(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記着脱可能装置が前記画像形成装置本体に装着された状態で、前記複数の端子における水平方向の中心を結ぶ第3の仮想直線が、前記第2の仮想直線に対して重ならない位置にあるように構成されたこと
を特徴とする請求項2に記載の着脱可能装置。
前記着脱可能装置が前記画像形成装置本体に装着された状態で、前記複数の端子における水平方向の中心を結ぶ第3の仮想直線が、前記第2の仮想直線に対して平行になるように構成されたこと
を特徴とする請求項2に記載の着脱可能装置。
前記情報記憶装置は、前記複数の端子が前記画像形成装置側端子に近づいて接触するときの前記複数の端子の移動方向に対して交差する仮想平面上を移動可能に、前記着脱可能装置に保持されること
を特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の着脱可能装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0030】
実施の形態1.
図1〜
図30にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つの着脱可能装置としてのトナー容器32Y、32M、32C、32K(現像剤容器)が着脱可能(交換自在)に設置されている(
図3〜
図5をも参照できる。)。
トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
着脱可能装置(現像剤容器)としてのトナー容器32Y、32M、32C、32Kの下方には、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kが配設されている。そして、トナー容器32Y、32M、32C、32Kに収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって、作像部6Y、6M、6C、6Kの現像装置内に供給(補給)される。
【0031】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像装置5Y(現像部)、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0032】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0033】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって
図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(
図1を参照できる。)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0034】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び第1転写バイアスローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0035】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0036】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0037】
ここで、
図1を参照して、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写バックアップローラ12、複数のテンションローラ、中間転写クリーニング部、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材によって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材12の回転駆動によって
図1中の矢印方向に無端移動される。
【0038】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0039】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0040】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部(不図示である。)の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0041】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0042】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0043】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。
排紙ローラ対29によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0044】
次に、
図2にて、作像部における現像装置の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、現像剤収容部53Y、54Y内に配設された2つの搬送スクリュ55Y、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53Y、54Y内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。
【0045】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。
【0046】
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置60Y(
図3等を参照できる。)を介して現像剤収容部54Y内に補給される。なお、トナー補給装置の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0047】
その後、現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53Y、54Yを循環する(
図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0048】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0049】
次に、
図3〜
図5にて、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kについて詳述する。
図3を参照して、装置本体100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32Y、32M、32C、32K内のトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって適宜に各現像装置内に補給される。
なお、4つのトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kやトナー容器32Y、32M、32C、32K(現像剤容器)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、イエローに対応したトナー補給装置50Yやトナー容器32Yのみの説明をおこない、他の3つの色に対応したトナー補給装置60M、60C、60Kやトナー容器32M、32C、32Kの説明を適宜に省略する。
【0050】
ここで、
図1を参照して、装置本体100の手前側(
図1の紙面垂直方向手前側である。)に設置された本体カバー(不図示である。)を開放すると、トナー容器収容部70(挿入口部71)が露呈される。そして、各トナー容器32Y、32M、32C、32K(現像剤容器)の長手方向を水平方向とした状態で、装置本体100の手前側から各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの着脱操作(トナー容器の長手方向を着脱方向とする着脱操作である。)がおこなわれる。
【0051】
図4に示すように、トナー容器32Y、32M、32C、32Kが装置本体100のトナー容器収容部70に装着(矢印Q方向の移動である。)されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Y、32M、32C、32Kのシャッタ部材34dが移動してトナー排出口W(排出口)が開放されるとともに、トナー補給装置32Y、32M、32C、32Kのトナー補給口73w(
図3を参照できる。)とトナー排出口Wとが連通する。これにより、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収容されたトナーが、トナー排出口Wから排出されて、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kのトナー補給口73wからトナータンク部61Y内に貯溜されることになる。
ここで、
図3の模式図を参照して、トナー容器32Yは、略円筒状のトナーボトルであって、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持されるキャップ部34Yと、ギア33cが一体的に形成された容器本体33Y(ボトル本体)と、で構成される。容器本体33Yは、キャップ部34Yに対して相対的に回転可能に保持されていて、駆動部91(駆動モータ、駆動ギア81等で構成されている。)によって
図3の矢印方向に回転駆動される。そして、容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された突起33bによって、トナー容器32Y(容器本体33Y)の内部に収容されたトナーが長手方向に搬送されて(
図3の左方から右方への搬送である。)、キャップ部34Yのトナー排出口Wからトナーが排出される。すなわち、駆動部91によってトナー容器32Yの容器本体33Yが適宜に回転駆動されることで、トナータンク部61Yにトナーが適宜に供給される。なお、トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったときである。)に新品のものに交換される。
【0052】
図3を参照して、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kは、トナー容器収容部70、トナータンク部61Y、トナー搬送スクリュ62Y、撹拌部材65Y、トナーエンドセンサ66Y、駆動部91、等で構成されている。
トナータンク部61Yは、トナー容器32Yのトナー排出口Wの下方に配設されていて、トナー容器32Yのトナー排出口Wから排出されたトナーが貯留される。トナータンク部61Yの底部は、トナー搬送スクリュ62Yの上流部に接続されている。
また、トナータンク部61Yの壁面(底部から所定高さの位置である。)には、トナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサ66Yが設置されている。トナーエンドセンサ66Yとしては、圧電センサ等を用いることができる。そして、トナーエンドセンサ66Yによってトナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことが制御部70にて検知(トナーエンド検知)されると、制御部70の制御により駆動部91(駆動ギア81)によってトナー容器32Yの容器本体33Yを所定時間回転駆動してトナータンク部61Yへのトナー補給をおこなう。さらに、このような制御を繰り返してもトナーエンドセンサ66Yによるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナー容器32Y内にトナーがないものとして、装置本体100の表示部(不図示である。)にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示をおこなう。
【0053】
また、トナータンク部61Yの中央(トナーエンドセンサ66Yの近傍である。)には、トナータンク部61Yに貯留されたトナーの凝集を防ぐ撹拌部材65Yが設置されている。撹拌部材65Yは、軸部に可撓性部材が設置されたものであって、
図3の時計方向に回転することによりトナータンク部61Y内のトナーを撹拌する。さらに、撹拌部材65Yの可撓性部材の先端が、回転周期でトナーエンドセンサ66Yの検知面に摺接することで、トナーエンドセンサ66Yの検知面にトナーが固着して検知精度が低下する不具合を抑止している。
【0054】
図示は省略するが、トナー搬送スクリュ62Yは、トナータンク部61Yに貯留されたトナーを斜め上方に搬送するものである。詳しくは、トナー搬送スクリュ62Yは、トナータンク部61Yの底部(最下点)から現像装置5Yの上方に向けてトナーを直線的に搬送する。そして、トナー搬送スクリュ62Yによって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64Y(
図2を参照できる。)を自重落下して現像装置5Y(現像剤収容部54Y)内に補給される。
【0055】
また、
図4を参照して、トナー容器収容部70は、主として、トナー容器32Yのキャップ部34Yを保持するためのキャップ受部73と、トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するためのボトル受部72(容器本体受部)と、トナー容器32Yの装着動作時における挿入口となる挿入口部71と、で構成されている。
【0056】
次に、
図6〜
図17等にて、トナー容器収容部70(ボトル受部72、キャップ受部73)について詳述する。
先に
図4、
図5にて説明したように、トナー容器収容部70には、ボトル受部72やキャップ受部73や挿入口部71(
図5では図示が省略されている。)が設けられている。そして、トナー容器32Yは、把持部33dを把持するユーザーによって、長手方向を水平方向とした状態で、容器本体33Yに対してキャップ部34Yを先頭にして長手方向を装着方向として、挿入口部71からトナー容器収容部70に装着される。挿入口部71から挿入されたトナー容器32Yは、ボトル受部72のボトル受面72a(
図5、
図6、
図9等をも参照できる。)を滑動しながら、キャップ受部73に向けてユーザーによって押し込まれる。ここで、
図6等を参照して、ボトル受部72には、各色ごとにボトル受面72aが形成されていて、それぞれに対応するトナー容器32Y、32M、32C、32Kが挿入される(白矢印方向の挿入である。)。さらに、
図8を参照して、キャップ受部73にも、各色ごとにボトル受部73Y、73M、73C、73Kが形成されていて、それぞれに対応するトナー容器32Y、32M、32C、32Kが挿入(白矢印方向の挿入である。)されて、その位置でキャップ部が非回転で保持される。
【0057】
図5、
図24(A)等を参照して、トナー容器収容部70のボトル受部72には、ボトル受面72a、ストッパ解除付勢部72b、等が設けられている。
ボトル受面72aは、トナー容器32Yの着脱動作時にはトナー容器32Yの滑動面として機能し、トナー容器32Yのセットが完了した後には回転駆動する容器本体33Yの保持部として機能する。
図5を参照して、ストッパ解除付勢部72bは、ボトル受面72aの上方(トナー容器32Yの装着方向下流側である。)に形成された台形状のリブである。
図24を参照して、ストッパ解除付勢部72bは、トナー容器32Yの装着動作に連動して、シャッタ部材34Yのストッパ解除部34d21を押し上げてストッパ部34d22と当接部34n5との当接状態を解除するためのものである(シャッタ部材34dの開放動作を可能にするためのものである。)。
【0058】
図14、
図15を参照して、トナー容器収容部70のキャップ受部73には、主基準ピン73a、従基準ピン73b、被当接溝73m、側方溝73h、壁部73g、貫通穴73f、等が設けられている。
位置決めピンとしての主基準ピン73a及び従基準ピン73bは、それぞれ、
図20及び
図21に示すトナー容器32Yにおけるキャップ部34Yの第1の位置決め穴部34aと第2の位置決め穴部34bとに嵌合する。そして、キャップ受部73におけるキャップ部34Yの位置決めがおこなわれる。
ここで、
図7等を参照して、主基準ピン73aは、従基準ピン73bよりも長手方向に長く形成されている(根元部となる基準面の位置は同一平面上に形成されている。)。また、主基準ピン73aは、その先端部が先細り形状となっている。これらにより、キャップ受部73へのトナー容器32Yの長手方向の装着動作において、キャップ受部73へのトナー容器32Yのスムーズな装着が可能になる。
【0059】
また、
図14、15を参照して、被当接溝73mはキャップ受部73の内壁であって主基準ピン73aの上方に主基準ピン73aの先端部よりも装着方向上流側から溝状に形成された凹部であり、後述するトナー容器32Yのキャップ部34Yの外周上方に長手方向に延在するように形成されたガイドレール部34eが、主基準ピン73aの位置決め穴34aへの挿入に先立って嵌りこむようになっている。
【0060】
また、
図12、15等を参照して、キャップ受部73の内壁の両側方には、長手方向に延在するように形成されて、かつ、キャップ受部73の外周側に向けて貫通する側方溝73hが、左右対称の関係になるように形成されている。さらに、
図12、
図13等を参照して、キャップ受部73の外周側には、上方から見ると略五角形をなして、長手方向から見ると溝部73r1(側方溝73hにつながるように形成されている。)を有するキャップ部挟み込み部材73rが、左右対称の関係になるように配置されている。
キャップ部挟み込み部材73rは、キャップ受部73とは別の部材として形成されていて、キャップ受部73の外周に形成された窪みに嵌め込まれて、その上方の円柱軸を中心に配置されているねじりコイルばね93によって付勢されることで、側方溝73hの側に押し付けられている。これにより、側方溝73hとキャップ部挟み込み部材73rの溝部73r1とがつながって、左右一対のより深い溝部が見かけ上形成されることになる。
トナー容器32Yを着脱する際、そのキャップ部34Yに形成された側方突起34cは、上述した深い溝部(溝部73r1と側方溝73hとが一体化されたものである。)内において、ねじりコイルばね93で付勢されたキャップ部挟み込み部材73rを押しのけて通過することになる。これにより、画像形成装置本体100(キャップ受部73)へのトナー容器32Yの着脱操作をおこなうユーザーは、着脱操作に同期したクリック感を感じることができることになり、中途半端な勢いで着脱操作をおこなうことなく最適な勢い(加速)にてトナー容器32Yの着脱操作をおこなうことができる。
【0061】
また、
図14(A)、
図15等を参照して、キャップ受部73の奥側壁面(装着方向奥側において鉛直方向に起立する壁面である。)には、鉛直方向に延在する長円穴と方形穴とが互いの縁線を一致させて重なった状態の形状からなる貫通穴73fが形成されている。そして、この貫通穴73fを介して、後述するコネクタ73e(
図16を参照できる。)が、キャップ受け部73の内壁側に露呈するように設置される(
図17等を参照できる。)。そして、キャップ受部73(装置本体100)にトナー容器32Yが装着されると、そのキャップ部34Yの先端に配されたIDチップ35に対してコネクタ73eが対向接触して、IDチップ35と装置本体100(制御部90)との間での情報通信が可能になる。
【0062】
以下、トナー容器収容部70のキャップ受部73へのコネクタ73eの設置形態について述べる。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー容器32Y、32M、32C、32Kに対応して4つのコネクタ73eが、各キャップ受部73に配置される。
図8を参照して、4つのコネクタ73eは、1つの長方形の共通電子基板95上に並設されている。詳しくは、コネクタ73eの底部に形成されたスナップフィット73e4を、共通電子基板95に形成された穴部(不図示である。)に嵌め込むことで、共通電子基板95上にコネクタ73eを固定する。
さらに、
図8、
図17を参照して、4つのコネクタ73eが固定された共通電子基板95は、4つのコネクタ73eがそれぞれ貫通孔73fを介してキャップ受部73の内部に入り込んだ状態で、4つのキャップ受部73K、73C、73M、73Yの配列方向に沿うように架設・固定されている。詳しくは、4つのネジ99が、共通電子基板95に形成された穴部を介して、4つのキャップ受部73K、73C、73M、73Yの外壁部の下方に形成された雌ネジ部73xにそれぞれ螺合されて、キャップ受部73に対して共通電子基板95が外側からネジ締結されている。
【0063】
以下、コネクタ73eの構成・動作について述べる。
図16を参照して、コネクタ73eは、コネクタ本体73e1、4つの本体側端子73e2、2つの位置決めピン73e3(位置決め用の突起部)等で構成されている。コネクタ73eにおける4つの本体側端子73e2は、それぞれ、板状(又は線状)の金属部材であって、その一端側を固定端として他端側を自由端としてコネクタ本体73e1に固定支持されている。また、4つの本体側端子73e2は、それぞれ、その他端側にIDチップ35の側に向けて湾曲した湾曲部(金属板としての金属パッド35aとの接点となる部分である。)が形成されている。そして、キャップ受部73へのキャップ部34Yの装着動作にともない、本体側端子73e2の湾曲部は、
図16の−X方向に変位して、キャップ部34Yに設置されたIDチップ35の金属パッド35a(金属板)に対する接触圧を徐々に強めながら、長手方向中央部から
図29の左方(第1の仮想直線S1近傍である。)に向けてスライドすることになる。
なお、
図16に示すように、位置決めピン73e3の先端部は、IDチップ35の切欠部35b1との係合がスムーズにおこなわれるように、テーパ状に形成されている。
【0064】
また、
図14、
図15、
図17を参照して、壁部73gは、コネクタ73eが設置される貫通穴73fの下方及び側方を囲むように設置されている。壁部73gを設けることで、トナー容器32Yのトナー排出口Wの近傍から外部にトナーが飛散してしまっても、壁部73gによって飛散トナーが遮られるために、コネクタ73eやIDチップ35に飛散トナーが直接的に付着しにくくなる。したがって、飛散トナーによるコネクタ73e(本体側端子73e2)とIDチップ35(金属パッド35a)との接触不良(通信不良)を抑止することができる。
【0065】
そして、トナー容器32Y、32M、32C、32KのIDチップ35(情報記憶装置)と、装置本体100のコネクタ73eと、の間で必要な情報の授受がおこなわれる。双方の間で通信される情報としては、トナー容器やIDチップそのものの製造番号、製造日、リサイクル回数等の情報や、トナーの容量、ロット番号、色等の情報や、画像形成装置本体100の使用履歴等の情報がある。IDチップ35(情報記憶装置)には、これらの電子情報が画像形成装置本体100に設置される前に予め記憶されている(又は、設置された後に装置本体100から受け取った情報が記憶される)。なお、IDチップ35(情報記憶装置)については、後でさらに詳しく説明する。
【0066】
次に、
図18〜
図30にて、トナー容器32Y、32M、32C、32Kについて詳述する。
図18〜
図20を参照して、トナー容器32Yは、主として、容器本体33Y(ボトル本体)と、その頭部に設けられたキャップ部34Y(ボトルキャップ)と、で構成される。さらに、トナー容器32Yのキャップ部34Yには、シャッタ部材34d、情報記憶装置としてのIDチップ35等が分解可能に設置されている。
【0067】
容器本体33Yの頭部には、容器本体33Yとともに一体的に回転するギア33cと、開口部Aと、が長手方向(
図30の左右方向である。)の一端側に設けられている(
図19、
図30を参照できる。)。開口部Aは、容器本体33Yの頭部(装着動作において先方となる位置である。)に設けられていて、容器本体33Y内に収容されたトナーをキャップ部34Y内のスペース(空洞であって、
図30を参照できる。)に向けて排出するためのものである。
なお、容器本体33Y内からキャップ部34Y内の空洞へのトナー搬送(容器本体33Yの回転駆動)は、画像形成装置本体側のトナー消費に応じて適宜におこなわれる。
【0068】
ギア33cは、装置本体100のトナー容器収容部70に設けられた駆動ギア81と噛合して、容器本体33Yを回転軸を中心に回転駆動させるためのものである。詳しくは、ギア33cは、後述するキャップ部34Yの外周面に形成された切欠穴部34x(
図18等を参照できる。)から露呈して、
図21における斜め下方の噛合位置で装置本体100の駆動ギア81と噛合する。そして、駆動ギア81からギア33cに駆動力が伝達されて、容器本体33Yが
図21の時計方向に回転することになる。なお、本実施の形態1において、駆動ギア81及びギア33cは平歯車である。
【0069】
図18を参照して、容器本体33Yの長手方向他端側(装着方向の後方の端部である。)には、トナー容器32Yの着脱作業をおこなう際にユーザーが把持するための把持部33dが設けられている。ユーザーは把持部33dを把持しながら、画像形成装置本体100に対してトナー容器32Yの装着をおこなうことになる(
図18の矢印方向へのトナー容器32Yの移動である。)。
【0070】
また、容器本体33Yの内周面には、螺旋状の突起33bが設けられている(外周面側から見ると螺旋状の溝となっている。)。この螺旋状の突起33bは、容器本体33Yを所定方向に回転駆動して開口部Aからトナーを排出するためのものである。このように構成された容器本体33Yは、その周面上に配設されるギア33cや把持部33dとともにブロー成形にて製造することができる。
【0071】
なお、
図30を参照して、本実施の形態1におけるトナー容器32Yは、容器本体33Yとともに回転する撹拌部材33fが
図19に示すボトル口部33a(開口部A)に嵌合されている。撹拌部材33fは、キャップ部34Y内の空洞から容器本体33Y内に向けて延設された棒状部材である。容器本体33Yの開口部Aとともに撹拌部材33が回転することで、開口部Aからのトナー排出性が向上する。
【0072】
また、
図19、
図30を参照して、容器本体33Yの開口部Aの周囲には、キャップ部34Yの爪部34j(
図21等を参照できる。)に係合されることで双方の部材33Y、34Yを接続するための被係合部33j(フランジ部)が、外周を1周するように形成されている。このように、容器本体33Yは、キャップ部34Yに対して回転可能に嵌合されている。
また、
図19、
図30を参照して、容器本体33Yの頭部33Yc(ギア33cが形成された位置近傍である。)の内径は、トナーが収容された収容部33Ya(螺旋状の突起33bが形成された位置である。)の内径よりも小さくなるように形成されている。そして、容器本体33Yにおいて、頭部33Ycと収容部33Yaとの間には、その内周面が内部に向かってせり出すように形成された汲み上げ部33Yb(
図20の一点鎖線で囲んだ部分である。)が設けられている。そして、容器本体33Yの回転にともない螺旋状の突起33bによって開口部Aに向けて搬送されたトナーは、汲み上げ部33Ybによって頭部33Ycの小径部に汲み上げられる。その後、頭部33Ycの小径部に汲み上げられたトナーは、撹拌部材33fに撹拌されながら、開口部Aからキャップ部34Yの空洞に向けて排出される。
【0073】
図20〜
図23を参照して、トナー容器32Yのキャップ部34Yには、IDチップ35(情報記憶装置)、シャッタ部材34d、シャッタシール36、等が設置される。
図22を参照して、キャップ部34Yは、大まかに、容器本体33Y側からシャッタ部材34d側に向けて、3段階に外径及び内径を小さくする円筒部(大径円筒部34Y1、中径円筒部34Y2、小径円筒部34Y3である。)と、その底部に2段階に水平方向の幅を小さくする箱部(広幅箱部34Y11、狭幅箱部34Y12である。)と、を組み合わせた構造体となっている。
キャップ部34Yには、大径円筒部34Y1と、中径円筒部34Y2と、広幅箱部34Y11と、狭幅箱部34Y12の一部と、からなる内挿部34z(
図30を参照できる。)が形成されている。そして、この内挿部34zに、容器本体33Yの頭部33Ycと汲み上げ部33Ybの一部とが内挿されることになる。
図30等を参照して、この内挿部34zにおいて、中径円筒部34Y2は、その内径Dが、ギア33cの歯先直径よりも小さくて、容器本体33Yの開口部Aの外径よりも大きくなるように形成されている。また、小径円筒部34Y3は、その内径Bが、中径円筒部34Y2の内径Dよりも小さく、さらに開口部Aの外径よりも小さくなるように形成されている。
また、中径円筒部34Y2と小径円筒部34Y3とをつなぐ環状の縦壁面(容器本体33Yの開口部Aの周囲に対向する面である。)には、その開口径が内径Bとほぼ同一になる環状のキャップシール37(弾性シール)が、両面テープによって貼り付けられている。このキャップシール37に、容器本体33Yの頭部33Ycの開口部Aの縁が当接して食い込むように、頭部33Ycと汲み上げ部33Ybの一部とが、内挿部34zに内挿される。このような構成により、ギア33cの一部(切欠穴部34xから露呈する部分を除いた部分である。)や、キャップ部34Yと容器本体33Yとの接続部等の機能部分が、大径円筒部34Y1によって覆われることになる。そのため、トナー容器32Yが単独でユーザーに持たれる場合であっても、そのような機能部分をユーザーが触れることを防止できるとともに、予期せぬ外力(不用意な打撃等である。)がトナー容器32Yに加わっても上述した接続部からのトナー漏れやギア33cの歯面の破損を軽減することができる。また、環状のキャップシール37は、その表面の摺動性や弾性維持性が良いため、容器本体33Yが食い込みながら回転しても容器本体33Yとキャップ部34Yとの間に隙間が生じてトナーが漏れ出すことはない。キャップシール37の材料としては、一般的な軟質ウレタンフォーム(PUR)とは異なり、高密度で、微細かつ均一なセル構造を有する高密度マイクロセルウレタンシートを用いている。その結果、一般的なPURを用いた場合に比べて、キャップシール37のヘタリが小さく、長期にわたって容器本体33Yとキャップ部34Yとのシール性を維持することができる。
【0074】
図22、
図30等を参照して、キャップ部34Yの小径円筒部34Y3の下方に位置する狭幅箱部34Y12の内部には、容器本体33Yの開口部Aから排出されたトナーを容器外であって鉛直方向下方に排出(自重落下)させるための六角柱状の穴を有するトナー落下経路Cが設けられている。トナー落下経路Cは、六角形断面の一定の流路面積を有しており、小径円筒部34Y3内の下側周面とトナー排出口W(排出口)とを連通させている。これによって、容器本体33Yの開口部Aからキャップ部34Yの小径円筒部34Y3の内部に排出されたトナーは、六角柱状のトナー落下経路Cを自重落下してトナー排出口Wから容器外(トナータンク部61Y)にスムーズに排出されることになる。
【0075】
そして、狭幅箱部34Y12の底部には、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの着脱動作に連動してトナー排出口Wの開閉をおこなうためのシャッタ部材34dの一部(シャッタ主部34d1)が、スライド移動可能に保持されている。
図22、
図23は、シャッタ部材34dがトナー排出口Wの開放を開始してから開放が完了するまでの動作を示すものである。また、
図24(A)〜(C)は、そのときのシャッタ部材34d(シャッタ変形部34d2)の開放動作を示す模式図である。さらに、
図25、
図26は、シャッタ部材34dを示す斜視図である。なお、
図24(B)、(C)は、
図24(A)で図示したキャップ部34Yやキャップ受部73やボトル受部72の図示を一部省略している。
【0076】
図22〜
図26を参照して、シャッタ部材34dは、ポリスチレン等の樹脂材料で形成されていて、大まかに、板状のシャッタ主部34d1と、シャッタ主部34d1から突出してシャッタ主部34d1より厚さが薄くて弾性をもたせたシャッタ変形部34d2と、で構成されている。
【0077】
図25、
図26を参照して、シャッタ部材34dのシャッタ主部34d1には、両側端部に起立する縦壁34d13(トナー容器32Yの装着方向に対して平行に延設されている縦壁である。)や、その縦壁34d13から突出する複数の突起物からなるシャッタスライダ34d12が両側端部にそれぞれ形成されている。このシャッタスライダ34d12は、縦壁34d13の内側面に突出するスライド突起部34d12aと、縦壁34d13の外側面に突出するL字状の被係合突起部34d12bと、被係合突起部34d12bと同じ外側面に突出して設けられてシャッタ主部34d1の本体から広幅箱部34d11側に延出する一対の角柱部34d12cと、を有する。一方、キャップ部34Yの狭幅箱部34d12には、その両側壁において長手方向に延在する一対のスライド溝34t(
図23を参照できる。)がリブによって形成されている。このスライド溝34tにスライド突起部34d12aが嵌合することで、シャッタ部材34dのシャッタ主部34d1がキャップ部34Yにスライド移動可能に支持される。
また、シャッタ主部34d1の上面(トナー排出口Wに対向する面である。)には、シール部材としてのシャッタシール36が貼着されている。シャッタシール36は、薄い略直方体の弾性シールであって、キャップシール37と同様に、表面の摺動性や弾性維持性に考慮して高密度マイクロセルウレタンシートを材料として用いている。そのため、シャッタ部材34dの開閉動作を繰り返しても、シャッタ部材34dがトナー排出口Wを閉鎖した状態でのトナー排出口Wにおけるシール性を維持することができる。
そして、シャッタスライダ34d12のスライド突起部34d12aが、狭幅箱部34Y12(キャップ部34Y)のスライド溝34tに嵌合している。さらに、その状態で、狭幅箱部34Y12の六角形のトナー排出口Wの縁に沿って下方に突出する六角リング状の突起34r(
図23を参照できる。)と、シャッタ主部34d1と、の間にシャッタシール36が挟み込まれて、シャッタシール36が僅かに圧縮した状態になっている。そのような状態で、スライド溝34tに沿ってシャッタ部材34dが移動することで、シャッタ主部34d1がトナー漏れを抑制しながらトナー排出口Wを開閉することになる。さらに、シャッタ主部34d1(シャッタ部材34d)がトナー排出口Wを閉鎖した状態においては、シャッタ主部34d1とトナー排出口Wとの間からトナーが漏出するのを防止する。
【0078】
具体的に、シャッタ部材34dは、キャップ部34Yの側から容器本体33Yの側への長手方向の相対的な移動(
図30の左方への移動である。)によりトナー排出口Wを開放して、容器本体33Yの側からキャップ部34Yの側への長手方向の相対的な移動(
図30の右方への移動である。)によりトナー排出口Wを閉鎖する。シャッタ部材34dの開閉動作(トナー排出口Wの開閉動作である。)は、トナー容器収容部70(装置本体100)へのトナー容器32Yの長手方向の着脱動作に連動しておこなわれる。
【0079】
図25、
図26を参照して、シャッタ部材34dのシャッタ変形部34d2は、シャッタ主部34d1に一体的に形成され、前述したようにシャッタ主部34d1の板厚さよりも薄い板厚で形成されている。シャッタ変形部34d2は、主として、シャッタ主部34d1の容器本体33Y側の端面から延出した2つの細長い平板部34d23と、それら2つの平板部34d23を先端部(自由端)近傍で互いに連接するために長手方向に直交する方向に延在する板状部材34d24と、からなる。シャッタ変形部34d2は、シャッタ主部34d1との固定端(接続部分である。)を基点にして上下方向に弾性変形可能に形成されている。2つの平板部34d23の先端部(自由端)には、後述するようにトナー排出口Wの不用意な開放を防止するためにシャッタ部材34dを固定するストッパ部34d22が形成されている。また、板状部材34d24の底面側には、鉛直方向下方に山状に突出する傾斜突起(断面が三角形となっている。)であって、後述するようにキャップ受部73のストッパ解除付勢部72bと協働して上述したシャッタ部材34dの固定を解除するストッパ解除部34d21が形成されている。
【0080】
図22及び
図23等を参照して、キャップ部34Yの大径円筒部34Y1の下方に位置する広幅箱部34Y11には、その内部にシャッタ開放時におけるシャッタ変形部34d2を収納するシャッタ収納部34nが形成されている。広幅箱部34Y11における4つの側面のうち、長手方向(
図22の矢印方向である。)に対向する2つの側面は開放されている。特に、トナー排出口Wの側に形成された側面は、底部側の両側端に一部壁面が形成されているものの、その大部分が水平方向に延在する開口34n1となっている。この開口34n1は、広幅箱部34Y11のトナー排出口Wの側にある側面と、底面と、の2面を切り欠くようにして形成されている。そして、開口34n1の縁部のうち、広幅箱部34Y11の底面から鉛直方向に起立するように形成された縁部が、当接部34n5となっている。
シャッタ変形部34d2のストッパ部34d22は、シャッタ変形部34d2の開放方向(
図24の左方向である。)の最端部(シャッタ主部34d1から離れたシャッタ変形部34d2の先端である。)に形成された壁部であり、これが前述の当接部34n5に当接することで、トナー排出口Wを閉鎖した状態からトナー排出口Wを開放する方向へのシャッタ部材34dの移動を規制する。すなわち、トナー容器32Yは、単独の状態(装置本体100にセットされていない状態である。)で、シャッタ部材34dのストッパ部34d22が当接部34n5に当接しているために、シャッタ部材34dが独自に開放方向に移動してトナー排出口Wを開放してしまうようなことは生じない。
一方、ストッパ解除部34d21は、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着動作に連動して、ボトル受部72に形成されたストッパ解除付勢部72b(
図5、
図24等を参照できる。)が当接して、ストッパ解除付勢部72bによって上方に押し上げられることによって(下方から外力を受けることによって)、シャッタ変形部34d2が上方に弾性変形されてストッパ部34d22も上方に変位される。こうして、ストッパ部34d22と当接部34n5との当接状態が解除されて、シャッタ部材34dの開放方向の移動が可能になる。
【0081】
以下、
図24(A)〜(C)を用いて、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着動作に連動したシャッタ部材34dの動作について詳述する。なお、
図24(A)、
図24(C)におけるシャッタ部材34dの位置は、それぞれ、
図22、
図23におけるシャッタ部材34dの位置に対応する。
図24(A)に示すように、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着動作(
図24の右方向への移動である。)が開始されて、ボトル受部72に形成されたストッパ解除付勢部72b(
図5等をも参照できる。)の位置にシャッタ部材34dのストッパ解除部34d21が達していないとき、シャッタ部材34dのストッパ部34d22が当接部34n5に当接していて、シャッタ部材34dの開放方向の移動が規制されている。なお、ボトル受部72の上面であってストッパ解除付勢部72bの近傍のキャップ受部73側には、シャッタ部材34dの底面を摺擦して汚れを清掃するよう、毛ブラシ72fが配置されている。この毛ブラシ72fは、特に、トナー容器32Yを脱離させる動作の中でシャッタ部材34dの底面に付着した噴煙トナーの清掃に効果を発揮する。
その後、トナー容器32Yの装着動作が進むと、
図24(B)に示すように、ストッパ解除付勢部72bによってストッパ解除部34d21が押し上げられて、シャッタ変形部34d2が接続位置(一点鎖線で囲んだ部分である。)を基点として弾性変形する。これにより、ストッパ部34d22と当接部34n5との当接状態が解除されて、シャッタ部材34dの開放方向の相対的な移動が可能になる。
その後、シャッタ部材34dは、キャップ受部73のトナー補給口73wの周囲に形成された壁部(図中に「当接位置」と付した部分である。)に当接して、トナー容器収容部70(キャップ受部73)における移動が規制される(シャッタ部材34dは長手方向に絶対的に移動しないことになる。)。しかし、トナー容器32Yの装着方向の移動は進められるために、シャッタ部材34dはトナー排出口Wに対して開放方向の相対的な移動をおこなうことになる。すなわち、
図24(C)に示すように、シャッタ部材34dは、容器本体33Yの側に相対的に移動して、そのシャッタ変形部34d2がシャッタ収納部34n内に収納される。こうして、シャッタ部材34dの開放方向の移動によるトナー排出口Wの開放が完全に終了するとともに、トナー排出口Wとキャップ受部73のトナー補給口73wとが重なるように一致して、トナー容器32Yからトナー補給装置に通じる一体的なトナー補給通路が形成される。このとき、シャッタ部材34dのストッパ解除部34d21は、シャッタ収納部34nの開口34n1の延長部分である切欠部34n6(
図22、
図23等も参照できる。)に格納される。これにより、シャッタ収納部34nに収納された状態のシャッタ変形部34d2が、ストッパ解除部34d21とシャッタ収納部34nとの接触によって、大きく弾性変形した状態で保持されてしまう不具合を防止することができる。
【0082】
このように、本実施の形態1におけるトナー容器32Yは、シャッタ部材34dにシャッタ主部34d1との接続位置を基点にして弾性変形するシャッタ変形部34d2を設けて、そのシャッタ変形部34d2にシャッタ部材34dの開放方向の移動を規制するストッパ部34d22とそれを解除するストッパ解除部34d21とを設けているため、トナー容器32Yが単体の状態でシャッタ部材34dが勝手にトナー排出口Wを開放してしまうことがなく、トナー容器32Yが画像形成装置本体100にセットされるときにのみその装着動作に連動してシャッタ部材34dがトナー排出口Wを開放することになる。
【0083】
以下、L字状の被係合突起部34d12bの、シャッタ開閉動作に関する作用について説明する。
図25等に示すように、L字状の被係合突起部34d12bは、シャッタ主部34d1の両側端部にそれぞれ形成されている。一方、特願2011−9782の図にあるので図示は省略するが、キャップ受部73の内部の底面には、一対の被係合突起部34d12bに対向するように一対の付勢部材が設置されている。この一対の付勢部材は、互いに対称の形状を成すL字状のレバー(L字の曲がり部付近に回転中心となる支軸が形成されている。)であって、その一端側の腕部がねじりコイルバネで付勢されている。そして、トナー容器32Y(キャップ部34Y)がキャップ受部73に装着されると、その付勢部材の他端側の腕部が被係合突起部34d12bに係合して、シャッタ部材34dが開放される方向に対して抗する方向(閉鎖する方向)に付勢力を作用させる。これにより、ユーザーは上述した付勢部材による付勢力に打ち勝つ力でトナー容器32Yを押し込むことになり、シャッタ部材34dの開放がすばやくおこなわれる。その結果、トナー排出口Wがキャップ受部73のトナー補給口73wと一致していない状態が瞬間的にしか発生せず、トナー排出口Wとトナー補給口73wとの間からのトナー漏れを抑制することができる。
これに対して、キャップ受部73からトナー容器32Y(キャップ部34Y)を離脱するときには、上述した付勢部材の腕部が被係合突起部34d12bを装着方向に押し込むように付勢した状態になる。これにより、ユーザーは上述した付勢部材による付勢力にそれに打ち勝つ力でトナー容器32Yを引き抜こうとするので、シャッタ部材34dの閉鎖がすばやくおこなわれる。その結果、開放動作時と同様に、トナー排出口Wとトナー補給口73wとの間からのトナー漏れを抑制することができる。
【0084】
図20、
図21、
図30等を参照して、キャップ部34Yの上部(天井部)には、長手方向に直交するキャップ部34Yの端面から長手方向に延設された第1の位置決め穴部34aが形成されている。この第1の位置決め穴部34aは、画像形成装置本体100におけるキャップ部34Yの位置決め主基準となる。詳しくは、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの長手方向の装着動作に連動して、キャップ部34Yの第1の位置決め穴部34aにキャップ受部73の位置決めピンとしての主基準ピン73a(
図14、
図17等を参照できる。)が嵌合する。
また、キャップ部34Yの下部(底部)には、長手方向に直交するキャップ部34Yの端面から長手方向に延設された第2の位置決め穴部34bが、トナー排出口Wの位置に達しないように形成されている。この第2の位置決め穴部34bは、画像形成装置本体100におけるキャップ部34Yの位置決め従基準となる。詳しくは、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの長手方向の装着動作に連動して、キャップ部34Yの第2の位置決め穴部34bにキャップ受部73の位置決めピンとしての従基準ピン73b(
図14、
図17等を参照できる。)が嵌合する。なお、第2の位置決め穴部34bは、
図21に示すように、鉛直方向を長手方向(この「長手方向」は、その他で記載しているトナー容器32Yの「長手方向」の意味とは異なる。)とする長穴である。
このように構成された2つの位置決め穴部34a、34bによって、トナー容器収容部70におけるキャップ部34Yの位置決めがおこなわれる。
【0085】
ここで、
図30等を参照して、第1の位置決め穴部34aの穴の深さは、第2の位置決め穴部34bの穴の深さよりも長く設定されている。また、主基準ピン73aの長手方向の長さは、従基準ピン73bの長手方向の長さよりも長く設定されている。これにより、トナー容器収容部70(キャップ受部73)へのトナー容器32Yの長手方向の装着動作において、位置決め主基準となる第1の位置決め穴部34aへの主基準ピン73aの嵌合が開始された後に、位置決め従基準となる第2の位置決め穴部34bへの従基準ピン73bの嵌合が開始されることになり、トナー容器収容部70(キャップ受部73)へのトナー容器32Yのスムーズな装着が可能になる。また、このように長手方向に長い第1の位置決め穴部34aは、キャップ部34Yの天井部(トナーに埋没することがない部分である。)に設けられているために、キャップ部34Y内におけるトナーの搬送性(流動性)に与える影響が生じないことになる。また、長手方向に短い第2の位置決め穴部34bは、キャップ部34Yの底部に設けられているものの、キャップ部34Yの端面からトナー排出口Wの位置までの短いスペースを利用して設置できるものであって、位置決め従基準としての機能を充分に発揮する。
【0086】
また、
図20等を参照して、キャップ部34Yの第1の位置決め穴部34aの上方であって、キャップ部34Yの外周部には、第1の位置決め穴部34aの軸方向に沿って延在するガイドレール部34eが形成されている。ガイドレール部34eは、長手方向に直交する断面(
図21の正面図に平行する断面である。)でみたときに第1の位置決め穴部34aの穴中心を通る仮想垂線に対して線対称形となるようにキャップ部34Yの外周面から鉛直方向上方に突出するとともに、長手方向(
図21の紙面垂直方向である。)に延設されている。ガイドレール部34eは、主基準ピン73aの位置決め穴部34aへの挿入に先立って、キャップ受部73の内壁であって主基準ピン73aの上方に主基準ピン73aの先端部よりも装着方向上流側から溝状に形成された被当接溝73m(凹部)に嵌まり込み、画像形成装置本体100(キャップ受部73)への装着移動時におけるキャップ部34Yの長手方向に直交する水平方向の姿勢を規制する。また、ガイドレール部34eの先端には、第1の位置決め穴部34aの端面に対して長手方向(装着方向)に僅かに突出する突出部34e1が形成されている。この突出部34e1は、
図20等に示すように、テーパ状に形成されている。そして、キャップ受部73に形成された被当接溝73mにガイドレール部34eが入り込んで、キャップ部34Yがキャップ受部73内に案内される。これにより、キャップ受部73に対してキャップ部34Yが装着されるときに、第1の位置決め穴部34aにおけるテーパ状の突出部34e1が第1の位置決め穴部34aと主基準ピン73aとの嵌合よりも先に被当接溝73mに嵌合するため、キャップ受部73へのキャップ部34Yの装着がスムーズにおこなわれることになる。
【0087】
また、
図20、
図21等を参照して、キャップ部34Yの両側方部には、それぞれ、画像形成装置本体100(キャップ受部73)におけるキャップ部34Yの回転方向の姿勢を規制する側方突起34cが形成されている。側方突起34cは、長手方向に直交する断面でみたときに第1の位置決め穴部34aの穴中心と第2の位置決め穴部34bの穴中心とを結ぶ仮想線分の中点を通る仮想水平線上に配設されるようにキャップ部34Yの外周面から水平方向両側に突出するとともに、長手方向(
図21の紙面垂直方向である。)に延設されている。そして、2つの側方突起34cが、キャップ受部73においてキャップ部挟み込み部材73r(
図12等を参照できる。)によって押込みに対して反対方向に押し返されるように押動されながら
図12等に示す側方溝73h及び溝部73r1に係合して、キャップ部34Yの回転方向の姿勢が規制されながらキャップ受部73に対してキャップ部34Yが着脱されるとともに、キャップ受部73にキャップ部34Yが装着された状態でのキャップ部34Yの回転方向の姿勢が規制される。
さらに詳しくは、側方突起34cは、
図20等に示すように、長手方向(装着方向)の先端がテーパ状に形成されている。ここで、キャップ受部73に対してキャップ部34Yが装着されるときに、まず、ガイドレール部34eが被当接溝73mに嵌合して、その後に先端がテーパ状に形成された2つの側方突起34cが側方溝73h及び溝部73r1に嵌合するため、キャップ部34Yの姿勢が確実に規制された状態でキャップ受部73への装着がスムーズにおこなわれることになる。
図20及び
図21を参照して、キャップ部34Yの底部の両端には、トナー容器32Y(現像剤容器)の非互換性を担保するための凸部34g、34hが設けられている。詳述すると、キャップ部34Yの底部から側方に延設された平板状の羽根部材の上面側に、上方へ向けて凸部34g、34hが突設されている。この凸部34g、34hは、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着操作が正しいときに(トナー容器収容部70の正規位置へ装着されたときに)、
図9に示す嵌合部72m(トナー容器収容部70のボトル受部72に形成されている。)に嵌合するように構成されている。
具体的に、図示は省略するが、トナー容器(容器本体)に収容されるトナーの色に応じて凸部34g、34hの位置が異なる位置に配設されている。詳細には、トナー容器32Yが画像形成装置本体100に装着される際の装着方向先端を正面とした場合に、正面から見て、各凸部34g、34hは、突出している位置が重ならないように配設されるとともに、色に応じて異なる位置に配設されている。シアンに対応したトナー容器の凸部34g、34hはトナー容器収容部70のシアン用の嵌合部72mにのみ嵌合する位置に形成され、マゼンタに対応したトナー容器の凸部34g、34hはトナー容器収容部70のマゼンタ用の嵌合部72mにのみ嵌合する位置に形成され、イエローに対応したトナー容器の凸部34g、34hはトナー容器収容部70のイエロー用の嵌合部72mにのみ嵌合する位置に形成され、ブラックに対応したトナー容器の凸部34g、34hはトナー容器収容部70のブラック用の嵌合部72mにのみ嵌合する位置に形成されている。
このような構成によって、所定の色のトナー容器収容部(例えば、シアンのトナー容器収容部である。)に、異なる色のトナー容器(例えば、イエローのトナー容器である。)がセットされて、所望のカラー画像が形成できなくなる不具合が抑止される。すなわち、トナー容器収容部へのトナー容器の誤セットが抑止される。
なお、
図10は、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着操作が正しいときの状態を示すものであって、ボトル受部72の嵌合部72mにキャップ部34Yの凸部34g、34hが干渉することなくしている。これに対して、
図11は、トナー容器収容部70へのトナー容器32Yの装着操作が正しくないときの状態を示すものであって、ボトル受部72の嵌合部72mにキャップ部34Yの凸部34g、34hが干渉している。
【0088】
以下、本実施の形態1におけるトナー容器32Y(着脱可能装置)において特徴的な、IDチップ35(情報記憶装置)について詳述する。
図20等を参照して、キャップ部34Yの端面上には、第1の位置決め穴部34aと第2の位置決め穴部34bとの間に設置された保持部材34kの位置に、種々の電子情報が記憶された情報記憶装置としてのIDチップ35が設置されている。IDチップ35は、トナー容器収容部70(キャップ受部73)にキャップ部34Yが装着された状態で、キャップ受部73のコネクタ73eに接続されるように構成されている(
図3、
図17等を参照できる。)。具体的に、トナー容器収容部70(キャップ受部73)にキャップ部34Yが装着された状態で、IDチップ35の複数の金属パッド35a(金属板)と、コネクタ73eの複数の本体側端子73e2と、が接触する。そして、IDチップ35は、キャップ部34Yがキャップ受部73に保持された状態で、
図3で示すようにコネクタ73eを介して制御部90との間で通信(有線通信)をおこなう。
【0089】
図27〜
図29を参照して、本実施の形態1において、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器32Y(着脱可能装置)に設置される保持機構は、情報記憶装置としてのIDチップ35、保持部としての保持部材34k、等で構成されている。また、保持機構に保持される情報記憶装置としてのIDチップ35は、基板35b、情報記憶部35c、複数の端子としての金属パッド35a(金属板)、等で構成されている。
図29を参照して、情報記憶部35cは、画像形成装置本体100の制御部90とトナー容器32Yとの間でやり取りされる種々の情報が記憶されている電子回路である。
図29では簡略のため斜線にて箱状のものとして表しているが、メモリーICやノイズ低減のためのコンデンサ、抵抗等の集合体が該当する。この情報記憶部35cは、基板35bの裏面側(キャップ部34Yの端面に対向する側である。)に配置されていて、複数の金属板としての金属パッド35aの全部又は一部に電気的に接続されている。
複数の端子としての金属パッド35aは、キャップ受部73(装置本体100)に設置されたコネクタ73eにおける複数の本体側端子73e2にそれぞれ接触して、画像形成装置本体100(制御部90)との間で情報に係る電気信号をやり取りする。この複数の金属パッド35aは、基板35bのオモテ面側(キャップ受部73に対向する側である。)に配置されている。また、複数の金属パッド35aは、略矩形状に形成されていて、短手方向(
図29(A)のZ方向(鉛直方向)である。)に隙間を空けて並設されている。
情報記憶部35cや金属パッド35aが配置される基板35bには、位置決め用の切欠部35b1(長円円周の直線部で二分したときの片方の形状である。)が鉛直方向の両端にそれぞれ形成されている。この位置決め用の切欠部35b1は、コネクタ73e(画像形成装置本体100)に設置された位置決め用の円柱状の突起部としての位置決めピン73e3(
図16、
図17等を参照できる。)に嵌合して、複数の本体側端子73e2に対する複数の金属パッド35aの位置を定めるためのものである。
そして、このように構成されたIDチップ35(情報記憶装置)は、キャップ部34Yに着脱可能に構成された保持部材34k(保持部)に保持されている。
【0090】
この保持部材34k(保持部)は、本体側端子73e2に対して金属パッド35a(端子)が近づいて接触するときの移動方向(
図17の白矢印で示す方向である。)に対して交差する仮想平面(略直交する仮想平面である。)上を移動できるように、接触式のIDチップ35(情報記憶装置)を保持する。
具体的に、本実施の形態1において、保持部材34kは、画像形成装置本体100に対するトナー容器32Yの着脱方向に対して直交する仮想平面(
図20のXZ平面である。)上を移動できるようにIDチップ35(基板35b)を保持する。換言すると、IDチップ35(基板35b)は、
図20に示すように保持部材34k(キャップ部34Y)に保持された状態で、
図20のXZ平面上をある程度自由に移動(1mm程度の移動である。)できるように構成されている。具体的には、IDチップ35(基板35b)は、箱型形状の保持部材34k(保持機構)の内部にて、ある程度ルーズに保持されている。つまり、IDチップ35は、保持部材34kの内部において、XZ平面方向に予め定められた間隔を側壁との間に開けて保持されている。また、
図28及び
図29を参照して、IDチップ35は、保持部材34kの内部において、基板35bの厚さt(0.8mm程度である。)に対して±Y方向に僅かな隙間Δt(例えば、Δt+t=0.85〜1.05mm程度、である。)が生じるように保持されている。そのため、位置決めピン73e3の挿入方向に対して、ある程度直交差するように、基板35bを起立させることができる。これにより、位置決めピン73e3の挿入方向に対して基板35bが大きく倒れすぎて、位置決めピン73e3と切欠部35b1とがこじってしまい双方の部材の嵌合がうまくいかなくなる不具合が抑止される。
上述のような構成にすることで、画像形成装置100やトナー容器32Yの小型化にともない、そこに設置されるIDチップ35を小型化しようとして基板35b上の複数の金属パッド35a(端子)を密集して配列した場合であっても、関連部品の寸法精度や組み付け精度の高低に関らず、複数の金属パッド35aと、コネクタ73eの本体側端子73e2と、の位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0091】
具体的に、
図17等を参照して、キャップ受部73へのトナー容器32Yのキャップ部34Yの装着動作が進められると、位置決め穴部34a、34bに位置決めピン73a、73bが挿入されて、キャップ受部73におけるキャップ部34Yの位置決めがされる。そして、さらにキャップ部34Yの装着動作が進められると、IDチップ35における基板35bの切欠部35b1にコネクタ73eの位置決めピン73e3(
図16、
図17等を参照できる。)が挿入され、コネクタ73e(複数の本体側端子73e2)に対する基板35b(複数の金属パッド35a)の位置決めがされる。より細かく述べると、切欠部35b1の縁部(又は、内面)に位置決めピン73e3が接触して基板35bの動きが規制されることになる。このとき、切欠部35b1が形成されたIDチップ35(基板35b)は、保持部材34kにおいてXZ平面上を移動可能に構成されているために、大量生産にともなう関連部品の寸法精度や組み付け精度の許容ばらつきを大きくせざるを得なくなった結果、トナー容器32Yと画像形成装置本体100との位置決めをおこなう際に、位置決めピン73e3に対して切欠部35b1の位置が当初からずれてしまっていても、位置決めピン73e3の先端のテーパ形状に規制されることでIDチップ35(基板35b)自体がXZ平面内を移動して位置決めピン73e3の円柱部と切欠部35b1との嵌合が可能になる。換言すると、トナー容器32Yと画像形成装置本体100との位置決めとは独立して、位置決めピン73e3の円柱部と切欠部35b1との嵌合が可能になる。したがって、複数の金属パッド35aと、コネクタ73eの本体側端子73e2と、の位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0092】
ここで、
図27を参照して、保持部としての保持部材34kは、キャップ部34Yに対して着脱可能に構成されるとともに、IDチップ35を挿脱するための挿入口34k1が上方に形成された箱状部材である。
詳しくは、キャップ部34Yへの保持機構の組み付け時において、まず、挿入口34k1から保持部材34kの内部に向けてIDチップ35(情報記憶装置)を挿入する(
図27の矢印方向の移動である。)。その後、IDチップ35が装着された状態の保持部材34k(保持部)を、
図27の矢印方向に移動して、キャップ部34Yの凹部へ圧入する。このとき、保持部材34kは、キャップ部34Yの凹部に設けられた台座部34q(基板35bに接触しない位置に配設されている。)に当接する位置で固定・保持される。なお、キャップ部34YからIDチップ35を取出する場合には、上述した手順と逆の手順で作業がおこなわれる。なお、台座部34qは、キャップ部34Yの凹部において、トナー容器32Yの装着方向に(又は、保持部材34kに向けて)起立するリブであって、コネクタ73eの位置決めピン73e3が挿入される場所から外れた位置に設けられている。
なお、本実施の形態1では、保持部材34kをキャップ部34Yの凹部へ圧入して固定するように構成したが、保持部材34kをキャップ部34Yの凹部へ装着してネジ止めして固定するように構成することもできる。具体的には、保持部材34kの側壁に穴部を有する片状のリブを突起させて、キャップ部34Yの端面に雌ネジ部を形成する。そして、保持部材34kをキャップ部34Yの凹部へ装着して、キャップ部34Yの端面に保持部材34kの片状のリブを接触させた状態で、保持部材34kに係るリブの穴部を介してキャップ部34Yの雌ネジ部にネジを螺合させる。このような構成の場合であっても、キャップ部34Yに対して保持部材34kを比較的容易に着脱することができる。
【0093】
このように、IDチップ35(基板35b)がキャップ部34Yに対して着脱可能に構成されているために、着脱可能装置としてのトナー容器32YへのIDチップ35(基板35b)の組み付け性が高められるとともに、トナー容器32Yのリサイクルをおこなう場合等におけるIDチップ35(基板35b)の分解作業の効率が高められることになる。特に、本実施の形態1におけるIDチップ35の基板35bは12mm×8mm〜15mm×10mm程度の小型の基板であって、製造工程においてキャップ部34Yに基板35bを装着した状態でのデータ入出力(プローブ端子を金属パッド35aに接触させてのデータ入出力である。)をおこなおうとした場合、複雑な形状のキャップ部34Y上では、作業がしづらく工程時間を長くしてしまう虞がある。したがって、本実施の形態1のようにIDチップ35(基板35b)を着脱可能に構成して、必要に応じてIDチップ35を単独で(又は、保持部材34kごと)データ入出力作業ができるようにする効果は大きい。
【0094】
なお、
図17及び
図27を参照して、キャップ部34Yには、凹部に保持部材34kが装着された状態で挿入口34k1を塞ぐ起立部34fが形成されている。
これにより、キャップ部34YにIDチップ35(保持部材34k)が装着された後に、保持部材34kの挿入口34k1からIDチップ35が脱落する不具合が抑止される。
【0095】
また、
図28を参照して、保持部材34k(箱状部材)の内部には、第1対向部34k4と第2対向部34k5とが形成されている。第1対向部34k4は、基板35bの第1平面(
図29を参照して、複数の金属パッド35aが配置された面である。)に対向するとともに、複数の金属パッド35aが干渉しないように金属パッド35aが配置されていない第1平面の外周域にもっぱら当接して滑動可能になるよう形成されている。第2対向部34k5は、基板35bの第2平面(
図29を参照して、情報記憶部35cが配置された面である。)に対向するとともに、情報記憶部35cが干渉しないように第2平面の一部が滑動可能に形成されている。これにより、保持部材34kの内部において、IDチップ35は、保持部材34kから脱落することなく、金属パッド35aや情報記憶部35cがダメージを受けることなく、XZ面内を自由に移動することができる(対向部34k4、34k5上を滑るように移動することができる)。
さらに、保持部材34kの表裏面には、それぞれ、開口34k2、34k3が形成されている。第1の開口34k2は、基板35bがXZ面内をある程度移動しても、複数の金属パッド35aと位置決め用の切欠部35b1とがコネクタ73eに対向する側に露呈するように形成されている。これにより、上述した、基板35bのXZ平面内の移動にともなう位置決めピン73e3と切欠部35b1との係合と、金属パッド35aと本体側端子73e2との接続(接触)と、が可能になる。なお、第2の開口34k3は、基板35bがXZ面内をある程度移動しても、情報記憶部35cがキャップ部34Yの凹部に対向する側に露呈するように形成されている。
また、
図28を参照して、保持部材34kのおもて面に形成された開口34k2は、左側方が凸状に形成され、右側方が凹状に形成されている。これにより、
図28の破線で囲んだ領域が、IDチップ35が開口34k2から脱落するのを防止する「引っ掛かり(ストッパ)」として機能することになる。
【0096】
図29は、IDチップ35を示す3面図である。
図29に示すように、IDチップ35における基板35bの第1平面には、4つの金属板としての金属パッド35aがZ方向に並設されている。この金属パッド35aは、基板35b側から銅層、ニッケル層、金層の3層からなる多層構造体であって、表層となる金層は比較的高価であるものの酸化防止のため設けられている。また、金属パッド35aは、予めマスキングした基板35b上への電界蒸着によって形成されたものである。
また、位置決め用の切欠部35b1は、4つの金属パッド35aを挟むように4つの金属パッド35aの配列方向(Z方向である。)の両端部にそれぞれ形成されている。なお、本実施の形態1では、切欠部35b1の中心を通り複数の金属パッド35aの配列方向に対して平行となる第1の仮想直線S1が、複数の金属パッド35aにおける長手方向の中心を結ぶ第2の仮想直線S2に対して、重ならない位置にあるように構成されている。詳しくは、2つの位置決め用の切欠部35b1を結ぶ第1の仮想直線S1(長穴を長手方向に2等分したときの片方の形状となっているそれぞれの切欠部35b1における、元の長穴の中心同士を結んだ仮想直線である。)が、複数の金属パッド35aにおける長手方向の中心を結ぶ第2の仮想直線S2に対して、重ならない位置にあるように構成されている。換言すると、切欠部35b1において基板35bの内側に向けて最も食い込んでいる部分をつないだ仮想直線S1が、仮想直線S2に対して重ならない位置にあるように構成されている。さらには、仮想直線S1は、仮想直線S2に対して略平行となるように構成されている。
ここで、本実施の形態1では、
図29における寸法a〜fが、それぞれ、6.2mm、5.2mm、1.5mm、2mm、6mm、11.7mmに設定されている。このように小面積の基板35bは、万一外力が加わったとしても絶対的な撓み量が小さく、せん断力に対する耐性(剛性)が比較的大きくなる。本実施の形態1では、IDチップ35を保持部材34kの内部で移動可能に保持していて、大面積のIDチップ35であれば切欠部35b1への位置決めピン73e3の挿入によって「こじり」(切欠部35b1に対して位置決めピン73e3が垂直でなく斜めに入り、両者35b1、73e3間の摺動負荷が上がって基板35bが撓んで移動しなくなる状態である。)を発生させる恐れがある位置決め方式を採用しているものの、上述したように基板35bが小面積である点をうまく利用して剛性を上げ、「こじり」の原因となるたわみが生じにくい位置決め方式を成立させている。また、基板35bにおける金属パッド35a同士の間隔が狭小であるものの、上述した基板35bのXZ平面内の移動にともなう高精度の位置決めにより、金属パッド35aと本体側端子73e2との接触不良を抑止することができるため、金層を含む高価な金属パット35aの面積を極小に抑えることができている。
【0097】
図16は、装置本体100側のコネクタ73eを示す概略斜視図である。
図16を参照して、コネクタ73eにおける4つの本体側端子73e2は、板状(又は線状)の金属部材であって、その一端側を固定端として他端側を自由端としてコネクタ本体73e1に固定支持されている。また、4つの本体側端子73e2は、その他端側にIDチップ35(トナー容器32Y)の側に向けて湾曲した湾曲部が形成されている。すなわち、本体側端子73e2は、IDチップ35に向けて膝(又は、ブーメラン)のように屈曲している。この本体側端子73e2の湾曲部は、金属パッド35aとの接点となる部分である。
そして、キャップ受部73へのキャップ部34Y(トナー容器32Y)の装着動作にともない、まず、本体側端子73e2の湾曲部が金属パッド35aの長手方向略中央部に接触する。そして、キャップ部34Yの装着動作がさらに進むと、IDチップ35(基板35b)がさらにコネクタ73e側に近づいて、本体側端子73e2が金属パッド35aに押圧されて弾性変形(曲がっていた膝が伸びるような状態である。)しながら本体側端子73e2の湾曲部が第1の仮想直線S1に近づくように変位する。すなわち、キャップ部34Yの装着動作にともない、本体側端子73e2の湾曲部は、金属パッド35aに対する接触圧を徐々に強めながら、長手方向中央部から
図29の左方(第1の仮想直線S1近傍である。)に向けてスライドすることになる。
このような構成により、関連部品の寸法精度や組み付け精度の高低(寸法ばらつき)によって、キャップ受部73(本体側端子73e2)に対するキャップ部34Y(金属パッド35a)の長手方向(Y方向)の位置がずれてしまっても、本体側端子73e2と金属パッド35aとの接触不良を確実に抑止することができる。さらに、最終的に、本体側端子73e2と金属パッド35aとは、位置決めピン73e3と切欠部35b1とが係合する位置の近傍(第1の仮想直線S1の近傍である。)で接触するため、位置決め部から接触部までの水平方向の距離を縮めることができる。その結果、本体側端子73e2と金属パッド35aとの接触位置の精度が高められることになる。
【0098】
なお、本実施の形態1では、複数の金属パッド35aの配列方向が鉛直方向(Z方向)になるように並設されている。
これにより、キャップ受部73におけるキャップ部34Yの位置決め方向(位置決めピン73a、73bや位置決め穴部34a、34bの配列方向である。)と、コネクタ73eと基板35bとの位置決め方向(位置決めピン73e3や切欠部35b1の配列方向である。)と、が同一方向になるため、本体側端子73e2と金属パッド35aとの接触不良が生じにくくなる。
【0099】
また、
図21を参照して、キャップ部34Yの位置決め穴部34a、34bは、IDチップ35(情報記憶装置)を挟むように鉛直方向の離れた位置にそれぞれ形成されている。そして、2つの位置決め穴部34a、34bの中心を結ぶ第3の仮想直線S3が、2つの位置決め用の切欠部35b1を結ぶ第1の仮想直線S1に対して平行になるように構成されている。
このように、IDチップ35が第1の位置決め穴部34a(主基準)と第2の位置決め穴部34b(従基準)との間に固設されているために、キャップ受部73のコネクタ73eに対してIDチップ35の位置が高精度に定められることになる。したがって、コネクタ73eに対するIDチップ35の位置ずれによる通信不良を抑止することができる。特に、キャップ受部73におけるキャップ部34Yの位置決め方向(位置決めピン73a、73bや位置決め穴部34a、34bの配列方向である。)と、コネクタ73eと基板35bとの位置決め方向(位置決めピン73e3や切欠部35b1の配列方向である。)と、が同一方向になるため、トナー容器32Yの画像形成装置本体100への位置決め動作が、コネクタ73eに対する基板35bの位置決めをしやすい方向に寄与する。その結果、本体側端子73e2と金属パッド35aとの接触不良が生じにくくなる効果がさらに大きくなる。
【0100】
なお、トナー容器収容部70に対してトナー容器32Yの装着動作が進められるときに、キャップ部34Yに対してボトル受部72及びキャップ受部73の各部位が係る手順は以下のようになる。
まず、キャップ部34Yは、ボトル受面72a上を滑動しながら、その後、キャップ部34Yのガイドレール部34eがキャップ受部73の被当接溝73mに嵌合するとともに、キャップ部34Yの側方突起34cがキャップ受部73の側方溝73h及び溝部73r1に嵌合して、キャップ受部73におけるキャップ部34Yの上下左右方向の姿勢が規制される。また、このとき、キャップ部挟み込み部材73rによって、キャップ受部73に挿入される直前のキャップ部34Yのガタツキが抑えられる。そして、キャップ部34Yの第1の位置決め穴部34aがキャップ受部73の主基準ピン73aに嵌合して主基準の位置決めがされ、その後にキャップ部34Yの第2の位置決め穴部34bがキャップ受部73の従基準ピン73bに嵌合して主従の位置決めが完了する。また、この位置決めが完了するまでの間に、ストッパ解除付勢部72bによってキャップ部34Yのシャッタ部材34dのストッパ部34d22と当接部34n5との当接状態が解除され、不図示のシャッタ閉機構によってキャップ受部73におけるシャッタ部材34d及びキャップ部34Yの姿勢が定められた状態でシャッタ部材34dの開放動作がおこなわれる。そして、キャップ部34Yにおいて開放されたトナー排出口Wと、キャップ受部73のトナー補給口73wと、が連通する。また、装置本体100のコネクタ73eの位置決めピン73e3に、キャップ部34YのIDチップ35の切欠部35b1が係合して、キャップ部34YにおけるIDチップ35の位置が定められて、IDチップ35の複数の金属パッド35aとコネクタ73eの複数の本体側端子73e2とがそれぞれ確実に接触することになる。こうして、キャップ受部73(トナー容器収容部70)におけるキャップ部34Y(トナー容器32Y)のセットが完了する。このとき、容器本体33Yのギア33cと装置本体100の駆動ギア81とが噛合する。
他方、トナー容器32Yをトナー容器収容部70(キャップ受部73)から取出(離脱)する場合には、上述の装着時の手順と逆の手順で操作がおこなわれる。
【0101】
以上説明したように、本実施の形態1における画像形成装置では、ユーザーが把持部33dを把持しながらトナー容器32Yを長手方向に移動させる1つのアクション(本体カバーの開閉動作を除く。)で、その動作に連動してシャッタ部材34dによるトナー排出口Wの開閉動作もおこなわれて、トナー容器32Yの装着動作及び離脱動作が完了することになる。
また、本実施の形態1のトナー容器32Yは、比較的開口面積の大きなトナー排出口Wが鉛直方向下方に向けて配設されていて、トナー排出口Wから直接的に自重落下によりトナーの排出をおこなうことができる。
また、トナー容器32Yは、トナー容器収容部70(装置本体100)の上方から載置するのではなくて、トナー容器収容部70(装置本体100)の前面から着脱されるために、トナー容器収容部70の上方のレイアウトの自由度が高まる。例えば、トナー補給装置の真上にスキャナ(原稿読込み部)が配設されている場合であっても、トナー容器32Yの着脱における操作性・作業性は低下しない。
また、トナー容器32Yは、その長手方向を水平方向として装置本体100に設置されるために、画像形成装置100全体の高さ方向のレイアウトに影響を及ぼすことなく、トナー容器32Yのトナー容量を多くしてその交換頻度を少なくすることができる。
【0102】
以上説明したように、本実施の形態1では、接触式のIDチップ35(情報記憶装置)が、本体側端子73e2に対して金属パッド35a(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持部材34k(保持部)に保持されている。これにより、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器32Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ35(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体100のコネクタ73eの本体側端子73e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0103】
実施の形態2.
図31〜
図33にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図31は、実施の形態2におけるトナー容器232Yを示す概略断面図である。
図32は、トナー容器232Yにおけるキャップ部234Yを示す背面図である。また、
図33は、保持部材234kに嵌合する保持蓋234k8を示す斜視図である。
本実施の形態2におけるトナー容器232Yは、情報記憶装置を保持する保持機構における保持部材234kの構成が、前記実施の形態1のものと相違する。
【0104】
本実施の形態2におけるトナー容器232Yも、前記実施の形態1のものと同様に、容器本体33Yとキャップ部234Yとで構成されている。そして、キャップ部234Yには、情報記憶装置としてのIDチップ35が着脱可能に設置されている。
ここで、本実施の形態2におけるキャップ部234Yは、IDチップ35の一部(金属パッド35aと切欠部35b1とである。)が露呈する開口34k2が形成された保持部材234kが、一体的に形成されている。
そして、IDチップ35は、キャップ部234Yの内側から
図31の白矢印方向に挿入されて保持部材234kの位置にセットされる。そして、保持部材234kの位置にIDチップ35がセットされた状態で、キャップ部234Yの内側から
図31の白矢印方向に保持蓋234k8が挿入されて保持部材234kに嵌合される(
図32の状態である。)。
【0105】
なお、保持蓋234k8には、基板35bに接触しないように保持部材134kに嵌合するための台座部234qが設けられている。
また、保持蓋234k8は、トナー容器232Y内のトナーが漏出してIDチップ35に付着しないように、キャップ部234Yの内壁に対して隙間なく密着するように設置される。
そして、本実施の形態2においても、保持部材234k(及び、保持蓋234k8)において、IDチップ35(基板35b)がXZ平面内を移動できるように保持されている。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、接触式のIDチップ35(情報記憶装置)が、本体側端子73e2に対して金属パッド35a(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持部材234k(保持部)に保持されている。これにより、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器232Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ35(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体100のコネクタ73eの本体側端子73e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0107】
実施の形態3.
図34にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図34は、実施の形態3におけるトナー容器332Yの情報記憶装置35がキャップ受部73のコネクタ73eにセットされる状態を示す模式図であって、前記実施の形態1における
図27に相当する図である。
本実施の形態3は、保持部材34kの内部にクッション材334k10が設置されている点と、キャップ受部373における壁部373gの構成と、が前記実施の形態1のものと相違する。
【0108】
本実施の形態3におけるトナー容器332Yも、前記各実施の形態のものと同様に、容器本体33Yとキャップ部34Yとで構成されている。そして、キャップ部34Yには、情報記憶装置としてのIDチップ35が着脱可能に設置されている。さらに、保持部材34kの内部において、IDチップ35がXZ平面内を移動できるように保持されている。
【0109】
ここで、本実施の形態3では、保持部材34kの内壁(第2対向部34k5)と基板35bとの間にクッション材334k10が設けられている。このクッション材334k10は、発泡ポリウレタン等の弾性材料からなるとともに、基板35bとの対向部に低摩擦材料が貼着されている。これにより、IDチップ(基板35b)のXZ平面内の移動を妨げることなく、位置決めピン73e3が切欠部35b1に係合するときに基板35bに生じるダメージを軽減することができる。
【0110】
また、本実施の形態3では、キャップ受部373における壁部373gが、コネクタ73gの四方を囲むように設置されている。そして、これに対応するように、キャップ部34Yには、壁部373gとの干渉を避けるための凹部が設けられている。このように、壁部373gを設けることで、トナー容器332Yのトナー排出口Wの近傍から外部にトナーが飛散してしまっても、コネクタ73eやIDチップ35に飛散トナーが直接的に付着しにくくなる。したがって、飛散トナーによるコネクタ73e(本体側端子73e2)とIDチップ35(金属パッド35a)との接触不良(通信不良)を抑止することができる。
【0111】
以上説明したように、本実施の形態3においても、前記各実施の形態と同様に、接触式のIDチップ35(情報記憶装置)が、本体側端子73e2に対して金属パッド35a(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持部材34k(保持部)に保持されている。これにより、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器332Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ35(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体100のコネクタ73eの本体側端子73e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0112】
実施の形態4.
図35にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図35は、実施の形態4における情報記憶装置435の基板435bを示す3面図であって、前記実施の形態1における
図14に相当する図である。
【0113】
本実施の形態4におけるトナー容器(432Y)も、前記各実施の形態のものと同様に、容器本体33Yとキャップ部34Yとで構成されている。そして、キャップ部34Yには、情報記憶装置としてのIDチップ435が着脱可能に設置されている。さらに、保持部材34kの内部において、IDチップ435がXZ平面内を移動できるように保持されている。
【0114】
ここで、本実施の形態4におけるIDチップ435の基板435bには、前記各実施の形態における位置決め用の切欠部35b1の代わりに、位置決め用の穴部435b11、435b12が設けられている。そして、トナー容器(432Y)の装着動作にともない、基板435bがXZ平面内を自由に移動しながら、コネクタ73eの位置決めピン73e3に対して位置決め用の穴部435b11、435b12が係合することになる。詳しくは、穴部435b11、435b12の縁部(又は、内面)に位置決めピン73e3が接触して、基板435bの動きが規制されることになる。これにより、複数の金属パッド35aと、コネクタ73eの本体側端子73e2と、の位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
なお、本実施の形態4では、位置決め用の穴部435b11、435b12が位置決めピン73e3に係合する直前まで、基板435b自体の重量によって保持部材34k内において基板435bが下方に位置していることを考慮して、基板435bの下方に円形の穴部435b11を形成して、基板435bの上方に長穴形状の穴部435b12を形成している。下方の穴部435b11が位置決めピン73e3に拾われることで基板435bが持ち上がり、もう一方の長穴(穴部435b12)にもスムーズに位置決めピン73e3が挿入される。仮に下方の穴部が長穴であって上方の穴部が丸穴の場合には、位置決めピン73e3で基板435bを持ち上げることができずに、上方の丸穴に位置決めピン73e3が挿入し難くなる恐れがある。
【0115】
なお、本実施の形態4では、IDチップ35の基板35bにおいて、2つの位置決め用の穴部435b11、435b12を形成した。これに対して、IDチップ435の基板435bにおいて、一方を位置決め用の穴部435b11(又は、435b12)として、他方を位置決め用の切欠部35b1(前記各実施の形態で用いられたものである。)とすることもできる。そして、そのような場合であっても、本実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【0116】
以上説明したように、本実施の形態4においても、前記各実施の形態と同様に、接触式のIDチップ435(情報記憶装置)が、本体側端子73e2に対して金属パッド35a(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持部材34k(保持部)に保持されている。これにより、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ435(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体100のコネクタ73eの本体側端子73e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0117】
実施の形態5.
図36〜
図41にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図36は、実施の形態5における情報記憶装置535の基板を示す3面図であって、前記実施の形態1における
図29に相当する図である。
図37は、情報記憶装置535と保持部材534k(534k25)とコネクタ573eとを示す斜視図であって、3つの部材534k(534k25)、535、573eの相対位置関係を示す斜視図である。
図38は、情報記憶装置535がコネクタ573eに係合した状態を示す斜視図である。また、
図39は、情報記憶装置535の電気回路とコネクタ573eの電気回路とを示す回路図である。
図40(A)は情報記憶装置535がコネクタ573eに保持された状態を示す正面図であって、
図40(B)は情報記憶装置535が位置決め用の穴部535b21を中心に回転している状態を示す正面図である。
図41は、工場製造時の検査工程においてプローブ400が当接された状態の情報記憶装置535を示す図である。
本実施の形態5は、情報記憶装置535の基板535bに位置決め用の穴部535b21が1つだけ形成されている点と、位置決め用の穴部535b21が複数の矩形状の金属パッド35a1、35a2、35a3(金属板)の間に配置されている点と、が前記各実施の形態のものと相違する。
【0118】
図36を参照して、本実施の形態5における情報記憶装置としてのIDチップ535は、基板535bの重心よりも鉛直方向上方の位置に、位置決め用の穴部535b21が形成されている。そして、この穴部535b21の内径部と周囲とには、接地(アース)用の金属端子535dが設置されている。なお、本実施の形態5において、基板535bの表面に形成された金属端子535dは、円環状の部分に対して2つの突出部535d1が水平方向に延設されるように形成されている。
また、位置決め用の穴部535b21に対して、鉛直方向上方の位置には1つの矩形状の金属パッド35a1が設置され、鉛直方向下方の位置には2つの矩形状の金属パッド35a21、35a3が設置されている。
さらに、基板535bの裏側(キャップ部34Yに対向する側である。)には、半球面状のエポキシ等の樹脂材料からなり情報記憶部を覆って保護する保護部材535eが設けられている。本実施の形態5において、基板535bの形状や保護部材535e等の裏面の構成・配置によるが、内部にIC等の情報記憶部を有することもあって裏面で最も大きく重量がある構成物であるところの保護部材535eの上方に穴部535b21を配置することで、前述したIDチップ535の重心の鉛直上方に穴部535b21があるという位置関係を実現している。具体的には、
図40(A)を参照して、本実施の形態5におけるIDチップ535(情報記憶装置)は、位置決め用の穴部535b21の中心位置が、IDチップ535の重心から距離Zaだけ上方になるように形成されている。
【0119】
図37を参照して、コネクタ573eは、樹脂製で中空の箱であるコネクタ本体573e21を有しており、そのコネクタ本体573e21に1本の中空円筒で先端にテーパ形状を有する位置決めピン573e23(位置決め用の突起部)が水平方向に起立するように設けられている。そして、この位置決めピン573e23には、接地用の本体側端子573e25(アース端子)が設置されている。この接地用の本体側端子573e25は、板状(又は線状)の金属部材であって、その一部がコネクタ本体73e21と一体で形成された位置決めピン573e23の中空部に収納され、その湾曲部が中空円筒の周面の一部に形成されたスリット状の開口から露出して円筒外周面から突出している。また、位置決めピン573e23(接地用の本体側端子573e25)に対して、鉛直方向上方の位置には1つの本体側端子73e2が設置され、鉛直方向下方の位置には2つの本体側端子73e2が設置されている。これらの本体側端子73e2は、板状(又は線状)の金属部材であって、設置位置が異なる以外は、前記各実施の形態のものとほぼ同様に形成されている。
また、コネクタ本体573e21の下方であって、位置決めピン573e23を挟む両側の位置には、互いの先端内側のテーパ面が線対称になるよう形成された一対のリブからなり、IDチップ535の両側端面であって穴部535b21の中心よりも鉛直下方の箇所に対向する一対の規制部材としての振れ防止部材573e24が設けられている。
【0120】
また、保持部材534k(保持部)は、前記各実施の形態のものと同様に、トナー容器(532Y)に固定され、コネクタ573eとIDチップ535との間に位置する。その形状は前記各実施の形態のものとほぼ同一であって、その機能(IDチップ535を移動可能に保持する機能である。)も同一である。
図37を参照して、本実施の形態5における保持部材534kは、第1対向部534k24が垂直方向の軸を基準に線対称に構成され、IDチップ535の上端の2つの角から穴部535e21の両側までの領域を覆うように形成されている。また、保持部材534kは、下方においても基板535bの最下段の金属パッド35a3よりも下方を覆うように形成されており、これらの構成により保持部材534kからのIDチップ535の脱落を防止している。
さらに、保持部材534kにおいて、コネクタ573eの4つの本体側端子73e2、573e25に対向する領域を含む第1対向部534k24の大部分は開口となっている。特に、保持部材534kにおいて、一対の振れ防止部材73e24に対応する部分まで開放された凸型の開口534k22になっている。そして、トナー容器532Yの装着時には、位置決めピン573e23の開口534k22への侵入に続いて、振れ防止部材573e24(一対の規制部材)も開口534k22を介して保持部材534kの内部に侵入することになる。
IDチップ535の裏面側(保護部材535eの側である。)に対向する平板状の第2対向部534k25は、保持部材534kに接着又は図示しないスナップフィット等で固定されている。第2対向部534k25は、第1対向部534k24と同様に、凸型の開口534k26を有し、保護部材535eや侵入してくる振れ防止部材573e24との干渉を避けることができる。その一方で、IDチップ535の穴部535b21に位置決めピン573e23が挿入されるときにIDチップ535が押されることになるが、第2対向部534k25が基板535bを後ろから支えることになるため、端子同士の当接状態を維持することができる。
【0121】
図38は、実施の形態5におけるトナー容器532Yが装置本体100に装着された際に、装置本体100側のコネクタ573eとIDチップ535の位置決めが完了して本体側端子73e2、573e25と上述の金属パッド35a1〜35a3、アース端子535dとが接続した状態を示す概略斜視図である。なお、
図38では、理解容易のため、コネクタ573eとIDチップ535との間にある保持部材534k(534k25)と金属パッド35a1〜35a3の図示は省略されている。
トナー容器532Yの一連の装着動作のうち、キャップ部534Yの主基準及び従基準の位置決め穴部34a、34bが、キャップ受け部73の主基準及び従基準の位置決めピン73a、73bに嵌合されてキャップ部534Yの位置決めがされるところまでは、前記実施の形態1の装着動作と同じである。その後、キャップ部534Yの位置が定まった後に、IDチップ535の穴部535b21は、コネクタ573eの位置決めピン573e23の先端のテーパに拾われるように位置決めピン573e23に嵌合されて、IDチップ535の水平方向及び垂直方向の位置が同時に決まる。さらに、
図40(A)に示すように、基板535bの左右両側であって穴部535b21の中心よりも下方である下側の縁部にコネクタ573e2の一対のリブから成る振れ防止部材573e24(一対の規制部材)が侵入する。このときIDチップの姿勢が
図40(B)のようにずれていたとしても、リブ先端のテーパ面が上記縁部に当接すると、それをトリガーにして重心の作用で姿勢を鉛直にする方向に基板535bが回転し、回転方向(
図40(B)に示す両矢印方向の回転である。)の姿勢のずれを矯正する(
図40(A)の状態にする)。これによって、IDチップ535の位置決めが完了する。このとき、IDチップ535のアース端子535dの一部(穴部535b21の内径部に相当する部分である。)が、
図38に示す位置決めピン573e23の接地用の本体側端子573e25に接触して、IDチップ535の接地(導通)がとられることになる。さらに、その接地がとられた後に、
図39(A)に示すように、IDチップ535の3つの金属パッド35a(35a1、35a2、35a3)も、コネクタ573eの3つの本体側端子73e2にそれぞれ接触して、IDチップ535と本体側コネクタ573e(装置本体100)との間で情報の伝達が可能になる。
【0122】
このように、本実施の形態5では、下記(1)から(5)のさまざまな工夫を加えたことで安価な構成で高精度の位置決め機構を実現している。
(1)位置決め用の穴部535b21を1つにしている。これによって、基板535bの加工費の抑制が可能になる。
(2)接地用の本体側端子573e25を位置決めピン573e23の側周面に一体的に設置している。これによって、位置決めピン573e23と本体側端子573e25との距離を実質0にすることができ、本体側端子573e25に対するアース端子535dの位置精度を高めることができる。
(3)
図38の装着完了状態において、コネクタ573e側の3つの本体側端子73e2の湾曲部(接触部)を結ぶ線上に位置決め用の穴部535b21の穴中心を一致させるように穴部535b21と本体側端子573e2の湾曲部との配置関係を調整している。これによって、位置決め部である穴部535b21から接触部までの水平方向の距離を縮めて0mm近傍にするにすることができる。その結果、3つの金属パッド35a1、35a2、35a3と本体側端子73e2とが接触するときの位置精度が向上する。
(4)位置決め用の穴部535b21の位置を、複数の金属パッド35a1、35a2、35a3を並べたときに生じる複数の間隙のうち、いずれかの間隙に配置している。これによって、複数の金属パッド35a1、35a2、35a3の並びの外側である上方又は下方に穴部を配置した場合に比べて、位置決め用の穴部535b21の中心から最も離れた位置にある金属パッド35a3までの距離(振り子の腕長さに相当することになる。)を短くすることができる。具体的には、金属パッド35a1、35a2、35a3の並びの外側に穴部を配置した場合、腕長さは穴中心から金属パッド3つ分の距離になるが、本実施の形態5では、腕長さを金属パッド2つ分の距離にすることができる。振れの腕長さが短くなることで、最も遠い位置の金属パッド35a3の本体側端子73e2に対する平行度が量産ばらつき等の理由でずれてしまったとしても、そのずれを最低限に抑えることができる。
(5)トナー容器を単品で保管する際、異物が保持部材534kの中に入ってIDチップ535と対向部534k24、534k25との間に挟まり位置がずれたままになってしまう恐れがある。このような課題に対して、本実施の形態5では、IDチップ535の穴部535b21が重心よりも鉛直方向上方にあるように、位置関係の工夫をしている。これにより、一対のリブから成る振れ防止部材573e24が回転中心である穴部535b21よりも鉛直方向下方に侵入するときに、振れ防止部材573e24(リブ)のテーパ面との当接をトリガーにして重心の作用で姿勢を鉛直方向に沿うように回転することができる(位置ずれを規制して姿勢を矯正することができる。)。その結果、位置決め用の穴部535b21が1つであっても、複数の本体側端子573e2に対する複数の金属パッド35a1、35a2、35a3の位置精度を同時に高めることができる。
以上、(1)〜(5)に記載したように、それぞれの5つの工夫は、それぞれの作用効果を発揮することになり、金属パッド35aの面積を極小にするという安価な構成を採用しても、アース端子を含むIDチップ535側の複数の端子35a、535dと複数の本体側端子573e2、573e25との位置決めの精度を極めて高いものすることができる。
【0123】
さらに、本実施の形態5における工夫及び作用効果について、上述したものと別のものについて述べる。
まず金属パット35a1、35a2、35a3それぞれについて詳述する。最上位にある金属パット35a1は、通信制御のためのクロック信号が入力される。逐次通信のため速度は遅いが低コストなシリアル通信方式を採用し、シリアルバスとしてI2C(Inter-Integrated Circuit)を採用し、本体側コネクタと接続した状態でシリアルクロック(SCL)が入力される信号線を形成する。金属パッド35a1がクロック信号入力方向側の端子に相当するが、クロック信号は信号の流れが片方向であるため、後述するVcc(電源、金属パッド35a3)との短絡によるIDチップ535の破壊の可能性が他の端子と比較して高いと予測される。そのためIDチップ535の破壊を避けるために、Vccから離れた場所に配置してある。万一GND(アース端子535d)と短絡しても壊れる可能性は低いからである。
金属パッド35a2もシリアル通信方式を採用し、シリアルバスとしてI2Cを採用、本体側コネクタと接続した状態でシリアルデータ(SDA)が入出力される信号線を形成する。このパッドは入出力双方向であることから、片方向入力の金属パッド35a1よりも短絡によるIDチップ535破壊の可能性は小さい。
金属パッド35a3は、電源入力部(Vcc)であり、本体側コネクタと接続した状態で5V又は3.3Vの電圧が入力される。電源とGNDの短絡という機器全体にとっての故障の危険性を小さくするためにGND(アース端子535d)及び、シリアルクロック入力端子(金属パット35a1)と間にシリアルデータ入力端子(金属パッド35a2)を挟んで配置されている。Vccである金属パッド35a3は、
図36にあるようにIDチップ裏側の保護部材535eと基板535bを介して重なっており、保護部材535e内のIC駆動回路とも近くなっている。これによって電源ラインも短く太くでき、電源動作の安定(=ノイズ誤動作の低減)化を図ることができる。
次にアースに関する工夫を述べる。トナー容器532Yの装着動作において、IDチップ535のアース端子535dが位置決めピン573e23(コネクタ573e)の接地用の本体側端子573e25に接触した後に、IDチップ535の3つの金属パッド35a1、35a2、35a3がコネクタ573eの3つの本体側端子73e2に接触開始されるように構成されている。換言すると、トナー容器532Yの離脱動作において、IDチップ535の3つの金属パッド35a1、35a2、35a3のコネクタ73eの3つの本体側端子73e2への接触が解除された後に、IDチップ535のアース端子535dが位置決めピン573e23(コネクタ573e)の接地用の本体側端子573e25に接触解除(離間)されるように構成されている。具体的には、
図39(A)を参照して、コネクタ573eにおいて、3つの本体側端子73e2に比べて接地用の本体側端子573e25の接触開始位置がIDチップ535の側に近い位置になるように形成されている。
このような構成により、トナー容器532Yの装着動作においては常にIDチップ535のアースがとられている状態で金属パッド35a1、35a2、35a3と本体側端子73e2との接続が開始され、トナー容器532Yの離脱動作においては常にIDチップ535のアースがとられている状態で金属パッド35a1、35a2、35a3と本体側端子73e2との離間(接触解除)が開始されることになる。そのため、IDチップ535側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態になることが防止され、IDチップ535に電気的な破損が生じにくくなる。
詳しくは、IDチップ535側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態であるとき、電気回路は非常に大きなインピーダンスで接地されている状態となり、金属パッド535aと本体側端子573e2との接触時又は離間時に発生した静電気がわずかでも電気回路に流れ込むと、その電流にインピーダンスを掛けたものと同等の高電圧が発生する。そして、この高電圧によりIDチップ535におけるIC内部での絶縁破壊が生じて、ICが壊れてしまう。このような不具合は、
図39(B)に示すように、コネクタ573eにおいて、3つの本体側端子73e2と接地用の本体側端子573e25とのIDチップ535に対する接触開始位置が同位置に形成されているような場合に生じやすくなる。
これに対して、本実施の形態5では、本体側端子73e2においてIDチップ535側に最も突出した部分である湾曲部よりも、位置決めピン573e23のスリット状の開口から露出した本体側端子573e25の湾曲部の方が、IDチップ535により近い位置になるよう配置されている。これによって、接触時の回路の接地が最初におこなわれ、離間時の回路の接地が最後になるため、インピーダンスが常に理論上ゼロとなり、静電気が電気回路内に流れ込んでもIC内部での絶縁破壊を防ぐことができる。
【0124】
また、本実施の形態5におけるIDチップ535(情報記憶装置)には、先に
図36で説明したように、アース端子535dの外周の一部に2つの突出部535d1を設けている。
このようにIDチップ535の基板535bのオモテ面に突出部535d1を設けることで、工場での製造時における検査工程(IDチップ535の良・不良を検査する工程である。)において、通電検査用のプローブの当接作業を容易にすることができる。詳しくは、
図41に示すように、検査台に載置された状態のIDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3やアース端子535dに対して、上方から通電検査装置400の複数のプローブ401の先端部をそれぞれ押し当てる。このとき、アース端子535dの突出部535d1はプローブ401の先端部が当接するのに充分な面積が確保されているため、プローブ401の接触不良による通電検査不良を防止することができる。また、プローブ401の先端部をアース端子535d(突出部535d1)に上方から当接させて通電検査をおこなっているため、プローブ401を穴部535b21に挿入して通電検査をおこなう場合に比べて、検査ごとに繰り返し使用されるプローブ401自体の耐性を向上させることができるとともに、IDチップ535の穴部535b21が通電検査によって磨耗する不具合も防止することができる。
【0125】
なお、アース端子535dの円環と矩形の金属パッド35a1、35a2、35a3との間のくさび状に広がる余剰空間において、突出部535d1は、その水平方向の境界(境界線)が円環の外周に接するとともに、金属パッド35a1、35a2、35a3と平行になるように配置している。これによって、突出部535d1が鉛直方向へ突出することなく、第1対向部534k24と滑動する基板535bの左右の滑動領域への突出部535d1の突出(水平方向への突出である。)を抑制することができる。その結果、基板535bを大型化することなく、製造上において定尺寸法が決まっている基板素材からの基板535bの取り数を出来る限り多いものにすることができて、IDチップ535の原価上昇を抑制することができる。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態5においても、前記各実施の形態と同様に、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)が、本体側端子573e2に対して金属パッド35a1、35a2、35a3(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持部材534k(保持部)に保持されている。これにより、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器532Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体100のコネクタ573eの本体側端子573e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0127】
実施の形態6.
図42〜
図47にて、この発明の実施の形態6について詳細に説明する。
図42は実施の形態6におけるトナー容器632Yを示す斜視図であって、特に、
図42(A)は実施の形態5で説明したIDチップ535が装着される前の状態を示す分解図であり、
図42(B)はIDチップ535が装着された状態を示す図である。また、
図43は、面板634pが設置される前の状態のトナー容器632Yを示す正面図であって、前記実施の形態1における
図21に対応する図である。
図44は、IDチップ535及び面板634pが設置された状態のトナー容器632Yの要部を示す断面図である。さらに、
図45は、コネクタ573eに対してIDチップ535が挿入されていく状態を示す図である。
本実施の形態6において、情報記憶装置としてのIDチップ535は、実施の形態5のものと同一であり、キャップ部634Yに設けられた凹部にIDチップ535が遊挿されて面板634pによって移動可能に保持されている点が実施の形態5と異なり、他の構成は実施の形態5と同じである。
【0128】
本実施の形態6におけるトナー容器632Yも、前記各実施の形態のものと同様に、容器本体33Yとキャップ部634Yとで構成されている。そして、キャップ部634Yには、情報記憶装置としてのIDチップ535が着脱可能に設置されている。
【0129】
ここで、本実施の形態6では、
図42を参照して、IDチップ535が保持部材534kの内部に遊挿された状態でキャップ部534Yに設置されているのではなくて、IDチップ535がキャップ部634Yに形成された凹部(台座部634qが形成されている。)に遊挿された状態で脱落防止用の面板634pがキャップ部634Yにネジ締結される。
詳しくは、
図42(A)及び
図43を参照して、キャップ部634Yの端面には、IDチップ535がXZ平面内を移動できるように保持するための凹部が形成されている。この凹部には、IDチップ535の一部にのみ面接触する台座部634qが形成されている。そして、キャップ部634Yの凹部にIDチップ535が遊挿された状態で、凹部からのIDチップ535の脱落を防止するための面板634pが設置される。この面板634pは、
図42(B)、
図43及び
図44を参照して、前記実施の形態5のものと同様に形成されたIDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3や位置決め用の穴部535b21(アース端子535d)等が露呈した状態で、IDチップ35の基板35bの一部に接触可能にネジ締結される。
【0130】
さらに詳しくは、キャップ部634Yには、凹部を挟み、凹部に向かって右側には面板634pを位置決めするための位置決めピン634s1が形成され、向かって左側には面板634pをネジ止めするためのネジ穴634s11がそれぞれ形成されている。一方、面板634pには、位置決めピン634s1に対応する位置に位置決め穴634p1が形成され、ネジ穴634s11に対応する位置にネジ680が貫通する穴634p2が形成されている。また、面板634pの下方には、第2の位置決め穴部34bの外周縁と当接して回り止めとして機能する当接部634p3が形成されている。面板634pは、位置決め穴634p1と回り止めのための当接部634p3によってキャップ部634Yに対して位置が決まる。そして、ネジ680が、面板634pに形成された穴部634p2を介して、キャップ部634Yに形成されたネジ穴634s11に螺合されて、面板634pがキャップ部634Yに固定される。これにより、IDチップ535は、キャップ部634Yから脱落することなくXZ平面内を移動できるようにキャップ部634Yに保持されることになる。そして、
図45を参照して、前記実施の形態5のものと同様に、トナー容器632Yの装着動作にともない、装置本体100のコネクタ573eの位置決めピン573e23(アース用の本体側端子573e25)にIDチップ535の位置決め用穴部535b21(アース端子535d)が係合して、その後にコネクタ573eの本体側端子73e2がIDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3に接触して、コネクタ73eとIDチップ35との電気的な接続が完了することになる。その際、トナー容器632Yのキャップ部634YにおいてIDチップ535はXZ平面内を移動可能に保持されているため、前記各実施の形態のものと同様に、装置本体100のコネクタ573eの本体側端子73e2、573e25との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。通常の状態において、IDチップ535は、重力によってキャップ部534Yの凹部の下方に沈んでおり、
図45に図示した3つのIDチップ535のうち最も左側に図示したもののようにIDチップ535の穴部535b21の中心位置が、位置決めピン573e23の軸中心位置に対して下方にずれた状態になっている。
そして、トナー容器632Yの装着動作が開始されてIDチップ545と位置決めピン573e23とが接触すると、位置決めピン573e23の先端テーパ部に穴部535b21が沿うようにIDチップ535が上方(Z方向)に移動して(すくいあげられて)、位置決めピン573e23に穴部535b21が嵌合し、最終的に金属パッド35a1、35a2、35a3に本体側端子573e2が接触することになる。
【0131】
ここで、本実施の形態6では、面板634pをネジ680によってキャップ部34Yに固定(ネジ締結)した。
これに対して、
図46に示すように、面板734pをスナップフィット止めによってキャップ部734Yに固定することもできる。詳しくは、
図46(A)に示すように、面板734pの外周部に複数のスナップフィット止め用の係合部734p2を形成して、これらに対応するキャップ部734Yの位置にスナップフィット止め用の被係合部734s2を形成する。そして、
図46(B)に示すように、キャップ部734Yの凹部にIDチップ535が遊挿された状態で、面板734pがキャップ部734Yにスナップフィット止めされることになる。さらに詳しくは、面板734pに形成された穴部734p3をキャップ部734Yに形成された位置決めボス部734s3に合わせながら、キャップ部734Yの被係合部734s2に面板734pの係合部734p2を係合させて、キャップ部734Yに面板734pを位置決めして固定する。このような構成の場合であっても、本実施の形態6と同様の効果を得ることができる。
【0132】
また、本実施の形態6においては、面板634p(又は、
図46に示す面板734p)を組み付け後にも再度交換できるように構成しているため、外国の協力会社にトナー容器と面板とをまず製造してもらってこれを輸入し、国内でトナー容器にトナーを充てんする工程の前後に別会社から仕入れたIDチップ535を組み付けてトナー情報を入力するという手順でトナー容器を製造することができる。これにより、トナー容器の製造工程の効率化を図ることができる。
また、使用済みのトナー容器を市場から回収して、それを清掃した後にトナーを再充填するリサイクルの工程を、IDチップ535を交換したり、IDチップ35を一旦トナー容器から外して情報を書き換え再度キャップ部に装着するという手順でおこなうことができる。これにより、トナー容器の再使用工程の効率化も図ることができる。
しかし、
図47(C)(IDチップ535が装着された状態のキャップ部834Yを示す断面図である。)を参照して、IDチップ535を取り外す必要がなく、面板834pとキャップ部834Yとの組み付け強度を強固なものにしておきたい場合には、上記のようなネジ締結用の形状やスナップフィット用の形状を設けずに、位置決めボス734s3(
図46を参照できる。)のみをキャップ部に設けることもできる。そして、IDチップ535及び面板834pをキャップ部834Yに取り付けた後に、位置決めボス734s3の先端を熱で溶かして面板834pをキャップ部834Yに固定するか、面板834pとキャップ部834Yとの間に接着剤を塗布して面板834pをキャップ部834Yに固定することになる。
【0133】
以上説明したように、本実施の形態6においては、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)が、本体側端子573e2に対して金属パッド35a1、35a2、35a3(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるようにキャップ部634Y、734Y、834Yに保持されている。これにより、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器632Y、732Y、832Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体100のコネクタ573eの本体側端子573e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0134】
ここで、
図47(A)及び
図47(B)はさらに別形態のトナー容器932Yを示す図であって、特に、
図47(A)はIDチップ535が装着された状態のキャップ部934Yを示す正面図であり、
図47(B)はIDチップ535が装着される前のキャップ部934YとIDチップ535とを示す正面図である。この
図47(A)及び
図47(B)に示すトナー容器932Yは、前記各実施の形態のものとは異なり、IDチップ535(情報記憶装置)がキャップ部934Yにおいて固定・保持されている(XZ方向に移動可能に保持されていない。)。具体的に、キャップ部934Yの凹部(
図47(B)において破線で囲んだ部分である。)は、IDチップ535が嵌合するように(ガタついても最大で0.3mm程度の嵌め合い公差による寸法ばらつきの範囲内で嵌め込まれるように)、IDチップ535の外周形状に合わせた形状に形成されている。このような場合には、前記各実施の形態のものとは異なり、IDチップ35はXZ平面を移動することができないことになるが、それでも前記実施の形態5で述べた5つの工夫(1)〜(5)のうち(1)〜(4)の作用効果を生かすことが可能になる。すなわち、IDチップ535にはアース端子535dが形成された位置決め用の穴部535b21が1つ設置されているため、そのことによる前記実施の形態5で述べた効果は発揮されることになる。
【0135】
実施の形態7.
図48及び
図49にて、この発明の実施の形態7について詳細に説明する。
図48は、実施の形態7におけるトナー容器1032Yを示す分解斜視図である。また、
図49は、トナー容器1032Yを示す断面図である。
本実施の形態7におけるトナー容器は、容器本体1033Yが実施の形態6で示したいくつかのキャップ部634Y、734Y、834Y、934Yのいずれかと組み合わされて、そのキャップ部ととともに非回転でトナー容器収容部70に保持される点が、容器本体33Yがトナー容器収容部70に回転可能に保持される前記各実施の形態のものと相違する。
【0136】
図48及び
図49を参照して、本実施の形態7におけるトナー容器1032Yも、前記各実施の形態のものと同様に、主として、容器本体1033Y(ボトル本体)と、その頭部に設けられたキャップ部634Y(又は、別形態のキャップ部734Y、834Y、934Y)と、で構成される。以下、本実施の形態7におけるキャップ部の説明は、前記実施の形態6において
図42等で説明したキャップ部634Yを用いることとする。
ここで、本実施の形態7におけるトナー容器1032Yは、前記各実施の形態のものとは異なり、キャップ部634Y(ボトルキャップ)に対して容器本体1033Y(ボトル本体)が、接着(又は融着)されたり、係止される等の固定方法によって固定されている。すなわち、容器本体1033Yは、キャップ部634Yに対して回転しないように固定されている。
【0137】
ここで、本実施の形態7における容器本体1033Yは、前記各実施の形態のものとは異なり、その周面に螺旋状の突起が形成されていない。また、容器本体1033Yには前記各実施の形態のもののようにギア33cが一体的に形成されておらず、ギア部材1042Yが撹拌部材33fとともに容器本体1033Y及びキャップ部634Yに対して回転可能に設置されている。また、容器本体1033Yの内部には、前記各実施の形態のものとは異なり、容器本体1033Yの内部に収容したトナーを開口部Aに向けて搬送するための搬送部材1041Yが一端をギア1042Yに固定され、他端を容器本体1033Yの後述する軸受1033d1に回転可能に支持される形態で設置されている。
なお、キャップ部634Yは、容器本体1033Yに回らないように貼着又は固定される点を除き、前記実施の形態5のものとほぼ同様に構成されている。
また、撹拌部材33fも、容器本体1033Yには固定されずに、ギア1042Yにのみ固定保持されている点を除き、形状、機能は前記各実施の形態のものとほぼ同様に構成することができる。
【0138】
以下、
図48及び
図49を用いて、さらに詳しく説明する。
図48を参照して、本実施の形態7においても、容器本体1033Yの長手方向他端側(キャップ部634Yが設置された長手方向一端側の反対側であって、装置本体100への装着方向の後方の端部である。)には、トナー容器1032Yの着脱作業をおこなう際にユーザーが把持するための把持部1033dが設けられている。そして、この把持部1033dには、容器本体1033Yの内外に通じる貫通穴が形成されていて、この貫通穴にポリプロピレンやポリエチレンといった軟性で変形可能な樹脂で形成された蓋部材1049Yが着脱可能に設置されている。この蓋部材1049Yは、製造時やリサイクル時等においてトナー容器1032Y(容器本体1033Y)の内部にトナーを充填(又は、清掃)するためのものであって、トナーを充填(又は、清掃)するときに容器本体1033Yから取出されて、トナーの充填が完了した後に容器本体1033Yに装着されるものである。
【0139】
図49を参照して、容器本体1033Y内に設置された搬送部材1041Yは、軸部1041Yaに、マイラー等の材料で形成された薄い可撓性撹拌部材1041Ybが貼着され、さらにその反対側にアジテータ部材1041Ycが形成されたものである。搬送部材1041Yの軸部1041Yaは、その長手方向一端側の端部が撹拌部材33fの回転中心の位置に設置された連結部1033f20に係止・固定され、その長手方向他端側の端部が軸受部1033d1(把持部1033dの根元部分であって、容器本体1033Y内に入り込んだ部分に形成されている。)に回転可能に支持されている。そして、容器本体1033Y及びキャップ部634Yがトナー容器収容部70に非回転で保持された状態で、駆動部91から駆動力を受けてギア部材1042Yとともに撹拌部材33fが回転することで、連結部1033f20の位置で撹拌部材33fに連結された搬送部材1041Yも回転することになる。こうして、搬送部材1041Yに設置されたアジテータ部材1041Ycの撹拌力によって容器本体1033Y内に収容されたトナーが撹拌されながら、搬送部材1041Yに設置された可撓性撹拌部材1041Ybの軸方向の搬送力によって容器本体1033Y内に収容されたトナーがキャップ部1034Y側に向けて搬送されることになる。
【0140】
なお、搬送部材1041Yの可撓性撹拌部材1041Ybは、長手方向の複数個所(本実施の形態7では、6箇所である。)に切込み1041Yb1が形成されている。これにより、搬送部材1041Yの回転にともない、可撓性撹拌部材1041Ybの先端(軸部1041Yaに支持されていない自由端側である。)が容器本体1033Yの内周面に摺接して、可撓性撹拌部材1041Ybが適度に捩れて撓んだ状態で回転しながら容器本体1033Y内に収容されたトナーを軸方向であって
図49の右方に向けて撹拌搬送することになる。
こうして、本実施の形態7におけるトナー容器1032Yにおいても、前記各実施の形態のものと同様に、キャップ部1034Yのトナー排出口Wからトナーが排出されることになる。
【0141】
ここで、ギア部材1042Yは、容器本体1033Yに対して、回転可能に取り付けられている。
詳しくは、容器本体1033Yのボトル口部1033aの外周面を一周するように形成されたフランジ部(後述する突起1033eが形成されている。)に、ギア部材1042Yに形成された図示しないギア係止部(スナップフィットになっている爪部)が引っ掛かることで、ギア部材1042Yが容器本体1033Yに回転可能に保持されることになる。また、ギア部材1042Yの外周面にはギア部(平歯車)が形成されていて、トナー容器1032Yが装置本体100にセットされると、このギア部が装置本体100の駆動ギア81に噛合することになる。
また、ギア部材1042Yとボトル口部1033aの端面との間には、トナー容器1032Y外へのトナーの漏出を防止するために、シール材が設けられている。このシール材は、発泡ポリウレタン等の発泡弾性材料からなり、ボトル口部1033aの端面に食い込むように環状に形成されていて、ギア部材1042Yに貼着されている。そして、ギア部材1042Yが容器本体1032Yにセットされると、ボトル口部1033aの開口端面にシール材が押し付けられて双方の部材1033Y、1042Yの間のシール性が担保されることになる。
【0142】
また、ギア部材1042Yは、キャップ部1034Yに対しても固定されておらず、キャップ部634Yの爪部34jに対して回転可能に保持されている。なお、キャップ部634Yに対するギア部材1042Yの保持方法は、前記各実施の形態で説明した容器本体33Yのボトル口部33aに対するキャップ部34Yの保持方法と同様である。すなわち、ギア部材1042Yの外周一周するように設けられた鍔状の非係合突起部1033jにキャップ部634Yの爪部34jが係合して、ギア部材1042Yがキャップ部1034Yに回転可能に支持されることになる。以上の構成によって、ギア1042Yを介して容器本体1033Yとキャップ部634Yは連結される。なお、キャップ部634Yに対して容器本体1033Yが回転してしまうのを防止するために、容器本体1033Yの開口1033e近傍に形成された突起1033eと、キャップ634Yの側面に形成された切り欠き溝1034tと、が嵌合して回り止めの役目を果たすように構成されている。
さらに、キャップ部634Yには、ギア部材1042Yの端面(容器本体1033Y側とは反対側の端面である。)が押し付けられる部分に、発泡弾性材料からなるキャップシールが貼着されている。これにより、ギア部材1042Yとキャップ部634Yとの間からのトナーの漏出を防止することができる。
また、ギア部材1042Yの内径部には、撹拌部材33fが取り付けられている。さらに、撹拌部材33fの連結部1033f20には、上述したように搬送部材1041Yの軸部1041Ya(一端側の端部)が連結されている。
【0143】
以上説明したように、本実施の形態7においても、前記各実施の形態と同様に、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)が、本体側端子573e2に対して金属パッド35a1、35a2、35a3(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるようにキャップ部634Yに保持されている。これにより、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されるトナー容器1032Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体100のコネクタ573eの本体側端子573e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
なお、本実施の形態7におけるトナー容器のキャップ部として前記実施の形態6において
図42等で説明したキャップ部634Yを用いたが、本実施の形態7におけるトナー容器のキャップ部として、前記実施の形態6において
図46で説明したキャップ部734Yを用いることもできるし、前記実施の形態6において
図47(C)で説明した別形態のキャップ部834Yを用いることもできるし、前記実施の形態6において
図47(A)及び
図47(B)で説明した別形態のキャップ部934Yを用いることもできる。
【0144】
実施の形態8.
図50及び
図51にて、この発明の実施の形態8について詳細に説明する。
図50は、実施の形態8における画像形成装置1100を示す斜視図である。
図51(A)はその画像形成装置に設置されるトナーカートリッジ1106Yの一部を示す断面図であり、
図50(B)はトナーカートリッジ1106Yの一部を示す下面図である。
本実施の形態8における画像形成装置1100は、IDチップ535が設置されたトナーカートリッジ1106Yが装置本体1100に対して上方から装着される点が、IDチップ535が設置されたトナー容器532Y、632Y、732Y、832Y、932Y、1032Yが長手方向を装着方向として装置本体100に対して水平方向に装着される前記各実施の形態のものと相違する。
【0145】
図50を参照して、本実施の形態8における画像形成装置1100は、4つの着脱可能装置としてのトナーカートリッジ1106Y、1106M、1106C、1106Kが上方から着脱されるように構成されている。なお、
図50は、イエロー用のトナーカートリッジ1106Yを除く3つのトナーカートリッジ1106M、1106C、1106Kが装置本体1100に装着された状態を示している。
そして、トナーカートリッジ1106Y、1106M、1106C、1106Kは、
図50に示すように、本体カバー1110(本体ドアー)が開放された状態で、装置本体1100の設置部に着脱されることになる。
【0146】
一方、トナーカートリッジ1106Y、1106M、1106C、1106Kは、図示しないシャッタ付きの開口部を現像装置に対向する下方の位置に備え、内部には対応する色のトナー(1成分現像剤)が収容されている。そして、
図51を参照して、トナーカートリッジ1106Y、1106M、1106C、1106Kの長手方向端部の下面には、保持部材1134kによってIDチップ535(情報記憶装置)が水平面方向(
図51(B)の紙面方向である。)を移動可能に保持されている。
保持部材1134kは、前記実施の形態5のものと同じIDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3や位置決め用の穴部535b21(アース端子535d)等が露呈した状態で、IDチップ535の基板535bの一部に接触可能にトナーカートリッジ1106Yにネジ締結される。詳しくは、トナーカートリッジ1106Yの端部に形成されたボス部1181に保持部材1134kの穴部を合わせて、ネジ1180が保持部材1134kに形成された穴部を介してトナーカートリッジ1106Yのボス部1181とはIDチップ535を挟んで反対側に形成されたネジ穴部に螺合されて、保持部材1134kがトナーカートリッジ1106Yに固定される。これにより、IDチップ535は、トナーカートリッジ1106Yから脱落することなく水平面内を移動できるように保持されることになる。そして、
図50を参照して、装置本体1100に対するトナーカートリッジ1106Yの上方からの装着動作にともない、装置本体1100の設置部に設置されたコネクタ573eの位置決めピン573e23(アース用の本体側端子573e25)にIDチップ535の位置決め用穴部535b21(アース端子535d)が嵌合して、その後にコネクタ573eの本体側端子73e2がIDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3に接触して、コネクタ573eとIDチップ535との電気的接続が完了することになる。その際、トナーカートリッジ1106YにおいてIDチップ535は水平面内を移動可能に保持されているため、前記各実施の形態のものと同様に、装置本体1100のコネクタ573eの本体側端子73e2、573e25との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0147】
以上説明したように、本実施の形態8においては、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)が、本体側端子573e2に対して金属パッド35a1、35a2、35a3(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるようにトナーカートリッジ1106Yに保持されている。これにより、画像形成装置本体1100に対して着脱可能に設置されるトナーカートリッジ1106Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体1100のコネクタ573eの本体側端子73e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0148】
実施の形態9.
図52及び
図53にて、この発明の実施の形態9について詳細に説明する。
図52は、実施の形態9における画像形成装置を示す斜視図であって、前記実施の形態8における
図50に相当する図である。
図53は、装置本体1200の本体カバー1210の閉鎖動作にともないコネクタ573eがIDチップ535に接続される状態を示す概略図である。
本実施の形態9における画像形成装置1200は、トナーカートリッジではなくプロセスカートリッジ1206Yの上面にIDチップ535が設置されている点と、装置本体1200の本体カバー1210にコネクタ573eが設置されている点と、が前記実施の形態8のものと相違する。
【0149】
図52を参照して、本実施の形態9における画像形成装置1200は、4つの着脱可能装置としてのプロセスカートリッジ1206Y、1206M、1206C、1206Kが上方から着脱されるように構成されている。なお、
図52は、イエロー用のプロセスカートリッジ1206Yを除く3つのプロセスカートリッジ1206M、1206C、1206Kが装置本体1200に装着された状態を示している。
そして、プロセスカートリッジ1206Y、1206M、1206C、1206Kは、
図52に示すように、本体カバー1210(本体ドアー)が開放された状態で、装置本体1200の設置部に着脱されることになる。ここで、本実施の形態9では、本体カバー1210における、4つのプロセスカートリッジ1206Y、1206M、1206C、1206Kに対応する位置に、それぞれ、露光工程をおこなうためのLEDユニット1207Y、1207M、1207C、1207Kが設置されている(
図52では、2つのLEDユニット1207Y、1207Mの図示を省略している。)。そして、
図53を参照して、本体カバー1210が閉鎖されると、プロセスカートリッジ1206Yにおける感光体ドラム1201Yの静電潜像を形成する位置に対向するように、LEDユニット1207Yが移動することになる。
【0150】
一方、プロセスカートリッジ1206Y、1206M、1206C、1206Kは、それぞれ、感光体ドラム、帯電部、現像部、クリーニング部が一体的に形成されていて、現像部の内部には対応する色のトナー(1成分現像剤)が収容されている。そして、
図52を参照して、プロセスカートリッジ1206Y、1206M、1206C、1206Kの長手方向端部の上面には、不図示の保持部材(又は、面板)によってIDチップ535(情報記憶装置)が水平面方向(
図53の紙面垂直方向及び左右方向である。)を移動可能に保持されている。
この保持部材は、前記実施の形態5のものと同様に形成されたIDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3や位置決め用の穴部535b21(アース端子535d)等が露呈した状態で、IDチップ535の基板535bの一部に接触可能にプロセスカートリッジ1206Yの外装カバーにネジ締結される。これにより、IDチップ35は、プロセスカートリッジ1206Yから脱落することなく水平面内を移動できるように保持されることになる。そして、
図52を参照して、装置本体1200に対するプロセスカートリッジ1206Yの上方からの装着動作(本体カバー1210の閉鎖動作をともなう装着動作である。)にともない、本体カバー1210に設置されたコネクタ573eの位置決めピン573e23(アース用の本体側端子573e25)にIDチップ535の位置決め用穴部535b21(アース端子535d)が嵌合して、その後にコネクタ573eの本体側端子73e2がIDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3に接触して、コネクタ573eとIDチップ535との電気的接続が完了することになる。その際、プロセスカートリッジ1206YにおいてIDチップ535は水平面内を移動可能に保持されているため、前記各実施の形態のものと同様に、装置本体1200のコネクタ573eの本体側端子573e2、573e25との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0151】
なお、本実施の形態9では、
図53を参照して、本体カバー1210に対して支持アーム1211を介してLEDユニット1207Y(その長手方向端部にコネクタ573eが設置されている。)が
図53の時計方向・反時計方向に回動可能(首振り可能)に設置されている。また、LEDユニット1207Yは、支持アーム1211に内設された圧縮スプリング1212に付勢されている。この首振り機能と、プロセスカートリッジ側への付勢力と、によって4つのLEDユニットを各プロセスカートリッジに装着させようと本体カバー1210を閉めるとき、
図53にあるようにLEDユニット1207Yは、プロセスカートリッジ1206Yの壁面に沿って首を振り、所定の位置へと導かれる。これと同時に、コネクタ573eもIDチップ535に近づくように移動して、前記実施の形態5〜8と同様に位置決めがされる。また、圧縮スプリング1212の付勢力によって装置本体1200の設置部に装着されたプロセスカートリッジ1206YのIDチップ535に対してコネクタ573eが適度な力で接触することになる。
【0152】
以上説明したように、本実施の形態9においては、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)が、本体側端子573e2に対して金属パッド35a1、35a2、35a3(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるようにプロセスカートリッジ1206Yに保持されている。これにより、画像形成装置本体1200に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジ1206Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体1200のコネクタ573eの本体側端子573e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0153】
実施の形態10.
図54及び
図55にて、この発明の実施の形態10について詳細に説明する。
図54は、実施の形態10におけるインクカートリッジ1306Y(現像剤容器)を示す斜視図である。また、
図55は、インクカートリッジ1306Y、1306M、1306C、1306Kが設置された画像形成装置としてのインクジェットプリンタ1300を示す上面図である。
本実施の形態10における画像形成装置1300は、IDチップ535が側面に設置されたインクカートリッジ1306Yが装置本体1300に対して側方から装着される点が、前記各実施の形態のものと相違する。
【0154】
図55を参照して、本実施の形態10における画像形成装置1300(インクジェットプリンタ)は、記録ヘッド1301a、1301bが設置されて両矢印方向に移動するキャリッジ1301、ガイドロック1302、各色のインクカートリッジ1306Y、1306M、1306C、1306Kからキャリッジ1301のサブタンクにインクを供給するための供給チューブ1303、記録媒体Pを白矢印方向に搬送する搬送ベルト1304、等で構成されている。そして、装置本体1300の端部に設けられた設置部に、各色のインクカートリッジ1306Y、1306M、1306C、1306K(着脱可能装置)が着脱可能に設置されることになる(
図55の上下方向を着脱方向とする設置である)。 なお、画像形成装置300の主たる構成は、例えば、特開2010−234801号公報等に記載されたものと同等であり公知なものであるため、その詳細説明を省略する。
【0155】
ここで、
図54を参照して、着脱可能装置としてのインクカートリッジ1306Y(内部にインク袋1307が収容されている)は、その側面に形成された凹部1308に、保持部材1334kにXZ方向に移動可能に保持されたIDチップ535(情報記憶装置)が設置されている。
この保持部材1334kやIDチップ535の構成は、前記実施の形態5のものと同様である。すなわち、保持部材1334kは、IDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3や位置決め用の穴部535b21(アース端子535d)等が露呈した状態で、インクカートリッジ1306Yの凹部1308に嵌合される。これにより、IDチップ535は、インクカートリッジ1306Yから脱落することなく保持部材1334kにおいてXZ面内を移動できるように保持されることになる。そして、
図54を参照して、装置本体1300に対する装着動作にともない、装置本体1300に設置されたコネクタ573eの位置決めピン573e23(アース用の本体側端子573e25)にIDチップ535の位置決め用穴部535b21(アース端子535d)が挿入嵌合して、その後にコネクタ573eの本体側端子73e2がIDチップ535の金属パッド35a1、35a2、35a3に接触して、コネクタ573eとIDチップ535との電気的接続が完了することになる。その際、インクカートリッジ1306YにおいてIDチップ535はXZ面内を移動可能に保持されているため、前記各実施の形態のものと同様に、装置本体1300のコネクタ573eの本体側端子573e2、573e25との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0156】
以上説明したように、本実施の形態10においては、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)が、本体側端子573e2に対して金属パッド35a1、35a2、35a3(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持部材1334kを介してインクカートリッジ1306Yに保持されている。これにより、画像形成装置本体1300に対して着脱可能に設置されるインクカートリッジ1306Y(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ535(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体1300のコネクタ573eの本体側端子573e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0157】
実施の形態11.
図56〜
図58にて、この発明の実施の形態10について詳細に説明する。
図56は、実施の形態10における画像形成装置のコネクタ1473eを示す斜視図であって、前記実施の形態1における
図16に相当する図である。
図57は、
図56のコネクタ1473eに接触する情報記憶装置としてのIDチップ1435を示す3面図であって、前記実施の形態1における
図29に相当する図である。また、
図58は、別形態の情報記憶装置としてのIDチップ1535を示す3面図であって、前記実施の形態4における
図35に相当する図である。
本実施の形態11は、コネクタ1473eの位置決めピン1473e3に接地用の本体側端子1473e5が設置されている点と、IDチップ1435、1535に接地用の本体側端子1473e5に接触する接地用の金属端子1435d、1535d(アース端子)が設置されている点と、が前記実施の形態1、4のものと相違する。
【0158】
図56を参照して、本実施の形態11における画像形成装置には、前記実施の形態1のものと同様に、コネクタ本体1473e1、4つの本体側端子1473e2、2つの位置決めピン1473e3(位置決め用の突起部)、スナップフィット1473e4、等で構成されたコネクタ1473eが設置されている。
ここで、本実施の形態11におけるコネクタ1473eは、位置決めピン1473e3の内側(IDチップ1435の切欠部1435b1や穴部1535b11に接触する部分である。)に、接地用の本体側端子1473e5(アース端子)が設置されている。
【0159】
一方、
図57を参照して、本実施の形態11におけるIDチップ1435(基板1435b)は、2つの切欠部1435b1の内径部と周囲とに、接地用の金属端子1435d(アース端子)が設置されている。
このような構成により、トナー容器の装着動作において、IDチップ1435のアース端子1435dが位置決めピン1473e3(コネクタ1473e)の接地用の本体側端子1473e5(
図56を参照できる。)に接触した後に、IDチップ1435の4つの金属パッド35aがコネクタ1473eの4つの本体側端子1473e2に接触開始されることになる。換言すると、トナー容器の離脱動作において、IDチップ1435の4つの金属パッド35aのコネクタ1473eの4つの本体側端子1473e2への接触が解除された後に、IDチップ1435のアース端子1435dが位置決めピン1473e3(コネクタ1473e)の接地用の本体側端子1473e5に接触解除(離間)されることになる。具体的には、コネクタ1473eにおいて、4つの本体側端子1473e2に比べて接地用の本体側端子1473e5の接触開始位置がIDチップ1435の側に近い位置になるように形成されている。
このような構成により、トナー容器の装着動作においては常にIDチップ1435のアースがとられている状態で金属パッド35aと本体側端子1473e2との接続が開始され、トナー容器の離脱動作においては常にIDチップ1435のアースがとられている状態で金属パッド35aと本体側端子1473e2との離間(接触解除)が開始されることになる。そのため、IDチップ1435側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態になることが防止され、IDチップ1435に電気的な破損が生じにくくなる。
【0160】
また、前記実施の形態1におけるIDチップと、前記実施の形態4におけるIDチップと、の関係と同様に、
図57に示すIDチップ1435を
図58に示すIDチップ1535に置き換えることもできる。
詳しくは、
図58を参照して、IDチップ1535には、一方の位置決め用の穴部1535b11の内径部と周囲とに、接地用の金属端子1535d(アース端子)が設置されている。
このような構成により、トナー容器の装着動作において、IDチップ1535のアース端子1535dが位置決めピン1473e3(コネクタ1473e)の接地用の本体側端子1473e5(
図56を参照できる。)に接触した後に、IDチップ1535の4つの金属パッド35aがコネクタ1473eの4つの本体側端子1473e2に接触開始されることになる。換言すると、トナー容器の離脱動作において、IDチップ1535の4つの金属パッド35aのコネクタ1473eの4つの本体側端子1473e2への接触が解除された後に、IDチップ1535のアース端子1535dが位置決めピン1473e3(コネクタ1473e)の接地用の本体側端子1473e5に接触解除(離間)されることになる。具体的には、コネクタ1473eにおいて、4つの本体側端子1473e2に比べて接地用の本体側端子1473e5の接触開始位置がIDチップ1535の側に近い位置になるように形成されている。
このような構成により、トナー容器の装着動作においては常にIDチップ1535のアースがとられている状態で金属パッド35aと本体側端子1473e2との接続が開始され、トナー容器の離脱動作においては常にIDチップ1535のアースがとられている状態で金属パッド35aと本体側端子1473e2との離間(接触解除)が開始されることになる。そのため、IDチップ1535側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態になることが防止され、IDチップ1535に電気的な破損が生じにくくなる。
【0161】
また、本実施の形態11においても、接触式のIDチップ1435、1535(情報記憶装置)が、本体側端子1473e2に対して金属パッド35a(端子)が近づいて接触するときの移動方向に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持部材34k(保持部)に保持されている。
これにより、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるトナー容器(着脱可能装置)に、接触式のIDチップ1435、1535(情報記憶装置)を設置した場合であっても、画像形成装置本体のコネクタ1473eの本体側端子1473e2との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0162】
実施の形態12.
図59〜
図62にて、この発明の実施の形態12について詳細に説明する。
図59は、実施の形態12における着脱可能装置としてのトナー容器1632Yを示す斜視図である。このトナー容器1632Yは、容器本体33Yと同様な構成の容器本体1633Yと、容器本体1633Yに形成された図示しないトナーの排出口を外側から覆うキャップ部1634Yと、このキャップ部1634Yの先端に取り付けられる情報記憶装置としてのIDチップと、IDチップを保持する保持機構1635とを備えている。IDチップとしては、例えば実施の形態5で説明したIDチップ535を用いる。
【0163】
このトナー容器1632Yは、特許第4396946号で開示するトナー吸引搬送方式のトナー補給装置に着脱可能なトナー容器に関連する。即ちIDチップとその保持機構、及び、IDチップの通信方式以外は係る特許に開示するトナー容器、トナー補給装置を採用するものである。トナー容器と補給装置の両者が備える着脱のための位置決め構成や容器本体を駆動させるための構成等は係る特許を参照する。本実施の形態のトナー容器と特許第4396946号のトナー容器との差異は後述する。本実施の形態のトナー補給装置と特許第4396946号のトナー補給装置との差異は、通信方式が前者は、接触式であるのに対し、後者は非接触式(いわゆるRFID方式)である。それに伴い、前者の本体側コネクタとして、実施の形態5で説明した
図37、38、45のコネクタ573eが特許第4396946号のトナー補給装置のトナー容器キャップ端面と対向する位置に配置されている。
【0164】
IDチップ535には、
図60に示すように、既に説明した位置決め用の穴部535b21が形成されていて、この位置決め用の穴部535b21には、先に説明した装置本体側に設置されているコネクタの、例えば位置決めピン573e23が挿入される。
【0165】
保持機構1635は、IDチップ535をXZ方向に移動可能に保持する保持部1635Aと、保持部1635Aに着脱可能に嵌合するカバー部材としての保持蓋1635Bとを備えている。
【0166】
保持部1635Aは、
図61に示すように、キャップ部1634Yの先端に形成された鉛直で平坦なIDチップ取付面1634Yaに形成された凹部1635Aaと、この凹部1635Aa内に形成されてIDチップ535が設置される台座部1635qと、凹部1635Aaと台座部1635qを外方から囲むように形成された略額縁状のIDチップ設置壁部1635Abとを備えている。IDチップ設置壁部1635Abは、台座部1635qよりもIDチップ取付面1634Yaから外方に向かって突出して形成されている。IDチップ設置壁部1635Abは、外形が長方形のIDチップ535を収納可能な大きさで、その内側にIDチップ535がセットされたときに、XZ方向に移動可能に保持するものである。つまり、IDチップ535は台座部1635qに設置されるが、キャップ部1634Yに対しては固定されず、台座部1635qに設置されたときに、外側から囲まれるように形成されたIDチップ設置壁部1635Abと隙間を持った状態で設置される。
【0167】
IDチップ取付面1634Yaには、IDチップ設置壁部1635Abの上下に位置する部位に、保持蓋1635Bを取付けための位置決めボス1615a、1615bがIDチップ取付面1634Yaから突出して形成されている。これら位置決めボス1615a、1615bと、IDチップ設置壁部1635Abは、キャップ部1634Yと樹脂で一体成形されている。
【0168】
保持蓋1635Bは、保持部1635AにIDチップを内包させた状態で着装され、その後、後述する溶融固定方式(その一例としての熱カシメ)で固定される。保持蓋1635Bの中央部には、IDチップ535の図示しない接点や位置決め用の穴部535b21を外部に露呈するとともに、コネクタの図示しないコネクタ端子や位置決めピン573e23が挿入される開口1635Bcが形成されている。保持蓋1635Bは、IDチップ設置壁部1635Ab内にセットされたICチップ535をIDチップ設置壁部1635Abとの間で挟み込み、脱落しないように構成されている。保持蓋1635Bの開口1635Bcの上下には、位置決めボス1615a、1615bに対応する位置に取付穴1635Ba、1635Bbが形成されている。
【0169】
このような構成において、IDチップ535をキャップ部1634Yに装着する場合、台座部1635qにIDチップ535の裏面を当設させて奥行き方向の位置決めを行い、IDチップ設置壁部1635Abによって上下左右の位置決めが周囲からなされる。保持蓋1635BをIDチップ設置壁部1635Abとの対面方向からIDチップ設置壁部1635Abに重ね合わせて、取付穴1635Ba、1635Bbに位置決めボス1615a、1615bを挿入することで、ICチップ535が保持蓋1635Bで覆われた状態で位置決めさけてキャップ部1634Yに装着されて保持される。
【0170】
この状態では、IDチップ535はキャップ部1634YのIDチップ取付面1634Yaに設置されるが、キャップ部1634Yに対しては直接固定されていない。つまり、IDチップ取付面1634Yaに形成されたIDチップ設置壁部1635Abを介してキャップ部1634Yに装着された状態である。
本形態の特徴は、この保持蓋1635Bとキャップ部1634Yとの固定方法にある。本形態では、保持蓋1635Bとキャップ部1634Yとの固定方法として溶融固定方式を採用している。
【0171】
上述したように、保持蓋1635Bは、取付穴1635Ba、1635Bbにキャップ部1634Y側に形成した位置決めボス1615a、1615bを挿入して保持されているだけなので、本形態では、
図62に示すように、保持蓋1635Bを熱カシメでキャップ部1634Yに固定する。
図62中、符号1640はカシメ部(固定部)を示す。例えば
図61に示す位置決めボス1615a、1615bを取付穴1635Ba、1635Bbから突出する長さとする。そして、加熱可能なコテ等の加熱部材で位置決めボス1615a、1615bを加熱し、同ボスを熱で溶融しながら押しつぶすことで熱変形させてカシメ部1640を形成することで、保持蓋1635Bをキャップ部1634Y側と締結固定することができる。
【0172】
本形態では保持蓋1635Bをキャップ部1634Yとの固定方法として、熱カシメでの固定を想定して説明したが、保持蓋1635Bとキャップ部1634Yとの固定方法としては、超音波溶着など他の溶融固定方式でもよく、樹脂の溶融方法を、本実施形態に制限するものではない。
【0173】
実施の形態13.
図63、
図64にて、この発明の実施の形態13について詳細に説明する。
本形態は、前述の保持蓋1635Bを、熱カシメ等の加工により固定するのではなく、締結部材を用いた締結方式で固定することを特徴としている。他のトナー容器の部位、及びトナー補給装置の形態は、実施の形態12と同様である。本形態では、先の位置決めボス1615a、1615bを挿通させる保持蓋1635Bに形成した取付穴1635Ba、1635Bbに締結部材1650a、1650bを挿通して、IDチップ取付面1634Yaにねじ込むことで保持蓋1635Bをキャップ部1634Yに固定する。締結部材1650a、1650bとして、例えばねじ込まれると同時に相手の穴にねじ溝を形成していくセルフタップねじなどを用いて締結固定する場合、IDチップ取付面1634Yaに筒状の下穴(
図64の1651a、1651bが相当する)を形成するだけでよい。
【0174】
別の想定形態として、例えば、IDチップを保持しないまま保持蓋1635Bを一旦キャップ1634Yに固定してトナー容器製造工場から出荷し、別の工場で保持蓋1635Bを外して、IDチップを内包させ、再度保持蓋1635Bをキャップ1634Yに固定する場合や、使用済みのトナー容器をリサイクル使用する場合がある。そのような場合、保持蓋1635Bの着脱がある程度の繰り返し回数で収まるなら上述の筒状の下穴だけでよい。しかし、5回、6回それ以上の着脱を想定し、その際の締結力の安定性を考えると、IDチップ取付面1634Yaに、
図64に示すように、ねじ穴1651a、1651bを予め形成しておき、締結部材1650Ba、1650Bbにねじ穴1651a、1651bのピッチに対応したビスを用いて取付穴1635Ba、1635Bbを介してねじ穴1651a、1651bにねじ込んで固定するのが好ましい。締結部材1650a、1650bによる固定箇所は、本形態では保持蓋1635Bの上下2箇所としているが、1箇所またはそれ以上でも良く、さらに締結部材1650a、1650bの取付け場所も保持蓋1635Bの上下ではなく左右でもよく、個数、場所を本形態に制限するものではない。
【0175】
実施の形態14.
図65、
図66にて、この発明の実施の形態14について詳細に説明する。
本形態では、保持蓋を熱カシメ等の加工や締結部材で締め込んでキャップ部1634Yに固定するものではなく、爪部材による嵌め合い方式で固定することを特徴としている。他のトナー容器の部位、及びトナー補給装置の形態は、実施の形態12と同様である。
【0176】
本形態に係る保持蓋1635Cは、基本的には保持蓋1635Bと同一機能を備えたものである。具体的には、保持蓋1635Bから取付穴1635Ba、1635Bbを削除し、代わりに上部1635Caと下部1635Cbに、中央部に形成した開口1635Ccまで貫通する引掛り部1636a、1636bを形成している。開口1635Ccは、開口1635Bc同様、IDチップ535の図示しない接点や位置決め用の穴部535b21が外部に露呈するとともに、コネクタの図示しないコネクタ端子や位置決めピン573e23が挿入される。
【0177】
本形態において、キャップ部1634Y側には、
図66に示すように、引掛り部1636a、1636b内に進入して引掛り部1636a、1636bと係合する係合部としての爪部1637a、1637bが形成されている。本形態において、爪部1637a、1637bは、保持蓋1635Cが覆い被されるIDチップ設置壁部1635Abの上部と下部にそれぞれ配置形成している。爪部1637a、1637bは、挿入側に傾斜面1637a1、1637b1が形成されていて、保持蓋1635Cと位置合わせをして装着される際に保持蓋1635Cを各爪部1637aの頂部へと案内するように構成されている。
【0178】
このような構成であると、IDチップ535をIDチップ設置壁部1635Ab内にセットし、保持蓋1635CをIDチップ設置壁部1635Abと重合するように、IDチップ設置壁部1635Abに向かって移動すると、キャップ部1634Y側となるIDチップ設置壁部1635Abに形成した爪部1637aが保持蓋1635Cに形成された引掛り部1636a、1636b内に入り込み、両者の嵌め合いで保持蓋1635Cがキャップ部1634Yに固定することができる。
【0179】
本形態では、保持蓋1635Cの上下2箇所を爪部1637a、1637bと引掛り部1636a、1636bとの嵌合い箇所としたが、上下ではなく、保持蓋1635Cの左右もしくは上下左右などとしてもよく、嵌合い箇所や個数を本形態に制限するものではない。
【0180】
上記実施の形態13、14では、保持蓋1635B、1635Cをキャップ部1634Yから着脱可能に締結方式あるいは嵌め合い方式として説明したが、これ以外の固定方法としては、例えばカバー部材をIDチップ設置壁部1635Abに接着剤で固定する形態が挙げられる。この場合、カバー部材には、装置本体に対するトナー容器1632Yの脱着時に脱落しなければよいだけの接着力があればよく、接着剤の種類や、接着面積を特別制限するものではない。
【0181】
このような実施の形態12〜14においては、何れの形態においても、トナー容器1632Yに接触式の情報記憶装置となるIDチップ535を設置した構成であっても、装置本体のコネクタの端子との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0182】
なお、前記実施の形態1〜7では、現像剤容器としてのトナー容器(符号32Y、32M、32C、32K等を付したものである。)の内にトナー(1成分現像剤)のみを収容したが、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を現像装置に適宜に供給する画像形成装置に対してはトナー容器(現像剤容器)の内に2成分現像剤を収容することもできる。さらには、湿式トナーやインクを現像装置に適宜に供給する画像形成装置に対しては現像剤容器内に湿式トナーやインク等の現像剤を収容することもできる。
そして、それらの場合であっても、上述した前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0183】
また、前記実施の形態1〜7において、作像部6Y、6M、6C、6Kの一部又は全部をプロセスカートリッジとすることもできる。その場合であっても、上述した前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0184】
また、前記実施の形態1〜6では、容器本体33Yを回転自在に構成することで、容器本体33Yの内部に収容したトナーが開口部Aに向けて搬送されるように構成した。これに対して、
図48、49を用いて説明した実施の形態7のように容器本体1033Yがキャップ部1034Yとともに非回転でトナー容器収容部70に保持されるように構成するとともに、容器本体1033Y内に開口部Aに向けてトナーを搬送する搬送部材(例えば、軸部状に複数の搬送羽根が設置されて所定方向に回転する搬送部材である。)を設置することで、容器本体1033Yの内部に収容したトナーが開口部Aに向けて搬送されるように構成してもよい。その場合であっても、上述した前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0185】
また、前記各実施の形態では、IDチップ(符号35、535等を付したものである。)の基板(符号35b、535b等を付したものである。)において複数の金属パッド35a(35a1、35a2、35a3)を長手方向の位置がずれないように鉛直方向に整列させた。これに対して、IDチップの基板において複数の金属パッド35a(35a1、35a2、35a3)を長手方向の位置が交互に千鳥状にずれるように鉛直方向に配列させることもできる。この場合、千鳥状に配列された金属パッド35a(35a1、35a2、35a3)に合わせるように、コネクタ(符号73e、573e等を付したものである。)における複数の本体側端子(符号73e2、573e2等を付したものである。)も千鳥状に配列されることになる。そして、そのような場合であっても、上述した前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0186】
また、前記各実施の形態では、画像形成装置本体100等に対して着脱可能に設置される着脱可能装置としてのトナー容器32Y(現像剤容器)等に設置されるIDチップ(情報記憶装置)に対して本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、画像形成装置本体100等に対して着脱可能に設置されるその他の着脱可能装置であっても、情報記憶装置が設置されたものであれば、前記各実施の形態と同様に本発明を適用することができる。例えば、
図1に示す画像形成装置100において、着脱可能装置としてのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kや、着脱可能装置としての定着装置20(定着ユニット)や、着脱可能装置としての中間転写ユニット15等に、情報記憶装置が設置されている場合であっても、それらに対して前記各実施の形態と同様に本発明を適用することができる。そして、そのような場合であっても、上述した前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0187】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。