(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置を例として説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式による画像形成装置であり、感光体を露光するための発光素子を備えた露光ヘッドの個体差を補正することがその要旨である。
【0015】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
【0016】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
【0017】
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0018】
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0019】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)110、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
【0020】
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、
図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0021】
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0022】
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、それらのプログラムに従ったCPU10の演算によって構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0023】
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
【0024】
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
【0025】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0026】
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づいてプリントエンジン26を制御し、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
【0027】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
【0028】
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
【0029】
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
【0030】
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
【0031】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
【0032】
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、
図3を参照して説明する。
図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102と分離ローラ103とにより分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106BK、106M、106C、106Yが配列されている。
【0033】
これら複数の画像形成部106BK、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106BKはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Yは画像形成部106BKと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Yの各構成要素については、画像形成部106BKの各構成要素に付したBKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0034】
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
【0035】
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106BKが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106BKは、感光体としての感光体ドラム109BK、この感光体ドラム109BKの周囲に配置された帯電器110BK、光書込み装置200、現像器112BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113BK等から構成されている。光書込み装置200は、夫々の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
【0036】
画像形成に際し、感光体ドラム109BKの外周面は、暗中にて帯電器110BKにより一様に帯電された後、光書込み装置200からのブラック画像に対応した光源からの光により書込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109BK上にブラックのトナー画像が形成される。
【0037】
このトナー画像は、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115BKの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
【0038】
以上のようにして、画像形成部106BKにより搬送ベルト105上に転写されたブラックのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0039】
搬送ベルト105上に転写されたブラック、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
【0040】
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0041】
次に、本実施形態に係る光書込み装置111について説明する。
図4は、本実施形態に係る光書込み装置111と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。
図4に示すように、各色の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に照射される照射光は、光源であるLEDA(Light‐emitting diode Array)130BK、130M、130C、130Y(以降、総じてLEDA130とする)から照射される。
【0042】
LEDA130は、発光素子であるLEDが、感光体ドラム109の主走査方向に並べられて構成されている。光書込み装置111に含まれる制御部は、主走査方向に並べられている夫々のLEDの点灯/消灯状態を、コントローラ20から入力された描画情報に基づいて主走査ライン毎に制御することにより、感光体ドラム109の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。
【0043】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、
図5を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係る光書き込み装置111を制御する光書き込み装置制御部120の機能構成と、LEDA130との接続関係を示す図である。
【0044】
図5に示すように、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120は、描画情報取得部121、発光制御部122、発光時間制御部123及び解像度制御部124を含み、光源であるLEDA130を制御する光書き込み制御装置として機能する。また、
図5に示すように、LEDA130にはデータ記憶部131が設けられている。データ記憶部131には、夫々のLEDA130の発光効率を示す情報(以降、「発光効率情報」とする)が記憶されている。
【0045】
尚、ここでいう発光効率とは、LEDA130を所定時間発光させた場合に得られる露光強度、即ち、所定の露光時間の露光によって得られる露光エネルギー量であり、本実施形態においては、(W)の単位で示す。
【0046】
尚、本実施形態に係る光書き込み装置111は、
図1において説明したようなCPU10、RAM11、ROM12及びHDD14等の情報処理機構を含み、
図5に示すような光書込み装置制御部120は、画像形成装置1のコントローラ20と同様に、ROM12若しくはHDD14に記憶されている制御プログラムがRAM11にロードされ、そのプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより構成される。
【0047】
描画情報取得部121は、コントローラ20のエンジン制御部31から入力される描画情報、即ち、画像形成出力を実行するべき画像を構成する各画素の情報を取得する。発光制御部122は、描画情報取得部121が取得した描画情報に基づき、エンジン制御部31から入力されるライン周期を示す信号(以降、「水平同期信号」とする)に従って、ライン周期毎にLEDA130を発光制御する。
【0048】
解像度制御部123は、コントローラ20のエンジン制御部31から入力される制御信号に基づき、光書込み装置制御部120がLEDA130を制御して感光体上に静電潜像を形成する際の解像度を認識する。解像度を認識することにより、解像度制御部123は、認識した解像度に応じて1ライン周期あたりの発光光量(以降、「必要光量」とする)を決定する。また、解像度制御部123は、認識した解像度に基づいて、1ライン周期の期間を判断する。
【0049】
発光時間制御部124は、発光制御部122がLEDA130を発光制御する際の発光時間を制御する。発光時間制御部123は、解像度制御部123によって決定された必要光量と、LEDA130に含まれるデータ記憶部131から取得した発光効率情報に基づき、1ライン周期におけるLEDA130の発光期間、即ちストローブ時間を制御する。この解像度制御部123及び発光時間制御部124の機能が、本実施形態に係る要旨の1つである。
【0050】
また、発光時間制御部124は、解像度制御部123によって判断された1ライン周期の期間に基づき、1ライン周期において許容されるストローブ時間の限界値を判断する。光書込み装置111においては、ライン周期毎にLEDA130を発光させて1ライン分の画像に応じた静電潜像を形成する。そのため、1ライン周期におけるストローブ時間は、1ライン周期の期間内以下となる必要がある。
【0051】
これに対して、データ記憶部131から取得した発光効率情報が示す発光効率が非常に低い場合、解像度制御部123によって決定された発光光量を満たすためには、非常に長いストローブ時間を要することとなり、計算により得られたストローブ時間が1ライン周期の期間を超えてしまう場合もあり得る。本実施形態に係る発光時間制御部124は、そのような不正な状態を検知することが可能である。
【0052】
ここで、LEDA130の発光効率について説明する。
図6は、異なるLEDA130において許容される発光効率の差異の範囲と、一のLEDA130に含まれる複数の発光素子において許容される発光効率の差異の範囲とを示す図である。
【0053】
図6に示すように、本実施形態において、異なるLEDA間で許容される発光効率の差異の範囲は、1.0(W)〜3.0(W)の範囲である。これに対して、一のLEDA130に含まれる複数の発光素子において許容される発光効率の差異の範囲は±3%の範囲である。
図6の例においては、LEDA−Aに含まれる各発光素子の発光効率が2.5(W)の近辺において±3%の範囲で分布しており、LEDA−Bに含まれる各発光素子の発光効率が1.5(W)の近辺において±3%の範囲で分布している。
【0054】
夫々の発光素子は半導体プロセスによって形成されるため、発光効率のバラツキを抑えることが難しく、
図6に示すような1.0(W)〜3.0(W)の範囲で発光効率のバラツキが発生してしまう。一のLEDA130に含まれる発光素子の発光効率の差異が大きいと、それは形成される画像の濃度ムラとなって現れてしまうため、
図6に示すように、一のLEDA130に含まれる発光素子の発光効率の差異は±3%の範囲に収められている。
【0055】
これに対して、異なるLEDA130に含まれる発光素子の発光効率を、同様に±3%の範囲で合わせようとすると、部品の選定等が必要となり、製造コストの上昇や歩留まりの低下を招く。そのため、異なるLEDA130に含まれる発光素子の発光効率は、
図6に示すような1.0(W)〜3.0(W)の範囲に分布してしまう。
【0056】
図7は、発光効率の異なる2つのLEDA130について、発光時間に応じて得られる露光エネルギーを示すグラフである。
図7においては、
図6に示す発光効率の許容範囲の上限である3.0(W)及び下限である1.0(W)の場合のグラフを示している。ここで、所望の露光エネルギーQを得るためのストローブ時間Tは、発光効率Xを用いて以下の式(1)によって求められる。
【0057】
従って、発光効率が“1.0”である場合において所望の露光エネルギーYを得るためのストローブ時間T
1は、以下の式(2)によって表される。
【0058】
また、発光効率が“3.0”である場合において所望の露光エネルギーYを得るためのストローブ時間T
2は、以下の式(3)によって表される。
【0059】
このように、異なるLEDA130間において発光効率がバラついている場合であっても、ストローブ時間を制御することにより、同様の露光エネルギーを得ることが可能となる。即ち、発光時間制御部124は、解像度制御部123から取得した必要光量を上記露光エネルギーYとし、データ記憶部131から取得した発光効率情報を上記発光効率として、ストローブ時間Tを求める。
【0060】
ここで、上述したように、発光制御部122は、エンジン制御部31から入力される水平同期信号に従ってライン周期を認識し、ライン周期毎に発光制御を行う。そして、その水平同期信号は、形成するべき画像の解像度に応じた周期となっている。従って、発光時間制御部124が発光制御部122の1ラインあたりのストローブ時間を制御するために与える情報は、解像度に応じた光量を得るためのストローブ時間を示す情報である。
【0061】
このため、上述したように、本実施形態に係る解像度制御部123は、エンジン制御部31から入力される制御信号に基づいて画像形成出力に係る解像度を認識し、その解像度に応じて必要光量を決定する。その具体的な処理について説明する。
【0062】
感光体ドラム109には、解像度に関わらず、所望の濃度を得るために単位面積あたりに必要な露光強度、即ち露光エネルギーQ
Vを定めることが可能である。この単位面積を1(cm
2)とし、画像形成出力に係る解像度をD
x×D
y(dpi)とし、1ドットあたりに必要な露光エネルギーをQ
Dとすると、以下の式(4)が成り立つ。
【0063】
この1ドットあたりの露光エネルギーQ
Dが、1ライン周期毎に夫々の発光素子毎に必要な露光エネルギーであり、画素あたり露光強度として用いられ、解像度制御部123が画素あたり露光強度算出部として機能する。従って、式(4)のQ
Dを式(1)のQに代入することにより、所望の露光エネルギーを得るためのストローブ時間Tは、以下の式(5)によって求めることができる。
【0064】
本実施形態に係る解像度制御部123は、上記式(4)に従い、エンジン制御部31から取得したD
x、D
yの値及び予め定められたQ
Vの値を用いて1ドットあたりの露光エネルギーQ
Dを必要光量として計算し、その計算結果を発光時間制御部124に入力する。
【0065】
発光時間制御部124は、上記式(1)に従い、解像度制御部123から入力されたQ
D及びデータ記憶部131から取得したXの値を用いて、発光制御部122に入力するべきストローブ時間Tを計算する。即ち、発光時間制御部124が、1ライン周期におけるLEDA130の発光時間であるライン周期発光時間を求める発光時間算出部として機能する。
【0066】
このような計算は、感光体ドラム109が1本のみ含まれるモノクロ印刷用の画像形成装置であれば、1本の感光体ドラム109に対応して設けられている1つのLEDA130についてデータ記憶部131から読み出された発光効率情報に基づいて実行される。
【0067】
これに対して、
図4に示すように、複数の感光体ドラム109を含むフルカラー対応の画像形成装置の場合、夫々の感光体ドラム109に対応して設けられている夫々のLEDA130についてデータ記憶部131から読み出された発光効率情報に基づいて夫々実行される。これにより、各色間の濃度の誤差を補正することが可能であり、画像形成出力結果の画質の低下を防ぐことが可能である。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る光書込み装置制御部120においては、画像形成出力に係る解像度に関わらず、LEDA130の発光効率の誤差を補正した好適な濃度の画像形成出力を実行することが可能である。
【0069】
尚、上記実施形態においては、解像度制御部123が式(4)に従って必要光量を求め、発光時間制御部124が式(2)に従ってストローブ時間を求める場合を例として説明した。この他、解像度制御部123及び発光時間制御部124の両方の機能を備えるモジュールが、単位面積あたりに必要な露光エネルギーQV、解像度及び発光効率情報Xに基づき、式(5)に従って直接ストローブ時間を求めても良い。
【0070】
また、上記実施形態においては、発光時間制御部124が算出したストローブ時間に従って発光制御部122がLEDA130を発光制御する場合を例として説明した。しかしながら、上述したように、データ記憶部131から取得した発光効率情報が示す発光効率が非常に低い場合、計算により得られたストローブ時間が1ライン周期の期間を超えてしまう、即ち許容範囲を超えてしまう場合もあり得る。また、発光効率が非常に高い場合、計算により得られたストローブ時間が、LEDA130を点灯制御可能な最も短い期間よりも短くなってしまう場合もあり得る。
【0071】
そのような場合、上述したモノクロの画像形成装置の場合においては、1ライン周期の範囲内において許容される最も長いストローブ時間や、LEDA130を点灯制御可能な最も短い期間をストローブ時間として用いることにより、可能な限り濃度の誤差を小さくすることができる。
【0072】
他方、フルカラーの画像形成装置の場合、発光時間制御部124は、各色に対応して設けられているLEDA130のうち1つでも、算出したストローブ時間が許容範囲を超えた場合、解像度制御部123によって算出された必要光量を調整することにより、各色間の濃度を合わせる。そのような処理に付いて
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
図8は、上述したような必要光量の量を調整行う場合において、解像度制御部123から必要光量を取得した発光時間制御部124の動作を示すフローチャートである。尚、
図8の動作の前提として、解像度制御部123は、式(4)に従って算出した必要光量Q
Dと共に、エンジン制御部31から通知された解像度の情報に従って算出したライン周期を発光時間制御部124に通知する。ライン周期は、感光体ドラム109の回転による表面の移動速度と解像度とに基づいて
に基づいて計算することが可能である。
【0074】
図8に示すように、発光時間制御部124は、各色のLEDA130から1つを選択し(S801)、そのLEDA130についてデータ記憶部131から発光効率情報を読み出してストローブ時間を算出する(S802)。ストローブ時間を算出すると、発光時間制御部124は、算出したストローブ時間が許容範囲内であるか否か判断する(S803)。
【0075】
S803の判断の結果、ストローブ時間がライン周期以下であれば(S803/YES)、発光時間制御部124は、全色についてのLEDA130について処理を完了したか判断し(S804)、完了していれば(S804/YES)、そのまま処理を終了する。その結果、発光時間制御部124は、求めたストローブ時間を発光制御部122に通知する。また、完了していなければ、他のLEDA130についてS801からの処理を繰り返す。
【0076】
他方、S803の判断の結果、ストローブ時間がライン周期を超えていた場合(S803/NO)、発光時間制御部124は、式(1)に従い、ストローブ時間が許容範囲内に収まるようにQ
Dの値を調整する(S805)。S805の処理において、発光時間制御部124は、算出したストローブ時間が許容範囲の上限値を超えていた場合、ストローブ時間が許容範囲の上限値となるように、式(1)に従ってQ
Dを設定する。他方、算出したストローブ時間が許容範囲の加減値を下回っていた場合、ストローブ時間が許容範囲の下限値となるように、式(1)に従ってQ
Dを設定する。
【0077】
S805の処理を完了すると、発光時間制御部124は、それまでの処理によって算出された各色のLEDA130についてのストローブ時間の計算結果をリセットし(S806)、各色のLEDA130についてS801からの処理をやり直す。
【0078】
このように、
図8の処理において、発光時間制御部124は、各色に対応する複数のLEDA130のうち少なくとも1つについて求めたストローブ時間が許容範囲外であった場合、許容範囲内となるように必要光量Q
Dを調整し、調整後の必要光量Q
Dに基づいて他のLEDA130についてのストローブ時間を算出する。
【0079】
図8に示すような処理により、フルカラーの画像形成装置において、1つでもストローブ時間の許容範囲を外れたものがあった場合、そのLEDA130に合わせて必要光量が調整されたうえで各色のLEDA130のストローブ時間が調整される。そのため、フルカラーを構成する各色のうち、1色だけ色が薄かったり濃かったりするような状態を回避することが可能となる。
【0080】
通常、光書込み装置制御部120に対しては、水平同期信号が入力されることによってライン周期が判断されるため、解像度を示す情報やライン周期を示す情報は入力されない。これに対して、本実施形態においては、解像度制御部123がエンジン制御部31から解像度の情報を取得するため、その情報に基づいてライン周期を計算することが可能であり、その結果
図8に示すような処理が可能となる。
【0081】
ここで、
図8の説明においては、ストローブ時間の許容範囲の例として、LEDA130を点灯制御可能な最小の時間からライン周期までの範囲を用いる場合を説明した。これは一例であり、例えば、ライン周期に対する余裕を持たせるため、ストローブ時間の上限値をライン周期よりも短い時間としても良い。この場合、ライン周期の97%、95%、90%など、ライン周期に対するパーセンテージで示すことも可能であるし、(ライン周期)−(所定期間)のように固定値を差し引いても良い。
【0082】
また、発光時間制御部124は、算出したストローブ時間が上述したように許容範囲外であった場合、ストローブ時間をゼロに設定してLEDA130を発光させないように制御しても良い。これにより、設定されるパラメータが不正な値となるような不正な制御を回避することが可能となる。
【0083】
また、上記実施形態においては、LEDA130のデータ記憶部131に格納されている発光効率情報が、夫々のLEDA130の発光効率を示す情報であることを説明した。ここで、LEDA130には、上述したように複数の発光素子が含まれている。そして、
図6において説明したように、一のLEDA130に含まれる複数の発光素子は、最大で±3%の発光効率の誤差を有する。
【0084】
従って、データ記憶部131に格納されている発光効率情報には様々な態様が考えられる。例えば、データ記憶部131には、そのLEDA130に含まれる複数の発光素子夫々の発光効率を統計処理した代表値が格納されている態様が考えられる。この場合、発光時間制御部124は、その代表値をそのまま上記式(1)の計算に用いることが可能である。
【0085】
また、データ記憶部131には、そのLEDA130に含まれる複数の発光そして夫々の発光効率の値が全て格納されている態様も考えられる。この場合、発光時間制御部124は、全ての発光効率の値を統計処理若しくは平均処理することにより求めた値を、上記式(1)のXの値として用いることが可能である。
【0086】
他方、LEDA130に含まれる複数の発光素子を夫々別個に発光制御可能な場合、発光時間制御部124は、データ記憶部131に含まれる全ての発光素子に毎の発光効率の情報に基づいてストローブ時間を算出し、全ての発光素子夫々に対応したストローブ時間を発光制御部122に通知することも可能である。
【0087】
更に、LEDA130に含まれる複数の発光素子を、複数のグループに分割してグループ毎に発光制御可能な場合、発光時間制御部124は、上記夫々のグループ毎に、グループに含まれる発光素子の発光効率の情報を統計処理若しくは平均処理することにより求めた値を、上記式(1)のXの値として用いることが可能である。これにより、発光時間制御部124は、上記グループ毎に最適なストローブ時間を発光制御部122に通知することが可能である。
【0088】
このように、LEDA130のデータ記憶部131に格納されている発光効率情報の形式や、発光制御部122によるLEDA130の発光制御態様に応じて、ストローブ時間の算出態様を最適化することにより、より好適な発光時間制御を行うことが可能となる。
【0089】
また、上記実施形態において、発光時間制御部124は、解像度制御部123から通知された必要光量及びデータ記憶部131から取得した発光効率情報に基づいてストローブ時間を算出する場合を例として説明した。このほか、ストローブ時間の制御に際しては、LEDA130の経時劣化に応じた調整制御が行われる場合もあり得る。従って、発光時間制御部124は、そのような経時劣化の調整制御も含めてストローブ時間を算出しても良い。
【0090】
LEDA130の経時劣化をストローブ時間の調整制御に反映させる場合、発光時間制御部124は、上述した式(1)において、発光効率が低下している状態を反映するように、式(1)におけるXを調整する。これにより、経時劣化に応じた調整知が反映されたストローブ時間を算出することが可能となる。この他、発光時間制御部124が算出したストローブ時間を経時劣化に応じて調整する他のモジュールを光書込み装置制御部120に設けても良い。
【0091】
また、上記実施形態においては、感光体ドラム109を露光する光源として、発光素子にLEDを用いたLEDAを用いる場合を例として説明した。これは一例であり、LED以外の光源を用いた露光ヘッドであっても、データ記憶部131に格納されている発光効率データが得られる露光ヘッドであれば同様に適用可能である。
【0092】
また、上記実施形態においては、LEDA130にデータ記憶部131が設けられている場合を例として説明した。しかしながら、夫々のLEDA130についての発光効率情報が得られれば上述した構成及び処理を実施することは可能であり、夫々のLEDA130に対応した発光効率情報がエンジン制御部31側から入力される場合や、光書込み装置制御部120に設けられた記憶倍に格納しておく場合などの態様も可能である。
【0093】
また、上記実施形態において、解像度制御部123は、エンジン制御部31からD
x×D
y(dpi)の形式の解像度の情報を取得する場合を例として説明した。この解像度の情報は、上記式(4)及び
図8におけるライン周期の算出のために用いられる。即ち、上記式(4)及びライン周期の算出が可能となる情報であれば良く、例えば1(cm
2)あたりのドット数を示す情報や、1ドットのサイズを示す情報でも良い。上記いずれの形式であっても、それは画像形成出力の解像度に係る情報である。