(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料ガス充填装置に設けられた、ガス管路冷却部を含み、該ガス管路冷却部は、ガス管路内を通流する燃料ガスをCO2冷却部から供給されるCO2によって冷却しながら車輌に搭載された車載タンクへ前記燃料ガスを充填する前記燃料ガス充填装置が設置される燃料ガス充填店舗であって、
前記CO2冷却部は一次冷媒の圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を含む冷凍サイクルで構成され、前記冷凍サイクルのCO2を冷却液化する蒸発部分にCO2の温度が算出される圧力センサを設け、前記算出されるCO2温度に対して、T3>T4>T1>T2となる所定の温度を設定し、
前記燃料ガス充填店舗の開店時間内においては、
前記燃料ガスの非充填時と充填時で夫々異ならせて、非充填時は、前記算出されるCO2温度がT1以上の時は前記圧縮機の容量制御を高負荷側に制御し、T2温度に達した時は前記圧縮機の容量制御を低負荷側に制御を行い、
充填時は、前記算出されるCO2温度がT1以上の時は前記圧縮機の容量制御を高負荷側に制御し、T2温度に達した時はT2温度となるCO2圧力を維持するように前記圧縮機を制御し、
前記燃料ガス充填店舗の閉店時間内においては、
前記算出されるCO2温度がT3以上の時は前記圧縮機の容量制御を高負荷側に制御し、T4温度に達した時は前記圧縮機を停止するように圧縮機の容量制御及び発停を繰り返すことを特徴とするCO2冷却部が設けられた燃料ガス充填店舗。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題に対応する車輌として、CNG(Compressed Natural Gas)、水素等のガス燃料を用いたCNG自動車、燃料電池自動車、水素自動車等の開発が活発に行われている。このようなガス燃料を用いて走行する車輌の普及を促進するには、車輌に搭載されている車載タンクに安定して効率よくガス燃料を充填する
燃料ガス充填店舗が必要となる。
【0003】
そこで、本出願人は、充填時間の長時間化やオーバラン量を可及的に抑え、ガス燃料を用いて走行する車輌の燃料タンクに高い精度で高圧ガスをプリセット充填することのできる高圧ガス充填装置を提案した(特許文献1参照)。
【0004】
この高圧ガス充填装置は、充填時間の長時間化等を抑えることができて有効であるが、燃料ガスが水素の場合には、高圧充填に伴って熱が発生し、車輌への充填効率が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は、燃料ガスを充填するための配管の内部を流れるガス燃料を冷却する
冷却部が設けられた燃料ガス充填店舗を提案した。この
燃料ガス充填店舗は、冷凍機と、配管を冷却するための冷却装置である不凍液タンクが内部に設けられたガス充填装置とを備え、冷凍機からの冷媒を不凍液タンクへ供給し、不凍液タンクの内部の不凍液によって燃料ガスを冷却しながら車載タンクに充填する。
【0006】
また、不凍液タンクには、モータ等の撹拌装置が設けられ、不凍液タンクの内部の不凍液を撹拌して温度の均一化を図ることにより、配管内を流れるガス燃料を効率的に冷却することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、
燃料ガスの冷却に不凍液タンクを用いる場合には、冷却装置である不凍液タンクがガス充填装置内に設けられるため、装置自体が大型化し、設置場所が制限されるという問題があった。
【0009】
また、不凍液によりガス配管を冷却する場合には、不凍液の粘度が高いため、撹拌するための撹拌装置が必要となる。この場合には、熱の交換効率が低く、冷却するガス配管をより長くする必要があり、装置の大型化を招く虞があるという問題があった。
【0010】
さらに、従来の
不凍液によりガス配管を冷却する装置においては、不凍液タンクをガス充填装置から分離して設置することもできるが、この場合には、粘度の高い不凍液を循環させるために配管の口径を大きくすると共に、ガス充填装置の近傍に冷凍機を設ける必要があるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、コンパクトで設置の自由度が高く、効率的に燃料ガスを冷却して充填することが可能な
CO2冷却部を備えた燃料ガス充填店舗を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、燃料ガス充填装置に設けられた、ガス管路冷却部を含み、該ガス管路冷却部は、ガス管路内を通流する燃料ガスをCO2冷却部から供給されるCO2によって冷却しながら車輌に搭載された車載タンクへ前記燃料ガスを充填する
燃料ガス充填店舗であって、
前記CO2冷却部は(例えば、フロンやアンモニア)の
一次冷媒の圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を含む冷凍サイクルで構成され、前記冷凍サイクルの
CO2を冷却液化する蒸発部分にCO2の温度が算出される圧力センサを設け、
前記算出されるCO2温度に対して、T3>T4>T1>T2となる所定の温度を設定し、
前記燃料ガス充填店舗の開店時間内においては、
前記燃料ガスの非充填時と充填時で夫々異ならせて、非充填時は、前記算出されるCO2温度がT1以上の時は前記圧縮機の容量制御を高負荷側に制御し、一方前記算出されるCO2温度がT2温度に達した時点で前記圧縮機の容量制御を低負荷側に制御を行い、
充填時は、前記算出されるCO2温度がT1以上の時は前記圧縮機の容量制御を高負荷側に制御し、T2温度に達した時点でT2温度となるCO2圧力を維持するように前記圧縮機を制御し、
さらに前記燃料ガス充填店舗の閉店時間内においては、
前記算出されるCO2温度がT3以上の時は前記圧縮機の容量制御を高負荷側に制御し、T4温度に達した時点で前記圧縮機の駆動を停止するように圧縮機の制御を繰り返すことを特徴とするものである。
【0013】
【0014】
かかる発明の好ましい実施例として
図5及び
図7に示すように、
店舗開店時等の前記燃料ガスの第1の非充填時と店舗閉店時等の前記燃料ガスの第2の非充填時とで圧縮機の容量制御方法を異ならせ、
前記第一の非充填時の容量制御は、圧力センサにより前記蒸発器内のCO2圧力を検知し、該圧力センサの検知値Tで算出したCO2実測温度が第1の設定温度T1以上と判断された場合に圧縮機の容量制御を高負荷側に切り換えて容量制御を行い、前記実測温度が第1の設定温度T1より低い第2の設定温度T2に達した時点で圧縮機の容量制御を低負荷側に切り換えて容量制御を行い、
一方閉店時等の前記燃料ガスの第2の非充填時には、前記圧力センサで見知されるCO2実測温度が充填時の第1の設定温度T1及び第2の設定温度T2よりも高いT3に以上の場合にCO2を低圧にするように圧縮機を駆動させ更にCO2が所定の温度T4に達するまで上述した動作を繰り返すのがよい。
【0015】
又
図6に示すように、前記燃料ガスを車載タンクに充填する充填時の容量制御は、圧力センサにより前記蒸発器内のCO2圧力を検知し、該圧力センサの検知値で算出したCO2実測温度が第1の設定温度T1以上と判断された場合に圧縮機の容量制御を高負荷側に切り換えて容量制御を行い、前記実測温度が第1の設定温度T1より低い第2の設定温度T2に達した時点で圧縮機の容量制御を低負荷側に切り換えて容量制御を行うのがよい。
【0016】
そして、本発明によれば、燃料ガスを車載タンクへ充填するための(燃料ガス管路)充填ラインを冷媒で冷却するため、高圧充填による熱の発生を抑制し、燃料ガスの車輌への充填を効率的に行うことが可能になる。
【0017】
上冷媒によって冷却しながら車輌に搭載された車載タンクへ前記燃料ガスを充填する燃料ガス充填店舗において、前記冷却手段は、冷凍機によりCO2を冷却液化するCO2冷却部と、冷却液化されたCO2により前記充填ラインを冷却するガス管路冷却部とを備え、前記CO2冷却部は、気体状の前記冷媒を圧縮してより高温及び高圧の冷媒を生成する圧縮機と、前記高温及び高圧の冷媒を液化する凝縮器と、前記液化された冷媒を減圧膨張させる膨張弁と、前記冷媒の潜熱によってCO2を冷却液化する蒸発器とを有することができる。このように、燃料ガスが流れる充填ラインを、冷凍機によって冷却液化されたCO2で冷却するため、ガス充填装置を小型化することが可能になる。また、冷却液化されたCO2によって燃料ガスを冷却するため、燃料ガスを効率的に冷却することが可能になる。
【0018】
上記
燃料ガス充填店舗において、前記CO2冷却部及び前記ガス管路冷却部を別体で構成することができる。これにより、ガス充填装置を小型化することができ、システムの設置の自由度を向上させることが可能になる。
【0019】
上記
燃料ガス充填店舗において、前記ガス管路冷却部を複数のガス管路冷却手段で構成することができる。これにより、充填ラインを流れる燃料ガスを段階的に冷却させることができるため、燃料ガスの冷却効率を向上させることが可能になる。
【0020】
上記
燃料ガス充填店舗において、前記CO2冷却部からのCO2を一方のガス管路冷却手段に供給し、前記一方のガス管路冷却手段からのCO2を他方のガス管路冷却手段に供給することができる。これにより、燃料ガスの冷却効率をさらに向上させることが可能になる。
【0021】
上記
燃料ガス充填店舗において、前記一方のガス管路冷却手段を前記充填ラインの下流側に設け、前記他方のガス管路冷却手段を前記充填ラインの上流側に設けることができる。これにより、燃料ガスの冷却効率を向上させることが可能になる。
【0022】
上記
燃料ガス充填店舗において、前記ガス管路冷却手段を真空断熱容器で構成することができる。
【0023】
上記
燃料ガス充填店舗において、前記ガス管路冷却部は、前記冷却液化されたCO2の蒸発潜熱により、前記充填ラインを流れる燃料ガスを冷却することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、コンパクトで設置の自由度が高く、効率的に燃料ガスを冷却して充填することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る
燃料ガス充填店舗を説明するための概略図であり、このガス充填システム1は、トラック9に載積されたカードル10に充填された水素ガス等の燃料ガスFを、ガス圧縮機7、蓄圧器8及びガス充填装置2を介して冷却しながら車輌に搭載された車載タンク(不図示)に充填するために設けられる。尚、カードル10に充填された燃料ガスFは、蓄圧器8を介さずに、ガス圧縮機7から直接ガス充填装置2へ供給される場合や畜圧器8、ガス圧縮機7を介さずに直接ガス充填装置2へ供給される場合もある。
【0028】
また、
燃料ガス充填店舗1は、CO2冷却部4と、ガス充填装置2に設けられたガス管路冷却部3と、屋内等に設けられたPOS(Point Of Sale system)5及び/又は屋外に設けられた屋外入出力装置6とを備え、POS5及び/又は屋外入出力装置6による制御に基づき、CO2冷却部4から冷却液化されたCO2(CO2)をガス充填装置2のガス管路冷却部3に供給し、ガス管路冷却部3によって燃料ガスFを冷却しながら車載タンクに充填する。
【0029】
図2は、本発明に係る
燃料ガス充填店舗1の一実施の形態を示し、このガス充填システム1は、ガス充填装置2に設けられたガス管路冷却部3と、CO2冷却部4とを備え、ガス管路冷却部3は、供給された燃料ガスFをCO2冷却部4から供給される冷却液化されたCO2によって冷却し、車載タンクに充填する。
【0030】
ガス管路冷却部3は、ガス管路冷却手段としての1つ又は複数の真空断熱容器31と、真空断熱容器31毎に設けられた検出手段32とを備え、
図1に示すカードル10に充填された燃料ガスFを車輌に搭載された車載タンク(不図示)に供給するための充填ライン33が真空断熱容器31を通過するように配設される。尚、
図2に示す例は、2つの真空断熱容器31A及び31Bが設けられ、各々の真空断熱容器に対して検出手段32A及び32Bが設けられた場合を示す。
【0031】
真空断熱容器31は、熱交換器を内蔵しており、後述するCO2冷却部4から冷却液化されたCO2が供給され、このCO2によって充填ライン33を流れる燃料ガスFを冷却する。真空断熱容器31として複数の真空断熱容器31A及び31Bが設けられる場合、真空断熱容器31Aは充填ライン33の下流側に設けられ、真空断熱容器31Bは充填ライン33の上流側に設けられる。そして、CO2冷却部4から供給される冷却液化されたCO2が真空断熱容器31Aに供給され、次に、真空断熱容器31Aから排出されたCO2が真空断熱容器31Bに供給される。真空断熱容器31Bから排出されたCO2は、CO2冷却部4に戻される。
【0032】
ここで、真空断熱容器31Bに供給されるCO2は、真空断熱容器31Aに供給されるCO2よりも温度が高くなる。これは、真空断熱容器31Aにより充填ライン33を流れる燃料ガスFを冷却した際に、熱交換により温度が上昇した真空断熱容器31A内のCO2が真空断熱容器31Bに供給されるためである。
【0033】
すなわち、充填ライン33を流れる高温の燃料ガスFは、充填ライン33の上流側に設けられた真空断熱容器31B内のやや温度が上昇したCO2と、充填ライン33の下流側に設けられた真空断熱容器31A内の冷却されたCO2とによって段階的に冷却されることになり、燃料ガスFを効率的に冷却させることができる。
【0034】
真空断熱容器31は、熱交換器を内蔵しており、
図3に示すように、例えば、真空状の壁面を有する円筒状の容器の上部にCO2注入口及びCO2排出口が設けられると共に、燃料ガス注入口及び燃料ガス排出口が設けられる。
【0035】
CO2注入口には、CO2を注入するためのパイプが挿通され、パイプの一端が容器内部の下方に位置するように配置される。また、CO2排出口には、CO2を排出するためのパイプが挿通され、パイプの一端が容器内部の上方に位置するように配置される。
【0036】
燃料ガス注入口及び燃料ガス排出口には、充填ラインが真空断熱容器31内部の熱交換器に接続される。このような構成により、真空断熱容器内の充填ライン燃料ガスと容器に注入されたCO2とが伝熱管を介して熱交換が行われ、充填ラインを流れる燃料ガスFが冷却される。
【0037】
説明は
図2に戻り、検出手段32は、真空断熱容器31内部のCO2の温度を検出する。検出手段32としては、例えば、温度センサや圧力センサを用いることができ、検出手段32として圧力センサを用いた場合には、圧力を温度に変換することにより真空断熱容器31内部のCO2の温度を検出することができる。
【0038】
充填ライン33は、燃料ガスFの流量を計測するメータ34を備えると共に、一端に燃料ガスFを車載タンク(不図示)に供給するためのノズル35が設けられる。充填ライン33には、高圧の燃料ガスFが流れるため、特に真空断熱容器31の内部を通過する部分は、真空断熱容器31の内部での燃料ガスFの漏れを考慮し、接続部が存在しないように構成することが好ましい。
【0039】
CO2冷却部4は、低温・低圧の気体状の冷媒(以下、「冷媒蒸気」とする)を圧縮し、高温・高圧の液化しやすい冷媒蒸気を生成する圧縮機41と、圧縮機41で生成された高温・高圧の冷媒蒸気を液化し、冷媒液を生成する凝縮器42と、凝縮器42で生成された冷媒液の圧力を下げ、減圧膨張させる膨張弁43と、膨張弁43で減圧膨張された冷媒の潜熱によりCO2を冷却液化する蒸発器44と、冷却液化されたCO2をガス管路冷却部3に対して給液するポンプ45と、蒸発器44内のCO2の圧力を計測する圧力センサ46とを備える。冷媒としては、例えば、フロンやアンモニアを用いることができる。
【0040】
次に、上記構成を有する
燃料ガス充填店舗1の動作について、
図4を参照して概略的に説明する。
図4に示すように、
燃料ガス充填店舗1において、操作者によってPOS5に対して燃料ガスFを車載タンクに充填するための充填設定信号が入力されると、POS5は、CO2冷却部4に対して強制運転信号を出力する。次に、CO2冷却部4は、POS5から供給された強制運転信号に基づきCO2を冷却液化する動作を開始し、CO2が冷却液化された段階で充填可能であることを示す充填OK信号をPOS5に対して出力する。
【0041】
POS5は、CO2冷却部4から充填OK信号が供給されると、ガス充填装置2に対して燃料ガスFの充填を開始するための充填許可信号を出力する。ガス充填装置2は、充填許可信号を受けると、燃料ガスFを車載タンクに充填する。そして、燃料ガスFの充填が完了すると、POS5に対して充填が終了したことを示す充填終了信号を出力する。
【0042】
次に、
燃料ガス充填店舗1の動作について、
図5〜
図7に示すフローチャートを参照して説明する。尚、以下に示す動作は、ガス充填装置2に設けられた図示しない制御部等の制御により実行されるものとする。
【0043】
まず、非充填時(ガス充填制御装置1が設置される店舗の開店時等)における二酸化炭素冷却部4の動作について、
図5を参照して説明する。ステップS1において、圧力センサ46により蒸発器44内のCO2の圧力が計測される。次に、ステップS1で計測された圧力に基づき、CO2の温度Tが算出され、温度Tが予め設定された所定の温度T1以上であるか否かが判断される(ステップS2)。
【0044】
ステップS2において、CO2の温度Tが温度T1未満であると判断された場合(ステップS2;No)には、処理がステップS1に戻り、蒸発器44の圧力が再度計測される。
一方、CO2の温度Tが温度T1以上であると判断された場合(ステップS2;Yes)には、CO2を冷却してより低圧とするように圧縮機41の容量制御を高負荷側に制御するHIGH駆動に動作させる(ステップS3)。そして、圧力センサ46により蒸発器44内のCO2の圧力が計測される(ステップS4)。
【0045】
次に、ステップS4で計測された圧力に基づき、CO2の温度Tが算出され、温度Tが予め設定された所定の温度T2に達したか否かが判断される(ステップS5)。尚、温度T2は、上述した温度T1より低い温度に設定される。
【0046】
ステップS5において、CO2の温度Tが温度T2に達したと判断された場合(ステップS5;Yes)には、CO2の圧力を維持するように圧縮機41の容量制御を低負荷側に制御するLOW駆動に動作させる(ステップS6)。一方、CO2の温度Tが温度T2に達していないと判断された場合(ステップS5;No)には、処理がステップS3に戻り、CO2をさらに低圧とするように圧縮機41を動作させる。
【0047】
以下、CO2が所定の温度T2に達するまで上述した動作を繰り返す。これにより、燃料ガスFを冷却するためのCO2を十分に冷却液化し、CO2の温度を保持することができる。
【0048】
次に、充填時(燃料ガスFを車載タンクに充填する時)におけるCO2冷却部4の動作について、
図6を参照して説明する。POS5からの強制運転信号がCO2冷却部4に対して供給されると、電磁弁が開くと共にポンプ45が駆動し、冷却液化されたCO2がガス管路冷却部3に対して給液され、燃料ガスFの車載タンクへの充填が開始される(ステップS11)。
【0049】
次に、CO2の温度Tが温度T1以上であるか否かが判断される(ステップS12)。CO2の温度Tが温度T1未満であると判断された場合(ステップS12;No)には、処理がステップS12に戻り、CO2の温度Tが再度判断される。
【0050】
一方、CO2の温度Tが温度T1以上であると判断された場合(ステップS12;Yes)には、CO2を冷却してより低圧とするように圧縮機41を動作させる(ステップS13)。そして、圧力センサ46により蒸発器44内のCO2の圧力が計測される(ステップS14)。
【0051】
次に、ステップS14で計測された圧力に基づき、CO2の温度Tが算出され、温度Tが予め設定された所定の温度T2に達したか否かが判断される(ステップS15)。CO2の温度Tが温度T2に達したと判断された場合(ステップS15;Yes)には、CO2の圧力を維持するように圧縮機41を動作させる(ステップS16)。
【0052】
一方、CO2の温度Tが温度T2に達していないと判断された場合(ステップS15;No)には、処理がステップS13に戻り、CO2を冷却してさらに低圧とするように圧縮機41を動作させる。
【0053】
次に、燃料ガスFの車載タンクへの充填が終了したか否かが判断される(ステップS17)。燃料ガスFの充填が終了したと判断された場合(ステップS17;Yes)には、処理がステップS12に戻り、ステップS12〜ステップS16の動作を繰り返し、CO2の温度Tを温度T2に保持する。一方、燃料ガスFの充填が終了していないと判断された場合(ステップS17;No)には、電磁弁が開くと共にポンプ45が駆動し、燃料ガスFの充填を継続する。
【0054】
このように、燃料ガスFを充填する際には、CO2の温度Tを所定の温度T2に保持することにより、燃料ガスFを適切に冷却して充填することができる。
【0055】
次、非充填時(ガス充填制御装置1が設置される店舗の閉店時等)におけるCO2冷却部4の動作について、
図7を参照して説明する。ステップS21において、圧力センサ46により蒸発器44内のCO2の圧力が計測される。次に、ステップS21で計測された圧力に基づき、CO2の温度Tが算出され、温度Tが予め設定された所定の温度T3以上であるか否かが判断される(ステップS22)。尚、温度T3は、上述した温度T1及びT2よりも高い温度に設定される。
【0056】
ステップS22において、CO2の温度Tが温度T3未満であると判断された場合(ステップS22;No)には、処理がステップS21に戻り、蒸発器44の圧力が再度計測される。一方、CO2の温度Tが温度T3以上であると判断された場合(ステップS22;Yes)には、CO2をより低圧とするように圧縮機41を動作させる(ステップS23)。そして、圧力センサ46により蒸発器44内のCO2の圧力が計測される(ステップS24)。
【0057】
次に、ステップS24で計測された圧力に基づき、CO2の温度Tが算出され、温度Tが予め設定された所定の温度T4に達したか否かが判断される(ステップS25)。尚、温度T4は、上述した温度T1及びT2より高く、温度T3より低い温度に設定される。
【0058】
ステップS25において、CO2の温度Tが温度T4に達したと判断された場合(ステップS25;Yes)には、圧縮機41の駆動を停止させる(ステップS26)。一方、CO2の温度Tが温度T4に達していないと判断された場合(ステップS25;No)には、処理がステップS23に戻り、CO2をさらに低圧とするように圧縮機41を動作させる。
【0059】
以下、CO2が所定の温度T4に達するまで上述した動作を繰り返す。このように、閉店時等の非充填時には、CO2の温度を充填時の温度T2よりも高い温度T4に保持することにより、CO2を不要に冷却液化することなく、燃料ガスFの充填時に備えることができる。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、燃料ガスが流れる充填ラインを、冷却液化されたCO2が充填された真空断熱容器を用いて冷却するため、ガス充填装置を小型化することができる。また、充填ラインを冷却するためのガス管路冷却部と、充填ラインを冷却する際のCO2を冷却液化するためのCO2冷却部とを別体として設置することができるため、システムの設置の自由度を高めることができる。
【0061】
さらに、CO2冷却部によりCO2を所定の温度に冷却液化し、冷却液化されたCO2により燃料ガスの充填ラインを冷却するため、燃料ガスを効率的に冷却することができる。
【0062】
さらにまた、本実施の形態によれば、不凍液よりも粘度の低くしかも潜熱を用いることのできるCO2により燃料ガスを冷却するため、運用コストを抑制することができる共に、不凍液を用いて燃料ガスを冷却する場合と比較して冷却時間を短縮することができる。