【実施例】
【0075】
以下、本発明の実施例を用いて、さらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
【0076】
(実施例1)
In
2O
3相のみによって構成されるIn
2O
3からなる酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして使用し、酸窒化物半導体薄膜の成膜を実施した。
【0077】
初めに、このスパッタリングターゲットを、アーキング抑制機能のない直流マグネトロンスパッタリング装置(トッキ株式会社製、SPK503)の非磁性体ターゲット用カソードに取り付けた。また、基板には、無アルカリのガラス基板(コーニング社製、EAGLE XG)を使用した。ターゲット−基板間距離を60mmに固定し、2×10
-4Pa以下まで真空排気後、Ar、O
2およびN
2からなる混合ガスを、O
2濃度が1.5体積%、N
2濃度が1.5体積%になるように導入し、ガス圧を0.6Paに調整した。
【0078】
その後、直流電力300W(1.64W/cm
2)を印加して直流プラズマを発生させ、成膜を実施した。具体的には、10分間のプリスパッタリング後、スパッタリングターゲットの静止対向位置に基板を配置し、基板を加熱せずにスパッタリングを実施した。これにより、膜厚50nmの酸窒化物半導体薄膜を成膜した。得られた酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、SPS3520UV)を用いてICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜の結晶構造を、X線回折装置(パナリティカル社製、X´PertPRO MPD)を用いて、X線回折により測定した結果、この酸窒化物半導体薄膜は非晶質であることが確認された。
【0079】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、大気中、300℃、30分間の条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析装置(アルバック・ファイ株式会社製、PHI ADEPT1010)を用いて、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを8×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。なお、2次イオン質量分析測定はIn
2O
3薄膜にNをイオン注入した標準試料を用いて定量した。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0080】
その後、表面形状測定装置(ケーエルエー・テンコール株式会社製、Alpha−Step IQ)を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置(株式会社東陽テクニカ製、ResiTest8400)を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜のホール効果を測定した結果、キャリア濃度は5×10
16cm
-3であり、キャリア移動度は29cm
2/Vsecであることが確認された。
【0081】
(実施例2)
大気中、400℃で30分間のアニール処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0082】
アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを8×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0083】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は2×10
16cm
-3であり、キャリア移動度は30cm
2/Vsecであることが確認された。
【0084】
(実施例3)
スパッタリングガス中のO
2濃度を1.4体積%、N
2濃度を5.7体積%としたこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0085】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0086】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例1と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを5×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0087】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は8×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は27cm
2/Vsecであることが確認された。
【0088】
(実施例4)
スパッタリングガス中のO
2濃度を1.4体積%、N
2濃度を5.7体積%としたこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0089】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0090】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを5×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0091】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は4×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は30cm
2/Vsecであることが確認された。
【0092】
(実施例5)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0093】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0094】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例1と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを1×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0095】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は7×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は28cm
2/Vsecであることが確認された。
【0096】
(実施例6)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0097】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0098】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを1×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0099】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は4×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は30cm
2/Vsecであることが確認された。
【0100】
(実施例7)
スパッタリングガス中のO
2濃度を1.5体積%、N
2濃度を0.5体積%としたこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0101】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0102】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを4×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0103】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は1×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は28cm
2/Vsecであることが確認された。
【0104】
(実施例8)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0105】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0106】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、熱処理時間を120分にしたこと以外は実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを1×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0107】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は2×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は20cm
2/Vsecであることが確認された。
【0108】
(実施例9)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0109】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0110】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、熱処理時間を60分にしたこと以外は実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを1×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0111】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は3×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は27cm
2/Vsecであることが確認された。
【0112】
(実施例10)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0113】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0114】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、熱処理時間を5分にしたこと以外は実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを1×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0115】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は6×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は30cm
2/Vsecであることが確認された。
【0116】
(実施例11)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0117】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0118】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、熱処理時間を1分にしたこと以外は実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを1×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0119】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は1×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は30cm
2/Vsecであることが確認された。
【0120】
(実施例12)
スパッタリングガス中のO
2濃度を1.4体積%、N
2濃度を5.7体積%としたこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0121】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0122】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例1と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを8×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0123】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は6×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は26cm
2/Vsecであることが確認された。
【0124】
(実施例13)
スパッタリングガス中のO
2濃度を1.4体積%、N
2濃度を5.7体積%としたこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0125】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0126】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを8×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0127】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は3×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は28cm
2/Vsecであることが確認された。
【0128】
(実施例14)
膜厚を15nmとしたこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0129】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0130】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを3×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0131】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、15nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は6×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は26cm
2/Vsecであることが確認された。
【0132】
(実施例15)
膜厚を200nmとしたこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0133】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0134】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを8×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0135】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、200nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は3×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は29cm
2/Vsecであることが確認された。
【0136】
(実施例16)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga+Y)原子数比で0.10とYを、Y/(In+Ga+Y)原子数比で0.05含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0137】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0138】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを4×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0139】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は3×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は27cm
2/Vsecであることが確認された。
【0140】
(実施例17)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga+La)原子数比で0.10とLaを、La/(In+Ga+La)原子数比で0.05含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0141】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0142】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0143】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は2×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は26cm
2/Vsecであることが確認された。
【0144】
(実施例18)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.05含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0145】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0146】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを8×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0147】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は7×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は29cm
2/Vsecであることが確認された。
【0148】
(実施例19)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.08含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0149】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0150】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを9×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0151】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は5×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は29cm
2/Vsecであることが確認された。
【0152】
(実施例20)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.12含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0153】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0154】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0155】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は3×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は27cm
2/Vsecであることが確認された。
【0156】
(実施例21)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.15含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0157】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0158】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを3×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0159】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を表面形状測定装置で測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は2×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は26cm
2/Vsecであることが確認された。
【0160】
(実施例22)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.20含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0161】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0162】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを4×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0163】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は1×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は25cm
2/Vsecであることが確認された。
【0164】
(実施例23)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Znを、Zn/(In+Zn)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0165】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0166】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを9×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0167】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は2×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は12cm
2/Vsecであることが確認された。
【0168】
(実施例24)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Tiを、Ti/(In+Ti)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0169】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0170】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0171】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は6×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は8cm
2/Vsecであることが確認された。
【0172】
(実施例25)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Wを、W/(In+W)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0173】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0174】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを9×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0175】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は7×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は10cm
2/Vsecであることが確認された。
【0176】
(実施例26)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Mgを、Mg/(In+Mg)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0177】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0178】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを9×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0179】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は1×10
15m
-3であり、キャリア移動度は8cm
2/Vsecであることが確認された。
【0180】
(実施例27)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Alを、Al/(In+Al)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0181】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0182】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを3×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0183】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は8×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は22cm
2/Vsecであることが確認された。
【0184】
(実施例28)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Yを、Y/(In+Y)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0185】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0186】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを3×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0187】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は3×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は20cm
2/Vsecであることが確認された。
【0188】
(実施例29)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Laを、La/(In+La)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0189】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0190】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0191】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は1×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は18cm
2/Vsecであることが確認された。
【0192】
(実施例30)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Scを、Sc/(In+Sc)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0193】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0194】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0195】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は6×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は17cm
2/Vsecであることが確認された。
【0196】
(実施例31)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Siを、Si/(In+Si)原子数比で0.05含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0197】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0198】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを4×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0199】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は8×10
16cm
-3であり、キャリア移動度は29cm
2/Vsecであることが確認された。
【0200】
(実施例32)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Geを、Ge/(In+Ge)原子数比で0.05含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0201】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0202】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0203】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は7×10
16cm
-3であり、キャリア移動度は31cm
2/Vsecであることが確認された。
【0204】
(実施例33)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Snを、Sn/(In+Sn)原子数比で0.05含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0205】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0206】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0207】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は9×10
16cm
-3であり、キャリア移動度は35cm
2/Vsecであることが確認された。
【0208】
(実施例34)
大気中、200℃で30分間のアニール処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0209】
アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを8×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0210】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は9×10
16cm
-3であり、キャリア移動度は6cm
2/Vsecであることが確認された。
【0211】
(実施例35)
大気中、200℃で30分間のアニール処理を行ったこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0212】
アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを1×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本実施例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0213】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は1×10
15cm
-3であり、キャリア移動度は7cm
2/Vsecであることが確認された。
【0214】
(比較例1)
スパッタリングガスとして、ArとO
2からなる混合ガスを、O
2濃度が1.5体積%になるように導入したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0215】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0216】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例1と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本比較例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0217】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は2×10
19cm
-3であり、キャリア移動度は22cm
2/Vsecであることが確認された。
【0218】
(比較例2)
スパッタリングガスとして、ArとO
2からなる混合ガスを、O
2濃度が1.5体積%になるように導入したこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0219】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0220】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例1と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本比較例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0221】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は3×10
17cm
-3であり、キャリア移動度は14cm
2/Vsecであることが確認された。
【0222】
(比較例3)
大気中、180℃で30分間のアニール処理を行ったこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0223】
アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は非晶質であることが確認された。その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。
【0224】
なお、比較例3の酸窒化物半導体薄膜は上述のように結晶化していなかったため、2次イオン質量分析測定およびホール効果測定は実施しなかった。
【0225】
(比較例4)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.25含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0226】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0227】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを1×10
21atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本比較例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0228】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は2×10
14cm
-3であり、キャリア移動度は4cm
2/Vsecであることが確認された。
【0229】
(比較例5)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0230】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0231】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、熱処理時間を0.5分としたこと以外は実施例2と同じ条件でアニール処理を行った。
【0232】
アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は非晶質であることが確認された。その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。
【0233】
なお、比較例5の酸窒化物半導体薄膜は上述のように結晶化していなかったため、2次イオン質量分析測定およびホール効果測定は実施しなかった。
【0234】
(比較例6)
スパッタリングガス中のO
2濃度を1.5体積%、N
2濃度を0.3体積%としたこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0235】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により測定した結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0236】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ビックスバイト型構造のIn
2O
3相のみによって構成されていることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを3×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本比較例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0237】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は1×10
19cm
-3であり、キャリア移動度は24cm
2/Vsecであることが確認された。
【0238】
(比較例7)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Znを、Zn/(In+Zn)原子数比で0.65含有する酸化物焼結体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0239】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により調べた結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0240】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例1と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は結晶化しており、ウルツ鉱型構造のZnO相を有していることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを8×10
20atom/cm
-3程度含有していることが確認された。これらの結果から、本比較例の酸窒化物半導体薄膜では、NはIn
2O
3相中に固溶していると理解される。
【0241】
その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、ホール効果測定装置を用いて、ホール効果を測定した結果、キャリア濃度は6×10
19cm
-3であり、キャリア移動度は26cm
2/Vsecであることが確認された。
【0242】
(比較例8)
スパッタリングガス中のO
2濃度を1.5体積%、N
2濃度を6.0体積%としたこと以外は、実施例5と同様にして、酸窒化物半導体薄膜を得た。
【0243】
この酸窒化物半導体薄膜に含まれる金属成分の組成を、ICP発光分光分析法により調べた結果、酸化物焼結体の組成とほぼ同じであることが確認された。また、この酸窒化物半導体薄膜に対して、X線回折測定を行った結果、非晶質であることが確認された。
【0244】
次に、この酸窒化物半導体薄膜に対して、実施例2と同じ条件でアニール処理を実施した。アニール処理後の酸窒化物半導体薄膜に対して、同様に、X線回折測定を行った結果、酸窒化物半導体薄膜は非晶質であることが確認された。その後、表面形状測定装置を用いて、得られた酸窒化物半導体薄膜の膜厚を測定した結果、50nmであることが確認された。また、2次イオン質量分析測定を行った結果、この酸窒化物半導体薄膜は、Nを2×10
22atom/cm
-3程度含有していることが確認された。
【0245】
なお、比較例8の酸窒化物半導体薄膜は上述のように結晶化していなかったため、ホール効果測定は実施しなかった。
【0246】
【表1】
【0247】
[TFT素子の特性評価]
(実施例36)
スパッタリングターゲットとして、In
2O
3に、Gaを、Ga/(In+Ga)原子数比で0.10含有する酸化物焼結体を用いて、熱酸化によってSiO
2膜が形成された、厚さ300nmのSiウエハ基板のSiO
2膜上に、膜厚が50nmとなるように、非晶質の酸窒化物半導体薄膜の成膜を実施した。
【0248】
得られた非晶質の酸窒化物半導体薄膜を、大気中、300℃、30分間の条件でアニール処理することにより結晶化させ、これにより、上記のSi基板、SiO
2膜ならびに結晶質の酸窒化物半導体薄膜を、それぞれゲート電極、ゲート絶縁層およびチャネル層とした。
【0249】
その後、前記チャネル層の表面に、直流マグネトロンスパッタ法によって、厚さ5nmのTi膜、および、厚さ100nmのAu膜を順次成膜して、Au/Ti積層膜からなるソース電極およびドレイン電極を形成し、
図1に示す構成の薄膜トランジスタ(TFT素子)を得た。なお、ソース電極およびドレイン電極の成膜条件は、スパッタガスをArのみとし、直流電力を50Wに変更したこと以外は、酸窒化物半導体薄膜の成膜条件と同様とした。
【0250】
さらに、ソース電極およびドレイン電極に対して、メタルマスクを用いてパターニングを行い、チャネル長100μm、チャネル幅450μmのTFT素子を得た。
【0251】
このTFT素子の動作特性を、半導体パラメータアナライザ(株式会社TFTケースレーインスツルメンツ社製、4200SCS)を用いて調べた結果、TFT素子としての動作特性が確認できた。