【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「バイオマスエネルギー技術研究開発/戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業(次世代技術開発)/微細藻類による高効率炭化水素生産プロセスの研究開発」事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 定義>
本明細書において、「炭化水素」は、炭素及び水素からなる有機化合物を意味し、具体的には、特定の数の炭素原子を含む、直鎖状若しくは分枝状の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素を意味する。例えば、「C
20-40炭化水素」は、少なくとも20個且つ多くても40個の炭素原子を含む、直鎖状若しくは分枝状の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素を意味する。炭素数20〜40の範囲(C
20-40)の直鎖状若しくは分枝状の脂肪族又は脂環式炭化水素であることが好ましく、C
25-31直鎖状アルカジエン若しくはアルカトリエン(ここで、炭素原子数は前記範囲の奇数の整数である)、又はC
30-37直鎖状若しくは分枝状のトリテルペンであることがより好ましい。本明細書において、「アルカジエン」は、上記で定義された炭化水素であって、2個のC-C単結合が二重結合に置換された炭化水素を意味し、「アルカトリエン」は、上記で定義された炭化水素であって、3個のC-C単結合が二重結合に置換された炭化水素を意味する。また、本明細書において、「トリテルペン」は、ファルネシル二リン酸(FPP)の2量化によって生成するプレスクアレン二リン酸を前駆体として生合成されるC
30炭化水素から派生する炭化水素を意味する。
【0015】
本明細書において、「炭化水素生産性微生物」は、炭化水素を生合成する能力を有する微生物を意味する。本発明において、炭化水素生産性微生物は、炭化水素生産に要するコストを軽減する観点から、炭化水素の生産能力が高いものが好ましい。具体的には、所定の条件で一定期間培養後、炭化水素生産性微生物における炭化水素の含有量が、当該微生物の総乾燥質量に対して1質量%以上となる炭化水素生産性微生物が好ましく、5〜75質量%の範囲となる炭化水素生産性微生物がより好ましい。この場合、炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素は、通常、その細胞質中又は細胞間マトリクス中に蓄積される。上記の炭化水素生産能力を有する炭化水素生産性微生物を本発明の方法に適用することにより、より効率的且つ低コストで炭化水素を生産することが可能となる。なお、炭化水素生産性微生物における炭化水素の含有量は、例えば、炭化水素生産性微生物を乾燥させてその乾燥質量を測定した後、該乾燥後の炭化水素生産性微生物に由来する微生物体から以下で説明する油性媒体を用いて炭化水素を抽出して、該抽出物の質量を測定するか、或いは該抽出物に含有される炭化水素をガスクロマトグラフィー(GC)又はガスクロマトグラフィー−質量分析(GC-MS)を用いて定量することにより、決定することが出来る。
【0016】
本発明の方法に適用し得る炭化水素生産性微生物としては、限定するものではないが、例えば、炭化水素を生産する微細藻類(以下、「炭化水素生産性微細藻類」とも記載する)を挙げることが出来る。炭化水素生産性微細藻類は、ボツリオコッカス・ブラウニー、緑藻類(Dunaliella)の種若しくは珪藻類(Haslea)の種、又はその派生株若しくは変異株であることが好ましく、ボツリオコッカス・ブラウニー又はその派生株若しくは変異株であることがより好ましい。ボツリオコッカス・ブラウニーとしては、ボツリオコッカス・ブラウニーA品種及びボツリオコッカス・ブラウニーB品種、並びにその派生株及び変異株を挙げることが出来る。本明細書において、「ボツリオコッカス・ブラウニーA品種」は、脂肪酸由来の直鎖状炭化水素を生産するボツリオコッカス・ブラウニーの品種を意味し、具体的には、C
25-31直鎖状アルカジエン若しくはアルカトリエン(ここで、炭素原子数は前記範囲の奇数の整数である)を生産する特性を有するボツリオコッカス・ブラウニーの品種を意味する。また、本明細書において、「ボツリオコッカス・ブラウニーB品種」は、テルペン類である炭化水素を生産するボツリオコッカス・ブラウニーの品種を意味し、具体的には、C
30-37直鎖状若しくは分枝状のトリテルペン、特に式:C
nH
2n-10(式中、nは30〜37の整数である)で表されるメチル化されたトリテルペンを生産する特性を有するボツリオコッカス・ブラウニーの品種を意味する。ボツリオコッカス・ブラウニーA品種及びB品種は、当該技術分野で公知の品種特性に基づき、同定することが出来る(Metzger, P.ら, Phytochemistry, 第24巻, 第10号, p. 2305-2312, 1985年)。これらの炭化水素生産性微生物は、石油等の化石燃料の主成分である直鎖状の長鎖脂肪族炭化水素を生産する能力が高い。それ故、上記の炭化水素生産性微生物を本発明の方法に適用することにより、化石燃料の代替燃料となる炭化水素を生産することが可能となる。
【0017】
<2. 炭化水素の製造方法>
本発明は、炭化水素の製造方法に関する。本発明の方法は、炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を高収量且つ選択的に抽出することを目的とする。
【0018】
図1は、本発明の炭化水素の製造方法の一実施形態を示す工程図である。以下、
図1に基づき、本発明の方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0019】
[2-1. 培養工程]
本発明の方法は、炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する水性スラリーから、炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を得る。それ故、以下において説明する加熱工程を実施する前に、予め、炭化水素生産性微生物を培養して炭化水素を生産させ、炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する水性スラリーを得る、培養工程(工程S1)を実施することが好ましい。本明細書において、「炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する水性スラリー」(以下、「水性スラリー」とも記載する)は、炭化水素生産性微生物を培養することによって得られた、炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する培養物又は培養液を意味する。
【0020】
本工程は、以下において説明する各工程と一緒に、すなわち本工程を実施した後、連続的に加熱工程を実施してもよく、或いは加熱工程及び以下の各工程と別々に、すなわち予め本工程を実施して炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する水性スラリーを準備しておき、所望に応じて該水性スラリーを用いて加熱工程及び以下の各工程を実施してもよい。いずれの場合も、本発明の実施形態に包含されるものとする。
【0021】
本工程において、炭化水素生産性微生物を培養する条件は、特許文献1及び2、並びに非特許文献1及び2に記載されている当該技術分野で公知の培養条件を適用すればよい。使用される炭化水素生産性微生物の種に基づき、炭化水素の生産能力を最大化させる培養条件を適用することが好ましい。
【0022】
上記の条件で本工程を実施することにより、炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を高濃度で含有する水性スラリーを得ることが可能となる。
【0023】
[2-2. 加熱工程]
本発明の方法は、炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する水性スラリーを加熱する、加熱工程(工程S2)を含む。本工程は、炭化水素生産性微生物により生産され、その細胞質中及び/又は細胞間マトリクス中に蓄積された炭化水素を水性スラリー中に遊離させ、以下で説明する炭化水素抽出工程における抽出効率を向上させることを目的とする。
【0024】
本工程において、炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する水性スラリーは、培養工程で得られたものをそのままの状態で用いてもよい。しかしながら、炭化水素生産に要するコストを軽減する観点から、培養工程で得られた水性スラリーを予め濃縮し、濃縮された形態の水性スラリーを加熱することが好ましい。それ故、本工程は、培養工程で得られた水性スラリーを濃縮する、水性スラリー濃縮工程をさらに含んでもよい。水性スラリー濃縮工程において、水性スラリーを濃縮する手段としては、限定するものではないが、例えば、濾過を挙げることが出来る。培養工程で得られた水性スラリーを、前記微生物を通過させない程度の孔径(好ましくは1〜100μm)を有するメッシュを用いて濾過し、培養上清の一部を濾液として除去し、濃縮された形態の水性スラリーを得ることが好ましい。ここで、炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素は、その細胞質中及び/又は細胞間マトリクス中に蓄積されている。それ故、上記のように培養上清を濾液として除去しても、炭化水素の収量を減少させることなく、水性スラリーを濃縮することが可能となる。
【0025】
なお、本明細書において、濃縮された形態の水性スラリーは、炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する水性スラリーに包含されるものとする。
【0026】
本工程において、水性スラリー中の炭化水素生産性微生物の量は、乾燥質量を基準として、水性スラリーの総体積に対して0 g/L超且つ100 g/L以下の範囲であることが好ましく、1〜100 g/Lの範囲であることがより好ましい。また、水性スラリーの含水率が、その総質量に対して70〜98質量%の範囲であることが好ましい。培養工程で得られた水性スラリー中の炭化水素生産性微生物の量が上記の好ましい範囲を満たさない場合、適宜上記で説明した水性スラリー濃縮工程を実施して炭化水素生産性微生物の量を調整すればよい。なお、含水率は、限定するものではないが、例えば、水分計を用いて測定することが出来る。上記の条件で水性スラリーを濃縮することにより、以下で説明する炭化水素抽出工程において、効率的に炭化水素を抽出することが可能となる。
【0027】
本工程において、炭化水素生産性微生物及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する水性スラリーは、所定の加熱温度に到達するまで加熱される。具体的には、前記スラリーの温度が所定の加熱温度に到達したら直ちに加熱を終了してもよく、該スラリーの温度が所定の加熱温度に到達した後、所定の加熱時間に亘って同温度で保持してもよい。いずれの場合も、本工程の実施形態に包含されるものとする。本工程において、前記水性スラリーを加熱する温度は、45〜150℃の範囲の温度であることが好ましく、60〜120℃の範囲であることがより好ましい。また、前記水性スラリーを上記の温度に加熱した後、同温度で保持する時間は、0〜120分の範囲の時間であることが好ましく、0〜60分の範囲の時間であることがより好ましい。ここで、0分の保持時間は、前記スラリーを加熱し、該スラリーの温度が上記の加熱温度に到達したら直ちに加熱を終了することを意味する。上記の条件で本工程を実施することにより、水熱処理により細胞壁構成成分を液化させて炭化水素を抽出する従来技術の方法(特許文献1並びに非特許文献1及び2)と比較して、前記微生物に由来する細胞壁構成成分のような夾雑成分が炭化水素に混入することを実質的に抑制して、炭化水素をより選択的に回収することが可能となる。
【0028】
上記の条件で本工程を実施することにより、水性スラリーに含有された炭化水素生産性微生物は完全に又は略完全に死滅して、該炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素が水性スラリー中に含有されることとなる。本明細書において、「炭化水素生産性微生物に由来する微生物体」は、完全に又は略完全に死滅した後の炭化水素生産性微生物の微生物体の全部又はその一部分を意味し、例えば炭化水素生産性微細藻類の場合は藻体の全部又はその一部分を、菌類の場合は菌体の全部又はその一部分を意味する。
【0029】
[2-3. 相分離工程]
本発明の方法は、加熱工程後の水性スラリーを、前記微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離して、微生物体及び炭化水素を含有する相を取得する、相分離工程(工程S3)を含む。
【0030】
本発明者らは、特許文献2に記載の方法において、炭化水素生産性微細藻類の培養スケールを大きくして、水性スラリー中の炭化水素生産性微細藻類の量が増大すると、加熱工程後の水性スラリーにヘキサンを加えても相分離せず、ゲル状のヘキサン相が形成されることを見いだした(比較例1及び
図3)。このようなゲル状のヘキサン相が形成されると、炭化水素生産性微細藻類により生産された炭化水素はヘキサン中に抽出されず、炭化水素の収量は極度に低下することとなる。
【0031】
本発明者らは、上記の現象を解消するための条件を検討し、ヘキサンを用いて炭化水素の抽出を行う前に、加熱工程後の水性スラリーを遠心分離して、前記微細藻類に由来する藻体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離して、藻体及び炭化水素を含有する相を取得した。そして、藻体及び炭化水素を含有する相のみとヘキサンとを混合したところ、ゲル状のヘキサン相が形成されることなく、炭化水素を含有するヘキサン相、懸濁相、前記微細藻類に由来する藻体を含有する相及び水相に分離出来ることを見出した(実施例1及び
図2)。それ故、本工程は、炭化水素抽出工程に先立ち、加熱工程後の水性スラリーを、炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離して、微生物体及び炭化水素を含有する相を取得することにより、ゲル状の油性媒体相の形成を防止して、炭化水素の収量を向上させることを目的とする。
【0032】
本工程において、加熱工程後の水性スラリーを、炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離する手段としては、限定するものではないが、例えば、遠心分離及び濾過を挙げることが出来る。遠心分離を用いる場合、その分離条件は、前記微生物体及び炭化水素を含有する相と水相とを相分離させることが出来る範囲内で、水性スラリーの体積等に基づいて適宜設定すればよい。また、濾過を用いる場合、前記微生物体を通過させない程度の孔径(好ましくは1〜100μm)を有するメッシュで加熱工程後の水性スラリーを濾過すればよい。上記の手段で相を分離した後、炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相を取得する。この場合、前記微生物体及び炭化水素を含有する相を容器から取り出すことによって該相を取得してもよく、水相を容器から取り出すことによって該相を取得してもよい。いずれの場合も、本工程の微生物体及び炭化水素を含有する相を取得する処理に包含されるものとする。
【0033】
本工程において、上記の手順で取得された前記微生物体及び炭化水素を含有する相は、さらなる水を加えて混合した後に該混合物を相分離させて、分離した微生物体及び炭化水素を含有する相を取得する操作を複数回実施することにより、洗浄してもよい。それ故、本工程は、上記の手順で取得された前記微生物体及び炭化水素を含有する相とさらなる水相とを接触させて混合した後に、前記微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離して、微生物体及び炭化水素を含有する相を取得する、洗浄工程をさらに含んでもよい。
【0034】
上記の条件で本工程を実施することにより、以下で説明する炭化水素抽出工程におけるゲル状の油性媒体相の形成を防止して、炭化水素の収量を向上させることが可能となる。
【0035】
[2-4. 炭化水素抽出工程]
本発明の方法は、相分離工程で取得された炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相と油性媒体とを接触させて、炭化水素を油性媒体中に抽出する、炭化水素抽出工程(工程S4)を含む。本工程は、油性媒体を用いて前記微生物体及び炭化水素を含有する相から炭化水素を抽出分離することを目的とする。
【0036】
本工程において、炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相中の前記微生物体の量は、乾燥質量を基準として、該相の総体積に対して0 g/L超且つ100 g/L以下の範囲であることが好ましく、1〜100 g/Lの範囲であることがより好ましく、10〜100 g/Lの範囲であることが特に好ましい。上記のように高密度で微生物体を含有する場合に本工程を実施することにより、ゲル状の油性媒体相の形成を防止することが可能となる。また、炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相の含水率は、その総質量に対して70〜98質量%の範囲であることが好ましく、75〜98質量%の範囲であることがより好ましい。なお、含水率は、限定するものではないが、例えば、水分計を用いて測定することが出来る。上記の条件で本工程を実施することにより、ゲル状の油性媒体相の形成を防止して、炭化水素の収量を向上させることが可能となる。
【0037】
本工程において、炭化水素の抽出に用いられる油性媒体は、本発明の方法に使用される炭化水素生産性微生物が生産する炭化水素を溶解し得るものであれば特に限定されない。具体的には、低極性又は非極性の水非混和性媒体であればよく、n-ヘキサン(以下、「ヘキサン」とも記載する)若しくはn-ヘプタンのようなC
6-10脂肪族若しくは脂環式炭化水素又はベンゼンのようなC
6-10芳香族炭化水素が好ましく、ヘキサン又はn-ヘプタンがより好ましい。上記の油性媒体を用いて本工程を実施することにより、炭化水素生産性微生物が生産する炭化水素を効率的に抽出することが可能となる。
【0038】
本工程において、炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相と油性媒体とを接触させる時間は、10分以上であることが好ましく、10〜180分の範囲であることがより好ましく、10〜120分の範囲であることが特に好ましい。上記の条件で本工程を実施することにより、炭化水素の抽出効率を高めて炭化水素の収量を向上させることが可能となる。
【0039】
本工程において、炭化水素の抽出に用いられる油性媒体の量が増大すると、当然ながら炭化水素の収量は向上する。しかしながら、油性媒体の使用量増大は、炭化水素生産に要するコスト及び環境負荷を軽減する観点から好ましくない。それ故、相分離工程で取得された炭化水素生産性微生物に由来する微生物体及び炭化水素を含有する相中の該微生物体の乾燥質量に対する油性媒体の質量比は、15以下であることが好ましく、0.1〜15の範囲であることがより好ましく、0.5〜15の範囲であることがさらに好ましく、0.5〜6の範囲であることが特に好ましく、1〜6の範囲であることがとりわけ好ましい。上記の条件で本工程を実施することにより、油性媒体の使用量を可及的に減少させつつ、炭化水素の収量を向上させることが可能となる。
【0040】
本工程において、油性媒体中に抽出された炭化水素は、減圧蒸発又は分別蒸留等の分離手段によって油性媒体と分離する。本発明の方法は、水熱処理を用いる従来技術の方法と比較して、前記微生物に由来する細胞壁構成成分のような夾雑成分が炭化水素に混入することは、実質的に抑制される。それ故、油性媒体から分離された炭化水素の純度は、従来技術の方法によって製造された炭化水素と比較して顕著に高い。しかしながら、本工程において、所望により、クロマトグラフィー又は分別蒸留等の精製手段によって炭化水素を精製し、さらにその純度を向上させてもよい。
【0041】
本発明の方法において、本工程を1回実施することにより良好な収量で炭化水素を抽出することが出来る。しかしながら、本工程(以下、「第1炭化水素抽出工程」とも記載する)を実施した後、第1炭化水素抽出工程で得られた抽出残渣を含有する相と、さらなる油性媒体とを接触させて、第1炭化水素抽出工程で得られた抽出残渣に含有される炭化水素を油性媒体中に抽出する、第2炭化水素抽出工程を実施することにより、炭化水素の全体収量をさらに向上させることが出来る。それ故、本発明の方法は、炭化水素抽出工程を実施した後、該炭化水素抽出工程で得られた抽出残渣を含有する相と、さらなる油性媒体とを接触させて、該炭化水素抽出工程で得られた抽出残渣に含有される炭化水素を油性媒体中に抽出する、さらなる炭化水素抽出工程を複数回含んでもよい。さらなる炭化水素抽出工程を実施することにより、抽出残渣に含有される炭化水素を抽出して、炭化水素の収量をさらに向上させることが可能となる。
【0042】
以上詳細に説明したように、本発明の方法により、炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を高純度で得ることが出来る。特に、本発明の方法は、炭化水素生産性微生物を多量に含有する水性スラリーからであっても、ゲル状の油性媒体相を形成することなく、効率的に炭化水素を抽出することが出来る。それ故、本発明の方法を炭化水素生産性微生物の大量培養系に適用することにより、従来技術と比較してより効率的且つ低コストで高純度の炭化水素を製造することが可能となる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0044】
<実施例1:相分離工程の効果>
特許文献2は、加熱工程後の水性スラリーを相分離することなく、該水性スラリーから直接炭化水素を溶媒抽出する方法を開示する。ここでは、特許文献2に記載の方法を比較例1として、本発明の方法と比較した。
【0045】
[実施例1:本発明の方法]
炭化水素生産性微生物である微細藻類(ボツリオコッカス・ブラウニー)を、改変Chu13培地中、温度(液温)25℃、光量子束密度100〜150μmol/m
2/s、明暗12時間周期光照射条件下で、二酸化炭素濃度1.0%の無菌空気を連続供給しながら30日間静置培養した(培養工程)。なお、改変Chu13培地の組成は、KNO
3 (600 mg L
-1), MgSO
4・7H
2O (100 mg L
-1), K
2HPO
4・3H
2O (52 mg L
-1), CaCl
2・2H
2O (54 mg L
-1)及びFeNaEDTA (10 mg L
-1) であり、さらに微量元素として、H
3BO
3(572 mg L
-1), MnSO
4・H
2O (308 mg L
-1), ZnSO
4・7H
2O (44 mg L
-1), CuSO
4・5H
2O (16 mg L
-1), Na
2MoO
4・2H
2O (12 mg L
-1)及びCoSO
4・7H
2O (18 mg L
-1)を調製したものを5 ml加えた。培養液のpHは、7.2〜7.5の範囲になるよう希硫酸を用いて調整した。また、初期接種時の微細藻類量(乾燥質量基準)は、培養液の総体積に対して約0.8 g/Lとした。
【0046】
培養終了後、微細藻類を含有する培養液(水性スラリー)を回収し、微細藻類を通過させない程度の孔径(20μm)を有するメッシュで培養液を濾過してペースト状の濾過物を得た。この濾過物を少量の水で懸濁することにより、炭化水素生産性微細藻類及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する、濃縮された水性スラリーを得た(水性スラリー濃縮工程)。濃縮された水性スラリー中の微細藻類量(乾燥質量基準)は、濃縮された水性スラリーの総体積に対して50 g/Lであり、微細藻類の含水率は、その総質量に対して95質量%であった。以下、濃縮された水性スラリーも単に「水性スラリー」と記載する。
【0047】
上記の水性スラリーを50 ml遠心管に20 mlずつ分注し、オートクレーブを用いて100℃で10分間加熱した(加熱工程)。
【0048】
加熱後の水性スラリーを室温まで冷却した後、4000 rpm、10分間の条件で遠心分離(LC-200、トミー精工製)して、微細藻類に由来する藻体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離した。相分離後の水相を遠心管から取り除くことによって藻体及び炭化水素を含有する相を取得した(相分離工程)。得られた藻体及び炭化水素を含有する相に、約15 mlのヘキサンを加えた。遠心管を密栓し、転倒回転型撹拌器(ロータ・ミックス RKVSD、Appropriate Technical Resource製)に設置して60 rpm、2時間の条件で回転混合させた後、遠心管を取り外して、4000 rpm、10分間の条件で遠心分離(LC-200)して、炭化水素を含有するヘキサン相を得た(炭化水素抽出工程)。相分離工程における遠心分離後の試料の外観を
図2Aに、炭化水素抽出工程における遠心分離後の試料の外観を
図2Bに、それぞれ示す。
【0049】
図2Aに示すように、相分離工程における遠心分離により、藻体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離した。上記の手順により、得られた藻体及び炭化水素を含有する相に約15 mlのヘキサンを加えて混合後、遠心分離したところ、
図2Bに示すように、炭化水素を含有するヘキサン相、懸濁相、藻体を含有する相及び水相に分離した。
【0050】
[比較例1:特許文献2に記載の方法]
特許文献2に基づき実験を行った。炭化水素生産性微生物である微細藻類(ボツリオコッカス・ブラウニー)を、改変Chu13培地中、温度(液温)25℃、光量子束密度100〜150μmol/m
2/s、明暗12時間周期光照射条件下で、二酸化炭素濃度1.0%の無菌空気を連続供給しながら30日間静置培養した(培養工程)。なお、改変Chu13培地の組成は、KNO
3 (600 mg L
-1), MgSO
4・7H
2O (100 mg L
-1), K
2HPO
4・3H
2O (52 mg L
-1), CaCl
2・2H
2O (54 mg L
-1)及びFeNaEDTA (10 mg L
-1) であり、さらに微量元素として、H
3BO
3(572 mg L
-1), MnSO
4・H
2O (308 mg L
-1), ZnSO
4・7H
2O (44 mg L
-1), CuSO
4・5H
2O (16 mg L
-1), Na
2MoO
4・2H
2O (12 mg L
-1)及びCoSO
4・7H
2O (18 mg L
-1)を調製したものを5 ml加えた。培養液のpHは、7.2〜7.5の範囲になるよう希硫酸を用いて調整した。また、初期接種時の微細藻類量(乾燥質量基準)は、培養液の総体積に対して約0.8 g/Lとした。
【0051】
培養終了後、微細藻類を含有する培養液を回収し、微細藻類を通過させない程度の孔径(20μm)を有するメッシュで培養液を濾過してペースト状の濾過物を得た。この濾過物を少量の水で懸濁することにより、炭化水素生産性微細藻類及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する、濃縮された水性スラリーを得た。濃縮された水性スラリー中の微細藻類量(乾燥質量基準)は、濃縮された水性スラリーの総体積に対して50 g/Lであり、微細藻類の含水率は、その総質量に対して95質量%であった。特許文献2に記載の方法では、上記の濃縮された水性スラリーを水で希釈して、水性スラリー中の微細藻類量(乾燥質量基準)を、濾過前の微細藻類量と略同量の1〜2 g/Lに調整しているが、当該比較例1では希釈せず、そのままの状態で以下の工程に使用した。以下、濃縮された水性スラリーも単に「水性スラリー」と記載する。
【0052】
上記の水性スラリーを50 ml遠心管に20 mlずつ分注し、オートクレーブを用いて100℃で10分間加熱した(加熱工程)。
【0053】
加熱後の水性スラリーを室温まで冷却した後、水性スラリーに、約15 mlのヘキサンを加えた。遠心管を密栓し、転倒回転型撹拌器(ロータ・ミックス RKVSD)に設置して60 rpm、2時間の条件で回転混合させた後、遠心管を取り外して、4000 rpm、10分間の条件で遠心分離(LC-200)した。相分離工程における遠心分離後の試料の外観を
図3に示す。
【0054】
図3に示すように、相分離工程における遠心分離により、ゲル状のヘキサン相、藻体を含有する相及び水相に分離した。ここで、相分離後の水相を遠心管から取り除くことによってゲル状のヘキサン相及び藻体を含有する相を得て、実施例1と同様の手順により、得られたゲル状のヘキサン相及び藻体を含有する相に約15 mlのヘキサンを加えて混合後、遠心分離した。しかしながら、炭化水素をヘキサン相に抽出することは出来なかった。
【0055】
<実施例2:加熱工程の効果>
炭化水素生産性微生物である微細藻類(ボツリオコッカス・ブラウニー)を、改変Chu13培地中、温度(液温)25℃、光量子束密度100〜150μmol/m
2/s、明暗12時間周期光照射条件下で、二酸化炭素濃度1.0%の無菌空気を連続供給しながら30日間静置培養した(培養工程)。なお、改変Chu13培地の組成は、KNO
3 (600 mg L
-1), MgSO
4・7H
2O (100 mg L
-1), K
2HPO
4・3H
2O (52 mg L
-1), CaCl
2・2H
2O (54 mg L
-1)及びFeNaEDTA (10 mg L
-1) であり、さらに微量元素として、H
3BO
3(572 mg L
-1), MnSO
4・H
2O (308 mg L
-1), ZnSO
4・7H
2O (44 mg L
-1), CuSO
4・5H
2O (16 mg L
-1), Na
2MoO
4・2H
2O (12 mg L
-1)及びCoSO
4・7H
2O (18 mg L
-1)を調製したものを5 ml加えた。培養液のpHは、7.2〜7.5の範囲になるよう希硫酸を用いて調整した。また、初期接種時の微細藻類量(乾燥質量基準)は、培養液の総体積に対して約0.8 g/Lとした。
【0056】
培養終了後、微細藻類を含有する培養液を回収し、微細藻類を通過させない程度の孔径(20μm)を有するメッシュで培養液を濾過して、炭化水素生産性微細藻類及び該炭化水素生産性微生物により生産された炭化水素を含有する、濃縮された水性スラリーを得た(水性スラリー濃縮工程)。濃縮された水性スラリー中の微細藻類量(乾燥質量基準)は、濃縮された水性スラリーの総体積に対して80 g/Lであり、微細藻類の含水率は、その総質量に対して92質量%であった。以下、濃縮された水性スラリーも単に「水性スラリー」と記載する。
【0057】
上記の水性スラリーを50 ml遠心管に20 mlずつ分注し、オートクレーブを用いて90、95、100、110又は120℃で10分間加熱した(加熱工程)。なお、加熱処理を行わない試料を対照区とした。
【0058】
加熱後の水性スラリーを室温まで冷却した後、4000 rpm、10分間の条件で遠心分離(LC-200)して、微細藻類に由来する藻体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離した。相分離後の水相を遠心管から取り除くことによって藻体及び炭化水素を含有する相を取得した(相分離工程)。得られた藻体及び炭化水素を含有する相に、25 mlの水を加えて混合した後、上記の条件で遠心分離して、微細藻類に由来する藻体及び炭化水素を含有する相と水相とに分離した(洗浄工程)。洗浄工程を2回繰り返した後、得られた藻体及び炭化水素を含有する相の質量を測定するとともに、水分計を用いてその含水率を測定して、藻体の乾燥質量を算出した。
【0059】
上記で得られた含水率及び藻体の乾燥質量に基づき、藻体及び炭化水素を含有する相の含水率がその総質量に対して85質量%となるように、所定量の水を加えた。次いで、含水率調整後の藻体及び炭化水素を含有する相に、藻体の乾燥質量に対するヘキサンの質量比(以下「ヘキサン比」とも記載する)が9となるように、所定量のヘキサンを加えた。遠心管を密栓し、転倒回転型撹拌器(ロータ・ミックス RKVSD)に設置して60 rpm、2時間の条件で回転混合させた後、遠心管を取り外して、4000 rpm、10分間の条件で遠心分離(LC-200)して、炭化水素を含有するヘキサン相を得た(炭化水素抽出工程)。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)によって、得られたヘキサン相から色素成分を除去し、炭化水素の精製画分を得た。ロータリーエバポレーターを用いて前記精製画分から溶媒を蒸発させ、得られた残渣を減圧乾燥して乾燥質量を測定した。この乾燥質量を、得られた炭化水素の質量とした。
【0060】
一方、炭化水素生産性微細藻類の生産する炭化水素の総質量は、以下の手順で測定した。水性スラリー濃縮工程で得られた所定量の水性スラリーを凍結乾燥させた。この凍結乾燥物をガラス製フラスコに入れ、十分量のヘキサンを加えて炭化水素を抽出した。なお、「十分量のヘキサンを加えて炭化水素を抽出する」とは、前記凍結乾燥物にさらなるヘキサンを加えても色素成分がもはや抽出されなくなるまで、該凍結乾燥物にヘキサンを加えて抽出する操作を繰り返すことを意味する。この抽出条件により、前記微細藻類の細胞間マトリクスに蓄積された炭化水素の略全量が抽出される。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)によって、得られたヘキサン抽出物から色素成分を除去して、炭化水素の精製画分を得た。ロータリーエバポレーターを用いて前記精製画分から溶媒を蒸発させ、得られた残渣を減圧乾燥して乾燥質量を測定した。この乾燥質量を、所定量の水性スラリーに含有される炭化水素生産性微細藻類の生産する炭化水素の総質量とした。
【0061】
上記で算出した炭化水素生産性微細藻類の生産する炭化水素の総質量に対する、得られた炭化水素の質量を、炭化水素の収量(%)とした。加熱処理温度と炭化水素の収量との関係を
図4に示す。
【0062】
図4に示すように、加熱処理を実施しない場合、炭化水素は殆ど抽出されなかった。これに対し、90〜100℃の範囲の温度で加熱することにより、高い収量で炭化水素を得ることが出来た。110℃以上の温度で加熱した場合、炭化水素の収量が低下した。これらの試験区では、水性スラリー中にゴム状物質が生成していた。
【0063】
<実施例3:炭化水素抽出工程の抽出時間>
実施例2の手順において、加熱工程の条件を95℃で10分間とし、炭化水素抽出工程の回転混合時間(以下「抽出時間」とも記載する)を30、60、90、120、150又は180分間とした他は、上記と同様の方法で炭化水素を抽出した。抽出時間と炭化水素の収量との関係を
図5に示す。
【0064】
図5に示すように、抽出時間が2時間未満の場合、抽出時間が長くなるに従って炭化水素の収量は増加したが、抽出時間が2時間以上の場合、抽出時間が長くなっても炭化水素の収量は一定の値で推移した。
【0065】
<実施例4:炭化水素抽出工程の含水率>
実施例2の手順において、加熱工程の条件を95℃で10分間とし、炭化水素抽出工程の藻体及び炭化水素を含有する相の含水率をその総質量に対して75、80、85、90又は95質量%となるように所定量の水を加えた他は、上記と同様の方法で炭化水素を抽出した。含水率と炭化水素の収量との関係を
図6に示す。
【0066】
図6に示すように、含水率が80〜90質量%の場合、炭化水素の収量は50%以上となり、含水率が85質量%の場合、炭化水素の収量は最大となった。
【0067】
<実施例5:炭化水素抽出工程のヘキサン比>
実施例2の手順において、加熱工程の条件を95℃で10分間とし、炭化水素抽出工程のヘキサン比を6、9又は12となるように所定量のヘキサンを加えた他は、上記と同様の方法で炭化水素を抽出した。ヘキサン比と炭化水素の収量との関係を
図7に示す。
図7に示すように、ヘキサン比が増加するに従って、炭化水素の収量も向上した。
【0068】
<実施例6:連続的な炭化水素抽出工程の効果>
実施例2の手順において、加熱工程の条件を95℃で10分間とした他は、上記と同様の方法で炭化水素抽出工程までの手順を実施した(第1炭化水素抽出工程)。第1炭化水素抽出工程で得られた抽出残渣を含有する相に、ヘキサン比が9となるように所定量のヘキサンを加え、第1炭化水素抽出工程と同様の方法で炭化水素を含有するヘキサン相を得た(第2炭化水素抽出工程)。第1及び第2炭化水素抽出工程で得られたヘキサン相から、実施例2と同様の方法で色素成分を除去し、炭化水素の収量を測定した。同様の実験を3反復行った。第1及び第2炭化水素抽出工程で得られた炭化水素の収量を
図8に示す。図中において、黒塗りの棒は第1炭化水素抽出工程で得られた炭化水素の収量を、白抜きの棒は第2炭化水素抽出工程で得られた炭化水素の収量を、それぞれ示す。
【0069】
図8に示すように、第2炭化水素抽出工程を実施することにより、第1炭化水素抽出工程で抽出できなかった炭化水素を抽出することが出来た。第1及び第2炭化水素抽出工程の全体の炭化水素の収量は、95質量%を超えることが示された。
【0070】
<実施例7:連続的な炭化水素抽出工程における炭化水素抽出時の含水率の効果>
実施例6の手順において、炭化水素抽出工程の含水率をその総質量に対して80、82.5、85又は87.5質量%となるように所定量の水を加え、且つヘキサン比を3、6又は9となるように所定量のヘキサンを加えた他は、上記と同様の方法で炭化水素を抽出した。含水率と、ヘキサン比と、第1及び第2炭化水素抽出工程で得られた炭化水素の収量との関係を
図9に示す。図中において、黒塗りの棒は第1炭化水素抽出工程で得られた炭化水素の収量を、白抜きの棒は第2炭化水素抽出工程で得られた炭化水素の収量を、それぞれ示す。
【0071】
図9に示すように、含水率が82.5〜87.5質量%の場合、少量のヘキサン(ヘキサン比が3又は6の範囲)であっても効率的に炭化水素を抽出できることが示された。