特許第6037247号(P6037247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000002
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000003
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000004
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000005
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000006
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000007
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000008
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000009
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000010
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000011
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000012
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000013
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000014
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000015
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000016
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000017
  • 特許6037247-画像読取装置、および、画像形成装置 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037247
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】画像読取装置、および、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/54 20060101AFI20161128BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20161128BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20161128BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   G03B27/54 A
   H04N1/04 101
   H04N1/028 Z
   G03B27/50 A
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-28370(P2015-28370)
(22)【出願日】2015年2月17日
(62)【分割の表示】特願2013-272770(P2013-272770)の分割
【原出願日】2009年3月16日
(65)【公開番号】特開2015-148803(P2015-148803A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】石田 雅俊
【審査官】 新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−180841(JP,A)
【文献】 特開2007−163567(JP,A)
【文献】 特開2007−171705(JP,A)
【文献】 特開2007−220369(JP,A)
【文献】 特開2005−347109(JP,A)
【文献】 特開2008−277157(JP,A)
【文献】 特開2006−349807(JP,A)
【文献】 特開2008−172562(JP,A)
【文献】 実開平05−052825(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/54
G03B 27/50
H04N 1/028
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿面に対して光を照射する光照射手段と、
該原稿面からの反射光を受光して該原稿面の画像を読み取る画像読取手段とを備えた画像読取装置において、
前記光照射手段は、
複数の発光素子が配列された基板と、
前記発光素子の発光面に対向し、前記発光素子から射出される光を入射する入射面を有し、該入射面から入射した光を被照射体の照射領域へ導光する導光体と、
前記基板を保持する基板保持面を有する保持部材とを備えており、
複数の発光素子は、発光面が前記基板に対して垂直となるように前記基板に取り付けられていて、
前記導光体は、前記保持部材の導光体位置決め部と係合する被位置決め部を有し、前記導光体の発光素子側が、前記基板の複数の発光素子が取り付けられた面に重なるように配置されており、
前記被位置決め部は、前記導光体の入射面と出射面との間に配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
原稿面に対して光を照射する光照射手段と、
該原稿面からの反射光を受光して該原稿面の画像を読み取る画像読取手段とを備えた画像読取装置において、
前記光照射手段は、
複数の発光素子が配列された基板と、
前記発光素子の発光面に対向し、前記発光素子から射出される光を入射する入射面を有し、該入射面から入射した光を被照射体の照射領域へ導光する導光体と、
前記基板を保持する基板保持面を有する保持部材とを備えており、
複数の発光素子は、発光面が前記基板に対して垂直となるように前記基板に取り付けられていて、
前記導光体は、前記保持部材の導光体位置決め部と係合する被位置決め部を有し、前記導光体の発光素子側が、前記基板の複数の発光素子が取り付けられた面に重なるように配置されており、
前記導光体の被位置決め部は、前記被照射体の照射領域の前記発光素子の配列方向の範囲内に配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読取装置において、
前記基板が保持された保持部材の導光体位置決め部に被位置決め部を係合させて前記保持部材上に前記導光体を位置決めしたとき、前記位置決め部が、隣り合う発光素子の発光中心間に位置することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記導光体は、前記被位置決め部を複数有し、前記保持部材には、各被位置決め部に対応する複数の導光体位置決め部を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項に記載の画像読取装置において、
前記複数の導光体位置決め部は、少なくとも前記発光素子の配列方向における一方の端部と中央部とに配置され、前記端部に配置された導光体位置決め部と前記中央部に配置された導光体位置決め部との大きさが互いに異なることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記基板が保持された保持部材の導光体位置決め部に前記被位置決め部を係合させて前記保持部材上に前記導光体を位置決めしたとき、前記被位置決め部が、前記発光素子側に位置することを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記被位置決め部は、前記発光素子に対向しないように配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至いずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記保持部材を板金で構成したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記複数の発光素子のうち前記発光素子の配列方向の最端部の発光素子の中心は、前記被照射体の照射領域の前記発光素子の配列方向の最端部よりも外側に配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
原稿面の画像を読み取る画像読取部と、該画像読取部で読み取った画像情報に基づいて記録材上に画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置において、上記画像読取部として、請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、および、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を原稿面に照射し、原稿面からの反射光を、CCD(Charge Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子で受光した結果に基づき原稿面の画像を読み取る画像読取装置が知られている。原稿静止型の画像読取装置では、コンタクトガラス上に載置された原稿に対して、光源を搭載した走行体をコンタクトガラスの載置面に沿って移動させながら光源からの光を照射する。
【0003】
特許文献1には、複数のLEDを主走査方向に列状に並べて配置した光源手段と原稿面との間に透光性材料からなる導光体を配置した光照射装置が記載されている。LEDから放射状に照射された光を導光体内で全反射させ、導光体の射出面に集めて原稿に照射するので、光照射強度が小さいLEDを用いても、原稿面に照射強度の大きい光を照射することが可能となる。
【0004】
このため、LEDから照射された光をなるべく多く導光体へ入射させ、かつ、導光体に入射した入射光の多くを照射対象に向けて出射させることが望まれる。この要望に応えるためには、その光源手段と導光体との相対的な位置決めに高い精度が要求される。
【0005】
特許文献1においては、複数のLEDを主走査方向に列状に並べて配置した基板(以下、LEDアレイ基板という)に両面テープや接着剤で導光体を固定している。しかし、特許文献1には、導光体が固定されるLEDアレイ基板には、LEDアレイ基板に対して導光体を位置決めするための機能がなく、精度よくLEDアレイ基板に導光体を固定することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、導光体を、基板が取り付けられた部材に位置決めできる画像読取装置、および、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、原稿面に対して光を照射する光照射手段と、該原稿面からの反射光を受光して該原稿面の画像を読み取る画像読取手段とを備えた画像読取装置において、前記光照射手段は、複数の発光素子が配列された基板と、前記発光素子の発光面に対向し、前記発光素子から射出される光を入射する入射面を有し、該入射面から入射した光を被照射体の照射領域へ導光する導光体と、前記基板を保持する基板保持面を有する保持部材とを備えており、複数の発光素子は、発光面が前記基板に対して垂直となるように前記基板に取り付けられていて、前記導光体は、前記保持部材の導光体位置決め部と係合する被位置決め部を有し、前記導光体の発光素子側が、前記基板の複数の発光素子が取り付けられた面に重なるように配置されており、前記被位置決め部は、前記導光体の入射面と出射面との間に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、原稿面に対して光を照射する光照射手段と、該原稿面からの反射光を受光して該原稿面の画像を読み取る画像読取手段とを備えた画像読取装置において、前記光照射手段は、複数の発光素子が配列された基板と、前記発光素子の発光面に対向し、前記発光素子から射出される光を入射する入射面を有し、該入射面から入射した光を被照射体の照射領域へ導光する導光体と、前記基板を保持する基板保持面を有する保持部材とを備えており、複数の発光素子は、発光面が前記基板に対して垂直となるように前記基板に取り付けられていて、前記導光体は、前記保持部材の導光体位置決め部と係合する被位置決め部を有し、前記導光体の発光素子側が、前記基板の複数の発光素子が取り付けられた面に重なるように配置されており、前記導光体の被位置決め部は、前記被照射体の照射領域の前記発光素子の配列方向の範囲内に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1または2に記載の画像読取装置において、前記基板が保持された保持部材の導光体位置決め部に被位置決め部を係合させて前記保持部材上に前記導光体を位置決めしたとき、前記位置決め部が、隣り合う発光素子の発光中心間に位置することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像読取装置において、前記導光体は、前記被位置決め部を複数有し、前記保持部材には、各被位置決め部に対応する複数の導光体位置決め部を有することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項に記載の画像読取装置において、前記複数の導光体位置決め部は、少なくとも前記発光素子の配列方向における一方の端部と中央部とに配置され、前記端部に配置された導光体位置決め部と前記中央部に配置された導光体位置決め部との大きさが互いに異なることを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記基板が保持された保持部材の導光体位置決め部に前記被位置決め部を係合させて前記保持部材上に前記導光体を位置決めしたとき、前記被位置決め部が、前記発光素子側に位置することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記被位置決め部は、前記発光素子に対向しないように配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至いずれか1項に記載の画像読取装置において、前記保持部材を板金で構成したことを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記複数の発光素子のうち前記発光素子の配列方向の最端部の発光素子の中心は、前記被照射体の照射領域の前記発光素子の配列方向の最端部よりも外側に配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、原稿面の画像を読み取る画像読取部と、該画像読取部で読み取った画像情報に基づいて記録材上に画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置において、上記画像読取部として、請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置を用いたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明者らが行った後述する検証試験に示すとおり、発光素子における発光面の発光中心点の垂線(発光面が曲面の場合は、法線)上に被位置決め部を設けると、原稿面上での主走査方向照度分布の不均一が顕著になることがわかった。また、主走査方向において隣り合う発光素子の発光中心間に被位置決め部を設けることで、原稿面上での主走査方向照度分布の不均一が抑制されることがわかった。
発光素子には、発光強度があり、発光素子における発光面の発光中心点の垂線(発光面が曲面の場合は、法線)方向の照射光が、最も強度が強く、上記垂線(法線)に対する角度が大きくなるほど、発光強度が低下する。上記垂線(法線)上に被位置決め部を設けた場合、発光素子における発光面の発光中心点の垂線に対して角度がほとんどない照射光が導光体内を全反射して、被位置決め部に入射する。このため、被位置決め部に入射する照射光は、発光強度の強い照射光であるため、被位置決め部から漏れ出す光量が多くなる。その結果、導光体の入射面から被位置決め部へ向かう光路の延長線上にある導光体射出面の位置から射出される光量が著しく低下し、原稿面上での主走査方向照度分布の不均一が顕著になったと考えられる。
一方、主走査方向において隣り合う発光素子の発光中心間に被位置決め部を設けた場合、上記垂線(法線)に対して角度のついた照射光が導光体内を全反射して、被位置決め部に入射する。しかしながら、角度のついた照射光は、発光強度の弱い照射光であるため、被位置決め部から漏れ出す光量は、上記垂線(法線)上に被位置決め部を設けた場合に比べて少なくてすむ。その結果、導光体の入射面から被位置決め部へ向かう光路の延長線上にある導光体射出面の位置から射出される光量の低下が、上記垂線(法線)上に導光体の被位置決め部を設けた場合に比べて抑えられる。その結果、原稿面上でも主走査方向照度分布の不均一が上記垂線(法線)上に導光体の被位置決め部を設けた場合に比べて抑えられると考えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導光体を、基板が取り付けられた部材に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】同画像形成装置に設けられた画像読取装置を部分的に示す部分斜視図。
図3】同画像読取装置の移動読取部をその側方から示す構成図。
図4】同画像読取装置の第1キャリッジ付近の拡大構成図。
図5】同画像読取装置の光照射ユニットの斜視図。
図6】同光照射ユニットの受け台の斜視図。
図7】同光照射ユニットの導光板とLEDと原稿領域Fとの関係を示す全体図。
図8図7のA部拡大構成図。
図9】導光板の位置決めピンをLEDの発光中心に設けた光照射ユニットの要部拡大構成図。
図10】導光板の位置決めピンをLEDの発光中心に設けた光照射ユニットを用いたときの主走査方向のCCD出力値を示すグラフ。
図11】LEDの発光特性を説明する図。
図12】導光板の位置決めピンをLEDの発光中心の間に設けた光照射ユニットの要部拡大構成図。
図13】導光板の位置決めピンをLEDの発光中心の間に光照射ユニットを用いたときの主走査方向のCCD出力値を示すグラフ。
図14】導光板の位置決めピンをLEDの発光中心の間の中央、かつ、副走査方向において導光板のLEDに最も近い位置に設けた光照射ユニットの要部拡大構成図。
図15】従来の光照射装置の一例を示す概略構成図
図16】従来の光照射装置における主走査方向端部における照射光の光路について説明する図。
図17】導光板の主走査方向端部を原稿領域Fに対して僅かに長くした場合の主走査方向端部における照射光の光路について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な構成について説明する。図1は、本画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、画像形成部1と、用紙供給装置40と、原稿搬送読取ユニット50とを備えている。原稿搬送読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定された画像読取装置(スキャナ)150と、これに支持される原稿搬送装置としてのADF51とを有している。
【0016】
用紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から記録媒体としての用紙を送り出す送出ローラ43、送り出された用紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、画像形成装置の給紙路37に用紙を搬送する複数の搬送ローラ46等も有している。そして、給紙カセット42内の用紙を画像形成装置内の給紙路37内に給紙する。
【0017】
画像形成装置は、光書込装置2や、K,Y,M,C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,3Y,3M,3C、中間転写ベルト25を有する転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、排紙ローラ対35、スイッチバック装置36、給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、プロセスユニット3K,3Y,3M,3Cの感光体4K,4Y,4M,4Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、ドラム状の感光体4K,4Y,4M,4Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。
【0018】
上記構成の画像形成装置において、各感光体4K,4Y,4M,4Cの表面に形成されたトナー像は、図中時計回り方向に無端移動する中間転写ベルト25に順次重ね合わせて1次転写される。この1次転写により、中間転写ベルト25には4色重ね合わせのカラートナー像が形成される。また、用紙供給装置40から供給された用紙が、レジストローラ対33により所定のタイミングで、紙搬送ユニット28と中間転写ベルト25との間で形成された2次転写ニップに送り出され、中間転写ベルト25上のカラートナー像が用紙に一括2次転写される。2次転写ニップを通過した用紙は、中間転写ベルト25から離間して定着装置34へ搬送される。定着装置34に搬送された用紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着された後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
【0019】
画像形成部1の上に配置された画像読取装置150は、第1キャリッジ162及び第2キャリッジ163などで構成されている。第1キャリッジ162及び第2キャリッジ163は、原稿MSに接触するように画像読取装置150のケーシング上壁に固定された図示しないコンタクトガラスの直下に配設されている。第1キャリッジ162は光源や反射ミラーなどが、第2キャリッジ163には反射ミラーなどが設けられている。ADF51によって搬送される原稿MSの画像を読み取る場合には、第1キャリッジ162及び第2キャリッジ163が、図1中Aの位置に移動し、そこで静止した状態で、ADF51によって搬送される原稿MSがコンタクトガラス上を通過する際に光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて撮像手段としてのCCDで原稿MSの画像を読み取る。
【0020】
一方、コンタクトガラス上に載置された原稿MSの画像を読み取る場合には、第1キャリッジ162及び第2キャリッジ163を図中左側から右側に移動させる。そして、第1キャリッジ162及び第2キャリッジ163を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光をコンタクトガラス上に載置された原稿で反射させ、複数の反射ミラーや結像レンズなどを経由させて撮像手段としてのCCDで原稿MSの画像を読み取る。
【0021】
図2は、画像読取装置150の内部構成を斜め上方から示した斜視図である。図3は、画像読取装置150の内部構成をその側方から示す拡大構成図である。図に示すように、画像読取装置150の筐体160内には、一体的に移動可能な第1走行体としての第1キャリッジ162及び第2走行体としての第2キャリッジ163が設けられている。第1キャリッジ162は、光照射装置たる光照射ユニット190と、第1ミラー162aとを備えている。第2キャリッジ163は、第2ミラー163aと、第3ミラー163bとを備えている。
【0022】
画像読取装置150の筐体160内には、図示しないが、その長手方向に延在する2本の金属製の第1レールが短手方向に所定の間隔をあけて固定されており、2本の第1レールの間に、第1キャリッジ162が架け渡されており、第1レール上でその長手方向に沿って走行できるようになっている。これら第1レールよりも鉛直方向の下方には、筐体長手方向に延在する図示しない2本の金属製の第2レールが筐体短手方向に所定の間隔をあけて固定されている。図示しない2本の第2レールの間には、第2キャリッジ163が架け渡されており、第2レール上でその長手方向に沿って走行できるようになっている。また、筐体160には、金属製の梁板164が固定されており、金属製の梁板164によって、その上面にネジ固定された結像レンズ200、撮像手段としてのCCD221を備えた電子回路基板としての画像読取ボードユニット220を備えたレンズユニット210が支持されている。
【0023】
図2に示すように、図中右上には、駆動モータ170が設けられており、駆動モータ170の駆動ギヤと噛み合う従動ギヤ171の回転軸には、駆動タイミングプーリ172が固定されている。また、図中右側の筐体内の長手方向一端部には、回転軸173が回転可能に支持されている。回転軸173の一端部には、従動タイミングプーリ174が固定され、駆動タイミングプーリ172と従動タイミングプーリ174とに駆動タイミングベルト175が張架されている。また、回転軸173の両端部付近には、第1プーリ180が固定されている。そして、図中左側の筐体内の長手方向他端部の短手方向に所定の間隔を開けて2個の第2プーリ181が回転可能に支持されており、第1プーリ180と第2プーリ181とに第1タイミングベルト182が張架されている。
【0024】
第2キャリッジ163は、第2ミラー163a、第3ミラー163bの主走査方向両端を支持する一対のミラーステー部163cと、このミラーステー部163cからそれぞれ第1キャリッジ側に延びるアーム部163dとを有している。また、ミラーステー部163cの筐体側面側には、第3プーリ183が回転可能に支持されている。また、アーム部163dの先端にはブラケット163eが設けられており、このブラケット163eに第4プーリ184が回転可能に支持されている。第3プーリ183、第4プーリ184には、第2タイミングベルト185が張架されており、この第2タイミングベルト185の一部は、図示しない固定部材によって筐体160の底部に固定されている。
【0025】
また、第1タイミングベルト182、第2タイミングベルト185は、第1キャリッジ162の底部にそれぞれ固定されている。
【0026】
画像読取がスタートすると、光照射ユニット190によって図示しない原稿MSに対して光を照射する。また、駆動モータ170が駆動して、駆動モータ170の回転駆動力が、駆動タイミングベルト175を介して回転軸173に伝達され、回転軸173が回転する。回転軸173が回転することで、第1タイミングベルト182が図中時計回りに回転する。これにより、第1タイミングベルト182に固定されている第1キャリッジ162が図中左側から右側へ移動する。また、第1キャリッジ162が移動すると、第1キャリッジ162に固定された第2タイミングベルト185が、図中右側へ移動する。第2タイミングベルト185の一部は、筐体160の底部に固定されているため、第2タイミングベルト185は、その場で回転するのではなく、第2キャリッジ163の図中右側への移動を伴いながら回転する。ここで、第3、第4プーリ183、184の径は、第1、第2プーリの径の2倍となっているため、第2キャリッジ163は、第1キャリッジ162の1/2の速度で、図中右側へ移動する。このように、第2キャリッジ163は、第1キャリッジ162の半分の速度で第1キャリッジと同方向へ移動することで、原稿面から結像レンズ200までの光束の光路長が変化しないようになっている。
【0027】
駆動モータ170を制御する制御部は、ホストコンピュータから送られてくる1ライン毎の画像読取要求信号に応じて駆動モータ170を制御して、第2キャリッジ163と第1キャリッジ162との移動速度を制御している。
【0028】
第1、第2キャリッジ162、163を図中左側から右側に2:1の速度比で移動させていく過程で、光照射ユニット190から発した光をコンタクトガラス155上に載置された図示しない照明対象物としての原稿MSで反射させる。この反射によって得られた光学像は、第1ミラー162a、第2ミラー163a、第3ミラー163cを介して、結像レンズ200に導かれ、撮像手段であるCCD221上に結像される。
【0029】
CCD221は、結像された原稿MSの反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力する。そして、第1キャリッジ162及び第2キャリッジ163が図3の点線に示す位置まで移動したら、原稿MSの読み取りを終了し、第1キャリッジ162と第2キャリッジ163とは図中実線で示すホームポジション位置に復動する。なお、CCD221から出力されたアナログ画像信号は、アナログ/デジタル変換器によりデジタル画像信号に変換され、画像処理回路を搭載した回路基板において、各々の画像処理(2値化、多値化、階調処理、変倍処理、編集処理など)が施される。
【0030】
図4は、第1キャリッジ162付近の拡大構成図であり、図5は、光照射ユニット190の斜視図である。
図4に示すように、第1キャリッジ162は、板金で平板状に形成されたベース407と、ベース407に垂下された一対の側板407bと、を備えている。一対の側板407bの間には、第1ミラー162aが取り付けられている。なお、図4では、紙面方向(主走査方向)に離隔して一対設けられた側板のうち、一方の側板407bのみを示している。
【0031】
また、ベース407には、光照射装置たる光照射ユニット190が取り付けられている。光照射ユニット190は、保持部材たる受け台405、複数のLEDをアレイ状に配置したLEDアレイ基板191、導光体たる導光板403、押圧部材たるカバー406を備えている。受け台405は放熱性の良好な板金からなり、ベース407に対する取付面を有する取付部と、ベース407と所定の角度をなすように折り曲げられた斜面部と、を有する。受け台405の斜面部には、副走査方向に段差が設けられ、上段405uとカバー406との間隔よりも下段405dとカバー406との間隔が大きくなるようにしている。上段405uと下段405dとは略平行となっている。
【0032】
受け台405の上段405uには、導光板403が位置決めされている。導光板403は、アクリル等の透過率の高い樹脂等によって、主走査方向に扁平な略直方体として形成されている。この場合、導光板403と一体形成(型成形)された被位置決め部たる3つの位置決めピン404(凸部)が、受け台405の表裏を貫通する導光体位置決め部たる3つのピン穴(図6の404a、404bに相当する)に挿入されている。3つの位置決めピン404は、導光板403の下面の3箇所(長手方向の中央および両端)に形成されている。
【0033】
受け台405の下段405dには、平板状の回路基板であるLEDアレイ基板191がネジ409によって取り付けられている。ネジ409は、カバー406の取付部側(図中、右側)に偏って配置され、LEDアレイ基板191の主走査方向の両端を固定している。なお、LEDアレイ基板191を位置決めする場合、適正な光量の維持および主走査方向の光量むらに配慮すると共に組立性の観点から、ネジ409による固定を採用している。これに限らず、LED192を導光板403に突き当てる方法、あるいはスペーサ等の冶具を用いる方法を採用してもよい。
【0034】
LEDアレイ基板191には、発光素子としてのサイドビュータイプのLED192が主走査方向に沿って複数個取り付けられている。LEDアレイ基板191の駆動によって、LED192の照射面(図4中、左端面)192aから導光板403の入射面(図4中、右端面)403aに向けて光を照射する。さらに、導光板403内の全反射を利用して、導光板403の照射面(図4中、左端面)403bからリフレクタ301およびコンタクトガラス155に向けて光を均一に照射するようになっている。この場合、位置決めピン404は、LED192と対向しないようにLED192の発光中心間に配置している。
【0035】
また、ベース407には、押圧部材としてのカバー406が複数のネジ408によって取り付けられている。これは、LEDアレイ基板191の発した熱によりカバー406が両端部以外(特に中央部)で浮きあがるのを押えるためである。カバー406は、ベース407に対する取付用のネジ締結用穴が穿たれている取付部と、ベース407と所定の角度θをなす斜面部406sと、カバー406の剛性を高めるためのリブ状の補強部材601(図5参照)と、からなる。
【0036】
カバー406の取付部は、副走査方向の断面形状が略L字状となっている。また、補強部材601は、主走査方向に対して略垂直に形成されており、副走査方向に複数並んで形成されている。
【0037】
カバー406の斜面部406sの下面には凸部406aが一体形成されている。凸部406aは、カバー406の長手方向(主走査方向)の中央および両端側に設けられている。3つの凸部406aは、導光板403の副走査方向の中央よりも入射面(図4中、左端面)403a側に偏っていて、導光板403の上面と接している。
【0038】
また、3つの凸部406aは、LED192と対向しないようにLED192同士の間に配置している。これは、導光板403に入射した光が3つの凸部406aに吸収されるのを避けるためである。
【0039】
なお、凸部406aの端面(接触面)の形状は特に制限されない。例えば、成型が容易な方形、円形あるいは他の形状としてもよい。カバー406は、例えば、黒色のカーボンを含むポリエステルフィルムやPET材質等のように光密度が高くて光を透過し難い光遮蔽部材から構成されている。これにより、カバー406によってコンタクトガラス155に対する照射領域(図4のEで示す)に対して副走行方向右側、すなわち、第1キャリッジ162が原稿の副走査側に走行する方向に光が漏出するのを防止することができる。
また、カバー406として金属などの熱伝導性の良い部材で構成してもよい。この場合、複数のLED192の発した熱をより効率的に放熱することができ、複数のLED間の温度差を縮めることができる。
【0040】
また、カバー406の下面には、主走査方向にわたってリフレクタ302がLED192および導光板403と対向するように設けられている。主走査方向に延在するリフレクタ302の端面は、3つの凸部406aに近接している。
【0041】
受け台405の段差は、導光板403の下面とLEDアレイ基板191との間に僅かな隙間が形成されるよう設けられている。導光板403の入射面側は、LEDアレイ基板191と対向している。LEDアレイ基板191と対向する導光板403の入射面側の上面は、カバーの3つの凸部406aによって図中下側(LEDアレイ基板191側)へ加圧される。このため、導光板403は、カバーの凸部406aによって、受け台405の上段405uの端部(図中、右側)を支点にして、図中時計回りに回動する。その結果、LEDアレイ基板191が、導光板403の入射面側によって受け台の下段405d側へ押さえつけられる。また、このとき、導光板403の出射面側は、上記回動により図4のような位置で位置決めピン404がピン穴404aおよび404bと係合した状態を維持している。すなわち、導光板403が回動しても、位置決めピン404が、ピン穴404a,404bから抜け出ないよう、上段405uのLEDアレイ基板側端部(図中右側)からLEDアレイ基板191の上面までの高さが設定されているのである。よって、導光板403の入射面側の上面がカバーの凸部406aにより押圧して導光板403が回動しても、導光板403の副走査方向および主走査方向が位置決めされる。
【0042】
LEDアレイ基板191の両端をネジ409で固定する場合、LEDアレイ基板191から発生する熱によってLEDアレイ基板191の中央部が変形する(反返って浮き上がる)虞がある。変形が生じると、LED192の発光面192aが導光板403の入射面403aから外れてしまい、主走査方向での光量むらの原因となる。しかし、本実施形態では、導光板403の入射面側により、LEDアレイ基板191のLEDアレイ付近を主走査方向にわたって押えている。よって、LEDアレイ基板191は浮き上がらず、主走査方向にわたって受け台405と接触することになる。受け台405およびベース407は板金にて構成されているため、LEDアレイ基板191から発生する熱は熱伝導によって放熱される。したがって、LEDアレイ基板191の変形を防ぐことができる。
【0043】
また、導光板403は、カバー406の凸部406aによってLEDアレイ基板191側へ押さえつけられる。したがって、LEDアレイと導光板403との基板面に対して垂直方向の位置関係を安定させ、主走査方向における光量むらの発生を抑制することができる。また、これにより、LEDアレイ基板191のLED192の発光面192aが、導光板403の入射面403aと対向する。
【0044】
また、本実施の形態によれば、導光板403の一部は、受け台405の上段405uから浮き上がった状態で固定される。その結果、導光板403は、次に示す(1)〜(3)以外は、他の部材と非接触となっている。
(1)導光板の上面の3つの凸部406aと接する部分。
(2)導光板の下面の受け台405の上段405uの一部(受け台405の上段405uの端部(図中、右側))と接する部分と、LEDアレイ基板191の一部と重なる部分。
(3)位置決めピン404のピン穴404aおよび404bと接する部分。
このように、上記(1)〜(3)以外は、他の部材と非接触であるので、LED192の照射光は他の部材に吸収されるのが抑制され、導光板403内で反射(全反射)しながらコンタクトガラス155に向けて導光される。
【0045】
また、カバー406の斜面部406sとベース407とのなす角度θは、受け台405の傾斜部とベース407とのなす角度より小さい。したがって、受け台405の斜面部とカバー406の斜面部406sは非平行(光の照射方向に向かって先細り)となり、斜面部406sから突出する凸部406aにカバー406の加圧力が集中することになる。よって、導光板403およびLEDアレイ基板191を良好に加圧することができる。
【0046】
また、LED191の発光面192aは、導光板403の入射面403aよりも小さい面積(図4中、上下幅)を有している。さらに、LED192と導光板403とは、副走査方向において所定の間隙をもって配置されている。但し、導光板403による全反射を利用するため、導光板403の側面(入射面および照射面以外)403cの近傍にLED192を配置するようにしている。
【0047】
導光板403の入射面403aの面積(図4中、上下幅)が大きいので、LED192から広角に照射される光が確実に入射する。また、導光板403の形状が全反射に適した(導光する方向に十分な長さを有する)直方体であるため、導光板403に入射した光が内部で全反射しながら進行する間に適正な照度分布の光となる。また、LED192と導光板403とを離間させている。これは、LEDアレイを構成するLED192のばらつきから導光板403とLED192とが接触して、損傷するのを回避するためである。
【0048】
また、第1キャリッジ162には、反射部材としてのリフレクタ301が設けられている。リフレクタ301は、受け台405とカバー406とに挟み付けられた導光板403の照射面403bと対向している。リフレクタ301の上部には、導光板403から照射された光をコンタクトガラス155に導くことができるように、副走査方向、すなわち、第1キャリッジ162の走行方向リターン側に折り曲げられた折り曲げ部が形成されている。
【0049】
リフレクタ301は、導光板403からの射出光を折り曲げ部で反射する。この反射により、例えば、切り貼り原稿を読取った際に、原稿の凹凸によって発生する影を無くすことができる。
【0050】
LED192の照射光は導光板403の入射面403aから入射し、導光板403の上下面、側面で反射(全反射)しながら導光板403内を進み、導光板403の照射面403bからリフレクタ301およびコンタクトガラス155の照射領域Eに向けて射出される。リフレクタ301に向けて照射された照射光は、リフレクタ301によって反射されて、コンタクトガラス155の照射領域Eの範囲に照射されるようになっている。照射領域Eは、原稿MSの副走査方向に延在する領域である。一方、ベース407には開口部304が形成されており、原稿MSから反射される光は開口部304を通して第1ミラー162aに入射される。
【0051】
図7は、導光板403とLED192と原稿領域Fとの関係を示す全体図であり、図8は、図7のA部拡大構成図である。なお、原稿領域Fは、原稿MSの主走査方向に延在する領域である。
図7に示すように、導光板403、LEDアレイ基板191の主走査線方向長さは、原稿領域Fよりも若干長くなっている。図8に示すように、主走査方向端部のLED192の発光中心Oは、原稿領域Fの主走査方向端部よりも1[mm]外側となっている。また、導光板403の主走査方向端部は、原稿領域Fの主走査方向端部よりも2.5[mm]外側となっている。
図7に示すように、導光板403の主走査方向長さが、原稿領域Fとほぼ同じ長さなので、先の図17に示すように、主走査方向端部のLED192から導光板403に入射した照射光のうち、原稿領域F外へ向かう照射光の一部が、導光板403の側面403Cに全反射して、原稿領域Fへ向かう(図中点線のX2)。これにより、図中実線のZ1に示す原稿領域へ向かう照射光の他に、図中点線X2の導光体403の側面403Cに全反射した照射光も原稿領域へ照射するため、原稿領域Fの端部の光量を十分に確保することができる。よって、原稿領域Fの端部の照度の低下を抑制することができ、適正な照度分布の光を原稿領域Fに照射することができる。
【0052】
次に、本発明者らが実施した検証試験について、説明する。
図9に示すように、導光板403(屈折率:1.49、厚さ:3[mm])の位置決めピン404(Φ2.0[mm])がLED192の発光中心線H(発光面192aの発光中心Oの垂線(発光面が曲面の場合は法線))上に位置する光照射ユニットを画像読取装置50に搭載し、白基準板を読取った。なお、位置決めピン404から導光板403の入射面403aまでの距離は、6.0[mm]、LED192の発光面192aから導光板403の入射面403aまでの距離は、0.8[mm]である。そのときの主走査方向のCCD出力値を図10に示す。図10に示すように、導光板の位置決めピン404は、主走査方向において中心(2700Pixel付近)にあり、その部分の各色のCCD出力値が部分的に低下していることがわかる。
【0053】
図11は、LED192の発光特性を説明する図である。
このグラフは、LED192の発光面から所定距離だけ離れた各地点における照射強度を説明するためのグラフであり、発光面192aの発光中心Oと各地点とを結ぶ直線(照射方向)と発光中心線Hとの角度(以下、指向角という)を横軸にとり、各地点の照射強度を縦軸にとっている。このグラフからわかるように、LED192から照射される照射光のうち、発光中心線方向の光(指向角がゼロである光)が最も照射強度が大きく、角度が大きくなるほど光の照射強度の減少割合が大きくなる。すなわち、指向角が小さい光については最大照射強度に近い照射強度を有するが、指向角が大きい光については最大照射強度よりも大幅に小さい照射強度を有する。
【0054】
よって、位置決めピン404をLED192の発光中心線H上に設けた場合、図11からわかるように、強度の強い光の光路上にこの位置決めピンが存在することになる。その結果、導光板内を全反射する光のうち、強度の強い光が、位置決めピン404に入射する。位置決めピン404は、鏡面仕上げが難しいこと、位置決めピンに入射した光との間で全反射する角度が得られないことにより、位置決めピン404から照射光が漏れてしまう。また、受け台405の位置決めピン404との接触部分により位置決めピン404に入射した光が吸収されてしまう。その結果、LED192の発光中心線H上の導光板の照射面403bから照射される光量が著しく低下してしまう。その結果、図10に示すように、導光板の位置決めピン404が設けられた位置(2700Pixel付近)の各色のCCD出力値が低下したと考えられる。
【0055】
次に、図12に示すように、導光板403(屈折率:1.49、厚さ:3[mm])の位置決めピン404(Φ2.0mm)が隣り合うLED192の発光中心Oの間に位置する光照射ユニット190を画像読取装置50に搭載し、白基準板を読取った。なお、LED192の発光中心間距離は、7.0[mm]、位置決めピン404から導光板403の入射面403aまでの距離は、6.0[mm]、LED192の発光面192aから導光板403の入射面403aまでの距離は、0.9[mm]である。そのときの主走査方向のCCD出力値を図13に示す。位置決めピンの位置は、図13に示す3000pixel付近である。図13に示すように、各色のCCD出力値が部分的に低下している部分が生じてないことがわかる。
【0056】
これは、位置決めピン404をLED192の発光中心O間に設けた場合、図12に示すように、位置決めピン404へ入射する照射光は、指向角の大きな照射光であることがわかる。このため、図11に示すように、指向角ゼロの照射光に比べて、照射強度の弱い照射光が、位置決めピン404へ入射する。その結果、図9に示すように、発光中心線H上に設けた位置決めピン404に向かって全反射してきた照射光のうち、位置決めピン404へ入射する照射光の割合と、図12に示すように、発光中心O間に設けた位置決めピン404に向かって全反射してきた照射光のうち、位置決めピン404へ入射する照射光の割合とが同じ場合、位置決めピン404から漏れたり吸収されたりする光量は、発光中心O間に設けた位置決めピン404の方が圧倒的に少ない。もともと発光強度の弱い照射光が、位置決めピン404から漏れ出るわけであるから、導光板403の照射面403bのX1やX2の位置から照射される光量の低下は、発光中心に位置決めピン404を設けた場合に比べて少ない。よって、位置決めピン404をLED192の発光中心O間に設けた場合は、各色のCCD出力値が部分的に低下している部分が生じなかったと考えられる。
【0057】
このことから、導光板403の位置決めピン404を隣合うLED192の間に配置することにより、位置決めピン404からの光の漏れによる影響を最小限に抑えることができ、主走査方向のCCD出力値に対して影響が少ないと考えられる。
【0058】
また、先の図11で説明したように、指向角が大きいほど、LED192の発光強度が減少することを考慮すると、図14に示すように、導光板403の位置決めピン404を、主走査方向において隣り合うLED192の発光中心O間の真ん中、かつ、副走査方向において導光板403のLED192に最も近い位置に設けてもよい。この構成により、位置決めピン404に入射する光の強度が最も弱くなり、位置決めピン404から光が漏れても、その光量が僅かになり、照度分布の影響を最小限に留めることができる。
【0059】
なお、本実施形態においては、発光素子としてのLEDアレイ基板の基板面に対して発光面が垂直なサイドビュータイプのLED192を用いたが、LEDアレイ基板の基板面に対して発光面が平行なトップビュータイプのLEDを用いることもできる。
【0060】
図15に示すように、LEDアレイ基板191と導光体403とが保持される保持部材405を原稿領域Fよりも主走査方向に長く形成し、原稿領域外の両端に導光体位置決め用の位置決め穴404a(図16参照)をそれぞれ形成するとともに、導光体403も原稿領域Fよりも主走査方向に長く形成し、原稿領域外となる両端に被位置決め部たる位置決めボス404を形成する。このような構成により、導光体403の位置決めボス404を保持部材405の位置決め穴404aに係合させることで、導光体403を位置決めできる。
しかしながら、このような構成とすると、図16に示すように、導光体403の主走査方向端部が原稿領域Fの端部から離れてしまう。その結果、図16に示すように、主走査線方向端部に配置されたLED192から導光体403に入射した照射光のうち、原稿領域へ向かわない照射光は、原稿領域外へ照射されてしまう(図中点線のX1)。従って、主走査線方向端部に配置されたLED192から導光体403に入射した照射光のうち、図中実線のZ1に示す原稿領域へ向かう照射光しか原稿領域へ照射しないため、原稿領域端部の光量が不足してしまうという問題がある。
この問題を解決するためには、導光体403の主走査方向長さを原稿領域Fとほぼ同じにすることが好ましい。導光体403の主走査方向長さを原稿領域Fとほぼ同じにすることで、原稿領域の端部と導光体の両端部とをちかづけることができる。これにより、図17に示すように、主走査線方向端部に配置されたLED192から導光体403に入射した照射光のうち、原稿領域へに向かわない照射光の一部を、導光体403の側面403Cに全反射させて、原稿領域へ向かわせることができる(図中点線のX2)。その結果、図中実線のZ1に示す原稿領域へ向かう照射光の他に、図中点線X2の導光体403の側面403Cに全反射した照射光も原稿領域を照射するため、原稿領域端部の光量を十分に確保することができる。このように、導光体403の主走査方向の両端部を原稿領域Fとほぼ同等とした場合、図に示すように、導光体403の原稿領域Fに対応する箇所に位置決めボス404を設ける必要がある。
しかし、位置決めボス部404は、次のような理由で内部反射が起こらない。すなわち、導光体403は、アクリルなど樹脂でできており、導光体403を成型する金型を鏡面加工することによって、表面が鏡面状の導光体403を得ている。しかし、金型の位置決めボス部404を形成する箇所(凹部)は、鏡面加工を施すことができず、導光体403の位置決めボス部404の表面を鏡面化することができない。また、位置決めボス部404に入射した照射光の入射角が臨界角よりも小さくなってしまう。これらの理由から、位置決めボス部404に入射した照射光は内部反射せず、位置決めボス部404から漏れ出してしまう。その結果、原稿面上での主走査方向照度分布の不均一が顕著になる場合があった。
本発明者らが行った上述した検証試験に示すとおり、発光素子における発光面の発光中心点の垂線(発光面が曲面の場合は、法線)上に被位置決め部を設けると、原稿面上での主走査方向照度分布の不均一が顕著になることがわかった。また、主走査方向において隣り合う発光素子の発光中心間に被位置決め部を設けることで、原稿面上での主走査方向照度分布の不均一が抑制されることがわかった。
発光素子には、発光強度があり、発光素子における発光面の発光中心点の垂線(発光面が曲面の場合は、法線)方向の照射光が、最も強度が強く、上記垂線(法線)に対する角度が大きくなるほど、発光強度が低下する。上記垂線(法線)上に被位置決め部を設けた場合、発光素子における発光面の発光中心点の垂線に対して角度がほとんどない照射光が導光体内を全反射して、被位置決め部に入射する。このため、被位置決め部に入射する照射光は、発光強度の強い照射光であるため、被位置決め部から漏れ出す光量が多くなる。その結果、導光体の入射面から被位置決め部へ向かう光路の延長線上にある導光体射出面の位置から射出される光量が著しく低下し、原稿面上での主走査方向照度分布の不均一が顕著になったと考えられる。
一方、主走査方向において隣り合う発光素子の発光中心間に被位置決め部を設けた場合、上記垂線(法線)に対して角度のついた照射光が導光体内を全反射して、被位置決め部に入射する。しかしながら、角度のついた照射光は、発光強度の弱い照射光であるため、被位置決め部から漏れ出す光量は、上記垂線(法線)上に被位置決め部を設けた場合に比べて少なくてすむ。その結果、導光体の入射面から被位置決め部へ向かう光路の延長線上にある導光体射出面の位置から射出される光量の低下が、上記垂線(法線)上に導光体の被位置決め部を設けた場合に比べて抑えられる。その結果、原稿面上でも主走査方向照度分布の不均一が上記垂線(法線)上に導光体の被位置決め部を設けた場合に比べて抑えられると考えられる。
そこで、本実施形態の光照射装置たる光照射ユニット190は、複数の発光素子たるLED192が主走査方向に直線状に配列された基板たるLEDアレイ基板191と、LED192の発光面192aに対向し、LED192から射出される光を被照射体たる原稿の照射領域Eへ導光する導光体たる導光板403とを有している。また、LEDアレイ基板191と導光板403とを保持する保持部材たる受け台405も備えている。導光板403には、受け台405の導光体位置決め部たるピン穴404a,404bと係合する被位置決め部たる位置決めピン404が形成されている。また、LEDアレイ基板191が保持された受け台405のピン穴404a,404bに位置決めピン404を係合させて受け台405上に導光板403を位置決めしたとき、受け台405に固定されたLEDアレイ基板191の主走査方向において隣り合うLED192の発光中心O間に位置するよう、位置決めピン404を設けた。
このように構成することにより、導光板403のLED192の発光中心線H上に位置決めピン404を設けた場合に比べて、原稿面上での主走査方向照度分布が不均一となるのを抑制することができる。また、位置決めピン404を原稿領域に配置するので、導光板403の主走査方向の長さを、原稿領域の長さとほぼ同じにすることができる。これにより、原稿領域へ向かわない照射光を導光板の側面403Cで全反射させて、反射した光を、原稿領域へ向かわせることができ、原稿領域端部の光量を十分に確保することができ、照度低下を抑制することが可能となる。
【0061】
また、LEDアレイ基板191が保持された受け台405のピン穴404a,404bに位置決めピン404を係合させて受け台405上に導光板403を位置決めしたとき、主走査方向において隣り合うLED192の発光中心O間の中央、かつ、LED側に位置するよう、位置決めピン404を設けた。これにより、位置決めピン404に入射する光の強度が最も弱くなり、位置決めピン404から光が漏れても、その光量が僅かになり、照度分布の影響を最小限に留めることができる。
【0062】
また、LED192の発光面192aがLEDアレイ基板191に対して垂直となるようにLED192が取り付けられた所謂サイドビュータイプのLED192であり、受け台405は、LEDアレイ基板191が保持される基板保持面たる下段405dと、導光板と対向する導光体対向面たる上段405uとを有している。また、下段405dにLEDアレイ基板191が保持されたとき、LEDアレイ基板191よりも上段405uが導光板側となるよう、上段405uと下段405dの間の段差が形成されている。位置決めピン404がピン穴404aおよび404bと係合することで、導光板403のLED側が、LEDアレイ基板191と対向するように、位置決めされた導光板403のLED側と当接し、導光板403をLEDアレイ基板191側へ加圧して、導光板403のLED側をLEDアレイ基板191に押し付けることで、導光板403を固定する押圧部材たるカバー406を設けた。
このように構成することで、カバー406で導光板403のLED側を加圧すると、導光板403が、上段405uのLED側端部を支点にして回動し、位置決めピン404とピン穴404との係合を維持した状態で、LEDアレイ基板191と当接する。これにより、導光板403が、受け台405の上段405uから浮き上がった状態で固定される。その結果、導光板403の下面(位置決めピンは除く)は、受け台405の上段405uの一部と、LEDアレイ基板191の一部と重なる以外、他の部材と非接触とすることができる。よって、導光板403内で反射(全反射)しながら、照射面403bへ向かう照射光が他の部材に吸収されるのを抑制し、照射面403bから照射することができる。よって、良好な光量を得ることができる。
また、導光板403は、カバー406によってLEDアレイ基板191側へ押さえつけられるとともに、位置決めピン404により主走査方向および副走査方向の位置が決まる。したがって、LEDアレイと導光板403との基板面に対して垂直方向の位置関係を安定させるとともにLED発光面192aに対する導光板403の入射面403aの主走査方向の位置関係を安定させることができるので、主走査方向における光量むらの発生を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、原稿面に対して光を照射する光照射手段と、その原稿面からの反射光を受光して原稿面の画像を読み取る画像読取手段たるスキャナボードユニット220を備えた画像読取装置であるスキャナ部150において、上記光照射手段として、上述した光照射ユニットを用いている。よって、このスキャナ部によれば、原稿面上で主走査方向照度分布が不均一となるのを抑制することができる結果、画像の読取精度が向上する。
【0064】
また、本実施形態においては、原稿面の画像を読み取る画像読取部と、この画像読取部で読み取った画像情報に基づいて記録材である記録紙上に画像を形成する画像形成部1とを備えた画像形成装置である画像形成装置において、画像読取部として上記スキャナ部150を用いている。これにより、良好な複写画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1:画像形成部
150:スキャナ部
162:第1キャリッジ
190:光照射ユニット
191:LEDアレイ基板
192:LED
192a:LED照射面
220:スキャナボードユニット
301,302:リフレクタ
403:導光板
404:位置決めピン
404a,404b:ピン穴
405:受け台
405u:上段
405d:下段
406:カバー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開2006−349807号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17