特許第6033053号(P6033053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033053
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】光学シート加工装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20161121BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20161121BHJP
   B29C 59/04 20060101ALI20161121BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20161121BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161121BHJP
   B29L 11/00 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   F21S2/00 436
   F21V8/00 320
   B29C59/04
   G02B6/00 331
   F21Y115:10
   B29L11:00
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-256555(P2012-256555)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-107017(P2014-107017A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】奥 尚規
(72)【発明者】
【氏名】川端 則希
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/015013(WO,A1)
【文献】 特開平11−147255(JP,A)
【文献】 特開2010−182478(JP,A)
【文献】 特開2008−175996(JP,A)
【文献】 特開2002−214414(JP,A)
【文献】 特開2011−183782(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/125795(WO,A1)
【文献】 特開2010−018649(JP,A)
【文献】 特開2012−069282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
B29C 59/04
F21V 8/00
G02B 6/00
B29L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる光学シートの入光端面に凹凸部を形成する光学シート加工装置であって、
前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を付与するための転写面を有する金属製の転写ロールと、
前記転写ロールを挟むように配置され、前記光学シートを支持する1対のステージと、
前記転写ロールを加熱する加熱手段と、
前記転写面及び前記入光端面同士を押し付けるように前記ステージに圧力を印加する圧力印加手段と、
前記転写ロールを回転させる回転手段と、
前記ステージを前記転写ロールに対して前記凹凸部の形成方向に移動させる移動手段とを備えることを特徴とする光学シート加工装置。
【請求項2】
前記回転手段は、前記各ステージに対応して設けられた1対のモータと、前記各モータの駆動力を前記転写ロールに伝達する回転用動力伝達機構とを有し、
前記移動手段は、前記1対のモータと、前記各モータの駆動力を前記各ステージにそれぞれ伝達する移動用動力伝達機構とを有することを特徴とする請求項1記載の光学シート加工装置。
【請求項3】
前記回転用動力伝達機構は、前記転写ロールのロール軸に取り付けられた第1平歯車と、前記第1平歯車とそれぞれ噛み合う1対の第2平歯車と、前記各第2平歯車への前記各モータの駆動力の伝達をそれぞれ断続する1対のクラッチとを有し、
前記移動用動力伝達機構は、前記各ステージにそれぞれ設けられた1対のラックと、前記各モータの出力軸にそれぞれ取り付けられ、前記各ラックとそれぞれ噛み合う1対のピニオンとを有することを特徴とする請求項2記載の光学シート加工装置。
【請求項4】
熱可塑性樹脂からなる光学シートの入光端面に凹凸部を形成する光学シート加工方法であって、
請求項1〜3のいずれか一項記載の光学シート加工装置を用意する準備工程と、
前記転写ロールを加熱すると共に、前記転写面及び前記入光端面同士を押し付けるように前記ステージに圧力を印加した状態で、前記転写ロールを回転させながら、前記ステージを前記転写ロールに対して前記凹凸部の形成方向に移動させることにより、前記入光端面に前記凹凸部を形成する成形工程とを含み、
前記成形工程では、前記1対のステージの一方に支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成していない間に、前記1対のステージの他方に支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成することを特徴とする光学シート加工方法。
【請求項5】
前記成形工程は、
前記一方のステージに対する前記光学シートの取り出しを行っている間に、前記他方のステージを一側から他側に移動させて、前記他方のステージに支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成する第1工程と、
前記第1工程を実施した後、前記他方のステージに対する前記光学シートの取り出しを行っている間に、前記一方のステージを前記一側から前記他側に移動させて、前記一方のステージに支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成する第2工程と、
前記第2工程を実施した後、前記一方のステージに対する前記光学シートの取り出しを行っている間に、前記他方のステージを前記他側から前記一側に移動させて、前記他方のステージに支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成する第3工程と、
前記第3工程を実施した後、前記他方のステージに対する前記光学シートの取り出しを行っている間に、前記一方のステージを前記他側から前記一側に移動させて、前記一方のステージに支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成する第4工程とを含むことを特徴とする請求項4記載の光学シート加工方法。
【請求項6】
前記成形工程は、
前記一方のステージに対する前記光学シートの取り出しを行っている間に、前記他方のステージを一側から他側に移動させて、前記他方のステージに支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成する第1工程と、
前記第1工程を実施した後、前記一方のステージが待機している間に、前記他方のステージを前記他側から前記一側に移動させる第2工程と、
前記第2工程を実施した後、前記他方のステージに対する前記光学シートの取り出しを行っている間に、前記一方のステージを前記他側から前記一側に移動させて、前記一方のステージに支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成する第3工程と、
前記第3工程を実施した後、前記他方のステージが待機している間に、前記一方のステージを前記一側から前記他側に移動させる第4工程とを含むことを特徴とする請求項4記載の光学シート加工方法。
【請求項7】
前記成形工程は、
前記一方のステージに対する前記光学シートの取り出しを行っている間に、前記他方のステージを一側から他側に移動させて、前記他方のステージに支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成する第1工程と、
前記第1工程を実施した後、前記一方のステージが待機している間に、前記他方のステージを前記他側から前記一側に移動させる第2工程と、
前記第2工程を実施した後、前記他方のステージに対する前記光学シートの取り出しを行っている間に、前記一方のステージを前記一側から前記他側に移動させて、前記一方のステージに支持された前記光学シートの入光端面に前記凹凸部を形成する第3工程と、
前記第3工程を実施した後、前記他方のステージが待機している間に、前記一方のステージを前記他側から前記一側に移動させる第4工程とを含むことを特徴とする請求項4記載の光学シート加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シートの入光端面に凹凸部を形成する光学シート加工装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学シートの一つとして、例えば液晶表示装置のバックライトユニットに用いられる導光板が挙げられる。エッジライト型のバックライトユニットでは、導光板の入光端面に対向して複数の光源をアレイ状に配置し、導光板の入光端面から入射した光を光出射面から出射することで、液晶表示パネルを照明する。しかし、エッジライト型のバックライトユニットでは、導光板の光出射面のうち入光端面付近から出射される照明光に輝度ムラが発生する。
【0003】
そこで、そのような不具合を解決すべく、例えば特許文献1に記載されているように、導光板の入光端面に切削研磨面を形成してなる技術が知られている。特許文献1に記載の切削研磨面は、導光板の光出射面に垂直な方向に延在する縦スジ状の微細な凹凸を多数有する粗面となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−182478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、フライス盤、NCルータ、プレーナ等の工作機械を用いた機械加工によって導光板の入光端面に切削研磨面を形成しているため、切削による切り粉が発生してしまう。このため、導光板へ切り粉が混入・付着し、結果的に品質不良となることがある。
【0006】
本発明の目的は、光学シートへの切り粉の混入・付着を防止することができる光学シート加工装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる光学シートの入光端面に凹凸部を形成する光学シート加工装置であって、光学シートの入光端面に凹凸部を付与するための転写面を有する金属製の転写ロールと、転写ロールを挟むように配置され、光学シートを支持する1対のステージと、転写ロールを加熱する加熱手段と、転写面及び入光端面同士を押し付けるようにステージに圧力を印加する圧力印加手段と、転写ロールを回転させる回転手段と、ステージを転写ロールに対して凹凸部の形成方向に移動させる移動手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
このような本発明の光学シート加工装置を用いて、熱可塑性樹脂からなる光学シートの入光端面に凹凸部を形成するときは、金属製の転写ロールを加熱すると共に、転写ロールの転写面及び光学シートの入光端面同士を押し付けるようにステージに圧力を印加した状態で、転写ロールを回転させながら、ステージを転写ロールに対して凹凸部の形成方向に移動させることで、光学シートの入光端面に凹凸部を付与する。これにより、切削加工によって凹凸部を形成する場合と異なり、切り粉が発生することは無いため、光学シートへの切り粉の混入・付着を防止することができる。
【0009】
また、光学シートを支持する1対のステージを、転写ロールを挟むように配置することにより、転写ロールの両側において光学シートの入光端面に凹凸部を形成することができる。具体的には、一方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成していない期間(例えば光学シートの投入や取り出しの期間)に、他方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成することができる。この場合には、光学シートの投入や取り出しのために、光学シートの入光端面に凹凸部を形成する工程を中断させる必要が無くなる。これにより、光学シートの加工タクトを向上させることができる。
【0010】
好ましくは、回転手段は、各ステージに対応して設けられた1対のモータと、各モータの駆動力を転写ロールに伝達する回転用動力伝達機構とを有し、移動手段は、上記1対のモータと、各モータの駆動力を各ステージにそれぞれ伝達する移動用動力伝達機構とを有する。この場合には、1対のモータが回転手段及び移動手段の構成部品として共用されるので、転写ロールを回転させるモータと各ステージを移動させるモータとを別々としなくて済み、使用するモータの数を最小限に抑えることができる。
【0011】
このとき、好ましくは、回転用動力伝達機構は、転写ロールのロール軸に取り付けられた第1平歯車と、第1平歯車とそれぞれ噛み合う1対の第2平歯車と、各第2平歯車への各モータの駆動力の伝達をそれぞれ断続する1対のクラッチとを有し、移動用動力伝達機構は、各ステージにそれぞれ設けられた1対のラックと、各モータの出力軸にそれぞれ取り付けられ、各ラックとそれぞれ噛み合う1対のピニオンとを有する。この場合には、回転用動力伝達機構及び移動用動力伝達機構を簡単な構成で実現することができる。
【0012】
また、本発明は、熱可塑性樹脂からなる光学シートの入光端面に凹凸部を形成する光学シート加工方法であって、上記の光学シート加工装置を用意する準備工程と、転写ロールを加熱すると共に、転写面及び入光端面同士を押し付けるようにステージに圧力を印加した状態で、転写ロールを回転させながら、ステージを転写ロールに対して凹凸部の形成方向に移動させることにより、入光端面に凹凸部を形成する成形工程とを含み、成形工程では、1対のステージの一方に支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成していない間に、1対のステージの他方に支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成することを特徴とするものである。
【0013】
このような本発明の光学シート加工方法においては、転写ロールを加熱すると共に、転写ロールの転写面及び光学シートの入光端面同士を押し付けるようにステージに圧力を印加した状態で、転写ロールを回転させながら、ステージを転写ロールに対して凹凸部の形成方向に移動させることで、光学シートの入光端面に凹凸部を付与する。これにより、切削加工によって凹凸部を形成する場合と異なり、切り粉が発生することは無いため、光学シートへの切り粉の混入・付着を防止することができる。
【0014】
また、一方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成していない期間(例えば光学シートの投入や取り出しの期間)に、他方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成することにより、光学シートの投入や取り出しのために、光学シートの入光端面に凹凸部を形成する工程を中断させる必要が無くなる。これにより、光学シートの加工タクトを向上させることができる。
【0015】
好ましくは、成形工程は、一方のステージに対する光学シートの取り出しを行っている間に、他方のステージを一側から他側に移動させて、他方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成する第1工程と、第1工程を実施した後、他方のステージに対する光学シートの取り出しを行っている間に、一方のステージを一側から他側に移動させて、一方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成する第2工程と、第2工程を実施した後、一方のステージに対する光学シートの取り出しを行っている間に、他方のステージを他側から一側に移動させて、他方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成する第3工程と、第3工程を実施した後、他方のステージに対する光学シートの取り出しを行っている間に、一方のステージを他側から一側に移動させて、一方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成する第4工程とを含む。この場合には、一方のステージに支持された光学シート及び他方のステージに支持された光学シートの何れについても、両方向から入光端面に凹凸部を形成することができる。
【0016】
また、成形工程は、一方のステージに対する光学シートの取り出しを行っている間に、他方のステージを一側から他側に移動させて、他方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成する第1工程と、第1工程を実施した後、一方のステージが待機している間に、他方のステージを他側から一側に移動させる第2工程と、第2工程を実施した後、他方のステージに対する光学シートの取り出しを行っている間に、一方のステージを他側から一側に移動させて、一方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成する第3工程と、第3工程を実施した後、他方のステージが待機している間に、一方のステージを一側から他側に移動させる第4工程とを含んでも良い。この場合には、光学シート加工装置の一側及び他側に作業員が1人ずついれば良いので、作業員工数を下げることができる。
【0017】
さらに、成形工程は、一方のステージに対する光学シートの取り出しを行っている間に、他方のステージを一側から他側に移動させて、他方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成する第1工程と、第1工程を実施した後、一方のステージが待機している間に、他方のステージを他側から一側に移動させる第2工程と、第2工程を実施した後、他方のステージに対する光学シートの取り出しを行っている間に、一方のステージを一側から他側に移動させて、一方のステージに支持された光学シートの入光端面に凹凸部を形成する第3工程と、第3工程を実施した後、他方のステージが待機している間に、一方のステージを他側から一側に移動させる第4工程とを含んでも良い。この場合には、光学シート加工装置の一側に作業員が2人いれば良いので、作業員工数を下げることができる。また、光学シート加工装置の他側に壁等があるために光学シート加工装置の他側で作業員が作業することが困難な場合であっても、光学シート加工装置の一側において支障なく作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学シートへの切り粉の混入・付着を防止することができる。これにより、光学シートの品質が安定化し、歩留まりを向上させることが可能となる。また、光学シートの加工タクトを上げ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係わる光学シート加工装置の一実施形態によって得られる光学シートである導光板を含む液晶表示装置を示す概略断面図である。
図2図1に示した導光板の斜視図である。
図3図1に示した導光板を製造する工程を示すフローチャートである。
図4】本発明に係わる光学シート加工装置の一実施形態を示す平面図である。
図5図4に示した光学シート加工装置の正面図である。
図6図5のVI−VI線要部断面図である。
図7図5の要部拡大図である。
図8図5のVIII−VIII線要部拡大断面図である。
図9図4等に示した光学シート加工装置を概略的に示す斜視図である。
図10図4等に示した光学シート加工装置を用いて導光板を成形する工程を示す概念図である。
図11図4等に示した光学シート加工装置を用いて導光板を成形する他の工程を示す概念図である。
図12図4等に示した光学シート加工装置を用いて導光板を成形する更に他の工程を示す概念図である。
図13図4等に示した光学シート加工装置において、転写ロールを回転させると共にステージを移動させる機構の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係わる光学シート加工装置及び方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明に係わる光学シート加工装置の一実施形態によって得られる光学シートである導光板を含む液晶表示装置を示す概略断面図である。同図において、本実施形態に係わる液晶表示装置1は、例えば液晶テレビに使用されるものである。液晶表示装置1は、液晶パネル2と、この液晶パネル2の背面側に配置されたエッジ型のバックライトユニット3とを備えている。液晶パネル2の厚みは、例えば1.8mm程度である。
【0022】
バックライトユニット3は、箱型の金属製のバックライト筐体4を有している。バックライト筐体4の裏面(背面)には、複数の電子部品類5が基板(図示せず)を介して設けられている。バックライト筐体4の対向する内壁面には、光を照射するLED6が複数ずつ取り付けられている。
【0023】
バックライト筐体4には、LED6から照射された光を液晶パネル2へ導くための断面矩形状の導光板7が反射シート8を介して収容されている。導光板7の入光端面7aには、図2に示すように、断面略波形状の凹凸部9が設けられている。導光板7の厚みは、例えば3mmである。
【0024】
導光板7は、熱可塑性樹脂で形成されている。具体的には、導光板7は、寸法精度や衝撃強度、透明性が高い非晶性樹脂からなっている。非晶性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。
【0025】
LED6から照射された光は、導光板7の入光端面7aに入射される。導光板7の背面は、LED6から照射された光を反射させる反射面となっており、導光板7の前面は、LED6から照射された光や反射面で反射された光を出射させる出光面となっている。導光板7の背面(反射面)には、インクによるドットパターン印刷等、光を反射・散乱させやすい構造が施されている。
【0026】
導光板7の前面側には、複数枚(ここでは3枚)の光学フィルムを積層してなる光学フィルム群10が配置されている。光学フィルム群10の厚みは、例えば0.2mm程度である。導光板7及び光学フィルム群10の縁部は、樹脂(例えばPC)製のフレーム体11によりバックライト筐体4に対して固定されている。上記の液晶パネル2は、金属製のフレーム体12によりバックライトユニット3に対して固定されている。
【0027】
図3は、上記の導光板7を製造する工程を示すフローチャートである。同図において、まず溶融押出シート成形工程等により導光板原板を作製する(ステップS101)。続いて、パネルソーやランニングソー等により導光板原板を粗切りカットして、導光板7を得る(ステップS102)。続いて、鏡面加工機を用いて、導光板7の入光端面7aに鏡面加工を施す(ステップS103)。続いて、導光板7の入光端面7aに熱転写加工を施すことにより、入光端面7aに凹凸部9を形成する(ステップS104)。なお、ステップS103については、必ずしも実施しなくても良い。
【0028】
図4は、本発明に係わる光学シート加工装置の一実施形態を示す平面図である。図5は、図4に示した光学シート加工装置の正面図であり、図6は、図5のVI−VI線要部断面図であり、図7は、図5の要部拡大図であり、図8は、図5のVIII−VIII線要部拡大断面図である。また、図9は、図4等に示した光学シート加工装置を概略的に示す斜視図である。各図において、本実施形態の光学シート加工装置20は、図3に示すステップS104を実施する際に使用される。
【0029】
光学シート加工装置20は、装置枠体21を備えている。装置枠体21の中央部にはラック22が配置され、このラック22には、金属製の転写ロール23が回転可能に支持されている(図6参照)。転写ロール23の外周面23aには、図9に示すように、転写ロール23の周方向に沿って転写用凹凸部19が形成されている。転写ロール23の外周面23aは、導光板7の入光端面7aに凹凸部を付与するための転写面となっている。転写用凹凸部19は、例えば転写ロール23のロール軸方向に対してプリズム状またはレンチキュラー状に形成されている。
【0030】
転写ロール23は、図6に示すように、誘導コイル41(ヒータ部)が内蔵された電気ヒータロールである。転写ロール23の上側には、誘導コイル41に高周波の電流を供給する電源部42が配置されている。これらの誘導コイル41及び電源部42は、転写ロール23を加熱する加熱手段を構成している。なお、転写ロール23としては、オイルにより加熱されるオイルヒータロールを用いても良い。
【0031】
図5に示すように、装置枠体21の下部には、台座25A,25Bが装置左右方向(X方向)に転写ロール23を挟むように配置されている。台座25A,25Bの上部には、ステージベース26A,26Bがガイドレール27A,27Bを介して装置前後方向(Y方向)に移動可能にそれぞれ取り付けられている。ステージベース26A,26Bの上部には、ステージ28A,28Bがガイドレール29A,29Bを介して装置左右方向(X方向)に移動可能にそれぞれ取り付けられている。
【0032】
ステージ28A,28Bの上面には、導光板7が載置(支持)される。ステージ28A,28Bの上面には、多種多様なサイズの導光板7を縦置き又は横置きの状態で置くことができる(図4参照)。縦置きは、導光板7の長手方向をY方向に一致させるような置き方である。横置きは、導光板7の長手方向をX方向に一致させるような置き方である。なお、ステージ28A,28Bの上面に載置された導光板7は、詳述しない位置決め手段により位置決めされる。また、ステージ28A,28Bの上面に載置された導光板7は、クランプ板18A,18Bによってステージ28A,28Bに対して押さえ付けられる(図9参照)。
【0033】
ステージベース26A,26Bの上部には、ステージ28A,28BをX方向に移動させる押圧シリンダ30A,30Bがそれぞれ取り付けられている(図5参照)。押圧シリンダ30A,30Bは、ステージ28A,28B上に載置された導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28A,28Bに圧力を印加する圧力印加手段を構成している。
【0034】
また、光学シート加工装置20は、図5図8に示すように、ステージ28A,28Bに対応して、X方向及びY方向に対して斜めの方向に転写ロール23を挟むように配置された成形用サーボモータ31A,31Bを備えている。成形用サーボモータ31A,31Bの各出力軸31aには、ピニオンギア32A,32Bがそれぞれ取り付けられている。ステージベース26A,26Bの下部の内側面には、Y方向に延在し、ピニオンギア32A,32Bと噛み合うラックギア33A,33Bがそれぞれ設けられている。これにより、成形用サーボモータ31A,31Bを回転駆動させると、成形用サーボモータ31A,31Bの回転がピニオンギア32A,32B及びラックギア33A,33Bを介してステージベース26A,26Bに伝わり、ステージベース26A,26BがY方向に移動し、これに伴ってステージ28A,28BがY方向に移動する。
【0035】
ラック22の下部には、装置上下方向(Z方向)に延びるシャフト34A,34Bが回転可能に支持されている。これらのシャフト34A,34Bは、Y方向に転写ロール23を挟むように配置されている。シャフト34A,34Bの途中部分には、上記のピニオンギア32A,32Bと噛み合う平歯車35A,35Bがそれぞれ設けられている。また、シャフト34A,34Bの上端部には、電磁クラッチ36A,36Bがそれぞれ取り付けられている。
【0036】
なお、特に詳述はしないが、シャフト34A,34B及び平歯車35A,35Bはロータリーボールスプライン構造となっており、シャフト34A,34Bが平歯車35A,35Bに対して上下移動可能となっている。そして、ラック22は昇降手段により昇降可能であり、これに伴って転写ロール23が昇降可能となっている。
【0037】
ラック22には、支持板22aが連結されている。支持板22aにおけるシャフト34A,34Bに対応する部位には、下方に延びるシャフト37A,37Bがそれぞれ回転可能に支持されている。シャフト37A,37Bの途中部分には、平歯車38A,38Bがそれぞれ設けられている。また、シャフト37A,37Bの下端部は、上記の電磁クラッチ36A,36Bにそれぞれ取り付けられている。
【0038】
電磁クラッチ36Aは、シャフト34A,37A同士の連結を断続することで、平歯車35Aから平歯車38Aへの動力の伝達を断続する。具体的には、電磁クラッチ36AがONのときは、シャフト34A,37A同士が連結され、電磁クラッチ36AがOFFのときは、シャフト34A,37A同士の連結が解除される。電磁クラッチ36Bは、シャフト34B,37B同士の連結を断続することで、平歯車35Bから平歯車38Bへの動力の伝達を断続する。具体的には、電磁クラッチ36BがONのときは、シャフト34B,37B同士が連結され、電磁クラッチ36BがOFFのときは、シャフト34B,37B同士の連結が解除される。
【0039】
転写ロール23のロール軸23bは、ラック22の下方に延びている。ロール軸23bの下端部には、平歯車38A,38Bとそれぞれ噛み合う平歯車39が取り付けられている。
【0040】
電磁クラッチ36AをONにした状態で、成形用サーボモータ31Aを回転駆動させると、ピニオンギア32A、平歯車35A、シャフト34A、電磁クラッチ36A、シャフト37A、平歯車38A及び平歯車39を介して転写ロール23が回転する。また、電磁クラッチ36BをONにした状態で、成形用サーボモータ31Bを回転駆動させると、ピニオンギア32B、平歯車35B、シャフト34B、電磁クラッチ36B、シャフト37B、平歯車38B及び平歯車39を介して転写ロール23が回転する。従って、成形用サーボモータ31Aによってステージ28Aを移動させると共に転写ロール23を回転させることができ、成形用サーボモータ31Bによってステージ28Bを移動させると共に転写ロール23を回転させることができる。
【0041】
以上において、ピニオンギア32A,32B、シャフト34A,34B、平歯車35A,35B、電磁クラッチ36A,36B、シャフト37A,37B、平歯車38A,38B及び平歯車39は、成形用サーボモータ31A,31Bの駆動力を転写ロール23に伝達する回転用動力伝達機構を構成している。そして、成形用サーボモータ31A,31B及び当該回転用動力伝達機構は、転写ロール23を回転させる回転手段を構成している。
【0042】
また、ピニオンギア32A,32B、ラックギア33A,33B、ステージベース26A,26B及びガイドレール27A,27Bは、成形用サーボモータ31A,31Bの駆動力をステージ28A,28Bに伝達する移動用動力伝達機構を構成している。そして、成形用サーボモータ31A,31B及び当該移動用動力伝達機構は、ステージ28A,28Bを転写ロール23に対して凹凸部9の形成方向に移動させる移動手段を構成している。
【0043】
次に、以上のように構成された光学シート加工装置20を用いて、導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成する成形工程について、図10により説明する。本成形工程では、光学シート加工装置20の前側及び後側に作業員が2人ずつ配される。つまり、計4人の作業員によって作業が行われる。このとき、転写ロール23は、誘導コイル41及び電源部42によって一定の温度(例えば100℃〜200℃)に加熱される。
【0044】
まず、成形済みの導光板7が載っているステージ28A及び成形前の導光板7が載っているステージ28Bが何れも光学シート加工装置20の前側に位置している状態で、成形用サーボモータ31Bを所定方向に回転駆動させ、電磁クラッチ36BをONにする。なお、成形用サーボモータ31Aの駆動は停止しており、電磁クラッチ36AはOFFとなっている。
【0045】
すると、図10(a)に示すように、転写ロール23が反時計方向に回転しながら、ステージ28Bが後側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Bによって、ステージ28B上に置かれた導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28Bに一定の圧力(例えば0.05MPa〜50MPa)を印加する。これにより、ステージ28B上に置かれた導光板7の入光端面7aに、転写ロール23の転写用凹凸部19が転写されるようになる。このようにステージ28B上に置かれた導光板7の成形を行っている間に、ステージ28A上から成形済みの導光板7が取り出される。
【0046】
次いで、成形用サーボモータ31Bの駆動を停止させ、電磁クラッチ35BをOFFにする。すると、図10(b)に示すように、転写ロール23の回転が停止すると共に、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の後側で停止する。その間に、ステージ28A上に新たな導光板7が投入・載置される。
【0047】
次いで、新たな導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の前側に位置し、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の後側に位置している状態で、成形用サーボモータ31Aを所定方向に回転駆動させ、電磁クラッチ36AをONにする。
【0048】
すると、図10(c)に示すように、転写ロール23が時計方向に回転しながら、ステージ28Aが後側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Aによって、ステージ28A上に置かれた導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28Aに一定の圧力を印加する。これにより、ステージ28A上に置かれた導光板7の入光端面7aに、転写ロール23の転写用凹凸部19が転写されるようになる。このようにステージ28A上に置かれた導光板7の成形を行っている間に、ステージ28B上から成形済みの導光板7が取り出される。
【0049】
次いで、成形用サーボモータ31Aの駆動を停止させ、電磁クラッチ36AをOFFにする。すると、図10(d)に示すように、転写ロール23の回転が停止すると共に、成形済みの導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の後側で停止する。その間に、ステージ28B上に新たな導光板7が投入・載置される。
【0050】
次いで、成形済みの導光板7が載っているステージ28A及び新たな導光板7が載っているステージ28Bが何れも光学シート加工装置20の後側に位置している状態で、成形用サーボモータ31Bを反対方向に回転駆動させ、電磁クラッチ36BをONにする。
【0051】
すると、図10(e)に示すように、転写ロール23が時計方向に回転しながら、ステージ28Bが前側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Bによって、ステージ28B上に置かれた導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28Bに一定の圧力を印加する。これにより、ステージ28B上に置かれた導光板7の入光端面7aに、転写ロール23の転写用凹凸部19が転写されるようになる。このようにステージ28B上に置かれた導光板7の成形を行っている間に、ステージ28A上から成形済みの導光板7が取り出される。
【0052】
次いで、成形用サーボモータ31Bの駆動を停止させ、電磁クラッチ36BをOFFにする。すると、図10(f)に示すように、転写ロール23の回転が停止すると共に、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の前側で停止する。その間に、ステージ28A上に新たな導光板7が投入・載置される。
【0053】
次いで、新たな導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の後側に位置し、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の前側に位置している状態で、成形用サーボモータ31Aを反対方向に回転駆動させ、電磁クラッチ36AをONにする。
【0054】
すると、図示は省略するが、転写ロール23が反時計方向に回転しながら、ステージ28Aが前側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Aによって、ステージ28A上に置かれた導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28Aに一定の圧力を印加する。これにより、ステージ28A上に置かれた導光板7の入光端面7aに、転写ロール23の転写用凹凸部19が転写されるようになる。このようにステージ28A上に置かれた導光板7の成形を行っている間に、ステージ28B上から成形済みの導光板7が取り出される。
【0055】
次いで、成形用サーボモータ31Aの駆動を停止させ、電磁クラッチ36AをOFFにすると、転写ロール23の回転が停止すると共に、成形済みの導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の前側で停止する。その間に、ステージ28B上に新たな導光板7が投入・載置される。
【0056】
このように本成形工程においては、ステージ28A上に載置された成形済みの導光板7の取り出し及び当該ステージ28A上への新たな導光板7の投入を行っている間に、ステージ28B上に載置された導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成し、ステージ28B上に載置された成形済みの導光板7の取り出し及び当該ステージ28B上への新たな導光板7の投入を行っている間に、ステージ28A上に載置された導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成することができる。また、本成形工程では、ステージ28A,28B上に載置された何れの導光板7についても、前後両方向から成形を行うことができる。
【0057】
上記の光学シート加工装置20を用いて、導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成する他の成形工程について、図11により説明する。本成形工程では、光学シート加工装置20の前側及び後側に作業員が1人ずつ配される。つまり、計2人の作業員によって作業が行われる。このとき、転写ロール23は、誘導コイル41及び電源部42によって一定の温度に加熱される。
【0058】
まず、成形済みの導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の後側に位置し、成形前の導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の前側に位置している状態で、成形用サーボモータ31Bを所定方向に回転駆動させ、電磁クラッチ36BをONにする。なお、成形用サーボモータ31Aの駆動は停止しており、電磁クラッチ36AはOFFとなっている。
【0059】
すると、図11(a)に示すように、転写ロール23が反時計方向に回転しながら、ステージ28Bが後側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Bによって、ステージ28B上に置かれた導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28Bに一定の圧力を印加する。これにより、ステージ28B上に置かれた導光板7の入光端面7aに、転写ロール23の転写用凹凸部19が転写されるようになる。このようにステージ28B上に置かれた導光板7の成形を行っている間に、ステージ28A上から成形済みの導光板7が取り出される。
【0060】
次いで、成形用サーボモータ31Bの駆動を停止させ、電磁クラッチ36BをOFFにする。すると、図11(b)に示すように、転写ロール23の回転が停止すると共に、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の後側で停止する。その間に、ステージ28A上に新たな導光板7が投入・載置される。
【0061】
次いで、新たな導光板7が載っているステージ28A及び成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが何れも光学シート加工装置20の後側に位置している状態で、電磁クラッチ36BをOFFにしたまま、成形用サーボモータ31Bを反対方向に回転駆動させる。すると、図11(c)に示すように、転写ロール23の回転が停止したまま、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが前側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Bによるステージ28Bへの圧力の印加が行われることは無い。そして、当該ステージ28Bが元の位置に戻ると、成形用サーボモータ31Bを停止させる。その間、新たな導光板7が載っているステージ28Aは、同じ位置で待機している。
【0062】
次いで、新たな導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の後側に位置し、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の前側に位置している状態で、成形用サーボモータ31Aを所定方向に回転駆動させ、電磁クラッチ36AをONにする。
【0063】
すると、図11(d)に示すように、転写ロール23が反時計方向に回転しながら、ステージ28Aが前側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Aによって、ステージ28A上に置かれた導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28Aに一定の圧力を印加する。これにより、ステージ28A上に置かれた導光板7の入光端面7aに、転写ロール23の転写用凹凸部19が転写されるようになる。このようにステージ28A上に置かれた導光板7の成形を行っている間に、ステージ28B上から成形済みの導光板7が取り出される。
【0064】
次いで、成形用サーボモータ31Aの駆動を停止させ、電磁クラッチ36AをOFFにする。すると、図11(e)に示すように、転写ロール23の回転が停止すると共に、成形済みの導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の前側で停止する。その間に、ステージ28B上に新たな導光板7が投入・載置される。
【0065】
次いで、成形済みの導光板7が載っているステージ28A及び新たな導光板7が載っているステージ28Bが何れも光学シート加工装置20の前側に位置している状態で、電磁クラッチ36AをOFFにしたまま、成形用サーボモータ31Aを反対方向に回転駆動させる。すると、図11(f)に示すように、転写ロール23の回転が停止したまま、成形済みの導光板7が載っているステージ28Aが後側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Aによるステージ28Aへの圧力の印加が行われることは無い。そして、当該ステージ28Aが元の位置に戻ると、成形用サーボモータ31Aを停止させる。その間、新たな導光板7が載っているステージ28Bは、同じ位置で待機している。
【0066】
このように本成形工程においても、ステージ28A上に載置された成形済みの導光板7の取り出し及び当該ステージ28A上への新たな導光板7の投入を行っている間に、ステージ28B上に載置された導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成し、ステージ28B上に載置された成形済みの導光板7の取り出し及び当該ステージ28B上への新たな導光板7の投入を行っている間に、ステージ28A上に載置された導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成することができる。また、本成形工程では、2人という必要最小限の作業員により導光板7の成形作業を実施することができる。
【0067】
上記の光学シート加工装置20を用いて、導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成する更に他の成形工程について、図12により説明する。本成形工程では、光学シート加工装置20の前側に2人の作業員Wが配される(図4参照)。このとき、転写ロール23は、誘導コイル41及び電源部42によって一定の温度に加熱される。
【0068】
まず、成形済みの導光板7が載っているステージ28A及び成形前の導光板7が載っているステージ28Bが何れも光学シート加工装置20の前側に位置している状態で、成形用サーボモータ31Bを所定方向に回転駆動させ、電磁クラッチ36BをONにする。なお、成形用サーボモータ31Aの駆動は停止しており、電磁クラッチ36AはOFFとなっている。
【0069】
すると、図12(a)に示すように、転写ロール23が反時計方向に回転しながら、ステージ28Bが後側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Bによって、ステージ28B上に置かれた導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28Bに一定の圧力を印加する。これにより、ステージ28B上に置かれた導光板7の入光端面7aに、転写ロール23の転写用凹凸部19が転写されるようになる。このようにステージ28B上に置かれた導光板7の成形を行っている間に、ステージ28A上から成形済みの導光板7が取り出される。
【0070】
次いで、成形用サーボモータ31Bの駆動を停止させ、電磁クラッチ36BをOFFにする。すると、図12(b)に示すように、転写ロール23の回転が停止すると共に、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の後側で停止する。その間に、ステージ28A上に新たな導光板7が投入・載置される。
【0071】
次いで、新たな導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の前側に位置し、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の後側に位置している状態で、電磁クラッチ36BをOFFにしたまま、成形用サーボモータ31Bを反対方向に回転駆動させる。すると、図12(c)に示すように、転写ロール23の回転が停止したまま、成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが前側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Bによるステージ28Bへの圧力の印加が行われることは無い。そして、当該ステージ28Bが元の位置に戻ると、成形用サーボモータ31Bの駆動を停止させる。その間、新たな導光板7が載置されたステージ28Aは、同じ位置で待機している。
【0072】
次いで、新たな導光板7が載っているステージ28A及び成形済みの導光板7が載っているステージ28Bが何れも光学シート加工装置20の前側に位置している状態で、成形用サーボモータ31Aを所定方向に回転駆動させ、電磁クラッチ36AをONにする。
【0073】
すると、図12(d)に示すように、転写ロール23が時計方向に回転しながら、ステージ28Aが後側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Aによって、ステージ28A上に置かれた導光板7の入光端面7aを転写ロール23の転写面23aに押し付けるように、ステージ28Aに一定の圧力を印加する。これにより、ステージ28A上に置かれた導光板7の入光端面7aに、転写ロール23の転写用凹凸部19が転写されるようになる。このようにステージ28A上に置かれた導光板7の成形を行っている間に、ステージ28B上から成形済みの導光板7が取り出される。
【0074】
次いで、成形用サーボモータ31Aの駆動を停止させ、電磁クラッチ36AをOFFにする。すると、図12(e)に示すように、転写ロール23の回転が停止すると共に、成形済みの導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の後側で停止する。その間に、ステージ28B上に新たな導光板7が投入・載置される。
【0075】
次いで、成形済みの導光板7が載っているステージ28Aが光学シート加工装置20の後側に位置し、新たな導光板7が載っているステージ28Bが光学シート加工装置20の前側に位置している状態で、電磁クラッチ36AをOFFにしたまま、成形用サーボモータ31Aを反対方向に回転駆動させる。
【0076】
すると、図12(f)に示すように、転写ロール23の回転が停止したまま、成形済みの導光板7が載っているステージ28Aが前側に移動する。このとき、押圧シリンダ30Aによるステージ28Aへの圧力の印加が行われることは無い。そして、当該ステージ28Aが元の位置に戻ると、成形用サーボモータ31Aの駆動を停止させる。その間、新たな導光板7が載置されたステージ28Bは、同じ位置で待機している。
【0077】
このように本成形工程においても、ステージ28A上に載置された成形済みの導光板7の取り出し及び当該ステージ28A上への新たな導光板7の投入を行っている間に、ステージ28B上に載置された導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成し、ステージ28B上に載置された成形済みの導光板7の取り出し及び当該ステージ28B上への新たな導光板7の投入を行っている間に、ステージ28A上に載置された導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成することができる。また、本成形工程では、光学シート加工装置20の後側に壁がある等といったレイアウト上の問題がある場合でも、2人という必要最小限の作業員により導光板7の成形作業を実施することができる。
【0078】
なお、ステージ28A,28Bの移動スピードは、必ずしも一定とは限らない。例えば、導光板7の入光端面7aに対向して複数のLED6を配置する場合は、LED6周辺の入光端面7aにのみ凹凸部9を形成すれば良い。そのため、転写ロール23の転写面23a及び導光板7の入光端面7a同士を押し付ける際に、LED6と対向する位置の入光端面7aと転写面23aとが接するときは、所望の凹凸部9が得られる転写(成形)スピードでステージ28A,28Bを移動させ、それ以外の入光端面7aと転写面23aとが接するときは、より高速でステージ28A,28Bを移動させても良い。これにより、導光板7の加工タクトを向上させることができる。なお、LED6周辺の入光端面7aとは、導光板7の厚み方向に直交する方向におけるLED6の幅サイズから、+1mmを指す。
【0079】
以上のように本実施形態にあっては、転写ロール23を加熱すると共に転写ロール23の転写面23a及び導光板7の入光端面7a同士を押し付けて、転写ロール23の転写面23aに設けられた転写用凹凸部19を導光板7の入光端面7aに熱転写させることにより、導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成するようにしたので、バイト等による機械的な切削加工によって導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成する場合のように切り粉が発生することは無い。従って、導光板7に切り粉が付着したり混入することも無いため、製品の品質を安定化させることができる。
【0080】
ところで、導光板7が載置されるステージが1つしかない場合には、導光板7をステージに投入する期間、ステージから導光板7を取り出す期間は、導光板7の成形加工を中断せざるを得ない。従って、導光板7の成形タクトの低下につながる。
【0081】
これに対し本実施形態では、導光板7が載置される2つのステージ28A,28Bを転写ロール23を挟むように配置し、ステージ28A上に置かれた導光板7の成形加工を行っていない期間に、ステージ28B上に置かれた導光板7の成形加工を行い、ステージ28B上に置かれた導光板7の成形加工を行っていない期間に、ステージ28A上に置かれた導光板7の成形加工を行うようにする。このように転写ロール23の左右両側から導光板7の成形加工を行うので、導光板7をステージ28A,28Bに投入する期間、ステージ28A,28Bから導光板7を取り出す期間に、導光板7の成形加工を中断させなくて済む。これにより、導光板7の成形タクトを上げて、生産性を向上させることができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、転写ロール23を回転させると共にステージ28A,28Bを装置前後方向(Y方向)に移動させる機構としては、特に上述したものには限られず、例えば転写ロール23を昇降させる必要が無ければ、図13に示す構造であっても良い。図13に示す構造では、電磁クラッチ36Aは、成形用サーボモータ31Aの出力軸31aと平歯車38Aに固定されたシャフト37Aとの連結を断続する。また、電磁クラッチ36Bは、成形用サーボモータ31Bの出力軸31aと平歯車38Bに固定されたシャフト37Bとの連結を断続する。
【0083】
また、転写ロール23を回転させる機構としては、上記の平歯車同士の噛み合わせ以外に、例えばベルト及びプーリ等を用いても良い。
【0084】
また、上記実施形態では、成形用サーボモータ31A,31Bによって転写ロール23を回転させると共にステージ28A,28BをY方向に移動させる構成としたが、特にそれには限られず、転写ロール23の回転させる手段及びステージ28A,28Bを移動させる手段として、それぞれ別のモータを使用し、各モータを同期駆動させても良い。
【0085】
ここで、導光板7と転写ロール23とが接触する際、転写ロール23の回転速度とステージ28A,28Bの移動速度とに大きなズレがあると、導光板7の外観が悪くなるという不具合が発生する。そのため、転写ロール23を回転させるロール専用のモータを設置しない場合には、転写ロール23の直径管理が重要となる。一方、転写ロール23を回転させるロール専用のモータを設置する場合には、転写ロール23の直径に合わせてモータの回転速度を調整することが可能になるので、導光板7の外観不良の発生を防止することができる。
【0086】
さらに、上記実施形態では、ステージ28A,28Bの一方に支持された導光板7の成形加工を行っていない間に、ステージ28A,28Bの他方に支持された導光板7の成形加工を行うようにしたが、可能であれば、ステージ28A,28Bに支持された各導光板7の成形加工を同時に行っても良い。
【0087】
また、上記実施形態では、ステージ28A,28Bに1枚の導光板7を支持するようにしたが、ステージ28A,28Bに支持する導光板7の数としては、1枚に限られず、複数枚であっても良い。
【0088】
さらに、上記実施形態は、液晶テレビに使用される液晶表示装置1のバックライトユニット3に具備される導光板7の入光端面7aに凹凸部9を形成するものであるが、本発明の光学シート加工装置及び方法は、例えば照明用や装飾用の導光板としての光学シートの成形加工にも適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
7…導光板(光学シート)、7a…入光端面、9…凹凸部、19…転写用凹凸部、20…光学シート加工装置、23…転写ロール、23a…外周面(転写面)、23b…ロール軸、26A,26B…ステージベース(移動用動力伝達機構、移動手段)、27A,27B…ガイドレール(移動用動力伝達機構、移動手段)、28A,28B…ステージ、30A,30B…押圧シリンダ(圧力印加手段)、31A,31B…成形用サーボモータ(回転手段、移動手段)、32A,32B…ピニオンギア(回転用動力伝達機構、回転手段、移動用動力伝達機構、移動手段)、33A,33B…ラックギア(移動用動力伝達機構、移動手段)、34A,34B…シャフト(回転用動力伝達機構、回転手段)、35A,35B…平歯車(回転用動力伝達機構、回転手段)、36A,36B…電磁クラッチ(回転用動力伝達機構、回転手段)、37A,37B…シャフト(回転用動力伝達機構、回転手段)、38A,38B…平歯車(第2平歯車、回転用動力伝達機構、回転手段)、39…平歯車(第1平歯車、回転用動力伝達機構、回転手段)、41…誘導コイル(加熱手段)、42…電源部(加熱手段)。

図1
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