(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記気流の流路は、基板の一面及び他面の一方側から気流が取り込まれ、他方側から気流が吹き出すように構成されていることを特徴とする1または2記載の集塵用治具。
前記パーティクルを捕集するステップは、前記集塵用治具を、前記処理モジュール内に搬入し、処理モジュール内の雰囲気の気流をフィルタに通過させるステップを含むことを特徴とする請求項10記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記パーティクルを捕集するステップの前にまたは前記パーティクルを捕集するステップと並行して、基板処理装置内に設けられている駆動部を作動させるステップを実行するように制御信号を出力することを特徴とする請求項10または11記載の基板処理装置。
半導体製造工程にて用いられ、半導体製造用の基板が置かれる機器内に請求項1ないし9のいずれか一項に記載の集塵用治具を置いた状態で、または前記機器内にて基板搬送機構により前記集塵用治具を搬送させた状態で、前記集塵用治具の周囲の雰囲気の気流をフィルタに通過させて雰囲気中のパーティクルを捕集する工程を含むことを特徴とするパーティクル捕集方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の集塵用治具の実施の形態を説明するにあたって、以下の実施の形態では、集塵用治具を集塵基板と呼ぶ。
図1〜
図4に示すように、集塵基板1は、防水性、防湿性、絶縁性および耐薬品性などを備えた、例えばパラキシリレン樹脂によりコーティングがされた、円形のガラス板である基板10を備え、基板10に後述の部品が搭載されている。基板10は、当該集塵基板1が用いられる基板処理装置が対象とする被処理基板に応じた大きさ、形状に形成され、例えば300mmウエハに対応させて、直径300mmの円形に成形される。基板10の表面側には、2つの区画部材2が基板10の直径に対して左右対称に設けられている。
図3、
図4に示すように区画部材2は、平面で見ると、矩形の一辺を円弧状に形成した箱型に構成されると共に、区画すべき空間を囲む側壁をなす枠部20と、上述の空間の上部を塞ぐフィルタ部4とを備えている。枠部20は、基板10の表面から突出するように設けられており、枠部20の内側には全周に亘って、段差部21が形成されている。枠部20の上部には、枠部20で囲まれる領域に向かって水平に突出する、後述のフィルタ部4を係止するための爪部22が枠部20の周方向に沿って、間隔をおいて複数、例えば5個設けられている。
【0012】
フィルタ部4は、静電フィルタ40を備え、静電フィルタ40の上面と下面に夫々上流側メッシュ体41と、下流側メッシュ体42と、が設けられている。静電フィルタ40は、例えば繊維状の静電ろ材で構成されたエレクトレットフィルタを用いる。上流側メッシュ体41と、下流側メッシュ体42とは、夫々周縁に外枠25が形成された金属メッシュで構成されている。上流側メッシュ体41は、フィルタ部4を通過する気流が流入する側の面、この例では上面に設けられ、圧損の少ない目の粗い金属メッシュで構成されている。下流側メッシュ体42は、フィルタ部4における気流が流出する側の面、この例では下面に設けられ、フィルタ部4の圧損を調整するために目の細かい金属メッシュで構成されている。静電フィルタ40の圧損は非常に小さいので、上流側メッシュ体41及び下流側メッシュ体42により圧損を調整することにより、フィルタ部4の全面に亘って気流が通過するようにする。なおフィルタ部4は雰囲気の湿度を高めて、パーティクルを沈降しやすくするために、常温で気化する液体、例えば純水、アルコール系溶剤などにより事前に湿らせておくようにしてもよい。
フィルタ部4は、周縁が段差部21の段面上に載置され、段面と爪部22との間に入り込んで係止される。これにより枠部20の内側がフィルタ部4により塞がれ、基板10の表面側に、雰囲気に対して区画部材2によって区画された空間が形成される。
【0013】
基板10における各区画部材2に区画された領域には、開口部16が設けられている。各開口部16の上方には、通風機構である圧電ブロワ3が設けられている。
図1、
図2に戻って圧電ブロワ3は基板10の表面に設けられた配線13を介して圧電ブロワ3を駆動するための回路部12に接続されており、回路部12は、基板10の表面側の中心部に設けられたリチウムイオン電池11に接続されている。また基板10上には、外部と無線通信を行うための通信部14が設けられ、外部から送信される信号に基づいて回路部12を介して圧電ブロワ3の各動作が個別に、例えばオン、オフ制御される。
【0014】
図3、
図4に加えて
図5を参照して説明すると、圧電ブロワ3は、角筒形の本体部30を備えており、一面に吸引したガスを吐出する吐出ノズル32が設けられ、一面に対して背面側に雰囲気ガスを吸引する吸引孔31が設けられている。圧電ブロワ3は、開口部16に吐出ノズル32が臨むように設置されている。
圧電ブロワ3は、本体部30の内部に外周部が本体部30に固定されたガス室33が設けられている。ガス室33は、上面側における吐出ノズル32に対応する位置にガス孔36が設けられた角筒形に構成されており、ガス室33の下面はダイヤフラム35になっている。ダイヤフラム35の下面側には圧電板34が設けられている。圧電板34は例えば外部から通信部14を介して送られる制御信号に基づいて、回路部12から交流電圧が供給され、振動する。
【0015】
図6に示すように圧電板34が振動して下方側に振動すると、ダイヤフラム35が下方側に屈曲するため、ガス室33の容積が増え、ガス孔36から本体部30の内部のガスが引き込まれる。次いで
図7に示すように圧電板34が上方側に振動すると、ダイヤフラム35が上方側に屈曲するため、ガス室33の容積が減り、ガス孔36からガスが押し出され、吐出ノズル32からガスが吐出される。また吐出ノズル32からガスを吐出することで、本体部30の内部の気圧が下がるため、吸引孔31からガスが吸引される。この例では、吸引孔31から吸引されたガスは、ダイヤフラム35が下方側に屈曲した時に、本体部30内部におけるガス室33の周囲を通って、ガス孔36側に回り込み、ガス室33内に吸引される。従って吸引孔31と、本体部30内部におけるガス室33の周囲と、吐出ノズル32とが流路に相当する。
【0016】
続いて集塵基板1の全体の動作について
図8〜
図10を参照して説明する。圧電ブロワ3に電流が供給されると、上述のように圧電ブロワ3は吸引孔31から吸引を開始し、
図8に示すように区画部材2の内部が陰圧になる。区画部材2により区画された空間が陰圧になると、
図8及び
図9に示すように集塵基板1の上方側のパーティクル100を含む雰囲気が上流側メッシュ体41、静電フィルタ40、及び下流側メッシュ体42(
図8、
図9では上流側メッシュ体41と、静電フィルタ40と、下流側メッシュ体42とは、便宜上省略してある)をこの順で通過して、区画部材2の内部空間に引き込まれる。
【0017】
図10に示すように静電フィルタ40は静電ろ材43が絡み合った構造を備えており、静電ろ材43には+極に帯電した部分と−極に帯電した部分とが形成される。そのため静電フィルタ40を通過しようとするパーティクル100のうち+や−に帯電した荷電粒子は、クーロン力により静電フィルタ40を構成する静電ろ材43に吸着される。また無荷電粒子は、静電ろ材43に近づくと誘電分極されて誘起力を生じ、静電ろ材43に吸着される。従って集塵基板1の雰囲気がフィルタ部4を通過すると、雰囲気に含まれるパーティクル100が、
図8及び
図9に示すようにフィルタ部4に吸着されて捕集される。そしてパーティクル100が捕集された雰囲気は、フィルタ部4を通過して区画部材2の内部に引き込まれた後、圧電ブロワ3に吸引されて吐出ノズル32から吐出され、開口部16を介して、基板10の下方側に排気される。このようにパーティクル100を含んだ雰囲気をフィルタ部4に通過させて捕集している。従って、重量が軽く沈降しにくい微細なパーティクル100も効率よく捕集することができる。
【0018】
本発明の実施の形態にかかる集塵基板1を用いて、パーティクルの捕集を行う基板処理装置として、塗布、現像装置に適用した実施形態について説明するが、まず塗布、現像装置の構成について
図11〜
図13を参照して説明する。この塗布、現像装置は、キャリアブロックB1と、処理ブロックB2と、インターフェイスブロックB3と、を直線状に接続して構成されている。インターフェイスブロックB3には、更に露光ステーションB4が接続されている。
【0019】
キャリアブロックB1は、ウエハWを複数枚含む搬送容器であるキャリアC(例えばFOUP)から装置内に搬入出する役割を有し、キャリアCの載置ステージ91と、蓋部92と、蓋部92を介してキャリアCからウエハWを搬送するための搬送アーム93と、を備えている。
処理ブロックB2はウエハWに液処理を行うための第1〜第6の単位ブロックD1〜D6が下から順に積層されて構成され、各単位ブロックD1〜D6は、概ね同じ構成である。
図11において各単位ブロックD1〜D6に付したアルファベット文字は、処理種別を表示しており、BCTは反射防止膜形成処理、COTはウエハWにレジストを供給してレジスト膜を形成するレジスト膜形成処理、DEVは現像処理を表している。
【0020】
図13では、代表して単位ブロックD3の構成を示すと、単位ブロックD3には、キャリアブロックB1側からインターフェイスブロックB3へ向かう直線状の搬送領域R3を移動するメインアームA3と、塗布膜形成装置である液処理モジュール5(5a〜5e)を備えた塗布ユニット80と、ウエハWを加熱、冷却するための加熱−冷却モジュール6(6a〜6f)を積層した棚ユニットU1〜U6と、を備えている。
搬送領域R3のキャリアブロックB1側には、互いに積層された複数の処理モジュールにより構成されている棚ユニットU7が設けられている。搬送アーム93とメインアームA3との間のウエハWの受け渡しは、棚ユニットU7の処理モジュールと搬送アーム94とを介して行なわれる。
【0021】
インターフェイスブロックB3は、処理ブロックB2と露光ステーションB4との間でウエハWの受け渡しを行うためのものであり複数の処理モジュールが互いに積層された棚ユニットU8、U9、U10を備えている。なお図中95、96は夫々棚ユニットU8、U9間、棚ユニットU9、U10間でウエハWの受け渡しをするための搬送アームであり、図中97は、棚ユニットU10と露光ステーションB4との間でウエハWの受け渡しをするための搬送アームである。メインアームA1〜A6、搬送アーム93〜97は基板搬送機構に相当する。
【0022】
棚ユニットU7、U8、U9、U10に設けられている処理モジュールの具体例を挙げると、単位ブロックD1〜D6との間でのウエハWを受け渡す際に用いられる既述の受け渡しモジュールTRS、ウエハWの温度調整を行う温調モジュールCPL、複数枚のウエハWを一時的に保管するバッファモジュールBU、ウエハWの表面を疎水化する疎水化処理モジュールADHなどがある。説明を簡単にするため、前記疎水化処理モジュールADH、温調モジュールCPL、バッファモジュールBUについての図示は省略してある。
【0023】
塗布、現像装置の天井部には
図12に示すようにFFU(Fan Filter Unit)99が設けられている。FFU99はキャリアブロックB1を構成する筐体内に清浄空気の下降流を形成し、ウエハWへのパーティクルなどの付着を抑えるために設けられている。他ブロックB2、B3においても雰囲気内に清浄気体の下降気流を形成する機構が設けられているが、説明は省略する。清浄気体としては、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタやHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタを通過させた、清浄空気あるいは窒素ガスなどの不活性ガスが挙げられる。
【0024】
塗布、現像装置及び露光ステーションB4からなるシステムのウエハWの搬送経路の概略について簡単に説明する。ウエハWは、キャリアC→搬送アーム93→棚ユニットU7の受け渡しモジュールTRS→搬送アーム94→棚ユニットU7の受け渡しモジュールTRS→単位ブロックD1(D2)→単位ブロックD3(D4)→インターフェイスブロックB3→露光ステーションB4→インターフェイスブロックB3→単位ブロックD5(D6)→棚ユニットU7の受け渡しモジュールTRS→搬送アーム93→キャリアCの順で流れていく。
【0025】
塗布、現像装置は制御部90を備えており、制御部90は
図14に示すようにバス110に接続されたレシピ格納部112及びレシピ選択部113を備えている。レシピ格納部112には、プロセスレシピ115、除電レシピ116、エージングレシピ117及び集塵レシピ118が格納されている。プロセスレシピ115は、製品基板に対して処理を行うレシピである。除電レシピ116、エージングレシピ117及び集塵レシピ118は、装置の立ち上げ時やメンテナンスを終了した後であって、プロセスレシピ115を実行する前やウエハWのロット間に行われる前処理を実行するためのレシピである。
【0026】
除電レシピ116は、装置内に除電用の基板を搬入して装置内を除電するためのレシピである。エージングレシピ117は、搬送アームや塗布ユニット80内のノズル移動機構などの駆動部を、ウエハWの搬送、処理を行う通常運転時よりも過酷な状態で動作させて、例えばウエハWの搬送、処理を行わずに繰り返し連続動作をさせて、パーティクルを雰囲気中に巻き上げる処理を行うためのレシピである。集塵レシピ118は、既述の集塵基板1を装置内に搬入し、圧電ブロワ3を動作させて装置内のパーティクルを捕集するためのレシピであり、集塵基板1の搬送手順や、圧電ブロワ3のオン、オフのタイミングなどが書き込まれている。レシピとは、手順を時系列で記載したソフトウエアであり、CPU111がレシピに記載されている手順を読み出して制御信号が出力される。
またレシピ選択部113は、例えばソフトスイッチやマウスなどを含み、レシピ選択部113によりレシピ格納部112からレシピが選択される。更に制御部90は、通信部114を備えており、集塵レシピ118に基づいて作成された制御信号が当該通信部114を介して集塵基板1の通信部14に送信される。従って集塵基板1における圧電ブロワ3の動作は制御部90により制御されることになる。
【0027】
次いで上述の塗布、現像装置の立ち上げ時、あるいはメンテナンス終了後において、被処理基板である製品ウエハWの処理の開始前に行われる一連の前処理工程について
図15に示すフロー図を参照しながら説明する。先ずステップS1として塗布、現像装置のカバーを開放して内部の拭き上げや、エアブローおよびエアバキュームを行い、各処理モジュールや搬送路など大きな汚れや付着物を取り除く。次いで塗布、現像装置のカバーを閉じ、FFU99及び図示しないフィルタユニットを駆動して、塗布、現像装置の内部に清浄気体のダウンフローを形成する。
【0028】
続いて、ステップS2において、塗布、現像装置内の各部材の帯電を取り除く。この除電工程は
図14に示すレシピ選択部113により除電レシピ116を選択することにより、基板搬送機構が塗布、現像装置内の保管部から、例えば公知の除電基板を取り出し、塗布、現像装置の内部を搬送することにより行われる。除電基板は例えば誘電電極と、放電電極と、これら誘電電極と放電電極との間に挟まれる誘電体と、から構成されたイオン発生電極を備えた基板であり、塗布、現像装置の内部を基板搬送機構により搬送され、各処理モジュールに載置されることにより、各処理モジュールや基板搬送機構の帯電を除去する。塗布、現像装置の内部が帯電していると、クーロン力によりパーティクル100が帯電した部位に引きつけられてしまいパーティクルを除去しにくくなる。塗布、現像装置内の帯電を除去することにより、パーティクル100が部材から放出されやすくなり、パーティクル100の除去がしやすくなる。
【0029】
その後、塗布、現像装置における各処理モジュール内の駆動部や基板搬送機構などの各駆動部を一斉に連続動作させるエージングモードによりしばらく運転する(ステップS3)。エージングモードは、レシピ選択部113によりエージングレシピ117を選択することにより行われ、駆動部に付着しているパーティクル100が雰囲気中に放出される。
このエージングモードにおいては、この例では、駆動部の動作速度が被処理基板である製品ウエハWを搬送、処理する時の駆動部の動作速度よりも早くなるようにレシピが設定されたり、駆動部の動作が連続して所定回数繰り返されるようにレシピが設定される。この繰り返し回数については、例えばオペレータが操作画面により任意の回数に設定できる。また駆動部の動作が連続して繰り返される場合、ウエハWを搬送、処理するときの駆動部の動作速度よりも早くなるようにレシピが設定されていてもよい。製品ウエハWを搬送、処理するときよりも駆動部に対して、パーティクル100が発生しやすい過酷な状況を事前に作り出し、雰囲気中に飛散したパーティクル100を次工程で捕集している。この結果、製品ウエハWが塗布現像装置内を流れるときにおいて、パーティクル100の舞い上がりがより一層抑えられる利点がある。
【0030】
しかる後ステップS4において、集塵基板1を用いて塗布、現像装置内のパーティクル100の除去を行う。この工程は、集塵基板1を収納したキャリアCを載置ステージ91に載置し、
図14に示すレシピ選択部113により集塵レシピ118を選択することにより行われる。キャリアC内の集塵基板1は搬送アーム93により取り出され、集塵レシピ118に書き込まれた経路で搬送され、例えば製品ウエハWと同様の経路で塗布、現像装置内を搬送される。圧電ブロワ3は例えば集塵基板1がキャリアCから搬送アーム93により取り出された時点からオンにされて通風動作が開始され、所定の搬送経路を経てキャリアCに戻される直前にオフにされる。圧電ブロワ3をどの時点でオンにし、またどの時点でオフにするかについては、集塵レシピ118の中で適切なタイミングを設定することができる。例えば集塵基板1を収容するキャリアCが塗布、現像装置に設置されたときに圧電ブロワ3をオンにし、キャリアC内のパーティクルを捕集するようにしてもよい。このようにすれば、ウエハWの搬送に用いられるキャリアC(この例ではFOUP)内のパーティクルを捕集して当該キャリアCを清浄化できる。また搬送経路の途中で圧電ブロワ3のオフの時間帯を設定してもよい。更にまた搬送経路の途中で圧電ブロワ3に印加する交流電流の大きさを調整して圧電ブロワ3の吸引量を変更してもよいし、複数設けられた圧電ブロワ3を個々にオン、オフしてもよい。
【0031】
また集塵基板1が処理モジュールに搬入されている時間は、パーティクルの捕集を有効に行うことができるために十分な時間を事前に把握して設定することができる。キャリアCから塗布、現像装置内に搬入する集塵基板1は1枚であってもよいが複数枚の集塵基板1を塗布、現像装置内に搬入し、分散させて並行してパーティクルの捕集を行ってもよく、この場合にはパーティクルの除去工程の時間短縮が期待できる。集塵基板1によるパーティクルの捕集は、ステップS3のエージングモードの運転の後に行うことに限られるものではなく、例えば基板搬送機構が集塵基板1を載せた状態で、通常の動作よりも早い動作を行いながら実施してもよい。
【0032】
ここで集塵基板1により塗布、現像装置内のパーティクル100を捕集する様子の一例として加熱−冷却モジュール6を例にとって、
図16に示しておく。加熱−冷却モジュール6は、筐体60内に加熱板62と冷却板61とを備え、冷却板61はメインアームA3との受け渡し位置と加熱板62の上方位置との間で駆動部を含む移動機構69によりガイドレール79に沿って、移動可能に構成されている。加熱板62は内部にヒータ68を備え、冷却板61との間のウエハWの受け渡しは、加熱板62を貫通する図示しない昇降ピンにより行われる。筐体60の冷却板61側の側面には搬入出口64が設けられ、搬入出口64には、搬入出口64を開閉するシャッタ65が設けられている。また筐体60内には、天井部に不活性ガスである窒素ガスを供給するための窒素ガス供給部84が設けられている。また筐体60の底面には排気部104が設けられており、排気部104は排気管105を介して排気ポンプ106に接続されている。
【0033】
これにより天井部から底部に気流が形成されており、
図16に示すように集塵基板1を冷却板61に載置すると、集塵基板1の雰囲気の温度が低くなり、加熱−冷却モジュール6内部の雰囲気は集塵基板1に向かって流れる。そのため集塵基板1を冷却板61に載置して、パーティクル100を捕集することで効率よくパーティクル100を捕集することができる。またフィルタ部4を通過した雰囲気は圧電ブロワ3を介して、集塵基板1の下方や側方へと排気される。
【0034】
またパーティクル100は重量が軽いため、重力により沈降しにくいが、筐体60内に形成されているパージガスのダウンフローによりパーティクル100はその流れに従って下降する。さらにフィルタ部4に浸みこんでいるアルコールが気化するため、集塵基板1の周囲が、局所的に湿度が高くなる。有機物などのパーティクル100は雰囲気の湿度の上昇により、水分などが吸着して重くなると、沈降しやすくなり、効率よく捕集できる。なお加熱−冷却モジュール6内の排気方法としては、筐体60の搬入出口64から奥側に向かって一方向の横向きの気流が形成される手法であってもよい。
【0035】
またステップS3のエージングモードによるパーティクル100の放出と、ステップS4の集塵基板1による塗布、現像装置内のパーティクル100の除去と、を複数回、例えば3回繰り返すことにより、細部に入り込んだ微細なパーティクル100まで除去を行う。この場合には、集塵基板1がキャリアC内に戻った後、再度エージングレシピ117と集塵レシピ118とを選択する。また例えば除電レシピ116が終了した後、エージングレシピ117と集塵レシピ118とを選択すると共に操作画面上に設定された繰り返し回数を入力することで両レシピを設定回数だけ繰り返すようにシステムを構成してもよい。またステップS3とステップS4の間や、ステップS4の後に、ベアウエハを連続搬送させるようにしてもよい。
【0036】
その後、ステップS5として、評価用のベアウエハを用いたパーティクル密度の評価を行う。この工程は、評価用のベアウエハを製品用のウエハWと同様な工程で、塗布、現像装置内を搬送させる。各評価用のベアウエハがキャリアCに戻された後、例えばパーティクル検査機により、ベアウエハの表面に付着しているパーティクル、例えば単位面積当たりの付着数の評価を行い、塗布、現像装置内のパーティクルの密度が基準値に達しているかを判定する。この時、基準値に達しており、十分にパーティクルの除去がされていると判定されたならば、製品用のウエハWの処理を開始する(ステップS6)。また基準値に達しておらずパーティクルの除去が十分に行われていないと判定されたならば、例えばステップS3とステップS4とを改めて行った後、ステップS5の評価用のベアウエハによるパーティクル密度の評価を行い基準値に達しているか否かの判定を行う。
【0037】
キャリアCに戻ったパーティクル100の捕集後の集塵基板1は、例えばその都度洗浄するようにしてもよい。集塵基板1は、パーティクル100の捕集により、例えばフィルタ部4が目詰まりを起こしたり、基板10に付着したパーティクル100により、塗布、現像装置内が汚染される虞がある。そのため例えばパーティクル捕集後の集塵基板1の基板10から、リチウムイオン電池11および区画部材2を取り外す。そして基板10の洗浄を行い、リチウムイオン電池11、および新たなフィルタ部4に交換した区画部材2を取り付けるようにしてもよい。
また、後述するパーティクル検査装置を用いて、集塵基板1のフィルタ部4の汚れ度合いを確認し、許容値を超えている場合には、フィルタ部4を交換してもよい。汚れ度合いは、例えばフィルタ部4に付着しているパーティクルの全体の体積に相当する値とすることができる。またパーティクル検査装置に集塵基板1を搬送して、汚れ度合いを確認して、再度処理モジュールへ戻すようにしてもよい。
【0038】
上述実施の形態によれば、塗布、現像装置内に集塵基板1を搬入して、基板搬送機構により搬送すると共に各モジュール内に搬入し、塗布、現像装置内の雰囲気の気流をフィルタ部4に通過させて雰囲気中のパーティクル100を捕集するようにしている。従って、装置を閉じた状態で、パーティクルの捕集を行い雰囲気の清浄度を高くすることができる。しかも人手を介さず、大掛かりな作業を行わずに簡単な手法でパーティクル100の捕集ができるので、作業効率がよい。
【0039】
更にステップS4において集塵基板1を塗布、現像装置に搬入して、一通りの処理工程を終えた後、パーティクルの量の評価を行い、塗布、現像装置内の汚れ度合い(清浄度)を確認するようにしてもよい。そして塗布、現像装置の汚れ度合いが許容値以下になった後、ステップS5の評価用のベアウエハにより基準値に達しているか詳細に評価するようにしてもよい。例えば
図17に示すように集塵基板1を貫通する孔部(図では見えない)を設け、孔部に金属メッシュ89を嵌合する。また、例えば塗布、現像装置における棚ユニットU7にパーティクルの量の評価を行う検査装置(不図示)を設ける。
【0040】
検査装置は、例えばテラヘルツ時間領域分光法により汚れ度合いを評価する公知の検査装置を用いる。検査装置は、例えば電磁波(20GHz〜120THz)を金属メッシュ89に対して垂直な方向から照射し、金属メッシュ89を透過する電磁波の透過率スペクトルに現れるディップ波形の現れる周波数を求める。そしてパーティクルが付着した金属メッシュ89を透過する電磁波において、透過率スペクトルに現れるディップ波形が位置する周波数と、パーティクルが付着していない金属メッシュ89を透過する電磁波において、透過率スペクトルに現れるディップ波形が位置する周波数と、の周波数の変化率を求める。金属メッシュ89にパーティクルが付着すると、電磁波の通路の容量及びインダクタンスが変わるため、透過する電磁波の吸収スペクトルが変わり、透過率スペクトルの周波数が変わる。この周波数の変化率は、金属メッシュ89に付着するパーティクルの総体積に応じて変わることから、塗布、現像装置内の汚れ度合いとして用いることができる。
【0041】
例えばステップS4において、集塵基板1をキャリアCに戻す際に、単位ブロックD6から棚ユニットU7に受け渡された後に、搬送アーム94により、検査装置に搬入する。検査装置では、集塵基板1に設けた金属メッシュ89に向けて電磁波を照射して、集塵基板1が塗布、現像装置内における一連のパーティクルの捕集を行う際に金属メッシュ89に付着したパーティクルの量(総体積)がわかり、塗布、現像装置内の汚れ度合いがわかる。
【0042】
従ってウエハWの処理に問題ないと判断される塗布、現像装置内の清浄度に対応する周波数の変化率を基準値として予め求めておき、ステップS4に示したパーティクルの捕集を行った後、集塵基板1の金属メッシュ89について取得した周波数の変化率と基準値とを比較することにより、塗布、現像装置内の汚れ度合いを判定する。
そして塗布、現像装置内の汚れ度合いが十分に下がっていると判定されたならば、ステップS5の評価用のベアウエハによるパーティクル量の評価を行うようにしてもよい。その後基準値に達していると判断がされたら、ウエハWの処理を開始する。
また検査装置により集塵基板1に付着したパーティクルを評価して、塗布、現像装置内の汚れ度合いを評価する工程は、キャリアCに戻された集塵基板1をスタンドアローンの検査装置に搬送して、汚れ度合いの評価を行うようにしてもよい。汚れ度合いの評価の対象として、塗布ユニット80内に飛散するミストや各駆動部から発生するグリスなどを検出するようにしてもよい。
【0043】
上述の例では、ステップS3のエージングモードは、駆動部を一斉に駆動させて、パーティクル100を生じさせるようにしているが、エージングモードは、ダミーウエハを製品用のウエハWと同様な工程で搬送して、各処理モジュール及び基板搬送機構において、駆動部を動作させるようにしてもよい。またステップS4のパーティクル100を捕集するステップと並行して、塗布、現像装置内に設けられている駆動部を作動させるようにしてもよい。エージングモードにおいては、積極的にパーティクルを発生させるために、例えば、加熱−冷却モジュール6のパージガスのオン、オフや流量の増減、排気ポンプ106の吸引量の増減、FFU99のオン、オフや流量の増減、システムファンのオン、オフや流量の増減を行ってもよい。また加熱−冷却モジュール6におけるヒータ68や冷却機構の設定温度を処理温度以外の温度に設定し、筐体60内に温度や湿度の変化をつける動作を行ってもよい。
【0044】
ステップS4の集塵基板1を用いて、塗布、現像装置内部のパーティクルの除去を行う工程は、複数の集塵基板1を塗布、現像装置に搬入して行ってもよい。例えば25枚の集塵基板1をキャリアCに収納して、載置ステージ91に載置する。そして例えば集塵基板1を順に取り出し、塗布、現像装置内に搬入して、集塵基板1を各々上述した工程に従って搬送して、各処理モジュール及び搬送領域におけるパーティクルの捕集を行うようにしてもよい。
【0045】
例えば1枚目に取り出される集塵基板1は、1枚目に処理が行われるウエハWと同様の順序で搬送され、各処理モジュールに順次搬入されてパーティクルを捕集する。このように各集塵基板1は、キャリアC内の製品ウエハWの群において、対応する段に位置するウエハWと同様の搬送経路で搬送されて、各処理モジュール内のパーティクルの捕集を行う。単位ブロックD3を例に説明すると、1枚目の集塵基板1は、例えば液処理モジュール5a及び加熱−冷却モジュール6aに順に搬入されて、各処理モジュールにおいてパーティクルの捕集を行う。次いで2枚目の集塵基板1は液処理モジュール5b及び加熱−冷却モジュール6bに順に搬入されて、各処理モジュールにおいてパーティクルの捕集を行う。そして5枚目の集塵基板1は液処理モジュール5a及び加熱−冷却モジュール6eに順に搬入されて、各処理モジュールにおいてパーティクルの除去を行う。このようにして塗布、現像装置内のすべての処理モジュールに集塵基板1を搬入してパーティクルの除去を行う。このような場合には、複数の集塵基板1により、複数の処理モジュール内のパーティクル100を同時に捕集することができるため、より効率よくパーティクルの除去を行うことができる。
【0046】
以下に集塵基板1の変形例について列挙する。
圧電ブロワ3は、フィルタ部4の真下に配置されることに限らず、フィルタ部4の投影領域からはずれた部位に配置されていてもよい。
図18及び
図19は、このような例を示しており、フィルタ部4及び枠部20からなる組が基板10の周方向に等間隔に4個配置され、各枠部20の基板10の中央寄りに連通路部材39の一端が接続されている。そして各フィルタ部4に隣接して圧電ブロワ3が設けられると共に、吸い込み側(吸引孔31側)及び吐出側(吐出ノズル32側)の一方が上面側、他方が下面側となるように圧電ブロワ3を配置し、下面側に臨む基板10の部位に開口部16が形成される。圧電ブロワ3の上面側はカバー体37により空間を介して覆われており、このカバー体37に既述の連通路部材39の他端が接続されている。従ってフィルタ部4の下方側空間及びこの空間に連通するカバー体37の下方側空間は、集塵基板1が配置される空間から区画されていることになり、この例ではフィルタ部4、枠部20、連通路部材39及びカバー体37が区画部材に相当する。
【0047】
例えば圧電ブロワ3の吸い込み側を上面側、吐出側を下面側となるように配置した場合には、圧電ブロワ3を駆動することにより、連通路部材39及びカバー体37を介して、枠部20とフィルタ部4とにより囲まれた領域が吸引されて陰圧になるため、集塵基板1の周囲の雰囲気がフィルタ部4を通過して枠部20とフィルタ部4の下方に引き込まれる。その後パーティクル100が除去された雰囲気は、連通路部材39及びカバー体37及び圧電ブロワ3を介して、開口部16から基板10の下面側に排気される。このような構成にした場合にも、集塵基板1の雰囲気に含まれるパーティクル100を除去することができるため同様の効果が得られる。
【0048】
また圧電ブロワ3の吸い込み側を下面側、吐出側を上面側となるように配置した場合には、集塵基板1の周囲の雰囲気が圧電ブロワ3により、基板10の下方側から吸引されて、フィルタ部4の下方に吐出され、フィルタ部4の下方側の圧力が高まると、上方側に通流する。このように構成した場合にも、雰囲気がフィルタ部4を通過して、パーティクル100が捕集されるため同様な効果を得ることができる。
また
図18及び
図19に示した集塵基板の変形例として、
図20に示すように基板に開口部15を設け、この開口部15にフィルタ部4を臨むように配置し、フィルタ部4の上面を隙間を介してプレート29を配置し、さらにプレート29の周囲を枠部20で囲む。この場合には圧電ブロワ3により基板10の下方から吸引された雰囲気がカバー体37、及び連通路部材39を介してフィルタ部4の上方に流入する。そしてフィルタ部4を上方側から下方側に通流して、基板10の下方側へ流出する。
【0049】
集塵基板1のさらなる変形例として、
図21及び
図22に示すように基板10の表面にリチウムイオン電池11、回路部12、配線13及び圧電ブロワ3を設け、これらの部材の上方をフィルタ部4で覆うように構成してもよい。例えば基板10の周縁部に全周に亘って枠部20を設ける。枠部20の内側にはフィルタ部4を枠部20で囲まれる空間を塞ぐように設ける。このような構成の場合には、圧電ブロワ3が駆動されて、フィルタ部4の下方が陰圧となり、フィルタ部4を上面側から下面側へと通過する気流が生じ、フィルタ部4を通過した雰囲気は圧電ブロワ3により、基板10の下面側に排気される。従って雰囲気に含まれるパーティクル100を捕集することができる。
【0050】
また集塵基板1の変形例として、
図23に示すように雰囲気を基板10の上面側から吸い込み、基板10の上面側に流出させるように構成してもよい。例えば枠部20の上面をフィルタ部4により塞ぎ、枠部20の側面に開口部23を設ける。基板10の表面側に圧電ブロワ3を吸引孔31が上面側に向くように設けると共に、基板10の吐出ノズル32側に対向するように基板10と圧電ブロワ3の間に流路部材38を設ける。この場合、吐出ノズル32から吐出するガスが、開口部23に向けて案内されて流れるように構成する。
【0051】
図23に示した集塵基板1の変形例として、基板10に開口部を形成し、この開口部にフィルタ部4を臨むように配置すると共に、フィルタ部4の上面を隙間を介してプレートを配置し、さらにプレートの周囲を囲んでフィルタ部4に気流が流れるように流路を形成してもよい。即ち
図23においてフィルタ部4が設けられている位置にプレートが設けられ、その下方にフィルタ部4が設けられることになる。またこのような例のさらなる変形例として、基板10における圧電ブロワ3の下方側部位に開口部を形成し、この開口部及び圧電ブロワ3を介して気流が流れるようにしてもよい。
【0052】
更に集塵基板1の変形例として、フィルタ部4は、気流が厚さ方向に通過する構成に限らず、例えば静電フィルタ40を複数枚積層して、積層した静電フィルタ40の側面から気流を導入するようにしてもよい。例えば
図24に示すように積層した静電フィルタ40の周囲を枠部20で囲み、枠部20における互いに対向する2個所に通気口45を設けると共に枠部20で囲まれた領域の上方をプレート29により塞ぐ、そして内部には積層した静電フィルタ40により構成されたフィルタ部4を収める。
【0053】
そして
図23に示した集塵基板1と同様に圧電ブロワ3と流路部材38とにより、雰囲気が一方の通気口45に向けて吐出されるように構成する。一方の通気口45から流入した雰囲気は、フィルタ部4を側面から通過して、他方の通気口45から流出する。このように構成した場合には、基板10の上面側の雰囲気が圧電ブロワ3に吸引されて、フィルタ部4に向けて吐出される。吐出された雰囲気は一方の通気口45から流入し、フィルタ部4を通過して、他方の通気口45から流出する。従って雰囲気に含まれるパーティクル100をフィルタ部4を通過するときに捕集することができる。
【0054】
集塵基板1は、圧電ブロワ3を設けない構成でもよい。例えば
図25に示すように、
図23に示した枠部20及びフィルタ部4を基板10の周縁寄りの位置に周方向に4カ所設け、集塵基板1の中心側に開口部23が向くよう設置する。このように構成した場合には、
図26に示すように、集塵基板1の雰囲気は、例えば、FFU99により塗布、現像装置内に形成される空気清浄用のダウンフローにより、フィルタ部4を上方側から、下方側に通過する。フィルタ部4を通過した雰囲気は、開口部23から基板10の上面側に排気される。このように構成した場合にも、集塵基板1の雰囲気をフィルタ部4を通過させることができるため、集塵基板1の雰囲気に含まれるパーティクル100を捕集することができる。
また圧電ブロワ3を設けない集塵基板の更なる例として、フィルタ部4の下方が区画されており、その区画空間が基板に形成した開口部を介して基板の下面側に連通していてもよい。
【0055】
集塵基板1にイオン発生電極を設けて、パーティクルの捕集と共に装置内の除電を行ってもよい。この場合には、例えば、集塵基板1に誘電電極と、放電電極と、これら誘電電極と放電電極との間に挟まれる誘電体と、から構成されたイオン発生電極を設ける。イオン発生電極に電圧を印加すると、イオンが発生し、イオンが処理モジュールにおける帯電している部位に接触すると、放電が起こるため除電することができる。まず例えば集塵基板1のイオン発生電極に電圧を印加して、塗布、現像装置内を搬送し、ステップS2の除電工程を行う。次いでステップS3を行った後、ステップS4において、集塵基板1を再度、塗布、現像装置内を搬送してパーティクルの捕集を行うようにする。またステップS4において、イオン発生電極に電圧を印加して装置内の除電を行いながら、パーティクルの捕集を行うようにしてもよく、集塵基板1が処理モジュールや搬送アームに載置されるごとに除電をまず行い、その後圧電ブロワ3を駆動して、パーティクルの捕集を行うようにしてもよい。
【0056】
集塵基板1のフィルタ部4に用いるフィルタとしては、例えばイオン(アニオン、カチオン)交換樹脂や活性炭などで構成されるケミカルフィルタを用いてもよい。これにより、塩基性ガス、酸性ガスあるいは有機ガスなどの分子状汚染物質からなるパーティクルを効率よく捕集することができる。またケミカルフィルタと静電フィルタ40とを組み合わせてもよい。
また本発明の構成要件である基板10とは、フィルタ部4を支持する部分であるが、板状ではない形状の構造体についても含まれる。さらに基板10の材料はシリコン、ガラスエポキシ、セラミック、強化プラスチック、ガラスファイバーあるいはカーボンファイバーなどであってもよい。
本発明のステップS3におけるエージングモードや、集塵基板1を用いたパーティクルの捕集による雰囲気清浄化を行う対象については、上記に説明した塗布、現像装置に限定されず、半導体製造工程に用いる機器であればよい。例えばFOUPなどの密閉型の搬送容器、洗浄装置などの他の液処理装置、エッチング装置、成膜装置、基板貼り合わせ装置、露光装置、検査装置などでもよい。また半導体製造工程とは、半導体ウエハに半導体装置を形成するための工程に限らず、ガラス基板にトランジスタを形成して液晶パネルを製造するための工程であってもよい。