特許第6037587号(P6037587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037587
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】非定型構造の電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20161128BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20161128BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20161128BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M10/0585
   H01M2/02 K
   H01M2/10 Y
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-541704(P2015-541704)
(86)(22)【出願日】2014年2月11日
(65)【公表番号】特表2016-501423(P2016-501423A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】KR2014001102
(87)【国際公開番号】WO2014126369
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2015年5月11日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0015372
(32)【優先日】2013年2月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スンジン・クウォン
(72)【発明者】
【氏名】ドン−ミュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キウン・キム
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0015236(US,A1)
【文献】 特開2007−018917(JP,A)
【文献】 特開2013−101829(JP,A)
【文献】 特開2000−030670(JP,A)
【文献】 特開2011−113667(JP,A)
【文献】 特開2010−027368(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0115020(US,A1)
【文献】 特開2008−293771(JP,A)
【文献】 特表2013−518394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 2/02
H01M 2/10
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜が積層された構造の電極組立体が電池ケースに内蔵されている電池セルであって、
電極端子が前記電極組立体の外面に設けられており、
前記電極組立体の外面のうち、前記電極端子に隣接した互いに対向する両面のうちの一面及び/又は他面に、電極組立体の外側方向に大きさが増加する湾入部が形成されていることを特徴とする、電池セル。
【請求項2】
前記電極組立体は、第1電極/分離膜/第2電極の順に積層された電極群が、分離膜が介在された状態で2つ以上積層されており、電極群のうちの少なくとも1つには、湾入部を形成するための開口が穿孔されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記電極組立体は、開口が穿孔されていない基本電極群と、開口が穿孔されている1つ以上の穿孔電極群とが積層されていることを特徴とする、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記電極組立体は、基本電極群と2つ以上の穿孔電極群とを含んでおり、前記基本電極群上に、開口の大きさが増加する順序で穿孔電極群が積層されていることを特徴とする、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記開口の形状は、平面視で円形、楕円形、または多角形であることを特徴とする、請求項2に記載の電池セル。
【請求項6】
前記穿孔電極は、同じ形状の開口を含んでおり、開口の中心軸が一致する配列で積層されていることを特徴とする、請求項4に記載の電池セル。
【請求項7】
前記穿孔電極は、同じ形状の開口を含んでおり、開口の中心軸が電極組立体の垂直貫通軸に対して傾斜した形状で積層されていることを特徴とする、請求項4に記載の電池セル。
【請求項8】
前記穿孔電極は、同じ形状の開口を含んでおり、開口の内面の一側端部が一致する配列で積層されていることを特徴とする、請求項4に記載の電池セル。
【請求項9】
前記穿孔電極群のうちの少なくとも2つの穿孔電極群は、互いに異なる形状の開口を含んでいることを特徴とする、請求項4に記載の電池セル。
【請求項10】
前記開口の大きさは、開口の中心を通る最大内径の大きさによって決定されることを特徴とする、請求項4に記載の電池セル。
【請求項11】
前記穿孔電極群は、基本電極群の一面の面積を基準として5〜80%の大きさの範囲で開口が穿孔されていることを特徴とする、請求項4に記載の電池セル。
【請求項12】
前記湾入部は、外側方向への大きさの増加が一定である大きさ勾配の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項13】
前記湾入部は、外側方向への大きさの増加が順次に大きくなる大きさ勾配の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項14】
前記湾入部は、外側方向への大きさの増加が順次に小さくなる大きさ勾配の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項15】
前記電池ケースは、樹脂層と金属層を含むラミネートシート、または金属缶からなることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項16】
前記電池ケースの電極組立体収納部は、電極組立体の湾入部に対応して変形していることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項17】
前記電池セルは、リチウムイオン電池セルまたはリチウムイオンポリマー電池セルであることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル。
【請求項18】
請求項1乃至17のうちのいずれかに記載の電池セルを単位電池として2つ以上含んでいることを特徴とする、電池パック。
【請求項19】
請求項18に記載の電池パックを電源として含んでいる、デバイス。
【請求項20】
前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electric Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置からなる群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非定型構造の電池セルに係り、より詳細には、正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在された分離膜が積層された構造の電極組立体が電池ケースに内蔵されている電池セルであって、前記電極組立体の外面のうち、電極端子に隣接した互いに対向する両面のうちの一面及び/又は他面に、電極組立体の外側方向に大きさが増加する湾入部が形成されていることを特徴とする電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、その外形によって円筒形電池、角形電池、パウチ型電池などに大別され、電解液の形態によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池などに分類されることもある。
【0003】
モバイル機器の小型化に対する最近の傾向により、厚さの薄い角形電池とパウチ型電池に対する需要が増加しており、特に、形状の変形が容易であり、製造コストが低く、重量が小さいパウチ型電池への関心が高い実情である。
【0004】
一般に、パウチ型電池は、樹脂層と金属層を含んで構成されたラミネートシートのパウチ型ケースの内部に、電極組立体と電解質が密封されている電池のことをいう。電池ケースに収納される電極組立体は、ジェリーロール型(巻き取り型)、スタック型(積層型)、または複合型(スタック/フォールディング)の構造となっている。
【0005】
図1には、スタック型電極組立体を含んでいるパウチ型二次電池の構造が模式的に示されている。
【0006】
図1を参照すると、パウチ型二次電池10は、電極組立体30と、電極組立体30から延びている電極タブ40,50と、電極タブ40,50に溶接されている電極リード60,70と、電極組立体30を収容する電池ケース20とを含んで構成されている。
【0007】
電極組立体30は、分離膜が介在された状態で正極と負極が順次積層されている発電素子であって、スタック型またはスタック/フォールディング型構造からなっている。電極タブ40,50は電極組立体30の各極板から延びており、電極リード60,70は、各極板から延びた複数個の電極タブ40,50と、例えば、溶接によりそれぞれ電気的に接続されており、電池ケース20の外部に一部が露出している。また、電極リード60,70の上下面の一部には、電池ケース20との密封度を高めると同時に電気的絶縁状態を確保するために、絶縁フィルム80が付着されている。
【0008】
電池ケース20は、アルミニウムラミネートシートからなっており、電極組立体30を収容することができる空間を提供し、全体的にパウチ形状を有している。図1に示したような積層型電極組立体30の場合、多数の正極タブ40及び多数の負極タブ50が電極リード60,70に共に結合可能なように、電池ケース20の内部上端は電極組立体30から離隔している。
【0009】
しかし、最近、スリムなタイプまたは様々なデザインのトレンド変化(trend change)により、新しい形態の電池セルが要求されている。
【0010】
また、上記のような電池セルは、同一の大きさ又は容量の電極組立体を含む構成となっているので、電池セルが適用されるデバイスのデザインを考慮して新規な構造とするためには、電池セルの容量を減少させるか、またはさらに大きい大きさにデバイスのデザインを変更しなければならないという問題がある。
【0011】
このような問題点を改善するために、一部の先行技術では、互いに異なる大きさの電池セルを積層して電池パックを構成することもある。しかし、このような電池パックは、電池セルを積層する構造であるから、積層された電池セル間には電気化学的反応を共有できず、結果的に電池パックの厚さが厚くなり、このような厚さによって電池の容量が減少することがある。
【0012】
また、このようなデザイン変更過程で電気的接続方式が複雑になり、それにより、所望の条件を満たす電池セルの作製が難しくなるという問題もある。
【0013】
したがって、電池セルが適用されるデバイスの形状に応じて適用可能な電極組立体、及びそれを含む電池セルに対する必要性が高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0015】
具体的に、本発明の目的は、様々なデバイスの形状及び空間に装着可能な構造に設計して、デバイスの内部空間の活用度を極大化し、一般的に長方形の構造を有するデバイスの外形構造を超えて、様々な外形を有するデバイスにおいても効率的に装着可能な電池セルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するための本発明に係る電池セルは、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜が積層された構造の電極組立体が電池ケースに内蔵されている電池セルであって、前記電極組立体の外面のうち、電極端子に隣接した互いに対向する両面のうちの一面及び/又は他面に、電極組立体の外側方向に大きさが増加する湾入部が形成されている構造からなっている。
【0017】
したがって、本発明に係る電池セルは、電極組立体の外面に特定の構造の湾入部が形成されることで、屈曲または突出構造のデバイスの形態に適用可能であり、上記のような特定の構造に基づいて、様々な容量及び大きさを有する電池セルとして作製することができるので、デバイスの内部空間の活用度を極大化することができる。
【0018】
本明細書において、“電極端子に隣接した互いに対向する両面”は、例えば、電極組立体が六面体構造であり、電極端子がそのうちの一面に形成されているとき、前記一面に接しながら互いに対向する両面を意味する。したがって、電極組立体が直六面体構造であり、電極端子が相対的に幅の狭い一面に形成されているとき、前記両面は、前記一面に接しながら最も広い面積を有する前面と後面であり得る。
【0019】
一具体例において、前記電極組立体は、第1電極/分離膜/第2電極の順に積層された電極群が、分離膜が介在された状態で2つ以上積層されており、電極群のうちの少なくとも1つには、湾入部を形成するための開口が穿孔されている構造からなっている。詳細には、前記電極組立体は、開口が穿孔されていない基本電極群と、開口が穿孔されている1つ以上の穿孔電極群とが積層されている構造であり、より詳細には、前記電極組立体は、基本電極群と2つ以上の穿孔電極群とを含んでおり、前記基本電極群上に、開口の大きさが増加する順序で穿孔電極群が積層されている構造であってもよい。
【0020】
前記開口の大きさは、開口の中心を通る最大内径の大きさによって決定され、前記穿孔電極群は、基本電極群の一面の面積を基準として5〜80%の大きさの範囲で開口が穿孔されている。
【0021】
前記穿孔電極群における開口の形状は、デバイスの対応形状を考慮して選択することができ、詳細には、平面視で円形、楕円形、または多角形であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0022】
前記穿孔電極群の開口の配置は、特に限定されるものではなく、例えば、前記穿孔電極が同じ形状の開口を含む場合、前記開口の中心軸が一致する配列で積層されている構造であってもよい。
【0023】
場合によっては、開口の中心軸が電極組立体の垂直貫通軸に対して傾斜した形状、または開口の内面の一側端部が一致する配列で積層されている構造であってもよい。
【0024】
更に他の具体例において、それぞれの穿孔電極が様々な形状の開口を含むことができ、詳細には、前記穿孔電極群のうちの少なくとも2つの穿孔電極群は、互いに異なる形状の開口を含む構造からなることができる。
【0025】
したがって、上記のような穿孔電極群の積層方式及び開口の形状によって、様々な湾入部の構造をなすことができ、例えば、開口が同じ形状を有し、前記開口の中心軸が一致する配列においては、湾入部が、外側方向への大きさの増加が一定である大きさ勾配の形状を有する構造であってもよい。
【0026】
また、前記湾入部は、外側方向への大きさの増加が順次に大きくなる大きさ勾配の形状を有する構造、または前記湾入部は、外側方向への大きさの増加が順次に小さくなる大きさ勾配の形状を有する構造であってもよい。
【0027】
このように、前記湾入部の構造を多様に応用することによって、電池セルをデバイスの対応する形状に流動的に適用することができ、湾入部の大きさの分だけの内部空間の省スペースが可能であり、デバイスのデザインをより多様にすることができる。
【0028】
一具体例において、前記電池ケースは、湾入部を有する電極組立体の形状に対応しやすいものが好ましく、詳細には、前記電池ケースは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートまたは金属缶であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
したがって、ラミネートシートまたは金属缶からなる電池ケースの電極組立体収納部は、電極組立体の湾入部に対応して変形することで、湾入部が形成された電池セルをなすようになる。
【0030】
前記電池ケースの外形は様々な方法で形成することができる。例えば、本発明に係る電極が積層された電極組立体を電池ケースの収納部に挿入し、前記収納部の内部に真空を印加して前記収納部が収縮することによって、電池ケースの外形を形成させることができる。
【0031】
他の方法として、電極組立体の湾入部の形状に対応する金型(パンチなど)を用いて、湾入部が形成された電極組立体の上端部を圧着することによって、電池ケースの外形を形成させることができる。
【0032】
すなわち、前記電極組立体は、開口を含む電極、及び電極が積層されて形成する湾入部を含む構造からなっており、このような電極組立体を電池ケースの収納部に装着し、前記収納部に真空または圧着を加えると、電極組立体の外形に対応して電池ケースが収縮しながら変形して形成される。
【0033】
このような方法は、電極組立体のデザインが変わる毎に新たな電池ケースを製造しなければならないという問題を解決できるだけでなく、応力が局部的に集中する現象を抑制することができる。
【0034】
前記電池セルは、リチウムイオン電池またはリチウムイオンポリマー電池セルであってもよいが、これらに限定されないことは勿論である。
【0035】
一般に、リチウム二次電池は、正極、負極、分離膜、及びリチウム塩含有非水電解液で構成されている。
【0036】
前記正極は、例えば、正極集電体上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を塗布した後、乾燥して製造され、必要によっては、前記混合物に充填剤をさらに添加することもある。
【0037】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や、1つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2−x(ここで、xは0〜0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1−x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2−x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
前記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物の全重量を基準として1〜30重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0039】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物の全重量を基準として1〜30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0040】
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0041】
前記負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥して作製され、必要に応じて、上述したような成分が選択的にさらに含まれてもよい。
【0042】
前記負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料などを使用することができる。
【0043】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が用いられる場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0044】
リチウム塩含有非水系電解液は、極性有機電解液とリチウム塩からなっている。電解液としては、非水系液状電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などが用いられる。
【0045】
前記非水系液状電解液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0046】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0047】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0048】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0049】
また、非水系電解液には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもできる。
【0050】
本発明はまた、前記電池セルを電源として含んでいるデバイスを提供し、前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置などから選択されるものであってもよい。
【0051】
本発明はまた、前記電池セルを単位電池として2つ以上含んでいる電池パックを提供する。すなわち、前記電池セルを単位電池として2つ以上直列及び/又は並列に接続した構造の電池パックを提供し、このような電池パックは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electric Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、及び電力貯蔵装置などのデバイスに使用することができる。
【0052】
これらデバイスの構造及びその作製方法は当業界で公知となっているので、本明細書では、それについての詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】従来の電池セルに対する模式図である。
図2】本発明に係る湾入部が形成された電極組立体を含んでいる電池セルの模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電極群の模式図である。
図4】電極群及び積層形態を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電極組立体の模式図、及び電極組立体の横方向(A−A’)の断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る電極組立体の模式図、及び電極組立体の横方向(A−A’)の断面図である。
図7】本発明の更に他の実施形態に係る電極組立体の模式図、及び電極組立体の横方向(A−A’)の断面図である。
図8】本発明の更に他の実施形態に係る電極組立体の模式図、及び電極組立体の横方向(A−A’)の断面図である。
図9】本発明の更に他の実施形態に係る電極組立体の模式図、及び電極組立体の横方向(A−A’)の断面図である。
図10】本発明の更に他の実施形態に係る電極組立体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下では、本発明の実施形態に係る図面を参照して説明するが、これは、本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0055】
図2には、本発明に係る湾入部が形成された電極組立体を含んでいる電池セルの構造が模式的に示されている。
【0056】
図2を参照すると、電池セル100は、パウチ型電池ケース120の内部に、外側方向に大きさが増加する湾入部220が形成された電極組立体222が、その正極及び負極タブ130,140と電気的に接続される2つの電極リード132,142が外部に露出するように密封されている構造となっている。
【0057】
図3には、本発明の一実施形態に係る電極群に対する平面図が示されており、図4には、電極群及び積層形態が模式的に示されている。
【0058】
これら図面を参照すると、基本電極群200は、第1電極160と第2電極162との間に分離膜190が介在する構造からなっている。第1穿孔電極群202は、第1電極170及び第2電極172に互いに同じ大きさの開口203が穿孔されており、第1電極170と第2電極172との間に分離膜191が介在する構造からなっている。第2穿孔電極群204は、第1電極180及び第2電極182に第1穿孔電極群202の開口203よりも広い大きさの開口205が穿孔されており、第1電極180と第2電極182との間に分離膜192が介在する構造からなっている。基本電極群200上に、第1穿孔電極群202及び第2穿孔電極群204は、開口203,205の大きさが積層方向に増加するように順次配置される。具体的に、基本電極群200の上面に分離膜(図示せず)が介在された状態で第1穿孔電極群202が積層され、第1穿孔電極群202の上面に分離膜が介在された状態で第2穿孔電極群204が積層される。
【0059】
図5には、本発明の一実施形態に係る電極組立体の模式図、及び電極組立体の横方向(A−A’)の断面図が示されている。
【0060】
図5を参照すると、電極組立体222は、第1穿孔電極群202及び第2穿孔電極群204が、互いに同じ形状を有する開口の中心軸と電極組立体の垂直貫通軸Cとが互いに一致する配列で積層されることで、湾入部220を形成し、湾入部220は、大きさが増加する順序で第1穿孔電極群202及び第2穿孔電極群204が積層されることによって、電極組立体222の外側方向への大きさ勾配Gを成し、大きさの増加が一定の割合で大きくなる構造を成している。
【0061】
図6には、本発明の他の実施形態に係る電極組立体の模式図、及び電極組立体の横方向(A−A’)の断面図が示されている。
【0062】
図6を参照すると、電極組立体322は、第1穿孔電極群302及び第2穿孔電極群304が、互いに同じ形状を有する開口の中心軸C1,C2が電極組立体の垂直貫通軸Cに対して一定の勾配G1で傾斜した形状で積層される構造であり、電極組立体の外部の両側面には、勾配G1と同じ傾きをなす段差306が形成されている。
【0063】
図7には、本発明の更に他の実施形態に係る電極組立体の模式図、及び前記電極組立体の横方向(A−A’)の断面図が示されている。
【0064】
図7を参照すると、電極組立体422は、第1穿孔電極群402及び第2穿孔電極群404が、互いに同じ形状を有する開口の内面の一側端部が垂直貫通軸Hを基準として互いに一致する配列で積層されている構造からなっている。
【0065】
図8には、本発明の更に他の実施形態に係る電極組立体の模式図、及び前記電極組立体の横方向(A−A’)の断面図が示されている。
【0066】
図8を参照すると、電極組立体522は、穿孔電極群502が、開口の中心軸と電極組立体の垂直貫通軸Cとが互いに一致する配列で積層されて湾入部520を形成し、湾入部520は、開口の大きさが増加する順序で穿孔電極群502が積層されることによって、電極組立体522の外側方向への大きさ勾配G2を成し、その大きさの増加が順次に小さくなる構造を成している。
【0067】
図9には、本発明の更に他の実施形態に係る電極組立体の模式図、及び電極組立体の横方向(A−A’)の断面図が示されている。
【0068】
図9を参照すると、電極組立体622は、穿孔電極群602が、開口の中心軸と電極組立体の垂直貫通軸Cとが互いに一致する配列で積層されて湾入部620を形成し、湾入部620は、開口の大きさが増加する順序で穿孔電極群602が積層されることによって、電極組立体622の外側方向への大きさ勾配G3を成し、その大きさの増加が順次に大きくなる構造を成している。
【0069】
図10には、本発明の更に他の実施形態に係る電極組立体の模式図が示されている。
【0070】
図10を参照すると、電極組立体722は、円形の開口720を含む穿孔電極群と、多角形の開口721を含む穿孔電極群との積層体からなる構造となっている。
【0071】
図2乃至図10に示したように、本発明に係る電池セルは、様々な大きさの湾入部を有する電池セルとして作製することができ、したがって、従来において電池セルの装着が困難であった空間まで容易に装着可能であるだけでなく、デバイスの内部構造に応じて、限定された空間においてより大きい容量を有するセルを装着できるので、デバイスの内部空間の活用度を極大化することができる。
【0072】
当業者であれば、上記の内容に基づいて本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上で説明したように、本発明に係る電池セルは、その外側方向に大きさが増加する湾入部が形成されることで、デバイスの様々な形状に適用可能であり、さらに、電池セルの装着空間の確保を容易にすることができるので、デバイスの内部空間の活用度を極大化させることができるだけでなく、デバイスに高容量の電池セルの使用が可能であり、デバイスをより小型化することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0074】
100 電池セル
120 パウチ型電池ケース
130,140 正極及び負極タブ
132,142 電極リード
200 湾入部
222 電極組立体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10