(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る情報表示システム10が適用されたオフィスの一例を示す。本実施形態に係る情報表示システム10は、複数の作業者が作業する作業空間20に、複数の作業者に閲覧させる情報30を表示する。情報表示システム10は、一例として、作業空間20である天井に、プロジェクションカメラ54等により情報30を投影して表示する。さらに、情報表示システム10は、オフィスの壁等を作業空間20として情報30を表示してもよい。
【0009】
情報表示システム10は、このような作業空間20上に、情報30を移動させながら表示するための経路25を設定する。そして、情報表示システム10は、作業空間20に設定された経路25上を辿って移動するように、複数の情報30を表示する。
【0010】
情報表示システム10は、情報30として、例えばテキストおよび画像を表示する。また、情報表示システム10は、情報30として、ファイルの存在を表すアイコン等を表示してもよい。
【0011】
また、情報表示システム10は、作業空間20に表示している情報30に対する、作業者からの操作を受け付ける。情報表示システム10は、一例として、レーザポインタ50による照射光による操作および作業者の手等によるジェスチャによる操作を検出する。
【0012】
そして、情報表示システム10は、検出した操作に応じて、情報30に対応付けられたデータに対する処理を実行する。情報表示システム10は、一例として、作業者の操作に応じて、当該作業者の情報端末52に情報30を送信する。
【0013】
図2は、本実施形態に係る情報表示システム10の構成の一例を示す。情報表示システム10は、複数の情報端末52と、プロジェクタ62と、撮像装置64と、制御装置56とを備える。
【0014】
複数の情報端末52は、一例として、複数の作業者のそれぞれにより用いられるコンピュータである。複数の情報端末52のそれぞれは、デスクに載置されたコンピュータであってもよいし、作業者により持ち運ばれる小型のコンピュータであってもよい。
【0015】
プロジェクタ62は、作業空間20における経路25に複数の情報30を投影して表示する。なお、情報表示システム10は、複数個のプロジェクタ62を備えてもよい。この場合、複数のプロジェクタ62は、それぞれが経路25の一部ずつを作業空間20に表示する。
【0016】
撮像装置64は、作業空間20を撮像する。なお、情報表示システム10は、複数の撮像装置64を備えてもよい。この場合、複数の撮像装置64は、それぞれが作業空間20の一部の領域ずつを撮像する。
【0017】
また、撮像装置64は、作業者がジェスチャにより操作をする場合には、作業者を更に撮像してもよい。また、情報表示システム10は、作業者のジェスチャを検出するためのカメラを別個に備えてもよい。
【0018】
なお、本実施形態において、複数の撮像装置64のそれぞれは、複数のプロジェクタ62のうちの何れかに対応して設けられる。より具体的には、互いに対応付けられたプロジェクタ62および撮像装置64は、一つのプロジェクションカメラ54を構成する。プロジェクションカメラ54は、内部にプロジェクタ62および撮像装置64を保持し、プロジェクタ62の表示領域および撮像装置64の撮像領域の位置が互いに対応づけられている。
【0019】
制御装置56は、例えばサーバ等のコンピュータである。制御装置56は、複数の情報端末52のそれぞれとネットワークを介して接続される。また、制御装置56は、1または複数のプロジェクタ62、および、1または複数の撮像装置64のそれぞれとネットワークを介して接続される。制御装置56は、複数の情報端末52のそれぞれとの間でデータを送受信する。また、制御装置56は、1または複数のプロジェクタ62、および、1または複数の撮像装置64のそれぞれの動作を制御する。
【0020】
図3は、本実施形態に係る制御装置56の機能構成を示す。制御装置56は、記憶部72と、経路設定部74と、認識部76と、表示制御部78と、送受信部80とを有する。制御装置56は、当該情報表示システム10を制御するためのプログラムを実行することにより、記憶部72、経路設定部74、認識部76、表示制御部78および送受信部80として機能する。
【0021】
記憶部72は、作業空間20に表示すべき情報30に関するデータを記憶する。また、記憶部72は、作業空間20に設定する経路25に関するデータを記憶する。
【0022】
経路設定部74は、作業空間20における、情報30を表示する経路25を設定する。経路設定部74は、一例として、周回状の経路25を設定する。
【0023】
認識部76は、複数の作業者のそれぞれによる、経路25に表示された情報30に対する操作を認識する。認識部76は、一例として、撮像装置64により撮像された画像に基づきレーザポインタ50の照射点を検出して、レーザポインタ50の照射点の移動軌跡により表される操作を認識する。また、認識部76は、一例として、作業者を撮像した撮像画像に基づき作業者のジェスチャを検出し、作業者のジェスチャにより表される操作を認識する。
【0024】
表示制御部78は、プロジェクタ62を制御して、複数の作業者に閲覧させる複数の情報30のそれぞれを、経路設定部74により設定された経路25を辿って移動させる表示制御を行う。より具体的には、表示制御部78は、複数の情報30のそれぞれを記憶部72から読み出し、読み出した複数の情報30のそれぞれをプロジェクタ62によって作業空間20に投影して表示させる。
【0025】
送受信部80は、複数の情報端末52のそれぞれとの間でデータの送受信を行う。送受信部80は、一例として、経路25上に表示された情報30に対応するデータを作業者の情報端末52へと送信する。
【0026】
図4は、本実施形態に係る情報表示システム10の処理フローを示す。情報表示システム10は、複数の情報30を作業空間20に表示する場合、以下のステップS11からステップS16の経路25の設定処理を実行する。
【0027】
まず、ステップS11において、表示制御部78は、複数のプロジェクタ62を制御して、作業空間20に計測用パターンを表示する。表示制御部78は、一例として、作業空間20である天井に、格子状の計測用パターンを表示する。
【0028】
続いて、ステップS12において、経路設定部74は、撮像装置64を制御して、計測用パターンが表示された作業空間20を撮像する。経路設定部74は、一例として、作業空間20である天井を撮像する。
【0029】
続いて、ステップS13において、表示制御部78は、撮像装置64による計測用パターンの撮像画像に基づき、プロジェクタ62による表示範囲を調整する。表示制御部78は、一例として、作業空間20の全体に対して隙間無く画像を表示でき、且つ、互いの表示範囲が重複しないように、複数のプロジェクタ62のそれぞれの表示範囲を調整する。
【0030】
続いて、ステップS14において、経路設定部74は、撮像装置64による計測用パターンの撮像画像に基づき作業空間20を計測して、作業空間20における経路25を設定可能な領域を特定する。経路設定部74は、一例として、計測用パターンの形状が歪んでいない領域を検出して、経路25を設定可能な領域として特定する。これにより、経路設定部74は、作業空間20における障害物(例えば、天井に設けられた照明器具)の存在しない領域を、経路25を設定可能な領域として特定することができる。さらに、経路設定部74は、作業空間20を3次元計測して平坦な領域を検出し、検出した平坦な領域を経路25を設定可能な領域として特定してもよい。
【0031】
続いて、ステップS15において、経路設定部74は、ステップS14で特定した領域上に、情報30を移動させながら表示する経路25を設定する。
【0032】
経路設定部74は、一例として、指定された長さの経路25を設定する。これにより、経路設定部74は、長すぎる経路25または短すぎる経路25を設定することなく、適切な長さの経路25を設定することができる。
【0033】
また、経路設定部74は、複数の作業者のそれぞれの座席の近傍を通過するように、複数の作業者の座席配置に応じて経路25を設定してもよい。これにより、経路設定部74は、大多数の作業者のそれぞれに確実に情報30を閲覧させるように経路25を設定することができる。また、この場合において、経路設定部74は、更に、作業者の在否に応じて経路25を設定してもよい。これにより、経路設定部74は、在席している作業者の近傍を通過するように、効率良く経路25を設定することができる。
【0034】
続いて、ステップS16において、表示制御部78は、複数の作業者に閲覧させる複数の情報30のそれぞれを順番に並べて、経路設定部74により設定された経路25を辿って移動させる表示制御を行う。この場合において、表示制御部78は、一例として、作業者が内容を読んで理解できる程度の速度および大きさで、情報30を移動および表示する。
【0035】
以上のように、情報表示システム10によれば、複数の作業者のそれぞれの近傍に複数の情報30のそれぞれを順番に近づけて表示することができる。そして、情報表示システム10によれば、能動的に情報を取得するための作業をさせることなく、複数の作業者に自然に目に入るように情報30を表示することができる。
【0036】
なお、情報表示システム10は、ステップS11からステップS15における作業空間20を計測して経路25を設定する処理を、起動時に実行する。また、情報表示システム10は、プロジェクタ62が位置変更したことまたはプロジェクタ62が増減したことに応じて、作業空間20を計測して経路25を再設定してもよい。
【0037】
図5は、作業者から情報30に対する操作があった場合における、本実施形態に係る情報表示システム10の処理フローを示す。情報表示システム10は、経路25を辿って複数の情報30を表示している最中において、以下のステップS21からステップS25の処理を実行する。
【0038】
ステップS21において、認識部76は、作業空間20に表示された情報30に対して何からかの操作がされたか否かを検出する。認識部76は、一例として、作業空間20の撮像画像に基づき、レーザポインタ50による操作がされたか否かを検出する。また、認識部76は、一例として、作業者の撮像画像に基づき、作業者がジェスチャにより操作をしたか否かを検出する。
【0039】
認識部76は、操作がされたと判断した場合には(ステップS21のYes)、処理をステップS22に進める。また、認識部76は、操作がされていないと判断した場合には(ステップS21のNo)、処理をステップS21で待機する。
【0040】
ステップS22において、認識部76は、複数の作業者のうち、何れの作業者による操作であるかを特定する。
【0041】
例えば、情報表示システム10は、複数の作業者のそれぞれにより所持される複数のレーザポインタ50を更に備える。複数のレーザポインタ50のそれぞれは、異なるパターンで点滅する照射点を作業空間20に照射する。また、認識部76は、複数の作業者のそれぞれが、何れのパターンで点滅するレーザポインタ50を所持しているかは予め記憶している。
【0042】
このような場合、認識部76は、作業空間20の撮像画像に基づき、作業空間20上の照射点の点滅パターンを検出する。そして、認識部76は、検出した照射点の点滅パターンと予め記憶している点滅パターンとを比較して、複数のレーザポインタ50の何れによって情報が指定されたかを特定する。これにより、認識部76は、検出された操作が何れの作業者による操作であるかを特定することができる。
【0043】
また、例えば、作業者がジェスチャにより操作をしている場合には、認識部76は、作業者の撮像画像から3次元認識等を行って、ジェスチャをしている作業者の位置を検出する。そして、認識部76は、検出した作業者の位置と予め登録された座席配置に基づき、何れの作業者による操作であるかを特定する。
【0044】
続いて、ステップS23において、認識部76は、操作対象の情報30を特定する。例えば、作業者がレーザポインタ50により操作をしている場合には、認識部76は、作業空間20の撮像画像に基づき、レーザポインタ50による照射点の位置を検出する。そして、認識部76は、検出した位置に対応する位置に表示された情報30を、操作対象の情報30として特定する。
【0045】
また、例えば、作業者がジェスチャにより操作をしている場合には、認識部76は、作業者の撮像画像に基づき、作業空間20上における指示位置を検出する。そして、認識部76は、現時点で作業空間20に表示されている複数の情報30のうち、指示位置に対応する情報30を、作業者により操作がされている情報30として特定する。
【0046】
続いて、ステップS24において、認識部76は、操作の内容を特定する。認識部76は、一例として、情報30の取得を指示する操作、情報30を閲覧したことを確認する操作、および、情報の変更を指示する操作等を特定する。
【0047】
例えば、作業者がレーザポインタ50により操作をしている場合には、認識部76は、一例として、作業空間20の撮像画像に基づき、レーザポインタ50による照射点の移動軌跡を検出する。そして、認識部76は、照射点の移動軌跡と予め登録されたパターンとをマッチングさせて、操作内容を特定する。
【0048】
また、例えば、作業者がジェスチャにより操作をしている場合には、認識部76は、一例として、作業者を撮像している画像に基づき、作業者によるジェスチャの動き(例えば手の動作)を検出する。そして、認識部76は、作業者のジェスチャの動き内容と予め登録された動作内容とをマッチングさせて、操作内容を特定する。
【0049】
続いて、ステップS25において、送受信部80等は、特定した操作内容に応じた処理を実行する。例えば、情報30の取得を指示する操作がされた場合には、送受信部80は、特定した情報30に関するデータを、特定した作業者の情報端末52へと送信する。
【0050】
また、例えば、情報を閲覧したことを確認する操作がされた場合には、表示制御部78は、複数の作業者のそれぞれが情報を閲覧したか否かを管理するテーブルに、特定した情報30に対応して特定した作業者が閲覧したことを登録する。また、例えば、情報30の変更を指示する操作がされた場合には、表示制御部78は、特定した作業者の情報端末52からデータを受信して、受信したデータに応じて、特定した情報30の表示を変更する。
【0051】
以上のように本実施形態に係る情報表示システム10によれば、経路25を辿って移動させている情報30に対して操作がされた場合には、当該操作に応じた処理を実行することができる。
【0052】
図6は、作業空間20上の複数の情報30の表示例を示す。表示制御部78は、1または複数のプロジェクタ62を制御して、例えば
図6に示されるように、周回状に形成された経路25を辿って移動するように複数の情報30(30−1,30−2,30−3,30−4)を表示する。
【0053】
表示制御部78は、周回状ではなく、開始点と終了点がある1本の経路25を表示してもよい。この場合、表示制御部78は、複数の情報30のそれぞれを開始点から終了点まで移動させながら表示し、終了点まで到達した情報30については開始点に戻して表示を繰り返す。
【0054】
また、表示制御部78は、経路25中に表示している複数の情報30毎に、複数の作業者のそれぞれが閲覧をしたか否かを管理するテーブルを記憶していてもよい。この場合、表示制御部78は、閲覧した人数に応じて、経路25中に表示している情報の表示色、大きさ又はコントラストを変更してもよい。これにより、表示制御部78は、閲覧済みの人数が少ない情報30については、より目立つように(または目立たないように)表示することができる。
【0055】
また、複数の情報30毎に複数の作業者のそれぞれが閲覧をしたか否かを管理するテーブルを記憶している場合においては、表示制御部78は、作業者が情報30を閲覧していない場合には、経路25中における当該作業者の近傍部分において当該情報30を強調して表示してもよい。例えば、表示制御部78は、当該情報30を閲覧していない作業者の近傍において、当該情報30を拡大表示したり、表示色を変更したり、コントラストを強調したりする。これにより、表示制御部78は、それぞれの作業者に対して閲覧していない情報30であることを認識させて、その情報30の閲覧を促すことができる。
【0056】
また、表示制御部78は、閲覧すべき作業者が指定された情報30を表示する場合、経路25中における指定された作業者の近傍部分において当該情報を強調して表示してもよい。これにより、表示制御部78は、閲覧すべき情報30であることをそれぞれの作業者に対して認識させて、その情報30の閲覧を促すことができる。
【0057】
また、表示制御部78は、経路25中に表示を開始してから予め定められた時間経過後または予め定められた終了タイミングにおいて、経路25から情報を消去してもよい。これにより、表示制御部78は、古い情報30が表示され続けることを回避することができる。
【0058】
なお、以上説明した情報表示システム10においては、作業空間20にプロジェクタ62により情報30を直接表示する例を示したが、作業空間20への表示方法はこのような方法に限られない。情報表示システム10は、一例として、天井と作業者との間の空間に、ハーフミラーを天井に対して平行に設けて、当該ハーフミラーに情報30を表示してもよい。これにより、情報表示システム10は、複数の情報30が空間を浮遊して移動しているように見せることができる。
【0059】
また、情報表示システム10は、メガネ型の情報提供装置に情報30を表示してもよい。メガネ型の情報提供装置は、表示面がハーフミラーとなっており、表示面を介して外部の実体像を見せることができるとともに、画像を実体像に重ねて見せることができる。従って、情報表示システム10は、メガネ型の情報提供装置の表示面を介して見える作業空間20の経路25上に複数の情報30が重畳して表示されるように、情報30の表示位置を制御する。これにより、情報表示システム10は、メガネ型の情報提供装置を用いて、作業空間20上に設定された経路25を辿って複数の情報30を表示しているように作業者に見せることができる。
【0060】
また、情報表示システム10は、スマートフォン等の持ち運び可能なカメラ付きの小型の情報提供装置に情報30を表示してもよい。このような小型の情報提供装置は、作業者が、実体像を撮像するためのプレビュー動作をすると、表示面に実体像を表示することができるとともに、画像を実体像に重ねて表示することができる。従って、情報表示システム10は、作業者が小型の情報提供装置を用いてプレビュー動作をした場合、表示面に、作業空間20の経路25上に複数の情報30を重畳して表示する。これにより、情報表示システム10は、小型の情報提供装置を用いて、作業空間20上に設定された経路25を辿って複数の情報30を表示させることができる。
【0061】
図7は、本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、及び表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、及びCD−ROMドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070を有するレガシー入出力部とを備える。
【0062】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000及びグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010及びRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0063】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラム及びデータを格納する。CD−ROMドライブ2060は、CD−ROM2095からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
【0064】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、及び/又は、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
【0065】
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
【0066】
コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を、制御装置56として機能させるプログラムは、記憶モジュールと、経路設定モジュールと、認識モジュールと、表示制御モジュールと、送受信モジュールとを備える。これらのプログラム又はモジュールは、CPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、記憶部72、経路設定部74、認識部76、表示制御部78および送受信部80としてそれぞれ機能させる。
【0067】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である、記憶部72、経路設定部74、認識部76、表示制御部78および送受信部80として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の制御装置56が構築される。
【0068】
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フレキシブルディスク2090、又はCD−ROM2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置又は通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030又は記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0069】
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060(CD−ROM2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、及び/又は記憶装置に含まれるものとする。
【0070】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(又は不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
【0071】
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0072】
以上に示したプログラム又はモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095の他に、DVD又はCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0074】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。