【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0026】
(実施例1)
水性ポリウレタン(DIC株式会社製「ハイドラン WLS−210」、ポリカーボネート系水性ポリウレタン、不揮発分35質量%)47.1質量部(水性ポリウレタンとして16.5質量部)、ポリプロピレンワックス(Micro Powders社製「MICROMATTE 1213UVW」;溶融範囲150〜156℃)1.1質量部、架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライト E−04」、カルボジイミド系架橋剤)3.5質量部、ノニオン系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製「ノイゲン EA−157」)0.1質量部、フッ素系界面活性剤(DIC株式会社製「メガファック F−444」)0.1質量部、粘弾性調整剤(サンノプコ株式会社製「SNシックナー 612NC」)0.9質量部及びイオン交換水44.2質量部を均一に混合して、水性表面処理剤(1)を得た。
【0027】
[評価用塗膜の作製]
上記で得られた水性表面処理剤(1)をバーコーターNo.14を用いてTPOシート(厚さ0.4mm)上に塗工し、120℃で1分間乾燥して評価用の塗膜を得た。
【0028】
[耐溶剤性の評価]
上記で得られた評価用塗膜の表面にエタノールを0.05ml滴下し、そのまま3時間放置した後、エタノールの滴下痕の直径を測定した。得られた測定値から、下記の基準にしたがって耐溶剤性を評価した。
○:滴下痕の直径が25mm未満である。
×:滴下痕の直径が25mm以上である。
【0029】
(実施例2〜11)
下記表1の配合組成にしたがって、実施例1と同様に操作して水性表面処理剤(2)〜(11)を得た。また、実施例1と同様に、得られた水性表面処理剤について、耐溶剤性の評価を行った。
【0030】
(比較例1〜9)
下記表2の配合組成にしたがって、実施例1と同様に操作して水性表面処理剤(R1)〜(R9)を得た。また、実施例1と同様に、得られた水性表面処理剤について、耐溶剤性の評価を行った。
【0031】
上記の実施例1〜11の水性表面処理剤(1)〜(11)の配合組成及び耐溶剤性の評価結果を表1に、比較例1〜9の水性表面処理剤(R1)〜(R9)の配合組成及び耐溶剤性の評価結果を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
上記表1及び2に記載した各配合成分の詳細は下記の通りである。
「ハイドラン WLS−210」:DIC株式会社製のポリカーボネート系水性ポリウレタン(不揮発分35質量%)
「ACEMATT TS−100」:エボニックデグサ社製の乾式法で製造されたシリカ粒子
「ACEMATT 3300」:エボニックデグサ社製の乾式法で製造し、表面を有機処理されたシリカ粒子
「NIPGEL AZ−200」:東ソー・シリカ株式会社製の湿式法で製造されたシリカ粒子
「ACEMATT EXP−3600」:エボニックデグサ社製の湿式法で製造し、表面を有機処理されたシリカ粒子
「アートパール G−800」:根上工業株式会社製の架橋ポリマー微粒子
「タフチック ASF−7」:東洋紡績株式会社製のポリアクリロニトリルを主成分とする艶消し剤
「MICROMATTE 1213UVW」:Micro Powders社製のポリプロピレンワックス(溶融範囲150〜156℃)
「MICROPRO 440W」:Micro Powders社製のポリプロピレンワックス(溶融範囲150〜156℃)
「MPP−620XF」:Micro Powders社製のポリエチレンワックス(溶融範囲114〜116℃)
「CERAFLOUR 998」:ビックケミー・ジャパン株式会社製のPTPF(ポリテトラフルオロエチレン)変性ポリエチレンワックス(溶融範囲113〜116℃)
「カルボジライト E−04」:日清紡ケミカル株式会社製のカルボジイミド系架橋剤
「ノイゲン EA−157」:第一工業製薬株式会社製のノニオン系界面活性剤
「メガファック F−444」:DIC株式会社製のフッ素系界面活性剤
「SNシックナー 612NC」:サンノプコ株式会社製の粘弾性調整剤
【0035】
表1に示した結果から、本発明の水性表面処理剤である実施例1〜11の水性表面処理剤(1)〜(11)は、エタノールの滴下痕の直径が9〜16mmとあまり大きくなく、小さい滴下痕しか残らないことから、高い耐溶剤性を有することが分かった。
【0036】
一方、比較例1は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)を用いず、マット剤も用いなかった例である。この比較例1〜4のものは、エタノールの滴下痕の直径が34mmと比較的大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。
【0037】
一方、比較例2〜5は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)を用いず、マット剤としてシリカ粒子を用いた例である。この比較例2〜5のものは、エタノールの滴下痕の直径が40〜48mmと大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。
【0038】
比較例6及び7は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)を用いず、マット剤として有機ビーズを用いた例である。この比較例6及び7のものは、エタノールの滴下痕の直径が46〜57mmと大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。
【0039】
比較例8は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)の代わりに、溶融範囲が114〜116℃であるポリエチレンワックスを用いた例である。この比較例8のものは、エタノールの滴下痕の直径が46mmと大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。
【0040】
比較例9は、本発明で用いる溶融範囲が140〜180℃であるポリオレフィンワックス(B)の代わりに、溶融範囲が113〜116℃であるPTFE変性ポリエチレンワックスを用いた例である。この比較例9のものは、エタノールの滴下痕の直径が45mmと大きく、耐溶剤性が十分でないことが分かった。