では、画像形成部102の媒体搬送方向上流側に第1の媒体押え手段であるガイド手段106を配置し、画像形成部102の媒体搬送方向下流側に第2の媒体押え手段108を配置して、印刷媒体2をセットするときに印刷媒体2を保護ベルト21上に押えて浮き上がらないようにしている。
【0065】
これにより、セットされた印刷媒体2の先端の浮き上がりによって、印刷媒体2が画像形成部102と接触することを防止でき、安定した印刷媒体2のセットを行うことができる。
【0066】
そして、第1の媒体押え手段であるガイド手段106と第2の媒体押え手段108とは、いずれも搬送路110を開放する退避位置に退避可能としている。
【0067】
そこで、ロール体4から引き出した印刷媒体2を保護ベルト21上にセットするときには、図5にも示すように、第1の媒体押え手段であるガイド手段106を矢印B方向に回転させ、第2の媒体押え手段108を矢印C方向に回転させ、いずれも退避位置に移動させて、搬送路110を開放状態にする。
【0068】
その後、給紙部101に対してロール体4を装填し、ロール体4から印刷媒体2を引き剥がしながら引出して、印刷媒体2の先端部をガイド手段106の対向ローラ24と搬送ローラ22との間を通過させ、カッタユニット31の手前位置まで引出して、保護ベルト21上にセットする。
【0069】
このとき、印刷媒体2をロール体4から引き剥がしながら引き出すために、印刷媒体2の先端部分にはユーザが触ることで油分が付着するなどして粘着力が低下することになる。そこで、画像形成部102を越える位置まで印刷媒体2を引き出してセットすることで、粘着力が低下した部分を使用しなくなり、ラベル片200の付着不良を防止できる。粘着力が低下した部分は、カッタユニット31で切断すればよい。
【0070】
その後、図2に示すように、第1の媒体押え手段であるガイド手段106と第2の媒体押え手段108とを、いずれも搬送路110の印刷媒体2を押える位置まで移動させ、給紙搬送ユニット107を装置本体100内に押し込むことで、セット作業が完了する。
【0071】
このとき、給紙部101のロール体4と搬送部103の保護ベルト21との位置関係が崩れることはなく、印刷媒体2がズレやスキューを生じることなく保護ベルト21にセットされた状態で、装置本体100内に収めることができ、印刷媒体2の安定した搬送性も得ることができる。
【0072】
このように、印刷媒体を搬送路上に押える第1の媒体押え手段及び第2の媒体押え手段を有し、第1の媒体押え手段は、画像形成手段よりも媒体搬送方向上流側に配置され、第2の媒体押え手段は、画像形成手段よりも媒体搬送方向下流側に配置され、第1の媒体押え手段及び第2の媒体押え手段は、それぞれ、搬送路を開放する開放位置に退避可能に設けられている構成とすることで、ロール状印刷媒体のセット操作の操作性を向上することができる。
【0073】
すなわち、第2の媒体押さえ手段が開放位置に退避できない構成の場合には、印刷媒体2を第2の媒体押さえ手段の下を通してセットすることが困難なため、印刷媒体2の先端は第2の媒体押さえ手段よりも搬送方向上流側にセットしなければならない。しかし、この場合、印刷媒体2の先端のカールによる浮き上がりのため、画像形成手段102や第2の媒体押さえ手段に接触し、搬送ジャム等を引き起こす原因となる。
【0074】
一方、この課題を解決するために、印刷媒体2の先端を押さえるようにしようとすると、印刷媒体2の先端が第1の媒体押さえ手段の下方となるようにセットしなければならず、正しい位置でセットされたかが確認できない。
【0075】
本実施形態のように下流側の第2の媒体押さえ手段を開放可能にすることによって、印刷媒体2のセット時に搬送経路の終端まで印刷媒体を配置できるために、カールによる印刷媒体2の先端の浮きが搬送ジャムの原因となることなく、またセット位置も正確に確認しながら行うことができる。
【0076】
そして、第1の媒体押え手段及び第2の媒体押え手段を搬送方向で反対側に展開する状態で開放路を開放できるようにする(図5の状態にできるようにする)ことで、搬送路全体を開放することができて、更にセット操作の操作性が向上する。
【0077】
次に、本発明の第2実施形態について図7を参照して説明する。図7は同実施形態の説明に供する排紙側から搬送方向に向かって見た(図1を右方向から見た)側面説明図である。
【0078】
本実施形態では、下流側の第2の媒体押え手段108は、拍車ホルダ35の軸36が搬送方向に沿って配置されており、拍車ホルダ35は媒体搬送方向と直交する方向の一端部側の軸36を回転中心として矢印D方向に他端部側が搬送路110から離間する方向に回転可能に設けられている。なお、第1の媒体搬送手段についても同様に構成することができるし、前記第1実施形態の構成と組み合わせることもできる。
【0079】
このように構成しても、搬送路110を開放することができ、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、セット操作時に必要な幅方向のスペースを低減できる。
【0080】
次に、本発明の第3実施形態について図8を参照して説明する。図8は同実施形態の説明に供する第2の媒体押え手段の正面説明図である。
【0081】
本実施形態では、第2の媒体押え手段108の拍車ホルダ35を上下動(搬送路110に対して進退動)させることで拍車コロ28a〜28c、拍車コロ33の加圧力を調整する調整部材39を備えている。
【0082】
これによって、第2の媒体押え手段108が印刷媒体2を押える加圧力を調整することができる。つまり、使用する印刷媒体によっては、厚みやコシの強弱が異なるので、印刷媒体の種類に応じて必要な加圧力も異なってくる。ここで、印刷媒体に対して適切でない加圧力であると、加圧過多になることで、搬送時の負荷増大による搬送ジャムを引き起こしたり、あるいは、印字画像表面に拍車の跡がつくといった画像品質不良が生じたりする。加圧力を調整できることで、様々な種類のラベルに対して、加圧過多による不具合を防止することができる。
【0083】
以上の各実施形態では、剥離紙なしのライナーレスラベル紙で説明しているが、巻き癖などのカールを有する粘着面に剥離紙を設けたロール状印刷媒体や、粘着面を有しないロール紙などを使用する場合にも、本発明は同様に適用することができる。
【0084】
なお、本願における「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0085】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。
【0086】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0087】
2 印刷媒体
4 ロール体
5 スプール
6 ロールホルダ部材
7 スプール受け部材
8 開閉部材
11 記録ヘッド
21 保護ベルト(搬送ベルト)
22 搬送ローラ
24 対向ローラ
28a〜28c
31 カッタユニット
32 排紙ローラ
33 拍車コロ
35 拍車ホルダ
36 軸
42 第2のローラ
43 第3のローラ
44 ガイドベルト
100 装置本体
101 給紙部
102 画像形成部
103 搬送部
104 排紙部
106 ガイド手段(第1の媒体押え手段)
108 第2の媒体押え手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8