特許第6034758号(P6034758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034758
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】端面観察装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20161121BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20161121BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20161121BHJP
   G01N 21/94 20060101ALI20161121BHJP
   B08B 11/00 20060101ALI20161121BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G01N21/95 Z
   G02B6/36
   G02B21/36
   G01N21/94
   B08B11/00 Z
   G01M11/00 U
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-134322(P2013-134322)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-10850(P2015-10850A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 城治
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雄一
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄三
(72)【発明者】
【氏名】橋本 悦
(72)【発明者】
【氏名】葉玉 恒一
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−302394(JP,A)
【文献】 特開昭63−251110(JP,A)
【文献】 特開2008−224746(JP,A)
【文献】 特開2003−021751(JP,A)
【文献】 特開2015−010851(JP,A)
【文献】 特開2005−045144(JP,A)
【文献】 特開2010−164438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/95
B08B 11/00
G01M 11/00
G01N 21/94
G02B 6/36
G02B 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の端面の直近に配置された透明部材と、
前記透明部材上の前記被検体側に配置され、前記被検体の端面に触れて前記被検体の端面観察以外の作業を行うための不透明の構造体と、
光源と、
画像受像部と、
前記透明部材と前記光源とを光学的に接続した第1の光伝搬路と、
前記被検体の端面画像が前記画像受像部に結像するように、少なくとも1つのレンズを含む、前記透明部材と前記画像受像部とを光学的に接続した第2の光伝搬路と、
を備え、前記第1の光伝搬路と前記第2の光伝搬路は空間的に分離されていることを特徴とする端面観察装置。
【請求項2】
前記不透明な構造体は、前記被検体の端面に付着した異物を清掃するクリーナ機構であることを特徴とする請求項1に記載の端面観察装置。
【請求項3】
前記第2の光伝搬路は、前記不透明な構造体により分割された前記被検体の端面画像の第1および第2の端面画像をそれぞれ別個に伝達する空間的に分離された第3および第4の光伝搬路を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の端面観察装置。
【請求項4】
前記透明部材は、前記不透明な構造体により分割された第1および第2の透過領域を有し、前記第1の光伝搬路は、前記第1の透過領域に接続され、前記第2の光伝搬路は、前記第2の透過領域に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の端面観察装置。
【請求項5】
前記第2の光伝搬路は、バンドルファイバを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の端面観察装置。
【請求項6】
前記第1の光伝搬路は、バンドルファイバを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の端面観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタの端面状態の観察を行う端面観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信において、光コネクタは各種ネットワーク装置や光ファイバ間を接続するための必要不可欠な部品であり、光コネクタでの損失を低減することは良好な光通信を実現する上で非常に重要である。光コネクタにおける損失要因は主に、コネクタ端面におけるゴミ、異物の付着や汚れである。そのため、従来から光コネクタの接続時にはコネクタ端面の清掃や観察が重要な作業になっている。
【0003】
光コネクタは、雄コネクタであるプラグと、雌コネクタであり、ネットワーク装置などでプラグの差し込み口となるレセプタクルとから構成される。
【0004】
これまでに、これら光コネクタのプラグ、レセプタクルそれぞれついて、クリーナや端面観察装置が提案されている。例えば、レセプタクル内のコネクタ端面用のリーナテープを備えたクリーナ(特許文献1参照)やレセプタクル内のコネクタ端面の観察装置(特許文献2参照)などがある。
【0005】
光コネクタの清掃作業と観察作業はコネクタ接続時などに交互に繰り返し行う作業である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−219602号公報
【特許文献2】特開平10−19728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、清掃装置と観察装置とは別装置で提供されるものであるため、それぞれの装置を使用した清掃作業、観察作業に加えて、それら装置の交換作業が必ず発生することから、作業全体が繁雑になるという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、端面観察装置と、端面観察作業以外の作業を行う装置とを一体化した端面観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、端面観察装置であって、被検体の端面の直近に配置された透明部材と、前記透明部材上の前記被検体側に配置され、前記被検体の端面に触れて前記被検体の端面観察以外の作業を行うための不透明の構造体と、光源と、画像受像部と、前記透明部材と前記光源とを光学的に接続した第1の光伝搬路と、前記被検体の端面画像が前記画像受像部に結像するように、少なくとも1つのレンズを含む、前記透明部材と前記画像受像部とを光学的に接続した第2の光伝搬路と、を備え、前記第1の光伝搬路と前記第2の光伝搬路は空間的に分離されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の端面観察装置において、前記不透明な構造体は、前記被検体の端面に付着した異物を清掃するクリーナ機構であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の端面観察装置において、前記第2の光伝搬路は、前記不透明な構造体により分割された前記被検体の端面画像の第1および第2の端面画像をそれぞれ別個に伝達する空間的に分離された第3および第4の光伝搬路を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の端面観察装置において、前記透明部材は、前記不透明な構造体により分割された第1および第2の透過領域を有し、前記第1の光伝搬路は、前記第1の透過領域に接続され、前記第2の光伝搬路は、前記第2の透過領域に接続されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の端面観察装置において、前記第2の光伝搬路は、バンドルファイバを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の端面観察装置において、前記第1の光伝搬路は、バンドルファイバを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、端面観察装置と、端面観察作業以外の作業を行う装置とを一体化することで、操作性の向上や作業時間の短縮等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係る端面観察装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態2に係る端面観察装置の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態3に係る端面観察装置の構成を示す図である。
図4】レセプタクルの光コネクタ端面を本発明の実施形態1に係る端面観察装置で観察している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る端面観察装置は、コネクタ端面の観察機構として中央部に軸方向に貫通する穴が設けられたレンズを用い、そのレンズの穴に光コネクタ清掃用のクリーナが設けられている。このクリーナは、コネクタ端部の光ファイバ端面にクリーニングテープを押しつけ、クリーナ端面の面内の一軸上で摺動させる構造を持つ。クリーニングテープの摺動ガイド機構は、コネクタ端部においてコネクタ開口の径より細径である。またクリーニングテープはコネクタ中央の光ファイバ端面近傍部に押しつけられ、摺動により端面の異物を除去する。本発明の実施形態に係る端面観察装置では、クリーニング機構と観察機構とが一体化し、それらを同時に使用することも可能となっている。
【0018】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1に、本発明の実施形態1に係る端面観察装置の構成を示す。図1において1点鎖線で示したものは観察、清掃される光コネクタ200である。端面観察装置100は、光コネクタ200の中央に対向するように端面を清掃するクリーニングテープ101、そのガイド機構102が配置されている。尚、図示していないが、ガイド機構102と共に、クリーニングテープ101を一定の方向に摺動する摺動機構を備えている。
【0020】
端面観察装置100は、コネクタ端面を観察するため、光コネクタの直近の位置に端面像が透過する透明部材103を備えており、透明部材103には細径のクリーニングテープ101が摺動するための摺動ガイドが設けられている。光コネクタ端面をクリーニングする際には、クリーニングテープ101を透明部材103と共に光コネクタ端面に押し付け、クリーニングテープ101を摺動ガイドに従い摺動させることができる。
【0021】
透明部材103は、2重筒構造を構成する外側円筒状部104と内側円筒部108の一端に設置されており、端面像は透明部材103のクリーニングテープ101のない部分を透過し、さらに内側円筒部108内の2枚のレンズ105、106を透過し、内側円筒部108の他端に設置された受像素子107に結像する。
【0022】
また、光コネクタ200のコネクタ端面を照明するための光源109が外側円筒状部104の他端に設置されている。実施形態1では、外側円筒状部104の内面および内側円筒部108の外面は光線を反射する反射面であり、光源109の照明光が外側円筒状部104と内側円筒部108との間を伝搬して光コネクタ200の端面を照射可能にしている。
【0023】
実施形態1のように、クリーニングテープ101のガイド機構102を有する透明部材103を先端部に配置することで、光コネクタ端面のクリーニング装置と観察装置の一体化が可能になる。
【0024】
実施形態1では、端面像の伝搬光路に2枚のレンズを配置したが、透明部材103自体をレンズとしても良いし、対物レンズ1枚で受像素子上に結像するような光学系としても良い。いずれの場合も光学部品を削減することが可能になり、装置の小型化、低コスト化、アライメントする部材の減少による組立作業の簡素化などが期待できる。
【0025】
また受像素子107にはCCDやCMOSなどを用いれば良い。また照明光の伝搬では、反射面を用いた筒状の伝搬路を用いるため省スペースかつパワー効率の良い伝搬が可能になる。尚、照明光の伝搬は、端面像の伝搬と同じように内側円筒部108の空間を用いてもよい。この場合、前述の伝搬路よりさらに小径の構造が可能になり、細径コネクタの観察に適する。
【0026】
(実施形態2)
図2に、本発明の実施形態2に係る端面観察装置の構成を示す。本発明では、端面像は透明部材上のクリーニングテープ101により2分割される。そこで実施形態2では、分割された端面像それぞれに対して、伝搬光路を備える。
【0027】
実施形態2では、実施形態1に対し、レンズ105の代わりに各伝搬光路に対し個別にレンズ110a、110bを配置し、伝搬光路にバンドルファイバ111を用い、分割された端面像が互いに混合しないようにする。このように分離することにより高精細に像を伝搬することが可能となり、端面に付着した異物のサイズなどの検知が容易になる。
【0028】
(実施形態3)
図3に、本発明の実施形態3に係る端面観察装置の構成を示す。実施形態3は、実施形態2に対して内側円筒状部106を省き、分割された伝搬光路の片方を照明光の伝搬に使用し、もう片方を端面像の伝搬に使用した例である。共に伝搬光路にはバンドルファイバ111を用いている。実施形態3では、端面に対し照射された照明光の正反射光が端面像として受像素子107まで伝搬するため、明るい像が伝搬でき高精細の画像が伝搬できる。
【0029】
またバンドルファイバ111を用いることで、レンズ106とレンズ110a、110bとの光軸を一致させる必要がなくなり、例えば受像素子112の受像面をコネクタ端面に傾けて配置することが可能になり、空間を有効に使用する装置構成が可能になる。
【0030】
さらに、端面像の伝搬光路と同様に、照明光の伝搬光路にバンドルファイバを使用することで、照明光の伝搬光路を結像の伝搬光路と平行に配置する必要がなくなり、空間をより有効に利用した伝搬光路配置が可能になる。
【0031】
実施形態2、3においてバンドルファイバ111を用いた例を示したが、実施形態1においてもバンドルファイバを伝搬光路に用いることが可能であり、同様の効果が期待できる。
【0032】
図4に、レセプタクルの光コネクタ端面を本発明の実施形態1に係る端面観察装置で観察している状態を示す。レセプタクルでは、割スレーブ300と呼ばれる筒状の部材の中に光コネクタ200が配置される。そのため端面観察装置100の先端部の最外径を割スレーブ300の内径以下にすることにより、割スリーブ300内に進入しレセプタクル内の光コネクタ200の端面のクリーニングおよび端面観察が可能になる。
【0033】
以上のように、いずれの実施形態においても、光コネクタ近傍の最外径をコネクタ径以下にすることで、レセプタクル、プラグいずれの光コネクタにおいても、クリーニング機構と一体化可能な端面観察装置100を構成することができる。
【0034】
また、クリーニング機構と観察機構を一体化した実施形態を記載したが、本発明の端面観察装置は、クリーニング機構を被検体の端面を操作する、例えばプローバや触針装置、加工装置などに交換すれば、それぞれにおいて操作前後の像の観察ができるため操作性の向上や作業時間の短縮等の効果を奏することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
101 クリーニングテープ
102 ガイド機構
103 透明部材
104 外側円筒状部
105、106、110 レンズ
107、112 受像素子
108 内側円筒状部
109 光源
111 バンドルファイバ
200 光コネクタ
300 割スリーブ
図1
図2
図3
図4