特許第6034319号(P6034319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034319
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】光スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/31 20060101AFI20161121BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G02F1/31
   G02F1/13 505
【請求項の数】15
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-34655(P2014-34655)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-158651(P2015-158651A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130247
【弁理士】
【氏名又は名称】江村 美彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】岩間 真木
(72)【発明者】
【氏名】加木 信行
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/008489(WO,A1)
【文献】 特開2006−106633(JP,A)
【文献】 特開2012−185312(JP,A)
【文献】 特表2007−510957(JP,A)
【文献】 特開2014−067004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/141,1/21−7/00
G02B 26/00−26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を入力または出力する複数のポートからなるポート群を各々有する複数の光入出力部と、
前記ポート群内の入力ポートから入力した光の光路を同じ前記ポート群内の出力ポートに向かう光路へ前記各光入出力部別に切り替える複数の光路切替部を有する光路操作部と、
前記複数の光入出力部側から入力された光を前記ポート群別に前記複数の光路切替部に集光し、前記複数の光路切替部側から入力された光を前記ポート群別に前記複数の光入出力部に光学的に結合する集光レンズと、
前記複数の光入出力部側から入力された各光を、前記光入出力部の配列方向であるスイッチ軸方向に対して略垂直な方向に波長分散する波長分散素子と、を備え、
前記複数の光入出力部のそれぞれが有する前記ポート群から入力する光の光路群同士が前記集光レンズにおいて少なくともその一部が重なるように交差することを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
前記波長分散素子の前記スイッチ軸方向の開口径をH1とし、前記集光レンズの前記スイッチ軸方向の開口径をH2とした場合に、H1≧H2の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項3】
前記波長分散素子は、前記集光レンズから前記集光レンズの焦点距離だけ離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光スイッチ。
【請求項4】
前記集光レンズよりも前記光入出力部側に配置され、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する光学素子をさらに備え
前記光学素子は、前記ポート群から入力または出力する光の光路群を、前記複数の異なる屈折力によって、光路群別に異なる角度に屈折させ、前記集光レンズ上において少なくともその一部が重なるように交差させることを特徴とする請求項1または2に記載の光スイッチ。
【請求項5】
前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する前記光学素子は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有するプリズムであることを特徴とする請求項4に記載の光スイッチ。
【請求項6】
前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する前記光学素子は、前記波長分散素子の近傍に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の光スイッチ。
【請求項7】
前記集光レンズより前記光入出力部側に存在する最後のビームウエストが、前記波長分散素子の近傍またはそれ以降に存在することを特徴とする請求項6に記載の光スイッチ。
【請求項8】
前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する前記光学素子は、前記光入出力部からの光の伝搬長が略50mm以内であることを特徴とする請求項4または5に記載の光スイッチ。
【請求項9】
前記集光レンズの前記スイッチ軸方向の開口径が略15mm以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の光スイッチ。
【請求項10】
前記光入出力部から入力される光のビーム広がり角度がθである場合に、任意の2つのポート群を選択したときの光路のなす角度が略2θであることを特徴とする請求項4または5に記載の光スイッチ。
【請求項11】
前記光入出力部から入力される光のビーム広がり角度がθである場合に、任意の2つのポート群を選択したときの光路のなす角度が略2θ以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の光スイッチ。
【請求項12】
前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する光学素子が、前記光路操作部の近傍に配置され、前記光路切替部に入射される光の入射角をポート群毎に調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光スイッチ。
【請求項13】
前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する前記光学素子は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有するプリズムであることを特徴とする請求項12に記載の光スイッチ。
【請求項14】
前記ポート群に外部から光が入力されるポートをComポートとした場合に、前記光路切替部によって鏡面反射された前記Comポートの光が、当該ポート群の両端に位置するポートからの入射光がなす角を略二等分することを特徴とする請求項12または13に記載の光スイッチ。
【請求項15】
前記光路切替部は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)によって構成されていることを特徴とする請求項12または13に記載の光スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光伝送システムにおいて、信号光の光路を切り替えるために、光スイッチが使用されている。このような光スイッチは、信号光の光路を切り替える光路切替部として、一般に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた反射ミラー(以下、MEMSミラーという)またはLCOS(Liquid Crystal On Silicon)を備える。MEMSミラーは、所定の回転軸の周りに回動可能に支持され、駆動機構によって、その回転角度を調整する。MEMSミラーを備えた光スイッチは、ある光路から入射された信号光をMEMSミラーによって反射し、この反射した信号光を特定の光路に出力することにより、光スイッチ動作を実現している。一方、LCOSは、入射された光の位相を液晶によって変調し、回折させる空間光変調器である。LCOSを備えた光スイッチは、ある光路から入射された信号光を、LCOSによって回折させて、特定の光路に出力することにより、光スイッチ動作を実現している。
【0003】
なお、上述したような光スイッチの従来技術として、例えば、特許文献1には、互いに異なる波長の信号光が波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing)されたWDM信号光を入力し、このWDM信号光に含まれる信号光の光路を波長別に切り替える波長選択光スイッチ(Wavelength Selective Switch)が開示されている。この特許文献1では、信号光を入出力する光ファイバポートを1次元的に配列した波長選択光スイッチと、2次元的に光ファイバポートを配列して光ファイバポート数を増加させた波長選択光スイッチとが開示されている。一方、特許文献2には、互いに異なる2つの波長選択光スイッチ機能を1つの装置内に組み込んだ波長選択光スイッチ、いわゆる、2in1波長選択光スイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−65023号公報
【特許文献2】米国特許第7769255号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光通信システムは、光伝送技術の向上に伴い、point−to−point型から、リング型またはメッシュ型のネットワーク形態へと発展しつつある。このような形態の光ネットワークのノードには、任意の信号光を任意のポートに入出力させて、信号光の光路を任意に変更するための光スイッチが必要とされる。特に、WDM信号光を用いる場合は、任意の波長の信号光に対して任意に光路を変更できる波長選択光スイッチが必要とされる。近年、光ネットワークの大規模化に伴い、波長選択光スイッチを含む光スイッチの光入出力のポート数を増大させることが益々要求されている。
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、光スイッチのポート数の増大に際し、光路切替部またはレンズ系等の光スイッチを構成する光学部品の大型化を回避することは困難であり、これに起因して、光スイッチの大型化およびコスト増を招来する。
【0007】
また、特許文献2に記載の2in1波長選択光スイッチでは、光スイッチ動作上、一群の光入出力ポートアレイからの信号光を光路切替部に集光する必要があるが、集光するための光学系のポートアレイの配列方向の幅が大きくなる。このため、光スイッチを構成する光学部品の大型化を回避することは困難であり、これに起因して、光スイッチの大型化およびコスト増を招来する。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置規模の大型化およびコスト増を抑制しつつ、簡易に光入出力のポート数を増大させることが可能な光スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、光を入力または出力する複数のポートからなるポート群を各々有する複数の光入出力部と、前記ポート群内の入力ポートから入力した光の光路を同じ前記ポート群内の出力ポートに向かう光路へ前記各光入出力部別に切り替える複数の光路切替部を有する光路操作部と、前記複数の光入出力部側から入力された光を前記ポート群別に前記複数の光路切替部に集光し、前記複数の光路切替部側から入力された光を前記ポート群別に前記複数の光入出力部に光学的に結合する集光レンズと、前記複数の光入出力部側から入力された各光を、前記光入出力部の配列方向であるスイッチ軸方向に対して略垂直な方向に波長分散する波長分散素子と、を備え、前記複数の光入出力部のそれぞれが有する前記ポート群から入力する光の光路群同士が前記集光レンズにおいて少なくともその一部が重なるように交差することを特徴とする。
このような構成によれば、装置規模の大型化およびコスト増を抑制しつつ、簡易に光入出力のポート数を増大させることが可能な光スイッチを提供することができる。
【0010】
また、本発明は、前記波長分散素子の前記スイッチ軸方向の開口径をH1とし、前記集光レンズの前記スイッチ軸方向の開口径をH2とした場合に、H1≧H2の関係が成立することを特徴とする。
このような構成によれば、光スイッチのスイッチ軸方向の幅を狭くすることが可能になる。
【0011】
また、本発明は、前記波長分散素子は、前記集光レンズの焦点距離だけ離れた位置に配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、波長分散素子によって分散された、異なる波長からなる信号光の、光路切替部への入射角度の差をなくすことができる。
【0012】
また、本発明は、前記集光レンズよりも前記光入出力部側に配置され、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する光学素子をさらに備え前記光学素子は、前記ポート群から入力または出力する光の光路群を、前記複数の異なる屈折力によって、光路群別に異なる角度に屈折させ、前記集光レンズ上において少なくともその一部が重なるように交差させることを特徴とする。
このような構成によれば、光学素子によって信号光を屈折させることで、複数の光入出力部を平行に配置することができる。
【0013】
また、本発明は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する前記光学素子は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有するプリズムであることを特徴とする。
このような構成によれば、適正な屈折力を有するプリズムを用いることで、複数の光入出力部を平行に配置することができる。
【0014】
また、本発明は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する前記光学素子は、前記波長分散素子の近傍に配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、複数の光入出力部からの信号光が光路切替部上で重ならず、また、離れすぎない所望の位置に設定することができる。
【0015】
また、本発明は、前記集光レンズより前記光入出力部側に存在する最後のビームウエストが、前記波長分散素子の近傍またはそれ以降に存在することを特徴とする。
このような構成によれば、集光レンズにおける信号光のスポット径を小さくすることができるので、装置の一層の小型化を図ることができる。
【0016】
また、本発明は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する前記光学素子は、前記光入出力部からの光の伝搬長が略50mm以内であることを特徴とする。
このような構成によれば、スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する光学素子の、屈折力の変化する部分における信号光のケラレを低減することが可能になる。
【0017】
また、本発明は、前記集光レンズの前記スイッチ軸方向の開口径が略15mm以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、例えば、19.4mmを基準幅とする光スイッチの筐体にも余裕を持って収容することができる。
【0018】
また、本発明は、前記光入出力部から入力される光のビーム広がり角度がθである場合に、任意の2つのポート群を選択したときの光路のなす角度が略2θであることを特徴とする。
このような構成によれば、ビームの広がりを考慮した場合であっても、集光レンズまたはその近傍における素子に必要な開口径を小さくし、光スイッチの一層の小型化を図ることができる。
【0019】
また、本発明は、前記光入出力部から入力される光のビーム広がり角度がθである場合に、任意の2つのポート群を選択したときの光路のなす角度が略2θ以上であることを特徴とする。
このような構成によれば、ビームの広がりを考慮した場合であっても、集光レンズまたはその近傍における素子に必要な開口径を小さくし、光スイッチの一層の小型化を図ることができる。
【0020】
また、本発明は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する光学素子が、前記光路操作部の近傍に配置され、前記光路切替部に入射される光の入射角をポート群毎に調整することを特徴とする。
このような構成によれば、入射角を調整することで、信号光の損失を低減するとともに、クロストーク特性を改善することができる。
【0021】
また、本発明は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有する前記光学素子は、前記スイッチ軸方向に複数の異なる屈折力を有するプリズムであることを特徴とする。
このような構成によれば、プリズムの特性を調整することで、信号光の損失を低減するとともに、クロストーク特性を改善することができる。
【0022】
また、本発明は、前記ポート群に外部から光が入力されるポートをComポートとした場合に、前記光路切替部によって鏡面反射された前記Comポートの光が、当該ポート群の両端に位置するポートからの入射光がなす角を略二等分することを特徴とする。
このような構成によれば、切り替え時の回折角度を最小にすることで、信号光の損失を低減するとともに、クロストーク特性を改善することができる。
【0023】
また、本発明は、前記光路切替部は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)によって構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、LCOSを使用した場合でも、切り替え時の回折角度を最小にすることで、信号光の損失を低減するとともに、クロストーク特性を改善することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、装置規模の大型化およびコスト増を抑制しつつ、簡易に光入出力のポート数を増大させることが可能な光スイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る光スイッチの構成例を示す図である。
図2図1に示す光スイッチをX軸方向から眺めた図である。
図3図1に示す光路操作部の構成例を示す図である。
図4図1に示すプリズムの動作を説明するための図である。
図5図1に示すビームの広がり角とビーム同士のなす角の関係を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る光スイッチの構成例を示す図である。
図7図6に示す光スイッチをX軸方向から眺めた図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る光スイッチの構成例を示す図である。
図9図8に示す光スイッチをX軸方向から眺めた図である。
図10図8に示すプリズムの動作を説明するための図である。
図11図8に示す光路操作部の他の構成例を示す図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る光スイッチの構成例を示す図である。
図13図12に示す光スイッチをX軸方向から眺めた図である。
図14】本発明の第5実施形態に係る光スイッチの構成例を示す図である。
図15図14に示す光スイッチをX軸方向から眺めた図である。
図16】本発明の第5実施形態に係る光スイッチの構成例を示す図である。
図17図16に示す光スイッチをX軸方向から眺めた図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して本発明に係る光スイッチの実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、図中、3軸(X軸、Y軸、Z軸)の直交座標系であるXYZ座標系を適宜用いて方向を説明する。
【0027】
(A)第1実施形態の説明
まず、本発明の第1実施形態に係る光スイッチの構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光スイッチの一構成例を示す模式図である。図1には、第1実施形態に係る光スイッチをXYZ座標系のZ軸方向正の向きから見たものが図示されている。図2は、図1に示す光スイッチをXYZ座標系のX軸方向正の向きから見た図である。図1および図2に示すように、この光スイッチ10は、複数の光入出力部1,2と、プリズム4と、光路操作部5と、集光レンズ6と、アナモルフィック光学系7と、波長分散素子8と、偏波操作光学系9と、プリズム11とを備える。なお、この光スイッチ10における実際の各光路は波長分散素子8において大きく曲げられるので、偏波操作光学系9から光路操作部5までの各構成要素(第1実施形態では偏波操作光学系9、プリズム11、アナモルフィック光学系7、集光レンズ6、プリズム4、および、光路操作部5)は、波長分散素子8の前後で角度を持って配置される。ただし、図1および図2においては、簡略化のために各構成要素を光路に沿って直線的に配置して示している。このことは、図1および図2以降の図面においても同様である。
【0028】
複数の光入出力部1,2は、光を入力または出力するポート群を各々有し、ポート群毎に、外部から光を入力し、または外部に光を出力する。具体的には、光入出力部1は、光ファイバポート群110と、複数のコリメータレンズからなるコリメータレンズ群116と、光ファイバポート群110とコリメータレンズ群116とを支持する支持部117とを備える。光ファイバポート群110は、複数の光ファイバポート111〜115を含む光入出力のポート群である。光ファイバポート111〜115の各々は、光導波路として機能する光ファイバを用いて構成される。各光ファイバポート111,112,113,114,115は、所定の配列方向、すなわち図2に示すYZ平面に平行な方向に沿って、所定の間隔(例えば等間隔)で配列される。
【0029】
コリメータレンズ群116は、各光ファイバポート111〜115に対応して配置されるコリメータレンズから構成されている。コリメータレンズ群116は、各光ファイバポート111〜115から出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を各光ファイバポート111〜115に集光して結合させる機能を有する。
【0030】
光入出力部2は、光ファイバポート群120と、複数のコリメータレンズからなるコリメータレンズ群126と、光ファイバポート群120とコリメータレンズ群126とを支持する支持部127とを備える。光ファイバポート群120は、複数の光ファイバポート121〜125を含む光入出力のポート群である。光ファイバポート121〜125の各々は、光導波路として機能する光ファイバを用いて構成される。各光ファイバポート121,122,123,124,125は、所定の配列方向(図2に示すYZ平面に平行な方向)に沿って、等間隔等の所定の間隔で配列される。
【0031】
コリメータレンズ群126は、各光ファイバポート121〜125に対応して配置されるコリメータレンズから構成されている。コリメータレンズ群126は、各光ファイバポート121〜125から出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を各光ファイバポート121〜125に集光して結合させる機能を有する。
【0032】
なお、コリメータレンズ群116,126の配列方向(Z軸に平行な方向)を以下では、スイッチ軸方向とし、また、後述する波長分散素子8の波長分散方向(X軸に平行な方向)を以下では波長分散軸として説明する。
【0033】
ここで、光入出力部1,2は、図1および図2に示すように、光ファイバポート群110,120の配列方向、すなわちZ軸方向に沿って配置される。このような光入出力部1,2において、光ファイバポート群110および光ファイバポート群120は、光入出力部1、2別にグループ分けされ、YZ平面に平行な同一面内に配列される。これら光ファイバポート群110,120内の各光ファイバポート111〜115,121〜125は、その配列方向に垂直な方向(すなわち図1および図2に示すX軸方向)から見て、同じポート群内において互いに平行であり、かつ、異なるポート群間においても互いに平行とされている。
【0034】
なお、上述した光ファイバポート111〜115,121〜125は、光入出力部1,2別に、外部から光を入力する、または外部に光を出力するものである。このように光入出力部1,2別に入出力される各光は、特に限定されないが、例えば波長1520〜1620nmの光通信用の信号光である。
【0035】
光路操作部5は、入力された光の光路を切り替える複数の光路切替部5a,5bを有し、各光入出力部1,2別に入力ポートから出力ポートに至る光の光路を操作する。光路切替部5a,5bは、図2に示すように、互いに異なる光入出力部1,2別に、Z軸方向に分離して配置される。図3は、第1実施形態における複数の光路切替部の一構成例を示す模式図である。図3に示すように、光路切替部5aは、X軸方向に沿って配列された複数のLCOS5a−1,5a−2,5a−3,5a−4によって構成される。これと同様に、光路切替部5bは、X軸方向に沿って配列された複数のLCOS5b−1,5b−2,5b−3,5b−4によって構成される。このような構成を有する光路切替部5a,5bは、光ファイバポート群110,120のうちの何れかの光ファイバポート群内の入力ポートから入力した光の光路を、この入力ポートが属する同じ光ファイバポート群内の出力ポートに向かう光路へ各光入出力部1,2別に切り替える。
【0036】
すなわち、各LCOS5a−1,5a−2,5a−3,5a−4は、光入出力部1の光ファイバポート群110内の入力ポートから入力した光を回折して同じ光ファイバポート群110内の出力ポートに向けて出力する機能を有する。また、各LCOS5b−1,5b−2,5b−3,5b−4は、光入出力部2の光ファイバポート群120内の入力ポートから入力した光を回折して同じ光ファイバポート群120内の出力ポートに向けて出力する機能を有する。なお、光ファイバポート群110内の入力ポートは、光ファイバポート111〜115のうちの何れかであり、光ファイバポート群110内の出力ポートは、光ファイバポート111〜115のうちの入力ポートを除く何れかである。また、光ファイバポート群120内の入力ポートは、光ファイバポート121〜125のうちの何れかであり、光ファイバポート群120内の出力ポートは、光ファイバポート121〜125のうちの入力ポートを除く何れかである。
【0037】
ここで、光入出力部1,2側から光路操作部5に入力される各光は、上述した光路切替部5a,5bにおいて互いに干渉しないように、Z軸方向に分離している。例えば図3に示すように、光入出力部1側から光路切替部5aのLCOS5a−1に入力された光の結像点P1は、光入出力部2側から光路切替部5bのLCOS5b−1に入力された光の結像点P2に対して十分に離間している。すなわち、結像点P1と結像点P2との離間距離(以下、分離距離dという)は、これら各光のビームスポット(図3の斜線部分参照)のZ軸方向の寸法に比して十分に大きい。この結果、これら各光同士の干渉が回避される。このことは、残りのLCOS5a−2〜5a−4,5b−2〜5b−4においても同様である。このような光入出力部1,2側からの各光の結像点に対応して、LCOS5a−1〜5a−4,5b−1〜5b−4は、光路操作部5上に配列される。
【0038】
なお、上述したLCOS5a−1〜5a−4,5b−1〜5b−4の各々に入力される各光のビーム形状は、後述するアナモルフィック光学系7の作用によって、図3の斜線部分に例示されるように、X軸方向に縮小した楕円形状に整形される。このような楕円形状の各光の幅W1に比して、LCOS5a−1〜5a−4,5b−1〜5b−4の各幅W2は十分に大きい。
【0039】
集光レンズ6は、複数の光入出力部1,2側から入力された光を光ファイバポート群110,120別に複数の光路切替部5a,5bに集光し、複数の光路切替部5a,5b側から入力された光を光ファイバポート群110,120別に複数の光入出力部1,2に光学的に結合する。この結果、複数の光入出力部1,2と光路操作部5とは、集光レンズ6によって光学的に結合される。具体的には、集光レンズ6は、単一の光軸6aを有するレンズであり、光入出力部1,2と光路操作部5との間に配置される。集光レンズ6は、光ファイバポート群110からの光を一方の光路切替部5aに集光し、光ファイバポート群120からの光を他方の光路切替部5bに集光する。また、集光レンズ6は、光路切替部5aからの光を一方の光ファイバポート群110に光学的に結合し、光路切替部5bからの光を他方の光ファイバポート群120に光学的に結合する。何れの場合であっても、集光レンズ6は、図2に示すようにZ軸方向に平行な面内(例えばYZ平面に平行な面内)で集光し、かつ、図1に示すようにX軸方向に平行な面内(例えばXY平面に平行な面内)で集光する。ここで、Z軸方向は、光ファイバポート群110,120の配列方向であり、X軸方向は、この配列方向に対して垂直な方向である。なお、このような集光レンズ6の焦点の位置は、上述した光路操作部5の位置と略一致することが望ましい。図1および図2に示すように、集光レンズ6の焦点距離をfとすると、光路操作部5は集光レンズ6から略fだけY軸方向に離れた位置に配置され、また、波長分散素子8は集光レンズ6から略fだけY軸方向に離れた位置に配置されることが望ましい。また、集光レンズ6の開口径、および、Z軸方向の幅は略15mm以下とされている。集光レンズ6の開口径、および、Z軸方向の幅を略15mm以下に設定することで、19.4mmを基準幅とする光スイッチ10の筐体にも余裕を持って収容することができる。
【0040】
偏波操作光学系9は、入力された光の偏波状態を、単一の偏波方向のみからなるように操作して出力する光学系であり、例えば、ウォラストンプリズムと1/2波長板からなる。LCOSによって変調を受ける偏光状態を、x軸に平行な直線偏光とすると、ウォラストンプリズムにより、x軸に平行な直線偏光と、y軸に平行な直線偏光とに入力光を分離し、y軸に平行な直線偏光に対してのみ、速軸がy軸に対し45°傾いた1/2波長板を作用させることで、偏波操作光学系9以降において、偏光状態はx軸に平行な直線偏光のみとなり、LCOSにより回折させることができる。
【0041】
プリズム11は、スイッチ軸方向に配列されたコリメータレンズ群116,126から出力される平行な光路群を相互に交差する方向に屈折する。この結果、コリメータレンズ群116,126から出力される光路群は、集光レンズ6またはその近傍において重複するように交差する。図2の例では、光ファイバポート111のコリメータレンズ116が有する光路は、光ファイバポート121のコリメータレンズ126が有する光路と、集光レンズ6上において重複するように交差する。また、光ファイバポート112〜115のコリメータレンズ116が有する光路は、光ファイバポート122〜125のコリメータレンズ126が有する光路と、集光レンズ6上においてそれぞれが重複するように交差する。ここで、図2に示すように、集光レンズ6のスイッチ軸方向のビームスポットを含めた開口径をH2とし、波長分散素子8のスイッチ軸方向のビームスポットを含めた開口径をH1とした場合に、これらの間にはH1≧H2の関係が成立する。なお、コリメータレンズ群116およびコリメータレンズ群126からプリズム11までの光の伝搬長は、例えば、50mm以下になるように設定することが望ましい。これを超える伝搬長の場合には、プリズム11のスイッチ軸方向の両端に位置するポート(図2では光ファイバポート111,115および光ファイバポート121,125)を通過する光がプリズム11の開口を外れてしまう場合があるからである。また、集光レンズ6のスイッチ軸方向の開口径H2は、15mm以下となるように設定することが望ましい。開口径がこれを超える場合には、スイッチ軸方向の薄型化を十分に図ることができないからである。
【0042】
ここで、素子に必要な開口径は、当該素子上におけるビームの配列と、ビームの形状から計算される。通常、ガウシアンビームの伝搬においては、ビームのスポットサイズの約2倍の開口径が必要とされる。本例においては、波長選択スイッチの特性と薄型化とを考慮し、適切な正の係数をbとするとき、スポットサイズのb倍を、そのビーム単体での開口径とする。したがって、素子の開口径とは、その素子上を通過するすべてのビームによって掃引される領域のうち最も外縁と光軸との距離であり、このとき、各々のビームによって掃引される領域とは、当該素子上におけるビームのスポットサイズのb倍からなる円ないし楕円の領域である。なお、本実施形態では、bの値としては、1.2〜2倍程度を想定している。
【0043】
なお、図2では、光ファイバポート111〜115のコリメータレンズ群116が有する光路は、光ファイバポート121〜125のコリメータレンズ群126が有する光路と、集光レンズ6上においてそれぞれが重複するように交差しているが、これらは完全に一致する必要はなく、Z軸方向にある程度離間していてもよい。
【0044】
アナモルフィック光学系7は、複数の光入出力部1,2から入力された各光のビーム形状を楕円形状に整形する。具体的には、アナモルフィック光学系7は、波長分散軸方向に屈折力を持ったシリンドリカルレンズ7aとアナモルフィックプリズム7bによって構成され、光入出力部1,2と集光レンズ6との間に配置される。アナモルフィック光学系7は、光入出力部1、2側から入力された各光のビーム形状を各光ファイバポート111〜115、121〜125の配列方向に垂直な方向(すなわちX軸方向)に対して拡大する機能を有する。このようなアナモルフィック光学系7の作用によって、光入出力部1、2側からの各光のビーム形状は、光路切替部5a、5bに集光される際、図3の破線部分に示されるように、X軸方向に縮小した幅W1の楕円形状に整形される。一方、アナモルフィック光学系7は、光路操作部5側から入力された光のビーム形状をX軸方向に対して縮小する機能を有する。
【0045】
波長分散素子8は、複数の光入出力部1,2側から入力された各光を波長分散するものである。具体的には、波長分散素子8は、例えば透過型の回折格子等を用いて構成され、光入出力部1側からの光と光入出力部2側からの光との双方を所定の波長分散方向(波長分散軸の方向)に波長分散する。ここで、波長分散素子8の波長分散方向は、波長分散素子8によって波長分散された各光の光路同士が角度をなす面の方向である。すなわち、図1において、この波長分散方向は、X軸方向と略平行であって、図2に示す各光ファイバポート111〜115,121〜125の配列方向に対して略垂直な方向である。このような波長分散素子8は、アナモルフィック光学系7と集光レンズ6との間に、入射した光がLCOS5a−1〜5a−4,5b−1〜5b−4の配列方向に波長分散を起こすように配置される。この場合、波長分散素子8の位置は、集光レンズ6の焦点の位置と略一致することが望ましい。また、波長分散素子8は、その中心部分で集光レンズ6の光軸6aと交差することが望ましく、例えば波長分散素子8を回折格子とした場合には、その溝方向が集光レンズ6の光軸6aと略垂直とするとよい。
【0046】
上述したような構成を有する光スイッチ10では、例えば、一方の光ファイバポート群110において中央に配列された光ファイバポート113と、他方の光ファイバポート群120において中央に配列された光ファイバポート123とが、外部から光が入力される共通の光ファイバポート(Comポート)として設定されている。また、一方の光ファイバポート群110のうちの残り4つの光ファイバポート111,112,114,115と、他方の光ファイバポート群120のうちの残り4つの光ファイバポート121,122,124,125とが、外部に光を出力する光ファイバポートとして設定されている。
【0047】
ここで、光スイッチ10は、一方の光入出力部1内の光ファイバポート113から所定の波長の信号光が入力された場合、同じ光入出力部1内の光ファイバポート111,112,114,115のうち、その波長を割り当てられた光ファイバポートから、その信号光を出力するように動作できる。また、光スイッチ10は、他方の光入出力部2内の光ファイバポート123から所定の波長の信号光が入力された場合、同じ光入出力部2内の光ファイバポート121,122,124,125のうち、その波長を割り当てられた光ファイバポートから、その信号光を出力するように動作できる。すなわち、この光スイッチ10は、光入出力部別に異なる1×4の光スイッチ機能を一装置内に2つ備えた2in1光スイッチとして機能する。
【0048】
特に、ファイバポート113から入力された信号光が互いに波長が異なる4つの信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、光スイッチ10は、光ファイバポート111,112,114,115のうち各チャネルを割り当てられた光ファイバポートから、WDM信号光に含まれる各チャネルの信号光を出力するように動作できる。また、ファイバポート123から入力された信号光が互いに波長が異なる4つの信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、光スイッチ10は、光ファイバポート121,122,124,125のうち各チャネルを割り当てられた光ファイバポートから、WDM信号光に含まれる各チャネルの信号光を出力するように動作できる。この場合、光スイッチ10は、光入出力部別に異なる1×4の波長選択光スイッチ機能を一装置内に2つ備えた2in1波長選択光スイッチとして機能する。
【0049】
プリズム4は、スイッチ軸方向に異なる2つの屈折力を有し、集光レンズ6側から入力された光を光ファイバポート群110,120別に複数の光路切替部5a,5bに集光し、複数の光路切替部5a,5b側から入力された光を集光レンズ6に出力する。具体的には、プリズム4は、図4に示すように、スイッチ軸方向の両端に位置する信号光L2および信号光L5がなす角θ1を、信号光L1が略二等分するように屈折する。また、プリズム4は、スイッチ軸方向の両端に位置する信号光L12および信号光L15がなす角θ11を、信号光L11が略二等分するように屈折する。
【0050】
つぎに、図1〜4を参照しつつ、光スイッチ10の動作について説明する。なお、以下では、光スイッチ10が備える2つの光入出力部1,2のうちの一方の光入出力部1側の光スイッチ動作を説明し、その後、他方の光入出力部2側の光スイッチ動作を説明するが、これら2つの光スイッチ動作は、互いに独立して行われる。すなわち、これら2つの光スイッチ動作は、光入出力部1と光入出力部2との間において順不同に行われる。
【0051】
まず、外部から光ファイバポート113に波長λ1の信号光L1が入力されると、コリメータレンズ群116は、この入力された信号光L1を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。つぎに、偏波操作光学系9は、入力された光の偏波状態を、単一の偏波方向のみからなるように操作して出力する。プリズム11は、偏波操作光学系9から出力される信号光L1を集光レンズ6の光軸6aの方向に屈折して出力する。アナモルフィック光学系7は、この略平行光である信号光L1のビーム形状をX軸方向に拡大して楕円形に整形する。ついで、波長分散素子8は、この整形後の信号光L1を波長λ1に応じた回折角で回折する。その後、集光レンズ6は、この回折された信号光L1を光路操作部5の光路切替部5aに向けて集光する。プリズム4は、光路切替部5aに向けて集光される光の入射角を変化させる。光路切替部5aの一構成部であるLCOS5a−1は、この集光された信号光L1を波長λ1の出力先ポートに対応して設定された回折角で回折し、これによって、この信号光L1を波長λ1の信号光L2として出力する。プリズム4および集光レンズ6は、このように光路切替部5aから出力された信号光L2を光入出力部1に向けて通すとともに、その光路を信号光L1の光路と平行にする。なお、図1においては、光路切替前後の信号光L1と信号光L2との各光路は略重なっている。
【0052】
つぎに、波長分散素子8は、集光レンズ6から入力した信号光L2を再び回折する。ついで、アナモルフィック光学系7は、信号光L2のビーム形状をX軸方向に縮小して略円形に戻すとともに、屈折光学系9を介して光入出力部1側へ信号光L2を通す。このような屈折光学系9、アナモルフィック光学系7、および、波長分散素子8は、例えば図2に示すように、信号光L1の光路と信号光L2の光路との平行関係を維持している。その後、信号光L2は、コリメータレンズ群116のうち、波長λ1に割り当てられた光ファイバポート111に対応するコリメータレンズへ入力される。この対応するコリメータレンズは、信号光L2を集光して光ファイバポート111に結合させる。光ファイバポート111は、このように結合された光、すなわち波長λ1の信号光L2を外部に出力する。
【0053】
以上のようにして、光スイッチ10は、光入出力部1側のComポートである光ファイバポート113から入力された信号光の光路を、その波長λ1に割り当てられた光ファイバポート111(同じ光入出力部1側の出力ポート)へ至る光路に切り替えることができる。
【0054】
また、外部から光ファイバポート113に入力された信号光L1の波長がλ2、λ3、またはλ4であれば、信号光L1は、上述した波長λ1の場合と同様に、屈折光学系9およびアナモルフィック光学系7等を通過した後、波長分散素子8によって、その波長(λ2、λ3、またはλ4)に応じた回折角で回折される。なお、波長λ1,λ2,λ3,λ4は互いに異なるものである。この回折後の信号光L1は集光レンズ6に到達する。集光レンズ6およびプリズム4は、光路切替部5aのうち、この信号光L1の波長に対応するLCOS部分に向けて、この信号光L1を集光する。すなわち、集光レンズ6およびプリズム4は、波長λ2の信号光L1をLCOS5a−2に集光し、または、波長λ3の信号光L1をLCOS5a−3に集光し、または、波長λ4の信号光L1をLCOS5a−4に集光する。LCOS5a−2は、波長λ2の出力先ポートに対応して設定された回折角で信号光L1を回折して、この信号光L1の光路を波長λ2の信号光L3の光路に切り替える。または、LCOS5a−3は、波長λ3の出力先ポートに対応して設定された回折角で信号光L1を回折して、この信号光L1の光路を波長λ3の信号光L4の光路に切り替える。または、LCOS5a−4は、波長λ4の出力先ポートに対応して設定された回折角で信号光L1を回折して、この信号光L1の光路を波長λ4の信号光L5の光路に切り替える。
【0055】
この光路切替後の信号光(すなわち信号光L3〜L5の何れか)は、上述した波長λ1の場合と同様に、プリズム4、集光レンズ6、波長分散素子8、アナモルフィック光学系7、屈折光学系9、および、コリメータレンズ群116を順次通過する。このコリメータレンズ通過後の信号光は、光ファイバポート群110のうち、その波長に対応する光ファイバポートから外部に出力される。すなわち、波長λ2の信号光L3は、波長λ2に割り当てられた光ファイバポート112から外部に出力され、波長λ3の信号光L4は、波長λ3に割り当てられた光ファイバポート114から外部に出力され、波長λ4の信号光L5は、波長λ4に割り当てられた光ファイバポート115から外部に出力される。
【0056】
特に、外部から光ファイバポート113に入力された信号光L1が波長λ1、λ2、λ3、λ4の信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、このWDM信号光の光路は、上述した波長λ1〜λ4の各信号光の場合と同様に、波長λ1の信号光L2の光路と、波長λ2の信号光L3の光路と、波長λ3の信号光L4の光路と、波長λ4の信号光L5の光路とに切り替えられる。その後、このWDM信号光由来の各信号光L2〜L5は、各波長λ1、λ2、λ3、λ4に割り当てられた光ファイバポート111、112、114、115の各々から外部に出力される。このようにして、光スイッチ10は、光入出力部1について、波長別に選択された所望の光路の切り替えを実現することができる。
【0057】
一方、光入出力部2についても、上述した光入出力部1の場合と略同様な光スイッチ動作が行われる。すなわち、光入出力部2の光ファイバポート123へ外部から波長λ11の信号光L11が入力されると、コリメータレンズ群126は、この入力された信号光L11を、ビーム形状が略円形の略平行光にする。つぎに、偏波操作光学系9は、入力された光の偏波状態を、単一の偏波方向のみからなるように操作して出力する。プリズム11は、偏波操作光学系9から出力される信号光L11を集光レンズ6の光軸6aの方向に屈折して出力する。アナモルフィック光学系7は、この略平行光である信号光L11のビーム形状をX軸方向に拡大して楕円形に整形する。ついで、波長分散素子8は、この整形後の信号光L11を波長λ11に応じた回折角で回折する。その後、集光レンズ6は、この回折された信号光L11を光路操作部5の光路切替部5b(詳細には図3に示すLCOS5b−1)に向けて集光する。プリズム4は、光路切替部5bに向けて集光される光の入射角を変化させる。光路切替部5bの一構成部であるLCOS5b−1は、この集光された信号光L11を波長λ11の出力先ポートに対応して設定された回折角で回折し、これによって、この信号光L11を波長λ11の信号光L12として出力する。プリズム4および集光レンズ6は、このように光路切替部5bから出力された信号光L12を光入出力部2に向けて通すとともに、その光路を信号光L11の光路と平行にする。なお、図1においては、光路切替前後の信号光L11と信号光L12との各光路は略重なっている。
【0058】
つぎに、波長分散素子8は、集光レンズ6から入力した信号光L12を再び回折する。ついで、アナモルフィック光学系7は、信号光L12のビーム形状をX軸方向に縮小して略円形に戻すとともに、屈折光学系9を介して光入出力部2側へ信号光L12を通す。このような波長分散素子8、アナモルフィック光学系7、および、屈折光学系9は、例えば図2に示すように、信号光L11の光路と信号光L12の光路との平行関係を維持している。その後、信号光L12は、コリメータレンズ群126のうち、波長λ11に割り当てられた光ファイバポート121に対応するコリメータレンズへ入力される。この対応するコリメータレンズは、信号光L12を集光して光ファイバポート121に結合させる。光ファイバポート121は、このように結合された光、すなわち波長λ11の信号光L12を外部に出力する。
【0059】
以上のようにして、光スイッチ10は、光入出力部2側のComポートである光ファイバポート123から入力された信号光の光路を、その波長λ11に割り当てられた光ファイバポート121(同じ光入出力部2側の出力ポート)へ至る光路に切り替えることができる。
【0060】
また、外部から光ファイバポート123に入力された信号光L11の波長がλ12、λ13、またはλ14であれば、信号光L11は、上述した波長λ11の場合と同様に、屈折光学系9およびアナモルフィック光学系7等を通過した後、波長分散素子8によって、その波長(λ12、λ13、またはλ14)に応じた回折角で回折される。なお、波長λ11、λ12、λ13、λ14は互いに異なるものである。この回折後の信号光L11は集光レンズ6に到達する。集光レンズ6およびプリズム4は、光路切替部5bのうち、この信号光L11の波長に対応するLCOS部分に向けて、この信号光L11を集光する。すなわち、集光レンズ6およびプリズム4は、波長λ12の信号光L11をLCOS5b−2に集光し、波長λ13の信号光L11をLCOS5b−3に集光し、または、波長λ14の信号光L11をLCOS5b−4に集光する。LCOS5b−2は、波長λ12の出力先ポートに対応して設定された回折角で信号光L11を回折して、この信号光L11の光路を波長λ12の信号光L13の光路に切り替える。または、LCOS5b−3は、波長λ13の出力先ポートに対応して設定された回折角で信号光L11を回折して、この信号光L11の光路を波長λ13の信号光L14の光路に切り替える。または、LCOS5b−4は、波長λ14の出力先ポートに対応して設定された回折角で信号光L11を回折して、この信号光L11の光路を波長λ14の信号光L15の光路に切り替える。
【0061】
この光路切替後の信号光(すなわち信号光L13〜L15の何れか)は、上述した波長λ11の場合と同様に、集光レンズ6、波長分散素子8、アナモルフィック光学系7、屈折光学系9、および、コリメータレンズ群126を順次通過する。このコリメータレンズ通過後の信号光は、光ファイバポート群120のうち、その波長に対応する光ファイバポートから外部に出力される。すなわち、波長λ12の信号光L13は、波長λ12に割り当てられた光ファイバポート122から外部に出力され、波長λ13の信号光L14は、波長λ13に割り当てられた光ファイバポート124から外部に出力され、波長λ14の信号光L15は、波長λ14に割り当てられた光ファイバポート125から外部に出力される。
【0062】
特に、外部から光ファイバポート123に入力された信号光L11が波長λ11、λ12、λ13、λ14の信号光を含む4チャネルのWDM信号光である場合、このWDM信号光の光路は、上述した波長λ11〜λ14の各信号光の場合と同様に、波長λ11の信号光L12の光路と、波長λ12の信号光L13の光路と、波長λ13の信号光L14の光路と、波長λ14の信号光L15の光路とに切り替えられる。その後、このWDM信号光由来の各信号光L12〜L15は、各波長λ11、λ12、λ13、λ14に割り当てられた光ファイバポート121、122、124、125の各々から外部に出力される。このようにして、光スイッチ10は、光入出力部2について、波長別に選択された所望の光路の切り替えを実現することができる。
【0063】
なお、上述した光路切替部5a、5bを各々構成する各LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4(図3参照)は、以下のような公知の構成を有する。すなわち、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各々は、例えば、液晶駆動回路が形成されたシリコン基板上に、反射率が略100%の反射層である画素電極群と、空間光変調層である液晶層と、配向膜と、ITO(Indium Tin Oxide)電極と、カバーガラスとを順次積層した構成を有する。この画素電極群は、光ファイバポート群110、120の配列方向であるZ軸方向に多数の画素電極を配列して構成されている。したがって、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各々に入射する信号光のビーム形状(図3の破線部分参照)がZ軸方向に長くなるように、コリメータレンズ群116,126と集光レンズ6の特性を設定することが望ましい。これによって、この信号光の回折に寄与する画素電極の数をより多くできるので、より回折効率を大きくすることができる。また、LCOS5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4の各画素幅を小さくすることによって、隣接画素間の位相差を縮小することができ、これによって、LCOS毎の回折角の増大を抑制することができる。
【0064】
つぎに、上述した光入出力部1、2と集光レンズ6との間における光路について説明する。まず、図1を参照しつつ、光ファイバポート群110、120の配列方向(以下、ポート配列方向という)、すなわちZ軸方向から見た光入出力部1、2と集光レンズ6との間の光路について説明する。
【0065】
複数の光入出力部1、2に対して入出力される各信号光L1〜L5、L11〜L15の光路(以下、入出力光路という)は、Z軸方向から見て、図1の実線矢印および破線矢印に示されるような光路となる。以下、図1を参照して説明する入出力光路は、Z軸方向から見たものである。
【0066】
図1に示すように、光入出力部1、2の各入出力光路は、Z軸方向から見て略重なっている。
【0067】
つぎに、図2を参照しつつ、光ファイバポート群110、120のポート配列方向に垂直な方向、すなわちX軸方向から見た光入出力部1、2と集光レンズ6との間の入出力光路について説明する。以下、図2を参照して説明する入出力光路は、X軸方向から見たものである。
【0068】
図2の実線矢印および破線矢印に示されるように、集光レンズ6に対する複数の光入出力部1、2側の各光入出力光路は、光ファイバポート群110、120のポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)から見て、同じ光ファイバポート群内の各光ファイバポート間で平行であり、かつ、異なる光ファイバポート群同士の各光ファイバポート間で非平行である。すなわち、光入出力部1、2の各入出力光路は、一方の光ファイバポート群110内の各光ファイバポート111〜115間において平行であり、また、他方の光ファイバポート群120内の各光ファイバポート121〜125間において平行である。さらに、これら各入出力光路は、異なる光ファイバポート群110、120同士の各光ファイバポート111〜115と各光ファイバポート121〜125との間において非平行である。
【0069】
また、光入出力部1、2の各入出力光路のうち、光ファイバポート群110に対応する入出力光路と光ファイバポート群120に対応する入出力光路とは、図2に示すように、集光レンズ6またはその近傍において互いに交差する。具体的には、複数の光入出力部1、2のうちの互いに異なる2つの光ファイバポート群110、120の各々から入力される各光の光路は、集光レンズ6またはその近傍において互いに交差する。なお、図2では、複数の光入出力部1、2のうちの互いに異なる2つの光ファイバポート群110、120の各々から入力される各光の光路は、集光レンズ6上において交差している。
【0070】
図5は、信号光L1と信号光L11の関係を示す図である。この図5において、太い実線は信号光L1の光路を示し、細い実線は信号光L1のビームの広がりを示している。また、太い破線は信号光L11の光路を示し、細い破線は信号光L11のビームの広がりを示している。この図5の例では、信号光L1と信号光L11のビームの広がり角はともに略θで同じであり、また、信号光L1と信号光L11のビーム同士のなす角は、例えば、2θ程度に設定されている。
【0071】
一般に、ガウシアンビームの放射強度が1/eとなる位置をビームのスポット半径と呼ぶ。特に、ビームウエストにおけるスポット半径をw0とするとき、ビームの広がり角は、θ’=λ/πw0となる。一般に、ガウシアンビームの伝搬にはスポット半径の約2倍の開口径があれば良い。本実施形態におけるビームの広がり角は、波長選択スイッチの特性と薄型化とを考慮し、適切な正の係数をaとするとき、θ=aθ’と定義する。なお、本実施形態では、aの値としては、1.2〜2倍程度を想定している。
【0072】
なお、図5では、信号光L1と信号光L11の関係を示しているが、これ以外の信号光についても同様の関係を有している。すなわち、光ファイバポート群110に対して入出力される信号光L1〜L5の任意の信号光と、光ファイバポート群120に対して入出力される信号光L11〜L15の任意の信号光とは、図5の関係を有している。図5に示すように、信号光L1および信号光L11はそれぞれθの広がり角を有する。また、集光レンズ6は、入力された信号光L1および信号光L11を集光して出力する。このため、信号光L1および信号光L11は、集光レンズ6の近傍において最大のビーム径となる。従って、集光レンズ6の近傍において、信号光L1および信号光L11が重なるように交差させる設定とすることで、スイッチ軸方向の幅を最小にすることができる。また、信号光の広がり角が略θである場合に、信号光のビーム同士のなす角が2θ以上になるように設定することで、ビームの広がりを考慮した場合であっても、光学系のスイッチ軸方向の幅を狭くすることができる。特に、信号光のビーム同士のなす角が略2θになるように設定した場合には、図5に示すように、信号光のビームの両端のなす角が略“0”となる(平行になる)ため光学系のスイッチ軸方向の幅を最も狭くすることができる。
【0073】
また、図4に示すように、プリズム4によって、信号光L1〜L5および信号光L11〜L15の光路を内側に向けて屈折し、信号光L1によってスイッチ軸方向の両端に位置する信号光L2および信号光L5を二等分するようにするとともに、信号光L11によってスイッチ軸方向の両端に位置する信号光L12および信号光L15を二等分するようにしたので、信号光の切り替えの際の損失を少なくするとともに、ポート間のクロストーク特性を改善することができる。すなわち、光路切替部5a,5bであるLCOSは、切り替えのための角度が大きくなると、回折効率が低下するとともに、高次の回折が発生し、意図しないポートに高次の回折光が入射されることから、ポート間のクロストークが低下する。このため、図4に示すように、Comポートの光路によって、両端に位置する最大角の光路を二等分するように設定することで、切り替えの際の回折の角度を最小にし、その結果として回折時の損失を少なくするとともに、クロストーク特性を改善することができる。
【0074】
(B)第2実施形態の説明
つぎに、図6および図7を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、図6および図7において、図1および図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図6および図7では、図1および図2と比較すると、偏波操作光学系9がルチル材のプリズム等によって構成される偏波操作光学系12に置換されるとともに、偏波操作光学系12がアナモルフィック光学系7を構成するシリンドリカルレンズ7aとアナモルフィックプリズム7bの間に移動されている。それ以外の構成は、図1および図2の場合と同様である。このように、偏波操作光学系12をプリズム11から離れた位置に移動させた場合であっても、前述した第1実施形態と同様の動作を期待することができるとともに、第1実施形態と同様の効果を期待することができる。
【0075】
(C)第3実施形態の説明
つぎに、図8図11を参照して本発明の第3実施形態について説明する。なお、図8図11において、図6および図7と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図8図11では、図6および図7と比較すると、プリズム4がプリズム20に置換されるとともに、光路操作部5が光軸6aと直交する位置から、平行する位置に移動されている。それ以外の構成は、図6および図7と同様である。ここで、プリズム20は、図10に示すように、入射された信号光を面20aによって略直角に反射するとともに、2つの異なる屈折力を有する底部20bによって信号光を内側に屈折し、信号光L1が信号光L2および信号光L5がなす角度を二等分するように調整するとともに、信号光L11が信号光L12および信号光L15がなす角度を二等分するように調整する。なお、図10では、説明を簡略化するために、信号光L1,L2,L5および信号光L11,L12,L15のみを示している。
【0076】
光路操作部5には、LCOSを制御するための信号線が接続されており、このような信号線は、図7の例では光路操作部5の端部からZ軸方向に伸出した状態となっている。光スイッチ10は、図示しない筐体内に収容されるとともに、複数の筐体がラックに収めて使用される。そのような使用形態においては、筐体から前述した信号線を取り出す場合には、図7の例では、Y軸方向またはX軸方向に信号線を引き出すことが望ましい。しかし、図7の例では、筐体から信号線を引き出すためには、光路操作部5からZ軸方向に伸出した信号線を、Y軸方向またはX軸方向に折り曲げる必要が生じる。このため、図7の例では、信号線を略直角に引き回す必要が生じることから、実装作業が複雑となるとともに、略直角に引き回すためのスペースの確保が必要となる。一方、図8および図9に示す実施形態の場合では、光路操作部5の端部からY軸方向に伸出する信号線をそのまま筐体から引き出すことができるため、図7の場合のように略直角に引き回す必要がなくなることから、信号線の実装を簡略化するとともに、収容スペースを縮小して、装置の小型化を図ることができる。
【0077】
図8図10に示す第3実施形態の動作およびその効果については、前述した第1実施形態の場合と同様であるので、その詳細な動作の説明は省略する。
【0078】
なお、図8図10に示す第3実施形態では、図10に示すように、プリズム20が、2つの異なる屈折力を有する底部20bによって信号光を内側に屈折し、信号光L1が信号光L2および信号光L5がなす角度を二等分するように調整するとともに、信号光L11が信号光L12および信号光L15がなす角度を二等分するように調整するようにしているが、プリズム20に底部20bを設ける代わりに、光路操作部5の表面に2つの異なる屈折力を有する光学的な構造を設けるようにしてもよい。図11は、2つの異なる屈折力を有する光学的な構造を設けた光路操作部5の断面構造を示す図である。この図11の例では、光路操作部5を保護するために設けられているカバーガラス51の断面形状を略三角形に整形することで、信号光の光路を内側に屈折させることができる。また、カバーガラス51の形状を調整することで、信号光L1が信号光L2および信号光L5がなす角度を二等分するとともに、信号光L11が信号光L12および信号光L15がなす角度を二等分するように設定することができる。
【0079】
(D)第4実施形態の説明
つぎに、図12および図13を参照して本発明の第4実施形態について説明する。なお、図12および図13において、図8および図9と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図12および図13では、図8および図9と比較すると、集光レンズ6が除外され、シリンドリカルレンズ21,22が追加されている。これ以外の構成は、図8および図9の場合と同様である。ここで、シリンドリカルレンズ21は、図13に示すように、信号光をスイッチ軸方向(Z軸方向)に屈折して出力する。また、シリンドリカルレンズ22は、図12に示すように、信号光を波長分散軸方向(X軸方向)に屈折して出力する。なお、複数の光入出力部1,2のそれぞれが有する光路群同士は、図13に示すように、シリンドリカルレンズ21またはその近傍において略重なるように交差する。シリンドリカルレンズ22の焦点距離をfとすると、波長分散素子8はシリンドリカルレンズ22から光の伝搬長がfだけ離れた位置に配置され、また、光操作部5はシリンドリカルレンズ22から光の伝搬長がfだけ離れた位置に配置される。一方、シリンドリカルレンズ21の焦点距離をf’とすると、光操作部5はシリンドリカルレンズ21から光の伝搬長がf’だけ離れた位置に配置され、波長分散素子8はシリンドリカルレンズ21から光の伝搬長がf’よりも短い距離離れた位置に配置される。ここで、f’>fであり、また、f’はシリンドリカルレンズ22の焦点距離fよりも大きい。このため、シリンドリカルレンズ21から光路操作部5までの距離を、長くすることができることから、光路操作部5における回折角度を小さくすることで、回折時の損失を低くするとともに、クロストーク特性を改善することができる。
【0080】
図12および図13に示す第4実施形態の動作およびその効果については、前述した第1実施形態の場合と同様であるので、その詳細な動作の説明は省略する。
【0081】
(E)第5実施形態の説明
つぎに、図14および図15を参照して本発明の第5実施形態について説明する。なお、図14および図15において、図8および図9と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図14および図15では、図8および図9と比較すると、プリズム11が波長分散素子8の後段に移動され、偏波操作光学系12が光入出力部1,2の後段に移動され、アナモルフィックプリズム7bの前後にリレーレンズ系23,24が追加されている。これら以外の構成は、図8および図9と同様である。ここで、リレーレンズ系23,24は、コリメータレンズ群116,126によって結像された像を、後方に等倍またはn倍で伝達する。リレーレンズ23から出力された信号光は、リレーレンズ23とリレーレンズ24の間でビームウエスト(BW2)を形成する。リレーレンズ24から出力された信号光は、波長分散素子8でビームウエスト(BW3)を形成する。なお、コリメータレンズ群116,126から出力される信号光は、図15の例では、偏波操作光学系12内においてビームウエスト(BW1)を形成する。最後のビームウエストBW3は、波長分散素子8の近傍またはそれ以降に位置するように設定されている。
【0082】
第5実施形態では、最初のビームウエストBW1の後段に、ビームウエストBW2,BW3を形成するようにしたので、ビームウエストBW1だけの場合に比較して、集光レンズ6上に形成される信号光のスポット径を小さくすることができることから、集光レンズ6のスイッチ軸方向の幅を狭くすることができるため、装置全体を小型化することができる。すなわち、ビームウエストBW2,BW3を設けない場合には、信号光はビームウエストBW1からの距離に応じて角θで広がり、集光レンズ6上において最大になる。しかしながら、ビームウエストBW2,BW3を設けた場合には、最後のビームウエストBW3を起点としてビームが広がるため、ビームウエストBW1だけの場合に比較して、集光レンズ6上のスポット径を小さくすることができる。また、最後のビームウエストBW3を波長分散素子8の近傍またはそれ以降に配置することで、スポット径をさらに小さくすることができる。
【0083】
図14および図15に示す第4実施形態の動作およびその効果については、前述した第1実施形態の場合と同様であるので、その詳細な動作の説明は省略する。
【0084】
(F)第6実施形態の説明
つぎに、図16および図17を参照して本発明の第6実施形態について説明する。なお、図16および図17において、図12および図13と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図16および図17では、図12および図13と比較すると、光入出力部1,2が5つの光学系(ファイバポート群およびコリメータレンズ群)を有するものから、3つの光学系を有するものに置換され、また、3つの光学系を有する入出力ポート3が新たに追加されている。また、プリズム11がプリズム13に置換され、プリズム20がプリズム25に置換され、光路操作部5が光路操作部50に置換されている。これら以外の構成は、図12および図13の場合と同様である。
【0085】
ここで、光入出力部1は、3つの光ファイバポートからなる光ファイバポート群110と、3つのコリメータレンズからなるコリメータレンズ群116と、光ファイバポート110〜113とコリメータレンズ群116とを支持する支持部117とを備える。なお、光入出力部2,3は、光入出力部1と同様の構成とされる。プリズム13は、光入出力部2から出力される信号光は屈折せずにそのまま通過させ、光入出力部1,2から出力される信号光は内側(光軸6a側)に屈折して出力する。なお、コリメータレンズ群116,126,136から出力された信号光は、プリズム13によって屈折され、シリンドリカルレンズ21またはその近傍において重なるように交差する。プリズム25は、シリンドリカルレンズ22から出力された信号光を面25aによって略直角に屈折し、底部25bによって信号光L1が信号光L2,L3を二等分し、信号光L11が信号光L12,L13を二等分し、信号光L21が信号光L22,L23を二等分するように屈折して出力する。この結果、プリズム25から出力された信号光L1,L11,L21は、光路切替部5a,5b,5cのそれぞれに対して入射する。光路切替部5a,5b,5cは、信号光L1,L11,L21の波長に応じた角度で反射する。この結果、光スイッチ10は、光入出力部1のComポートである光ファイバポート112から入力された信号光の光路を、その波長に割り当てられた光ファイバポート111または光ファイバポート113へ至る光路に切り替えることができる。同様に、光入出力部2のComポートである光ファイバポート122から入力された信号光の光路を、その波長に割り当てられた光ファイバポート121または光ファイバポート123へ至る光路に切り替えることができるとともに、光入出力部3のComポートである光ファイバポート132から入力された信号光の光路を、その波長に割り当てられた光ファイバポート131または光ファイバポート133へ至る光路に切り替えることができる。
【0086】
以上に説明したように、第6実施形態によれば、3つの光入出力部1〜3から入力された信号光をその波長に対応した光入出力部から出力することができる。なお、第6実施形態の詳細な動作および効果は、前述した第1実施形態の場合と略同じであるので、その説明は省略する。
【0087】
(G)変形実施形態の説明
以上の各実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の各実施形態では、1つの入力ポート(Comポート)と4つの出力ポートとを有する1×4光スイッチの光入出力部を複数備えた光スイッチを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明に係る光スイッチが備える複数の光入出力部の各々のポート数は、5つに限定されず、複数であればよい。例えば、入力ポート数が「1」でありかつ出力ポート数が「M」である1×M光スイッチの光入出力部であってもよいし、入力ポート数が「N」であり且つ出力ポート数が「1」であるN×1光スイッチの光入出力部であってもよい。あるいは、これらを組み合わせたもの、すなわち、入力ポート数が「N」でありかつ出力ポート数が「M」であるN×M光スイッチの光入出力部であってもよい。この場合、光路操作部が備える複数の光路切替部の配置数は、光入出力部数に対応して調整すればよい。なお、入力ポート数Mおよび出力ポート数Nは、ともに1以上の整数である。
【0088】
また、上述した各実施形態では、光入出力部のうちのComポートから光を入力し、Comポート以外の残りのポート(光ファイバポート等)から光を出力していたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、Comポート以外の残りのポートから光を入力し、Comポートから光を出力してもよい。
【0089】
さらに、上述した各実施形態では、互いに異なる2つの光スイッチ機能を一装置内に有する2in1光スイッチ、或いは、互いに異なる3つの光スイッチ機能を一装置内に有する3in1光スイッチを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にかかる光スイッチが備える光入出力のポート群の数は、特に2つまたは3つに限定されず、2つ以上であればよい。すなわち、本発明にかかる光スイッチは、互いに異なる複数の光スイッチ機能(波長選択光スイッチ機能を含む)を一装置内に有するJ(Jは2以上の整数)in1光スイッチであってもよい。例えば、上述した光入出力部を合計Jだけ、一装置内に備えた光スイッチまたは波長選択光スイッチを構成してもよい。
【0090】
また、上述した各実施形態では、複数の光路切替部をLCOSによって構成していたが、これに限らず、複数の光路切替部は、MEMSミラーによって構成されてもよいし、DMD(Digital Micro Mirror Device)によって構成されてもよい。
【0091】
さらに、上述した各実施形態では、光入出力部内の各ポートを光ファイバによって構成していたが、これに限らず、光入出力部内の各ポートは、石英導波路等の光ファイバ以外の光導波路によって構成されてもよい。
【0092】
また、上述した各実施形態では、光入出力部1と光入出力部2とが独立した構成としたが、これらを共通する1の支持部内に合わせて収容するようにしてもよい。また、光入出力部1と光入出力部2のそれぞれを独立した複数の支持部に分けて収容するようにしてもよい。具体的には、光入出力部1を独立した複数の支持部に分けて収容し、光入出力部2も同様に独立した複数の支持部に分けて収容するようにしてもよい。
【0093】
また、上述した各実施形態では、各光ファイバポート群間において光ファイバポート数を同数としていたが、これに限らず、光入出力の各ポート群内のポート数は、ポート群間において異なる数であってもよい。
【0094】
また、上述した各実施形態では、複数の光ファイバポート群は、ポート配列方向に垂直な方向(X軸方向)から見て、集光レンズの光軸に対して平行に配置し、プリズムによって屈折して集光レンズ6においてビームが交差するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明に係る光スイッチが備える光入出力の各ポート群同士がX軸方向から見て互いに非平行に配置し、集光レンズ6においてビームが交差するようにしてもよい。
【0095】
また、上述した各実施形態では、互いに異なる複数の光入出力部の各入出力光路の交差位置の近傍に集光レンズを配置したが、集光レンズは、光路操作部上における各光の結像点間の分離距離および集光レンズ等の光学特性を考慮して、交差位置から少しずれた位置に配置してもよい。
【0096】
また、上述した各実施形態では、単一の光軸を有する集光レンズを用いていたが、これに限らず、複数のレンズを用いた複合レンズ系によって集光レンズ系を構成してもよく、この集光レンズ系の光軸は複数であってもよい。
【0097】
また、上述した各実施の形態では、透過型の回折格子を用いて波長分散素子を構成していたが、これに限らず、反射型の回折格子を用いて波長分散素子を構成してもよいし、分散プリズム等の他の光分散素子を用いて波長分散素子を構成してもよい。なお、透過型の回折格子によって波長分散素子を構成した場合は、光路を大きく屈曲させる必要が無いため、光スイッチを構成する各素子を、意図しない光路と干渉させること無く配置することが容易である。
【0098】
また、上述した各実施形態では、各光ファイバポート群のうちの中央の光ファイバポートをComポートとし、このComポートから光を入力し、残りの各光ファイバポートを出力ポートとしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明において、光入出力のポート群のうちのComポートの位置は特に問わない。
【0099】
また、上述した各実施形態では、光路操作対象の光の波長別、ポート群別(具体的には光ファイバポート別)に分けられる複数のLCOSを光路操作部に設けていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、光路操作部に単一のLCOSを設け、光路操作対象の光の波長別、ポート群別に、この単一のLCOSを区分けしてもよい。この場合、区分けされた複数のLCOS部分によって、光入出力部別に異なる光路切替部を構成すればよい。
【0100】
また、上述した各実施形態では、波長別に入力光を分散する波長分散素子8を備えた光スイッチを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、波長分散素子8を備えず、光ファイバポート等の光の入力ポートおよび出力ポートを有する複数の光入出力部と、光入出力部毎に単一の光路切替部(例えばLCOS)を有する光路操作部と、集光レンズおよびアナモルフィック光学系等の光学素子とを適宜備えた光スイッチであってもよい。
【0101】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上記各実施形態の各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1、2、3 光入出力部
5、50 光路操作部
5a、5b、5c 光路切替部
5a−1〜5a−4、5b−1〜5b−4、5c−1〜5c−4 LCOS
6 集光レンズ
6a 光軸
7 アナモルフィック光学系
7a、7b アナモルフィックプリズム
8 波長分散素子
9 偏波操作光学系
11 プリズム
12 偏波操作光学系
10 スイッチ
110、120、130 光ファイバポート群
111〜115、121〜125、131〜133 光ファイバポート
117、127、137 支持部
L1〜L5、L11〜L15、L21〜L23 信号光
P1、P2、P3 結像点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17