特許第6037576号(P6037576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037576
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】封止用フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20161128BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161128BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20161128BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20161128BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20161128BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01L23/30 B
   H05B33/14 A
   H05B33/04
   H05B33/10
   B32B7/02 101
   H05K3/28 G
   H05K3/28 F
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-551197(P2014-551197)
(86)(22)【出願日】2013年1月7日
(65)【公表番号】特表2015-505422(P2015-505422A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(86)【国際出願番号】KR2013000108
(87)【国際公開番号】WO2013103282
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2014年9月3日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0002170
(32)【優先日】2012年1月6日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0001833
(32)【優先日】2013年1月7日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ジ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ギュン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】スク・キ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スプ・シム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・イ
【審査官】 ▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−335208(JP,A)
【文献】 特開2002−260847(JP,A)
【文献】 特開2002−086609(JP,A)
【文献】 特開2007−023157(JP,A)
【文献】 特開平07−153873(JP,A)
【文献】 特開平05−175364(JP,A)
【文献】 特開2004−327623(JP,A)
【文献】 特開平09−193305(JP,A)
【文献】 特表2010−528450(JP,A)
【文献】 特開2009−123532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28−23/31
H01L 21/56
H01L 51/50
H05B 33/00−33/28
B32B 1/00−43/00
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
50g/m・day以下の透湿度を有する樹脂成分を含む第1層と;硬化性樹脂組成物を含み、第1層の25℃での硬化後の引張弾性率(M1)に対する25℃での硬化後の引張弾性率(M2)の比率(M1/M2)が1x10−6〜0.5である第2層と;を含み、上記透湿度が、樹脂成分を100μm厚さのフィルム形態で製造し、100°F及び100%の相対湿度下で層の厚さ方向に測定したものである、封止用フィルム。
【請求項2】
第1層の25℃での硬化後の引張弾性率は、0.001MPa〜400MPaである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
第2層の25℃での硬化後の引張弾性率は、400MPa〜1000MPaである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
第2層は、第1層の一面または両面に配置される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
第1層は、水分除去剤をさらに含む、請求項に記載のフィルム。
【請求項6】
第1層は、水分除去剤を樹脂成分100重量部に対して5重量部〜250重量部で含む、請求項に記載のフィルム。
【請求項7】
第2層は、第2層の固形分100重量部に対して5重量部未満の水分除去剤を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
第2層は、常温で固相または半固相である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
第2層は、未硬化状態である、請求項に記載のフィルム。
【請求項10】
第2層は、硬化性樹脂組成物をフィルム形態で含む、請求項に記載のフィルム。
【請求項11】
上部基板;下部基板;及び上記上部基板と下部基板の間で素子を封止している請求項1に記載のフィルムを含む封止層を備える電子装置。
【請求項12】
素子は、下部基板の上部基板と対向する面に形成されていて、フィルムの第2層が上記下部基板と当接している、請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
表面に素子が形成されている基板に請求項1に規定のフィルムを上記フィルムの第2層が上記素子と当接するように積層することを含む電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用フィルム、電子装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
封止用フィルムは、水分または酸素などの外部的要因に敏感な素子または装置などを保護するために使用されることができる。封止用フィルムによって保護されることができる素子または装置には、例えば、有機電子装置、太陽電池またはリチウム二次電池などのような二次電池などがある。特に上記素子または装置のうち有機電子装置は、水分または酸素などの外部的要因に脆弱である。
【0003】
有機電子装置は、機能性有機材料を含む装置である。有機電子装置または上記有機電子装置に含まれる有機電子素子としては、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッタ(transmitter)及び有機発光素子(OLED;organic light emitting diode)などが例示されることができる。
【0004】
有機電子装置は、一般的に水分などの外部的要因に脆弱である。例えば、有機発光素子は、通常、金属や金属酸化物を含む一対の電極の間に存在する機能性有機材料の層を含み、外部で浸透される水分によって有機材料の層が電極との界面での水分の影響により剥離されるか、水分によって電極が酸化し、抵抗値が高くなるか、有機材料自体が変質され、発光機能の喪失または輝度の低下などのような問題が発生する。これにより、有機発光素子を水分などの外部環境から保護するためのものであって、基板に形成された有機発光素子をゲッターまたは吸湿剤を装着したガラスカンまたはメタルカンで覆い、接着剤で固定した封止構造などが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、封止用フィルム、電子装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの具現例は、第1層及び第2層を含む封止用フィルムを提供する。上記封止用フィルムは、上記第1層及び第2層をそれぞれ1つ以上含むことができ、第1及び第2層以外に別途の層をさらに含むことができる。
【0007】
封止用フィルムは、異なる物性及び/または異なる成分を有する第1層と第2層を含み、上記フィルムは、例えば、大面積の装置で素子の保護のために適用される場合にも、気泡などの誘発なしに素子上に積層されることができ、封止工程後に外部成分、例えば、水分などから素子を効果的に保護することができる。封止用フィルムは、多様な構造を有することができ、例えば、図1のように、第1層12の一面に第2層11が配置されている構造または図2のように第1層12の両面に第2層11が配置されている構造などが可能である。ここで、第1層12の一面または両面に第2層11が配置されている構造には、第1層12に第2層11が直接的に付着している構造と;第1層12に別途の他の層を媒介で第2層11が間接的に付着している構造が含まれることができる。
【0008】
封止用フィルムにおいて第1層は、第2層に比べて低い弾性率を有することができる。例えば、第1層の引張弾性率は、第2層の引張弾性率に比べて低いことがある。本明細書で引張弾性率は、特に別途規定しない限り、25℃の温度で測定した引張弾性率である。また、本明細書で引張弾性率は、特に別途規定しない限り、硬化が可能な構成に対する引張弾性率は、硬化後に測定した引張弾性率である。
【0009】
第1層の弾性率が第2層の弾性率より低い場合、大面積の装置への適用に有利であり、水分除去剤の層間比率の調節を通じてフィルムに効果的な水分遮断性の付与が可能であることができる。本明細書で用語「水分除去剤(moisture scavenger)」は、例えば、封止用フィルムに浸透した水分や湿気との化学的反応を通じて上記を除去することができる物質を意味することができる。通常、水分除去剤がフィルム内で水分と反応すれば、水分と反応した分だけ体積が膨脹し、応力(stress)が発生するようになる。したがって、水分除去への膨脹応力を緩和させることができる程度の十分な弾性を有しない場合、フィルムが被着剤から剥離されるか、または、多層構造のフィルムの場合、層間の剥離などが誘発されることができる。例えば、フィルムの弾性率を低く調節すれば、上記応力による剥離などを防止することができるが、単純に硬化度の調節などを通じてガラス転移温度を低めて、弾性率を制御した場合、フィルムの透湿度が増加することができる。しかし、上記のように、弾性率が互いに異なる2個の層を積層させ、そのうち弾性率が低い層に水分除去剤を主に含ませれば、水分除去剤が相対的に少ない層、すなわち、弾性率が高い層を通じて浸透した水分が弾性率が低い層に拡散し、水分遮断性を向上させることができる。また、これと共に、フィルムの耐久性のような諸物性を満たすことができる。1つの例示で、第1層の引張弾性率が、0.001MPa〜300Mpa、0.001MPa〜200Mpa、0.001MPa〜100Mpa、0.001MPa〜80Mpa、0.001MPa〜60Mpa、0.001MPa〜40Mpa、0.001MPa〜20Mpa、0.001MPa〜10Mpa、0.001MPa〜5Mpa、0.001MPa〜3Mpa、0.001MPa〜1Mpa、0.005MPa〜100Mpa、0.01MPa〜100Mpa、0.05MPa〜100Mpa、0.1MPa〜100Mpa、0.2MPa〜100Mpa、0.3MPa〜100Mpa、0.005MPa〜80Mpa、0.01MPa〜60Mpa、0.05MPa〜40Mpa、0.05MPa〜20Mpa、0.1MPa〜10Mpa、0.1MPa〜5Mpa、0.2MPa〜3Mpaまたは0.3MPa〜1Mpa程度であることができる。また、第2層は、引張弾性率が200MPa〜1000Mpa、300MPa〜1000Mpa、300MPa〜900Mpa、300MPa〜800Mpa、300MPa〜700Mpa、400MPa〜1000Mpa、500MPa〜1000Mpa、550MPa〜1000Mpa、400MPa〜900Mpa、500MPa〜800Mpaまたは550MPa〜700Mpa程度であることができる。前述したように、上記範囲で、第1層は、第2層に比べて低い弾性率を有することができる。例えば、上記第1層の引張弾性率(M1)及び第2層の引張弾性率(M2)の比率(M1/M2)は、1x10−6〜0.5、1x10−6〜0.4、1x10−6〜0.3、1x10−6〜0.2、10x10−6〜0.5、100x10−6〜0.5、200x10−6〜0.5、300x10−6〜0.5、400x10−6〜0.5、500x10−6〜0.5、10x10−6〜0.4、100x10−6〜0.4、200x10−6〜0.3、300x10−6〜0.3、400x10−6〜0.2または500x10−6〜0.2程度であることができる。このような弾性率の関系で、封止用フィルムは、例えば、大面積の装置にも効果的に適用されることができ、層間の水分除去剤の比率の調節を容易に行うことができ、フィルムの物性の調節に有利である。
【0010】
1つの例示で、封止用フィルムは、水分除去剤を含むことができる。このような場合、第1層が第2層に比べて多量の水分除去剤を含むことができる。第2層は、水分除去剤を第1層に比べて少なく含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。後述するように、上記のような構造で、例えば、第2層が素子と接触するように封止構造を具現する場合には、素子の損傷を誘発することなく、優れた水分や湿気遮断性を具現することができる。例えば、第1層は、樹脂成分を含むことができ、樹脂成分100重量部に対して5重量部以上、10重量部以上、20重量部以上、30重量部以上、40重量部以上または45重量部以上の水分除去剤を含むことができる。第1層の水分除去剤の比率の上限は、目的する水分遮断特性によって変更されるものであって、特に制限されないが、例えば、上記樹脂成分100重量部に対して250重量部以下、230重量部以下または210重量部以下の水分除去剤が第1層に含まれることができる。第2層は、水分除去剤を含まなくてもよく、水分除去剤を含むとしても、微量の水分除去剤を含むことができる。第2層は、例えば、第2層の固形分100重量部に対して5重量部未満または3重量部未満の水分除去剤を含むことができる。第2層は、水分除去剤を含まなくてもよいので、第2層の水分除去剤の含量の下限は、0重量部であることができる。本明細書で特に別途規定しない限り、単位重量部は、重量の比率を意味する。
【0011】
第1層及び第2層の厚さは、フィルムに含まれる各層の数またはフィルムの用途などを考慮して制御されることができる。例えば、フィルムが第1層及び第2層をそれぞれ一層ずつ含む場合に、第1層の厚さは、5〜100μm程度であり、第2層の厚さは、2〜30μm程度であることができる。このような範囲で、水分遮断性と作業性及び耐久性などに優れたフィルムを提供することができる。
【0012】
1つの例示で、第1層は、脱イオン水に対する接触角が80゜以上、85゜以上、90゜以上または95゜以上の樹脂成分を含むことができる。上記接触角は、樹脂成分を適切な溶剤に溶解させて製造した固形分が約15重量%程度の溶液をガラスにコーティングした後に乾燥し、膜を形成し、約25℃程度で上記コーティング膜に脱イオン水を滴下させて測定した接触角であり、上記過程を10回繰り返して測定した接触角の平均であることができる。第1層に接触角を上記のように調節した成分を含んで水分遮断性及び耐久性に優れたフィルムを提供することができる。樹脂成分の接触角の上限は、特に制限されず、例えば、150゜以下または120゜以下であることができる。
【0013】
第1層は、また、透湿度(WVTR;Water Vapor TransmissionRate)が50g/m・day以下または45g/m・day以下の樹脂成分を含むことができる。上記透湿度は、樹脂成分を100μm厚さのフィルム形態で製造し、100°F及び100%の相対湿度下で上記フィルムの厚さ方向に測定した透湿度であることができる。樹脂成分の透湿度を上記のように制御し、優れた水分遮断性を示すフィルムを提供することができる。第1層の透湿度は、低いほど優れた水分遮断性を示すことができるので、その下限は、特に限定されない。例えば、樹脂成分の透湿度の下限は、0g/m・dayであることができる。
【0014】
1つの例示で、第1層に含まれる成分は、前述した接触角及び透湿度の範囲をすべて満足するものであることができる。このような上記範囲の接触角及び透湿度を有する成分を含むことによって、水分遮断性、撥水性などに優れたフィルムを提供することができる。
【0015】
樹脂成分としては、前述した接触角及び透湿度を満足させるか、前述した弾性率を満足する第1層を提供することができるものなら、特別な制限なしに当業界に知られた樹脂を使用することが可能である。また、上記接触角及び透湿度を満足しないものであっても、組合によって上記接触角及び透湿度を満足すれば、樹脂成分として使用することができる。本明細書で用語「樹脂成分」は、第1層を形成するベース樹脂を意味することができる。上記ベース樹脂には、第1層の主要物性を具現するために使用される樹脂であって、添加剤などの任意的成分は除外された構成を意味する。1つの例示で、上記第1層に粘着付与剤のような添加剤が添加されたら、ベース樹脂は、粘着付与剤が除外された構成を意味することができる。
【0016】
このような樹脂成分としては、例えば、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマ、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、炭化水素の混合物、ポリアミド系樹脂、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂またはこれらの混合物などが例示されることができる。
【0017】
上記でスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレートブロック共重合体(ASA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン系単独重合体またはこれらの混合物が例示されることができる。上記オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはこれらの混合物が例示されることができる。上記熱可塑性エラストマとしては、例えば、エステル系熱可塑性エラストマ、オレフィン系熱可塑性エラストマまたはこれらの混合物などを使用することができる。それらのうちオレフィン系熱可塑性エラストマとしてポリブタジエン樹脂またはポリイソブテン樹脂などが使用されることができる。上記ポリオキシアルキレン系樹脂としては、例えば、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリオキシエチレン系樹脂またはこれらの混合物などが例示されることができる。上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂またはこれらの混合物などが例示されることができる。上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンクロライドなどが例示されることができる。上記炭化水素の混合物としては、例えば、ヘキサトリアコタン(hexatriacotane)またはパラフィンなどが例示されることができる。上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロンなどが例示されることができる。上記アクリレート系樹脂としては、例えば、ポリブチル(メタ)アクリレートなどが例示されることができる。上記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物などのビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型などのノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型などの含窒素環状;脂環式型;脂肪族型;ナフタレン型、ビフェニル型などの芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型などのグリシジル型;ジシクロペンタジエン型などのジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型またはこれらの混合物などが例示されることができる。上記シリコン系樹脂としては、例えば、ポリジメチルシロキサンなどが例示されることができる。また、上記フッ素系樹脂としては、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、ポリフルオリン化ビニリデン、ポリフルオリン化ビニル、ポリフルオリン化エチレンプロピレンまたはこれらの混合物などが例示されることができる。
【0018】
上記羅列した樹脂は、例えば、マレイン酸無水物などとグラフトされて使用されることもでき、羅列された他の樹脂や樹脂を製造するための単量体と共重合されて使用されることもでき、その他、他の化合物によって変性させて使用することもできる。上記他の化合物の例としては、カルボキシル−末端ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などを挙げることができる。
【0019】
また、羅列した樹脂は、例えば、硬化して接着性を示すことができるようにグリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基などのような熱による硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含むか、またはエポキシド(epoxide)基、環状エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基またはラクトン(lactone)基などのような活性エネルギー線の照射によって硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含むことができる。
【0020】
1つの例示で、第1層は、ポリイソブテン樹脂を含むことができる。ポリイソブテン樹脂は、疎水性を有し、低い透湿度及び低い表面エネルギーを示すことができる。具体的に、ポリイソブテン樹脂としては、例えば、イソブチレン単量体の単独重合体;またはイソブチレン単量体と重合可能な他の単量体を共重合した共重合体などを使用することができる。ここで、上記イソブチレン単量体と重合可能な他の単量体は、例えば、1−ブテン、2−ブテン、イソプレンまたはブタジエンなどを含むことができる。
【0021】
上記樹脂成分としては、フィルム形状に成形が可能な程度の重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)を有する樹脂が使用されることができる。1つの例示で、フィルム形状に成形が可能な程度の重量平均分子量の範囲は、約10万〜200万、10万〜150万または10万〜100万であることができる。本明細書で、用語重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。
【0022】
また、樹脂成分としては、前述した構成のうち1種を使用することもでき、2種以上を使用することもできる。2種以上を使用する場合には、種類が異なる2種以上の樹脂を使用するか、重量平均分子量が異なる2種以上の樹脂を使用するか、または種類及び重量平均分子量がすべて異なる2種以上の樹脂を使用することができる。
【0023】
第1層は、前述した樹脂成分以外に水分除去剤をさらに含むことができる。これにより、第1層の水分遮断性をさらに向上させることができる。
【0024】
1つの例示で、水分除去剤は、樹脂成分に均一に分散した状態で存在することができる。ここで、均一に分散した状態は、樹脂成分のどの部分でも同一または実質的に同一の密度で水分除去剤が存在する状態を意味することができる。上記で使用されることができる水分除去剤としては、例えば、金属酸化物、硫酸塩または有機金属酸化物などを挙げることができる。具体的に、上記金属酸化物の例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムまたは酸化アルミニウムなどを挙げることができ、上記硫酸塩の例としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸ニッケルなどを挙げることができ、上記有機金属酸化物の例としては、アルミニウムオキシドオクチレートなどを挙げることができる。第1層に含まれることができる水分除去剤としては、前述した構成のうち1種を使用することもでき、2種以上を使用することもできる。1つの例示で、水分除去剤として2種以上を使用する場合、焼成ドロマイト(calcined dolomite)などが使用されることができる。
【0025】
このような水分除去剤は、フィルムの使用用途によって適切なサイズに制御されることができる。1つの例示で、水分除去剤の平均粒径が10〜15000nm程度に制御されることができる。上記範囲のサイズを有する水分除去剤は、水分との反応速度があまり早くなくて、保管が容易であり、封止しようとする素子に損傷を与えることなく、効果的に水分を除去することができる。
【0026】
水分除去剤の含量は、例えば、前述したように、樹脂成分100重量部に対して5重量部〜250重量部の範囲に制御されることができる。
【0027】
また、1つの例示で、第1層は、水分除去剤が樹脂成分に均一に分散することができるように分散剤をさらに含むことができる。ここで、使用されることができる分散剤としては、例えば、親水性である水分除去剤の表面と親和力があり、樹脂成分と相溶性が良い非イオン性界面活性剤などを使用することができる。1つの例示で、非イオン性界面活性剤としては、化学式1で表示される化合物を使用することができる。
【0028】
[化学式1]
R−X
【0029】
上記化学式1で、Rは、飽和または不飽和炭化水素基であり、Xは、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基または炭水化物残基である。
【0030】
上記化学式1で、Rは、炭素数4〜28、炭素数4〜24、炭素数4〜20または炭素数6〜20の飽和または不飽和炭化水素基であることができる。
【0031】
また、化学式1で、Xが炭水化物残基である化合物は、炭水化物の水素のうちいずれか1つの水素がRで置換された化合物を意味することができる。上記炭水化物は、例えば、グルコースなどを挙げることができる。
【0032】
上記化学式1の化合物としては、例えば、ステアリン酸(stearic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、オレイン酸(oleic acid)または リノール酸(linoleic acid)などのような脂肪酸;セチルアルコール(cetyl alcohol)、ステアリルアルコール(stearyl alcohol)、セトステアリルアルコール(cetostearyl alcohol)またはオレイルアルコール(oleyl alcohol)などのような脂肪アルコール;またはオクチルグルコシド(octyl glucoside)、デシルグルコシド(decyl glucoside)またはラウリルグルコシド(lauryl glucoside)などのようなアルキルグルコシドなどを挙げることができる。
【0033】
このような分散剤の含量は、水分除去剤の種類及び/またはサイズによって制御されることができる。具体的に、水分除去剤のサイズが小さいほど水分除去剤の表面積が広くなるので、多くの量の分散剤を使用する場合、水分除去剤を均一に分散させることができる。1つの例示で、約40nm程度の平均粒径を有する水分除去剤を使用する場合、水分除去剤100重量部を基準として略5重量部以上の分散剤が使用されることができる。他の例示で、約1000nm程度の平均粒径を有する水分除去剤を使用する場合、水分除去剤100重量部を基準として略0.05重量部以上の分散剤が使用されることができる。したがって、前述した水分除去剤の種類及び/またはサイズを考慮すれば、水分除去剤100重量部を基準として0.01〜500重量部程度の分散剤が使用されることができる。このような範囲で、フィルムの接着力などの諸物性に影響を及ぼすことなく、水分除去剤を均一に分散させることができる。
【0034】
樹脂成分に水分除去剤及び分散剤を含ませる方法は、当業界において利用する方法を制限なく使用することができ、特に制限されない。しかし、配合順序を調節し、樹脂成分に水分除去剤を均一に分散させることができる方法を例示する。まず、分散剤を溶媒に分散し、分散液を製造する。ここで、溶媒は、コーティング性、乾燥温度または樹脂成分と相溶性などを基準として選定することができる。1つの例示で、樹脂成分として前述したポリイソブテン樹脂を使用する場合、溶媒としては、トルエンまたはキシレンなどのような芳香族溶媒を使用することができる。上記分散液に水分除去剤を投入し、混合する。この際、水分除去剤を分散液と混合する工程は、水分除去剤の分散度を高めるために、追加に物理的分散方法を利用することもできる。物理的分散方法は、例えば、シェカーを利用する方法、音波処理(sonication)方法またはビーズミーリング方法などを挙げることができる。水分除去剤及び分散剤が分散した溶液は、樹脂成分が含まれている溶液に投入され、第1層を製造するための組成物を得ることができる。上記水分除去剤及び分散剤が分散した溶液は、任意的にフィルタリングを経て、サイズが大きい粒子は濾過され、樹脂成分が含まれた溶液に投入されることができる。上記工程を通じて樹脂成分に水分除去剤及び分散剤が均一に分散した第1層を製造することができる。しかし、上記工程は、記載した内容に制限されず、当業者によって単純な変更が可能である。
【0035】
第1層は、水分遮断剤をさらに含むことができる。本明細書で用語「水分遮断剤(moisture blocker)」は、フィルムに浸透する水分との反応性がないかまたは低いが、水分や湿気のフィルム内での移動を遮断するかまたは妨害することができる物質を意味することができる。水分遮断剤としては、例えば、クレイ、タルク、針状シリカ、板状シリカ、多孔性シリカ、ゼオライト、チタニアまたはジルコニアのうち1種または2種以上を使用することができる。また、水分遮断剤は、有機物の浸透が容易となるように有機改質剤などによって表面処理が施されることができる。このような有機改質剤としては、例えば、ジメチルベンジル水素化タロー4次アンモニウム(dimethyl benzyl hydrogenated tallow quaternary ammonium)、ジメチル水素化タロー4次アンモニウム(dimethyl dihydrogenated tallow quaternary ammonium)、メチルタロービス−2−ヒドロキシエチル4次アンモニウム(methyl tallow bis−2−hydroxyethyl quaternary ammonium)、ジメチル水素化タロー2−エチルヘキシル4次アンモニウム(dimethyl hydrogenated tallow 2−ethylhexyl quaternary ammonium)、ジメチル脱水素化タロー4次アンモニウム(dimethyl dehydrogenated tallow quaternary ammonium)またはこれらの混合物である有機改質剤などが使用されることができる。
【0036】
第1層に含まれることができる水分遮断剤の含量は、水分除去剤及び樹脂成分のマトリックス構造との関系で適切に調節されることができる。1つの例示で、水分遮断剤の含量は、樹脂成分100重量部を基準として0〜50重量部または1〜30重量部程度に調節されることができる。このような範囲で、優れた水分遮断性及び機械的物性を有するフィルムを提供することができる。
【0037】
1つの例示で、第1層が水分除去剤及び水分遮断剤をすべて含む場合にも、第1層の成分配合順序を制御し、樹脂成分に水分除去剤及び水分遮断剤を均一に分散させることができる。
【0038】
例えば、まず、水分遮断剤を溶媒に投入し、第1分散液を製造することができる。この際、第1分散液は、音波処理、ビーズミーリング、ボールミーリング、高速分散、高圧分散などの工程を通して均一に分散した分散液として得られることができる。これとは別途に、前述したように、水分除去剤及び/または分散剤が分散した第2分散液を準備する。用意した第1分散液と第2分散液を、樹脂成分を含む溶液に投入し、混合する。混合時に樹脂組成物の粘度調節及びコーティング性を考慮して追加に溶媒を投入することもできる。このような方法によって水分除去剤及び遮断剤が均一に分散した第1層を製造することができる。上記第1層の製造方法は、当業者によって自明な事項内で自由に変更が可能である。
【0039】
第1層は、粘着付与剤を含むことができる。粘着付与剤としては、例えば、石油樹脂を水素化して得られる水素化された石油樹脂を使用することができる。水素化された石油樹脂は、部分的にまたは完全に水素化されることができ、そのような樹脂の混合物であることができる。このような粘着付与剤は、樹脂成分と相溶性が良く、且つ水分遮断性に優れたものを選択することができる。水素化された石油樹脂の具体的な例としては、水素化されたテルペン系樹脂、水素化されたエステル系樹脂または水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂などを挙げることができる。上記粘着付与剤の重量平均分子量は、約200〜5,000であることができる。上記粘着付与剤の含量は、必要に応じて適切に調節することができる。例えば、粘着付与剤は、樹脂成分100重量部に対して5重量部〜100重量部の比率で第1層に含まれることができる。
【0040】
第1層には、前述した構成以外にも、フィルムの用途及びフィルムの製造工程によって多様な添加剤が含まれることができる。例えば、耐久性及び工程性などを考慮して、第1層には、硬化性物質がさらに含まれることができる。ここで、硬化性物質は、前述した樹脂成分以外に別途に含まれる熱硬化性官能基及び/または活性エネルギー線硬化性官能基を有する物質を意味することができる。また、第1層に含まれる硬化性物質の含量は、フィルムの目的する物性によって調節されることができる。
【0041】
第2層は、硬化性樹脂組成物を含む層であることができる。第2層は、ホットメルト型接着層であることができる。本明細書で用語「ホットメルト型(hot melt type)接着層」は、常温では固相(solid)または半固相(semi−solid)状態を維持しつつ、適切な熱が印加されると、溶融(melting)され、粘着性を示し、硬化した後には、接着剤として対象物を堅く固定させることができる形態の層を意味することができる。また、本明細書で用語「接着剤の硬化」は、対象物質が接着性を示すことができるように変化する化学的または物理的作用や反応を意味することができる。また、用語「常温」は、加温または減温されない自然そのままの温度を意味し、例えば、約15〜35度、約20〜25度、約25または23度の温度を意味することができる。また、上記で、常温で固相または半固相状態を維持するということは、対象物質が常温で約10ポアズ(poise)以上または約10ポアズ以上の粘度を示すことを意味することができる。上記で、粘度は、ARES(Advanced Rheometric Expansion System)を使用して測定した粘度である。上記で、粘度の上限は、特に制限されず、例えば、約10ポアズ以下であることができる。
【0042】
例えば、第2層は、硬化性樹脂組成物などのように第2層に含まれる成分が未硬化状態の場合にも、常温で固相または半固相の状態を維持することができる。したがって、第2層は、硬化性樹脂組成物をフィルム形態で含むことができる。これにより、取り扱い性に優れていて、且つ封止工程などに適用時に素子に物理的または化学的損傷が加えられることを防止し、円滑な作業を進行することができる。
【0043】
硬化性樹脂組成物は、例えば、硬化性樹脂を含むことができる。硬化性樹脂では、この分野で公知されている熱硬化性、活性エネルギー線硬化性または混成硬化性樹脂を使用することができる。本明細書で「熱硬化性樹脂」は、硬化が適切な熱の印加または熟成(aging)工程を通じて起きることができる樹脂であり、「活性エネルギー線硬化性樹脂」は、硬化が活性エネルギー線の照射によって起きることができる樹脂であり、「混成硬化性樹脂」は、熱硬化性及び活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化メカニズムが同時にまたは順次に進行され、硬化する樹脂を意味することができる。また、上記で、活性エネルギー線としては、マイクロ波(micro waves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線や、アルファ−粒子線(alpha−particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、中性子ビーム(neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームなどが例示されることができる。
【0044】
硬化性樹脂としては、例えば、硬化して接着性を示すことができる樹脂であって、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基などのような熱による硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含むか、エポキシド(epoxide)基、環状エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基またはラクトン(lactone)基などのような活性エネルギー線の照射によって硬化が可能な官能基または部位を1つ以上含む樹脂を使用することができる。硬化性樹脂としては、上記のような官能基または部位を少なくとも1つ以上有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂またはエポキシ樹脂などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0045】
1つの例示で、上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を使用することができる。上記エポキシ樹脂は、芳香族系または脂肪族系エポキシ樹脂であることができる。エポキシ樹脂としては、熱硬化性エポキシ樹脂を使用するか、または活性エネルギー線硬化性、例えば、活性エネルギー線の照射による陽イオン重合反応によって硬化するエポキシ樹脂を使用することができる。
【0046】
1つの例示によるエポキシ樹脂は、エポキシ当量が150g/eq〜2,000g/eqであることができる。上記エポキシ当量の範囲で硬化物の接着性能やガラス転移温度などの特性を適正範囲に維持することができる。
【0047】
1つの例示で、エポキシ樹脂は、芳香族系エポキシ樹脂であることができる。本明細書で「芳香族系エポキシ樹脂」は、樹脂の主鎖または側鎖にフェニレン構造のような芳香族コアやフェニル基のような芳香族基を1つ以上含むエポキシ樹脂を意味することができる。芳香族系エポキシ樹脂を使用する場合、硬化物が優れた熱的及び化学的安定性を有し、また、低い透湿量を示し、電子素子封止構造の信頼性を向上させることができる。芳香族系エポキシ樹脂としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、クレゾール系エポキシ樹脂、ビスフェノール系エポキシ樹脂、キシロール系エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂及びアルキル変性トリフェノールメタンエポキシ樹脂などの一種または二種以上が例示されることができるが、これに制限されるものではない。1つの例示で、エポキシ樹脂は、シラン変性エポキシ樹脂であることができる。シラン変性エポキシ樹脂としては、例えば、上記記述したエポキシ樹脂のうち1つ以上のエポキシ樹脂とシラン化合物の反応物を使用することができる。上記で、シラン化合物としては、例えば、下記化学式2で表示される化合物が例示されることができる。
【0048】
[化学式2]
SiQ(4−n)
【0049】
上記化学式2で、Dは、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アルコキシ基またはイソシアネート基であるか、または上記のうちいずれか1つの官能基で置換されたアルキル基であり、Qは、水素、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基であり、nは、1〜3の数である。
【0050】
化学式2の化合物で、官能基Dは、エポキシ樹脂に含まれる作用基と反応し、シラン変性エポキシ樹脂を形成することができる。
【0051】
例えば、上記官能基がアミノ基なら、アミノ基は、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応し、「−CH(OH)−CH−NH−」結合を形成しながら、上記シラン化合物がエポキシ基に導入されることができる。
【0052】
また、官能基Dがイソシアネート基またはアルコキシ基である場合には、ヒドロキシ基(OH)を含むエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂などのようなビスフェノール型エポキシ樹脂と反応させてシラン化合物を導入することもできる。
【0053】
上記化学式2で、アルキル基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基が例示されることができる。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状アルキル基であることができる。
【0054】
上記化学式2で、ハロゲン原子としては、フルオル(F)、塩素(Cl)、ブロム(Br)またはヨード(I)などが例示されることができる
【0055】
また、上記化学式2で、アルコキシ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基が例示されることができる。上記アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。
【0056】
また、上記化学式2で、アリール基またはアリールオキシ基に含まれるアリール基には、アリール基はもちろん、いわゆるアルアルキル基(aralkyl group)などが含まれることができる。例えば、上記アリール基は、1つ以上のベンゼン環を含むか、2個以上のベンゼン環が連結または縮合された構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価残基を意味することができる。上記アリール基は、例えば、炭素数6〜25、炭素数6〜21、炭素数6〜18または炭素数6〜12のアリール基であることができる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ジクロロフェニル、クロロフェニル、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などが例示されることができる。
【0057】
また、上記化学式2で、アシルオキシ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16または炭素数1〜12のアシルオキシ基が例示されることができる。
【0058】
また、上記化学式2で、アルキルチオ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、または炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキルチオ基が例示されることができ、アルキレンオキシチオ基としては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、または炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレンオキシチオ基が例示されることができる。
【0059】
上記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基などは、任意的に1つ以上の置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、ヒドロキシ基、エポキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、チオール基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリール基またはイソシアネート基などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0060】
上記化学式2で、官能基Dは、例えば、上記のうちアルコキシ基、アミノ基またはイソシアネート基であることができる。
【0061】
また、上記化学式2で、官能基Qのうち少なくとも1つ、2つ以上または3つは、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基またはアルキレンオキシチオ基などであるか、またはアルコキシ基であることができる。
【0062】
シラン変性エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂100重量部に対して約0.1重量部〜約10重量部、約0.1重量部〜約9重量部、約0.1重量部〜約8重量部、約0.1重量部〜約7重量部、約0.1重量部〜約6重量部、約0.1重量部〜約5重量部、約0.1重量部〜約4重量部、約0.1重量部〜約3重量部、約0.3重量部〜2重量部または約0.5重量部〜約2重量部のシラン化合物が導入されたエポキシ樹脂を使用することができる。1つの例示で、上記シラン化合物が導入されるエポキシ樹脂は、芳香族系エポキシ樹脂であることができる。芳香族系エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂などのようなビスフェノール型エポキシ樹脂が例示されることができる。
【0063】
シランで変性され、構造内にシリル基を含むエポキシ樹脂は、電子装置の封止層が基板などと優れた接着性を示し、且つ優れた水分遮断性、耐久性及び信頼性を示すようにすることができる。
【0064】
第2層は、また、硬化性樹脂の種類によって、硬化性樹脂と反応し、架橋構造などを形成することができる硬化剤または上記樹脂の硬化反応を開始させることができる開始剤をさらに含むことができる。
【0065】
硬化剤は、硬化性樹脂またはその樹脂に含まれる官能基の種類によって適切な種類が選択及び使用されることができる。
【0066】
1つの例示で、硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化剤としては、この分野で公知されているエポキシ樹脂の硬化剤として、例えば、アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、リン硬化剤または酸無水物硬化剤などの一種または二種以上を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0067】
1つの例示で、上記硬化剤としては、常温で固相であり、融点または分解温度が80℃以上のイミダゾール化合物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールまたは1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0068】
硬化剤の含量は、組成物の組成、例えば、硬化性樹脂の種類や比率によって選択されることができる。例えば、硬化剤は、硬化性樹脂100重量部に対して、1重量部〜20重量部、1重量部〜10重量部または1重量部〜5重量部で含むことができる。しかし、上記重量の比率は、硬化性樹脂またはその樹脂の官能基の種類及び比率、または具現しようとする架橋密度などによって変更されることができる。
【0069】
硬化性樹脂が活性エネルギー線の照射によって硬化することができるエポキシ樹脂の場合、開始剤としては、例えば、陽イオン光重合開始剤を使用することができる。
【0070】
陽イオン光重合開始剤としては、オニウム塩(onium salt)または有機金属塩(organometallic salt)系のイオン化陽イオン開始剤または有機シランまたは潜在性硫酸(latent sulfonic acid)系や非イオン化陽イオン光重合開始剤を使用することができる。オニウム塩系の開始剤としては、ジアリールヨードニウム塩(diaryliodonium salt)、トリアリールスルホニウム塩(triarylsulfonium salt)またはアリールジアゾニウム塩(aryldiazonium salt)などが例示されることができ、有機金属塩系の開始剤として、鉄アレン(iron arene)などが例示されることができ、有機シラン系の開始剤としては、o−ニトリルベンジルトリアリールシリルエーテル(o−nitrobenzyl triaryl silyl ether)、トリアリールシリルペルオキシド(triaryl silyl peroxide)またはアシルシラン(acyl silane)などが例示されることができ、潜在性硫酸系の開始剤としては、α−スルホニルオキシケトンまたはα−ヒドロキシメチルベンゾインスルホネートなどが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0071】
1つの例示で、陽イオン開始剤としては、イオン化陽イオン光重合開始剤を使用することができる。
【0072】
開始剤の含量は、硬化剤の場合のように、硬化性樹脂またはその樹脂の官能基の種類及び比率、または具現しようとする架橋密度などによって変更されることができる。例えば、上記開始剤は、硬化性樹脂100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部または0.1重量部〜3重量部の比率で配合されることができる。開始剤の含量が過度に小さい場合、十分な硬化が進行されないおそれがあり、過度に多い場合、硬化後、イオン性物質の含量が増加し、接着剤の耐久性が劣化するか、または開始剤の特性上、共役酸(conjugate acid)が形成され、光学耐久性の側面で不利であり、また、基材によっては腐食が発生することができるので、このような点を考慮して適切な含量範囲を選択することができる。
【0073】
第2層は、バインダー樹脂をさらに含むことができる。バインダー樹脂は、第2層をフィルムまたはシート形状に成形するとき、成形性を改善する役目をすることができる。
【0074】
バインダー樹脂の種類は、硬化性樹脂などの他の樹脂と相溶性を有するものなら、特に制限されない。バインダー樹脂としては、フェノキシ樹脂、アクリレート樹脂または高分子量エポキシ樹脂を使用することができる。上記で、高分子量エポキシ樹脂は、例えば、重量平均分子量が約2,000〜70,000または4,000〜6,000程度である樹脂を意味することができる。高分子量エポキシ樹脂としては、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂または固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが例示されることができる。バインダー樹脂としては、高極性(high polarity)官能基含有ゴムや高極性(high polarity)官能基含有反応性ゴムなどのゴム成分が使用されることができる。1つの例示で、バインダー樹脂としては、フェノキシ樹脂が使用されることができる。
【0075】
バインダー樹脂が含まれる場合、その比率は、目的物性によって調節されるものであって、特に限定されない。例えば、バインダー樹脂は、硬化性接着成分100重量部に対して、約200重量部以下、約150重量部以下または約100重量部以下の量で含まれることができる。バインダー樹脂の比率が200重量部以下なら、第2層の各成分との相溶性を効果的に維持し、接着層としての役目を行うことができる。
【0076】
上記第2層は、さらに水分遮断剤を含むことができる。水分除去剤の場合、水分と化学的反応を起こし、有機物を含む素子に接触する場合、素子に損傷を与えることができる。これにより、第2層は、水分除去剤を含まないか、または微量の水分除去剤を含むことができる。第2層が微量の水分除去剤を含む場合、水分除去剤の含量は、前述した通りである。しかし、水分遮断剤は、水分の移動経路を長くして水分を遮断し、水分除去剤に比べて反応性が少なくて、素子に損傷を与えるおそれが少ない。第2層に含まれることができる水分遮断剤の含量は、例えば、硬化性樹脂100重量部を基準として0.01〜50重量部または1〜30重量部程度であることができる。水分遮断剤の具体的な種類及び硬化性樹脂に分散する方法は、第1層に含まれる水分遮断剤及び水分遮断剤を含む方法を参考することができる。
【0077】
第2層は、また、目的する効果に影響を及ぼさない範囲で、可塑剤;紫外線安定剤及び/または酸化防止剤のような添加剤をさらに含むことができる。
【0078】
フィルムは、例えば、基材をさらに含むことができる。基材は、例えば、フィルムの一面または両面に配置されることができる。上記基材は、例えば、離型処理されている基材であることができ、このような基材は、当業界で使用するものを制限なく使用することが可能である。
【0079】
上記封止用フィルムは、多様な対象を封止(encapsulation)して保護するものに適用されることができる。特に上記フィルムは、外部成分、例えば、水分や湿気に敏感な素子を含む対象の保護に効果的であることができる。封止用フィルムが適用されることができる対象の例としては、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッタ(transmitter)または有機発光素子(organic light emitting diode;OLED)などのような有機電子装置;太陽電池;または二次電池などを挙げることができるが、これに制限されるものではない。
【0080】
本発明の他の具現例は、また、上部基板;下部基板;及び上記上部基板と下部基板との間で素子を封止しているフィルムを含む封止層を備える電子装置を提供する。上記で、素子は、電子装置のいずれか1つの部品を意味することができる。上記のように、フィルムによって保護されることができる素子の代表的な例としては、有機発光素子などのような有機電子素子が例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0081】
1つの例示で、上記フィルムは、前述した第1層と第2層を含む封止用フィルムであることができる。フィルムは、例えば、未硬化状態であることができる。このようなフィルムを含む封止層は、フィルムが硬化して形成された層であることができる。
【0082】
上記電子装置において上部基板及び下部基板は、互いに対向するように配置されていてもよい。また、素子は、下部基板の一面に形成され、下部基板の一面は、上部基板と対向する面であることができる。フィルムは、上部及び下部基板の間に位置し、且つフィルムの第2層が素子が形成されている下部基板と当接するように位置することができる。このような構造で、フィルムは、上記素子の実質的に上記素子の全面を覆っていてもよい。1つの例示で、図3のようにフィルムは、第1層12及び第2層11を含み、第2層11が素子23及び下部基板22と当接するように配置されることができる。また、他の例示で、図4のように、フィルムは、第2層11、第1層12及び第2層11を含み、上記第2層11のうちいずれか1つの層が素子23及び下部基板22と当接するように配置されることができる。前述したように、第2層は、素子に損傷を与えることができる水分除去剤を微量または全然含まないので、素子と当接しても、素子の機能に影響を及ぼさない。また、前述したように、第2層は、段差埋め込み性を有していて、素子23が形成された下部基板22のように、高さの差がある面にも浮き上り及び/または気泡なしに付着が可能である。したがって、封止層と素子または下部基板との間の界面接着力が優れた電子装置を提供することができる。
【0083】
フィルムを硬化して形成された封止層において第2層は、0℃以上、50℃以上、70℃以上、85℃以上または100℃以上のガラス転移温度を有することができる。第1層は、多量の水分除去剤を含むことができるので、水分除去剤が水分と反応して生成されるイオンが第2層に移動することができる。しかし、第2層は、素子と当接していて、第1層から第2層に移動したイオンは、素子の性能に影響を及ぼすことができる。したがって、第2層を充分に硬化し、第1層から第2層にイオンが移動することを防止し、素子の性能が劣化することを防止することができる。すなわち、第2層が上記範囲のガラス転移温度を有する第1層のイオンが第2層に移動することを防止し、前述した効果を示すことができる。
【0084】
1つの例示で、電子装置は、有機電子装置であることができる。上記封止層は、有機電子装置において優れた水分遮断特性及び光学特性を示しながら、上部基板と下部基板を効率的に固定及び支持することができる。また、上記封止層は、例えば、水分除去剤をナノ単位のサイズで製造し、樹脂に均一に分散させることによって、優れた透明性を示し、前面発光(top emission)または背面発光(bottom emission)などの有機電子装置の形態と関系なく、安定的な封止層で形成されることができる。
【0085】
上記有機電子装置は、前述したフィルムで封止層を構成することを除いて、当業界の通常の構成で提供されることができる。例えば、下部及び/または上部基板としては、当業界で通常的に使用されるガラス、金属または高分子フィルムなどを使用することができる。また、有機電子素子は、例えば、1対の電極及び1対の電極の間に形成された有機材料の層を含むことができる。ここで、1対の電極のうちいずれか1つは、透明電極で構成されることができる。また、有機材料の層は、例えば、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層などを含むことができる。
【0086】
本発明のさらに他の具現例は、表面に素子が形成されている基板に前述したフィルムを上記フィルムの第2層が上記素子と当接するように積層することを含む電子装置の製造方法を提供する。
【0087】
1つの例示で、上記電子装置の製造方法は、前述した電子装置を製造する方法であることができる。
【0088】
上記でフィルムを素子と当接するように積層することは、例えば、フィルムが素子の全面を覆うようにフィルムを適用することができる。
【0089】
また、フィルムの第2層が素子と当接するように積層することは、例えば、フィルムの第2層及び素子を接触させ、第2層を加熱し、流動性を付与した状態で素子に圧着することを含むことができる。1つの例示で、第2層は、常温で固相または半固相であり、素子と接触する時点では、第2層の65℃及び1Hzの条件で粘度を10〜10Pa.sの範囲に維持することができるように加熱することができる。第2層が、例えば、前述したホットメルト型接着層なら、素子が形成されている基板のように、高さの差がある表面にも浮き上り及び/または気泡なしに付着することが可能である。したがって、大面積の電子装置であっても、気泡などによって装置の性能低下がない電子装置を提供することができる。
【0090】
上記で、加熱は、第2層が熱硬化性樹脂を含む場合、上記過程で硬化反応が過度に行われ、封止層の密着力や接着力が減少するおそれがあるので、工程温度を約40℃〜100℃、工程時間を1分〜20分以内に制御することができる。
【0091】
また、上記圧着は、素子と第2層との間に気泡などが発生することを防止するために真空プレスなどを使用して行うことができる。
【0092】
また、上記製造方法は、フィルムの第2層が素子と当接するように積層した後に、第2層を硬化することを含むことができる。硬化工程は、例えば、硬化性樹脂の硬化方式によって適切な加熱チャンバまたは紫外線チャンバで進行されることができる。加熱条件または活性エネルギー線の照射条件は、電子素子の安定性と硬化性樹脂組成物の硬化性などを考慮して適切に選択されることができる。
【0093】
1つの例示で、硬化は、第2層が0℃以上、50℃以上、70℃以上、85℃以上または100℃以上のガラス転移温度を有するように行われることができる。第2層が上記範囲のガラス転移温度を有するように硬化が進行される場合、第1層のイオンが第2層に移動することを防止し、前述した効果を示すことができる。
【0094】
1つの例示で、フィルムは、素子に積層される前に、電子装置の上部基板にあらかじめ転写された状態であることができる。図5のように、フィルムが第1層12及び第2層11を含む場合、上部基板21には、フィルムの第1層12が転写されることができる。1つの例示で、上記第1層12が粘着特性を有する層なら、所定の圧力によって上部基板21と付着することができる。これにより、第1層の転写は、例えば、上記第1層と上記上部基板21と接触させて、ロールラミネーションして行うことができる。また、他の例示で、上記第1層12が接着特性を有する層なら、第1層12の転写は、第2層と素子を積層する方法のように行われることができ、第1層12を硬化することを含むことができる。その後、前述したように、フィルムの第2層11が素子23と積層されることができる。
【0095】
また、図6のように、フィルムが第2層11、第1層12及び第2層11を含む場合、上部基板21には、フィルムの第2層11が転写されることができる。上記第2層11の転写は、第2層と素子を積層する方法のように行われることができ、第2層を硬化することを含むことができる。
【0096】
上記で電子装置の製造方法の1つの例示を言及したが、上記電子装置の製造方法がこれに限定されるものではなく、上記のような方式で装置の製造を進行するが、工程の順序や条件などが変更されることができる。
【発明の効果】
【0097】
本発明では、優れた水分遮断性、取り扱い性、作業性及び耐久性を有する封止用フィルム及びその封止用フィルムで封止された素子を含む構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1図1は、1つの例示によるフィルムを概略的に示す図である。
図2図2は、他の1つの例示によるフィルムを概略的に示す図である。
図3図3は、1つの例示による有機電子装置を概略的に示す図である。
図4図4は、他の1つの例示による有機電子装置を概略的に示す図である。
図5図5は、1つの例示による有機電子装置の製造方法を概略的に示す図である。
図6図6は、他の1つの例示による有機電子装置の製造方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下、実施例及び比較例を通じて上記フィルムを詳しく説明するが、上記フィルムの範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0100】
1.引張弾性率の測定
実施例または比較例で製造した第1層または第2層を溶媒に溶解し、樹脂組成物を製造した。上記樹脂組成物を厚さ38μmの基材フィルム(離型ポリエステルフィルム、RS−21G、SKC社製)に塗布した。次いで、110℃で10分間乾燥し、厚さが40μmのコーティング膜を製造した。製造されたコーティング膜を製造時のコーティング方向を長さ方向にして、50mm×10mm(長さ×幅)のサイズに切断し、試験片を製造した後、上記試験片を長さ方向に25mmだけが残るように両端をテーピングした。次いで、テーピング部分を取って25℃で18mm/minの速度で引張しながら、引張弾性率を測定した。
【0101】
2.水分遮断性評価
12mm×12mm(長さ×幅)のサイズのガラス基板にカルシウム(Ca)を10mm×10mm(長さ×幅)のサイズで蒸着した。これとは別途に、実施例または比較例で製造したフィルムを12mm×12mm(長さ×幅)のサイズにカットした。次いで、フィルムの第1層または片面をカバーガラスに転写させた。次に、フィルムのカバーガラスが存在する面の反対面を上記ガラス基板のカルシウム上にラミネートし、真空プレス(vacuum press)を使用して、80℃で2分間加熱圧着し、100℃で3時間硬化させて封止層を形成し、試験片を製造した。その後、試験片を85℃及び85%相対湿度の恒温恒湿チャンバで約500時間維持しながら、上記カルシウム蒸着部分が酸化して透明に変化した長さを測定した。カルシウムは、一方向への全体長さが10mmであるので、カルシウムの一端から酸化した部分の長さが5mmになれば、カルシウムはすべて酸化する。
【0102】
3.耐久信頼性評価
実施例及び比較例で製造したフィルムをソーダライムガラス基板の間にラミネートし、真空プレス(vacuum press)を使用して、80℃で2分間加熱圧着し、100℃で3時間硬化させて封止層を形成し、試験片を製造した。その後、試験片を85℃及び85%相対湿度の恒温恒湿チャンバで約500時間維持しながら、ガラス基板と封止層との間の界面で浮き上りが発生したか否かを観察した。
【0103】
4.パネル適用可能性評価
100mm×100mm(長さ×幅)のサイズのガラス基板に、実施例または比較例で製造したフィルムを90mm×90mm(長さ×幅)のサイズにカットし、第1層または片面をカバーガラスに転写させた。次に、フィルムのカバーガラスが存在する面の反対面を100mm×100mm(長さ×幅)のサイズのガラス上に真空プレス(vacuum press)を使用して、80℃で2分間加熱圧着し、100℃で3時間硬化させて、パネルを製造し、内部に気泡が発生したか否かを観察した。
【0104】
実施例1
(1)第1層溶液製造
水分除去剤として焼成ドロマイト100重量部及び分散剤としてステアリン酸0.5重量部をトルエンに固形分50重量%の濃度で投入し、水分除去剤溶液を製造し、上記溶液をボールミール工程によって24時間ミーリングした。また、これとは別に、常温で反応器に第1層成分として重量平均分子量110万のポリイソブテン樹脂(商品名:B100、製造社:BASF)70重量部を投入し、粘着付与剤として水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂(商品名:SU−90、製造社:コーロング)30重量部を投入した後、トルエンで固形分が20重量%程度になるように希釈した。その後、反応器の内部を窒素で置換し、製造された溶液を均質化した。上記均質化された溶液にあらかじめ準備した水分除去剤溶液を焼成ドロマイトの含量が第1成分100重量部に対して50重量部になるように投入し、混合し、第1層溶液を製造した。
【0105】
(2)第2層溶液製造
常温で反応器にシラン変性エポキシ樹脂(KSR−177、KUKDO化学)100重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−011、KUKDO化学)100重量部及びフェノキシ樹脂(YP−50、DONGDO化成)80重量部を投入し、メチルエチルケトンで希釈した。その後、反応器の内部を窒素で置換し、製造された溶液を均質化した。上記均質化された溶液に硬化剤であるイミダゾール(四国化成)4重量部を投入した後、1時間高速撹拌し、第2層溶液を製造した。
【0106】
(3)フィルムの製造
上記で準備した第1領域の溶液を離型PETの離型面に塗布し、110℃で10分間乾燥し、厚さが40μmの第1層を形成した。
上記で準備した第2領域の溶液を離型PETの離型面に塗布し、130℃で3分間乾燥し、厚さが15μmの第2層を形成した。
上記第1層及び第2層をラミネートし、多層のフィルムを製造した。
【0107】
実施例2
水分除去剤溶液を、焼成ドロマイトの含量が第1成分100重量部に対して100重量部になるように投入したことを除いて、実施例1と同様に第1層溶液、第2層溶液及びフィルムを製造した。
【0108】
実施例3
水分除去剤溶液を、焼成ドロマイトの含量が第1成分100重量部に対して200重量部になるように投入したことを除いて、実施例1と同様に第1層溶液、第2層溶液及びフィルムを製造した。
【0109】
実施例4
(1)第1層溶液製造
常温で反応器に第1層成分としてカルボキシル−末端ブタジエン−アクリロニトリル共重合体変性エポキシ樹脂(CTBN−変性エポキシ樹脂、商品名:KR−207、製造社:KUKDO化学)100重量部を投入し、フェノキシ樹脂(YP−50、DONGDO化成)100重量部を投入した後、トルエンで固形分が20重量%程度になるように希釈した。その後、反応器の内部を窒素で置換し、製造された溶液を均質化した。次いで、均質化された溶液に硬化剤であるイミダゾール(四国化成)4重量部を投入した後、1時間高速撹拌した。このように得られた溶液に実施例1で製造したものと同一の水分除去剤溶液を、焼成ドロマイトの含量が第1成分100重量部に対して70重量部になるように投入し、混合し、第1層溶液を製造した。
【0110】
(2)第2層溶液製造
実施例1と同様に第2層溶液を製造した。
【0111】
(3)フィルムの製造
第1溶液として実施例4で製造したものを使用することを除いて、実施例1と同様にフィルムを製造した。
【0112】
実施例5
第1層成分としてCTBN−変性エポキシ樹脂100重量部を使用する代わりに、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂(DCPD)70重量部及びマレイン酸無水物で変性されたイソブテン−共重合体(商品名:Glissopal、製造社:BASF)30重量部を使用することを除いて、実施例4と同様に第1層溶液、第2層溶液及びフィルムを製造した。
【0113】
比較例1
第1層の溶液として実施例1の第2層溶液を使用し、上記溶液に実施例1で製造したもの と同一の水分除去剤溶液を、焼成ドロマイトの含量がエポキシ樹脂100重量部に対して10重量部になるように投入した溶液を使用することを除いて、実施例1と同様に第2層溶液及びフィルムを製造した。
【0114】
比較例2
水分除去剤溶液を焼成ドロマイトの含量がエポキシ樹脂100重量部に対して50重量部になるように投入したことを除いて、比較例1と同様に第1層溶液、第2層溶液及びフィルムを製造した。
【0115】
比較例3
水分除去剤溶液を焼成ドロマイトの含量がエポキシ樹脂100重量部に対して70重量部になるように投入したことを除いて、比較例1と同様に第1層溶液、第2層溶液及びフィルムを製造した。
【0116】
比較例4
水分除去剤溶液を焼成ドロマイトの含量がエポキシ樹脂100重量部に対して100重量部になるように投入したことを除いて、比較例1と同様に第1層溶液、第2層溶液及びフィルムを製造した。
【0117】
比較例5
(1)第1層溶液製造
比較例3の第1層溶液と同様に製造した。
【0118】
(2)第2層溶液製造
常温で反応器にポリイソブテン樹脂70重量部及び水素化されたジシクロペンタジエン系樹脂30重量部を投入した後、トルエンで固形分が20重量%程度になるように希釈した。その後、反応器の内部を窒素で置換し、製造された溶液を均質化し、第2層溶液を製造した。
【0119】
(3)フィルムの製造
第2層溶液として比較例5で製造した第2層溶液を使用したことを除いて、比較例3と同様にフィルムを製造した。
【0120】
比較例6
(1)第1層溶液製造
水分除去剤溶液を、焼成ドロマイトの含量が第1成分100重量部に対して70重量部になるように投入したことを除いて、実施例1と同様に第1層溶液を製造した。
【0121】
(2)第2層溶液製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易になるように冷却装置を設置した1L反応器にn−ブチルアクリレート(n−BA)98重量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート2重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc;ethyl aceate)100重量部を投入した。その後、酸素除去のために窒素ガスを1時間パージング(purging)し、温度を60℃に維持した。反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部及びn−ドデシルメルカプタン0.01重量部をさらに投入し、反応させた。反応後、エチルアセテートで反応物を希釈し、重量平均分子量が130万であり、固形分の濃度が25重量%であるアクリル樹脂溶液を製造した。上記溶液にエポキシ架橋剤として4官能性エポキシ化合物(商品名:BXX5627、製造社:東洋社)をアクリル樹脂溶液固形分100重量部に対して0.5重量部になるように投入し、混合し、第1層溶液を製造した。
【0122】
(3)フィルムの製造
第1層溶液として比較例6で製造したものを使用し、第2層溶液として比較例6で製造した第2層溶液を使用したことを除いて、実施例1と同様にフィルムを製造した。
【0123】
比較例7
第2層溶液として比較例5で製造したものを使用することを除いて、比較例6と同様に第1層溶液及びフィルムを製造した。
【0124】
【表1】
【符号の説明】
【0125】
11 第2層
12 第1層
21 上部基板
22 下部基板
23 素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6