特許第6037422号(P6037422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6037422Ni−P合金又はNi−Pt−P合金からなるスパッタリングターゲットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037422
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】Ni−P合金又はNi−Pt−P合金からなるスパッタリングターゲットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20161128BHJP
   C22C 19/03 20060101ALI20161128BHJP
   C22C 1/04 20060101ALI20161128BHJP
   B22F 3/14 20060101ALI20161128BHJP
   B22F 3/15 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   C23C14/34 A
   C22C19/03 Z
   C22C1/04 B
   B22F3/14 D
   B22F3/15 M
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-510224(P2016-510224)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】JP2015057265
(87)【国際公開番号】WO2015146604
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-67132(P2014-67132)
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-68680(P2014-68680)
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093296
【弁理士】
【氏名又は名称】小越 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100173901
【弁理士】
【氏名又は名称】小越 一輝
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一允
(72)【発明者】
【氏名】小田 国博
【審査官】 山田 頼通
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−136526(JP,A)
【文献】 特開2011−208265(JP,A)
【文献】 特開昭62−214107(JP,A)
【文献】 特開平7−292463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
B22F 3/14
B22F 3/15
C22C 1/04
C22C 19/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pを15〜21wt%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−P合金を溶解し、アトマイズ加工して、平均粒径100μm以下のNi−P合金アトマイズ加工粉を作製した後、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉を混合し、これをホットプレスすることを特徴とするNi−P合金スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項2】
ホットプレスした後、熱間静水圧プレスすることを特徴とする請求項1記載のNi−P合金スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項3】
Pを15〜21wt%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−P合金を溶解し、アトマイズ加工して、平均粒径100μm以下のNi−P合金アトマイズ加工粉を作製した後、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉末及びPt粉末を混合した後、これをホットプレスすることを特徴とするNi−Pt−P合金スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項4】
ホットプレスした後、熱間静水圧プレスすることを特徴とする請求項3記載のNi−Pt−Pスパッタリングターゲットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング法で薄膜を形成するために用いられるNi−P合金又はNi−Pt−P合金からなるスパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクなどの磁気記録媒体にはNi−P合金やNi−Pt−P合金からなる薄膜が使用されている。このような薄膜は、通常Ni−P合金又はNi−Pt−P合金からなるターゲットをスパッタリングすることによって形成されている。スパッタリングとは、周知の通り、Arイオンをターゲットに向けて照射し、その衝撃エネルギーによりターゲットから粒子を叩き出し、これをターゲットに対向する基板に、ターゲット材料から構成される物質を基本成分とする薄膜を形成する成膜方法である。ターゲット材料が高エネルギー状態で基板表面に衝突、堆積するため、緻密な膜を形成することができる。
【0003】
Ni−P合金ターゲットに関して、例えば、特許文献1には、酸素含有量10wtppm以下のNi−P合金地金を溶解し、不活性ガス雰囲気中でアトマイズ加工して、平均粒径100μm以下のアトマイズ粉とした後、ホットプレス又は熱間静水圧プレスすることを特徴とする、Pを12〜24at%、酸素含有量が100wtppm以下であり、残部Ni及び不可避的不純物からなるNi−P合金スパッタリングターゲットが開示されている。また、この発明によれば、異常放電を抑制することができ、パーティクル発生を防止できることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、NiとPとを主要成分とするガスアトマイズ粉末を得た後、得られたガスアトマイズ粉を、分級および/または粉砕により最大粒径100μm以下とし、次いで加圧焼結することを特徴とするNi−P系ターゲットの製造方法、また、最大粒径100μm以下、含有酸素量300ppm以下であることを特徴とするNi−P系ターゲットが開示されている。この発明によれば、ターゲットのエロージョン部の表面粗さが10μmRmaxより細かくなり、異物の発生を抑制できることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、スパッタリングターゲットの製造方法として、粉末を熱間で固化成形したものを144℃/hr〜36000℃/hrの冷却速度で、成形温度近傍から300℃まで冷却することで、スパッタリングターゲットに歪を与えて、透磁率を低減することが開示されている。なお、実施例189には、ガスアトマイズ法によって作製したNi−P合金粉末を950℃でHIP(熱間静水圧プレス)成形することが記載されているが、このような高温では液相が生じてしまい、組織が脆くターゲット形状に加工できない。
【0006】
ところで、上記のようにNi−P合金を溶解してアトマイズ加工した場合、Pが大量に蒸散してしまい、目標組成と異なる組成の(組成ズレした)アトマイズ粉が形成されてしまうという問題が生じていた。そして、このような組成ずれが発生したアトマイズ粉を用いてホットプレス又は熱間静水圧プレスした場合、得られたターゲット中の組成が不均一となるという問題が生じた。さらに、密度も上がらず、高密度のターゲットが得られないという問題があった。
【0007】
また、本出願人は以前、Ni合金スパッタリングターゲットについて、次の技術を提供した。特許文献4では、Ni−Pt合金の純度を高めることにより、Ni−Pt合金インゴットの硬度を著しく低下させて圧延を可能とし、圧延ターゲットを安定的に効率良く製造する技術を提供した。また、特許文献5では、ニッケル合金インゴットを鍛造、圧延などを行い、粗大結晶粒を含まないニッケル合金ターゲットを提供した。
【0008】
これらの技術は、従来の方法で作製されたターゲットに比べて、ターゲットの割れやクラックの発生を防止し、スパッタリングの異常放電に起因するパーティクルの発生を格段に抑制できるという優れた効果を有するものであるが、ニッケル合金自体が、非常に硬く脆いという性質があるため、これを圧延した場合に生じる粒界割れを抑制するには必然的に限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−309865号公報
【特許文献2】特開2001−295033号公報
【特許文献3】特許第5337331号
【特許文献4】特開2010−47843号公報
【特許文献5】特開2003−213406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、組成が均一で、密度が高く、安定的な成膜が可能な、パーティクル発生の少ないNi−P合金スパッタリングターゲット、及び目標組成からのズレが小さいNi−P合金スパッタリングターゲットの製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、粉末冶金法により、高密度のNi−Pt−Pスパッタリングターゲットを安定して効率良く製造する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の問題を解決するため鋭意研究を行った結果、Ni−P合金については、原料粉末として融点の高いNi−P合金粉末と純Ni粉末とを混合焼結することにより、Pの蒸散を抑制することができるとともに、P含有量を厳密に制御することができるという知見を得た。また、Ni−Pt−P合金については、Ni原料粉末に所定量のP(リン)を添加することで、焼結体ターゲットの密度を向上させることができるという知見を得た。
本発明者らは、この知見に基づいて、以下の発明を提供する。
1)Pを1〜10at%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなり、密度が90%以上であることを特徴とするNi−P合金スパッタリングターゲット。
2)ターゲット中の組成ばらつきが5%以内であることを特徴とする上記1)記載のNi−P合金スパッタリングターゲット。
3)ターゲットの平均結晶粒径が100μm以下であることを特徴とする上記1)又は2)記載のNi−P合金スパッタリングターゲット。
4)Pを15〜21wt%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−P合金を溶解し、アトマイズ加工して、平均粒径100μm以下のNi−P合金アトマイズ加工粉を作製した後、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉を混合し、これをホットプレスすることを特徴とするNi−P合金スパッタリングターゲットの製造方法。
5)ホットプレスした後、熱間静水圧プレスすることを特徴とする上記4)記載のNi−P合金スパッタリングターゲットの製造方法。
6)Pを1〜10at%含有し、Ptを1〜30at%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなり、密度が95%以上であることを特徴とするNi−Pt−P合金スパッタリングターゲット。
7)ターゲット中の組成ばらつきが5%以内であることを特徴とする上記6)記載のNi−Pt−Pスパッタリングターゲット。
8)ターゲットの平均結晶粒径が100μm以下であることを特徴とする上記6)又は7)に記載のNi−Pt−Pスパッタリングターゲット。
9)Pを15〜21wt%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−P合金を溶解し、アトマイズ加工して、平均粒径100μm以下のNi−P合金アトマイズ加工粉を作製した後、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉末及びPt粉末を混合した後、これをホットプレスすることを特徴とするNi−Pt−P合金スパッタリングターゲットの製造方法。
10)ホットプレスした後、熱間静水圧プレスすることを特徴とする上記9)記載のNi−Pt−Pスパッタリングターゲットの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、Ni−P合金スパッタリングターゲットに関して、Pの含有量を厳密に制御することで、安全上問題のあるPの蒸散を抑制することができ、組成ばらつきが小さく、高密度ターゲットを提供することができる。これにより、良好な特性を有する薄膜を形成することができるという優れた効果を有する。また、本発明は、Ni−Pt−P合金スパッタリングターゲットに関して、溶解鋳造や圧延加工のための大型の設備を必要とせず、粉末冶金法により、高密度のターゲットを提供することができる。これにより、スパッタリング時のパーティクルの発生を抑制できるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[Ni−P合金スパッタリングターゲット]
本発明のNi−P合金スパッタリングターゲットの製造は、粉末焼結法による。まず、P(リン)含有量が15〜21wt%(25〜33.5at%)、残部がNi(ニッケル)及び不可避的不純物からなるNi−P合金インゴットを準備する。次に、このNi−P合金インゴットを溶解し、この溶湯をアルゴン、ヘリウム、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で噴霧・急速冷却・凝固させる、いわゆるアトマイズ加工して、平均粒径100μm以下のNi−P合金アトマイズ加工粉を製造する。
【0014】
P含有量を15〜21wt%とするのは、15%未満あるいは21%超であると融点がそれぞれ870℃、880℃となり、アトマイズにより溶湯の噴霧を行うにあたって溶湯温度が低すぎるため、効果的に微細均一なアトマイズ粉の調製を行うことが困難となる。したがって、P含有量を15〜21wt%とすることで融点を1000〜1100℃に保つことができ、溶湯から強冷されてアトマイズ粉となる際により均一な粉末を得ることが可能となる。また本発明のアトマイズ加工粉は球状を呈しており、比表面積を抑えることができる。これによって、酸素の取り込みを抑制することができる。
【0015】
次に、このNi−P合金アトマイズ粉に、Niアトマイズ粉を混合する。Ni混合量はNi−P合金アトマイズ粉におけるP含有量を考慮して、目標組成になるように適宜調整することができる。また、Niアトマイズ粉として平均粒径が100μm以下のものを使用することが好ましい。また、本発明のNiアトマイズ粉は、Ni−P合金アトマイズ加工粉と同様、球状を呈しており、比表面積を抑えることができる。
【0016】
なお、Ni−P合金インゴットとNiインゴット、もしくはNiインゴットとP粉末等をあらかじめ目標組成に調整した後、溶解してアトマイズ処理を行い目標組成の粉末を得ることも考えられるが、合金化するのに1500℃程度の高温を必要とし、このとき蒸気圧が高いPは容易に揮発してしまい、組成の制御が極めて困難となる。また、Pの揮発による炉体の汚染や蒸発付着物の発火などの危険を伴うという問題が生じる。
【0017】
次に、この混合粉を用いてホットプレス加工する。ホットプレスは750℃〜850℃(合金の融点は870℃以上であり、それ以下の温度に加熱する。)、100〜300kgf/cmの条件下で行う。これによって、密度が80%以上であり、Pを1〜10at%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt合金スパッタリングターゲット材料が得られる。これをターゲット形状に切断、切削・研磨、バッキングプレートへのボンディング等通常の加工を行い、Ni−P合金スパッタリングターゲットを得る。
【0018】
また、ターゲット密度をさらに高めるために、ホットプレス加工して得られるNi−P合金スパッタリングターゲット材料を、さらに熱間静水圧プレス加工及び/又は熱間矯正を行うことが有効である。熱間静水圧プレスは750〜850℃、1200〜2000kgf/cmの条件下で行う。これによって、密度を95%以上のNi−P合金ターゲット材を得ることができる。
【0019】
本発明のNi−P合金スパッタリングターゲットは、ターゲット中の組成ばらつきを5%以内とすることができる。上述の通り、Pの蒸散を抑制することができるので、均一な組成からなるNi−P合金アトマイズ加工粉を得ることができる。そして、このような加工粉を焼結原料とすることで、ターゲットさらには薄膜の組成ばらつきを抑制することができる。本発明の組成ばらつきは、ターゲットの任意の個所におけるP含有量を測定し、その最大値、最小値、平均値から次式を用いて算出する。
ばらつき={(P含有量の最大値)―(P含有量の最小値)}/(P含有量の平均値)
例えば、円盤状のターゲットにおいては、中心、1/2R(半径)の均等8点、及び外周より1cm内側の均等8点の合計17点を測定することができる。
【0020】
また、本発明のNi−P合金スパッタリングターゲットは、ターゲットの平均結晶粒径を100μm以下とすることができる。P含有量が15〜21wt%のNi−P合金アトマイズ加工粉は脆いNi相が形成されているため、微細化が容易であり、このような加工粉を焼結原料とすることで、ターゲットの平均結晶粒径を微細化することができる。そして、このような微細な組織は安定した成膜を可能とし、パーティクルの発生が少なく、良質な膜を形成することができる。
【0021】
[Ni−Pt−P合金スパッタリングターゲット]
本発明のNi−Pt−P合金スパッタリングターゲットの製造は、粉末焼結法による。まず、P(リン)含有量が15〜21wt%(25〜33.5at%)、残部がNi(ニッケル)及び不可避的不純物からなるNi−P合金インゴットを準備する。このNi−P合金インゴットを誘導加熱により溶解し、この溶湯をアルゴン、ヘリウム、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で噴霧・急速冷却・凝固させる、いわゆるアトマイズ加工して、平均粒径100μm以下のNi−P合金アトマイズ加工粉を作製する。
【0022】
Ni−P合金インゴットにおいて、P含有量を15〜21wt%とするのは、15%未満あるいは21%超であると、融点がそれぞれ870℃、880℃となり、アトマイズにより溶湯の噴霧を行うにあたり溶湯温度が低すぎるため、微細均一なアトマイズ粉の調製を行うことが困難となる。したがって、P含有量を15〜21wt%とすることで、融点を1100℃前後に保つことができ、溶湯から強冷されて、アトマイズ粉となる際により均一な粉末を得ることが可能となる。
【0023】
このようにアトマイズによって調製されたNi−P合金粉は、少なからずPの揮発により組成の変動を起こすが、粉末であるがゆえに分析によって測定されたP濃度を考慮して他の粉末を用いて、適宜目標とする組成へと混合微調整することも可能であり、Pの揮発に対して過敏になる必要もない。なお、本発明のアトマイズ加工粉は球状を呈しており、比表面積を抑えることができる。これによって酸素の取り込みを抑制することができる。
【0024】
次に、このNi−P合金アトマイズ粉に、Niアトマイズ粉、Pt粉(Ptスポンジ)を混合する。Niアトマイズ粉及びPt粉の混合量は、焼結体の組成(P:1〜10at%、Pt:1〜30at%、残部Ni及び不可避的不純物)を考慮して、適宜調整する。このときNiアトマイズ粉は、Ni−P合金アトマイズ粉によるP含有量を薄める役割を有する。また、本発明のNiアトマイズ粉及びPt粉は、Ni−P合金アトマイズ加工粉と同様、球状を呈しており、比表面積を抑えることができる。
【0025】
なお、Ni−Pt−Pターゲットを溶解法で作製することも考えられるが、Ni原料、Pt原料を溶解して合金化するためには1500℃程度の高温を必要とし、Pの添加源としてNi−P合金を用いた場合、Ni及びPtとの融点の差が大きく、蒸気圧が高いPが揮発してしまい、組成の制御が難しいという問題が生じる。また、Pの揮発により炉体の汚染、蒸発付着物の発火などの危険性を伴うといった問題もある。
【0026】
一方、Ni−15〜21wt%P合金のみを溶解する場合には、1200℃以下での溶解が可能であり、Pが蒸散するという問題は生じない。このようなことから、Ni−15〜21wt%P合金のみを溶解アトマイズしてNi−P合金粉末を得て、これにNi粉、Pt粉を混合、焼結することにより、Pの蒸散が少ないNi−Pt−Pスパッタリングターゲットを作製することができる。
【0027】
次に、このNi−P粉、Ni粉、Pt粉からなる混合粉をホットプレスする。Ni及びNi−Pが反応してP含有量が10wt%以下の領域に達すると、合金の融点は870℃となってプレスの型中で溶融するため、それ以下の温度である750℃〜850℃に加熱するのが好ましい。また、プレス圧力は、型の耐用荷重に応じて100〜300kgf/cmの範囲の条件下で行うのが好ましい。以上によって、密度が90%以上のNi−Pt−P焼結体が得られる。
【0028】
このようにして得た焼結体(P:1〜10at%、Pt:1〜30at%、残部がNi及び不可避的不純物)をターゲット形状に切断、切削・研磨などの機械加工を行い、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットを作製する。スパッタリングを実施する場合は、スパッタリングターゲットを、銅又は銅合金などからなるバッキングプレートへ接合して、スパッタリング装置に設置すればよい。
【0029】
また、スパッタリングターゲット(焼結体)の密度をさらに高めるために、ホットプレス加工した焼結体を、さらに熱間静水圧プレス(HIP)加工を行うことが有効である。HIPは温度を700℃〜850℃、プレス圧力を1000〜2000kgf/cmの条件下で行う。これにより、密度を95%以上のNi−Pt−Pスパッタリングターゲットを得ることができる。
【0030】
さらに、本発明は、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを5%以内とすることができる。上述の通り、本発明によれば、Pの蒸散を抑制することができるので、均一な組成からなるNi−P合金アトマイズ加工粉を得ることができ、このようなアトマイズ加工粉を焼結原料とすることで、ターゲットの組成ばらつきを抑制することができる。
【0031】
本発明の組成ばらつきは、ターゲットの任意の個所におけるP含有量を測定し、その最大値、最小値、平均値から、次式を用いて算出する。
ばらつき={(P含有量の最大値)−(P含有量の最小値)}/(P含有量の平均値)
例えば、円盤状のターゲットにおいて、中心、0.5R(半径)の均等8点、及び外周より1cm内側の均等8点の合計17点を測定することができる。
【0032】
また、本発明のNi−Pt−Pスパッタリングターゲットは、ターゲットの平均結晶粒径を100μm以下とすることができる。P含有量が15〜21wt%のNi−P合金アトマイズ粉中には急冷された微細なNiデンドライト相が形成され、これは比較的融点が高いため、前記のプレス温度では結晶粒成長を起こしにくい。したがって、このような加工粉を焼結原料とすることで、結晶粒径を微細化することができる。そして、微細な組織は安定成膜を可能とし、パーティクルが少なく、良質な膜を形成することができる。
【実施例】
【0033】
次に、実施例について説明する。なお、本実施例は発明の一例を示すためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に含まれる他の態様及び変形を含むものである。
【0034】
(実施例1−1)
P含有量が17wt%のNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−17wt%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。また、この原料粉の粒径は120μmであった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉に粒径100μmのNiアトマイズ粉をP含有量が1at%になるように混合した。次に、この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行った。これによって、P含有量が1at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−P合金焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0035】
以上により得られたNi−P合金焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは5%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は100μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して(Inボンディングでも可)、Ni−P合金スパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−P合金薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量について調べた。その結果、5個であった。以上の結果を表1に示す。
スパッタリング成膜は、下記の条件で行った(以下の実施例、比較例も同様とした)。
<成膜条件>
電源:直流方式
電力:15kW
到達真空度:5×10-8Torr
雰囲気ガス組成:Ar
スパッタガス圧:5×10-3Torr
スパッタ時間:15秒
【0036】
(実施例1−2)
P含有量が17wt%のNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−17wt%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。また、この原料粉の粒径は120μmであった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉に粒径100μmのNiアトマイズ粉をP含有量が2at%になるように混合した。次に、この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行った。これによって、P含有量が1at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−P合金焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0037】
以上により得られたNi−P合金焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は100μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して(Inボンディングでも可)、Ni−P合金スパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−P合金薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量について調べた。その結果、5個であった。
【0038】
(実施例1−3)
P含有量が17wt%のNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−17wt%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。また、この原料粉の粒径は120μmであった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉に粒径100μmのNiアトマイズ粉をP含有量が5at%になるように混合した。次に、この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行った。これによって、P含有量が1at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−P合金焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0039】
以上により得られたNi−P合金焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは3%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。(結晶粒径の調べ方)クロスカット法その結果、平均結晶粒径は100μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して(Inボンディングでも可)、Ni−P合金スパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−P合金薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量について調べた。その結果、5個であった。
【0040】
(実施例1−4)
P含有量が17wt%のNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−17wt%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。また、この原料粉の粒径は120μmであった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉に粒径100μmのNiアトマイズ粉をP含有量が10at%になるように混合した。次に、この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行った。これによって、P含有量が1at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−P合金焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0041】
以上により得られたNi−P合金焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは2%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は100μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して(Inボンディングでも可)、Ni−P合金スパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−P合金薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、5個であった。
【0042】
(比較例1−1)
P含有量が1at%となるように、Ni−P合金インゴット及びNiインゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて粉末を作製したところ、Ni−0.8at%P合金アトマイズ加工粉を得た。装置内部でPが蒸散し、目標組成からのずれが発生した。
【0043】
(比較例1−2)
P含有量が2at%となるように、Ni−P合金インゴット及びNiインゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて粉末を作製したところ、Ni−1.8at%P合金アトマイズ加工粉を得た。装置内部でPが蒸散し、目標組成からのずれが発生した。
【0044】
(比較例1−3)
P含有量が5at%となるように、Ni−P合金インゴット及びNiインゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて粉末を作製したところ、Ni−4.5at%P合金アトマイズ加工粉を得た。装置内部でPが蒸散し、目標組成からのずれが発生した。
【0045】
(比較例1−4)
P含有量が10at%となるように、Ni−P合金インゴット及びNiインゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて粉末を作製したところ、Ni−9.7at%P合金アトマイズ加工粉を得た。装置内部でPが蒸散し、目標組成からのずれが発生した。
【0046】
【表1】
【0047】
(実施例2−1)
Pを17at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−17at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が20at%、P含有量が1at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P系焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0048】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は60μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して(Inボンディングでも可)、Ni−P合金スパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−P合金薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、50個であった。
【0049】
(実施例2−2)
Pを18at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−18at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が30at%、P含有量が1at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0050】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は70μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、100個であった。
【0051】
(実施例2−3)
Pを19at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−19at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が10at%、P含有量が2at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P合金焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0052】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は65μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、50個であった。
【0053】
(実施例2−4)
Pを20at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−20at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が20at%、P含有量が2at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0054】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は70μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、50個であった。
【0055】
(実施例2−5)
Pを21at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−21at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が20at%、P含有量が5at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0056】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は80μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、50個であった。
【0057】
(実施例2−6)
Pを22at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−22at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が30at%、P含有量が5at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0058】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は75μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、100個であった。
【0059】
(実施例2−7)
Pを23at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−23at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が10at%、P含有量が10at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0060】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は70μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、50個であった。
【0061】
(実施例2−8)
Pを24at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−24at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が20at%、P含有量が10at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0062】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は70μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、50個であった。
【0063】
(実施例2−9)
Pを25at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−25at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が5at%、P含有量が1at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0064】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は70μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果50個であった。
【0065】
(実施例2−10)
Pを26at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−26t%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が5at%、P含有量が2at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P合金焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0066】
以上により得られたNi−Pt−P合金焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は70μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、50個であった。
【0067】
(実施例11)
Pを27at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−27at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が5at%、P含有量が5at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0068】
以上により得られたNi−Pt−P焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は65μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、100個であった。
【0069】
(実施例2−12)
Pを28at%含有するNi−P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて、Ni−28at%P合金アトマイズ加工粉を得た。アトマイズ加工粉はほぼ球状であった。次に、このNi−P合金アトマイズ加工粉にNiアトマイズ粉、Pt粉を混合した。この混合粉を、830℃、300kgf/cmの条件でホットプレスを行い、これによって、Pt含有量が5at%、P含有量が10at%、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi−Pt−P焼結体が得られた。また、このとき焼結体の密度は80%であった。次に、この焼結体をSUS缶に封入して、830℃、1500kgf/cmの条件でHIP(熱間静水圧プレス)を行った。これにより、焼結体密度は95%となった。
【0070】
以上により得られたNi−Pt−P合金焼結体を切削、研磨等の機械加工を行い、直径440mmφ、厚さ3mmtの円盤状スパッタリングターゲットを作製した。このスパッタリングターゲット中の組成ばらつきを調べた。その結果、組成ばらつきは4%以内であった。次に、このスパッタリングターゲットの平均結晶粒径をJISH0501によるクロスカット法により調べた。その結果、平均結晶粒径は70μmであった。その後、このスパッタリングターゲットを銅合金からなるバッキングプレートに拡散接合して(Inボンディングでも可)、Ni−Pt−Pスパッタリングターゲットと銅合金バッキングプレートの組立体を作製した。そして、この組立体を用いてスパッタリングを行い、Ni−Pt−P薄膜を形成した。得られた薄膜について、パーティクルの発生量と組成変動について調べた。その結果、50個であった。
【0071】
(比較例2−1)
Ni−20at%Pt−1at%Pとなるように、Niショット、Pt粉およびP塊を誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて粉末を作製したところ、Ni−20at%Pt−0.8at%Pアトマイズ加工粉を得られた。このように装置内部でPが蒸散し、目標組成からのずれが発生した。また、アトマイズ処理による工程ロスが発生し、Ptのロスが重量で0.2%発生した。
【0072】
(比較例2−2)
Ni−20at%Pt−1at%Pとなるように、Niショット、Pt粉およびNi−17wt%P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて粉末を作製したところ、Ni−20at%Pt−0.9at%Pアトマイズ加工粉を得られた。このように装置内部でPが蒸散し、目標組成からのずれが発生した。また、アトマイズ処理による工程ロスが発生し、Ptのロスが重量で0.2%発生した。
【0073】
(比較例2−3)
Ni−10at%Pt−2at%Pとなるように、Niショット、Ni−20at%Pt合金インゴットおよびP塊を誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて粉末を作製したところ、Ni−10at%Pt−1.6at%Pアトマイズ加工粉を得られた。このように装置内部でPが蒸散し、目標組成からのずれが発生した。また、アトマイズ処理による工程ロスが発生し、Ptのロスが重量で0.2%発生した。
【0074】
(比較例2−4)
Ni−10at%Pt−2at%Pとなるように、Niショット、Ni−20at%Pt合金インゴットおよびNi−17wt%P合金インゴットを誘導加熱溶解し、ガスアトマイズ法を用いて粉末を作製したところ、Ni−10at%Pt−1.7at%Pアトマイズ加工粉を得られた。このように装置内部でPが蒸散し、目標組成からのずれが発生した。また、アトマイズ処理による工程ロスが発生し、Ptのロスが重量で0.2%発生した。
【0075】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、Ni−P合金スパッタリングターゲットに関して、Pの含有量を厳密に制御することで、安全上問題のあるPの蒸散を抑制することができ、組成ばらつきが小さく、高密度ターゲットを提供することができる。これにより、良好な特性を有する薄膜を形成することができるという優れた効果を有する。また、本発明は、Ni−Pt−P合金スパッタリングターゲットに関して、溶解鋳造や圧延加工のための大型の設備を必要とせず、粉末冶金法により、高密度のターゲットを提供することができる。これにより、スパッタリング時のパーティクルの発生を抑制できるという優れた効果を有する。本発明のスパッタリングターゲットは、ハードディスク等の磁気記録媒体用の薄膜形成に有用である。