特許第6036111号(P6036111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036111
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】水性表面処理剤及びそれを用いた物品
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/04 20060101AFI20161121BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20161121BHJP
   C09D 123/12 20060101ALI20161121BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   C09D175/04
   C09D7/12
   C09D123/12
   C09D5/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-216513(P2012-216513)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70128(P2014-70128A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 盛緒
(72)【発明者】
【氏名】坂井 美代
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−176615(JP,A)
【文献】 特開2002−309152(JP,A)
【文献】 特開2005−281863(JP,A)
【文献】 特開2007−118584(JP,A)
【文献】 特開2006−272767(JP,A)
【文献】 特開平07−163941(JP,A)
【文献】 特開平07−228828(JP,A)
【文献】 特開平11−071545(JP,A)
【文献】 特開2001−271173(JP,A)
【文献】 特開2000−234078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00− 10/00
101/00−201/10
C09K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基及び/又は水酸基を有する水性ポリウレタン(A)、溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)及び架橋剤(C)を含有する水性表面処理剤であって、前記ポリオレフィンワックス(B)がポリプロピレンワックスであることを特徴とする水性表面処理剤。
【請求項2】
前記水性ポリウレタン(A)が、ポリカーボネート系水性ポリウレタンである請求項1記載の水性表面処理剤。
【請求項3】
前記架橋剤(C)が、カルボジイミドである請求項1又は2記載の水性表面処理剤。
【請求項4】
さらに、マット剤(D)を含有する請求項1〜のいずれか1項記載の水性表面処理剤。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項記載の水性表面処理剤の塗膜を有することを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品の表面に様々な意匠性を付与することのできる水性表面処理剤及びそれを用いた成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
各種物品は、意匠性の向上、高級感の付与を目的として、その表面に塗料が塗装されることが多い。例えば、家電製品の筐体、パソコン、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の筐体、自動車内外装材などのプラスチック成形品の表面を艶消し処理して、高級感のある意匠性を付与するために、表面処理剤が用いられている。この表面処理剤として、従来は溶剤系のものが多かったが、揮発性有機化合物(以下、「VOC」と略記する。)を発生して環境負荷が大きいことから、VOCの排出量の削減が求められ、表面処理剤の水性化が進められている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。
【0003】
しかしながら、水性表面処理剤は、溶剤系表面処理剤と比較して、耐薬品性、特に耐溶剤性に劣り、水性表面処理剤の塗膜表面を、アルコール等の溶剤を含む洗浄剤で拭き取る等を行うとその拭き取った痕が目立つという問題があった。
【0004】
そこで、塗膜表面が溶剤と接触してもその痕が目立たない水性表面処理剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−342549号公報
【特許文献2】特開2006−176615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、各種物品の表面に様々な意匠性を付与するとともに、塗膜表面が溶剤と接触してもその痕(以下、「溶剤痕」と略記する。)が目立たない水性表面処理剤及びそれを用いた物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルボキシル基及び/又は水酸基を有する水性ポリウレタン、特定の溶融範囲を有するポリオレフィンワックス及び架橋剤を含有する水性表面処理剤は、物品の表面に様々な意匠性を付与できるとともに、塗膜表面が溶剤と接触しても溶剤痕が目立たないことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有する水性ポリウレタン(A)、溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)及び架橋剤(C)を含有する水性表面処理剤であって、前記ポリオレフィンワックス(B)がポリプロピレンワックスであることを特徴とする水性表面処理剤及びそれを用いた物品に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水性表面処理剤は、物品の表面に様々な意匠性を付与できるとともに、塗膜表面が溶剤と接触しても溶剤痕が目立たないため、各種物品の表面処理剤として用いることができる。特に、プラスチック成形品に好適に用いることができ、プラスチック成形品の中でも熱可塑性オレフィン(Thermo Plastic Olefin;以下、「TPO」と略記する。)の成形品であるTPOレザーやTPOシートにより好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の水性表面処理剤は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有する水性ポリウレタン(A)、ポリプロピレンワックス(B)及び架橋剤(C)を含有するものである。
【0011】
前記水性ポリウレタン(A)は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリウレタンで、水性媒体中に分散可能なものである。この水性ポリウレタン(A)のうち、水酸基を有するポリウレタンの製造方法としては、例えば、過剰量のポリオール及び/又はグリコールとポリイソシアネートとを反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマーに2−アミノエタノール、2−アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコール、アミノフェノール等を反応させて水酸基を有するポリウレタンを得る方法等が挙げられる。一方、カルボキシル基を有するポリウレタンの製造方法としては、例えば、カルボキシル基を有する化合物を原料としてウレタン化反応の際に使用する方法が挙げられる。
【0012】
前記水性ポリウレタン(A)の原料として用いるポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、耐久性が優れていることから、ポリカーボネートポリオールが好ましい。また、カルボキシル基を有するポリウレタンの原料として用いるカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロール吉草酸等が挙げられる。これらの中でも、2,2’−ジメチロールプロピオン酸が好ましい。
【0013】
上記の製造方法により得られる前記水性ポリウレタン(A)の中でも、ポリカーボネートポリオールを原料として用いたポリカーボネート系水性ポリウレタンは、塗膜強度が高いことから好ましい。また、前記水性ポリウレタン(A)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0014】
前記ポリオレフィンワックス(B)は、ポリプロピレンワックスを用いる。また、その溶融範囲は、140〜180℃であるが、145〜175℃がより好ましく、150〜170℃がさらに好ましい。このようなポリオレフィンワックス(B)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。なお、本発明において、ポリオレフィンワックス(B)として、2種以上のものを併用した場合、その溶融範囲は、混合物での溶融範囲とする。また、溶融範囲は、JIS試験方法K0064−1992に準拠して測定したものである。
【0015】
上記のポリオレフィンワックス(B)として、ポリプロピレンワックスを用いると、溶剤痕を低減できることから好ましい。また、前記ポリオレフィンワックス(B)の使用量としては、溶剤痕の低減効果と塗膜強度を高めることができるから、前記水性ポリウレタン(A)の樹脂分100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲が好ましく、3〜15質量部の範囲がより好ましい。

【0016】
前記架橋剤(C)としては、オキサゾリン、カルボジイミド、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネート、エポキシ、ポリシロキサン、アジリジン、アルキル化メラミン等の尿素樹脂系架橋剤、ヒドラジド系架橋剤などが挙げられる。これらの中でも、架橋性能と安全性の面から、カルボジイミドが好ましい。また、これらの架橋剤(C)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。前記架橋剤(C)の使用量としては、塗膜強度の観点から、前記水性ポリウレタン(A)の樹脂分100質量部に対して、0.5〜30質量部の範囲が好ましく、2〜25質量部の範囲がより好ましい。
【0017】
本発明の水性表面処理剤のうち、上記の成分(A)〜(C)を含有するものを物品に塗工すると、いわゆるクリア塗料となり、物品の表面に光沢性を付与することができる。また、物品の表面に高級感を付与するためマット調の意匠を付与したい場合には、上記の成分(A)〜(C)に加えて、マット剤(D)を本発明の水性表面処理剤に配合することが好ましい。
【0018】
前記マット剤(D)としては、例えば、シリカ粒子、有機ビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、雲母、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、アルミナシリケイト等が挙げられる。
【0019】
前記シリカ粒子としては、乾式シリカ、湿式シリカ等が挙げられる。これらの中でも、散乱効果が高く光沢値の調整範囲が広くなること、溶剤痕の低減効果が高くなることから、乾式シリカが好ましい。また、組成物中に分散しやすくなることから、有機化合物で表面修飾した乾式シリカがより好ましい。これらシリカ粒子の平均粒子径としては、2〜14μmの範囲が好ましく、3〜12μmの範囲がより好ましい。
【0020】
前記シリカ粒子の使用量としては、所望のマット調の意匠が得られる光沢値が達成できることから、前記水性ポリウレタン(A)の樹脂分100質量部に対して、0.1〜40質量部の範囲が好ましく、10〜30質量部の範囲がより好ましい。
【0021】
前記有機ビーズとしては、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、シリコンビーズ、オレフィンビーズ等が挙げられる。
【0022】
前記マット剤(D)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0023】
本発明の水性表面処理剤には、上記の成分(A)〜(D)以外に、各種界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、粘弾性調整剤、消泡剤、湿潤剤、分散剤、防腐剤、膜形成剤、可塑剤、浸透剤、香料、殺菌剤、殺ダニ剤、防かび剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、染料、顔料(例えば、チタン白、ベンガラ、フタロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエロー等)等の添加剤を配合しても構わない。
【0024】
本発明の物品は、本発明の水性表面処理剤の塗膜を有するものである。また、物品としては、例えば、家電製品(冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビ等)の筐体、電子機器(パソコン、携帯電話、スマートフォン等)の筐体、楽器(ピアノ、エレクトーン、電子楽器等)の材料;自動車又は鉄道車両の内装材(インスツルメントパネル、ドアトリム、ヘッドライニング、トノーカバー等)、建材又は家具材(壁紙、合板用化粧シート、鋼板用化粧シート、椅子貼り用レザー等)、包装材料(ラッピングフィルム等)などのプラスチック成形品;木質材料(合板、集成材、単層積層材等);セラミック材料(内装タイル、煉瓦等);が挙げられる。スポーツ(スキー、アーチェリー、ゴルフ、テニス等)用具材料;履物材料(靴の甲材、底、芯材、ヒール、トップリフト、中敷等);金属材料(鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等)などが挙げられる。これらの物品の中でも、本発明の水性表面処理剤は、プラスチック成形品に好適に用いることができ、そのプラスチック成形品の中でも、TPOレザー、TPOシートに用いることが好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0026】
(実施例1)
水性ポリウレタン(DIC株式会社製「ハイドラン WLS−210」、ポリカーボネート系水性ポリウレタン、不揮発分35質量%)47.1質量部(水性ポリウレタンとして16.5質量部)、ポリプロピレンワックス(Micro Powders社製「MICROMATTE 1213UVW」;溶融範囲150〜156℃)1.1質量部、架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライト E−04」、カルボジイミド系架橋剤)3.5質量部、ノニオン系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製「ノイゲン EA−157」)0.1質量部、フッ素系界面活性剤(DIC株式会社製「メガファック F−444」)0.1質量部、粘弾性調整剤(サンノプコ株式会社製「SNシックナー 612NC」)0.9質量部及びイオン交換水44.2質量部を均一に混合して、水性表面処理剤(1)を得た。
【0027】
[評価用塗膜の作製]
上記で得られた水性表面処理剤(1)をバーコーターNo.14を用いてTPOシート(厚さ0.4mm)上に塗工し、120℃で1分間乾燥して評価用の塗膜を得た。
【0028】
[耐溶剤性の評価]
上記で得られた評価用塗膜の表面にエタノールを0.05ml滴下し、そのまま3時間放置した後、エタノールの滴下痕の直径を測定した。得られた測定値から、下記の基準にしたがって耐溶剤性を評価した。
○:滴下痕の直径が25mm未満である。
×:滴下痕の直径が25mm以上である。
【0029】
(実施例2〜11)
下記表1の配合組成にしたがって、実施例1と同様に操作して水性表面処理剤(2)〜(11)を得た。また、実施例1と同様に、得られた水性表面処理剤について、耐溶剤性の評価を行った。
【0030】
(比較例1〜9)
下記表2の配合組成にしたがって、実施例1と同様に操作して水性表面処理剤(R1)〜(R9)を得た。また、実施例1と同様に、得られた水性表面処理剤について、耐溶剤性の評価を行った。
【0031】
上記の実施例1〜11の水性表面処理剤(1)〜(11)の配合組成及び耐溶剤性の評価結果を表1に、比較例1〜9の水性表面処理剤(R1)〜(R9)の配合組成及び耐溶剤性の評価結果を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
上記表1及び2に記載した各配合成分の詳細は下記の通りである。
「ハイドラン WLS−210」:DIC株式会社製のポリカーボネート系水性ポリウレタン(不揮発分35質量%)
「ACEMATT TS−100」:エボニックデグサ社製の乾式法で製造されたシリカ粒子
「ACEMATT 3300」:エボニックデグサ社製の乾式法で製造し、表面を有機処理されたシリカ粒子
「NIPGEL AZ−200」:東ソー・シリカ株式会社製の湿式法で製造されたシリカ粒子
「ACEMATT EXP−3600」:エボニックデグサ社製の湿式法で製造し、表面を有機処理されたシリカ粒子
「アートパール G−800」:根上工業株式会社製の架橋ポリマー微粒子
「タフチック ASF−7」:東洋紡績株式会社製のポリアクリロニトリルを主成分とする艶消し剤
「MICROMATTE 1213UVW」:Micro Powders社製のポリプロピレンワックス(溶融範囲150〜156℃)
「MICROPRO 440W」:Micro Powders社製のポリプロピレンワックス(溶融範囲150〜156℃)
「MPP−620XF」:Micro Powders社製のポリエチレンワックス(溶融範囲114〜116℃)
「CERAFLOUR 998」:ビックケミー・ジャパン株式会社製のPTPF(ポリテトラフルオロエチレン)変性ポリエチレンワックス(溶融範囲113〜116℃)
「カルボジライト E−04」:日清紡ケミカル株式会社製のカルボジイミド系架橋剤
「ノイゲン EA−157」:第一工業製薬株式会社製のノニオン系界面活性剤
「メガファック F−444」:DIC株式会社製のフッ素系界面活性剤
「SNシックナー 612NC」:サンノプコ株式会社製の粘弾性調整剤
【0035】
表1に示した結果から、本発明の水性表面処理剤である実施例1〜11の水性表面処理剤(1)〜(11)は、エタノールの滴下痕の直径が9〜16mmとあまり大きくなく、小さい滴下痕しか残らないことから、高い耐溶剤性を有することが分かった。
【0036】
一方、比較例1は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)を用いず、マット剤も用いなかった例である。この比較例1〜4のものは、エタノールの滴下痕の直径が34mmと比較的大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。
【0037】
一方、比較例2〜5は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)を用いず、マット剤としてシリカ粒子を用いた例である。この比較例2〜5のものは、エタノールの滴下痕の直径が40〜48mmと大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。
【0038】
比較例6及び7は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)を用いず、マット剤として有機ビーズを用いた例である。この比較例6及び7のものは、エタノールの滴下痕の直径が46〜57mmと大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。
【0039】
比較例8は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)の代わりに、溶融範囲が114〜116℃であるポリエチレンワックスを用いた例である。この比較例8のものは、エタノールの滴下痕の直径が46mmと大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。
【0040】
比較例9は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)の代わりに、溶融範囲が113〜116℃であるPTFE変性ポリエチレンワックスを用いた例である。この比較例9のものは、エタノールの滴下痕の直径が45mmと大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。