【文献】
Tatsuya Ariga, Hideo Hoshino, Taisuke Miura and Akira Endo ”High power and short pulse RF−excited CO2 laser MOPA system for LLP EUV light source”, Proceedings of SPIE, Vol.6101, pp.61011N−1〜61011N−8(独立行政法人化学技術振興機構受入れ日 2006年4月24日)
【文献】
J.Soures, S.Kumpan, and J.Hoose ”High Power Nd:Glass Laser for Fusion Applications”, Applied Optics, Vol.13, No.9, pp.2081−2094, September 1974
【文献】
J. N. Olsen ”Pulse shaping in the iodine laser”, Journal of Applied Physics, Vol.47, No.12, pp.5360−5364, December 1976
【文献】
H.KOMORI, Y.UENO, H.HOSHINO, T.ARIGA, G.SOUMAGNE, A.ENDO and H.MIZOGUCHI ”EUV radiation characteristics of a CO2 laser produced Xe plasma” Applied Physics B, Vol.83, pp.213−218,(独立行政法人化学技術振興機構受入れ日 2006年5月9日)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上を踏まえて、本出願人は、上述の特性を有するレーザ光を効率的に生成するためのシステム及び方法を、他の指定のレーザ出力特性を生成するレーザ源の設計に拡張可能である本明細書に与える教示と共に開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の第1の態様では、レーザ光源は、出力ビームを生成するレーザ発振器と、出力ビームを増幅して第1の増幅ビームを生成する第1の増幅器と、第1の増幅ビームを増幅して第2の増幅ビームを生成する第2の増幅器とを含むことができる。この態様では、第1の増幅器は、飽和エネルギ(E
S、1)及び小信号利得(g
o、1)により特徴付けられる利得媒体を有することができ、第2の増幅器は、(g
o、
1)>(g
o、
2)及び(E
s、
2)>(E
s、
1)である飽和エネルギ(E
s、
2)及び小信号利得(g
o、
2)により特徴付けられる利得媒体を有することができる。レーザ光源は、第2の増幅ビームを増幅して第3の増幅ビームを生成する第3の増幅器を更に含むことができ、第3の増幅器は、g(
o、
1)>(g
o、
2)>(g
o、
3)及び(E
s、
3)>(E
s、
2)>(E
s、
1)である飽和エネルギ(E
s、
3)及び小信号利得(g
o、
3)により特徴付けられる利得媒体を有する。
【0010】
一実施形態では、第1の増幅器利得媒体は、第1のガス組成を有するガスを含むことができ、特定的な実施形態では、第2の増幅器利得媒体は、第1のガス組成と異なるガス組成を有するガスを含むことができる。一実施形態では、第1の増幅器利得媒体は、ガス圧P
1のガスとすることができ、第2の増幅器利得媒体は、ガス圧P
2のガスとすることができ、P
1≠P
2である。上述の実施形態のいずれに対しても、ガスは、CO
2を含むことができる。
【0011】
レーザ光源の別の態様では、レーザ発振器は、例えば、モード固定レーザ発振器、q−スイッチレーザ発振器、又は他の空洞減衰レーザ発振器とすることができる。特定的な実施形態では、レーザ光源は、時間的パルス伸長器を更に含むことができる。1つの設定においては、時間的パルス伸長器は、発振器からレーザパルスを受け取って、そこから増幅器による増幅のために伸張パルスを生成するように位置決めされる。
【0012】
実施形態の別の態様では、EUV光源は、EUV線放出元素を含有する小滴を生成する小滴発生器と、小滴を照射してEUV放射を生成するためのレーザ光源とを含むことができる。EUV光源に関しては、レーザ光源は、レーザパルスを生成するレーザ発振器と、レーザパルスを伸長する時間的パルス伸長器と、レーザパルスを増幅する増幅器とを含むことができる。特定的な実施形態では、増幅器は、パルスを増幅して第1の増幅ビームを生成する第1の増幅器とすることができ、第1の増幅器は、飽和エネルギ(E
s、
1)及び小信号利得(g
o、
1)により特徴付けられる利得媒体を有し、EUV光源は、第1の増幅ビームを増幅して第2の増幅ビームを生成する第2の増幅器を更に含むことができ、第2の増幅器は、(g
o、
1)>(g
o、
2)及び(E
s、
2)>(E
s、
1)である飽和エネルギ(E
s、
2)及び小信号利得(g
o、2)により特徴付けられる利得媒体を有する。例えば、EUV線放出元素は、スズとすることができる。特定的な実施例では、レーザ発振器は、10〜30nsの範囲のパルス幅を有するレーザパルスを生成することができ、時間的パルス伸長器は、50〜150nsの範囲のパルス幅を有するレーザパルスを生成することができる。
【0013】
実施形態の態様はまた、シードレーザビームを生成する段及び/又は段階と、飽和エネルギ(E
s、
1)及び小信号利得(g
o、
1)により特徴付けられる第1の利得媒体を使用してシードビームを増幅し、第1の増幅ビームを生成する段及び/又は段階と、(g
o、
1)>(g
o、
2)及び(E
s、
2)>(E
s、
1)である飽和エネルギ(E
s、
2)及び小信号利得(g
o、
2)により特徴付けられる利得媒体を有する第2の利得媒体を使用して第1の増幅ビームを増幅し、第2の増幅ビームを生成する段及び/又は段階とを含むレーザ光を発生させる方法を含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態の更に別の態様は、EUV線放出元素、例えば、スズを含有する材料と、少なくとも1つのレーザパルスの供給源、例えば、CO
2レーザと、少なくとも3つのピークを有するようにパルスの形状を修正するパルス伸長器とを有するEUV光源を含み、伸長器が、ピークの相対マグニチュードを定めるビームスプリッタ及びピークの時間的分離を確立する遅延経路を有し、修正パルス形状が、材料を照射し、パルス伸長器がない場合に発生するEUV強度よりも大きいEUV強度を生成するように選択されるとして特徴付けることができる。一実施形態では、修正ビームの第1のピークは、修正ビームの別のピークよりも低い強度を有し、特定的な実施形態では、第1のピークの1つ又はそれよりも多くのパラメータは、プレパルスで材料を照射し、第2のピークによるその後の照射に向けて線放出元素を空間的に拡張させるように選択される。一構成においては、パルス伸長器は、非変位式パルス伸長器とすることができ、特定の構成においては、パルス伸長器は、伸長器を出る異なる経路上に各パルスピークを置くことができ、材料は、小滴の形態とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
最初に
図1を参照すると、本発明の一態様による例示的なEUV光源、例えば、レーザ生成プラズマEUV光源20の概略図が示されている。
図1に示し、かつ以下でより詳細に説明するように、LPP光源20は、光パルスを生成して、チャンバ26内に光パルスを送出する供給源22を含むことができる。以下で詳細するように、光パルスは、供給源22からから1つ又はそれよりも多くのビーム経路に沿って、かつチャンバ26内に進んで1つ又はそれよりも多くのターゲット容積を照明することができる。
【0017】
図1に更に示すように、光源20は、例えば、ターゲット容積28までチャンバ26の内部に原材料の小滴を送出する原材料送出システム24を含むことができ、チャンバ26で、原材料ターゲットは、プラズマを生成してEUV放射を生成するために1つ又はそれよりも多くの光パルス、例えば、プレパルス、次に、主要パルスにより照射されることになる。原材料としては、スズ、リチウム、キセノン、又はその組合せを含む材料を含むことができるが、これに限定されるものではない。EUV放射元素、例えば、スズ、リチウム、キセノンなどは、液体小滴、及び/又は液体小滴内に含有された固体粒子、又はEUV放射元素をターゲット容積に供給するあらゆる他の形態とすることができる。
【0018】
引き続き
図1を用いて、光源20は、供給源22により生成された光パルスがターゲット容積28を通過し、かつターゲット容積28に到達することを可能にする開口を有する、例えば、長軸に対して直角に切断された楕円の形態の収集器30、例えば、反射体、例えば、モリブデン及びシリコンの交互層を有する多層ミラーを含むことができる。収集器30は、例えば、ターゲット容積28内又はその近くに第1の焦点、及びEUV光を光源20から出力して、例えば、集積回路リソグラフィツール(図示せず)に入力することができるいわゆる中間点40(中間焦点40とも呼ばれる)に第2の焦点を有する楕円ミラーとすることができる。
【0019】
光源20は、EUV光源制御システム60を含むことができ、EUV光源制御システム60は、供給源22内の1つ又はそれよりも多くのランプ及び/又はレーザ源を起動させることによりチャンバ26に送出のための光パルスを生成する発射制御システム65を含むことができる。光源20はまた、小滴位置検知システムを含むことができ、小滴位置検知システムは、例えば、ターゲット容積28に対して1つ又はそれよりも多くの小滴の位置を示す出力を供給する1つ又はそれよりも多くの小滴撮像装置70を含み、かつこの出力を小滴位置検出フィードバックシステム62に供給することができ、これは、例えば、小滴単位で又は平均して、小滴誤差を計算することができる例えば小滴位置及び軌道を計算することができる。小滴誤差は、次に、光源コントローラ60への入力として供給することができ、光源コントローラ60は、例えば、位置、方向、及びタイミング補正信号を供給源22に供給して供給源タイミング回路を制御し、及び/又は例えばチャンバ26に送出されている光パルスの位置及び/又は焦点屈折力を変えるようにビーム位置及び整形システムを制御することができる。
【0020】
図1に示すように、光源20は、例えば、望ましいターゲット容積28に到着する小滴内の誤差を補正するように小滴送出機構92からの原材料の放出点を修正するために、システムコントローラ60からの信号(一部の実施例では、上述の小滴誤差又はそこから導出した何らかの量を含むことができる)に応答して作動可能な小滴送出制御システム90を含むことができる。
【0021】
図2は、発振器ユニット200及び増幅ユニット202を含む供給源22の一実施形態を示している。例えば、発振器ユニット200は、パルスガス放電CO
2、エキシマ又は分子フッ素レーザ発振器を含むことができ、増幅ユニット202は、発振器又は単一/二重通過増幅器として構成された1つ又はそれよりも多くのガス放電CO
2、エキシマ又は分子フッ素レーザユニットを含むことができる。増幅ユニット202内のレーザユニットは、並列又は直列に配置することができる。
【0022】
図3は、発振器ユニット200’、時間的パルス伸長器300、及び増幅ユニット202’を含む供給源22’の別の実施形態を示している。時間的パルス伸長器に関するより多くの詳細は、2005年8月9日にWebb他に付与された「長期遅延及び高TISパルス伸長器」という名称の米国特許第6、928、093号、2006年3月31日出願の「共焦点パルス伸長器」という名称の米国特許出願第11/394、512号(代理人整理番号第2004−0144−01号)、2005年5月26日出願の「線ビームとして整形されたレーザと基板上に堆積された膜の間での相互作用を実施するシステム及び方法」という名称の米国特許出願第11/138、001号(代理人整理番号第2004−0128−01号)、及び2002年5月7日出願の「ビーム送出を備えたレーザリソグラフィ光源」という名称の米国特許出願第10/141、216号で現在の米国特許第6、693、939号に見ることができ、これらの各々の開示内容は、本明細書において引用により組み込まれている。一般的に、これらの光学パルス伸長器は、遅延経路304に沿って一部のビームを通過させるビームスプリッタ302を含み、適切なビームスプリッタ反射率及び遅延ビーム路長を選択することにより、伸長器を出るパルス形状を制御することができる。具体的には、パルス伸長器300は、単一ピーク(すなわち、強度と時間のプロットにおいて)を通常有する入力パルスを受光し、複数の時間的に離間したピークを有するパルスを出力する。図示のように、伸長器300は、実質的に無損失性とすることができる。パルスピークが共通のビーム経路で全て出力される場合に対しては、パルス伸長器は、本明細書では非変位パルス伸長器と呼ぶ。
図3に示す配置に対しては、伸長器300の構成要素は、パルス伸長器が非変位であるように整列させることができる。
【0023】
伸長器に関しては、ビームスプリッタの反射率は、出力ピークの相対マグニチュードに影響を与えることになり、遅延経路の長さは、ピーク間の時間的分離を確立することができる。従って、出力パルス形状は、ビームスプリッタ反射率の適切な選択及び遅延経路の長さにより設計することができる。
【0024】
更に、一部の場合には、出力パルス形状は、EUV出力及び/又は変換効率(すなわち、出力EUV電力とEUV光源入力電力の比)を増大し、及び/又は原材料の消費量、例えば、スズ消費量を低減し、及び/又は様々なプラズマチャンバ光学要素、例えば、ミラー、ウィンドなど)の作動効率を潜在的に損なうか又は低減する可能性があるプラズマチャンバ内での好ましくない副産物(例えば、デブリ)の形成を低減するように最適化することができる。
【0025】
一部の用途に最適とすることができる1つの特定のパルス形状は、
図3A及び
図3Bに示すように、プレパルスピーク、及びそれに続くより強い主パルスピークを含む。より詳細には、
図3Aは、パルス伸長器を出るパルス310の形状を示しており、ビームスプリッタの反射率は、第2のピーク312の強度が第1のピーク314よりも増大するように選択され、遅延経路長は、最初の2つのピークが時間t
1によって分離されるように選択されたものである。ピーク312に対応する尾部は、そのピークに対応する尾部と重複し、従って、2つのピークは同じパルスの一部であることは認められるものとする。例示する目的で、
図3Bは、パルス伸長器を出るパルス’の形状を示しており、ビームスプリッタの反射率は、
図3Aに対応するビームスプリッタとほぼ同じであり、従って、第2のピーク312’は、強度が第1のピーク314’よりも大きいが、第1のピーク314’よりも長い遅延経路長を使用しており、この時点で、2つのピークは、時間t
2により分離され、t
2>t
1である。それに反して、
図3Cは、同じく例示する目的で、パルス伸長器を出るパルス310’’に対する形状を示しており、ビームスプリッタの反射率は、
図3Aに対応するビームスプリッタを下回り、従って、第2のピーク312’’は、強度が第1のピーク314’’よりも小さい。尚、パルス310’’の遅延経路長は、結果としてピークの分離時間t
3になるパルス310の遅延経路長とほぼ同じであり、t
3=t
1である。従って、
図3Aは、ビームスプリッタ反射率及び遅延ビーム路長を変えることにより、広い範囲のパルス形状を生成することができることを示している。
【0026】
EUV電力及び/又は変換効率を増大させ、及び/又は消費/デブリを低減するプレパルスの使用の詳細は、代理人整理番号第2005−0085−01号である2006年2月21日出願の「プレパルスによるレーザ生成プラズマEUV光源」という名称の現在特許出願中の米国特許出願出願番号第11/358、988号に見ることができ、この特許の開示内容は、本明細書において引用により組み込まれている。一部の場合には、プレパルスピークを使用して原材料、例えば、スズ滴を蒸発させて空間的に拡張し、その後の主パルスを使用して、拡張原材料からEUV放射を生成することができる。
【0027】
プレパルスピークのマグニチュードによっては、原材料は、一部の実施例では、弱いプラズマを形成することができる。本明細書で使用する時、用語「弱いプラズマ」及びその派生語は、イオンを含むが約1%未満が電離された材料を意味する。予め選択した時間が、プレパルスピークでの照射後に経過した後、照射された材料を主パルスピークプラズマに露光させてEUV放射を作り出すことができる。例えば、COレーザ源及びスズ滴に対しては、1〜10mJプレパルス及び50〜400mJの主パルスが適切とすることができる。
【0028】
上述のように、
図3に示す伸長器300の構成要素は、パルス伸長器が非変位であるように整列させることができる。代替的に、
図3Dに示すように、各連続パルスピークが僅かに異なる経路に沿って誘導されるようにパルス伸長器300’を製造するために、光学構成要素(すなわち、遅延路304’を定めるビームスプリッタ302’又はミラー)の1つ又はそれよりも多くのアラインメントの僅かな変更を行うことができる。特に、伸長器300に対しては、第1のパルスピークは、経路320に沿って放出することができ、第2のパルスピークは、経路322に沿って放出することができ、第3のパルスピークは、経路324に沿って放出することができ、第4のパルスピークは、経路326に沿って放出することができる等々である。この構成では、パルスの連続は、方向330における移動で示すように、移動中の材料328、例えば、小滴又はプレパルス容積に「追随」することができる。
【0029】
図3に示す構造に対しては、発振器ユニット200’は、レーザ発振器、例えば、モード固定レーザ発振器、q−スイッチレーザ発振器、又は他の空洞減衰レーザ発振器を含むことができる。レーザ発振器は、その後にパルス伸長器を使用して増大させる所望よりも短い例えば10〜30nsの範囲のパルス幅を供給することができる。一部のLPP構成に対しては、短パルス幅は、EUV光源の変換効率(すなわち、EUV出力と原材料/レーザ入力の比)を制限する場合がある。例えば、一部のCO
2放射線のためのパルス増幅器に対しては、長パルスの増幅は、CO
2モジュールの同じ振動帯域の回転線間のエネルギ交換のために短(10ns範囲)パルスの場合よりも効率的である。長パルスの使用は、プレパルスの複雑さを回避することができる。例えば、スズ滴を使用する一部のLPP構成に対しては、適切なパルス幅は、約20〜180ns、恐らくは50〜150nsの範囲とすることができる。伸長器300の使用には、プレパルスがパルス伸長器300を通過又は迂回する状態でプレパルスが使用される構成への用途もあると考えられる。
【0030】
図3に示す設定に対しては、時間的パルス伸長器300は、発振器ユニット200からレーザパルスを受光して、増幅ユニット202によるその後の増幅に向けて伸長パルスを生成するように位置決めされる。この構成は、増幅ユニット202の前にピークのパルス強度を下げ、高強度による増幅ユニット光学要素の損傷を低減する。他の配置も可能であり、例えば、パルス伸長器は、増幅ユニット202’内のレーザユニットの1つ、一部、又は全ての後に位置決めすることができる。
【0031】
図4は、
図2又は
図3の実施形態における使用に適する直列に配置された2つの増幅器400、402を有する増幅ユニット202a、202a’の例を示している。増幅ユニット202a、202aに対しては、増幅器400は、利得媒体長(L
1)、飽和エネルギ(E
s、
1)、及び小信号利得(g
o、
1)により特徴付けられる利得媒体を有することができ、増幅器402は、利得媒体長(L
2)、飽和エネルギ(E
s、
2)、及び小信号利得(g
o、
2)により特徴付けられる利得媒体を有することができる。
【0032】
本明細書で使用する時、用語「飽和エネルギ」及びその派生語は、利得媒体の利得のその初期値の1/e(≒37%)までの低減をもたらす入力信号パルスのパルスエネルギを意味する。
【0033】
本明細書で使用する時、用語「小信号利得」及びその派生語は、利得媒体のいかなる認められるほどの利得飽和も引き起こさないほど弱い入力信号に対して得られる利得を意味する。
【0034】
上記で意味するように、(g
o、
1)>(g
o、
2)及び(E
s、
2)>(E
s、
1)で増幅器400、402の利得媒体を構成することができる。以下で更に詳述するように、この構成により、結果として、L
1+L
2の利得媒体長を有する単一増幅器よりも大きな増幅にすることができる。この影響は、
図5により例示されており、
図5は、比較的高い小信号利得(g
o=0.9m
-1)及び比較的低い飽和エネルギ(E
s=5mJ)を有するL=8mの利得媒体のE
in対E
outの曲線500、比較的低い小信号利得(g
o=0.5m
-1)及び比較的高い飽和エネルギ(E
s=25mJ)を有するL=8mの利得媒体のE
in対E
outの曲線502、第1の増幅器が比較的高い小信号利得(g
o=0.9m
-1)及び比較的低い飽和エネルギ(E
s=5mJ)を有し、第2の増幅器が比較的低い小信号利得(g
o=0.5m
-1)及び比較的高い飽和エネルギ(Es=25mJ)を有する総利得媒体長L
1+L
2=8mの一連の2つの増幅器に対するE
out対E
inの曲線504を示している。図示の利得パラメータは、CO
2レーザの典型的な値である。2つの増幅器による構成(曲線504)により、結果として、単一増幅器による構成(曲線500、502)のいずれかよりも高いE
outになる重要な領域(すなわち、E
in>0.25mJ)になることを見ることができる。特に、E
in=1mJでは、2つの増幅器による構成は、一定のパラメータを有する単一の増幅器に対するものをほぼ全長にわたってほぼ50%超える出力エネルギを有する。従って、同じ利得媒体長、すなわち、L=8mの場合、2つの増幅器による構成(曲線504)により、結果として単一増幅器による構成(曲線500、502)のいずれかよりも高いE
outになる。
【0035】
数学的には、PA(E
out)の出力エネルギと入力エネルギ(E
in)の比率は、利得媒体の2つのパラメータ、すなわち、小信号利得(g
o)x媒体長(l)、及び飽和エネルギ(E
s)レベルによって定められる。Frantz−Nodvic公式によると、以下の通りであり、例えば、L.M.Frantz、J.S.Nodvik、「J.Appl.Phys.」、34、2346(1963年)を参照されたい。
【0037】
CO2レーザ増幅器のようなRF、DC、又はパルス励起ガス放電媒体に対しては、これらのパラメータは、独立したものではない。例えば、RF励起利得媒体においては、低いRFポンピング電力及び低圧を使用して高いg
oを取得することができ、一方、同じ媒体に対してE
sを増大させるためには、対応するg
oの低減によって高いRF電力及び高いガス圧を使用することができる。Frantz−Nodvik公式の対象外であり、同じくgo及びE
sに影響を与える別のパラメータは、レーザ媒体のガス混合物(例えば、CO
2:N
2の比率:He)である。従って、RF電力、ガス圧、ガス組成、及びガスポンピング速度を含むいくつかの利得媒体因子は、小信号利得(g
o)x媒体長(l)、及び飽和エネルギ(E
s)を選択的に定めるように制御することができる。パルス幅及び形状、強度分布、例えば、ガウス分布のような入力ビーム特性は、小信号利得(g
o)及び飽和エネルギ(E
s)を取得するのに必要なパラメータ、例えば、圧力、組成、及び励起電圧の選択にも影響を及ぼす場合がある。
【0038】
飽和エネルギに対する小さな入力エネルギ(すなわち、E
in/E
s<<1、及びE
in/E
s<<exp(g
0*l))に対しては、公式(1)は、以下によって近似することができる。
【0040】
これは、小さな入力信号のレーザ出力エネルギが飽和エネルギに依存するのではなく、指数的に(g
0l)の積に依存することを意味する。出力エネルギは、入力エネルギと線形に比例する。E
in〜E
s時の高い入力エネルギに対しては、E
sに対する依存性はより有意になる。この場合に対しては、公式(1)内の両括弧内の「1」を無視して以下の式を得ることができる。
【0042】
一般的に長い利得媒体に有効であるE
in/E
s<g
0lの時に、公式(3)の第2項を無視して以下の式を得ることができる。
【0044】
この式は、出力エネルギが、入力エネルギに依存しない飽和値に達することを示している。より高いE
inに対しては、出力エネルギは、何らかのオフセットがあり、かつE
inの場合よりも小さい傾斜で入力エネルギと共に線形に変化する。
【0045】
図6に示すように、上記で展開した原理は、3つ又はそれよりも多くの増幅器に拡張することができる。より具体的には、
図6は、
図2又は
図3の実施形態のいずれかでの使用に適する直列に配置された3つの増幅器600、602、604を有する増幅ユニット202b、202b’の例を示している。図示の増幅ユニット202b、202b’に対しては、増幅器600は、利得媒体長(L
1)、飽和エネルギ(E
s、
1)、及び小信号利得(g
o、
1)により特徴付けられる利得媒体を有することができ、増幅器602は、利得媒体長(L
2)、飽和エネルギ(E
s、
2)、及び小信号利得(g
o、
2)により特徴付けられる利得媒体を有することができ、増幅器604は、(g
o、
1)>(g
o、
2)>(g
o、
3)及び(E
s、
3)>(E
s、
2)>(E
s、
1)である利得媒体長(L
3)、飽和エネルギ(E
s、
3)、及び小信号利得(g
o、
3)により特徴付けられる利得媒体を有することができる。上述のように、この構成により、結果としてL
1+L
2+L
3の利得媒体長を有する単一増幅器よりも大きな増幅をもたらすことができる。
【0046】
所定の入力エネルギでの全体的な出力電力(又は、出力パルスエネルギ)の最適化のために、同等長の単一増幅器の代わりに複数の独特に構成した増幅器を使用することができる。1つの特定的な実施例では、第1の増幅器は、利用可能な最大g
0パラメータ(低圧及び電力レベルで機能する)を有するように構成することができ、一方、最終出力増幅器は、利用可能な最大E
sg
0l積を有するように構成することができる。中間部分は、徐々に増加するE
sパラメータ(入力から出力まで)及び減少するg
0パラメータを有することができる。増幅器間のE
sパラメータ及びg
0パラメータのこのような最適化により、固定のg
o及びEsを有する同等の利得媒体長の単一増幅器よりも大幅に高い出力エネルギ(電力)を有するレーザがもたらされる。
【0047】
上記で開示した本発明の実施形態の態様は、好ましい実施形態であることのみを意図しており、いかなる点においても本発明の開示内容を限定するものではなく、特に、特定の好ましい実施形態だけに限定するものではないものとすることが当業者によって理解されるであろう。開示した発明の実施形態の開示した態様には、当業者によって理解及び認められるような多くの変更及び修正を行うことができる。特許請求の範囲は、その範囲及び意味において、本発明の実施形態の開示した態様だけではなく、当業者には明らかになると思われる均等物及び他の修正及び変更も包含するものとする。「35U.S.C.§112」を満足するために必要とされる詳細において本特許出願において説明しかつ例示した実施形態の特定の態様は、上述の実施形態の態様のあらゆる上述の目的、及び上述の実施形態の態様により又はその目的のあらゆる他の理由で又はその目的にために解決すべき問題を完全に達成することができるが、本発明の上述の実施形態のここで説明した態様は、本発明によって広く考察された内容を単に例示しかつ代表することは、当業者によって理解されるものとする。実施形態のここで説明しかつ主張する態様の範囲は、本明細書の教示内容に基づいて当業者に現在明らかであると考えられるか又は明らかになると考えられる他の実施形態を漏れなく包含するものである。本発明の範囲は、単独にかつ完全に特許請求の範囲によってのみ限定され、いかなるものも特許請求の範囲の詳細説明を超えるものではない。単数形でのこのような請求項における要素への言及は、解釈において、明示的に説明していない限り、このような要素が「1つ及び1つのみ」であることを意味するように意図しておらず、かつ意味しないものとし、「1つ又はそれよりも多い」を意味する意図とし、かつ意味するものとする。当業者に公知か又は後で公知になる実施形態の上述の態様の要素のいずれかに対する全ての構造的及び機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に組み込まれると共に、特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。本明細書及び/又は本出願の請求項に使用され、かつ本明細書及び/又は本出願の請求項に明示的に意味を与えられたあらゆる用語は、このような用語に関するあらゆる辞書上の意味又は他の一般的に使用される意味によらず、その意味を有するものとする。実施形態のいずれかの態様として本明細書で説明した装置又は方法は、それが特許請求の範囲によって包含されるように本出願において開示する実施形態の態様によって解決するように求められる各及び全て問題に対処することを意図しておらず、また必要でもない。本発明の開示内容におけるいかなる要素、構成要素、又は方法段階も、その要素、構成要素、又は方法段階が特許請求の範囲において明示的に詳細に説明されているか否かに関係なく、一般大衆に捧げられることを意図したものではない。特許請求の範囲におけるいかなる請求項の要素も、その要素が「〜のための手段」という語句を使用して明示的に列挙されるか又は方法の請求項の場合にはその要素が「作用」ではなく「段階」として列挙されていない限り、「35U.S.C.§112」第6項の規定に基づいて解釈されないものとする。