(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に適用可能な画像形成装置100の一例の構造を示す。
【0013】
(実施形態に適用可能な構成)
画像形成装置100は、半導体レーザ、ポリゴンミラーなどの光学要素を含む光学装置102と、感光体ドラム、帯電装置、現像装置などを含む像形成部112と、中間転写ベルトなどを含む転写部122を含んで構成される。これら光学装置102、像形成部112および転写部122により、像形成手段および画像形成手段の機能が実現される。また、画像形成装置100の筐体内部に温度センサ150が設けられる。
【0014】
光学装置102は、図示されない半導体レーザなどのレーザ光源から出射された光ビームをポリゴンミラー102cにより偏向させ、fθレンズ102bに入射させる。光ビームは、
図1の例ではイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色に対応した数が出射される。各色の光ビームは、それぞれfθレンズ102bを通過した後、反射ミラー102aで反射され、WTLレンズ102dに入射される。
【0015】
WTLレンズ102dは、光ビームを整形した後、反射ミラー102eへと光ビームを偏向させ、露光のために使用される光ビームLとして感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aへと像状照射する。感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aへの光ビームLの照射は、上述したように複数の光学要素を使用して行われるため、光ビームLの走査方向である主走査方向と、主走査方向に対して直交する副走査方向とに関して、タイミング同期が行われている。なお、副走査方向は、一般的には、感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aの回転する方向として定義する。
【0016】
感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aは、それぞれアルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とを含む光導電層を備えている。光導電層は、それぞれ感光体ドラム104a、106a、108a、110aに対応して配設され、コロトロン、スコロトロンまたは帯電ローラなどを含んで構成される帯電器104b、106b、108bおよび110bにより表面電荷が付与される。
【0017】
各帯電器104b、106b、108bおよび110bにより感光体ドラム104a、106a、108aおよび110a上に付与された静電荷は、それぞれ光ビームLにより像状露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム104a、106a、108aおよび110a上に形成された静電潜像は、それぞれ、現像スリーブ、現像剤供給ローラ、規制ブレードなどを含む現像器104c、106c、108cおよび110cにより現像され、現像剤像が形成される。
【0018】
感光体ドラム104a、106a、108aおよび110a上に担持された現像剤は、搬送ローラ114a、114bおよび114cにより矢印Bの方向に駆動される中間転写ベルト114上に転写される。中間転写ベルト114は、C、M、YおよびK各色の現像剤を担持した状態で2次転写部へと駆動される。2次転写部は、2次転写ベルト118と、搬送ローラ118aおよび118bとを含んで構成される。2次転写ベルト118は、搬送ローラ118aおよび118bにより矢印Cの方向に駆動される。2次転写部には、給紙カセットなどの受像材収容部128から上質紙やプラスチックシートなどの受像材124が搬送ローラ126により供給される。
【0019】
2次転写部は、2次転写バイアスを印加して、中間転写ベルト114上に担持された多色現像剤像を、2次転写ベルト118上に吸着保持された受像材124に転写する。受像材124は、2次転写ベルト118の搬送と共に定着装置120へと供給される。定着装置120は、シリコーンゴム、フッソゴムなどを含む定着ローラなどの定着部材130を含んで構成されていて、受像材124と多色現像剤像とを加圧加熱し、印刷物132として画像形成装置100の外部へと出力する。多色現像剤像を転写した後の中間転写ベルト114は、クリーニングブレードを含むクリーニング部116により転写残現像剤が除去された後、次の像形成プロセスへと供給されている。
【0020】
実施形態による画像形成装置100は、形成される画像の画質調整のために、中間転写ベルト114に対して色ズレ補正用テストパターンを形成する。各感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aの中間転写ベルト114の駆動方向に対して下流側には、中間転写ベルト114に形成された当該色ズレ補正用テストパターンを検知するため、センサ115a、115bおよび115cが設けられる。センサ115a、115bおよび115cは、色ズレ補正用テストパターンをより早く検知できるように、中間転写ベルト114の駆動方向に対して最も下流側の感光体ドラム104aに対してできるだけ近付けて配置される。
【0021】
図2は、実施形態に適用可能なセンサ115a、115bおよび115cの一例の構造を示す。なお、これらセンサ115a、115bおよび115cは、同一の構成が適用できるので、以下では、これらを特に区別する必要のない限り、センサ115a、115bおよび115cをセンサ115として記述する。
【0022】
図2において、センサ115は、1の発光素子602と、2の受光素子603および604とを有する。発光素子602は、例えば赤外光LED(Light Emitting Diode)であり、発光した赤外光で中間転写ベルト114を照射する。レーザ発光素子を発光素子602として用いてもよい。受光素子603および604は、例えばそれぞれフォトトランジスタである。受光素子603および604としてフォトダイオードを適用し、出力を増幅して用いてもよい。
【0023】
この例では、受光素子603は、発光素子602から出射された赤外光が中間転写ベルト114で鏡面反射した正反射光を受光する位置に設けられ、受光素子604は、正反射光を受光しない位置に設けられる。すなわち、受光素子604は、発光素子602から出射された赤外光が中間転写ベルト114で拡散反射された拡散反射光を受光する。また、発光素子602からの赤外光と、赤外光の中間転写ベルト114からの正反射光および拡散反射光との光路に、集光レンズ605が設けられる。
【0024】
なお、
図2では、正反射光を受光する受光素子603と、拡散反射光を受光する受光素子604とをそれぞれ設けているが、これはこの例に限定されず、検知する対象や必要な情報によっては何れか一方のみを設けてもよい。
【0025】
図3は、実施形態に適用可能な、画像形成装置100における信号処理系の一例の構成を示す。なお、ここでは、画像形成装置100の全構成のうち、実施形態に関わりの深い、色ズレ量検出のための構成を中心に示している。
【0026】
CPU(Central Processing Unit)10は、ROM(Read Only Memory)12に予め記憶されたプログラムに従い、RAM(Random Access Memory)11をワークメモリとして用いて所定の演算処理を行うと共に、本実施形態によるパターン検知処理を制御する。また、CPU10は、データバスを介してI/Oポート13に接続される。I/Oポート13は、後述するFIFOメモリ部18a、18bおよび18cからのデータの読み出しや、データバスを介したデータ転送を制御する。さらに、CPU10に対して、温度センサ150による筐体内部の温度を検出した検出結果が供給される。
【0027】
なお、ROM12に記憶される上述のプログラムには、中間転写ベルト114にカラー画像を形成する際の画像形成条件を補正する補正処理を実行するモジュールや、中間転写ベルト114にテストパターン列を形成する際の主走査方向の位置ズレ量を算出する算出処理を実行するモジュールなど、テストパターン列の補正処理を含む各種の処理を実行するためのモジュールを含む。
【0028】
ROM12には、さらに、画像形成装置100の各部の動作条件を設定するための設定値や、当該設定値に対する画像形成装置100内部の温度に応じた補正値なども、予め記憶される。例えば、レーザ光源の駆動電流やポリゴンミラー102cの回転速度、各感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aの回転速度、中間転写ベルト114の駆動速度などの各設定値と、各設定値の画像形成装置100内の温度に応じた各補正値が、ROM12に予め記憶される。
【0029】
信号処理部30a、30bおよび30cは、それぞれセンサ115a、115bおよび115cに関する信号処理を行う。すなわち、信号処理部30aは、発光量制御部14aと、増幅部15aと、フィルタ部16aと、A/D変換部17aと、FIFO(First In First Out)メモリ部18aと、サンプリング制御部19aとを有する。発光量制御部14aの出力がセンサ115aの発光素子602aに供給され、センサ115aの受光素子603aおよび604aの出力が増幅部15aに供給される。
【0030】
同様に、信号処理部30bは、発光量制御部14bと、増幅部15bと、フィルタ部16bと、A/D変換部17bと、FIFOメモリ部18bと、サンプリング制御部19bとを有する。発光量制御部14bの出力がセンサ115bの発光素子602bに供給され、センサ115bの受光素子603bおよび604bの出力が増幅部15bに供給される。また、信号処理部30cは、発光量制御部14cと、増幅部15cと、フィルタ部16cと、A/D変換部17cと、FIFOメモリ部18cと、サンプリング制御部19cとを有する。発光量制御部14cの出力がセンサ115cの発光素子602cに供給され、センサ115cの受光素子603cおよび604cの出力が増幅部15cに供給される。
【0031】
このように、各信号処理部30a、30bおよび30cは、同一の構成を有するため、以下では、各信号処理部30a、30bおよび30cを信号処理部30aで代表させて説明を行う。
【0032】
センサ115aでは、2つの受光素子603aおよび604aのうち、正反射光を受光する受光素子603aを用いて、後述する、中間転写ベルト114上に形成されるテストパターンの検出を行うものとする。
【0033】
センサ115aにおいて、発光素子602aから出射された赤外光の反射光が受光素子603aで受光されると、受光素子603aは、受光した赤外光の強度に応じたアナログ検知信号を出力する。このアナログ検知信号は、増幅部15aで増幅され、フィルタ16aによってライン検知の信号成分が選択的に通過され、A/D変換部17aに供給されディジタル検知データに変換される。A/D変換部17aで変換された検知データのサンプリングは、サンプリング制御部19aにより制御される。A/D変換部17aでサンプリングされた検知データは、FIFOメモリ部18aに格納される。
【0034】
サンプリング制御部19aは、1つのテストパターンの検知が終了すると、FIFOメモリ部18aに格納された当該テストパターンの検知データは、FIFOメモリ部18aから出力される。FIFOメモリ部18aから出力された検知データは、I/Oポート13を介してCPU10およびRAM11に供給される。CPU10は、ROM12に記憶されたプログラムに従い、上述の色ズレ量など各種ズレ量を算出する。
【0035】
CPU10は、テストパターンの検知結果から算出された色ズレ量を補正するための色ズレ補正値を求める。CPU10は、求められたこの色ズレ補正値分の補正を行うために、書き込み開始タイミングや画素クロック周波数の変更などを、書込制御部21に対して設定する。
【0036】
書込制御部21は、例えばVCO(Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータといった、出力周波数を詳細に設定できる構成を備えており、この出力を画素クロックとして用いている。書込制御部21は、この画素クロックを基準に、コントローラ20から転送される画像データに応じてLD点灯制御部22を制御し、この制御に従いLD点灯制御部22が図示されないレーザ光源の点灯を制御して、感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aに対する画像の書き込みを行う。なお、コントローラ20は、CPUが搭載され、この画像形成装置100の全体の動作を制御する。
【0037】
書込制御部21が、CPU10により色ズレ補正値に基づき設定された書き込みタイミングや画素クロック周波数で感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aに対する画像の書き込みを行うことで、色ズレ補正値分の補正が施された画像形成を行うことができる。
【0038】
なお、CPU10は、受光素子603aからのアナログ検知信号を適当なタイミングでモニタし、モニタ結果に基づき、発光素子602aから出射される赤外光のレベルを制御するための制御信号を生成し、この制御信号をI/Oポート13を介して発光量制御部14aに供給する。発光量制御部14aは、この制御信号に応じて発光素子602aの発光量を制御する。これにより、発光素子602aから出射される赤外光のレベルを略一定とすることができ、中間転写ベルト114や図示されないレーザ光源の劣化などが起こっても、テストパターンの検知を確実に行うことが可能となる。
【0039】
図4は、テストパターン列と、テストパターン列をセンサで検出した際のセンサの出力信号の例とを示す。
図4(b)に示されるように、テストパターン列210は、複数のテストパターン像201、201、…、各センサ115a、115bおよび115cの位置に従い、副走査方向に沿って3列に並べられて構成される。このとき、テストパターン像201は、例えば8個を一組として副走査方向に沿って並べられる。各テストパターン像201は、感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aの主走査方向に対して水平にY、K、M、C各色の順に形成される各パターン(水平パターン)と、当該主走査方向に対して45°の角度を以ってY、K、M、C各色の順に形成される各パターン(斜めパターン)とを含む。なお、水平パターンおよび斜めパターンの色の並びは、他の順序でもよい。
【0040】
このように各テストパターン列210が形成された中間転写ベルト114が副走査方向に搬送されると、各センサ115a、115bおよび115cは、
図4(b)に示される軌跡202a、202bおよび202cに従い、各テストパターン列210上を移動する。
【0041】
図4(a)は、例えばセンサ115aが軌跡202aを移動した際の、当該センサ115aの出力信号の例を示す。検出センサ115aは、水平パターンと斜めパターン以外の部分では中間転写ベルト114を検出する。例えば、中間転写ベルト114が白色の場合、その検出レベルを基準レベルとすると、色付きの水平パターンと斜めパターンの箇所では検出レベルが低下し、ロー(Low)状態となる。ロー状態の判定は、検出レベルが例えば予め定められたスレッショルド電圧レベルV
th以下であるか否かで判定する。CPU10は、このセンサ115aの出力のロー状態を検知することで、各パターンを検出する。
【0042】
図5を用いて、テストパターン像201を用いた色ズレ検出について説明する。副走査方向の色ズレを算出するには、水平パターン203を使用し、基準色である色Kと他の色Y、MおよびCとのパターン間隔(y
1,m
1,c
1)をそれぞれ計測する。そして、計測結果を基準色に対する各色それぞれの理想距離と比較することで、副走査方向の色ズレを算出することができる。
【0043】
主走査方向の色ズレを算出するには、各色について、水平パターン203の各線と斜めパターン204の各線との間隔(y
2,k
2,m
2,c
2)をそれぞれ計測する。斜めパターン204の各線は、主走査方向に対して45°の角度を持っているため、計測された間隔の、基準色(色K)と他の色Y、MおよびCとの差分が各色Y、MおよびCそれぞれの主走査方向の色ズレ量となる。例えば、色Yの主走査方向における色ズレ量は、k
2−y
2で求められる。このようにして、テストパターン像201を用いて副走査方向および主走査方向の色ズレ(レジストズレ)量を取得することができる。
【0044】
このような色ズレ量の検出処理は、例えば、少なくとも1つのテストパターン像201を用いて実行することが可能である。複数のテストパターン像201を用いて各色について色ズレ量の検出を行うことで、色ズレ補正処理をより精度よく行うことができる。例えば、複数のテストパターン像201を用いて算出された色ズレ量に対して、平均値処理などの統計的処理を施して、各色の色ズレ量を算出することが考えられる。
【0045】
また、上述した色ズレ量の検出処理を、主走査方向に位置の異なるセンサ115a、115bおよび115cを用いてそれぞれ行うことで、各ズレ量について、主走査方向および副走査方向それぞれの成分を検出することができる。例えば、スキュー成分であれば、センサ115aおよびセンサ115cでそれぞれ検知される副走査方向の色ズレ量の差分を算出することで取得可能である。また、センサ115bに対応するパターンをさらに形成することで、センサ115aおよび115b、ならびに、センサ115bおよび115cそれぞれで主走査方向のズレの差分を算出することで、倍率誤差偏差を取得可能である。
【0046】
このように、センサ115a、115bおよび115cから出力される複数のテストパターン列210の検出結果を組み合わせて処理することで、主走査レジストズレ、副走査レジストズレ、スキュー補正および主走査方向の倍率誤差偏差といった複数の項目の補正による画像形成条件の調整が可能となる。
【0047】
なお、印刷時の画質などの調整を行うためのテストパターンは、色ズレ補正用のテストパターン像201以外にも様々な種類のものが存在する。この場合、色ズレ補正を行う際には、色ズレ補正用のテストパターン像201のみを形成するようにすることで、他の画質調整に用いるテストパターンの形成を行うことで消費されるトナーを節約することができる。
【0048】
次に、テストパターン列210の形成と、中間転写ベルト114に対する印刷画像の転写とを並行して行う処理について、
図6を用いて説明する。中間転写ベルト114に対してテストパターン列210の形成と印刷画像220の転写とを並行して行う場合、
図6に例示されるように、センサ115a、115bおよび115cのうち主走査方向の両端に位置するセンサ115aおよび115cを、印刷画像220による画像領域の外端部に対応する位置に配置する。テストパターン列210については、各テストパターン列210のうち、主走査方向の両端側の2のテストパターン列210を形成し、主走査方向の中央のセンサ115bに対応するテストパターン列210を形成しない。
【0049】
このように、中間転写ベルト114に対する印刷画像220の転写と、テストパターン列210の形成とを並行して行い、テストパターン列210の検出結果に基づき印刷画像220の画質調整を行うことで、画質調整を実行することによる印刷動作の停止期間、所謂ダウンタイムの発生を抑制することができ、画像形成装置100の生産性が向上される。
【0050】
なお、
図6に示されるように、主走査方向の中央のセンサ115bの出力を用いない方式では、主走査レジストズレ、副走査レジストズレおよびスキュー補正が可能である一方で、主走査方向の倍率誤差偏差については補正できない。
【0051】
(実施形態による処理)
次に、実施形態による画像形成条件の調整処理について説明する。
図7は、実施形態による画像形成条件調整の一例の処理を概略的に示すフローチャートである。この
図7のフローチャートにおける各処理は、CPU10がROM12から読み出したプログラムにより画像形成装置100の各部を制御することにより実行される。
【0052】
画像形成装置100の電源が立ち上げられると、CPU10は、この
図7のフローチャートによる処理を開始する。ここで、電源の立ち上げとは、この画像形成装置100のメイン電源の投入と、スリープモードなど省電力モードからの復帰とを含む。省電力モードでは、例えば、省電力モードからの復帰に必要な一部の機能を実行する部分に対して電源を供給し、それ以外の部分に対する電源の供給を停止させる。
【0053】
画像形成装置100の電源が立ち上げられると、CPU10は、温度センサ150の出力信号に基づき画像形成装置100内の温度を検知する(ステップS100)。次のステップS101で、CPU10は、ステップS100の検知結果に従い、ROM12に記憶される温度に応じた補正値を読み出し、読み出した補正値を、画像形成装置100内の各部に適用する。
【0054】
次のステップS102で、CPU10は、上位装置からの印刷ジョブの供給を待機する。印刷ジョブが供給されると、CPU10は、処理をステップS103に移行させ、印刷ジョブに従い画像の印刷動作を開始する。また、CPU10は、画像の印刷動作と並行して、中間転写ベルト114に対するテストパターン列210の形成を開始する(ステップS103)。
【0055】
なお、ここでは、電源の立ち上げ後に印刷ジョブが供給されるものとして説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、印刷ジョブの供給をトリガとして電源が立ち上がる(省電力モードから復帰する)制御も考えられる。この場合、印刷ジョブにより電源が立ち上げられて、画像形成装置100の各部が画像形成動作可能な状態になった時点で、当該印刷ジョブが実行される。
【0056】
CPU10は、センサ115a〜115cの出力に基づきテストパターン列210を検知する(ステップS104)。そして、次のステップS105で、
図5を用いて説明したようにして、検知されたテストパターン列210の情報に基づき主走査方向および副走査方向の色ズレ量を求め、求めれた各色ズレ量から、各種の補正値を算出する。
【0057】
補正値を算出すると、CPU10は、印刷動作が印刷画像のページ間に達しているか否かを判定する(ステップS106)。若し、1ページ分の印刷画像の形成が終了し、次のページの印刷画像の形成の開始前であった場合には、CPU10は、処理をステップS107に移行させ、ステップS105で算出された各補正値を画像形成装置100の各部に反映させる。ページ間を待機して補正値の反映を行うのは、ページ内での画像品質のばらつきを抑えるためである。
【0058】
図8は、実施形態による画像形成条件調整の一例の処理をより詳細に示すフローチャートである。実施形態では、
図6を用いて説明した、テストパターン列210の形成と、中間転写ベルト114に対する印刷画像の転写とを並行して行う。この
図8のフローチャートにおける各処理は、CPU10がROM12から読み出したプログラムにより画像形成装置100の各部を制御することにより実行される。
【0059】
画像形成装置100の電源が立ち上げられると、CPU10は、上述した
図7のフローチャートにおけるステップS100およびステップS101の処理を実行し、画像形成装置100内の温度に応じた各補正値をROM12から読み出し、画像形成装置100の各部に適用する(図示しない)。これにより、画像形成装置100は、画像形成が可能な状態となる。
【0060】
画像形成が可能な状態となると、CPU10は、ステップS120で、中間転写ベルト114の両端部すなわちセンサ115aおよび115cに対応する位置に、それぞれテストパターン列210を形成する。次のステップS121で、CPU10は、センサ115aおよび115cの出力に基づき、ステップS120で形成したテストパターン列210を検知する。そして、
図5を用いて説明したようにして、CPU10は、検知されたテストパターン列210の情報に基づき主走査方向および副走査方向の色ズレ量を算出し、各色ズレ量から主走査レジストズレ、副走査レジストズレおよびスキューの各補正値の算出処理を開始し、処理を次のステップS122に移行させる。
【0061】
ステップS122で、CPU10は、印刷ジョブが供給されているか否かを判定する。若し、印刷ジョブが供給されていないと判定した場合、CPU10は、処理をステップS123に移行させ、ステップS121で開始された補正値の算出処理が終了したか否かを判定する。若し、終了していないと判定した場合、CPU10は、処理をステップS120に戻す。一方、補正値の算出処理が終了したと判定した場合、CPU10は、処理をステップS124に移行させ、算出された補正値を、画像形成装置100の各部に反映させる。
【0062】
上述のステップS122で、CPU10は、補正値の算出処理の途中で印刷ジョブが供給されたと判定した場合、処理をステップS125に移行させる。ステップS125では、CPU10は、印刷ジョブに従った印刷画像の形成を開始する。これにより、各感光体ドラム104a、106a、108aおよび110a上に形成された静電潜像による印刷画像が現像されて中間転写ベルト114に転写され中間転写ベルト114上に印刷画像が形成される。さらに、ステップS125では、中間転写ベルト114への印刷画像の形成と並行して、中間転写ベルト114に対して、センサ115aおよび115cに対応する各位置にテストパターン列210を形成する。
【0063】
次のステップS126で、CPU10は、センサ115a〜115cの出力に基づきステップS125で形成されたテストパターン列210を検知し、検知されたテストパターン列210の情報に基づき主走査方向および副走査方向の色ズレ量を求め、求められた各色ズレ量から、各種の補正値を算出する。
【0064】
補正値を算出すると、CPU10は、印刷動作が印刷画像のページ間に達しているか否かを判定する(ステップS127)。若し、1ページ分の印刷画像の形成が終了し、次のページの印刷画像の形成の開始前であった場合には、CPU10は、処理をステップS128に移行させ、ステップS126で算出された各種補正値を画像形成装置100の各部に反映させる。
【0065】
このように、実施形態によれば、電源立ち上げ直後に実行する印刷ジョブがない場合でも、画像形成条件の調整(補正)が実行される。印刷ジョブが供給される前に調整が完了した場合には、印刷画像の1ページ目から調整された画像形成条件により、印刷画像が形成される。また、画像形成条件の調整の途中で印刷ジョブが供給されても、調整を実行したまま印刷画像の形成ができるので、ダウンタイムの発生が抑えられる。
【0066】
(実施形態の変形例)
次に、実施形態の変形例について説明する。上述した実施形態では、テストパターン列210を、中間転写ベルト114の両端の、センサ115aおよび115cに対応する位置にのみ形成し、中央のセンサ115bに対応する位置に形成していなかった。そのため、上述したように、主走査レジストズレ、副走査レジストズレおよびスキュー補正が可能である一方で、主走査方向の倍率誤差偏差については補正できない。
【0067】
そこで、実施形態の変形例では、画像形成装置100は、
図9に示されるように、中間転写ベルト114の両端および中央の、センサ115aおよび115c、ならびに、センサ115bに対応する位置にそれぞれテストパターン列210を形成する。そして、画像形成装置100は、センサ115a、115bおよび115cの出力に基づきそれぞれ対応するテストパターン列210を検知し、検知結果に基づき画像形成条件の調整を行う。
【0068】
図10は、実施形態の変形例による画像形成条件調整の一例の処理をより詳細に示すフローチャートである。この
図10のフローチャートにおける各処理は、CPU10がROM12から読み出したプログラムにより画像形成装置100の各部を制御することにより実行される。
【0069】
画像形成装置100の電源が立ち上げられると、CPU10は、上述した
図7のフローチャートにおけるステップS100およびステップS101の処理を実行し、画像形成装置100内の温度に応じた各補正値をROM12から読み出し、画像形成装置100の各部に適用する(図示しない)。これにより、画像形成装置100は、画像形成が可能な状態となる。
【0070】
画像形成が可能な状態となると、CPU10は、ステップS130で、中間転写ベルト114の両端部および中央部、すなわち、センサ115aおよび115c、ならびに、センサ115bに対応する位置に、それぞれテストパターン列210を形成する。次のステップS131で、CPU10は、センサ115a、115bおよび115cの出力に基づき、ステップS130で形成したテストパターン列210を検知する。そして、
図5を用いて説明したようにして、CPU10は、検知されたテストパターン列210の情報に基づき主走査方向および副走査方向の色ズレ量を算出し、算出された各色ズレ量から主走査レジストズレ、副走査レジストズレ、スキューおよび主走査方向の倍率誤差偏差の各補正値の算出処理を開始し、処理を次のステップS132に移行させる。
【0071】
ステップS132で、CPU10は、印刷ジョブが供給されているか否かを判定する。若し、印刷ジョブが供給されていないと判定した場合、CPU10は、処理をステップS133に移行させ、ステップS131で開始された補正値の算出処理が終了したか否かを判定する。若し、終了していないと判定した場合、CPU10は、処理をステップS130に戻す。一方、補正値の算出処理が終了したと判定した場合、CPU10は、処理をステップS134に移行させ、算出された補正値を、画像形成装置100の各部に反映させる。
【0072】
上述のステップS132で、CPU10は、補正値の算出処理の途中で印刷ジョブが供給されたと判定した場合、処理をステップS135に移行させる。ステップS135では、CPU10は、上述のステップS130で開始された、中間転写ベルト114の両端部および中央部に対応する位置にそれぞれテストパターン列210を形成する処理を、一旦中止する。
【0073】
次のステップS136で、CPU10は、印刷ジョブに従った印刷画像の形成を開始する。さらに、ステップS136では、中間転写ベルト114への印刷画像の形成と並行して、中間転写ベルト114の両端すなわちセンサ115aおよび115cに対応する各位置にテストパターン列210を形成する。
【0074】
次のステップS137で、CPU10は、センサ115aおよび115
cの出力に基づきステップS136で形成されたテストパターン列210を検知し、検知されたテストパターン列210の情報に基づき主走査方向および副走査方向の色ズレ量を求め、求められた各色ズレ量から、主走査レジストズレ、副走査レジストズレ、スキューおよび主走査方向の各種の補正値を算出する。
【0075】
補正値を算出すると、CPU10は、印刷動作が印刷画像のページ間に達しているか否かを判定する(ステップS138)。若し、1ページ分の印刷画像の形成が終了し、次のページの印刷画像の形成の開始前であった場合には、CPU10は、処理をステップS139に移行させ、ステップS137で算出された各補正値を画像形成装置100の各部に反映させる。
【0076】
このように、実施形態の変形例では、電源立ち上げ直後にはできるだけ精度の高い調整を行い、印刷ジョブが供給された時点で当該印刷ジョブを実行するようにしているため、ダウンタイムの発生が抑制される。また、印刷ジョブの実行に伴い、中間転写ベルト114の両端部と中央部とに対するテストパターン列210の形成が中断されても、印刷画像の形成と並行してテストパターン列210が形成されるため、印刷画像の品質が保たれる。
【0077】
なお、上述した実施形態および実施形態の変形例では、電源立ち上げ後の最初の印刷ジョブによる画像形成処理中(1ページ分の印刷画像の形成処理中)に画像形成条件の調整が終了するように説明したが、これはこの例に限定されず、必ずしも印刷ジョブ中に調整が終了する必要は無い。
【0078】
すなわち、印刷ジョブ終了時に画像形成条件の調整が終了していない場合であっも、調整を継続することで、途中まで得られた検知結果や補正値を無駄にすることなく画像形成条件を最適化できる。
【0079】
また、電源立ち上げ後の最初の印刷ジョブ終了後にも継続して行われている画像形成条件の調整中に新たな印刷ジョブが供給された場合、中間転写ベルト114に対してテストパターン列210と印刷画像とを並行して形成することで、途中まで得られた検知結果や補正値を無駄にすることが無く、さらにダウンタイムを抑制して印刷ジョブを実行することができる。これが可能となるのは、テストパターンを画像と重ならない位置に形成するためである。
【0080】
上述の実施形態および実施形態の変形例は、本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形の実施が可能である。