特許第6037709号(P6037709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037709
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】リレー及びリレー用液晶性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   H01H 45/04 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   H01H45/04 J
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-175437(P2012-175437)
(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-35841(P2014-35841A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 悠人
(72)【発明者】
【氏名】田口 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】瀧 智弘
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−142210(JP,A)
【文献】 特開2002−294051(JP,A)
【文献】 特開2011−228060(JP,A)
【文献】 特開2007−073470(JP,A)
【文献】 特開2011−020445(JP,A)
【文献】 特開2006−179503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子孔を有する基台と、
前記端子孔に挿通される端子と、
前記基台の表面に配置され、前記端子と電気的に接続されたリレー本体と、
前記リレー本体を覆い、前記基台とともに、前記リレー本体が収容される中空容器状を形成するカバーと、
前記端子が挿通されるスルーホールが穿設され、表面が前記基台の裏面とエポキシ系接着剤で接合される基板と、を備え、
前記基台は、液晶性樹脂と、グリシジルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有するエラストマーと、を含有するリレー用液晶性樹脂組成物から構成され
前記液晶性樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、及び芳香族ジアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の化合物を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであるリレー。
【請求項2】
前記エラストマーは、エチレン−グリシジルメタクリレートである請求項1に記載のリレー。
【請求項3】
前記リレー用液晶性樹脂組成物は、ガラス繊維を含み、
前記エラストマーの含有量が4質量部以上17質量部以下であり、
前記ガラス繊維の含有量が27質量部以上73質量部以下である請求項1又は2に記載のリレー。
【請求項4】
表面に電磁リレーが配置され、エポキシ系接着剤で基板と接合される基台を成形するためのリレー用液晶性樹脂組成物であって、
液晶性樹脂と、グリシジルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有するエラストマーと、を含有し、
前記液晶性樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、及び芳香族ジアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の化合物を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであるリレー用液晶性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレー及びリレー用液晶性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リレーは、エレクトロニクス産業の発展とともに、その生産量も順調に伸びており、通信機器、OA機器、家電機器、自販機等使用される分野も多岐にわたっている。最近、リレーに求められる特性として、半田リフロー処理後に気密性を保持できることが挙げられ、完全気密封止型のリレーが開発されている。
【0003】
ところで、リレーを構成する部品の原料として、熱可塑性樹脂が知られており、例えば、液晶性樹脂が使用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−191088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リレーを構成する部品として、リレー本体が表面に配置される基台がある。基台には、端子の挿入に耐えられること、基台と基板との接合に使用されるエポキシ系接着剤に対する接着性を有することが求められる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、基台を構成する材料として、端子の挿入に耐えられ、エポキシ系接着剤に対する充分な接着性を備えるリレー用液晶性樹脂組成物、及びその樹脂組成物を用いて製造してなるリレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、液晶性樹脂と、グリシジルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有するエラストマーと、を含有する液晶性樹脂組成物を用いれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
【0008】
(1) 端子孔を有する基台と、前記端子孔に挿通される端子と、前記基台の表面に配置され、前記端子と電気的に接続されたリレー本体と、前記リレー本体を覆い、前記基台とともに、前記リレー本体が収容される中空容器状を形成するカバーと、前記端子が挿通されるスルーホールが穿設され、表面が前記基台の裏面とエポキシ系接着剤で接合される基板と、を備え、前記基台は、液晶性樹脂と、グリシジルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有するエラストマーと、を含有するリレー用液晶性樹脂組成物から構成されるリレー。
【0009】
(2) 前記エラストマーは、エチレン−グリシジルメタクリレートである(1)に記載のリレー。
【0010】
(3) 前記リレー用液晶性樹脂組成物は、ガラス繊維を含み、前記エラストマーの含有量が4質量部以上17質量部以下であり、前記ガラス繊維の含有量が27質量部以上73質量部以下である(1)又は(2)に記載のリレー。
【0011】
(4) 表面に電磁リレーが配置され、エポキシ系接着剤で基板と接合される基台を成形するためのリレー用液晶性樹脂組成物であって、液晶性樹脂と、グリシジルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有するエラストマーと、を含有するリレー用液晶性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明のリレー用液晶性樹脂組成物を用いて基台を成形すれば、端子の挿入に耐えられ、エポキシ系接着剤との接着性に優れた基台が得られる。
【0013】
本発明のリレーは、基台に端子を圧入する際に、基台に変形が生じず、且つ基台自体がエポキシ系接着剤との接着性に優れるため、基台と基板との密着性に特に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一般的なリレーを模式的に表した分解斜視図である。
図2】ロックウェル硬度の測定箇所を示す図である。
図3】密着性評価のためのサンプルの製造方法を説明するための図である。
図4】密着性評価の方法を説明するための図である。
図5】ピン圧入試験で用いた試験片を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0016】
<リレー用液晶性樹脂組成物>
本発明のリレー用液晶性樹脂組成物は、液晶性樹脂とエラストマーとを有する。以下、リレー用液晶性樹脂組成物に含まれる成分について説明する。
【0017】
[液晶性樹脂]
本発明で使用する液晶性樹脂は、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加工性ポリマーを指す。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本発明に適用できる液晶性樹脂は直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
【0018】
上記のような液晶性樹脂の種類としては特に限定されないが、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましい。また、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルもその範囲にある。これらは60℃でペンタフルオロフェノールに濃度0.1重量%で溶解したときに、好ましくは少なくとも約2.0dl/g、さらに好ましくは2.0〜10.0dl/gの対数粘度(I.V.)を有するものが好ましく使用される。
【0019】
芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドとして特に好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンの群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を構成成分として有する芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドである。
【0020】
より具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド等が挙げられる。さらに上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
【0021】
本発明に適用できる液晶性樹脂を構成する具体的化合物の好ましい例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び下記一般式(III)で表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン類が挙げられる。
【化1】
(X:アルキレン(C1〜C4)、アルキリデン、−O−、−SO−、−SO2−、−S−、−CO−より選ばれる基である)
【化2】
【化3】
(Y:−(CH2)n−(n=1〜4)、−O(CH2)nO−(n=1〜4)より選ばれる基である。)
【0022】
本発明に用いられる液晶性樹脂の調製は、上記のモノマー化合物(又はモノマーの混合物)から直接重合法やエステル交換法を用いて公知の方法で行うことができる。通常は溶融重合法やスラリー重合法等が用いられる。エステル形成能を有する上記化合物類はそのままの形で重合に用いてもよく、また、重合の前段階で前駆体から該エステル形成能を有する誘導体に変性されたものでもよい。これらの重合に際しては種々の触媒の使用が可能であり、代表的なものとしては、ジアルキル錫酸化物、ジアリール錫酸化物、2酸化チタン、アルコキシチタンけい酸塩類、チタンアルコラート類、カルボン酸のアルカリ及びアルカリ土類金属塩類、BFの如きルイス酸塩等が挙げられる。触媒の使用量は一般にはモノマーの全重量に対して約0.001〜1質量%、特に約0.01〜0.2質量%が好ましい。これらの重合方法により製造されたポリマーはさらに必要があれば、減圧又は不活性ガス中で加熱する固相重合により分子量の増加を図ることができる。
【0023】
[エラストマー]
リレー用液晶性樹脂組成物にエラストマーが含まれることで、リレー用液晶性樹脂組成物に柔軟性が付与されるとともに、エポキシ系接着剤への接着性が付与される結果、後述する通り、リレー用液晶性樹脂組成物は基台の製造に適する。
【0024】
エラストマーは、グリシジルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有する。エラストマーはグリシジルメタクリレート以外の共重合成分を有するものであってもよいが、グリシジルメタクリレートに由来する繰り返し単位の含有量が3質量%以上12質量%以下であることが好ましい。
【0025】
上記共重合成分としては、特に限定されないが、エチレン、1−プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン、不飽和カルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。
【0026】
本発明においては、特に、エチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体であるエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)の使用が好ましい。EGMAは、エチレン、グリシジルメタクリレートのランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
【0027】
また、エチレンとグリシジルメタクリレート以外の共重合成分を含むものであってもよいが、その他の共重合成分の割合は30質量%以下であることが好ましい。
【0028】
リレー用液晶性樹脂組成物中のエラストマーの含有量は特に限定されないが、4質量部以上17質量部以下であることが好ましい。4質量部以上であれば、リレー用液晶性樹脂組成物に充分な柔軟性を付与するとともに、エポキシ系接着剤への充分な接着性を付与できる傾向にあるため好ましく、17質量部以下であれば、リレー用液晶性樹脂組成物の流動性の向上及び得られるリレーの外観の向上という理由で好ましい。より好ましいエラストマーの含有量は6質量部以上11質量部以下である。
【0029】
[無機充填剤]
本発明のリレー用液晶性樹脂組成物には、上記の必須成分以外に、無機充填剤が含まれることが好ましい。リレー用液晶性樹脂組成物に無機充填材が含まれることで、リレー用液晶性樹脂組成物の機械的強度等を高めることができる。エラストマーで樹脂組成物に柔軟性を付与するとともに、無機充填剤で機械的強度を付与することで、基台に端子を圧入した際の基台の変形を特に抑えやすくなる。
【0030】
無機充填剤としては、非繊維状充填剤であっても、繊維状充填剤であってもよいが、繊維状充填剤が好ましく、特にガラス繊維が好ましい。本発明で用いられるガラス繊維としては、公知のガラス繊維がいずれも好ましく用いられる。そして、ガラス繊維のガラス繊維径や、円筒、繭形、長円断面等の形状、あるいはチョップドストランドやロービング等の製造に用いる際の長さやガラスカットの方法は特に限定されない。本発明では、ガラスの種類も限定されないが、品質上、Eガラスや、組成中にジルコニウム元素を有する耐腐食ガラスが好ましく用いられる。
【0031】
また、本発明では、ガラス繊維と樹脂マトリックスとの界面特性を向上させる目的で、アミノシラン化合物やエポキシ化合物等の有機処理剤で表面処理されたガラス繊維が好ましく用いられる。
【0032】
リレー用液晶性樹脂組成物中のガラス繊維の含有量は、特に限定されないが27質量部以上73質量部以下であることが好ましい。27質量部以上であれば、リレー用液晶性樹脂組成物に充分な機械的強度を付与できる傾向にあるため好ましい、また、73質量部以下であれば、液晶性樹脂やエラストマー等の成分を充分に配合させつつ、機械的強度を付与できるため好ましい。
【0033】
[その他の成分]
また、本発明のリレー用液晶性樹脂組成物には、本発明の効果を害さない範囲で、上記無機充填剤以外の任意成分を含んでもよい。任意成分としては、例えば、核剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤等が挙げられる。
【0034】
<リレー用液晶性樹脂組成物の製造方法>
リレー用液晶性樹脂組成物の調製法の具体的態様は、特に限定されるものではなく、一般に樹脂組成物又はその成形体の調製法として公知の設備と方法により、樹脂組成物を調製することができる。例えば、必要な成分を混合し、1軸又は2軸の押出機又はその他の溶融混練装置を使用して混練し、成形用ペレットとして調製することができる。また、押出機又はその他の溶融混練装置は複数使用してもよい。また、全ての成分をホッパから同時に投入してもよいし、一部の成分はサイドフィード口から投入してもよい。
【0035】
<リレー用液晶性樹脂組成物の流動性>
基台等のリレーを構成する樹脂部品は一定の厚みを有するため、一般的に液晶性樹脂組成物に求められる非常に高い流動性が、リレー用液晶性樹脂組成物には求められない場合も多い。例えば、成形温度での溶融粘度が剪断速度1000sec−1で20Pa・s以上100Pa・s以下の範囲であっても充分成形可能である。
【0036】
<リレー>
本発明のリレー用液晶性樹脂組成物は、リレーを構成する部品である基台を成形するための原料として用いることができる。以下、本発明のリレー用液晶性樹脂組成物が使用されるリレーの一例について説明する。なお、基台が本発明のリレー用液晶性樹脂組成物を用いて成形されたリレーは、本発明のリレーに当たる。
【0037】
図1は、一般的なリレーを模式的に表した分解斜視図である。リレー1は、基台2と、端子3と、リレー本体4と、カバー5と、基板6とを備える。
【0038】
基台2は、端子3が挿通される端子孔21を有する。端子孔21に端子3が圧入されることで、端子孔21に端子3が挿通された状態となっている。
【0039】
端子3が端子孔21に圧入されるときに、基台2の端子孔21付近が変形(表面が剥がれる、盛り上がる等の変形)したり、削れたりする問題が生じる場合があるが、本発明のリレー用液晶性樹脂組成物を用いて成形してなる基台2であれば、エラストマーの配合により、基台2の表面の表面硬度が低くなり、端子3を端子孔21に圧入したときに、基台2が削れたり、変形したりすることを抑えることができる。
【0040】
基台2の表面硬度の程度は、表面のロックウェル硬度(Rスケール)で107以下が好ましく、より好ましくは90以上105以下である。
【0041】
また、基台2の柔軟性を表す指標として、曲げ弾性率があるが、ISO178に準拠して測定される曲げ弾性率は12000MPa以上15000MPa以下が好ましく、より好ましくは13000MPa以上14500MPa以下であるとともに、硬度が上記の好ましい範囲にあれば、端子3の圧入時に基台2の端子孔21付近が、さらに剥がれたり削れたりしにくくなる。
【0042】
端子3は、一端がリレー本体4と電気的に接触し、他端は端子孔21を貫通し、後述する基板6が有するスルーホールに挿通できるようになっている。
【0043】
リレー本体4は、コイルや電磁石等を有する一般的なリレー本体であり、リレー本体4は、基台4の表面に配置されるとともに、上記の通り、リレー本体4は端子3の一端と電気的に接続されている。
【0044】
カバー5は、リレー本体4と基板6の側壁部とを覆うように設置される。基台2とカバー5とで形成される中空容器状の内部にリレー本体4が収容される。
【0045】
基板6は、端子3が挿通され、端子3と電気的に接続可能なスルーホール61を有する。基板6の一の面と、基台2の裏面とがエポキシ系接着剤7で接合される。
【0046】
本発明においては、基台2がエラストマーを含む液晶性樹脂で成形されているため、基台2と基板6との間の密着力が非常に強くなる。
【0047】
また、基台2の裏面には端子3の圧入時に生じる変形がほとんど無いため、基板6の一の面と基台2の裏面とを密着させやすくなる結果、基台2と基板6との間の密着力は非常に強くなる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0049】
<材料>
液晶性樹脂:ポリプラスチックス(株)製、ベクトラ(登録商標)LCP E950i
エラストマー1:住友化学(株)製、Bondfast 2C[エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレートを6重量%含有)]
エラストマー2:住友化学(株)製、Bondfast 7M[エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体(グリシジルメタクリレートを6質量%含有、アクリル酸メチルを27質量%含有)]
ガラス繊維:日本電気硝子(株) ECS03T−786H[ガラスファイバー、平均繊維径10.5μm、平均繊維長3000μm]
【0050】
上記材料を二軸押出機((株)日本製鋼製TEX−30α)を用いて、表1に示す割合で溶融混練し、ペレット化した。
【0051】
<評価>
溶融粘度、曲げ強度、曲げ弾性率、ロックウェル硬度、ピン圧入試験、密着力を評価した。
【0052】
[溶融粘度]
上記ペレットを、キャピラリー式レオメーター((株)東洋精機製作所製キャピログラフ1D:ピストン径10mm)を用いて、シリンダー温度が融点+20℃、剪断速度が1000sec−1の条件で、ISO 11443に準拠して見かけの溶融粘度を測定した。なお、測定には、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いた。測定結果を表1に示した。
【0053】
[曲げ試験]
上記ペレットを、射出成形機(住友重機械工業(株)製「SE100DU」)を用いて、試験片(4mm×10mm×80mm)に成形した。その後、ISO178に準拠して、試験片の曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。測定結果を表1に示した。
【0054】
[ロックウェル硬度]
上記ペレットを、射出成形機(住友重機械工業(株)製「SE100DU」)を用いて、図2に示す試験片(ISO試験片Type1A、厚み4mm)に成形した。その後、ISO2039−2に準拠した方法で丸印部分のロックウェル硬度を測定した。測定結果を表1に示した。
【0055】
[ピン圧入試験]
上記ペレットを、射出成形機(日精樹脂工業(株)製NEX500)を用いて、図5に示す0.37mm×0.37mm角の孔を1.27mmピッチで9個有する試験片(14.84mm×9.6mm×1.0mm)に成形した。その後、1個置きの5個の孔に、0.40mm×0.40mm角のピン5本を同時に速度20mm/minで圧入して貫通させ、貫通するまでの最大荷重を測定した。評価結果を表1に示した。
【0056】
[接着強度]
上記ペレットを、射出成形機(住友重機械工業(株)製「SE100DU」)を用いて、試験片(ISO試験片Type1A、厚み4mm)に成形し、この試験片を2分割して、図3に示すように、エポキシ系接着剤で貼り合わせた(硬化条件:120℃×30分)。その後、図4に示すように、貼り合わされた試験片を設置して、曲げ試験機を用いて、矢印方向に荷重を加えて、剥がれたときの荷重から、接着強度を評価した。評価結果を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
以上の通り、液晶性樹脂と特定のエラストマーとを併用することで、リレーの基台の成形に特に適する液晶性樹脂組成物になることが確認された。
【符号の説明】
【0059】
1 リレー
2 基台
21 端子孔
3 端子
4 リレー本体
5 カバー
6 基板
61 スルーホール
7 エポキシ系接着剤
図1
図2
図3
図4
図5