特許第6038103号(P6038103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038103
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】吸収体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   A61F13/15 321
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-242505(P2014-242505)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-101438(P2016-101438A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2016年1月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100141438
【弁理士】
【氏名又は名称】吉迫 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(72)【発明者】
【氏名】村上 康郎
(72)【発明者】
【氏名】細川 雅司
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博紀
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−315503(JP,A)
【文献】 特開2006−345980(JP,A)
【文献】 特開2000−051269(JP,A)
【文献】 特開平07−067915(JP,A)
【文献】 特開2007−089826(JP,A)
【文献】 特開2011−152351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の繊維群からなり、長さ方向に連続し且つ予め定めた幅及び厚さを有する第1のウェブを形成する工程と、前記第1のウェブを開繊する開繊工程と、前記開繊工程において第1のウェブを開繊することにより形成された第1の吸収体材料、及び前記第1の繊維群とは異なる第2の繊維群からなる第2のウェブを開繊することにより形成された第2の吸収体材料を相互に混合した状態で積層させ、予め定めた成形速度で吸収性物品用の吸収体の成形を行う成形工程とを有する、吸収体の製造方法であって、
前記第1のウェブを形成する工程は、
前記第1の繊維群の繊維を搬送して、該繊維を積繊用の収容空間内において積繊することにより、予め定めた積繊速度で、長さ方向及び幅方向、厚さ方向を有する積繊体を形成する積繊工程と、
前記積繊体の前記厚さ方向の坪量を、前記収容空間内において、予め定めた速度で予め定めた大きさに均一化する均一化工程と、
前記均一化工程において前記厚さ方向の坪量を均一化させた積繊体を、該積繊体の前記厚さ方向を厚さ方向とした、前記予め定めた幅及び厚さを有する前記第1のウェブとして前記収容空間から連続的に導出し、前記開繊工程に向けて予め定めた搬送速度で搬送するウェブ搬送工程とを有し、
前記ウェブ搬送工程は、前記成形工程の成形速度の増減に追随して、前記第1のウェブの搬送速度を増減すると共に、前記積繊工程は、前記ウェブ搬送工程における第1のウェブの搬送速度の増減に追随して、前記第1の繊維群の繊維の積繊速度を増減し、前記均一化工程は、前記積繊工程における前記積繊体の積繊速度の増減に追随するように、該積繊体に対する均一化の速度を増減し
前記均一化工程は、前記収容空間内において前記積繊体の前記厚さ方向に向けて予め定めた速度で繰り返し加圧しながら該収容空間内を下降させることにより、予め定めた坪量に均一化すると共に、前記積繊工程において前記収容空間内の前記積繊体の長さが一定になるように、該積繊体を繰り返し加圧する速度を増減してその積繊体の下降速度を増減する、吸収体の製造方法。
【請求項2】
前記ウェブ搬送工程は、搬送している第1のウェブの搬送方向の単位長さあたりの質量を測定する、請求項1に記載の吸収体の製造方法。
【請求項3】
前記積繊工程は、前記第1の繊維群の繊維を、予め定めた搬送速度で上方に搬送して、上下方向に長く形成された前記収容空間内に向けて落下させ、上下方向に長い前記積繊体を形成する、請求項1又は請求項2に記載の吸収体の製造方法。
【請求項4】
前記均一化工程は、前記積繊体を繰り返し加圧する速度を連続的に増減することにより、該積繊体の下降速度を連続的に増減する、請求項3に記載の吸収体の製造方法。
【請求項5】
前記積繊工程は、センサによって前記収容空間内の前記積繊体の上下方向長さを監視する、請求項又は請求項に記載の吸収体の製造方法。
【請求項6】
前記積繊工程は、前記繊維の搬送速度を連続的に増減することにより前記積繊速度を連続的に増減する、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつ、失禁パット、パンティーライナー等の吸収性物品に用いられる吸収体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば生理用ナプキン等の吸収性物品として、着用者の肌側に位置する液透過性のトップシートと、衣服側に位置する液不透過性のバックシートとの間に、着用者から排出された排泄液を吸収、保持する吸収体が配設されたものは広く知られている。
前記吸収体は、通常、パルプ等のセルロース系吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを予め定めた割合で含有させたウェブをそれぞれ形成し、それらのウェブをさらに開繊して所定の形状に積層、成形することにより形成される。
【0003】
前記吸収体を製造する具体的な方法としては、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
この特許文献1に記載の技術は、熱可塑性樹脂繊維を定量フィダーに貯留し、該定量フィダーの下端に設けたロールによって、一定の厚さの熱可塑性樹脂繊維のウェブとしながら、フィダードラムで開繊して定量ずつ切り出して、第1の吸収体材料としてパルプ用の開繊機に向けて搬送する。一方、パルプのウェブ(シート)を、該パルプ用の開繊機で開繊して第2の吸収体材料として、前記第1の吸収体材料と混合させた後、これらの第1の吸収体材料及び第2の吸収体材料を、吸収体成形用のサクションドラムにより吸引し、該サクションドラムの外周面に積層させ、吸収体を成形するようになっている。
【0004】
ところで、吸収体の製造量を増加させる場合、あるいは逆に減少させる場合には、前記熱可塑性樹脂繊維のウェブを開繊した前記第1の吸収体材料の供給量や、前記パルプのウェブを開繊した前記第2の吸収体材料の供給量を調整する必要がある。
前記第2の吸収体材料の場合は、事前に別の場所で形成されてロール状に巻かれたウェブを用いるため、巻き出し速等によって供給量の調整を比較的容易に行うことができる。
しかしながら、前記第1の吸収体材料については、前記熱可塑性樹脂繊維のウェブが、様々な工程を経て形成されている関係上、供給量の調整が容易ではない。即ち、前記熱可塑性樹脂繊維のウェブについては、開繊前のウェブの厚さ方向の坪量を、該ウェブの長さ方向にわたって一定に保つ必要があり、この坪量の調整がうまくいかなければ、第2の吸収体材料に対する第1の吸収体材料の混合比率が予め定めた割合とならない。
【0005】
この点、前記特許文献1の製造方法の場合、実質的に熱可塑性樹脂繊維のウェブを形成する前記定量フィダーは、熱可塑性樹脂繊維を定量ずつ下端の前記ロールに送り込んで所定の厚さのウェブとするのみで、坪量の調整を行えない。
即ち、前記特許文献1のような製造方法の場合、通常、前記定量フィダーから前記フィダーロールにウェブを供給するに際しては、一定の坪量のウェブがフィダーロールに送られるように、前記定量フィダー内に貯留される熱可塑性樹脂繊維の貯留速度や、該定量フィダーからフィダーロールに送られるウェブの速度等が事前に定められている。
したがって、仮に吸収体の製造量を増加させるために、第1の吸収体材料の供給量を増やすべく、仮に定量フィダーからフィダーロールに送られるウェブの速度を変更したとしても、そのウェブについては坪量が変わってしまい、成形される吸収体中の第1の吸収体材料の混合比率が、当初予定した割合と異なってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−345981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、吸収体の製造量の増減を行う場合であっても、吸収体を構成する繊維の混合割合を所望の割合に安定的且つ確実にコントロールして、予定していた吸収体として性能を安定的に得ることができる吸収体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の吸収体の製造方法は次の通りである。
(1)第1の繊維群からなり、長さ方向に連続し且つ予め定めた幅及び厚さを有する第1のウェブを形成する工程と、前記第1のウェブを開繊する開繊工程と、前記開繊工程において第1のウェブを開繊することにより形成された第1の吸収体材料、及び前記第1の繊維群とは異なる第2の繊維群からなる第2のウェブを開繊することにより形成された第2の吸収体材料を相互に混合した状態で積層させ、予め定めた成形速度で吸収性物品用の吸収体の成形を行う成形工程とを有する、吸収体の製造方法であって、前記第1のウェブを形成する工程は、前記第1の繊維群の繊維を搬送して、該繊維を積繊用の収容空間内において積繊することにより、予め定めた積繊速度で、長さ方向及び幅方向、厚さ方向を有する積繊体を形成する積繊工程と、前記積繊体の前記厚さ方向の坪量を、前記収容空間内において、予め定めた速度で予め定めた大きさに均一化する均一化工程と、前記均一化工程において前記厚さ方向の坪量を均一化させた積繊体を、該積繊体の前記厚さ方向を厚さ方向とした、前記予め定めた幅及び厚さを有する前記第1のウェブとして前記収容空間から連続的に導出し、前記開繊工程に向けて予め定めた搬送速度で搬送するウェブ搬送工程とを有し、前記ウェブ搬送工程は、前記成形工程の成形速度の増減に追随して、前記第1のウェブの搬送速度を増減すると共に、前記積繊工程は、前記ウェブ搬送工程における第1のウェブの搬送速度の増減に追随して、前記第1の繊維群の繊維の積繊速度を増減し、前記均一化工程は、前記積繊工程における前記積繊体の積繊速度の増減に追随するように、該積繊体に対する均一化の速度を増減する、吸収体の製造方法。
【0009】
(2)前記ウェブ搬送工程は、搬送している第1のウェブの搬送方向の単位長さあたりの質量を測定する、前記(1)に記載の吸収体の製造方法。
【0010】
(3)前記積繊工程は、前記第1の繊維群の繊維を、予め定めた搬送速度で上方に搬送して、上下方向に長く形成された前記収容空間内に向けて落下させ、上下方向に長い前記積繊体を形成する、前記(1)又は(2)に記載の吸収体の製造方法。
(4)前記均一化工程は、前記収容空間内において前記積繊体の前記厚さ方向に向けて予め定めた速度で繰り返し加圧しながら該収容空間内を下降させることにより、予め定めた坪量に均一化すると共に、前記積繊工程において前記収容空間内の前記積繊体の長さが一定になるように、該積繊体を繰り返し加圧する速度を増減してその積繊体の下降速度を増減する、前記(3)に記載の吸収体の製造方法。
(5)前記均一化工程は、前記積繊体を繰り返し加圧する速度を連続的に増減することにより、該積繊体の下降速度を連続的に増減する、前記(4)に記載の吸収体の製造方法。
(6)前記積繊工程は、センサによって前記収容空間内の前記積繊体の上下方向長さを監視する、前記(4)又は(5)に記載の吸収体の製造方法。
【0011】
(7)前記積繊工程は、前記繊維の搬送速度を連続的に増減することにより前記積繊速度を連続的に増減する、前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の吸収体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1のウェブの形成に際して、該第1のウェブを搬送するウェブ搬送工程は、吸収体を成形する成形工程の成形速度の増減に追随して、前記第1のウェブの搬送速度を増減すると共に、第1の繊維群を積繊して積繊体を形成する積繊工程は、前記ウェブ搬送工程における第1のウェブの搬送速度の増減に追随して、前記第1の繊維群の繊維の積繊速度を増減する。また、前記積繊体の厚さ方向の坪量を均一化する均一化工程は、前記積繊工程における前記積繊体の積繊速度の増減に追随するように、該積繊体に対する均一化の速度を増減する。
これにより、吸収体の製造量の増減を行うに際して、吸収体の成形速度を増減させたとしても、第1のウェブの坪量を一定に保った状態で、該第1のウェブを開繊工程に搬送することができる。したがって、吸収体を構成する繊維の混合割合を所望の割合に安定的且つ確実にコントロールすることができるため、予定していた吸収体として性能を安定的に得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明に係る吸収体の製造方法を実施するための製造装置の一実施形態を模式的に示す概略図である。
図2図2図1におけるウェブ形成装置を模式的に示す拡大図である。なお、図中の白抜きの直線状の矢印は、搬送方向を示す。
図3図3図2の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明に係る吸収体の製造方法について説明する。
図1図3は、本発明に係る吸収体の製造方法を実施するための製造装置の一実施形態を示すもので、この実施形態においては、セルロース系吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含む複数の繊維を予め定めた割合で混合した吸収体を製造する構成となっている。
【0015】
即ち、この実施形態の製造装置1は、熱可塑性樹脂繊維を含む第1の繊維群からなり、長さ方向に連続し且つ予め定めた幅及び厚さを有する第1のウェブ11を形成するウェブ形成装置2と、このウェブ形成装置2により形成された第1のウェブ11を開繊する第1の開繊装置3と、セルロース系吸水性繊維を含む第2の繊維群からなる第2のウェブ12を開繊する第2の開繊装置4とを備えている。
さらに、第1の開繊装置3により開繊された第1の吸収体材料13と、第2の開繊装置4により開繊された第2の吸収体材料14とを内部に流入させて、上流側から下流側に向かって流れるエアによってこれらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14をエア搬送する搬送管5を有している。また、搬送管5の最下流の位置に配設されて、搬送管5の上流側から搬送された第1の吸収体材料13と第2の吸収体材料14とを積層させて吸収体を成形する成形装置6を備えている。
【0016】
なお、本発明において使用される熱可塑性樹繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド等の原料を、単体もしくは複合した繊維があげられる。
また、本発明において使用されるセルロース系吸水性繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿等の非木材パルプが挙げられるが、工業的に安価に得られ且つ安全性が高いクラフトパルプが好ましい。
【0017】
第1の開繊装置3は、ウェブ開繊装置2により形成された第1のウェブ11を装入させて、その第1のウェブ11を開繊して第1の吸収体材料13を形成するものであり、第1のウェブ11を予め定めた量だけ定常的に開繊し、予め定めた量の第1の吸収体材料13を搬送管5の内部に定常的に流入させることが可能となっている。
この第1の開繊装置3は、水平方向に延びる回転軸31と、この回転軸31の軸線回りに回転自在に設けられた略円柱状の開繊シリンダ33、及び開繊シリンダ33の外周側に配設されてその開繊シリンダ33と共に回転する複数の開繊用の刃34とを備えた回転刃部32とを有している。
なお、図1中の符号36〜40は、回転刃部32の外周面に沿うように設けられて、回転刃部32と共に第1のウェブ11の開繊を行うウォーカロールである。
【0018】
また、第1の開繊装置3は、回転刃部32やウォーカロール36〜40を覆うように設けられたケーシング部材35を備えていて、このケーシング部材35における回転刃部32の図1中の左側に位置する部分に、第1のウェブ11を内部に装入させる装入口35aが配設されている一方、回転刃部32の右側に相当する部分において搬送管5と気密に連結されている。
さらに、このケーシング部材35自体は、内部が気密に形成されている訳ではなく、開繊した繊維が搬送管5以外に漏れ出ることを防ぎ、且つ安全のために回転刃部32やウォーカロール36〜40を直接的に触れることができないようにする程度のもので、外気をケーシング部材35内、延いては第1の開繊装置3内に自由に流通させることができるようになっている。
【0019】
前記第2の開繊装置4は、第2のウェブ12を開繊して第2の吸収体材料14を形成するもので、第2のウェブ12を予め定めた量だけ定常的に開繊し、予め定めた量の第2の吸収体材料14を搬送管5の内部に定常的に流入させることが可能となっている。
この第2の開繊装置4は、第1の開繊装置3の回転軸31と同じ方向に水平に延びる回転軸41と、この回転軸41の軸線回りに回転自在に設けられた略円柱状の開繊シリンダ43、及び開繊シリンダ43の外周側に配設されてその開繊シリンダ43と共に回転する複数の開繊用の刃44とを備えた回転刃部42とを備えている。
【0020】
なお、第2の開繊装置4には、その回転刃部42の外周面に沿って且つ刃44と接触しない程度に近接した状態で覆うケーシング部材45が設けられている。そして、装入口45aを通して、ケーシング部材45と回転刃部42との間の空間に第2のウェブ12が装入されることにより、回転する回転刃部42の刃44が第2のウェブ12を搬送管5方向に引き込みながら、その第2のウェブ12の繊維を掻き取り、開繊する。
さらに、このケーシング部材45は、装入口45aを除き、第2の開繊装置4が搬送管5と連結される位置まで、回転刃部42の外周面、さらには回転刃部42の幅方向(軸線方向)の両端側を気密に覆っていて、ケーシング部材45の内部と搬送管5との内部とが気密に連通した状態となっている。
【0021】
搬送管5は、第1の開繊装置3から流入させた第1の吸収体材料13と、第2の開繊装置4から流入させた第2の吸収体材料14との両方の吸収体材料を成形装置6に向けてエア搬送するものであり、この実施形態においては、断面略矩形状の内周面を備えたものとなっている。
この搬送管5は、最上流側に第1の開繊装置3、より具体的には、第1の開繊装置3のケーシング部材35が気密に連結され、この搬送管5における、第1の開繊装置3よりも下流側に第2の開繊装置4、より具体的には、第2の開繊装置4のケーシング部材45が気密に連結されている。
【0022】
また、この搬送管5には、第2の開繊装置4が連結された部分に、上流側の直近部分の流通面積よりも小さい第1の絞り部51が設けられていると共に、その第1の絞り部51の下流側に、第1の絞り部51に連結され、且つその第1の絞り部51よりも流通面積が大きく形成された、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を第1の絞り部51の部分との圧力差を利用して混合させる第1の混合空間部52が設けられている。なお、この実施形態においては、第1の絞り部51は、第2の開繊装置4の回転刃部42が搬送管5内に入り込ませた状態に配設することにより、流通面積を小さくした構成となっている。
さらに、搬送管5は、この第1の混合空間部52よりも下流に、上流側の直近部分の流通面積よりも小さい第2の絞り部53と、第2の絞り部53の下流側に連結され、且つその第2の絞り部53よりも流通面積が大きく形成された、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を第2の絞り部53の部分との圧力差を利用して混合させる第2の混合空間部54とを備えている。
したがって、搬送管5は、これらの第1の絞り部51、第1の混合空間部52、さらに第2の絞り部53、第2の混合空間部54を通して、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を混合させながら、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を成形装置6に供給する構成となっている。
【0023】
成形装置6は、回転軸61の軸線回りに回転しながら、外周面において搬送管5内のエアを吸引することにより、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を吸引、保持して予め定めた厚さや坪量に積層する円筒状のサクションドラム62を備えている。さらに、サクションドラム62の外周面の上半側を覆って、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を、サクションドラム62の外周面にガイドするカバー部材63を備えている。
また、カバー部材63の内部には、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14とは別の第3の吸収体材料16を供給する供給装置63aが設けられている。本発明における第3の吸収性材料としては、高吸水性材料として、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性材料を用いることができ、特に吸水性に優れた、例えば高吸水性樹脂(Super absorbent Polymer:SAP)等の吸水性ポリマーを用いることが好ましい。なお、供給装置63aとしては、第2の混合空間部54内に第3の吸収体材料16をノズル等によって噴射する構成を用いることができる。
さらに、この実施形態においては、サクションドラム62は、このサクションドラム62の外周面における幅方向の中央部分が、その外周面の周方向に延びる溝状に形成されている。そして、サクションドラム62の内方側から吸引力を加えることにより、外周面の幅方向の中央部分に第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を吸着させて予め定めた厚さや坪量まで積層させることが可能となっている。これにより、単一の吸収性物品に用いられる単一の吸収体が、長さ方向に連続的に連なった吸収体連続体7が形成されるようになっている。
【0024】
ここで、成形装置6は、前述のように、サクションドラム62において、搬送管5内のエアを吸引することにより第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を吸引し、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を積層させて吸収体連続体7を形成自在となっているが、このとき、搬送管5は第1の開繊装置3を通してのみ外気を取り込み可能となっている。したがって、サクションドラム62において搬送管5内のエアを吸引する場合には、搬送管5は、第1の開繊装置3を通してのみ外気を取り込んで、エアが搬送管5内に流入させることにより、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を搬送管5の上流側から下流側に向けてエア搬送可能としている。これにより、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を安定的に搬送することができるようにしている。
【0025】
なお、サクションドラム62の外周面において成形された吸収体連続体7は、サクションドラム62が回転することによって、このサクションドラム62の下方側に移動した際に生理用ナプキンや紙オムツ等の製品の製造工程のラインに置かれる。
図1に示すものの場合、サクションドラム62の外周面に吸収体連続体7は、このサクションドラム62の下方側に配設された、生理用ナプキンや紙オムツ等の製品の製造工程のライン上を流れている液透過性の不織布等により形成されたキャリアシート64の上面に、接着剤を介して載置され、次工程に搬送される。そして、吸収体連続体7は、後工程において、キャリアシート64と共に所定の長さや形状を有した単一の吸収体にカットされることとなる。
また、本発明においては、吸収体連続体(吸収体)の厚さについては、特に制限はなく、用途によって任意に設定可能であるが、一般的には約0.1〜約15mm程度、好ましくは約1〜約10mm程度、より好ましくは約2〜約5mmの厚さとすることができる。
【0026】
そして、ウェブ形成装置2は、第1の繊維群の繊維8を一時的に貯留しておく貯留空間21と、この貯留空間21内の繊維8を、上方に予め定めた搬送速度で上方に搬送した後、落下させる繊維搬送装置22と、この繊維搬送装置22から落下した繊維8を収容し、その繊維を積繊させ、積繊体15を形成する収容空間23とを備えている。
また、収容空間23内の積繊体15の厚さ方向の坪量を均一化する均一化装置24と、坪量を均一化させた積繊体15を予め定めた幅及び厚さの第1のウェブ11として収容空間23の外部に連続的に導出させる導出装置25を有している。
さらに、導出装置25から導出された第1のウェブ11を第1の開繊装置3に向けて予め定めた搬送速度で搬送するウェブ搬送装置26を備えている。
【0027】
貯留空間21は、第1の繊維群の繊維8が一定量貯留される空間である。なお、この貯留空間21に貯留される繊維8は、ベール状に形成された第1の繊維群の繊維の塊を開繊したものである。なお、この貯留空間21の底部には、繊維8を繊維搬送装置22の方向に移動させるコンベア装置21aが設けられている。
繊維搬送装置22は、この実施形態においては、第1の開繊機3の方向に一定角度傾斜した斜め上方に向けて繊維8を搬送する構成となっていて、上方及び下方に設けられた一対のローラ22a,22bと、これらの一対のローラ22a,22bに架け渡された、表面に繊維8を引っかけるピン22dを有する無端ベルト22cとを備えたコンベア装置(いわゆるスパイクドラチス)となっている。この繊維搬送装置22は、繊維8の搬送速度を、搬送を停止させることなく連続的に増減させることが可能となっていて、必要に応じて予め定めた搬送速度に自在に変更することができるようになっている。
なお、ピン22dは、無端ベルト22cの外周面に、その設置面に対してほぼ垂直な方向に突出した状態に配設されていて、無端ベルト22cにおいて上方向けに移動する部分については繊維8を引っかけ易く、無端ベルト21cにおいて下方向けに移動する部分については繊維8を離脱させ易くなっている。
なお、図中の符号22eは、無端ベルト21cのピン22dに引っかけて上方に搬送している繊維8の量を調整する調整用ロール(いわゆるイブナーロール)であり、必要以上の量が上方に搬送されている場合には、このロール22eによりはたき落すことが可能である。また図1中の符号22fは、無端ベルト22dのピン22dに引っかかっている繊維8を効率よく離脱させて、落下を促進させるロール(いわゆるビーターロール)である。
【0028】
収容空間23は、上下方向に長く形成された空間であり、繊維搬送装置22から落下させ繊維8を一定の高さだけ収容し、順次積繊させることにより、上下方向に長い積繊体15を形成することが可能となっていて、下端に導出装置25が配設されている。
この収容空間23は、水平方向の断面が略矩形状となっていて、形成される第1のウェブ11を幅と同じ幅(この実施形態の場合、図中の紙面方向(奥行方向)の大きさ)を有していて、第1のウェブ11と同じ幅の積繊体15を形成するようになっている。
また、この収容空間23の四方の周壁のうち、積繊体15の厚さ方向に位置する一対の周壁23a,23bのうちの一方の周壁23aは、均一化装置24の一部を構成するもので、相対する側に位置する周壁23bに近づき、また離れる方向に移動することが可能となっている。
【0029】
この実施形態においては、収容空間23には、この収容空間23内の積繊体15の上下方向長さを監視するセンサ27が取付けられていて、このセンサ27によって収容空間23内の繊維8の積繊高さが収容空間23の許容高さを越えたか否かを監視することにより、積繊体15の長さが一定に保たれるようにしている。
この実施形態においては、積繊体15の幅方向の高さを監視するようになっている。
このセンサ27としては、収容空間23内の積繊体15の上下方向長さを監視できればどのような構成のものを用いてもよいが、レーザセンサであることが好ましい。
【0030】
均一化装置24は、収容空間23の周壁23aを揺動させることにより、収容空間23内の積繊体15に対して繰り返し加圧してその積繊体15を厚さ方向に圧縮することにより、積繊体15の下端に行くにしたがって次第に坪量を均一化するものである。
図2及び図3に示すように、この均一化装置24は、周壁23aの上端部をその周壁23aが、周壁23b方向に揺動自在となるように保持されていて、周壁23aの下方側に連結された揺動装置24aによって、周壁23aの上端部を中心として、その周壁23aが一定の範囲内において周壁23bに近づき、また離れる方向に揺動する構成となっている。そして、周壁23aが周壁23bに近づけた際に積繊体15を加圧してその積繊体15の坪量の均一化を行うことが可能となっている。
一方で、後述のように、積繊体15は導出装置25によって第1のウェブ11として収容空間23から常時導出されている関係で、周壁23aを周壁23bから離れる方向に移動させた場合には積繊体15への加圧が緩んで、積繊体15における上方側に位置する部分が、収容空間23から導出された分だけ下方に移動(下降)することとなる。
【0031】
また、この均一化装置24は、積繊体15に対する坪量の均一化速度を、均一化を停止することなく連続的且つ自在に変更することができるようになっていて、必要に応じて予め定めた速度で均一化速度を調整することが可能となっている。この実施形態の場合、周壁23aの揺動速度を自在に変更することが可能となっていて、これにより坪量の均一化速度を予め定めた速度に調整することができる。
また、この均一化装置24は、収容空間23内の積繊体15における単位当たり長さに対して、ほぼ一定の回数だけ繰り返し加圧することができるようになっている。したがって、積繊体15の長さ方向(収容空間23の上下方向)への移動速度を増加させる場合には、周壁23aの揺動速度を増加させて、積繊体15の単位当たり長さ加圧の回数を一定に保ちながら、移動速度を増加させることが可能となっている。一方で、積繊体15の長さ方向への移動速度を減少させる場合には、周壁23aの揺動速度を減少させて、積繊体15の長さ方向の単位長さ当たりの加圧回数を一定に保ちながら、移動速度を減少させることが可能となっている。
【0032】
導出装置25は、均一化装置24によって坪量の均一化が完了した積繊体15を、収容空間23内の下端から第1のウェブ11として常時且つ連続的に導出すると共に、その第1のウェブ11の長さ方向を、搬送方向であるウェブ搬送装置26の方向に方向転換する。
したがって、収容空間23内の積繊体15は、この導出装置25により第1のウェブ11として下方から常時導出されることとなる。ここで、第1のウェブ11の厚さ方向及び幅方向は、収容空間23内の積繊体15の厚さ方向及び幅方向と一致した状態で導出される。
また、この導出装置25は、ウェブ搬送装置26の第1のウェブ11の搬送速度に連動して駆動するようになっていて、ウェブ搬送装置26の第1のウェブ11の搬送速度が増減した場合には、その搬送速度に応じて、積繊体15(第1のウェブ11)の導出速度も同期して増減するようになっている。
この実施形態においては、導出装置25は、一対のロール部材25a,25bにより構成されていて、これらの一対のロール部材25a,25bの間のギャップによって積繊体15の厚さが予め定められた大きさの範囲に調整されながら、第1のウェブ11として導出される構成となっている。
【0033】
ウェブ搬送装置26は、収容空間23から導出された第1のウェブ11を、第1の開繊装置3の装入口35aに向けて略水平方向に搬送するものである。
この実施形態においては、ウェブ搬送装置26は、略水平方向に配設された一対のロール26a,26bと、これらの一対のロール26a,26bに架け渡された無端ベルト26cとを備えたコンベア装置となっていて、無端ベルト26cにおける上方に位置する部分の上面に第1のウェブ11が載せられ、第1の開繊装置3に向けて搬送される。
【0034】
また、このウェブ搬送装置26には、第1のウェブ11の搬送方向の単位長さあたりの質量を測定する、ロードセル等の測定装置26dが設けられていて、第1のウェブ11の坪量を確認することができるようになっている。この測定装置26dにより測定された質量は、図示しない上位の制御装置に出力されて、予め定めた坪量となるように、例えば均一化装置24の揺動量や揺動速度の調整に反映させることができる。
【0035】
上記構成を有する吸収体の製造装置1を用いて、本発明の吸収体の製造方法の一実施形態を実施する場合について説明する。
この実施形態の製造方法は、基本的に、第1のウェブ11を形成する工程と、第1のウェブ11を開繊する開繊工程と、開繊工程において第1のウェブ11の開繊することにより形成された第1の吸収体材料13、及び第2のウェブ12を開繊することにより形成された第2の吸収体材料14を相互に混合した状態で積層させる成形工程とを含んでいる。
【0036】
具体的に、この実施形態の製造方法は、まず、第1のウェブを形成する工程を行う。
この第1のウェブを形成する工程は、積繊用の収容空間23内に第1の繊維群8を積繊して積繊体15を形成する積繊工程と、積繊体15の坪量を均一化する均一化工程と、均一化した積繊体15を第1のウェブ11として導出して第1の開繊装置3に搬送するウェブ搬送工程とを有している。
【0037】
積繊工程は、貯留空間21内に貯留されている第1の繊維群の繊維8を搬送して、繊維8を収容空間23内において積繊することにより、予め定めた積繊速度で、長さ方向及び幅方向、厚さ方向を有する積繊体15を形成する。
具体的に、この積繊工程では、貯留空間21内の繊維8を、繊維搬送装置22によって、予め定めた搬送速度で上方に搬送して、上下方向に長く形成された収容空間23内に向けて上方から順次落下させることにより、収容空間23内に繊維8を積繊し、上下方向に長く、且つ予め定めた幅(第1のウェブ11と同幅)の積繊体15を形成する。
このとき、収容空間23内の積繊体15は、センサ27により積繊高さ、延いては上下方向長さが監視され、必要以上の長さになった場合には、センサ27は上位の制御装置にその旨を出力し、上位の制御装置は繊維搬送装置22による繊維8の搬送速度を調整して、繊維8の収容空間23への供給量を調整する。
【0038】
このように、繊維8を上方に搬送して、上下方向に長く形成された前記収容空間内に向けて落下させ、上下方向に長い積繊体15を形成するのは、積繊工程に供する設備、この実施形態においては、貯留空間21、繊維搬送装置22、収容空間23の平面視におけるスペースをできるだけ抑えるためである。また、上下方向に長い積繊体15を形成することにより、繊維8の自重により積繊体15全体を圧縮させて、積繊体15の予め定めた坪量への調整に寄与させるためである。
【0039】
均一化工程は、積繊工程において形成した積繊体15の厚さ方向の坪量を、収容空間23内において、予め定めた速度で予め定めた大きさに均一化する。
この均一化工程は、均一化装置24により行い、収容空間23の周壁23aを揺動して、繰り返し加圧して積繊体15を厚さ方向に順次圧縮することにより行う。
【0040】
このとき、均一化工程は、収容空間23内において積繊体15の厚さ方向に向けて予め定めた速度で繰り返し加圧しながら、収容空間23内を下降させることにより、予め定めた坪量に均一化する。また、積繊工程において収容空間23内の積繊体15の長さが一定になるように、積繊体15を繰り返し加圧する速度を増減してその積繊体15の下降速度を増減する。
これにより、ウェブ搬送工程により導出する積繊体15の速さに応じて、収容空間23内の積繊体15の下降速度を調整しながら、積繊体15の坪量の均一化も、収容空間23から導出されるまでに確実且つ安定的に行うことができるようにしている。
この実施形態においては、均一化装置24による周壁23aの揺動速度を増加させることにより、周壁23aと周壁23bとの間で拘束される時間が実質的に短くなるため、積繊体15の収容空間23からの導出速度にもよるが、収容空間23内を下降する積繊体15の下降速度は増加する。逆に、均一化装置24による周壁23aの揺動速度を減少させることにより、周壁23aと周壁23bとの間で拘束される時間が実質的に長くなるため、収容空間23内の積繊体15の下降速度は減少する。しかしながら、積繊体15の長さ方向の単位長さに対する加圧回数は、下降速度にかかわらず、ほぼ一定であり、これにより、収容空間23の積繊体15については、下降してから導出されるまで常時一定の回数だけ加圧が繰り返されて圧縮される。したがって、積繊体15は、収容空間23の下端において外部に導出される前には、予め定めた坪量に均一化されることとなる。
【0041】
ウェブ搬送工程は、均一化工程において厚さ方向の坪量を均一化させた積繊体15を、積繊体15の厚さ方向を厚さ方向とした、予め定めた幅及び厚さを有する前記第1のウェブとして収容空間23から、導出装置25を通じて連続的に導出し、開繊工程に向けて予め定めた搬送速度で搬送する。
なお、この導出装置25によって導出されてこのウェブ搬送工程により搬送される第1のウェブ11の厚さは、厚さ方向の坪量が均一であれば、第1の開繊機3における開繊に支障がない範囲内において、若干のばらつきがあってよい。したがって、第1のウェブ11の上面や下面は必ずしも平坦な面でなくてもよい。
また、この実施形態では、測定装置26dによって、搬送している第1のウェブ11の搬送方向の単位長さあたりの質量を常時測定していて、この測定結果を上位の制御装置に出力していて、その制御装置は測定結果に基づいて第1のウェブ11の坪量が予め定めた大きさであるか否かを判断している。このとき、必要に応じて、積繊体15の坪量調整のために、均一化装置24における周壁23aの揺動量等を調整するようにしてもよい。
【0042】
ここで、この第1のウェブを形成する工程は、後工程である成形工程の成形速度に応じて、ウェブ搬送工程、積繊工程、均一化工程の各工程を次のように制御する。
即ち、まず、ウェブ搬送工程は、成形工程の成形速度の増減に追随して、前記第1のウェブ11の搬送速度を増減する。
具体的には、ウェブ搬送工程においては、成形工程における成形速度が増加した場合には、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度は増加し、成形工程における成形速度が減少した場合には、第1のウェブ11の搬送速度は減少する。
【0043】
そして、積繊工程は、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度の増減に追随して、第1の繊維群の繊維8の積繊速度を増減する。
具体的には、この実施形態の積繊工程においては、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度が増加した場合には、繊維搬送装置22による繊維8の搬送速度を増加して、繊維8が収容空間23内に落下、積繊する速度(即ち、実質的には単位時間当たりの積繊量)を増加させて、実質的に収容空間23内に形成される積繊体15の形成速度を増加させる。なお、この場合においては、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度の増加に伴って、収容空間23から導出される積繊体15の単位時間当たりの長さも増加しているため、積繊体15の形成速度が増加しても、収容空間23内の積繊体15の長さはほぼ一定に保たれる。
逆に、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度が減少した場合には、繊維搬送装置22による繊維8の搬送速度を減少して、繊維8が収容空間23内に積繊する速度を減少させて、実質的に収容空間23内に形成される積繊体15の形成速度を減少させる。なお、この場合であっても、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度の低下に伴って、収容空間23から導出される積繊体15の単位時間当たりの長さも減少しているため、積繊体15の形成速度が減少しても、収容空間23内の積繊体15の長さはほぼ一定に保たれる。
【0044】
また、このとき、積繊工程は、繊維8の搬送速度を連続的に増減することにより積繊速度を連続的に増減する。即ち、繊維搬送装置22による繊維8の搬送速度を連続的に増減させて、収容空間24への繊維8の積繊速度を連続的に増減する。
これにより、収容空間24内への積繊速度を増減する場合であっても、収容空間24への繊維8の積繊を止めることなく、また積繊速度の増加と減少とをスムーズに行うことができるため、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度に応じた積繊速度で、所定の長さの積繊体15を収容空間24内に安定的に形成することができる。
【0045】
さらに、均一化工程は、積繊工程における積繊体15の積繊速度の増減に追随するように、積繊体15に対する均一化の速度を増減する。
具体的には、均一化装置24における収容空間23の周壁23aの揺動速度を増減して、積繊体15に対して繰り返し加圧する速度を増減する。即ち、積繊工程において積繊体15の積繊速度が増加した場合には、均一化装置24における収容空間23の周壁23aの揺動速度は増加して、単位時間当たりの加圧回数が増加する。なお、この際、ウェブ搬送工程の搬送速度の増加に伴って、収容空間23からの導出される積繊体15の単位時間当たりの長さが増加しているため、収容空間23内の積繊体15の下降速度も増加していることから、積繊体15の長さ方向の単位長さあたりの加圧回数は、積繊体15の均一化の速度増加前とほとんど変わらない。
逆に、積繊工程において積繊体15の積繊速度が減少した場合には、均一化装置24における収容空間23の周壁23aの揺動速度は減少して、単位時間当たりの加圧回数が減少する。なお、この際、ウェブ搬送工程の搬送速度の増加に伴って、収容空間23から導出される積繊体15の単位時間当たりの長さは減少しているため、収容空間23内の積繊体15の下降速度も減少していることから、この場合であっても積繊体15の長さ方向の単位長さあたりの加圧回数は、積繊体15の均一化の速度減少前とほとんど変わらない。
【0046】
また、このとき、均一化工程は、積繊体15の坪量の均一化の速度を増減するに際しては、積繊体15に対する加圧を止めることなく、繰り返し加圧する速度を連続的に増減するする。
これにより、積繊体15の坪量の均一化の速度を増減する際であっても、坪量の均一化を滞らせることなく、また、坪量を変化させることなく、均一化の速度の増減にスムーズに対応しながら、予め定めた坪量の第1のウェブ11を常時安定的に形成することができる。
【0047】
このように、第1のウェブを形成する工程において、後工程である成形工程の成形速度に応じて、ウェブ搬送工程、積繊工程、均一化工程の各工程を次のように制御するのは、成形工程の成形速度の増減に関わらず、第1のウェブの坪量を予め定めた大きさに常時に保ち、成形工程において成形される吸収体(この実施形態の場合は、吸収体連続体)の所望の性能を安定的に確保するためである。
即ち、例えば、成形工程における吸収体の成形速度が増加した場合には、吸収体を構成する第1の吸収体材料及び第2の吸収体材料の成形工程への供給速度を増加させる必要があるが、第1の吸収体材料及び第2の吸収体材料の混合割合が変化すると、吸収体が所望の性能を確保できない可能性がある。
【0048】
第1の吸収体材料及び第2の吸収体材料の混合割合を一定に保つためには、これらの第1の吸収体材料及び第2の吸収体材料の成形工程への供給割合を一定に保つ必要があるが、その場合には、第1のウェブ及び第2のウェブの各坪量を一定に保ちながら、第1の開繊装置及び第2の開繊装置への供給速度を増加させることが肝要である。
特に、熱可塑性樹脂繊維を含む第1の繊維からなる第1のウェブについては、第1の開繊装置による開繊工程の直前に形成するのが通常であるが、第1のウエブの形成工程において、単に第1のウェブの第1の開繊装置への搬送速度を増加させただけでは、開繊工程に搬送される第1のウェブの坪量を、搬送速度の増加前後において一定に維持することは難しい。また、成形工程における吸収体の成形速度が減少した場合であっても同様であり、単に第1のウェブの第1の開繊装置への搬送速度を減少させただけでは、開繊工程に搬送される第1のウェブの坪量を、搬送速度の増加前後において一定に維持することは難しい。
【0049】
そのため、本発明においては、ウェブ搬送工程は、成形工程の成形速度の増減に追随して第1のウェブの搬送速度を増減し、積繊工程は、ウェブ搬送工程における第1のウェブの搬送速度の増減に追随して第1の繊維群の繊維の積繊速度を増減し、均一化工程は、積繊工程における積繊体の積繊速度の増減に追随するように積繊体に対する均一化の速度を増減するようにしている。
これにより、第1のウェブを形成する工程中の、ウェブ搬送工程、積繊工程、均一化工程が連動して、開繊工程に搬送する第1のウェブの坪量が、成形工程の成形速度の増減に関わらず予め定めた大きさに安定的に維持することができる。したがって、第1の吸収体材料13として成形工程において成形される吸収体に、第2の吸収体材料14との関係で、予め定めた混合割合で安定的且つ確実に混合することができ、吸収体の所望の性能を安定的に確保することができる。
【0050】
そして、第1のウェブを形成する工程の後、第1のウェブ11を開繊する開繊工程を行う。
この開繊工程は、第1の開繊装置3において行い、第1のウェブを形成する工程において形成された第1のウェブ11を、長さ方向に向けて装入口35aから第1の開繊装置3内に順次装入し、その第1のウェブ11を回転刃部32やウォーカロール36〜40によりその第1のウェブ11の開繊を行う。この開繊工程により形成された第1の吸収体材料13は、回転刃部32の遠心力や、搬送管5の上流から下流に向けてのエアの流れによって、搬送管5内に供給されることとなる。
【0051】
開繊工程の後、開繊工程において形成された、及び第2のウェブ12を開繊することにより形成された第2の吸収体材料14を相互に混合した状態で積層させる成形工程を実施する。
具体的に、この成形工程は、第1の吸収体材料13と、第2のウェブ12を開繊することにより形成した第2の吸収体材料14とを混合した後、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を、成形装置6のサクションドラム62の外周面に吸引、積層させて、一定の幅を有し且つ長さ方向に連続する吸収体連続体7を形成する。
なお、第2のウェブ12の開繊は、第2の開繊装置4によって行い、この実施形態に場合、第2のウェブ12を、装入口35aを通じて第2の開繊装置4内に装入させ、その第2のウェブ12を回転刃部42によって開繊することにより行う。また、第2のウェブ12が第2の開繊装置4に開繊されることにより形成された第2の吸収体材料14は、回転刃部42の遠心力や、搬送管5の上流から下流に向けてのエアの流れによって、搬送路5内に供給されることとなる。
【0052】
また、成形工程においては、搬送管5内に設けられた第1の絞り部51との圧力差を利用して、第1の混合空間部52において、第1の絞り部51を通過した第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を拡散させることにより、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を混合する。
さらに、搬送管5における第1の混合空間部52よりも下流に設けられた第2の絞り部53との圧力差を利用して、第2の混合空間部54において、第2の絞り部53を通過した第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を再度拡散させることにより、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14をさらに混合する。
これにより、第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14が、均一且つバランスよく混合した状態で、これらの第1の吸収体材料13及び第2の吸収体材料14を成形装置6のサクションドラム61の外周面に吸引させることができ、所望の性能を有する吸収体(この場合は吸収体連続体7)を安定的に且つ確実に形成することができる。
【0053】
なお、図1に示すように、成形工程において成形された吸収体連続体7は、回転するサクションドラム62の回転軸61まわりの回転により、サクションドラム61の下方に搬送されると共に、上面に接着剤を塗布したキャリアシート64上に転写され、このキャリアシート64の搬送方向MDに向けて搬送され、図示しない後工程の生理用ナプキン等の吸収性物品の製造工程に送られ、単一の吸収体に切断されることとなる。
【0054】
前記構成を有する吸収体の製造方法は、第1のウェブ11の形成に際して、積繊体15から形成された第1のウェブ11を搬送するウェブ搬送工程は、吸収体連続体7を成形する成形工程の成形速度の増減に追随して、第1のウェブ11の搬送速度を増減すると共に、積繊体15を形成する積繊工程は、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度の増減に追随して、第1の繊維群の繊維8の積繊速度を増減する。また、積繊体15の厚さ方向の坪量を均一化する均一化工程は、積繊工程における積繊体15の積繊速度の増減に追随するように、積繊体15に対する均一化の速度を増減する。
【0055】
このとき、成形工程において、吸収体連続体7の成形速度の増減を行う場合に、吸収体連続体7の成形速度を増減させたとしても、第1のウェブを形成する工程においては、成形工程における吸収体連続体7の成形速度に追随してウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度が増減し、また、ウェブ搬送工程における第1のウェブ11の搬送速度が増減に追随して、積繊工程における繊維8の収容空間23内への積繊速度が増減する。
さらには、積繊工程における繊維8の積繊速度の増減に追随し、均一化工程における積繊体15の坪量の均一化速度が増減する。
これにより、吸収体連続体7の成形速度の増減に伴って、第1のウェブを形成する工程中の、ウェブ搬送工程、積繊工程、均一化工程がそれぞれ連動して機能し、厚さ方向の坪量が予め定めたほぼ一定の大きさの第1のウェブ11を安定的に形成して、開繊工程に搬送することができる。
したがって、吸収体連続体7を構成する繊維の混合割合を所望の割合に安定的且つ確実にコントロールすることができるため、最終的には、予定していた吸収体として性能を安定的に得ることが可能である。
【0056】
前記実施形態においては、ウェブ搬送工程において、第1のウェブ11の搬送方向の単位長さあたりの質量を測定装置26dによって測定しているが、第1のウェブの搬送方向の単位長さあたりの質量の測定結果を利用する必要がない場合には、ウェブ搬送工程においては第1のウェブの搬送方向の単位長さあたりの質量を必ずしも測定しなくても良い。
【0057】
前記実施形態においては、積繊工程は、第1の繊維群の繊維を、予め定めた搬送速度で上方に搬送して、上下方向に長く形成された収容空間23内に向けて落下させ、上下方向に長い積繊体15を形成する構成となっている。
しかしながら、製造装置の設置スペースについて、平面視において十分なスペースが確保できるようであれば、積繊工程は、必ずしも上方に搬送して、上下方向に長く形成された収容空間内に向けて落下させることによって積繊体を形成しなくてもよい。
【0058】
前記実施形態においては、均一化工程は、収容空間23内において、周壁23aを揺動させることにより、積繊体15の厚さ方向に向けて予め定めた速度で繰り返し加圧し、予め定めた坪量に均一化している。しかしながら、積繊体の坪量を均一化する方法については、例えば、積繊体を一対のロール間を通すことにより加圧する等、任意の手段を用いることができる。
【0059】
また、前記実施形態の成形工程においては、第1の絞り部51と第1の混合空間部52、及び第2の絞り部53と第2の混合空間部54により、第1の吸収体材料12及び第2の吸収体材料13の混合を促進させているが、このような絞り部や混合空間部は必ずしも設ける必要はなく、また設けた場合であっても、絞り部と混合空間部との組は1組あるいは3組以上であってもよい。
さらに、前記実施形態においては、成形工程においては、複数の吸収体が長さ方向に連続的に連なった長尺の吸収体連続体7を形成する構成となっていたが、成形工程では、単一の吸収性物品に使用する単一の吸収体を成形してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 吸収体の製造装置
2 ウェブ形成装置
3 第1の開繊装置
4 第2の開繊装置
5 成形装置
7 吸収体連続体
8 第1の繊維群の繊維
11 第1のウェブ
12 第2のウェブ
15 積繊体
21 貯留空間
22 繊維搬送装置
23 収容空間
24 均一化装置
26 ウェブ搬送装置
図1
図2
図3