特許第6036336号(P6036336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036336
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   G03G15/20 535
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-10966(P2013-10966)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-142488(P2014-142488A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】北原 拓
(72)【発明者】
【氏名】田口 賢二
(72)【発明者】
【氏名】前田 健児
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−007979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂で形成されたフレームによって支持された、発熱源を内蔵した定着ローラと、前記定着ローラに対向して配置されニップ部を形成する加圧ローラと、前記加圧ローラを揺動自在に支持する軸受と、
その一端が、前記フレームに対して、前記加圧ローラが延びる方向の周りに回転可能に支持されて、前記軸受を介して前記加圧ローラを前記定着ローラに押し当てる加圧レバーと、
その一端が前記加圧レバーの他端に固定されて、前記加圧レバーに対して、前記加圧ローラを前記定着ローラに押し当てる力を付与する加圧部と、
前記加圧部の他端が固定される固定部を有し、前記フレームに設置された固定軸の周りに回転可能に支持されて、前記力の反力を前記フレームに形成された複数の突き当て部と回転方向で接触させることによって支える、複数の支持部が形成された金属製の加圧フックと、を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記加圧レバーと前記加圧フックは、互いに平行な面上で回転可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記加圧フックは、前記加圧部の一端を前記加圧フックに固定して、前記加圧部の他端を前記加圧レバーに固定したときに、加圧部の両端の距離が互いに異なる複数の固定部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置を保持するフレームを変形させることなく、加圧ローラに十分な加圧力を与えることができる定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置に装着され、記録紙上に転写された未定着画像を加熱して定着させる定着装置として、ヒータを内蔵した定着ローラに加圧ローラを押し当てて、それらのローラ間の接触部に記録紙を通過させて熱及び圧力により記録紙上のトナーを定着させる、ヒートローラ方式の定着装置は周知の技術である。近年、電子写真方式の画像形成装置の小型化・低コスト化が求められており、必然的にその画像形成装置に用いる定着装置においても小型化・低コスト化が求められる。そのため、ヒートローラ方式を用いた定着装置については、従来金属製フレームに大径ローラを組み合わせたものであったものが、樹脂フレームに小径ローラを組み合わせたものへと変わりつつある。このように、定着ローラに加圧ローラを押し当てる構造を有する定着装置として、例えば、特許文献1に開示された装置が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、定着装置を小型化するために小径ローラを用いた場合、定着ローラと加圧ローラとの接触部(ニップ部)の長さを確保するため、加圧ローラの加圧力が大きくなる傾向にある。そのため、樹脂フレーム上に設けられた加圧スプリングを掛けるフック部(加圧フック)の強度を確保し、より大きい加圧力に対応させる必要がある。
【0004】
ところが、樹脂フレーム上に加圧フックを取り付けた従来の定着装置においては、加圧ローラの加圧力を大きくしたときに、加圧フックに作用する力によって、樹脂フレーム上における加圧フックの支持部の強度が不足するため、十分な加圧力が得られないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、樹脂フレームを変形させることなく、加圧ローラに十分な加圧力を与えることができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る定着装置および画像形成装置は、樹脂フレームを変形させることなく、加圧ローラに十分な加圧力を与えるものである。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1に係る定着装置は、熱可塑性樹脂で形成されたフレームによって支持された、発熱源を内蔵した定着ローラと、前記定着ローラに対向して配置されニップ部を形成する加圧ローラと、前記加圧ローラを揺動自在に支持する軸受と、その一端が、前記フレームに対して、前記加圧ローラが延びる方向の周りに回転可能に支持されて、前記軸受を介して前記加圧ローラを前記定着ローラに押し当てる加圧レバーと、その一端が前記加圧レバーの他端に固定されて、前記加圧レバーに対して、前記加圧ローラを前記定着ローラに押し当てる力を付与する加圧部と、前記加圧部の他端が固定される固定部を有し、前記フレームに設置された固定軸の周りに回転可能に支持されて、前記力の反力を前記フレームに形成された複数の突き当て部と回転方向で接触させることによって支える、複数の支持部が形成された金属製の加圧フックと、を有することを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明の請求項1に係る定着装置によれば、加圧レバーの一端が、フレームに対して、加圧ローラが延びる方向の周りに回転可能に支持される。そして、加圧レバーは、他端に固定された加圧部により加圧ローラの軸受に押し当てられる。すると、加圧ローラは、発熱源を内蔵した定着ローラに圧着されてトナー像の定着を行うニップ部を形成する。このとき、加圧部の他端が、フレームに設置された固定軸の周りに回転可能に支持された金属製の加圧フックの固定部に固定される。この加圧フックには、加圧レバーを加圧ローラの軸受に押し当てる力の反力が生じる。そして、加圧フックは、この反力を、加圧フックに形成された複数の支持部をフレームに形成された複数の突き当て部にそれぞれ突き当てることによって支える。したがって、加圧フックがフレームに接触したときにかかる応力が、複数の支持部を介して、それぞれの支持部に突き当たった突き当て部に分散してかかる。これによって、1箇所の突き当て部にかかる応力を軽減することができ、樹脂フレームの変形や破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る定着装置および画像形成装置によれば、樹脂フレームを変形させることなく加圧ローラに十分な加圧力を与えることができる定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係る定着装置を備えた画像形成装置の概略構成を説明する図である。
図2】本発明の実施例1に係る定着装置10の構造を説明する図である。
図3】本発明の実施例1に係る加圧レバー16の形態を説明する図である。
図4】本発明の実施例1に係る加圧フック18xの形態を説明する図である。
図5】本発明の実施例1に係る定着装置10の下部フレーム14への加圧レバー16と加圧フック18xの取り付け構造を説明するための図である。
図6】本発明の実施例1に係る加圧レバー16と加圧フック18xの動きを説明する図である。
図7】本発明の実施例2に係る加圧フック18yの形態と機能を説明する第1の図である。
図8】本発明の実施例2に係る加圧フック18yの形態と機能を説明する第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置の第1の実施形態である実施例1について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施形態1に係る定着装置10を備えた画像形成装置1の一例を示す概略構成図である。まず、図1に基づいて、画像形成装置1の全体構成およびその動作について説明する。
(画像形成装置の構成、動作)
【0013】
画像形成装置1内に配置された感光体2は、矢印R1の方向に回転する。このとき、感光体2は、帯電装置3によって表面が均一に帯電される。この感光体2の帯電面には、レーザ光学系4から出射するレーザ光Eが照射され、これにより感光体2上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置5を通ることにより、トナー像として可視像化される。
【0014】
一方、感光体2の下方に配置された給紙カセット6には、転写紙よりなる記録媒体Pが収容されている。この給紙カセット6からは、給紙ローラ7の回転により、記録媒体Pが矢印A1,矢印A2に沿って搬送されて、転写装置8と感光体2との間に送り込まれる。そして、記録媒体Pに感光体2上のトナー像が転写される。トナー像の転写後に、感光体2に付着した転写残トナーが、クリーニング装置9により除去される。
【0015】
トナー像が転写された記録媒体Pは、矢印A3に沿ってさらに上方に搬送され、定着装置10を通過する。このときトナー像が記録媒体Pに定着される。定着装置10を出た記録媒体Pは、矢印A4に沿って搬送され、排紙ローラ対25によって排紙トレイ30上に排出される。
【0016】
定着装置10は、定着ローラ11と、定着ローラ11に対向して配置された耐熱性を有する弾性体で被覆された加圧ローラ12とを有する。この定着ローラ11と加圧ローラ12は、定着装置10を内包する上部フレーム13と下部フレーム14に対して回転自在に支持され、それぞれ、図1に示す矢印R2、矢印R3の方向に回転する。
【0017】
定着ローラ11の内部にはヒータ19が設けられており、定着ローラ11は、このヒータ19によってトナー像の定着に適した温度に加熱される。
【0018】
加圧ローラ12は、後述する加圧レバー16(図2参照)からの押圧力を受けることによって、定着ローラ11に対して押し当てられた状態となっている。
【0019】
この定着装置10では、感光体2から転写されたトナー像を担持した記録媒体Pが、トナー像が定着ローラ11に接する向きで、定着ローラ11と加圧ローラ12との間に送り込まれる。そして、定着ローラ11と加圧ローラ12が圧着した領域において、トナーが加熱されるとともに加圧されることにより、トナー像が記録媒体Pに定着される。
(定着装置の構成、作用)
【0020】
次に、図2に基づいて、定着装置10の全体構成およびその作用について説明する。
(定着装置の構造)
【0021】
図2に示す定着装置10の内部には、定着ローラ11及び加圧ローラ12が回転自在に支持されている。定着装置10の上部フレーム13及び下部フレーム14は、例えばガラス繊維入りポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂によって形成されており、不図示の締結部により互いに締結されて、定着装置10のフレームを構成している。下部フレーム14においては、下部フレーム14に設けられた固定軸14aにはめ込むように金属製の加圧フック18xが取り付けられている。また、同じく下部フレーム14に設けられた固定軸14bに引っ掛けるように金属製の加圧レバー16が取り付けられ、固定軸14bを中心に回転可能となっている。加圧レバー16には、加圧スプリング17の一方の端部を引っ掛けて固定する固定部16aがあり、加圧フック18xには、加圧スプリング17の他方の端部を引っ掛けて固定する固定部18aが設けられている。
【0022】
さらに、下部フレーム14には、加圧ローラ12を固定軸12aの周りに揺動自在に支持する軸受15がスリット14cに取り付けられている。軸受15はスリット14c内を上下に摺動可能となっており、固定軸14bを中心に可動できる加圧レバー16の上辺部16cに載っている。そして、加圧フック18xの固定部18aと加圧レバー16の固定部16aとの間に加圧スプリング17が引っ掛けられている。そして、加圧スプリング17に引っ張られた加圧レバー16が、軸受15を介して加圧ローラ12を図2の紙面上部に向かって押し上げ、これによって、加圧ローラ12を定着ローラ11に押し当てる加圧力を付与している。
【0023】
なお、加圧フック18xには、3箇所の支持部18d,18e,18fが形成されている。そして、加圧フック18xは、各々の支持部18d,18e,18fが、それぞれ下部フレーム14(フレーム)に形成された突き当て部14d,14e,14fに突き当たることによって、下部フレーム14(フレーム)に対して位置決めされている。この部分の構造については後述する。
【0024】
定着ローラ11は不図示の駆動機構により回転駆動され、その内部には加熱手段であるヒータ19が設置されている。また、加圧ローラ12の外周部は耐熱性を有する弾性体で被覆されており、定着ローラ11に対してニップ圧Pで押し当てられて、加圧ローラ12の外周部の弾性体が撓むことによって定着ローラ11に圧着して、ニップ幅Wを有するニップ部Nを形成する。そして、加圧ローラ12は定着ローラ11の回転に従動する。
【0025】
定着動作実行時、内蔵されたヒータ19(発熱源)により加熱された定着ローラ11は加圧ローラ12と共に記録紙を挟み込んで、ニップ部Nにおいて、記録紙に熱と圧力を加えて、記録紙上の未定着トナーを加熱溶融させ、トナー像を記録紙に定着させる。
【0026】
次に、図3図4図5に基づいて、定着装置10の下部フレーム14への加圧レバー16と加圧フック18xの取り付け構造について説明する。
【0027】
図3は、加圧レバー16の形態を示す図である。加圧レバー16は、金属製の板状の部材であり、加圧スプリング17(図2参照)の一端を引っ掛けて固定する固定部16aと、固定軸14b(図2参照)に引っ掛けられる引掛部16bと、が形成されている。そして、さらに、加圧レバー16には、軸受15(図2参照)に接することによって、軸受15(図2参照)を加圧ローラ12(図2参照)に押し当てる上辺部16cが形成されている。
【0028】
図4は、加圧フック18xの形態を示す図である。加圧フック18xは、金属製の板状の部材であり、加圧スプリング17(図2参照)の一端を引っ掛けて固定する固定部18aと、開口された軸受穴18bと、が形成されている。そして、さらに、加圧フック18xには、加圧フック18xを下部フレーム14(図2参照)に突き当てて支持する、複数の支持部18d、18e、18fが形成されている。支持部18d、18e、18fの作用については後述する。
【0029】
図5は、下部フレーム14への加圧レバー16と加圧フック18xの取り付け構造を示す図である。下部フレーム14の側壁面14gには、側壁面14gに直交する方向に延びる固定軸14aと固定軸14bと突き当て部14eが設置されている。
【0030】
加圧レバー16は、下部フレーム14の長手方向に沿って設けられた開口部14hから下部フレーム14の内部に挿入される。そして、加圧レバー16の引掛部16bが固定軸14bに引っ掛けられて、固定軸14bを支点として固定軸14bの周りに可動するように固定される。
【0031】
また、加圧フック18xは、下部フレーム14の開口部14hから下部フレーム14の内部に挿入されて、加圧フック18xの軸受穴18bが固定軸14aに嵌め込まれ、固定軸14aの周りに回転可能に固定される。
【0032】
すなわち、加圧レバー16と加圧フック18xは、ともに、下部フレーム14の側壁面14gと平行な面上で回転可能に支持されている。よって、加圧レバー16と加圧フック18xは、互いに平行な面上で回転可能に支持されている。
(定着装置の動作)
【0033】
次に、図6に基づいて、加圧レバー16と加圧フック18xの動きについて説明する。
【0034】
加圧フック18xに形成された軸受穴18bは、下部フレーム14(フレーム)に設けられた固定軸14aに嵌め込む様に取り付けられて、加圧フック18xは、固定軸14aの周りに回転できるようになっている。
【0035】
加圧フック18xには加圧スプリング17(加圧部)を引っ掛けて固定する固定部18aが設けられている。そして、3箇所の支持部18d,18e,18fが、それぞれ下部フレーム14(フレーム)に形成された突き当て部14d,14e,14fに突き当たることによって下部フレーム14(フレーム)に対して位置決めされている。
【0036】
すなわち、加圧フック18xを固定軸14aの周りに回転させたときに、支持部18dは突き当て部14dに接触し、支持部18eは突き当て部14eに接触し、支持部18fは突き当て部14fに接触する。そして、支持部18d,18e,18fと、固定軸14aと、突き当て部14d,14e,14fとは、それぞれ、そのような位置関係になるように設計されている。
【0037】
ここで、加圧フック18xの固定部18aと加圧レバー16の固定部16aとの間に加圧スプリング17(加圧部)を引っ掛けたとき、加圧スプリング17(加圧部)には、加圧スプリング17(加圧部)の長さを元に戻そうとする弾性力Kが発生する。そして、この弾性力Kによって、加圧レバー16は加圧フック18xの固定部18aの方向に引っ張られる。このとき、加圧レバー16の図示しない一端は、引掛部16bにおいて固定軸14b(図2参照)に支持されているため、加圧レバー16には、加圧レバー16を紙面上方向に動かす加圧力Fが発生する。
【0038】
また、この時、加圧フック18xの固定部18aには、加圧スプリング17(加圧部)に発生した弾性力Kの反力として、加圧レバー16の固定部16aの方向に向かう弾性力Kが生じる。弾性力Kと弾性力Kは、大きさが等しく、互いに向き合う方向を向いている。そして、この弾性力Kによって、加圧フック18xには、加圧フック18xを、固定軸14aを支点として時計回りに回転させようとするモーメント力が生じる。そして、下部フレーム14(フレーム)に突き当てられている支持部18d,18e,18fには、弾性力Kに起因する応力がかかる。すなわち、加圧フック18xは、固定軸14aに嵌め込まれている軸受穴18bを中心にして、3箇所の支持部18d,18e,18fを下部フレーム14(フレーム)上の突き当て部14d,14e,14fに突き当たって支持される。
【0039】
こうして、加圧フック18xと加圧レバー16との間に引っ掛けた加圧スプリング17(加圧部)の作用によって、加圧レバー16を、加圧力Fによって加圧ローラ12(図2参照)を定着ローラ11(図2参照)に押し当てることができる。
【0040】
このように、本実施例の定着装置10は、3箇所の支持部18d,18e,18fを、それぞれ下部フレーム14上の突き当て部14d,14e,14fに突き当てる構成とされる。そして、これにより、支持部18d,18e,18fの各々が下部フレーム14の突き当て部14d,14e,14fに与える応力が低減されることにより、突き当て部14d,14e,14fの変形や破損を低減させることができる。そのため、従来の下部フレーム14(フレーム)と強度を同等にした場合、より大きな加圧力に対応することができる。なお、加圧レバー16および軸受15を介して、加圧ローラ12を定着ローラ11に押し当てる加圧部は、加圧スプリング17に限られるものではなく、ゴム等の弾性部材、あるいはカムを用いて構成してもよい。
【0041】
以下、本発明に係る定着装置の第2の実施形態である実施例2について、図面を用いて説明する。
【実施例2】
【0042】
図7図8は、本発明の実施形態2に係る定着装置10に設置された加圧フック18yの形態と機能を示す概略構成図である。定着装置10の全体構成は、実施例1と同様であるが、加圧フック18xの代わりに加圧フック18yを用いる点が異なっている。以下、図7図8に基づいて、その構成およびその動作について説明する。
【0043】
図7図8に示すように、下部フレーム14(フレーム)に設けられた固定軸14aは、加圧フック18yに形成された軸受穴18bに嵌め込まれている。そして、加圧フック18yには、複数の固定部18h,18iが設けられている。ここで、固定部18iは、固定部18hに対して、加圧フック18yのより先端側の位置に設けられている。
【0044】
加圧レバー16に設けられた固定部16aと加圧フック18yに設けられた固定部18hの間、または、加圧レバー16に設けられた固定部16aと加圧フック18yに設けられた固定部18iの間には、加圧スプリング17(加圧部)が引っ掛けられる。このとき、固定部18hと、固定部16aとの間に加圧スプリング17(加圧部)を引っ掛けた場合(図7)と、固定部18iと固定部16aとの間に加圧スプリング17(加圧部)を引っ掛けた場合(図8)とでは、加圧スプリング17(加圧部)の長さが異なる。
【0045】
すなわち、図7において加圧スプリング17(加圧部)の長さがLであったとき、図8の場合は、加圧スプリング17(加圧部)の長さがLよりも長いLとなる。そして、引っ張られた加圧スプリング17(加圧部)には、加圧スプリング17(加圧部)を元の長さに戻そうとする弾性力(図7のK図8のK)が発生する。その弾性力K,Kは、加圧スプリング17(加圧部)の長さに比例して大きくなる。
【0046】
したがって、加圧スプリング17(加圧部)を図8の状態に設置したときは、図7の状態に設置した場合に比べて、より大きな弾性力Kが発生する(K<K)。そして、このとき、定着ローラ11(非図示)に対する加圧ローラ12(非図示)の加圧力をより大きくすることができる。すなわち、図7の場合に発生する加圧力Fに対して、図8の場合には、加圧力Fよりも大きい加圧力Fを発生させることができる。そして、さらに、希望する加圧力を発生できるように、加圧フック18yに設ける固定部18h,18iの位置を適宜設計することができる。
【0047】
なお、図7図8いずれにおいても、加圧フック18yは、加圧フック18yに形成された支持部18d、18e、18fが、下部フレーム14に形成された複数の突き当て部14d,14e,14fにそれぞれ突き当たることによって位置決めされている。
【0048】
以上説明したように、このように構成された本発明の実施例1に係る定着装置10によれば、加圧レバー16の一端が、下部フレーム14(フレーム)に対して、加圧ローラ12が延びる方向の周りに回転可能に支持される。そして、加圧レバー16は、加圧レバー16の他端に固定された加圧スプリング17(加圧部)の弾性力Kによって、加圧ローラ12の軸受15に押し当てられる。すると、加圧ローラ12は、ヒータ19(発熱源)を内蔵した定着ローラ11に圧着されてトナー像の定着を行うニップ部Nを形成する。このとき、加圧スプリング17(加圧部)の他端が、下部フレーム14(フレーム)に設置された固定軸14aの周りに回転可能に支持された金属製の加圧フック18xの固定部18aに固定される。この加圧フック18xには、加圧レバー16を加圧ローラ12の軸受15に押し当てる力の反力が生じる。そして、加圧フック18xは、この反力を、加圧フック18xに形成された複数の支持部18d,18e,18fを下部フレーム14(フレーム)に形成された複数の突き当て部14d,14e,14fにそれぞれ突き当てることによって支える。したがって、加圧フック18xが下部フレーム14(フレーム)に接触したときにかかる応力が、複数の支持部18d,18e,18fを介して、それぞれの支持部18d,18e,18fに突き当たった突き当て部14d,14e,14fに分散してかかる。これによって、1箇所の突き当て部にかかる応力を軽減することができ、樹脂フレームの変形や破損を防止することができる。
【0049】
また、このように構成された本発明の実施例1に係る定着装置10によれば、加圧レバー16と加圧フック18xは、ともに、下部フレーム14の側壁面14gに平行な面上で回転可能に支持される。したがって、加圧レバー16と加圧フック18xを設置するために必要なスペースを小さくすることができる。そして、これによって、定着装置10を大型化することなく、加圧ローラ12を定着ローラ11に押し当てる加圧力を発生させることができる。
【0050】
また、このように構成された本発明の実施例2に係る定着装置10によれば、加圧スプリング17(加圧部)の一端が加圧フック18yの固定部18hまたは18iに固定され、加圧スプリング17(加圧部)の他端が加圧レバー16の固定部16aに固定される。このとき、加圧レバー16は、加圧スプリング17(加圧部)の両端の距離が互いに異なる複数の固定部18h,18iを有するため、加圧スプリング17(加圧部)を引っ掛ける位置に応じた加圧レバー16の加圧力F,Fを発生させることができる。すなわち、所望の加圧力Fで加圧ローラ12を定着ローラ11に押し当てることができるため、ニップ圧Pを通常よりも高く設定することによって、厚紙に形成されたトナー像の定着を可能にするなどの利便性を向上させることができる。
【0051】
また、このように構成された本発明の実施例1に係る画像形成装置1によれば、加圧フック18xにかかる応力を、下部フレーム14(フレーム)に形成した複数の突き当て部14d,14e,14fで分散して支えることができる。したがって、加圧ローラ12の加圧力をより一層高くすることができ、これにより、樹脂フレームに小径ローラを組み合わせた構造であっても十分な定着性能を実現することができるため、小型・低コストの定着装置を有する画像形成装置を提供することができる。
【0052】
以上、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明したが、この実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明はこの実施例の構成にのみ限定されるものではない。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 定着装置
11 定着ローラ
12 加圧ローラ
13 上部フレーム
14 下部フレーム(フレーム)
12a,14a,14b 固定軸
14c スリット
14d,14e,14f 突き当て部
15 軸受
16 加圧レバー
16a,18a 固定部
16c 上辺部
17 加圧スプリング(加圧部)
18x 加圧フック
19 ヒータ(発熱源)
N ニップ部
ニップ幅
ニップ圧
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開平8−6426号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8