【実施例】
【0050】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、原料粉の一次粒径は、レーザ光回折法による重量平均値として求めた。
【0051】
[実施例1、比較例1]
上記式(1)において、Bサイト位置の元素としてチタン、スズ又はハフニウムを選択した例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化イットリウム粉末、酸化ガドリニウム粉末、酸化ルテチウム粉末、酸化ランタン粉末、酸化ホルミウム粉末、酸化ツリウム、酸化ユーロピウム、酸化ディスプロシウム及び酸化プラセオジム粉末を入手した。また、(株)高純度化学研究所製の酸化チタン粉末、酸化第2スズ粉末、並びにAmerican Elements社製の酸化ハフニウム粉末を入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。
上記原料を用いて、表1のような最終組成となる混合比率の各混合酸化物原料を作製した。即ち、最終的なテルビウム、セリウム、R元素のモル比率の合計(つまり、Aサイト位置の元素のモル数)と、チタン、スズ、又はハフニウムのモル数(つまり、Bサイト位置の元素のモル数)とが等量モル比率となるように秤量した混合粉末をそれぞれ用意した。続いて、互いの試験サンプル同士の混入を防止しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。更に、これらの粉末をイリジウムるつぼに入れ、高温マッフル炉にて1600℃、3時間で焼成処理し、比較例を含めて28種類の焼成原料を得た。得られた各焼成原料をパナリティカル社製粉末X線回折装置で回折パターン解析した。その結果、いずれの焼成原料についても、結晶構造としてパイロクロア型立方晶(パイロクロア格子を有する立方晶)を主相とする酸化物原料となっていることが確認された。
得られた各種原料を再度エタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。この際、適宜有機分散剤と有機結合剤を添加した。処理時間は40時間であった。その後再びスプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状パイロクロア型酸化物原料(出発原料)を作製した。
【0052】
【表1】
【0053】
次に、得られた出発原料を直径40mmの金型に充填し、一軸プレス成形機で厚さ6mmのロッド状に仮成形した後、198MPaの圧力で、静水圧プレスしてCIP成形体を得た。続いて得られたCIP成形体をマッフル炉に入れ、大気中800℃で3時間熱処理して脱脂した。
次いで、得られた脱脂済み成形体を真空加熱炉に仕込み、100℃/hの昇温レートで1500〜1700℃まで昇温し、3時間保持してから600℃/hの降温レートで冷却して焼結体を得た。この際、サンプルの焼結相対密度が92%以上となるよう焼結温度や保持時間を調整した。
更に、上記焼結体について、加圧媒体としてArガスを用いて、HIP熱処理温度1500〜1750℃、圧力190MPaで保持時間3時間のHIP処理を行った。
【0054】
こうして得られた各セラミック焼結体につき、縦横2mm×2mm、厚み1mmになるように切断、研削及び研磨処理してシンチレータプレートとした。次いで、シンチレータプレート同士の間に反射材(シリコーンペースト中に分散させた酸化マグネシウム粉末からなり、乾燥により接着させたもの)を設けて縦6行、横6列の36素子に仕切った後、このサンプルの光学両端面を光学面精度λ/4(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨した。
得られた各シンチレータプレートについてHeNeレーザ(波長633nm)を用いて以下の要領で透過率を測定した。この際、レーザ光がシンチレータプレートとシンチレータプレートとの間の反射材に当らないよう注意した。
【0055】
(透過率の測定方法)
透過率は、波長633nmの光を透過させたときの光の強度により測定され、以下の式に基づいて求めた。
透過率(%)=I/Io×100
(式中、Iは透過光強度(厚み1mmのサンプルを透過した光の強度)、Ioは入射光強度を示す。)
【0056】
その後、各シンチレータプレート11を受光素子13上に配置して
図1の放射線検出器10を作製した。次いで、この放射線検出器10と、タングステンターゲットのX線管とを組み合わせて作製した光出力測定装置を用いて、X線管の管電圧120kVでシンチレータプレート11にX線照射し、受光素子13に流れる電流値を光出力として求めた。なお、受光素子13として、Si−APD(浜松ホトニクス(株)製短波長型、型番S5343、感度波長範囲550〜800nm、最大感度波長590nm)を用いた。また、このSi−APDの波長540nm(基準サンプルのCdWO
4単結晶(CWO単結晶)シンチレータの発光ピーク波長)における感度と波長650nm(実施例サンプルの発光ピーク波長相当)における感度は同程度である。
このとき、以下のようにシンチレータプレート11の発光ピーク波長、光出力及び減衰時間を求めた。
【0057】
(発光ピーク波長の測定方法)
前記X線照射評価系で光出力を評価する前に、蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス(株)製Quantaurus−Tau:型番C11367−1)でフォトルミネッセンス(PL)測定し、その結果から発光ピーク波長を求めた。即ち、励起波長280nmの光で励起して、出てきた蛍光をグレーティングによる分光を経て、CCDカメラで蛍光波長スペクトルを検出し、蛍光出力が最大となった波長をX線照射時の発光ピーク波長とみなした。なお、励起波長280nmの光は、蛍光寿命測定装置で入射可能な最短波長の、つまり最大のエネルギーを持つ紫外線であり、X線照射時のような骨格材の振動を起こさないが、シンチレータプレートを励起させた場合に順次緩和してきた励起エネルギーが最後に発光する波長を確認するには十分な励起波長であり、X線照射時の発光ピーク波長の測定のためのX線の代用の励起光として用いることができる。
【0058】
(光出力の測定方法)
ここでは、比較を容易にする目的で、放射線検出器10において別途入手したCdWO
4単結晶(CWO単結晶)シンチレータをシンチレータプレート11の代わりに配置し、前記光出力測定装置を用いた評価法によりこの場合の光出力を求め、その値を「1」とした場合のサンプルの光出力の比率(対CWO比)を各サンプルの光出力の値として示した。
【0059】
(減衰時間の測定方法)
前記光出力測定装置を用いて前記のようにX線を照射して各サンプルの光出力が安定した状態を100%とし、次いでX線照射を停止し、停止してから各サンプルの光出力強度が安定状態の5%に減衰するまでの時間を測定した(X線照射時の減衰時間)。
また、前記蛍光寿命測定装置を用いて前記のように励起波長280nmの光を照射して各サンプルの光出力が安定した状態を100%とし、次いで光照射を停止し、停止してから各サンプルの光出力強度が安定状態の5%に減衰するまでの時間を測定した(紫外線照射時の減衰時間)。
以上の一連の評価結果をまとめて表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
上記結果より、実施例の群からなるパイロクロア型の複合酸化物を主成分とするシンチレータ材料は、いずれも厚さ1mmとした場合の波長633nmの光の透過率が70%以上と透明であるため、シンチレータ材料として発光した光がその内部で無駄に散乱損失することなく、またX線で励起した場合の最強の発光ピーク波長が638〜661nmの波長範囲にあるため、受光素子としてSiフォトダイオードで光電変換を問題なく行うことができ、更にまた、光出力も従来材料と比べて遜色がなく、その上、X線照射による残光出力5%時の減衰時間が5ms以下と非常に短い。なお、紫外線照射による残光出力5%時の減衰時間は測定下限レベル(装置性能限界)の1nsである。これにより、本発明のシンチレータ材料をX線CT装置やガンマ線PET装置などの放射線検査装置に利用した場合に、スイッチングサイクルが高速化できるため、短時間、低被曝線量の操作性、安全性に優れた放射線検査装置に仕上げることが可能となる。
なお、比較例1−1〜1−3の組成では、X線で励起した場合の最強の発光ピーク波長が600nm未満の短波長側にシフトしてしまうため、Siフォトダイオードで光電変換効率が低下してしまう。また、比較例1−4の組成では、活性剤であるセリウムの濃度が低すぎるため、光出力が低い。逆に、比較例1−5の組成では、活性剤であるセリウムの濃度が高すぎるため、濃度消光現象が発生して光出力が低下している。
【0062】
[実施例2、比較例2]
上記式(1)において、Bサイト位置の元素としてシリコン、ゲルマニウム、ジルコニウムよりなる群から選択した例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化イットリウム粉末、酸化ガドリニウム粉末を入手した。また、(株)高純度化学研究所製のシリカ粉末、酸化ゲルマニウム粉末、並びに第一稀元素化学工業(株)製酸化ジルコニウム粉末を入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。
上記原料を用いて、表3のような最終組成となる混合比率の各混合酸化物原料を作製した。即ち、最終的なテルビウム、セリウム、及びイットリウム又はガドリニウムのモル比率の合計(つまり、Aサイト位置の元素のモル数)と、シリコン及びジルコニウム、又はゲルマニウム及びジルコニウムのモル比率の合計、あるいはシリコン、ゲルマニウム又はジルコニウムのモル数(つまり、Bサイト位置の元素のモル数)とが、等量モル比率となるよう秤量した混合粉末をそれぞれ用意した。続いて、互いの試験サンプル同士の混入を防止しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
更に、これらの粉末をイリジウムるつぼに入れ高温マッフル炉にて1600℃、3時間で焼成処理し、比較例を含めて7種類の焼成原料を得た。得られた各焼成原料をパナリティカル社製粉末X線回折装置で回折パターン解析した。その結果、結晶構造としてパイロクロア型立方晶(パイロクロア格子を有する立方晶)を主相とする酸化物原料と確認できたものが実施例2−1、2−2、2−3、2−4の群であった。また、パイロクロア型ではあったものの、結晶系が斜方晶になっていた原料が比較例2−1と2−2の群であった。更に、パイロクロア型立方晶の他にフローライト型正方晶が混在していた原料が実施例2−5であった。
こうして得られた各種原料を再度エタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。この際、適宜有機分散剤と有機結合剤を添加した。処理時間は40時間であった。その後再びスプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状パイロクロア型酸化物原料(出発原料)を作製した。
【0063】
【表3】
【0064】
次に、得られた出発原料を直径40mmの金型に充填し、一軸プレス成形機で厚さ6mmのロッド状に仮成形した後、198MPaの圧力で、静水圧プレスしてCIP成形体を得た。続いて得られたCIP成形体をマッフル炉に入れ、大気中800℃で3時間熱処理して脱脂した。
次いで、得られた脱脂済み成形体を真空加熱炉に仕込み、100℃/hの昇温レートで1500〜1700℃まで昇温し、3時間保持してから600℃/hの降温レートで冷却して焼結体を得た。この際、サンプルの焼結相対密度が92%以上となるよう焼結温度や保持時間を調整した。
更に、上記焼結体について、加圧媒体としてArガスを用いて、HIP熱処理温度1500〜1750℃、圧力190MPaで保持時間3時間のHIP処理を行った。
続いて、得られた各セラミック焼結体につき、縦横2mm×2mm、厚み1mmになるように切断、研削及び研磨処理した。次いでそれらを、反射材を介して6×6の36素子からなるシンチレータ材に加工後、サンプルの光学両端面を光学面精度λ/4(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨した。
得られた各シンチレータプレートについてHeNeレーザ(波長633nm)を用いて実施例1と同様にして透過率を測定した。この際、レーザ光がシンチレータプレートとシンチレータプレートとの間の反射材に当らないよう注意した。
【0065】
その後、実施例1と同様に各シンチレータプレート11を受光素子13上に配置して
図1の放射線検出器10を作製した。次いで、実施例1と同様に光出力測定装置を作製し、タングステンターゲットのX線管の管電圧120kVでシンチレータプレート11にX線照射し、受光素子13に流れる電流値を光出力として求めた。このとき、実施例1と同様にしてシンチレータプレート11の発光ピーク波長、光出力及び減衰時間を求めた。
以上の一連の評価結果をまとめて表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
上記結果より、実施例の群からなるパイロクロア型の複合酸化物を主成分とするシンチレータ材料は、いずれも厚さ1mmとした場合の波長633nmの光の透過率が65%以上、特に実施例2−1〜2−4では79%以上と透明であるため、シンチレータ材料として発光した光がその内部で無駄に散乱損失することなく、またX線で励起した場合の最強の発光ピーク波長が656〜661nmの波長範囲にあるため、受光素子としてSiフォトダイオードで光電変換を問題なく行うことができ、更にまた、光出力も従来材料と比べて遜色がなく、その上、X線照射による残光出力5%時の減衰時間が6ms以下と非常に短い。また、紫外線照射による残光出力5%時の減衰時間は測定下限レベル(装置性能限界)の1nmである。なお、実施例2−5では他の実施例に比べて光出力が若干低下しているが、これは実施例2−5の組成ではパイロクロア型立方晶の他にフローライト型正方晶の相が混在することによって光散乱が増加しているためである。これにより、本発明のシンチレータ材料をX線CT装置やガンマ線PET装置などの放射線検査装置に利用した場合に、スイッチングサイクルが高速化できるため、短時間、低被曝線量の操作性、安全性に優れた放射線検査装置に仕上げることが可能となる。
なお、比較例2−1及び2−2の組成では、結晶系が斜方晶のため透過率が低下し、これにより光出力が低下してしまった。
【0068】
[実施例3、比較例3]
上記式(1)において、Bサイト位置の元素としてジルコニウム又はハフニウムを選択し、焼結温度を調整して作製した例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化ガドリニウム粉末、酸化ランタン粉末を入手した。また、第一稀元素化学工業(株)製酸化ジルコニウム粉末、並びにAmerican Elements社製の酸化ハフニウム粉末も入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。
上記原料を用いて、表5のような最終組成となる混合比率の各混合酸化物原料を作製した。即ち、最終的なテルビウム、セリウム、R元素のモル比率の合計(つまり、Aサイト位置の元素のモル数)と、ジルコニウム又はハフニウムのモル数(つまり、Bサイト位置の元素のモル数)とが等量モル比率となるように秤量した混合粉末をそれぞれ用意した。続いて、互いの試験サンプル同士の混入を防止しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。更に、これらの粉末をイリジウムるつぼに入れ、高温マッフル炉にて1600℃、3時間で焼成処理し、比較例を含めて12種類の焼成原料を得た。得られた各焼成原料をパナリティカル社製粉末X線回折装置で回折パターン解析した。その結果、いずれの焼成原料についても、結晶構造としてパイロクロア型立方晶(パイロクロア格子を有する立方晶)を主相とする酸化物原料となっていることが確認された。
得られた各種原料を再度エタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。この際、適宜有機分散剤と有機結合剤を添加した。処理時間は40時間であった。その後再びスプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状パイロクロア型酸化物原料(出発原料)を作製した。
【0069】
【表5】
【0070】
次に、得られた出発原料を直径40mmの金型に充填し、一軸プレス成形機で厚さ6mmのロッド状に仮成形した後、198MPaの圧力で、静水圧プレスしてCIP成形体を得た。続いて得られたCIP成形体をマッフル炉に入れ、大気中800℃で3時間熱処理して脱脂した。
次いで、得られた脱脂済み成形体を真空加熱炉に仕込み、100℃/hの昇温レートで1650〜1750℃まで昇温し、10時間保持してから600℃/hの降温レートで冷却して焼結体を得た。この際、サンプルの焼結相対密度が99.2%以上となるよう焼結温度や保持時間を調整した。
更に、上記焼結体について、加圧媒体としてArガスを用いて、HIP熱処理温度1500〜1750℃、圧力190MPaで保持時間1時間のHIP処理を行った。
【0071】
こうして得られた各セラミック焼結体につき、縦横2mm×2mm、厚み1mmになるように切断、研削及び研磨処理してシンチレータプレートとした。次いで、シンチレータプレート同士の間に反射材(シリコーンペースト中に分散させた酸化マグネシウム粉末からなり、乾燥により接着させたもの)を設けて縦6行、横6列の36素子に仕切った後、このサンプルの光学両端面を光学面精度λ/4(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨した。
得られた各シンチレータプレートについてHeNeレーザ(波長633nm)を用いて実施例1と同様にして透過率を測定した。この際、レーザ光がシンチレータプレートとシンチレータプレートとの間の反射材に当らないよう注意した。
【0072】
その後、実施例1と同様に各シンチレータプレート11を受光素子13上に配置して
図1の放射線検出器10を作製した。次いで、実施例1と同様に光出力測定装置を作製し、タングステンターゲットのX線管の管電圧120kVでシンチレータプレート11にX線照射し、受光素子13に流れる電流値を光出力として求めた。このとき、実施例1と同様にしてシンチレータプレート11の発光ピーク波長、光出力及び紫外線照射時の減衰時間を求めた。
以上の一連の評価結果をまとめて表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
上記結果より、実施例の群からなるパイロクロア型の複合酸化物を主成分とするシンチレータ材料は、いずれも厚さ1mmとした場合の波長633nmの光の透過率が80%以上と高度に透明であるため、シンチレータ材料として発光した光がその内部で無駄に散乱損失することなく、また紫外線で励起した場合の最強の発光ピーク波長が649〜656nmの波長範囲にあるため、受光素子としてSiフォトダイオードで光電変換を問題なく行うことができ、更にまた、光出力も従来材料と比べて遜色がなく、その上、紫外線照射による残光出力5%時の減衰時間が実施例3−8が15ns、それ以外の実施例が測定下限レベル(装置性能限界)と極めて短い。この減衰時間についてはX線照射やガンマ線照射の場合でも少なくとも実施例1,2と同等程度に小さい値を示すと予想される。これにより、本発明のシンチレータ材料をX線CT装置やガンマ線PET装置などの放射線検査装置に利用した場合に、スイッチングサイクルが大幅に高速化できるため、短時間、低被曝線量の操作性、安全性に優れた放射線検査装置に仕上げることが可能となる。
なお、比較例3−1、3−2の組成では、活性剤であるセリウムの濃度が低すぎるため、光出力が低い。
【0075】
以上、本発明を実施形態をもって説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。