【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するための本発明に係る電池セルは、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜が積層された構造の電極組立体が電池ケースに内蔵されている電池セルであって、前記電極組立体の外面のうち、電極端子に隣接した互いに対向する両面のうちの一面及び/又は他面に、電極組立体の外側方向に大きさが増加する湾入部が形成されている構造からなっている。
【0017】
したがって、本発明に係る電池セルは、電極組立体の外面に特定の構造の湾入部が形成されることで、屈曲または突出構造のデバイスの形態に適用可能であり、上記のような特定の構造に基づいて、様々な容量及び大きさを有する電池セルとして作製することができるので、デバイスの内部空間の活用度を極大化することができる。
【0018】
本明細書において、“電極端子に隣接した互いに対向する両面”は、例えば、電極組立体が六面体構造であり、電極端子がそのうちの一面に形成されているとき、前記一面に接しながら互いに対向する両面を意味する。したがって、電極組立体が直六面体構造であり、電極端子が相対的に幅の狭い一面に形成されているとき、前記両面は、前記一面に接しながら最も広い面積を有する前面と後面であり得る。
【0019】
一具体例において、前記電極組立体は、第1電極/分離膜/第2電極の順に積層された電極群が、分離膜が介在された状態で2つ以上積層されており、電極群のうちの少なくとも1つには、湾入部を形成するための開口が穿孔されている構造からなっている。詳細には、前記電極組立体は、開口が穿孔されていない基本電極群と、開口が穿孔されている1つ以上の穿孔電極群とが積層されている構造であり、より詳細には、前記電極組立体は、基本電極群と2つ以上の穿孔電極群とを含んでおり、前記基本電極群上に、開口の大きさが増加する順序で穿孔電極群が積層されている構造であってもよい。
【0020】
前記開口の大きさは、開口の中心を通る最大内径の大きさによって決定され、前記穿孔電極群は、基本電極群の一面の面積を基準として5〜80%の大きさの範囲で開口が穿孔されている。
【0021】
前記穿孔電極群における開口の形状は、デバイスの対応形状を考慮して選択することができ、詳細には、平面視で円形、楕円形、または多角形であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0022】
前記穿孔電極群の開口の配置は、特に限定されるものではなく、例えば、前記穿孔電極が同じ形状の開口を含む場合、前記開口の中心軸が一致する配列で積層されている構造であってもよい。
【0023】
場合によっては、開口の中心軸が電極組立体の垂直貫通軸に対して傾斜した形状、または開口の内面の一側端部が一致する配列で積層されている構造であってもよい。
【0024】
更に他の具体例において、それぞれの穿孔電極が様々な形状の開口を含むことができ、詳細には、前記穿孔電極群のうちの少なくとも2つの穿孔電極群は、互いに異なる形状の開口を含む構造からなることができる。
【0025】
したがって、上記のような穿孔電極群の積層方式及び開口の形状によって、様々な湾入部の構造をなすことができ、例えば、開口が同じ形状を有し、前記開口の中心軸が一致する配列においては、湾入部が、外側方向への大きさの増加が一定である大きさ勾配の形状を有する構造であってもよい。
【0026】
また、前記湾入部は、外側方向への大きさの増加が順次に大きくなる大きさ勾配の形状を有する構造、または前記湾入部は、外側方向への大きさの増加が順次に小さくなる大きさ勾配の形状を有する構造であってもよい。
【0027】
このように、前記湾入部の構造を多様に応用することによって、電池セルをデバイスの対応する形状に流動的に適用することができ、湾入部の大きさの分だけの内部空間の省スペースが可能であり、デバイスのデザインをより多様にすることができる。
【0028】
一具体例において、前記電池ケースは、湾入部を有する電極組立体の形状に対応しやすいものが好ましく、詳細には、前記電池ケースは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートまたは金属缶であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
したがって、ラミネートシートまたは金属缶からなる電池ケースの電極組立体収納部は、電極組立体の湾入部に対応して変形することで、湾入部が形成された電池セルをなすようになる。
【0030】
前記電池ケースの外形は様々な方法で形成することができる。例えば、本発明に係る電極が積層された電極組立体を電池ケースの収納部に挿入し、前記収納部の内部に真空を印加して前記収納部が収縮することによって、電池ケースの外形を形成させることができる。
【0031】
他の方法として、電極組立体の湾入部の形状に対応する金型(パンチなど)を用いて、湾入部が形成された電極組立体の上端部を圧着することによって、電池ケースの外形を形成させることができる。
【0032】
すなわち、前記電極組立体は、開口を含む電極、及び電極が積層されて形成する湾入部を含む構造からなっており、このような電極組立体を電池ケースの収納部に装着し、前記収納部に真空または圧着を加えると、電極組立体の外形に対応して電池ケースが収縮しながら変形して形成される。
【0033】
このような方法は、電極組立体のデザインが変わる毎に新たな電池ケースを製造しなければならないという問題を解決できるだけでなく、応力が局部的に集中する現象を抑制することができる。
【0034】
前記電池セルは、リチウムイオン電池またはリチウムイオンポリマー電池セルであってもよいが、これらに限定されないことは勿論である。
【0035】
一般に、リチウム二次電池は、正極、負極、分離膜、及びリチウム塩含有非水電解液で構成されている。
【0036】
前記正極は、例えば、正極集電体上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を塗布した後、乾燥して製造され、必要によっては、前記混合物に充填剤をさらに添加することもある。
【0037】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)などの層状化合物や、1つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li
1+xMn
2−xO
4(ここで、xは0〜0.33である)、LiMnO
3、LiMn
2O
3、LiMnO
2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2);LiV
3O
8、LiFe
3O
4、V
2O
5、Cu
2V
2O
7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi
1−xM
xO
2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn
2−xM
xO
2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である)またはLi
2Mn
3MO
8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn
2O
4;ジスルフィド化合物;Fe
2(MoO
4)
3などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
前記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物の全重量を基準として1〜30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0039】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物の全重量を基準として1〜30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0040】
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0041】
前記負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥して作製され、必要に応じて、上述したような成分が選択的にさらに含まれてもよい。
【0042】
前記負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;Li
xFe
2O
3(0≦x≦1)、Li
xWO
2(0≦x≦1)、Sn
xMe
1-xMe’
yO
z(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO
2、PbO、PbO
2、Pb
2O
3、Pb
3O
4、Sb
2O
3、Sb
2O
4、Sb
2O
5、GeO、GeO
2、Bi
2O
3、Bi
2O
4、Bi
2O
5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料などを使用することができる。
【0043】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が用いられる場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0044】
リチウム塩含有非水系電解液は、極性有機電解液とリチウム塩からなっている。電解液としては、非水系液状電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などが用いられる。
【0045】
前記非水系液状電解液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0046】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0047】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N−LiI−LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4−LiI−LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4−LiI−LiOH、Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0048】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0049】
また、非水系電解液には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもできる。
【0050】
本発明はまた、前記電池セルを電源として含んでいるデバイスを提供し、前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置などから選択されるものであってもよい。
【0051】
本発明はまた、前記電池セルを単位電池として2つ以上含んでいる電池パックを提供する。すなわち、前記電池セルを単位電池として2つ以上直列及び/又は並列に接続した構造の電池パックを提供し、このような電池パックは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electric Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置などのデバイスに使用することができる。
【0052】
これらデバイスの構造及びその作製方法は当業界で公知となっているので、本明細書では、それについての詳細な説明は省略する。