(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像描画手段により変換された前記正解画像データがモノクロ画像の場合、前記画像描画手段はモノクロ用のPCS色空間の正解画像データを生成して前記画像検査手段に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像検査システム。
【背景技術】
【0002】
従来、画像検査装置にあっては、被検査印刷物の画像を画像読み取り装置で読み取り、その読み取り画像RGBデータと予め準備されている正解画像RGBデータとを比較することにより画像検査を行なっている。例えば、オフセット印刷機のように一度製版したら同じものを何部も印刷するような印刷機に装着するための画像検査装置が既に市販されており、出力した良品画像を画像読み取り装置で読み取って正解画像として画像検査を行なう技術が知られている。
近年、オンデマンドプリンティングが実用化され、プリンタの描画画像のCMYKデータを元に画像検査用の正解画像RGBデータを作成して画像検査を行う装置が検討されている。この場合、画像検査用の正解画像RGBデータを作成するためには描画画像CMYKデータから変換を行う色変換テーブルが必要になる。
しかし、プリンタの種類により同じ色であってもCMYK値が変化するため、プリンタの種類ごとにCMYKデータからRGBデータへの色変換テーブルを準備する必要があった。
【0003】
なお、従来の画像検査システムとして、特許文献1には、検査を行うためのマスタ画像データを印刷画像データから作成する構成が開示されている。
また特許文献2には、印刷結果を検査するために、用紙上に印刷された印刷結果を読み取ることで得られた画像データの位置ズレや倍率誤差などの補正を効率的に行う印刷結果検査装置について開示されている。
更に特許文献3には、印刷媒体の種類が混在した印刷であっても、印刷媒体ごとに画質の良否を判定するための判定基準を設定できる印刷物検査装置について開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
<実施形態>
図1は本発明の実施形態に係る画像検査システムの構成を示す図である。
画像検査システム100は、クライアントPC1、プリントサーバ2、プリンタ3、画像読取装置4、及び画像検査装置5を備えている。
クライアントPC1は、DFE(Digital Front End)2に対して原画像データのプリント指示を出力する。
プリントサーバ(以下、DFEと呼ぶ)(画像描画手段)2は、プリント指示がなされた原画像データについてプリンタ言語を解析するとともに、出力画像データの描画を行う。
プリンタ(原稿印刷手段)3は、DFE2から取得したRIP画像データ(出力画像データ)8に基づいて被検査原稿12を印刷する。なお、プリンタ3は複数備えていてもよい。
【0009】
画像読取装置(画像読取手段)4は、プリンタ3により印刷された被検査原稿12の画像データを読み取る。
画像検査装置(画像検査手段)5は、DFE2から出力されたRIP画像データ(正解画像データ)6と、画像読取装置4により読み取られた被検査原稿12に係るRGBデータ(画像データ)7とを比較して被検査原稿12の印刷品質を検査する。
【0010】
以下、画像検査システム100の概略動作について説明する。
クライアントPC1より原画像データのプリント指示が発行されると、DFE2において原画像データのプリンタ言語の解析、原画像データを描画し、最終的には接続されているプリンタ3が受け取れる形式のビットマップ画像(出力画像データ)を生成する。本実施形態では600dpiCMYKの8bitのRIP画像データ8になる。このRIP画像データ8はプリンタ3に送られて被検査原稿12が印刷出力される。印刷出力された被検査原稿12は画像検査装置5に接続されている画像読取装置4によってRGBデータ7が読み取られる。
【0011】
また、上記RIP画像データ8は画像検査装置5にRIP画像データ6として転送されている。このRIP画像データ6から作成された正解画像データと、画像読取装置4で読み取られたRGBデータ7とを比較することで画像の検査を行なう。例えば、検査の方法として、所定のパラメータを設定して、その閾値を超えたとき基準値をクリアしてものとして合格とする。なお、画像検査結果が不合格の場合にどのような動作を行なうかという点についてはその説明を省略する。
【0012】
図2は出力装置としてCMYK画像データを入力データとする画像出力デバイス(例えばCMYKレーザプリンタ)を選択した場合を例として、より詳細な処理の流れを説明するための図である。同じ構成要件については、
図1に示す同じ符号を付して説明する。
図1との対応として、クライアントPC1が
図2に示す編集サイト25であり、DFE2からプリンタ3に相当するのは
図2に示す出力サイト17である。
以下、特に説明を簡単化するため、PCS(Profile Connection Space)の表色系としてCIE1976のLab空間を用い、PCSをその部分空間として扱う。なお、Lab空間において、Lは0から100、aは−128から+128、bは−128から+128の値をとり、L,a,bの値が定まると色が一意に決まる空間を指す。
PCSは、接続色空間を示しており、ICCプロファイルで使われている概念である。PCSは、スキャナのRGB等の一つの色空間からプリンタのYMC等の他の色空間に変換する際に、途中で経由する空間として用いられるXYZやCIELAB等のデバイスに依存しない色空間である。この色空間への機器従属空間からの変換や、この色空間からの変換には、デバイスプロファイルを用いて行われる。
出力サイト17の画像出力デバイス11に接続されたDFE2のRIP(Raster Image Processor)40は、編集サイト25で編集された入力原稿48を画像出力デバイス11の解像度に合わせたbitmapデータに展開する。このとき、入力原稿48に埋め込まれたRGB画像データ19は、予め関連づけられたRGBプロファイル20に従って、RGB/PCS変換部41によって、Lab空間内に形成されるRGB色域43上の値に変換される。
【0013】
次いで、GMA45により画像出力デバイス11の用紙設定に合わせた出力CMYK色域47上の値に変換される。このとき、GMA45が必要とする出力CMYK色域47と、後段のPCS/CMYK変換部10が必要とする変換パラメータには、用紙プロファイルDB13から選択し指定された用紙プロファイル14の情報が用いられる。このときRGBプロファイル20は出力されるプリンタ群に応じて適宜決められている。一例として出力されるプリンタの色域の共通部分として定義される場合もある。その場合は、どのプリンタで出力しても同じ色を再現できることを保証できる。
【0014】
同様に、入力原稿48のCMYKデータ24は、予め関連づけられたCMYKプロファイル23に従って、CMYK/PCS変換部42によって、Lab空間内に形成されるCMYK色域44上の値に変換され、次いで、GMA46により画像出力デバイス11の用紙設定に合わせた出力CMYK色域47に変換される。CMYK色域47の範囲の写像された両画像データは、PCS/CMYK変換部10により、画像出力デバイス11の入力値となるCMYK面順次データへと展開・合成され、画像出力デバイス11により被検査原稿12が出力される。
従来、画像検査システムは、DFE2からプリンタ3に出力されるRIP画像データ8から正解画像データ6を構築する構成となっていた。
これに対して、本実施形態では、
図2に示す中間画像データ領域PCS(Lab)空間の画像データを、DFE2から画像検査装置5に転送して、それを元に正解画像データ6を生成する。
【0015】
<第1の実施例>
図3は
図1に示す本発明の実施形態に係る画像検査システムの第1の実施例を説明するための図である。同じ構成要件には
図1と同じ符号を付して説明する。
DFE2は、RIP(Raster Image Processor)40、RGB/PCS変換部41、CMYK/PCS変換部42、及びPCS/CMYK変換部10を備えている。
RIP40は、編集サイト25で編集された入力原稿48を画像出力デバイス11の解像度に合わせたbitmapデータに展開する。
RGB/PCS変換部41は、予め関連づけられたRGBプロファイルに従ってLab空間内に形成されるRGB色域上の値に変換する。
CMYK/PCS変換部42は、CMYKデータを予め関連づけられたCMYKプロファイルに従ってLab空間内に形成されるCMYK色域上の値に変換する。
PCS/CMYK変換部10は、画像データを画像出力デバイスの入力値となるCMYK面順次データへと展開・合成する。
【0016】
また、画像検査システム110の画像検査装置(画像検査手段)5は、RGB/Lab変換装置(RGB/Lab変換手段)50、ページバッファ(一時蓄積手段)51、紙種補正装置(記録媒体種類補正手段)52、及び画像比較装置(画像比較手段)53を備えている。
RGB/Lab変換装置50は、画像読取装置4から読み取られたRGB画像データ7をLabデータに変換する。
ページバッファ51は、DEF2から出力された正解画像データ6を蓄積する。
紙種補正装置52は、正解画像データ6に対してプリンタ3が出力する記録媒体12の種類に合わせた補正を行う。
画像比較装置53は、RGB/Lab変換装置50から出力されたLab画像データ57と紙種補正装置52から出力された正解画像データのLab画像データ59との比較を行う。
即ち、RGB/Lab変換装置50は、デバイス固有の色情報であるRGBデータを3D変換Lut(Look Up Table)などの方法を用いてLabデータに変換する。この変換装置は格子点のデータから補間演算により格子中のデータを求める。例えば、既知の4面体補間方式で実装されている。
ページバッファ51では、DFE2から送信された正解画像データ6を一度蓄える機能がある。これは正解画像データ6のPCSが送られてきてから印刷されて画像検査装置5で読み取られるまで時間の差があるからである。このため画像検査装置5で読み取りが行われる動作タイミングに同期して、ページバッファ51から画像データの読み出しが行われる。
【0017】
紙種補正装置52は、PCSのLab値に対して出力する紙種に合わせた補正を行なう。実装する場合、Lab入力58に対して、Lab出力59を出力する3DのLutである。どのようなパラメータを設定するという点についてはその説明を省略するが、ハイライト部の紙の地色に対する補正を行なうことがメインの機能である。紙種に関する情報はDFE2からシリアル通信ライン(図示しない)を介して画像検査装置5に通知される。画像検査装置5はその情報に応じて予め準備されているLUTデータを選択することで紙種への対応を行う。
画像比較装置53は、画像読取装置4からのLab画像57とDFE2からの正解画像データ6の出力の画像データ59との比較を行う。画像読取装置4とDEF2との出力が共にLabデータ(形式)で出力されていれば、式(1)の演算式により簡単に色差が計算でき、色差が所定の値より大きい場合には不一致とすることで画像の検査ができる。
即ち、読み取り画像Lab値を(Ls,as,bs)、正解画像Lab値を(Lr,ar,br)とすると、色差ΔEは、
ΔE=√((Ls−Lr)
2+(as−ar)
2+(bs−br)
2)・・・(1)
として求めることができる。
色差ΔEのしきい値は厳しく検査する領域では3程度だが、一般的な部分ではもっと大きくしてもよい。また、画像のエッジ部分と中心部分や文字と絵柄領域などでしきい値を変えることも多いが、本実施形態では、その詳細な説明を省略する。
【0018】
<第2の実施例>
第1の実施例ではDFE2の中でRIPが行われる構成を想定したが、クラウドサーバ上でRIPを行うなどの構成も考えられる。その場合、PCSデータはクラウドサーバ上から取得することとなる。即ち、PCS色空間の正解画像データ6はネットワーク26を介して取得される。
図2に示すRIP装置40、色変換装置16が出力サイト17ではなく、サーバサイト30の中にある場合である。この場合は複数の印刷装置の設置場所が物理的に遠隔地であっても、正解画像データは1箇所のサーバサイト30から取得すれば良いため、管理・運用が簡単になる。
【0019】
このように、装置に依存せず、かつ出力するプリンタの色域を考慮して決められたPCS色領域のデータを元に画像検査装置5の正解画像データ6を作成する。これにより、出力するプリンタ3が変更されても正解画像データ6を求めるための色変換テーブルを変更する必要はない。
従来、画像検査装置の運用では、正解画像データを求めるための色変換テーブルをプリンタ毎に作成する必要があり手間が掛かっていた。この部分の作業はユーザの作業になるため省力化が望まれていた。
これに対して、本実施形態では、この部分の作業工数を低減して省力化が可能になるという効果がある。
【0020】
図4は、
図1に示す本発明の実施形態に係る画像検査システムの第2の実施例を説明するための図である。同じ構成要件には
図3に示す同じ符号を付して説明する。
図4に示す構成が
図3に示す構成と異なる点は、
図3に示すPCS/CMYK変換部10がDFE2にモノクロ印刷の場合にPCSデータからグレーデータに変換するPCS/gray変換部10Aに代わった点と、画像検査装置5において紙種補正装置52がモノクロ変換装置60に代わった点である。即ち、DFE2から出力された正解画像データ6がモノクロ画像データの場合、DFE2はPCS/gray変換部10Aによりモノクロ用のPCS色空間のRIP画像データ8を生成してプリンタ3に出力する。
しかし、モノクロ印刷の場合は、DFE2においてPCSデータからGrayデータに変換される。画像検査装置104にはグレー変換前のカラーデータのPCS(正解画像データ6)が送信されるので、画像検査装置5においてグレーデータに変換するモノクロ変換装置60が必要である。この例ではPCSはLab空間上に定義されているとしている。Lはそのままにa,bを0とすればグレーになるが、紙の地色の影響を受けるハイライト部では若干の補正が必要である。そのため実際はLab入力、Lab出力の3DのLutで実装されている。
【0021】
このように、画像検査の対象となる複数のプリンタに共通なPCSデータを用いて正解画像データを作成して画像検査を行うため、装置の運用に掛かる作業工数を大幅に削減することができる。
本実施形態では、PCSと呼ばれる複数の出力装置の色空間を考慮して作られる中間色空間を持ったRGBワークフローを前提として考えている。入力されるRGB画像データは一度出力装置の色再現範囲内の色空間PCSにマッピングされる。出力プリンタが複数あっても同一の色空間PCSにマッピングされる。
この色空間PCSのデータは出力プリンタによらず同じ色であれば同じ値となる。この色空間PCS上のデータを元に画像検査用の正解画像データへの変換テーブルを求めれば、出力装置に変更があっても正解画像データを求める変換テーブルを変更する必要はないので上記効果が得られる。
なお、本実施形態の機器連携画像処理システムは、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、スキャナ、プリンタ、サーバー等)から構成されるシステムに適用しても良い。
【0022】
また、上述した画像処理システムの機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(または、CPU、MPU、DSP)が記録媒体に格納されたプログラムコードを実行する。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した画像処理システムの機能を実現することになり、そのプログラムコード又はそのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記録媒体としては、FD、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリ、ROMなどの光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体がある。
【0023】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した画像処理システムの機能が実現される。また、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した画像処理システムの機能が実現される場合も含まれる。
また、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき実行する。そして、そこに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した画像処理システムの機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。