特許第6036958号(P6036958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6036958
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20161121BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   H01L21/68 N
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-211584(P2015-211584)
(22)【出願日】2015年10月28日
(62)【分割の表示】特願2014-220952(P2014-220952)の分割
【原出願日】2008年5月9日
(65)【公開番号】特開2016-35589(P2016-35589A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】三池 教宏
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−087593(JP,A)
【文献】 特開2006−146195(JP,A)
【文献】 特開2006−203113(JP,A)
【文献】 特開平05−289350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20 − 7/24 、 9/00 − 9/02 、
H01L21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の平面度を有し、基板の一部を支持する支持部が上面に設けられたステージと、
前記ステージの前記上面のうち前記支持部とは異なる位置に設けられた複数の給気口を介して前記基板と前記上面との間に気体を供給し、前記上面に対して前記基板を浮上させる浮上機構と、
前記基板のうち前記支持部に支持された被支持領域内に露光光を照射する照明装置と、
前記ステージに支持され前記基板の周縁部を保持する保持部を有し、前記浮上機構によって前記上面に対して浮上された前記基板を保持する前記保持部を前記上面上で移動させることにより、前記支持部に対して前記基板を相対移動させ、前記照明装置により照射される前記露光光の照射領域と前記基板とを相対変位させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
所定の高さ範囲内に設けられた複数の支持点を有し、基板の一部を支持する支持部が上面に設けられたステージと、
前記ステージの前記上面のうち前記支持部とは異なる位置に設けられた複数の給気口を介して前記基板と前記上面との間に気体を供給し、前記上面に対して前記基板を浮上させる浮上機構と、
前記基板のうち前記支持部に支持された被支持領域内に露光光を照射する照明装置と、
前記ステージに支持され前記基板の周縁部を保持する保持部を有し、前記浮上機構によって前記上面に対して浮上された前記基板を保持する前記保持部を前記上面上で移動させることにより、前記支持部に対して前記基板を相対移動させ、前記照明装置により照射される前記露光光の照射領域と前記基板とを相対変位させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項3】
前記ステージの前記上面のうち前記支持部と異なる位置に設けられた複数の第1吸気口を介して前記基板と前記ステージとの間の気体を吸引し、前記基板の一部を前記支持部に吸着させる吸着機構を備え、
前記支持部は、前記吸着機構によって前記支持部に吸着された前記基板を支持することを特徴とする請求項1または2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記吸着機構は、前記保持部に設けられた第2吸気口を介して前記気体の吸引を行うことを特徴とする請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記ステージの前記上面に形成された凸部上に設けられることを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記凸部上であって前記支持部周辺の少なくとも一部に設けられた前記第1吸気口を介して、前記基板と前記ステージとの間の気体を吸引し、前記基板を前記ステージに吸着させる吸着機構を備えたことを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
パターンが設けられたマスクを保持するマスクステージと、
前記ステージに支持された前記基板に前記パターンの像を投影する投影光学系と、を備え、
前記照明装置は、前記パターン及び前記投影光学系を介して前記露光光を前記被支持領域内に照射することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を露光する露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子又は液晶表示素子等を製造する際に、マスク(レチクル、フォトマス
ク等)のパターンを投影光学系を介してレジストが塗布されたプレート(ガラスプレート
又は半導体ウエハ等)上に投影露光する露光装置が使用されている。ここで露光装置とし
ては、ステップ・アンド・リピート方式でプレート上の各ショット領域にそれぞれレチク
ルのパターンを一括露光する露光装置と、ステップ・アンド・スキャン方式でマスク及び
プレートを投影光学系に対して同期して走査させつつマスクのパターンをプレート上に露
光する露光装置が存在する。
【0003】
このような露光装置においては、投影光学系に対してプレートを載置する基板ステージ
を移動させることにより、プレートの各領域に対してマスクのパターンの転写を行ってい
る(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−203113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上述の露光装置においては、感光基板を基板ホルダに固定して基板ステージに
載置しているため、感光基板の大型化に伴い、基板ホルダ及び基板ステージも大型化し、
その重量も増大する。この場合、基板ステージの駆動において大きな慣性力が作用するこ
とになり、感光基板を高速かつ高精度に移動させることが困難となる。また、感光基板が
基板ホルダに固定されるため、基板ホルダの全面にわたって露光時に必要な所定の平面度
が要求され、その製造が困難となる。
【0006】
本発明の目的は、感光基板の移動を高速かつ高精度に制御することができる露光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の露光装置は、所定の平面度を有し、基板の一部を支持する支持部が上面に設けられたステージと、前記ステージの前記上面のうち前記支持部とは異なる位置に設けられた複数の給気口を介して前記基板と前記上面との間に気体を供給し、前記上面に対して前記基板を浮上させる浮上機構と、前記基板のうち前記支持部に支持された被支持領域内に露光光を照射する照明装置と、前記ステージに支持され前記基板の周縁部を保持する保持部を有し、前記浮上機構によって前記上面に対して浮上された前記基板を保持する前記保持部を前記上面上で移動させることにより、前記支持部に対して前記基板を相対移動させ、前記照明装置により照射される前記露光光の照射領域と前記基板とを相対変位させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の露光装置は、所定の高さ範囲内に設けられた複数の支持点を有し、基板の一部を支持する支持部が上面に設けられたステージと、前記ステージの前記上面のうち前記支持部とは異なる位置に設けられた複数の給気口を介して前記基板と前記上面との間に気体を供給し、前記上面に対して前記基板を浮上させる浮上機構と、前記基板のうち前記支持部に支持された被支持領域内に露光光を照射する照明装置と、前記ステージに支持され前記基板の周縁部を保持する保持部を有し、前記浮上機構によって前記上面に対して浮上された前記基板を保持する前記保持部を前記上面上で移動させることにより、前記支持部に対して前記基板を相対移動させ、前記照明装置により照射される前記露光光の照射領域と前記基板とを相対変位させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の露光装置によれば、感光基板が大型化される場合にも、感光基板の移動を高速かつ高精度に制御することができ、感光基板に対する露光処理を精密に、かつ高スループットで行うことができる。

【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る露光装置の全体構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る基板ステージの構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る保持部の構成を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る基板ステージの構成を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る基板ステージ上におけるプレートの移動の状態を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る浮上機構によるプレートの浮上の状態を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る基板ステージに設けられた支持部の他の構成を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る基板ステージに設けられた支持部の他の構成を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る保持部の他の構成を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る露光装置で用いる基板トレイ及び移動機構を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る露光装置で用いる基板トレイ及び移動機構を示す図である。
図12】本発明に係るデバイス製造方法の製造工程を示すフローチャートである。
図13】本発明に係るデバイス製造方法の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る露光装置、露光方法及びデバイス製造
方法について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる露光装置の全体構成を
示す図である。本実施形態においては、投影光学系PLに対して、マスクステージMSに
より支持されたマスクMと基板ステージSTに載置されたプレートPとが静止した状態で
、マスクMに設けられたパターンをプレートPに転写してプレートPをステップ移動させ
る露光処理を順次行うステップ・アンド・リピート方式の露光装置を例に挙げて説明する
。なお、以下の説明においては、図1中に示すようにXYZ直交座標系を設定し、このX
YZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X
軸及びY軸がプレートPに対して平行となるよう設定され、Z軸がプレートPに対して直
交する方向に設定されている。図中のXYZ直交座標系は、実際にはXY平面が水平面に
平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
【0015】
図1に示す露光装置は、マスクMのパターンを介してプレートPに露光光を照射する照
明装置ILを備えている。照明装置ILは光源及び照明光学系等から構成されており、照
明装置ILから射出した露光光はマスクM上の照明領域内を均一に照明する。マスクMを
通過した露光光は投影光学系PLに入射し、投影光学系PLはマスクMに設けられたパタ
ーンの投影像をプレートP上に形成する。
【0016】
露光装置には、プレートPが載置される基板ステージSTが設けられている。図2に示
すように、基板ステージSTの上面の略中央部には、プレートPを支持する支持部(支持
面)10が形成されており、支持部10は露光処理に必要な所定の平面度を有している。
【0017】
また、露光装置には、支持部10に対してプレートPをXY平面内で移動させる移動機
構20が設けられている。移動機構20は、駆動部22、棒状部材22a及び保持部22
bを備えて構成されており、プレートPは、+X側の縁部が基板ステージSTの+X側に
位置する駆動部22から延びる2本の棒状部材22aの先端部に設けられた保持部22b
により保持されると共に、−X側の縁部が基板ステージSTの−X側に位置する駆動部2
2から延びる1本の棒状部材22aの先端部に設けられた保持部22bにより保持されて
いる。ここで保持部22bは、図3に示すように、プレートPの上面を吸着して保持する
構成を有する。移動機構20は、駆動部22をY方向に移動させることにより、基板ステ
ージST上において支持部10に対してプレートPをY方向に移動させ、駆動部22によ
って棒状部材22aの長さを調整することにより、プレートPをX方向に移動させる。
【0018】
また、基板ステージSTは、図2及び図4に示すように、プレートPを支持部10から
浮上させる浮上機構24、プレートPを基板ステージSTに吸着させる吸着機構26を備
えている。即ち、基板ステージSTの上面の支持部10を除く位置には、複数の給気・吸
気口25がX軸方向及びY軸方向に所定間隔で設けられており、浮上機構24により給気
・吸気口25からプレートPと基板ステージSTの上面との間に、気体を供給することに
よりプレートPを支持部10から浮上させ、吸着機構26により給気・吸気口25からプ
レートPと基板ステージSTの上面との間の気体を吸引することによりプレートPを支持
部10に吸着させる。
【0019】
図5は、基板ステージST上におけるプレートPの移動を説明するための図である。移
動機構20は、駆動部22を駆動して、プレートP上の図示しない各ショット領域を基板
ステージST上の支持部10上に移動させる。例えば、プレートPの+X側かつ+Y側に
位置するショット領域を支持部10による被支持領域30(図4参照)とする場合には、
移動機構20は、駆動部22によりプレートPを符号P1で示す位置に移動させて、その
ショット領域を支持部10上に位置させる。また、プレートPの−X側かつ−Y側に位置
するショット領域を支持部10による被支持領域30とする場合には、移動機構20は、
駆動部22によりプレートPを符号P2で示す位置に移動させて、そのショット領域を支
持部10上に位置させる。
【0020】
本実施形態にかかる露光装置においては、照明装置ILからの露光光の照射領域とプレ
ートPとを相対変位させ、プレートPの各ショット領域を被支持領域30として支持部1
0上に順次位置させることで、その各ショット領域に対してマスクMのパターンの転写を
行う。即ち、図6に示すように浮上機構24により給気・吸気口25からプレートPと基
板ステージSTの上面との間に、気体を供給することによりプレートPを基板ステージS
Tから浮上させつつプレートPを支持部10に対して移動させる。その際、プレートPは
支持部10に対して僅かに浮上し、または接した状態で移動する。そして、基板ステージ
STの支持部10上の被支持領域30にプレートPの次のショット領域が位置した場合に
は、吸着機構26により給気・吸気口25からプレートPと基板ステージSTの上面との
間の気体を吸引することによりプレートPを支持部10に吸着させ、支持部10により支
持されたプレートPのショット領域(被支持領域30)内に照明装置ILから射出させた
露光光を照射し露光を行う。ここで、照明装置ILは、プレートPのうち支持部10に支
持された被支持領域30内のみに露光光を照射する。
【0021】
本実施形態にかかる露光装置においては、上述したように移動機構20を用いて基板ス
テージST上におけるプレートPの移動を行うため、従来技術に係る基板ホルダや基板ス
テージのようにプレートPの大きさに伴って大型化かつ重量化される部材をプレートPと
ともに移動させる必要がなく、プレートPの移動を高速かつ高精度に制御することができ
、プレートPに対する露光処理を精密に、かつ高スループットで行うことができる。
【0022】
また、本実施形態にかかる露光装置では、基板ステージST上の所定の支持部10のみ
において露光処理に必要な所定の平面度を確保すればよいため、従来の露光装置における
基板ホルダが全面にわたってその所定の平面度を必要としていたのに比して、平面度を確
保するための加工処理(製造工程)が容易となる。
【0023】
なお、上述の実施形態においては、基板ステージSTに設けられた支持部10は、基板
ステージSTの上面の他の領域と同じ高さに形成されていたが、図7に示すように、支持
部40を基板ステージSTの上面に設けられた凸部41上に形成してもよい。この場合に
おいては、支持部40において露光処理に必要な所定の平面度を確保するための加工処理
が支持部10に比べて一層容易となる。また、支持部40を凸部41上に形成した場合に
は、保持部22bに替えて、図8に示すように、プレートPの端部を把持する保持部42
を用いることができる。保持部42では、プレートPを把持することで、保持部22bに
比してより確実にプレートPを保持することができる。
【0024】
このような支持部40を備える基板ステージST上において、プレートPを移動させ、
プレートPの各ショット領域に対して露光を行う場合には、図7に示すように浮上機構2
4により給気・吸気口25からプレートPと基板ステージSTの上面との間に気体を供給
することによりプレートPを基板ステージSTから浮上させつつプレートPを移動させる
。その際、プレートPは支持部40に対して僅かに浮上し、または接した状態で移動する
。そして、基板ステージSTの支持部40上の被支持領域30にプレートPの次のショッ
ト領域が位置した場合には、吸着機構26により給気・吸気口25からプレートPと基板
ステージSTの上面との間の気体を吸引することによりプレートPを支持部40に吸着さ
せ露光を行う。
【0025】
また、図9に示すように、凸部41上の支持部40の周囲に、複数の吸気口44を設け
、吸気口44から気体を吸引することによりプレートPを支持部40に吸着させるように
してもよい。この場合には、支持部40に対してプレートPの各ショット領域を一層確実
に吸着させることができる。
【0026】
次に、図面を参照して、第2の実施形態に係る露光装置について説明する。なお、第2
の実施形態に係る露光装置は、基板ステージST上におけるプレートPの保持方法が異な
る点を除き第1の実施形態に係る露光装置と同一の構成である。従って、第2の実施形態
に係る露光装置の説明においては、第1の実施形態に係る露光装置と異なる部分について
のみ説明を行う。また、以下の説明において第1の実施形態と同一構成には、同一の符号
を付して説明を行なう。
【0027】
本実施形態に係る露光装置においては、図10及び図11に示すようにプレートPの周
縁部を基板トレイPTにより保持し、基板ステージSTの+X側に位置する駆動部22か
ら延びる2本の棒状部材22aの先端部に設けられた保持部50と、基板ステージSTの
−X側に位置する駆動部22から延びる1本の棒状部材22aの先端部に設けられた保持
部50とにより基板トレイPTを保持し、駆動部22を駆動して、基板ステージST上の
支持部40に対してプレートPの移動を行う。この場合には、図3に示す保持部22bと
同様の吸着機構により、基板トレイPTの上面を吸着して保持することができる。
【0028】
また、プレートPを基板トレイPTにより保持する場合には、基板ステージST上にお
いてプレートPを浮上させるための浮上機構を基板ステージSTに設けてもよいし、基板
トレイPTに設けてもよい。即ち、給気・吸気口25を基板ステージSTの上面に設け、
この給気・吸気口25から気体を供給することにより、基板ステージST上において基板
トレイPTを浮上させてもよいし、給気・吸気口25を基板トレイPTの下面に設け、こ
の給気・吸気口25から気体を供給することにより基板トレイPTを基板ステージST上
において浮上させてもよい。更に、基板ステージSTの上面及び基板トレイPTの下面の
両方に給気・吸気口25を設けてもよい。
【0029】
なお、上述した第1及び第2の実施形態においては、ステップ・アンド・リピート方式
の露光装置を例に挙げて説明したが、マスクMを保持するマスクステージMSとプレート
Pとを同期移動させつつマスクMに設けられたパターンの投影像をプレートP上に転写す
るステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に本発明を適用することもできる。
【0030】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、1つの投影光学系を備えた露光装置を例
に挙げて説明したが、複数の投影レンズを備えるマルチレンズ式の露光装置に本発明を適
用することも可能である。この場合には、各投影レンズに対応する基板ステージST上の
領域、すなわち照明装置ILが各投影レンズを介して露光光を照射する領域のそれぞれに
、上述の実施形態に係る支持部10または支持部40を形成し、プレートPの各ショット
領域の少なくとも一部を順次支持部10または支持部40上に位置させて露光を行う。
【0031】
また、上述した第1及び第2の実施形態においては、支持部10または支持部40は、
露光処理に必要な所定の平面度を有する面状の支持部として形成されているが、面状の支
持部に限定されず、例えば複数のピン状部材を形成し、この複数のピン状部材の先端部(
支持点)の高さを露光処理に必要な所定の平面度に対応する高さ範囲内に設けることによ
り、支持部10または支持部40に代わる支持部とすることができる。この場合、各ピン
状部材の先端部によりプレートPが支持される。
【0032】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、投影光学系を備えた露光装置を例に挙げ
て説明したが、マスクMのパターンを投影光学系を介すことなくプレートP上に露光する
プロキシミティ露光装置に本発明を適用することもできる。
【0033】
次に、本発明に係る露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図12は、
半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。この図に示すように、半導体デ
バイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウエハに金属膜を蒸着し(ステップ
S40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステッ
プS42)。つづいて、本発明に係る露光装置を用いて、マスクに形成されたパターンを
ウエハ上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了した
ウエハの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS4
6:現像工程)。その後、ステップS46によってウエハ表面に形成されたレジストパタ
ーンを加工用のマスクとし、ウエハ表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS
48:加工工程)。
【0034】
ここで、レジストパターンとは、本発明にかかる露光装置によって転写されたパターン
に対応する形状の凹凸が形成されたフォトレジスト層(転写パターン層)であって、その
凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジスト
パターンを介してウエハ表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えば
ウエハ表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステ
ップS44では、本発明にかかる露光装置は、フォトレジストが塗布されたウエハを感光
基板としてパターンの転写を行う。
【0035】
図13は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。こ
の図に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)
、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)および
モジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。
【0036】
ステップS50のパターン形成工程では、プレート(感光基板)Pとしてフォトレジスト
が塗布されたガラス基板上に、本発明にかかる露光装置を用いて回路パターンおよび電極
パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、本発明にかかる露
光装置を用いてフォトレジスト層に、マスクに設けられたパターンの投影像を転写する露
光工程と、パターンの投影像が転写されたプレートの現像、つまりガラス基板上のフォト
レジスト層(転写パターン層)の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト
層を形成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板を加工す
る加工工程とが含まれている。
【0037】
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(
Blue)に対応する3つのドットの組をマトリクス状に多数配列するか、またはR、G
、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを
形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが
形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて
液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタ
との間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立
工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの
表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
【0038】
また、本発明は、半導体デバイスまたは液晶デバイス製造用の露光装置への適用に限定
されることなく、例えば、プラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、
撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種
デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイス
のマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフ
ィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
IL…照明装置、PL…投影光学系、M…マスク、P…プレート、MS…マスクステー
ジ、ST…基板ステージ、PT…基板トレイ、20…移動機構、22…駆動部、24…浮
上機構、25…給気・吸気口、26…吸着機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図13