(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記録媒体は前記光照射部において前記搬送手段の搬送路を搬送され、当該搬送路に前記記録媒体を吸着する吸着手段を備えた請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
前記インク定着手段は、前記搬送手段の上流側に設けられた乾燥処理部と下流側に設けられた前記光照射部とを備えている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像記録装置。
前記搬送手段における前記光照射部の入口及び出口に前記インク定着手段において搬送不良が生じたか否かを検知し、この検知結果を前記制御手段へ出力する検出手段を備えた請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像記録装置。
前記搬送手段における前記乾燥処理部の入口、前記光照射部の入口及び出口に前記インク定着手段において搬送不良が生じたか否かを検知し、この検知結果を前記制御手段へ出力する検出手段を備えた請求項7に記載の画像記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。本実施の形態は、光硬化型インクとして紫外線硬化型インクが使用される画像記録装置及び画像記録方法に本発明を適用した例を説明する。なお、図面において同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0034】
(画像記録装置の全体構成)
図1に示されるように、本実施の形態に係る画像記録装置10は、枚葉の記録媒体(用紙)Pに、光硬化型インクとしての水性UVインク(水性媒体を使用した紫外線硬化型インク)を用いてインクジェット方式により画像を記録する構成とされている。この画像記録装置10は、記録媒体Pを給紙する給紙部12と、記録媒体Pを搬送する搬送手段と、処理液付与部14と、処理液乾燥処理部16と、インク吐出手段としての画像記録部18と、乾燥処理部21及び光照射部22を含むインク定着手段としてのインク定着処理部20と、全体システムの制御を司る制御手段と、記録媒体Pを排紙する排紙部24とを主要部として備えている。
【0035】
1.給紙部の構成
給紙部12は、給紙台30に積載された記録媒体Pを1枚ずつ処理液付与部14に給紙する構成とされている。給紙手段の一例としての給紙部12は、主として、給紙台30と、サッカー装置32と、給紙ローラ対34と、フィーダボード36と、前当て38と、給紙ドラム40とにより構成されている。
【0036】
記録媒体Pは、多数枚が積層された束の状態で給紙台30に載置されている。給紙台30は、図示しない給紙台昇降装置によって昇降可能に設けられている。給紙台昇降装置では、給紙台30に積載された記録媒体Pの増減に連動して駆動が制御されており、束の最上位に位置する記録媒体Pが常に一定の高さに位置するように、給紙台30が昇降する構成とされている。
【0037】
特に限定されないが、一般のオフセット印刷等で使用される汎用の印刷用紙(いわゆる上質紙、コート紙、アート紙等のセルロースを主体とする用紙)が記録媒体Pとして使用されている。
【0038】
サッカー装置32では、給紙台30に積載されている記録媒体Pが、上から順に1枚ずつ取り上げて、給紙ローラ対34に給紙される。サッカー装置32は、昇降自在かつ揺動自在に設けられたサクションフット32Aを備えている。このサクションフット32Aによって記録媒体Pの上面が吸着保持され、記録媒体Pが給紙台30から給紙ローラ対34に移送される。この際、サクションフット32Aは、束の最上位に位置する記録媒体Pの先端側の上面を吸着保持して記録媒体Pを引き上げ、引き上げた記録媒体Pの先端を給紙ローラ対34を構成する一対のローラ34A及びローラ34B間に挿入する構成とされている。
【0039】
給紙ローラ対34は、互いに押圧当接された上下一対のローラ34A及びローラ34Bで構成されている。上下一対のローラ34A及びローラ34Bは、一方を駆動ローラ(例えばローラ34A)、他方を従動ローラ(例えばローラ34B)としている。駆動ローラは、図示しないモータに接続され、このモータの回転により駆動されて回転する。モータは、記録媒体Pの給紙に連動して駆動され、サッカー装置32から記録媒体Pが給紙されると、そのタイミングに合わせて駆動ローラを回転させる。上下一対のローラ34A及びローラ34B間に挿入された記録媒体Pは、このローラ34A及びローラ34Bによりニップされて、フィーダボード36の設置方向へ送り出される。
【0040】
フィーダボード36は、記録媒体幅に対応して形成され、給紙ローラ対34から送り出された記録媒体Pを前当て38まで導く構成とされている。このフィーダボード36は下方に向けて傾斜して設置されており、フィーダボード36の搬送路の搬送面上に載置された記録媒体Pは搬送面に沿って滑らせて前当て38まで導かれる。
【0041】
フィーダボード36には、記録媒体Pを搬送しこの搬送方向を長手方向とするテープフィーダ36Aが幅方向に間隔をおいて複数設置されている。テープフィーダ36Aは、無端状に形成され、図示しないモータを駆動源として回転する構成とされている。フィーダボード36の搬送面に載置された記録媒体Pは、このテープフィーダ36Aによってフィーダボード36の上を搬送する。
【0042】
また、フィーダボード36の上には、リテーナ36Bとコロ36Cとが設置される。リテーナ36Bは、記録媒体Pの搬送面に沿って前後に縦列して複数配置されている(本実施の形態では2個配置されている)。このリテーナ36Bは、記録媒体幅に対応した幅を有する板バネで構成されており、搬送面に押圧当接されている。テープフィーダ36Aによりフィーダボード36の上を搬送される記録媒体Pでは、リテーナ36Bを通過することで凹凸が矯正される。コロ36Cは搬送方向に配置された上流側のリテーナ36Bと下流側のリテーナ36Bとの間に配設されている。このコロ36Cは、記録媒体Pの搬送面に押圧当接されている。リテーナ36B間を搬送される記録媒体Pはコロ36Cによって上面を押圧されながら搬送される。
【0043】
前当て38は記録媒体Pの姿勢を矯正する構成とされている。この前当て38は板状で形成されており、記録媒体Pの搬送方向と直交して板状の面が配置される。また、前当て38は、図示しないモータに接続されており、このモータに駆動されて揺動可能とされている。フィーダボード36の上を搬送された記録媒体Pの先端が前当て38に当接された時点で、記録媒体Pの搬送姿勢が矯正される(いわゆる、スキュー防止がなされる)。前当て38は給紙ドラム40への記録媒体Pの給紙に連動して揺動され、搬送姿勢が矯正された記録媒体Pが給紙ドラム40に受渡される。
【0044】
給紙ドラム40は、前当て38を介してフィーダボード36から給紙される記録媒体Pを受け取り、処理液付与部14へと搬送する。給紙ドラム40は、円筒状に形成され、図示しないモータに接続されており、このモータからの駆動により回転する構成とされている。給紙ドラム40の外周面上にはグリッパ40Aが備えられ、このグリッパ40Aによって記録媒体Pの先端が把持される。給紙ドラム40は、グリッパ40Aによって記録媒体Pの先端を把持して回転することにより、記録媒体Pを周面上に巻き掛けながら、処理液付与部14へと記録媒体Pを搬送する。
【0045】
2.処理液付与部の構成
処理液付与部14は、記録媒体Pの表面(画像記録面)に所定の処理液を付与する。この処理液付与部14は、主として、記録媒体Pを搬送する処理液付与ドラム42と、処理液付与ドラム42によって搬送される記録媒体Pの画像記録面に所定の処理液を付与する処理液付与ユニット44とで構成される。記録媒体Pの表面に付与する処理液は、搬送方向の下流側に配設された画像記録部18で記録媒体Pに吐出(打滴)する光硬化型インク中の色材(顔料)を凝集させる機能を有する凝集剤である。このような処理液を記録媒体Pの表面に付与して光硬化型インクを吐出することにより、汎用の印刷用紙を用いた場合であっても、着弾干渉等を起こすことなく、高品位な画像記録(印刷)が可能とされる。
【0046】
処理液付与ドラム42は、給紙部12の給紙ドラム40から搬送された記録媒体Pを処理液乾燥処理部16へ搬送する。処理液付与ドラム42は、円筒状に形成され、図示しないモータに接続されており、このモータの回転により駆動される構成とされている。処理液付与ドラム42の外周面上にはグリッパ42Aが備えられており、このグリッパ42Aによって記録媒体Pの先端が把持される構成とされている。処理液付与ドラム42は、このグリッパ42Aによって記録媒体Pの先端を把持して回転することにより、記録媒体Pを周面上に巻き掛けながら、処理液乾燥処理部16へ記録媒体Pを搬送する。処理液付与ドラム42が1回転すると、1枚の記録媒体Pが搬送される。処理液付与ドラム42及び給紙ドラム40では、互いの記録媒体Pの受け取りと受け渡しのタイミングを一致させて、回転が制御される。すなわち、処理液付与ドラム42及び給紙ドラム40は、双方の周速度を一致させて駆動されると共に、双方のグリッパ40A及び42Aの位置を一致させて駆動されている。
【0047】
処理液付与ユニット44では、処理液付与ドラム42によって搬送される記録媒体Pの表面に処理液がローラにより塗布される。この処理液付与ユニット44は、主として、記録媒体Pに処理液を塗布する塗布ローラ44Aと、処理液が貯留される処理液槽44Bと、処理液槽44Bに貯留された処理液を汲み上げて、塗布ローラ44Aに供給する汲み上げローラ44Cとで構成されている。
【0048】
なお、本実施の形態では、処理液がローラにより塗布される構成とされているが、処理液を付与する方法は、これに限定されるものではない。処理液の塗布には、他に、インクジェットヘッドを用いて塗布する方法や、スプレーを用いて塗布する方法が採用されてもよい。
【0049】
3.処理液乾燥処理部の構成
処理液乾燥処理部16では、表面に処理液が付与された記録媒体Pが乾燥処理される。処理液乾燥処理部16は、主として、記録媒体Pを搬送する処理液乾燥処理ドラム46と、用紙搬送ガイド48と、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される記録媒体Pの画像記録面に乾燥風を吹き当てて乾燥させる処理液乾燥処理ユニット50とにより構成されている。
【0050】
処理液乾燥処理ドラム46は、処理液付与部14の処理液付与ドラム42から記録媒体Pを受け取り、画像記録部18へ記録媒体Pを搬送する構成とされている。処理液乾燥処理ドラム46は、円筒状に組んだ枠体で構成され、図示しないモータに接続されており、このモータの回転により駆動される。処理液乾燥処理ドラム46の外周面上にはグリッパ46Aが備えられており、このグリッパ46Aによって記録媒体Pの先端が把持される。処理液乾燥処理ドラム46は、このグリッパ46Aによって記録媒体Pの先端を把持して回転することにより、画像記録部18へ記録媒体Pを搬送する。なお、本実施の形態における処理液乾燥処理ドラム46は、外周面上の2カ所にグリッパ42Aが配設され、1回の回転で2枚の記録媒体Pを搬送する構成とされている。処理液乾燥処理ドラム46及び処理液付与ドラム42では、双方の記録媒体Pの受け取りと受け渡しのタイミングを一致させて回転が制御されている。すなわち、処理液乾燥処理ドラム46及び処理液付与ドラム42は、双方の周速度を一致させて駆動されると共に、互いのグリッパ42A及びグリッパ46Aの位置を一致させて駆動されている。
【0051】
用紙搬送ガイド48は記録媒体Pの搬送経路に沿って処理液乾燥処理ドラム46の外周囲に配設されている。用紙搬送ガイド48は、処理液乾燥処理ドラム46(搬送経路)から外れないように記録媒体Pを導く。
【0052】
処理液乾燥処理ユニット50は、処理液乾燥処理ドラム46の内側に設置され、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される記録媒体Pの表面に向けて乾燥風を吹き当てて乾燥処理する構成とされている。これにより、処理液中の溶媒成分が除去されて記録媒体Pの表面にインク凝集層が形成される。本実施の形態では、2台の処理液乾燥処理ユニット50が、処理液乾燥処理ドラム内に配設されており、処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される記録媒体Pの表面に向けて乾燥風を吹き当てる構成とされている。
【0053】
4.画像記録部の構成
画像記録部18は、記録媒体Pの画像記録面にM、K、Y、Cの各色の光硬化型インクの液滴を吐出して、記録媒体Pの画像形成面にカラー画像を記録する(印刷又は描画)構成とされている。この画像記録部18は、主として、記録媒体Pを搬送する画像記録ドラム52と、画像記録ドラム52によって搬送される記録媒体Pを押圧して、記録媒体Pを画像記録ドラム52の周面に密着させる記録媒体押えローラ54と、記録媒体PにM、K、Y、Cの各色のインク滴を吐出する吐出ヘッドの一例としてのインクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yと、記録媒体Pに記録された画像を読み取るインラインセンサ58と、インクミストを捕捉するミストフィルタ60と、ドラム冷却ユニット62とで構成される。なお、上記のように、各インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yから吐出させるインクには光硬化型インクが使用されている。光硬化型インクは、吐出後に、後に説明するインク定着手段により光(ここでは紫外線)を照射することにより硬化させて乾燥させる。
【0054】
画像記録ドラム52は、処理液乾燥処理部16の処理液乾燥処理ドラム46から記録媒体Pを受け取り、インク定着処理部20へ記録媒体Pを搬送する構成とされている。画像記録ドラム52は、円筒状で形成され、図示しないモータに接続されており、このモータの回転により駆動される。画像記録ドラム52の外周面上にはグリッパ52Aが備えられており、このグリッパ52Aによって記録媒体Pの先端が把持される。画像記録ドラム52は、このグリッパ52Aによって記録媒体Pの先端を把持して回転することにより、記録媒体Pを周面に巻き掛けながら、インク定着処理部20へ記録媒体Pを搬送する。また、画像記録ドラム52の周面には図示を省略した多数の吸着穴(吸引穴)が所定のパターンで設けられている。画像記録ドラム52の周面に巻き掛けられた記録媒体Pは、この吸着穴を通して吸引されることにより、画像記録ドラム52の周面に吸着保持されながら搬送可能とされている。これにより、高い平滑性をもって記録媒体Pが搬送可能とされている。
【0055】
なお、この吸着穴からの吸着は、一定の範囲でのみ実施され、所定の吸着開始位置から所定の吸着終了位置までの間で記録媒体Pを吸着させている。吸着開始位置は記録媒体押えローラ54の設置位置に設定されている。吸着終了位置は、インラインセンサ58の設置位置の下流側に設定されており、例えば、インク定着処理部20に記録媒体Pを受け渡す位置に設定されている。すなわち、少なくともインクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yの設置位置(画像記録位置)とインラインセンサ58の設置位置(画像読取位置)では、記録媒体Pが画像記録ドラム52の周面に吸着保持されるように設定されている。また、吸着方法は、負圧による吸着方法に限らず、静電吸着による吸着方法であってもよい。
【0056】
また、本実施の形態における画像記録ドラム52は、外周面上の2カ所にグリッパ52Aが配設されており、1回の回転で2枚の記録媒体Pを搬送可能とされている。画像記録ドラム52及び処理液乾燥処理ドラム46では、双方の記録媒体Pの受け取りと受け渡しのタイミングを一致させて、回転が制御されている。すなわち、画像記録ドラム52及び処理液乾燥処理ドラム46は、周速度を一致させて駆動されると共に、双方のグリッパ46A及びグリッパ52Aの位置を一致させて駆動されている。
【0057】
記録媒体押えローラ54は、画像記録ドラム52の記録媒体Pの受取位置(処理液乾燥処理ドラム46から記録媒体Pを受け取る位置)の近傍に配設されている。この記録媒体押えローラ54は、例えばゴムローラで構成され、画像記録ドラム52の周面に押圧当接させて設置されている。処理液乾燥処理ドラム46から画像記録ドラム52に受け渡された記録媒体Pは、この記録媒体押えローラ54を通過することによりニップされ、画像記録ドラム52の周面に密着させられる。
【0058】
4台のインクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yは、記録媒体Pの搬送経路に沿って画像記録ドラム52の外周面上に一定の間隔をもって配置されている。各インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yは記録媒体幅に対応したラインヘッドで構成されており、ノズル面が画像記録ドラム52の周面に対向して配置される構成とされている。各インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yは、ノズル面に形成されたノズル列から画像記録ドラム52に向けて光硬化型インクの液滴を吐出することにより、画像記録ドラム52によって搬送される記録媒体Pに画像を記録する。
【0059】
インラインセンサ58は、画像記録ドラム52による記録媒体Pの搬送方向に対して、最後尾のインクジェットヘッド56Kよりも下流側に設置されており、インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yで記録された画像を読み取る構成とされている。このインラインセンサ58は例えばラインスキャナで構成されている。
【0060】
なお、インラインセンサ58の下流側には、インラインセンサ58に近接して設置された接触防止板59が設けられている。接触防止板59は、搬送の不具合等によって記録媒体Pに浮きや折れ等が生じた場合に、インラインセンサ58への記録媒体Pの接触を防止可能とされている。
【0061】
ミストフィルタ60は、最後尾のインクジェットヘッド56Yとインラインセンサ58との間に配設されており、画像記録ドラム52の周辺の空気を吸引してインクミストを捕捉する。インクミストの捕捉により、インラインセンサ58へのインクミストの進入が防止され、画像の読み取り不良等の発生が効果的に防止される。
【0062】
ドラム冷却ユニット62は、画像記録ドラム52に冷風を吹き当てて、画像記録ドラム52を冷却する構成とされている。このドラム冷却ユニット62は、主として、エアコン(図示せず)と、そのエアコンから供給される冷気を画像記録ドラム52の周面に吹き当てるダクト62Aとで構成されている。ダクト62Aは、記録媒体Pの搬送領域以外の領域において画像記録ドラム52に冷気を吹き当てて、画像記録ドラム52を冷却する構成とされている。本実施の形態では、画像記録ドラム52のほぼ上側半分の円弧状の外周面に沿って記録媒体Pが搬送されているので、ダクト62Aは、画像記録ドラム52のほぼ下側半分の領域に冷気を吹き当てて、画像記録ドラム52を冷却するようになっている。具体的には、ダクト62Aの図示を省略した吹出口が、画像記録ドラム52のほぼ下側半分を覆うように円弧状に配列されている。
【0063】
5.インク定着処理部の構成
インク定着処理部20は、記録媒体Pの画像記録面に残存する液体成分が除去され、画像記録後の記録媒体Pを後処理する構成とされている。インク定着処理部20は、主として、画像が記録された記録媒体Pを搬送するチェーングリッパ64と、チェーングリッパ64によって搬送される記録媒体Pにバックテンションを付与するバックテンション付与機構66と、チェーングリッパ64によって搬送される記録媒体Pを定着処理するインク定着手段としての乾燥処理部21及び光照射部22とを備えている。
【0064】
チェーングリッパ64は、乾燥処理部21、光射照射部22及び排紙部24において共通して使用される搬送手段の一部としての媒体搬送機構であり、画像記録部18から受け渡された記録媒体Pを受け取って、排紙部24まで搬送する構成とされている。
【0065】
このチェーングリッパ64は、主として、画像記録ドラム52側に近接して設置された第1スプロケット64Aと、排紙部24側に設置された第2スプロケット64Bと、第1スプロケット64Aと第2スプロケット64Bとに巻き掛けられる無端状の搬送路としてのチェーン64Cと、チェーン64Cの走行をガイドする図示を省略した複数のチェーンガイドと、チェーン64Cに一定の間隔をもって取付けられる複数のグリッパ64Dとを備えて構成されている。第1スプロケット64A、第2スプロケット64B、チェーン64C及びチェーンガイドは、記録媒体Pの搬送幅方向の両側に一対で構成されている。グリッパ64Dは一対のチェーン64Cに各々設けられている。第1スプロケット64Aは、図示を省略したモータに接続されており、このモータの回転により駆動されている。第2スプロケット64Bは従属回転可能とされている。
【0066】
バックテンション付与機構66は、チェーングリッパ64によって先端を把持されながら搬送される記録媒体Pにバックテンションを付与する構成とされている。バックテンション付与機構66は、詳細な図示を省略しているが、主として、ガイドプレート72と、ガイドプレート72に形成された多数の吸着穴から空気を吸引する吸着手段としての複数の吸着ファン72Aと、を備えている。また、ガイドプレート72の下面には、吸引した空気を吐き出すための多数の穴が設けられている。チェーングリッパ64によって搬送される記録媒体Pでは、ガイドプレート72の吸着穴を通して吸着ファン72Aにより吸引されることで、バックテンションが付与される。
【0067】
(1)乾燥処理部の構成
乾燥処理部21は、チェーングリッパ64の搬送方向の上流側であってこのチェーングリッパ64の内部に設けられ、搬送方向に沿って配列された複数の乾燥処理ユニット68を備えている。乾燥処理ユニット68は記録媒体Pの画像記録面に乾燥風(例えば熱風)を吹付ける構成とされている。乾燥処理ユニット68により乾燥風が吹付けられると、光硬化型インク中の水分量が、光照射部22による光(紫外線)の照射前に減少される。これにより、この後の光照射で光硬化型インクの硬化性が確保される。なお、本実施の形態では、乾燥処理ユニット68が8個配列されているが、この配列数に限定されるものではなく、乾燥処理能力に応じて、乾燥処理ユニット68の配列数は適宜選択される。
【0068】
(2)光照射部の構成
光照射部22は、光硬化型インクを用いて記録された画像に、本実施の形態では光として紫外線(UV)を照射して、画像を定着させる構成とされている。
図1及び
図2に示されるように、光照射部22は、主として、記録媒体Pを搬送するチェーングリッパ64と、記録媒体Pにバックテンションを付与すると共に吸着手段としてのバックテンション付与機構66と、記録媒体Pに光を照射する照射ユニット74とを備えて構成されている。
【0069】
照射ユニット74は、チェーングリッパ64の搬送方向の乾燥処理部21よりも下流側であってこのチェーングリッパ64の内部に設けられ、搬送方向に沿って複数配列されている。照射ユニット74は図示を省略した光源としての紫外線ランプを備えている。照射処理ユニット74は本実施の形態において8個配列されているが、この配列数に限定されるものではなく、硬化処理能力に応じて、照射処理ユニット74の配列数は適宜選択される。バックテンション付与機構66は、主として、ガイドプレート72と、ガイドプレート72に形成された多数の吸着穴から空気を吸引する吸着手段としての複数の吸着ファン72Bと、を備えている。また、ガイドプレート72の下面には、吸引した空気を吐き出すための多数の穴が設けられている。チェーングリッパ64によって搬送される記録媒体Pでは、ガイドプレート72の吸着穴を通して吸着ファン72Bにより吸引されることで、バックテンションが付与される。なお、光照射部22では、乾燥処理部21よりも搬送方向の下流側に配置された排紙部24の高さが高いので、搬送位置を調整するために、チェーングリッパ64、ガイドプレート72等の構成要素が下方から上方に傾斜された構成とされている。
【0070】
6.排紙部の構成
排紙部24は一連の画像記録処理が行われた記録媒体Pを回収する構成とされている。排紙部24は、主として、光照射により光硬化型インクが定着された記録媒体Pを搬送するチェーングリッパ64と、記録媒体Pを積み重ねて回収する排紙台76とを備えて構成されている。図示を省略しているが、排紙台76には、記録媒体Pが整然と積重ねるための用紙当て(前用紙当て、後用紙当て、横用紙当て等)が設けられている。また、排紙台76には、図示を省略した排紙台昇降装置が記録媒体Pを昇降可能に設けられている。排紙台昇降装置では、排紙台76に回収される記録媒体Pの増減に連動して、昇降の駆動が制御されており、最上位に位置する記録媒体Pが常に一定の高さに位置するように調整されている。
【0071】
7.光硬化型インク
ここで、本実施の形態における光硬化型インクとしては、例えば光としての紫外線の照射により硬化する水性紫外線インクが使用されている。水性紫外線インクには、顔料と、ポリマー粒子と、活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性化合物と、光重合開始剤とが含まれることが好ましい。このような水性紫外線インクでは、紫外線が照射されて硬化されると、画像の耐擦性が優れ、画像の膜強度が高い。なお、色材としては染料が含まれてもよい。
【0072】
(画像記録装置のシステム構成)
1.画像記録装置の基本的なシステム構成
図2及び
図3に示されるように、画像記録装置10は、システムコントローラ200、通信部202、画像メモリ206、搬送制御部210、給紙制御部212、処理液付与制御部214、処理液乾燥制御部216、画像記録制御部218、乾燥制御部220、光照射制御部222、排紙制御部224、シャッタ制御部226、操作部230及び表示部232を少なくとも基本的なシステム構成として備えている。
【0073】
システムコントローラ200は、画像記録装置10の各部を統括制御する制御手段として機能すると共に、各種演算処理を実行する演算手段としても機能する。システムコントローラ200の内部には中央演算処理ユニット(CPU)、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。このため、所定の制御プログラムに従ってシステムコントローラ200が動作可能とされている。ROMには、システムコントローラ200が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データが格納される。
【0074】
通信部202は通信インターフェースを備えている。通信部202では、通信インターフェースと接続されたホストコンピュータ204との間でデータの送受信が実行される。画像メモリ206は画像データを含む各種データを一時的に記憶する構成とされている。画像メモリ206では、システムコントローラ200や通信部202を介してホストコンピュータ204との間で画像データの送受信が実行される。
【0075】
搬送制御部210はシステムコントローラ200からの指令に従って搬送手段としての搬送系28を制御する。搬送系28では、搬送制御部210からの制御により、給紙部12から排紙部24まで滞りなく記録媒体Pが搬送される。具体的には、搬送制御部210からの制御により、給紙部12におけるテープフィーダ36A、前当て38、給紙ドラム40が駆動されると共に、処理液付与部14における処理液付与ドラム42、処理液乾燥処理部16における処理液乾燥処理ドラム46、画像記録部18における画像記録ドラム52が駆動される。また、インク定着処理部20の乾燥処理部21、光照部22及び排紙部24において共用されるチェーングリッパ64、バックテンション付与機構66等の駆動が搬送制御部210により制御される。
【0076】
給紙制御部212はシステムコントローラ200からの指令に従って給紙部12を制御する。具体的には、サッカー装置32及び給紙台昇降機構等の駆動が給紙制御部212により制御され、これらの駆動により給紙台30に積載された記録媒体Pが重なることなく1枚ずつ順次搬送系28に給紙される。
【0077】
処理液付与制御部214はシステムコントローラ200からの指令に従って処理液付与部14を制御する。処理液付与部14では、処理液付与制御部214からの制御により、処理液付与ユニット44の処理液付与ドラム42によって搬送される記録媒体Pに処理液が塗布される。
【0078】
処理液乾燥制御部216はシステムコントローラ200からの指令に従って処理液乾燥処理部16を制御する。処理液乾燥処理部16では、処理液乾燥制御部216からの制御により、処理液乾燥処理ユニット50の処理液乾燥処理ドラム46によって搬送される記録媒体Pが乾燥処理される。
【0079】
画像記録制御部218はシステムコントローラ200からの指令に従って画像記録部18を制御する。画像記録部18では、画像記録制御部218からの制御により、インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yの駆動が駆動され、画像記録ドラム52によって搬送される記録媒体Pに画像が記録される。また、画像記録制御部218はインラインセンサ58の動作を制御しており、インラインセンサ58では記録媒体Pに記録された画像が読取られる。
【0080】
乾燥制御部220はシステムコントローラ200からの指令に従って乾燥処理部20を制御する。乾燥処理部20では、乾燥制御部220の制御により、乾燥処理ユニット68が駆動され、チェーングリッパ64によって搬送される記録媒体Pに熱風が送風される。
【0081】
光照射制御部222はシステムコントローラ200からの指令に従って光照射部22を制御する。光照射部22では、光照射制御部222からの制御により、光照射ユニット74が駆動され、光(ここでは紫外線)が記録媒体Pの画像記録面に照射される。
【0082】
排紙制御部224はシステムコントローラ200からの指令に従って排紙部24を制御する。排紙部24では、排紙制御部224からの制御により、排紙台昇降機構等が駆動され、排紙台76に記録媒体Pが排紙される。
【0083】
操作部230は図示を省略した操作ボタン、キーボード、タッチパネル等の操作手段を備えており、操作手段から入力された操作情報はシステムコントローラ200に出力される。システムコントローラ200では、操作部230から入力された操作情報に応じて、画像の記録に必要な各種処理が実行される。
【0084】
表示部232はLCD表示装置、CRT表示装置等の表示装置により構成されている。表示部232では、システムコントローラ200からの指令に従って記録媒体Pの種類、画像記録枚数等の様々な画像の記録に必要な各種情報が表示される。
【0085】
この画像記録装置10の基本的なシステム構成では、記録媒体Pに記録される画像データが、ホストコンピュータ204から通信部202を介して画像メモリ206に格納される。この画像メモリ204に格納された画像データはシステムコントローラ200において印刷データ、例えばドットデータに変換される。画像記録制御部218は、変換された印刷データに基づいて画像記録部18の各インクジェットヘッド56M、56K、56C、56Yを駆動する。画像記録部18が駆動されることにより、記録媒体Pの画像記録面に画像が記録される。
【0086】
ここで、ドットデータは、一般に画像データに対して、色変換処理、ハーフトーン処理を実行して生成される。色変換処理は、sRGB等で表現された画像データ(例えば、RGB8ビットの画像データ)を画像記録装置10で使用される光硬化型インクの各色のインク量データに変換する処理である。本実施の形態に係る画像記録装置10では、カラー画像が記録可能とされているので、C、M、Y、Kの各色の画像データが色変換処理によりインク量データに変換される。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して、誤差拡散処理等を実行する処理である。
【0087】
2.照射遮蔽切替手段のシステム構成
図2及び
図3に示されるように、画像記録装置10は、更に照射遮蔽切替手段としてのシャッタ部26と、このシャッタ部26の動作を制御するシャッタ制御部226とを備えている。シャッタ部26は、
図2に示されるように、光照射部22において、搬送路としてのチェーン64Cと光照射ユニット74との間に移動可能な構成とされている。つまり、チェーン64Cと光照射ユニット74との間にシャッタ部26が移動された場合には、光照射ユニット74から記録媒体Pに照射された光が遮蔽される。逆に、双方の間からシャッタ部26が退避された場合には、光照射ユニット74から記録媒体Pに光が照射され、光硬化型インクが硬化されて定着される。
【0088】
シャッタ部26はシャッタ制御部226に接続され、このシャッタ制御部226はシステムコントローラ200に接続されている。つまり、システムコントローラ200からの指令に従ってシャッタ制御部226が制御され、このシャッタ制御部226からの指令に従ってシャッタ部26の光照射と光遮蔽との動作が切替可能とされている。なお、本実施の形態に係る画像記録装置10では、インク定着処理部20以外において記録媒体Pに例えばジャム等の搬送不良が生じ、更にインク定着処理部20に記録媒体Pが存在することが確認されると、シャッタ部26により光が遮蔽される構成とされている。
【0089】
3.照射遮蔽切替手段のシステム構成
図2及び
図3に示されるように、画像記録装置10は、更にシャッタ部26による光の照射が遮蔽状態か否かを検出するシャッタ開閉確認センサ242と、このシャッタ開閉確認センサ242の検出結果に基づいて光照射部22を制御する照射停止手段としてのプログラマブルコントローラ244とを備えている。シャッタ開閉確認センサ242は、
図2に示されるように、光照射部22において、例えばシャッタ部26とガイドプレート72との間に配設されている。このシャッタ開閉確認センサ242は、光照射ユニット74からの光が検出される場合にはシャッタ部26による遮蔽状態にないと検知し、光が検出されない場合には遮蔽状態にあると検知する構成とされている。すなわち、シャッタ開閉確認センサ242には例えば受光センサが使用されている。
【0090】
プログラマブルコントローラ244は、シャッタ開閉確認センサ242からの遮光状態にないとの検知結果に基づいて、光照射部22からの光の照射を強制的に遮断する。詳細には、光照射部22の光照射が停止される。プログラマブルコントローラ244は、システムコントローラ200並びにシャッタ制御部226の動作に対して独立に動作する制御手段である。このため、仮にシステムコントローラ200に動作不良が発生し、シャッタ制御部226によるシャッタ部26の制御が不能になった場合でも、プログラマブルコントローラ244により光照射部22の光照射が確実に停止可能とされている。
【0091】
4.検知手段の構成
(1)各種カバー及び検知手段の構成
図1に示されるように、画像記録装置10は供給部12から排紙部24までの大半の構成要素を内部に収納する筐体80を備えている。この筐体80には、点検、修理、整備等のメンテナンスを目的として、各構成要素にアクセス可能とされる各種カバーが設けられている。本実施の形態では、筐体80において、処理液付与部14の上部に開閉可能なプレコートカバー82が設けられている。また、筐体80には、画像記録部18の上部に開閉可能なジェッティングカバー84が設けられている。また、筐体80には、光照射部22の上部、側部のそれぞれに開閉可能な上部ランプカバー86、側部ランプカバー88のそれぞれが設けられている。
【0092】
プレコートカバー82の近傍において、筐体80には、
図1及び
図3に示されるプレコートカバー開閉確認センサ258が配設されている。プレコートカバー開閉確認センサ258はプレコートカバー82の開閉状態を検知し、この検知結果はシステムコントローラ200に出力される。プレコートカバー開閉確認センサ258には例えばインターロックスイッチが使用される。
【0093】
また、ジェッティングカバー84の近傍において、筐体80には、
図1及び
図3に示される画像記録部カバー開閉確認センサ256が配設されている。画像記録部カバー開閉確認センサ256はジェッティングカバー84の開閉状態を検知し、この検知結果はシステムコントローラ200に出力される。画像記録部カバー開閉確認センサ256にはプレコートカバー開閉確認センサ258と同様のものが使用される。
【0094】
また、上部ランプカバー86、側部ランプカバー88のそれぞれの近傍において、筐体80には、
図1及び
図3に示される光照射部カバー開閉確認センサ260がそれぞれ配設されている。光照射部カバー開閉確認センサ260は、上部ランプカバー86、側部ランプカバー88のそれぞれの開閉状態を検知し、この検知結果はシステムコントローラ200に出力される。
【0095】
(2)画像記録部の検知手段の構成
図1及び
図3に示されるように、画像記録部18の画像記録ドラム52及び記録媒体押えローラ54の近傍には、画像記録部紙浮き確認センサ250が配設されている。画像記録部紙浮き確認センサ250は、画像記録ドラム52の周面での記録媒体Pの浮き状態を検知し、この検知結果はシステムコントローラ200に出力される。
【0096】
また、画像記録部18の下流側であってインク定着処理部20の前段部の第1スプロケット64Aの近傍には、画像記録部前紙外れ確認センサ252が配設されている。画像記録部前紙外れ確認センサ252は、画像記録ドラム52から受渡された記録媒体Pがチェーングリッパ64で受取ったか受取れずに外れた状態にあるかを検知し、この検知結果はシステムコントローラ200に出力される。
【0097】
(3)インク定着処理部の検知手段の構成
図1〜
図3に示されるように、インク定着処理部20において乾燥処理部21の入口又はその近傍には、定着処理部搬送不良確認センサ272が配設されている。定着処理部搬送不良確認センサ272は、乾燥処理部21の入口から記録媒体Pが搬送されたか否か、この入口付近に記録媒体Pが存在するか否かを検知し、この検知結果はシステムコントローラ200に出力される。
【0098】
また、光照射部22の入口又はその近傍(或いは乾燥処理部21の出口又はその近傍)には、定着処理部搬送不良確認センサ274が配設されている。定着処理部搬送不良確認センサ274は、光照射部22の入口から記録媒体Pが搬送されたか否か、この入口付近に記録媒体Pが存在するか否か、又は乾燥処理部21の出口から記録媒体Pが搬送されたか否か、この出口付近に記録媒体Pが存在するか否かを検知し、この検知結果はシステムコントローラ200に出力される。
【0099】
更に、光照射部22の出口又はその近傍には、定着処理部搬送不良確認センサ276が配設されている。定着処理部搬送不良確認センサ276は、光照射部22の出口から記録媒体Pが搬送されたか否か、この出口付近に記録媒体Pが存在するか否かを検知し、この検知結果はシステムコントローラ200に出力される。
【0100】
すなわち、定着処理部搬送不良確認センサ272、274により、乾燥処理部21における記録媒体Pの搬送状態が検知され、記録媒体Pが搬送状態にあるのか、搬送不良状態にあるのか、この領域に存在するのか、存在しないのかが検知される。同様に、定着処理部搬送不良確認センサ274、276により、光照射部22における記録媒体Pの搬送状態が検知され、記録媒体Pが搬送状態にあるのか、搬送不良状態にあるのか、この領域に存在するのか、存在しないのかが検知される。
【0101】
(画像記録装置の画像記録方法)
本実施の形態に係る画像記録装置10の画像記録方法は以下の通りである。画像記録装置10において、画像記録動作(印刷動作)が開始されると、
図4に示されるように、搬送不良の検出フローが開始される(S10)。
【0102】
まず、
図1〜
図3に示される画像記録部紙浮き確認センサ250等の各種センサからの検知結果に基づいて、記録媒体Pにジャム等の搬送不良が生じたか否かが判断される(S12)。搬送不良が生じていない場合には、再度、各種センサからの検知結果が参酌される。
【0103】
搬送不良が生じた場合には、定着処理部搬送不良確認センサ274及び276の検知結果に基づいて、搬送不良がインク定着処理部20の光照射部22であるか否かが判断される(S14)。光照射部22において搬送不良が生じたと判断されると、システムコントローラ200は搬送制御部210を介して搬送系28を停止させる指令を出力し、記録媒体Pの搬送が停止される(S16)。同一タイミング又は若干前後して、システムコントローラ200は光照射制御部222を介して光照射部22の光照射を停止させる指令を出力し、光照射が停止される(S18)。この記録媒体Pの搬送が停止され、かつ光照射が停止された状態において、搬送不良の要因を取除く回復作業が実施される。
【0104】
また、本実施の形態では、定着処理部搬送不良確認センサ272及び274の検知結果に基づいて、インク定着処理部20の乾燥処理部21において搬送不良が生じたと判断された場合も、熱源があるので、光照射部22での搬送不良と同様の処理が実行される。また、光照射部22において、
図1に示される上部ランプカバー86、側部ランプカバー88のそれぞれが開状態が光照射部カバー開閉確認センサ260により検知された場合も、安全性の向上のために、光照射部22での搬送不良と同様の処理が実行される。更に、
図3に示される操作部230の非常停止ボタンが起動された場合も、安全性の向上のために、同様の処理が実行される。
【0105】
次に、搬送不良が回復されたか否かが判断される(S20)。搬送不良の要因が取除かれ、定着処理部搬送不良確認センサ272〜276の検知結果がリセットされる。これにより、搬送不良が回復されたと判断され、システムコントローラ200は搬送制御部210を介して搬送系28を再開させる指令を出力し、記録媒体Pの搬送が再開される(S22)。また、同一タイミング又は若干前後して、システムコントローラ200は光照射制御部222を介して光照射部22の光照射を再開させる指令を出力し、光照射が再開される(S24)。
【0106】
次に、記録媒体Pの画像が記録され、この記録媒体Pが排紙部24に排紙されと、搬送不良の検出が終了であるか継続中であるかが判断される(S26)。搬送不良の検出が終了であると判断された場合にはこの搬送不良の検出フローが終了する(S28)。搬送不良の検出が終了でないと判断された場合には、ステップS12へ戻り、搬送不良が生じたか否かが判断される。
【0107】
一方、上記ステップS14における光照射部22以外、ここでは前述のように乾燥処理部21も含めてインク定着処理部20以外において搬送不良が生じたと判断されると、インク定着処理部20に記録媒体Pが存在するか否かが判断される(S30)。記録媒体Pが存在するか否かの判断は定着処理部搬送不良確認センサ272、274及び276の検知結果に基づき実施される。インク定着処理部20に記録媒体Pが存在すると判断された場合には、上記ステップS16及びステップS18並びにそれ以降の処理が同様に実行される。
【0108】
インク定着処理部20に記録媒体Pが存在しないと判断された場合には、システムコントローラ200は搬送制御部210を介して搬送系28を停止させる指令を出力し、記録媒体Pの搬送が停止される(S32)。同一タイミング又は若干前後して、システムコントローラ200は光照射制御部222を介して光照射部22の光照射量を減少させる指令を出力し、光照射量が減少される(S34)。光照射量は例えば通常稼働時の5%〜30%まで減少されることが好ましい。また、同一タイミング又は若干前後して、システムコントローラ200はシャッタ制御部226を介してシャッタ部26を移動させる指令を出力し、減少された照射量の光がシャッタ部26により遮蔽される(S36)。
【0109】
図4において処理フローを省略したが、ここでシャッタ部26により光照射が遮蔽状態にあるか否か(閉状態にあるか否か)が、
図3に示されるシャッタ開閉確認センサ242により検知される。この検知結果は、システムコントローラ244に対して独立に動作されるプログラマブルコントローラ244に出力される。仮に、シャッタ開閉確認センサ242からシャッタ部26が光照射の遮蔽状態にないとの検出結果が出力された場合には、プログラマブルコントローラ244は光照射部22からの光照射を停止させる。この記録媒体Pの搬送が停止され、かつ光照射量が減少された状態において、搬送不良の要因を取除く回復作業が実施される。
【0110】
ここで、本実施の形態では、インク定着処理部20以外において搬送不良が生じた場合とは、画像記録部紙浮き確認センサ250、画像記録部前紙外れ確認センサ252、画像記録部カバー開閉確認センサ256、プレコートカバー開閉確認センサ258の少なくともいずれか1つの検知結果に基づいて、搬送不良が生じた場合が該当する。
【0111】
次に、搬送不良が回復されたか否かが判断される(S38)。搬送不良の要因が取除かれ、画像記録部紙浮き確認センサ250等の検知結果がリセットされる。これにより、搬送不良が回復されたと判断されると、ステップS22及びステップS24並びにそれ以降の処理が同様に実行される。
【0112】
ステップS38において搬送不良が回復されない場合、一定時間経過したか否かが判断される(S40)。一定時間、例えば平均的な搬送不良の回復に要する時間が1分〜10分であるとすれば、この時間が経過するまでステップS38の処理が繰返し実行される。一定時間が経過した場合には、光照射部22からの光の照射量が更に減少されるか、又は光照射が停止される(S42)。その後、再度、搬送不良が回復されたか否かが判断される(S44)。搬送不良が回復された場合には、ステップS22及びステップS24並びにそれ以降の処理が実行される。搬送不良が回復されない場合には、ステップS42の処理に戻る。
【0113】
(本実施の形態の作用及び効果)
本実施の形態に係る画像記録装置10では、搬送手段により記録媒体Pが搬送され、インク吐出手段により記録媒体Pには光硬化型インクが吐出されて画像が記録される。この記録媒体Pはインク定着手段としてのインク定着処理部20へ搬送され、記録媒体Pに吐出された光硬化型インクは光照射部22から照射される光により硬化されて乾燥される。
【0114】
ここで、画像記録装置10に制御手段としてのシステムコントローラ200及び光照射制御部222が設けられており、この制御手段によりインク定着処理部20の光照射部22が制御されている。制御手段では、インク定着処理部20において搬送不良が生じた場合に、搬送手段による記録媒体Pの搬送が停止されると共に、光照射部22での光の照射が停止される。このため、記録媒体Pの搬送停止により記録媒体Pの搬送手段との干渉に伴う損傷の拡大が効果的に抑制又は防止されると共に、光の照射停止により光照射による記録媒体Pの熱ダメージ等の損傷が効果的に抑制又は防止される。また、制御手段では、インク定着処理部20以外において搬送不良が生じた場合に、搬送手段による記録媒体Pの搬送が停止されると共に、光照射部22の光の照射量が減少される。このため、記録媒体Pの搬送停止により記録媒体Pの損傷の拡大が効果的に抑制又は防止されると共に、光照射部22での光の照射が停止されずに照射量が減少されるだけなので、搬送不良から復帰した後の稼働水準の光照射量に戻すまでの時間が短縮される。
【0115】
また、本実施の形態に係る画像記録装置10では、照射遮蔽切替手段としてのシャッタ部26及びシャッタ制御部226が設けられている。この照射遮蔽切替手段では、インク定着処理部20以外において搬送不良が生じた場合に、光照射部22からの光の照射が遮蔽される。ここで、光照射部22では光の照射量が減少されているが、シャッタ部26により光の照射が更に遮蔽されることにより、光照射部22の必要以上の加熱が効果的に抑制かつ防止される。また、搬送不良からの復帰時間が短縮される。
【0116】
更に、本実施の形態に係る画像記録装置10では、照射停止手段としてのシャッタ開閉確認センサ242及びプログラマブルコントローラ244が設けられている。シャッタ開閉確認センサ242は、シャッタ部26による光の遮蔽状態か否かを検出し、遮蔽状態でないことが検出されると、プログラマブルコントローラ244は、光照射部22から光照射を停止する。このため、仮にシャッタ部26、シャッタ制御部226に不具合が生じ、光照射の遮蔽が行われていない場合でも、光照射部22からの光の照射が停止されるので、光照射部22の必要以上の加熱が効果的に抑制かつ防止される。また、搬送不良からの復帰時間が短縮される。
【0117】
また、本実施の形態に係る画像記録装置10では、インク定着処理部20以外において搬送不良が生じた場合に、制御手段としてのシステムコントローラ200及び光照射制御部222により、光の照射量が減少されて一定時間経過後に、更に光の照射量が減少される。このため、光照射部22の必要以上の加熱が効果的に抑制又は防止される。また、搬送不良からの復帰時間が短縮される。
【0118】
更に、本実施の形態に係る画像記録装置10では、インク定着処理部20以外において搬送不良が生じた場合に、制御手段としてのシステムコントローラ200及び光照射制御部222により、光の照射量が減少されて一定時間経過後に、光の照射が停止される。このため、光照射部22の必要以上の加熱が効果的に抑制又は防止される。
【0119】
また、本実施の形態に係る画像記録装置10では、吸着手段としての吸着ファン72Bを含むバックテンション付与機構66が設けられている。吸着手段は、光照射部22において搬送手段の搬送路(ここではチェーン64C)を搬送される記録媒体Pを搬送路に吸着させる。このため、搬送路で記録媒体Pの浮きや折曲がりが生じ難く、光照射部22と記録媒体Pとの離間距離が確保されるので、光照射部22において光照射の影響が減少されて光による記録媒体Pの損傷が効果的に抑制又は防止される。
【0120】
更に、本実施の形態に係る画像記録装置10では、インク定着処理部20が乾燥処理部21と光照射部22とを備えている。乾燥処理部21は搬送手段の上流側に設けられると共に、光照射部22は搬送手段の下流側に設けられている。本実施の形態では、光硬化型インクとして、水性UVインクが使用されており、水性UVインク中に含まれた水分が、上流側の乾燥処理部21で蒸発された後に、下流側の光照射部22で硬化される。このため、光照射部22に加えて乾燥処理部21が設けられたインク定着処理部20でも、光照射部22において光による記録媒体Pの損傷が効果的に抑制又は防止されると共に、搬送不良からの復帰時間が短縮される。
【0121】
また、本実施の形態に係る画像記録装置10では、検知手段としての定着処理部搬送不良確認センサ274及び276が設けられている。この定着処理部搬送不良確認センサ274及び276は、搬送手段における光照射部22の入口及び出口において搬送不良が生じたか否かを検知し、この検知結果を制御手段としてのシステムコントローラ200へ出力する。このため、光照射部22において搬送不良が生じたか否かを確実に検知することができるので、光による記録媒体Pの損傷が効果的に抑制又は防止される。
【0122】
更に、本実施の形態に係る画像記録装置10では、検出手段としての定着処理部搬送不良確認センサ272、274及び276が設けられている。この定着処理部搬送不良確認センサ272、274及び276は、乾燥処理部21の入口、光照射部22の入口及び出口において搬送不良が生じたか否かを検知し、この検知結果を制御手段としてのシステムコントローラ200へ出力する。このため、乾燥処理部21、光照射部22のいずれかにおいて搬送不良が生じたか否かを確実に検知することができるので、インク定着処理部20において乾燥処理部21からの温風及び光照射部22からの光(熱)による記録媒体Pの損傷が効果的に抑制又は防止される。すなわち、画像記録装置10では、熱による記録媒体Pの損傷を効果的に抑制可能又は防止可能とされる。
【0123】
また、本実施の形態に係る画像記録装置10では、インク定着処理部20以外において搬送不良が生じた場合に、インク定着処理部20に記録媒体Pが存在するか否かが、定着処理部搬送不良確認センサ272、274、276の少なくともいずれか1つを介して制御手段としてのシステムコントローラ200により検知される。例えば、画像記録装置10が複数枚の記録媒体Pに順次連続して画像を記録中に、インク定着処理部20以外において搬送不良が生じても、インク定着処理部20において搬送不良が生じていない記録媒体Pが存在する場合がある。このため、システムコントローラ200では、記録媒体Pの存在が検知された場合に、搬送手段による記録媒体Pの搬送が停止されると共に、光照射部22での光照射が停止される。また、システムコントローラ200では、記録媒体Pの存在が検知されない場合に、搬送手段による記録媒体Pの搬送が停止されると共に、光照射部22での光照射量が減少される。従って、画像記録装置10では、複数枚の記録媒体Pに連続して画像を記録する場合であっても、前述の画像記録装置10により得られる作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0124】
更に、本実施の形態に係る画像記録方法では、搬送経路において搬送された記録媒体Pに光硬化型インクが吐出されて画像が記録される。この記録媒体Pに吐出された光硬化型インクは光照射により硬化されて乾燥される。
【0125】
ここで、光硬化型インクの乾燥時に搬送不良が生じた場合に、記録媒体Pの搬送が停止されると共に、光照射が停止される。このため、記録媒体Pの搬送停止により記録媒体Pの損傷の拡大が効果的に抑制又は防止されると共に、光照射の停止により光照射による記録媒体Pの損傷が効果的に抑制又は防止される。また、光硬化型インクの乾燥時以外に搬送不良が生じた場合に、記録媒体Pの搬送が停止されると共に、光の照射量が減少される。このため、記録媒体Pの搬送停止により記録媒体Pの損傷の拡大が効果的に抑制又は防止されると共に、光照射量が減少されるだけなので、搬送不良から復帰した後の稼働水準の光照射量に戻すまでの時間が短縮される。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態に係る画像記録装置10及び画像記録方法によれば、搬送不良による記録媒体Pの損傷を効果的に抑制又は防止することができると共に、搬送不良からの復帰時間を短縮することができるという効果が得られる。
【0127】
(その他の実施例)
以上、本発明を上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、上記実施の形態に係る画像記録装置では、インク定着手段としてのインク定着処理部が、乾燥処理部と光照射部とにより構成されているが、光照射部だけで構成されてもよい。また、本発明は、電子ビーム硬化型インクを用いた画像記録装置に適用可能である。