【文献】
Pugovics, Osvalds; Kauss, Valerjans; Kalvinsh, Ivars; Gold, Markus R.;,Convenient Synthesis of 2,6-di-tert-Butyl-4-[5-(3-pyridyl)-4- oxapentyl]phenols and their thia-Analogs,Journal of Chemical Research, Synopses,1998年,(8),430-431,1885-1894
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一般式(II)において、Rが水素原子又は炭素原子数1から15であるアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子がフッ素原子により置き換えられても良く、該アルキル基中の1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−に置き換えられても良い請求項1記載の化合物。
一般式(II)において、Aが各々独立して1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表し、これらの基が無置換であるか、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から7のアルキル基又は炭素原子数1から7のアルコキシ基によって置換されていても良く、当該アルキル基又はアルコキシ基が各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良い請求項1記載の化合物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明は一般式(I)で表される化合物において、R
1,R
2及びR
3は、R
1,R
2及びR
3のうち2つ以上が同時に水素原子であることは無く、R
1,R
2及びR
3に含まれる炭素原子数の合計が3以上である基を表し、炭素原子数の合計は5以上が好ましく、8以上が好ましい。R
1,R
2及びR
3は各々独立して一般式(II)で表される基を表す。 一般式(II)において、その他の成分との相溶性及び合成の容易さの観点からRは水素原子又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−又は−NH−CO−に置き換えられても良い炭素原子数1から20からなる炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合を含まない炭化水素基を表すが、水素原子又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子により置き換えられても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から15からなるアルキル基又はアルコキシ基を表す場合が好ましく、水素原子又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から15からなるアルキル基又はアルコキシ基を表す場合がより好ましく、水素原子又は炭素原子数1から15からなるアルキル基を表す場合が特に好ましい。
【0014】
Aは各々独立して無置換若しくは、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良い炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良い1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、その他の成分との相溶性及び合成の容易さの観点から各々独立して無置換若しくは、フッ素原子、塩素原子又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良い炭素原子数1から7のアルキル基又は炭素原子数1から7のアルコキシ基によって置換されていても良い1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す場合が好ましく、各々独立して無置換若しくは、フッ素原子又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子により置き換えられても良い炭素原子数1から7のアルキル基又は炭素原子数1から7のアルコキシ基によって置換されていても良い1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す場合がより好ましく、各々独立して無置換の1,4−シクロヘキシレン基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す場合がさらに好ましく、各々独立して無置換の1,4−シクロヘキシレン基を表す場合が特に好ましい。
【0015】
Zは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH
2CH
2−COO−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2CH
2−又は1個又は2個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表すが、その他の成分との相溶性、化合物の安定性及び合成の容易さの観点から単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−COO−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2CH
2−又は炭素原子数1から8のアルキレン基を表す場合が好ましく、単結合、−O−又は炭素原子数1から6のアルキレン基を表す場合がより好ましく、単結合を表す場合が特に好ましい。
【0016】
mは0から5の整数を表すが、その他の成分との相溶性及び合成の容易さの観点から0から3の整数を表す場合が好ましく、0から2の整数を表す場合がより好ましく、0又は1を表す場合がさらに好ましく、0を表す場合が特に好ましい。
また、R
1,R
2及びR
3のうち2つ以上が同時に水素原子であることは無いが、その他の成分との相溶性及び合成の容易さの観点からR
1,R
2及びR
3のうち1つのみが水素原子であることが特に好ましい。
【0017】
一般式(I)で表される化合物としては、下記の式(I−a)から式(I−d)で表される化合物が好ましい。
【0019】
(式中、p及びqは各々独立して0から19の整数を表すが、式(I−a)で表される式においてp及びqが同時に0を表すことは無い。)
一般式(I)で表される化合物としてさらに具体的には、下記の式(I−1)から式(I−19)で表される化合物が好ましい。
【0024】
本願発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記一般式(S−1)で表される化合物の製造
【0026】
(式中、Rは1つ以上の炭素原子を含有する基を表し、R’は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)
一般式(S−1−1)で表される化合物をリチウム試薬(R’Li)等と反応させることにより、一般式(S−1−2)で表される化合物を得る。一般式(S−1−1)で表される化合物としては、市販されている種々のエステル化合物が利用可能である。例えば、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、トリス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ニトリロトリエタン−2,1−ジイル、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]エチレン、テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、2,2−ジメチル−1,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]プロパン、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチル、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルエーテル、1,3,5−トリス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌル酸、N−{2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}フタルイミド、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]1,6−ヘキサンジイル、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]チオジ−2,1−エタンジイル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ブチル、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ヘキサデシル、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)オキサミド、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸2−(ジメチルアミノ)エチル等が挙げられる。R’Liは例えば、有機金属反応剤ハンドブック−3Liから83Biまで(玉尾皓平、化学同人)、Organolithiums:Selectivity for Synthesis (Volume 23、J.Clayden、Pergamon)、The Chemistry of Organolithium Compounds (Chemistry of Functional Groups、Zvi Rappoport、Ilan Marek共著、Wiley)又はSciFinder(Chemical Abstracts Service)に記載の方法によって容易に得ることができる。
【0027】
次いで、一般式(S−1−2)で表される化合物を酸触媒存在下反応させることにより、一般式(S−1−3)で表される化合物を得る。酸触媒としては例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、オルトリン酸、ピロリン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸、過塩素酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、バナドモリブデン酸、ヘテロポリ酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、t−ブチルスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ベンゼンホスホン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオール酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、オレイン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ポリリン酸、固体酸等が挙げられる。
【0028】
得られた一般式(S−1−3)で表される化合物を還元することにより目的の式(S−1)で表される化合物を得ることができる。
(製法2)下記式(S−2)で表される化合物の製造
【0030】
(式中、Rは1つ以上の炭素原子を含有する基を表し、R’及びR’’は各々独立して炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)
一般式(S−2−1)で表される化合物をグリニャール試薬等(R’MgBr)と反応させることにより、一般式(S−2−2)で表される化合物を得る。一般式(S−2−1)で表される化合物としては例えば製法1記載の化合物が利用可能である。グリニャール試薬は例えば、Organomagnesium Methods in Organic Chemistry (Best Synthetic Methods、Basil J. Wakefield、Academic Press)、Handbook of Grignard Reagents (Chemical Industries、Gary S. Silverman、Philip E. Rakita共著、Marcel Dekker Inc.)、Grignard Reagents:New Developments (H.G.Richey、Wiley)又はSciFinder(Chemical Abstracts Service)に記載の方法によって容易に得ることができる。
【0031】
続いて一般式(S−2−2)で表される化合物をグリニャール試薬等と反応させることにより、一般式(S−2−3)で表される化合物を得る。その後、製法1記載の方法と同様に反応を行うことによって一般式(S−2)で表される化合物を得ることができる。
(製法3)下記一般式(S−3)で表される化合物の製造
【0033】
(式中、R’は各々独立して炭素原子数1から20のアルキル基を表し、R’’は水素原子又は1つ以上の炭素原子を含有する基を表す。)
一般式(S−2−2)で表される化合物をフェノキシド等と反応させることにより、一般式(S−3−1)で表される化合物を得る。
【0034】
次いで、一般式(S−3−1)で表される化合物をメタンスルホン酸クロリド等と反応させることにより、一般式(S−3−2)で表される化合物を得る。メタンスルホン酸クロリドの代わりにp−トルエンスルホン酸クロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、酢酸クロリド、無水酢酸等を用いても良い。
【0035】
一般式(S−3−2)で表される化合物を塩基と反応させることにより式(S−3−3)で表される化合物を得る。塩基としては例えば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン又は芳香族アミン並びに当該アミン塩が利用可能であり、収率の観点から第三級アミン又は芳香族アミン並びに当該アミン塩がより好ましい。具体的には、トリメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルペンチルアミン、N,N−ジエチルプロピルアミン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジプロピルメチルアミン、N,N−ジエチルペンチルアミン、N−エチル−N−メチルペンチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジブチルメチルアミン、N,N−ジブチルエチルアミン、N,N−ジブチルプロピルアミン、N−エチル−N−メチルプロピルアミン、N,N−ジプロピルメチルアミン、N,N−ジプロピルエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、N−メチルジイソプロピルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、N−プロピルジイソプロピルアミン、N−ブチルジイソプロピルアミン、ピリジン、N−メチルピリジン、2−クロロピリジン、2−ブロモピリジン、ピペリジン、ピリミジン、キノリン、アクリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、ピコリン、ビピリジン、2,6−ルチジン、クロロクロム酸ピリジニウム、ピリジニウムパラトルエンスルホナート等が挙げられる。
【0036】
その後、製法1記載の方法と同様に反応を行うことによって一般式(S−3)で表される化合物を得ることができる。
(製法4)下記一般式(S−4)で表される化合物の製造
【0038】
(式中、R’は各々独立して炭素原子数1から20のアルキル基を表し、R’’は水素原子又は1つ以上の炭素原子を含有する基を表す。)
一般式(S−2−2)で表される化合物のヒドロキシル基を保護基(PG)により保護する。保護基(PG)の種類としては、以降の工程において安定に当該ヒドロキシル基を保護しうるものであれば特に制限は無いが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIG SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)又はSciFinder(Chemical Abstracts Service)に挙げられている保護基が好ましい。
【0039】
一般式(S−4−1)で表される化合物をウィティッヒ試薬等と反応させることにより、一般式(S−4−2)で表される化合物を得る。次いで、例えば前記文献記載の方法により脱保護を行い一般式(S−4−3)で表される化合物を得る。その後、製法1記載の方法と同様に反応を行うことによって一般式(S−4)で表される化合物を得ることができる。
【0040】
本願発明の化合物は、種々の用途に利用することができる。本願発明の化合物は、揮発性が低く変色を起こしにくく、低濃度であっても十分な酸化防止作用を有することから、樹脂、オイル、オイルフィルター、油脂、インキ、医薬品、化粧品、洗剤、液晶材料、農薬、食品及び各種製品の安定剤として有用である。本願発明の化合物は、安定化させる対象の材料に対し0.01〜5重量%、好ましくは0.01%〜2重量%、特に0.01%〜1重量%の濃度で添加する。本願発明の化合物はネマチック液晶組成物、スメクチック液晶組成物、キラルスメクチック液晶組成物及びコレステリック液晶組成物に使用することが特に好ましい。
【0041】
本願発明の化合物は、分子内に炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合を有する化合物の安定化に特に適している。例えば下記化合物が挙げられる。
【0045】
本願発明の化合物を用いる組成物において本願発明以外の化合物を添加しても構わない。
【0046】
液晶組成物に用いる場合には、当該液晶組成物は単独の化合物のみで構成されていても良く、2つ以上の化合物からなる混合物であっても良い。また、液晶組成物が2つ以上の化合物からなる混合物である場合、各々の化合物は単独で液晶相を示しても良いが、組成物とした際に液晶相を示すのであれば液晶相を示さない化合物であっても良い。
【0047】
本願発明の化合物と混合して使用される化合物としては、具体的には一般式(III)
【0049】
(式中、R
4及びR
5は各々独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表すが、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は酸素原子又は硫黄原子に置き換えられても良く、またこれらの基中に存在する水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置き換えられても良く、A
1、A
2及びA
3は各々独立して、
(a)トランス−1,4−シクロへキシレン基(1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は酸素原子又は硫黄原子に置き換えられても良い。)
(b)1,4−フェニレン基(1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられても良い。)、3−フルオロ−1,4−フェニレン基及び3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基並びに
(c)1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、m1は0、1又は2を表し、Z
1及びZ
2は各々独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−を表し、Z
2及び/又はA
3が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物、
一般式(IV−1)、一般式(IV−2)及び一般式(IV−3)
【0051】
(式中、R
6、R
7及びR
8は各々独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、A
4、A
5、A
6、A
7、A
8、A
9、A
10及びA
11は各々独立して、
(d)トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基及び、
(f)1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(d)、基(e)又は基(f)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
3、Z
4、Z
5、Z
6、Z
7、Z
8、Z
9及びZ
10は各々独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−を表し、A
5、A
7、A
8、A
10、A
11、Z
3、Z
5、Z
7、Z
8及び/又はZ
10が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、W
1、W
2、W
3、W
4、W
5、W
6及びW
7は各々独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
1、Y
2及びY
3は各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基又はジフルオロメトキシ基を表し、W
1、W
2又はY
1のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はジフルオロメトキシ基を表すか、A
4又はA
5に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、W
3、W
4、W
5又はY
2のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基を表すか、A
6、A
7又はA
8に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、W
6、W
7又はY
3のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基を表すか、A
9、A
10及びA
11に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、m2、m3、m4、m5及びm6は各々独立して、0、1又は2を表すが、m3+m4及びm5+m6は2以下である。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物又は、一般式(V−1)、一般式(V−2)及び一般式(V−3)
【0053】
(式中R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は各々独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
A
12、A
13、A
14、A
15、A
16、A
17、A
18、A
19及びA
20は各々独立して、
(d)トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)及び、
(f)1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(d)、基(e)又は基(f)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
11、Z
12、Z
13、Z
14、Z
15、Z
16、Z
17、Z
18及びZ
19は各々独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−又は−C≡C−を表し、A
13、A
14、A
16、A
17、A
19、A
20、Z
11、Z
13、Z
14、Z
16、Z
17及び/又はZ
19が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
W
8、W
9、W
10、W
11、W
12、W
13、W
14及びW
15は各々独立して水素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表すが、W
8及びW
9の何れか一つはフッ素原子を表し、W
10、W
11及びW
12の何れか一つはフッ素原子を表し、W
13、W
14及びW
15の何れか一つはフッ素原子を表すが、W
13及びW
14は同時にフッ素原子を表すことはなく、W
13及びW
15は同時にフッ素原子を表すことはない、
Gはメチレン基又は−O−を表し、
m7、m8、m9、m10、m11及びm12は各々独立して、0、1又は2を表すが、m7+m8、m9+m10及びm11+m12は2以下である。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物から適宜選択し、調製することができる。
【0054】
液晶組成物は一般式(III)で表される化合物、一般式(IV−1)、一般式(IV−2)及び一般式(IV−3)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物又は一般式(V−1)、一般式(V−2)及び一般式(V−3)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1つ含有しているものが好ましく、一般式(III)で表される化合物を一種又は二種以上を含有し、更に一般式(IV−1)、一般式(IV−2)及び一般式(IV−3)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上を含有する液晶組成物が好ましく、一般式(III)で表される化合物を一種又は二種以上を含有し、更に一般式(V−1)、一般式(V−2)及び一般式(V−3)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上を含有する液晶組成物が好ましい。
【0055】
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス、又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0056】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法、又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0057】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。2枚の基板間に高分子安定化液晶組成物を狭持させるに方法は、通常の真空注入法、又はODF法などを用いることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0059】
化合物の含有量及び酸化防止剤濃度はGC又はUPLCによって分析した。分析条件は以下の通りである。
(GC分析条件)
カラム:J&W DB−1,30m×0.25mm×0.25μm
温度プログラム:100℃(1分間)−(10℃/分間)−300℃(12分間)
注入口温度:300℃
検出器温度:300℃
(UPLC分析条件)
カラム:Waters ACQUITY UPLC BEH C
18,2.1×100mm,1.7μm
溶出溶媒:アセトニトリル/水(90:10)
流速:0.5mL/min
検出器:UV,210nm
カラムオーブン:40℃
化合物の含有量及び酸化防止剤濃度の測定において、内部標準としてオクタデカン又はエイコサンを用いた。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
【0060】
【化18】
【0061】
温度計、撹拌装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、式(I−1−1)で表される化合物(例えば、BASF社製Irganox1076として入手可能である。)102.72g(0.199モル)をとり、テトラヒドロフラン 600mLに溶解させた。−20℃に冷却した後、1.59モル/Lのブチルリチウム/ヘキサン溶液 500mLを反応温度が−10℃を超えないよう滴下した。滴下終了後、5℃で3時間撹拌した。−10℃に冷却した後、10%塩酸 500mLを滴下した。室温で10分間撹拌した。分液処理した後、有機層を食塩水で3回洗浄した。溶媒を留去することにより式(I−1−2)で表される化合物及び1−ヘプタデカノールの混合物 150.10gを得た。
【0062】
温度計、撹拌装置及びディーンスターク装置を備えた4つ口フラスコに、式(I−1−2)で表される化合物及び1−ヘプタデカノールの混合物 150.10gをとり、トルエン 600mLに溶解させた。p−トルエンスルホン酸一水和物 3.78g(0.0199モル)を加え、水分を除きながら2時間加熱還流させた。溶媒を留去した後、ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−3)で表される異性体混合物 53.83g(0.150モル)を得た。
【0063】
オートクレーブに式(I−1−3)で表される異性体混合物 53.83g(0.150モル)をとり、テトラヒドロフラン 161mL、メタノール 161mL及び濃硫酸 2.5mLを加え溶解させた。5%パラジウム炭素 2.7gを加え、水素圧 0.5MPa、60℃で8時間加熱撹拌した。パラジウム炭素を除去した後、溶媒を留去した。トルエン 100mL及びヘキサン 300mLを加え溶解させた。食塩水で4回洗浄を行い溶媒を留去した。ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1)で表される化合物 48.00gを得た。
式(I−1)で表される化合物の測定データ
1H NMR(CDCl
3)δ 0.89(t,6H),1.28(m,14H),1.43(s,18H),1.52(m,1H),2.49(m,2H),5.00(s,1H),6.97(s,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 14.18,23.13,28.94,30.35,33.02,33.27,34.27,35.89,37.23,124.72,133.78,135.60,151.59ppm.
LRMS(EI)m/z 360
(実施例2)式(I−2)で表される化合物の製造
【0064】
【化19】
【0065】
温度計、撹拌装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、式(I−2−1)で表される化合物70.00g(0.239モル)をとり、テトラヒドロフラン 420mLに溶解させた。−20℃に冷却した後、1.2モル/Lのメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液 418mLを反応温度が−10℃を超えないよう滴下した。滴下終了後、5℃で3時間撹拌した。−10℃に冷却した後、10%塩酸 300mLを滴下した。室温で10分間撹拌した。分液処理した後、有機層を食塩水で3回洗浄した。溶媒を留去した後、ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−2−2)で表される化合物 57.47g(0.208モル)を得た。
【0066】
温度計、撹拌装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、マグネシウム 11.63g(0.478モル)をとり、テトラヒドロフラン12mLを加えた。臭化エチル 52.09g(0.478モル)をテトラヒドロフラン 104mLに溶解させた溶液を滴下し、グリニャール試薬を調製した。式(I−2−2)で表される化合物 57.47g(0.208モル)をテトラヒドロフラン 360mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した。10%塩酸 300mLを滴下し、室温で30分間撹拌した。分液処理した後、有機層を食塩水で3回洗浄した。溶媒を留去することにより、式(I−2−3)で表される化合物 61.84g(0.202モル)を得た。
【0067】
実施例1に記載の方法と同様にして脱水反応及び水素化還元反応を実施し、式(I−2)で表される化合物を得た。
式(I−2)で表される化合物の測定データ
1H NMR(CDCl
3)δ 0.96(t,3H),1.06(d,3H),1.29(m,2H),1.43(s,18H),1.58(m,2H),1.65(m,1H),2.55(t,2H),5.00(s,1H),6.97(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 11.5,19.8,25.2,30.0,31.8,33.8,33.9,39.0,123.3,131.2,133.7,147.9ppm.
LRMS(EI)m/z 290
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
【0068】
【化20】
【0069】
実施例2に記載の方法と同様にしてオクチルマグネシウムブロミド及びイソプロピルマグネシウムブロミドと順次反応させた後、脱水反応及び水素化還元反応を実施し、式(I−3)で表される化合物を得た。
式(I−3)で表される化合物の測定データ
1H NMR(CDCl
3)δ 0.96(t,3H),1.01(d,6H),1.25(m,2H),1.29(m,10H),1.33(m,2H),1.43(s,18H),1.46(m,1H),1.58(q,2H),1.82(m,2H),2.55(t,2H),5.00(s,1H),6.97(s,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 14.0,20.1,23.1,25.2,28.4,30.0,30.3,30.6,30.9,31.8,32.2,32.5,34.3,34.5,41.9,123.3,131.2,133.7,147.9ppm.
LRMS(EI)m/z 402
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
【0070】
【化21】
【0071】
実施例2に記載の方法と同様にしてトランス−4−プロピルシクロヘキシルマグネシウムブロミドと反応させた後、脱水反応及び水素化還元反応を実施し、式(I−4)で表される化合物を得た。
式(I−4)で表される化合物の測定データ
1H NMR(CDCl
3)δ 0.96(t,3H),1.06(d,3H),1.21(t,2H),1.25(quin,2H),1.33(m,2H),1.43(s,18H),1.40(m,8H),1.43(m,2H),1.58(m,2H),1.65(m,1H),2.55(t,2H),5.00(s,1H),6.97(s,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 14.3,20.4,20.9,25.2,29.4,29.6,29.9,30.1,31.8,32.3,33.6,36.9,36.9,41.6,123.3,131.2,133.7,147.9ppm.
LRMS(EI)m/z 400
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
【0072】
【化22】
【0073】
温度計、撹拌装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド 64.48g(0.188モル)をとり、テトラヒドロフラン 200mLに懸濁させた。−10℃に冷却しながらカリウムt−ブトキシド 22.74g(0.202モル)を加えた。−10℃で1時間撹拌した後、0℃以下を保ったまま式(I−2−2)で表される化合物20.00g(0.0724モル)をテトラヒドロフラン 100mLに溶解させた溶液を滴下した。−10℃で2時間撹拌した後、溶媒を留去し、トルエン/ヘキサン(1:3)の混合溶媒 500mLを加え30分間撹拌した後、固形分を濾過した。有機層をメタノール/水(1:1)の混合溶媒及び食塩水で洗浄し溶媒を留去することにより式(I−5−1)で表される化合物 19.61g(0.0644モル)を得た。
【0074】
温度計、撹拌装置及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、式(I−5−1)で表される化合物 19.61g(0.0644モル)をとり、テトラヒドロフラン 80mLに溶解させた。10%塩酸 40mLを加え、66℃で3時間加熱還流させた。室温に冷却した後、トルエン 200mLを加え水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で順次洗浄し、溶媒を留去することにより式(I−5−2)で表される化合物 18.33g(0.0631モル)を得た。
【0075】
温度計、撹拌装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、3,5−ジフルオロトルエン 16.17g(0.126モル)をとり、テトラヒドロフラン 100mLに溶解させた。−50℃に冷却しながら1.59モル/L ブチルリチウム/ヘキサン溶液 78.6mL(0.125モル)を滴下した。30分間撹拌した後、式(I−5−2)で表される化合物 18.33g(0.0631モル)をテトラヒドロフラン 100mLに溶解させた溶液を滴下した。2時間撹拌した後、10%塩酸を加え室温に戻した。分液処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−3)で表される化合物 22.71g(0.0543モル)を得た。
【0076】
実施例1に記載の方法と同様にして脱水反応及び水素化還元反応を実施し、式(I−5)で表される化合物を得た。
式(I−5)で表される化合物の測定データ
1H NMR(CDCl
3)δ 1.06(d,3H),1.43(s,18H),1.58(q,2H),2.04(m,1H),2.35(s,3H),2.51(d,2H),2.55(t,2H),5.00(s,1H),6.49(s,2H),6.97(s,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 19.7,20.9,21.1,25.2,31.8,33.7,33.9,38.9,110.4,111.6,123.3,131.2,133.7,138.1,147.9,163.4ppm.
LRMS(EI)m/z 402
(比較例1) 母体液晶の空気中における安定性試験
下記式(X−1)から式(X−7)で表される化合物からなる母体液晶(X)をフラスコに加え、空気中で100℃で加熱撹拌した。加熱前、5時間加熱後及び20時間加熱後にサンプリングし、内部標準を基準として各化合物の含有量の変化を追った。規定時間経過後の含有量は、
(化合物の初期濃度)×{(規定時間経過後のピーク面積値)/(規定時間経過後の内部標準のピーク面積値)}/{(初期のピーク面積値)/(初期の内部標準のピーク面積値)}
によって算出した。結果を表1に示す。
【0077】
【化23】
【0078】
【表1】
【0079】
このように母体液晶を空気中で加熱撹拌すると液晶化合物が酸化され、含有量が減少することがわかった。
(実施例6及び比較例2)酸化防止剤の母体液晶に対する相溶性試験
母体液晶(X)に対し、本願発明の式(I−1)で表される化合物、式(I−2)で表される化合物、式(I−3)で表される化合物、式(I−4)で表される化合物、式(I−5)で表される化合物、特許文献1記載の式(XI−1)で表される化合物、特許文献2記載の式(XI−2)で表される化合物、特許文献3記載の式(XI−3)で表される化合物、特許文献4記載の式(XI−4)で表される化合物及び特許文献5記載の式(XI−5)で表される化合物をその含有量が各々1%、0.1%又は0.01%となるように添加した後、サンプル瓶中、−20℃で保存した。5ヵ月後の組成物の外観を表2に示す。
・本願発明の化合物
【0080】
【化24】
【0081】
・比較化合物
【0082】
【化25】
【0083】
【表2】
【0084】
○:変化無し、△:変色が見られた、×:析出又は相分離が見られた
本願発明の式(I−1)、式(I−2)、式(I−3)、式(I−4)及び式(I−5)で表される化合物を添加した組成物はいずれも変化が見られなかった。一方、特許文献3記載の式(XI−3)で表される化合物、特許文献4記載の式(XI−4)で表される化合物及び特許文献5記載の式(XI−5)で表される化合物を添加した組成物は析出又は相分離が見られたことから、液晶組成物に対する相溶性が低いことがわかる。
(実施例7及び比較例3)酸化防止剤の揮発性試験
母体液晶(X)に対し、本願発明の式(I−1)で表される化合物、式(I−2)で表される化合物、式(I−3)で表される化合物、式(I−4)で表される化合物、式(I−5)で表される化合物、特許文献1記載の式(XI−1)で表される化合物、特許文献2記載の式(XI−2)で表される化合物、特許文献3記載の式(XI−3)で表される化合物、特許文献4記載の式(XI−4)で表される化合物及び特許文献5記載の式(XI−5)で表される化合物をその含有量が各々0.1%となるように添加しフラスコに加え、空気中で100℃で加熱撹拌した。加熱前及び100時間加熱後にサンプリングし、内部標準を基準として各化合物の含有量の変化及び外観の変化を追った。結果を表3に示す。
【0085】
【表3】
【0086】
本願発明の式(I−1)、式(I−2)、式(I−3)、式(I−4)及び式(I−5)で表される化合物はいずれも100時間経過後であっても酸化防止剤の濃度は0.09%であり、揮発性が低いことがわかる。一方、特許文献1記載の式(XI−1)で表される化合物及び特許文献2記載の式(XI−2)で表される化合物はフラスコ内に揮発が見られ、100時間後の酸化防止剤濃度が低下していた。また、特許文献4記載の式(XI−4)で表される化合物は加熱により分解が見られ100時間後の酸化防止剤濃度が低下するとともに、組成物に変色をもたらした。
(実施例8及び比較例4)酸化防止剤添加時の空気中における安定性試験
母体液晶(X)に対し、本願発明の式(I−1)で表される化合物、式(I−2)で表される化合物、式(I−3)で表される化合物、式(I−4)で表される化合物、式(I−5)で表される化合物、特許文献1記載の式(XI−1)で表される化合物、特許文献2記載の式(XI−2)で表される化合物、特許文献3記載の式(XI−3)で表される化合物、特許文献4記載の式(XI−4)で表される化合物及び特許文献5記載の式(XI−5)で表される化合物をその含有量が0.1%又は0.01%となるよう添加した後フラスコに加え、空気中で100℃で加熱撹拌した。加熱前及び200時間加熱後にサンプリングし、内部標準を基準として液晶中に含まれる式(X−5)、式(X−6)及び式(X−7)で表される化合物の含有量の変化を追った。濃度は酸化防止剤を除いた成分中のものである。式(X−5)で表される化合物の含有量の変化を表4に、式(X−6)で表される化合物の含有量の変化を表5に、式(X−7)で表される化合物の含有量の変化を表6に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
本願発明の式(I−1)、式(I−2)、式(I−3)、式(I−4)及び式(I−5)で表される化合物はいずれも0.01%の低濃度であっても十分な酸化防止作用が認められる。一方、特許文献1記載の式(XI−1)で表される化合物、特許文献2記載の式(XI−2)で表される化合物及び特許文献4記載の式(XI−4)で表される化合物は、0.01%の添加では十分な酸化防止作用をすることはできず、液晶成分が酸化し、含有量が低下した。
【0091】
以上のように本願発明の化合物は、低濃度で高い効果を発揮し、製品を長期間保存した場合又は製品が熱の影響を受けた場合に、酸化防止剤が析出又は相分離を起こしたり、変色や変質といった製品の品質低下を起こしたりせず、定量分析が可能で揮発の起こらない化合物であることから、樹脂、オイル、オイルフィルター、油脂、インキ、医薬品、化粧品、洗剤、液晶材料、農薬、食品及び各種製品の安定剤として有用である。