(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
分岐状ポリエステルを与える成分A、成分B、場合によって成分C及び場合によって成分Dの反応において、当然ながら、異なる成分Aの混合物、異なる成分Bの混合物、場合によって異なる成分Cの混合物及び/又は場合によって異なる成分Dの混合物を使用することもできる。最大三種の異なる成分Aを含んだ混合物、最大三種の異なる成分Bを含んだ混合物及び/又は場合によって最大三種の異なる成分Cを含んだ混合物を使用することが好適である。最大二種の異なる成分Aを含んだ混合物、最大二種の異なる成分Bを含んだ混合物及び/又は場合によって最大二種の異なる成分Cを含んだ混合物を使用することが特に好適である。特に、分岐状ポリエステルを与える成分A、成分B、場合によって成分C及び場合によって成分Dの反応において、各場合において一種の化合物A、化合物B及び場合によって化合物Cを使用することが好適である。
【0019】
成分Cのカルボン酸(A
x)は、スルホン酸基又はスルホネート基を有していない。
【0020】
本発明のスルホネート基を有する分岐状ポリエステルは、好ましくは、樹枝状の、特に超分岐状のポリエステルである。
【0021】
樹枝状ポリマー又は高分岐状ポリマーという用語は、一連の異なる分岐状の分子構造に対する一般的な用語である。それは、例えば、デンドリマー、星形ポリマー及び超分岐状ポリマーを包含する。
【0022】
デンドリマーは、中心(通例、複数の反応性末端基を有する小分子)から出発して、一定に反復する制御された反応順序により、分岐しているモノマーの代々の世代が結合されていくことで形成される。したがって、各反応ステップにより、得られたデンドリマー中のモノマー末端基の数は、指数関数的に増大する。デンドリマーの特質的な特徴は、それらの構築中に行われた反応段階(世代)の数である。均質な構造(理想的な場合では、すべての分岐が正確に同じ数のモノマー単位を含む)のため、デンドリマーは、本質的に単分散性であり、即ち、それらは一般的に、規定されたモル質量を有する。分子的並びに構造的に均質な高分岐状ポリマーは、一貫性のために以下デンドリマーと呼ぶ。
【0023】
本発明において、「超分岐状ポリマー」は、上記で指定されたデンドリマーとは対照的に分子的にも構造的にも不均質な高分岐状ポリマーである。超分岐状ポリマーは、したがって、不均質なモル質量分布(多分散性)を有する。超分岐状ポリマーを生成するために、様々な合成戦略間で区別がなされる。可能な合成方法の概要は、C. Gao, D. Yan、Prog. Polym. Sci. 29(2004)、183において見出され得る。
【0024】
樹枝状ポリマー及び超分岐状ポリマーの定義に関しては、P.J. Flory, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718及びH. Freyら、Chemistry - A European Journal、2000, 6、No. 14、2499もまた参照されたい。
【0025】
樹枝状ポリマーは、それらの「分岐度」により特徴付けることができる。「分岐度」の定義に関しては、H. Freyら、Acta Polym. 1997、48, 30を参照する。ここで分岐度DBは、DB(%)=(T+Z)/(T+Z+L)×100として規定されており、式中、
Tは、末端に結合したモノマー単位の平均数であり、
Zは、分岐を形成しているモノマー単位の平均数であり、
Lは、直鎖に結合したモノマー単位の平均数である。
【0026】
デンドリマーは一般に、少なくとも99%、詳細には99.9%から100%の分岐度DBを有する。
【0027】
超分岐状ポリマーは、好ましくは、10%から95%までの、好ましくは25%から90%までの、特に30%から80%までの分岐度DBを有する。
【0028】
本発明によって使用される分岐状ポリエステルは、分子1個当たり、10%から95%までの、好ましくは10%から90%までの、特に好ましくは10%から80%までの、特に20%から80%までの分岐度(DB)を有するのが好ましい。
【0029】
本発明において、スルホネート基を有する又は有していない超分岐状ポリエステルは、構造的にも分子的にも不均質な、スルホネート基を有する又は有していない未架橋ポリエステルを意味するものとして、理解される。本明細書において、未架橋とは、ポリマーの不溶性画分の全体を測定して、15重量%未満の、好ましくは10重量%未満の架橋度が存在することを意味する。
【0030】
ポリマーの不溶性画分は、ポリマーが可溶性である溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド又はヘキサフルオロイソプロパノール、好ましくはテトラヒドロフランを用いる、ソックスレー装置内での4時間にわたる抽出により測定した。残渣を一定重量まで乾燥させた後、残留している残渣を秤量する。
【0031】
好ましい実施形態では、本発明によるスルホネート基を有する分岐状ポリエステルは、成分Dを使用して得られ、ここで、成分A、B、C及びDの合計量に基づいて好ましくは20mol%未満の成分Dが使用される。ここで、10mol%未満の成分Dを使用することが非常に特に好適である。好ましくは、成分Dは、式CH
3(-O-CH
2-CH
2)
n-OH(式中、nは2から30までの、特に好ましくは2から25までの範囲の整数に相当する)の化合物から選択される。
【0032】
スルホネート基を有する分岐状ポリエステルの別の好ましい実施形態では、ステップaにおいて、二官能性成分B及び/又はCを含んだ混合物中の三官能性以上の成分B及び/又はCの割合は、成分B及び/又はCの合計量に基づいて、50mol%から100mol%まで、好ましくは70mol%から100mol%まで、非常に特に好ましくは80mol%から100mol%までである。
【0033】
スルホネート基を有する分岐状ポリエステルの別の好ましい実施形態では、ステップaにおいて、三官能性以上の成分B及び/又はCの割合は、成分A、B、C及びDの合計量に基づいて、少なくとも30mol%、特に好ましくは少なくとも35mol%、非常に特に好ましくは少なくとも40mol%である。
【0034】
スルホネート基を有する分岐状ポリエステルの更なる好ましい実施形態では、ステップaにおいて、成分A、B、C及びDの合計量に基づいて少なくとも30mol%の成分B及び存在するならば成分Cは、三官能性以上である。好ましくは、これに関連して、少なくとも35mol%、特に好ましくは40mol%、特に少なくとも45mol%の成分B及び存在するならば成分Cは、三官能性以上である。好ましくは、成分A、B、C及びDの合計量に基づいた三官能性以上の成分B及び存在するならば成分Cの割合は、最大90mol%、好ましくは最大80mol%、非常に好ましくは最大75mol%である。
【0035】
スルホネート基を有する分岐状ポリエステルの別の好ましい実施形態では、ステップaにおいて、成分A、B、C及びDの合計量に基づいて少なくとも5mol%の成分Aが使用される。ここで、少なくとも10mol%を使用することが好適である。好ましくは、成分A、B、C及びDの合計量に基づいた成分Aの割合は最大50mol%、好ましくは最大40mol%である。
【0036】
本発明によるスルホネート基を有する分岐状ポリエステルにおいて、ステップbにおける亜硫酸水素塩の量は、特定の用途に応じて幅広い範囲で変化し得る。更に、α,β-オレフィン性不飽和ジカルボン酸(A
2)の量に基づいて、10mol%から95mol%までの、特に好ましくは20mol%から92mol%までの、特に30mol%から90mol%までの亜硫酸水素塩を使用することが好適である。
【0037】
分岐状ポリエステルの分子量は、亜硫酸水素塩との反応前に、基準としてのポリメチルメタクリレート(PMMA)と比較して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。このために、ジメチルアセトアミド又はテトラヒドロフランを溶離剤として使用した。この方法は、Analytiker Taschenbuch [Analytical handbook]第4巻、433〜442ページ、Berlin 1984において記述されている。
【0038】
このようにして測定された、亜硫酸水素塩との反応前のポリエステルAの重量平均分子量(Mw)は、500g/molから50000g/molまでの範囲、好ましくは750g/molから25000g/molまでの範囲、非常に特に好ましくは1000g/molから15000g/molまでの範囲である。
【0039】
亜硫酸水素塩との反応前の分岐状ポリエステルは、10mg KOH/gポリマーから500mg KOH/gポリマーまでの、好ましくは15mg KOH/gポリマーから400mg KOH/gポリマーまでの、非常に特に好ましくは20mg KOH/gポリマーから300mg KOH/gポリマーまでの酸価を有する。酸価は、DIN 53402に従って測定した。
【0040】
亜硫酸水素塩との反応前の分岐状ポリエステルAは、-50℃から+50℃までの、好ましくは-40℃から+40℃までの、非常に特に好ましくは-30℃から+40℃までの範囲のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)により測定する。
【0041】
好ましくは、スルホネート基を有する分岐状ポリエステルの場合、使用されるα,β-オレフィン性不飽和ジカルボン酸(A
2)は、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸又はグルタコン酸である。マレイン酸及びイタコン酸、非常に特に好ましくはマレイン酸及び無水マレイン酸等のその誘導体が特に好適である。
【0042】
ジカルボン酸(A
2)は、そのままで使用することができ、又は、誘導体の形態において使用することができる。
【0043】
ジカルボン酸(A
2)の誘導体は、ここで、好ましくは、
- モノマー状形態又はポリマー状形態の関連した無水物、
- モノ-又はジアルキルエステル、好ましくはモノ-又はジ-C
1-C
4-アルキルエステル、特に好ましくはモノ-若しくはジメチルエステル又は対応するモノ-又はジエチルエステル、
- 同様に、モノ-及びジビニルエステル、並びに
- 混合されたエステル、好ましくは、異なるC
1-C
4-アルキル成分を含んだ混合されたエステル、特に好ましくは、混合されたメチルエチルエステル
を意味するものとして理解される。
【0044】
これらの中でも、上記無水物及びモノ-又はジアルキルエステルが好ましく、上記無水物及びモノ-又はジ-C
1-C
4-アルキルエステルが特に適切であり、上記無水物が非常に特に適切である。
【0045】
本明細書において、C
1-C
4-アルキルは、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、好ましくはメチル、エチル及びn-ブチル、特に好ましくはメチル及びエチル、非常に特に好ましくはメチルである。
【0046】
本発明において、ジカルボン酸と一種以上のその誘導体との混合物を使用することもできる。同じように、本発明において、一種以上のジカルボン酸の二種以上の異なる誘導体の混合物を使用することができる。
【0047】
二官能性アルコール(B
y=B
2)としてのスルホネート基を有する分岐状ポリエステルの場合、
エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-2,3-ジオール、ペンタン-1,2-ジオール、ペンタン-1,3-ジオール、ペンタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ペンタン-2,3-ジオール、ペンタン-2,4-ジオール、ヘキサン-1,2-ジオール、ヘキサン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘキサン-2,5-ジオール、ヘプタン-1,2-ジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,5-ヘキサジエン-3,4-ジオール、1,2-及び1,3-シクロペンタンジオール、1,2-、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジオール、1,1-、1,2-、1,3-及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,1-、1,2-、1,3-及び1,4-ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソソルビド、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、
ポリエチレングリコールHO(CH
2CH
2O)
n-H若しくはポリプロピレングリコールHO(CH[CH
3]CH
2O)
n-H(式中、nは整数であり、nは≧4であり、好ましくは、nは4から40までの、特に好ましくは4から20までの範囲の整数である)、ポリエチレンポリプロピレングリコール(ここで、エチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位の順序は、ブロック状若しくはランダム状であり得る)、
又は、最大5000g/molの分子量を有する、好ましくは最大2000g/molの分子量を有するポリテトラメチレングリコール、ポリ-1,3-プロパンジオール若しくはポリカプロラクトン
を使用することが好適である。
【0048】
二官能性アルコール(B
y=B
2)として、ここで、
エチレングリコール、1,2-、1,3-若しくは1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
又は、200g/molから1000g/molの間の平均分子量を有するポリエチレングリコール
を使用することが特に好適である。
【0049】
好ましくは、スルホネート基を有する分岐状ポリエステルについて、使用される三官能性以上のアルコール(yが3以上のB
y)は、
グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ビス(トリメチロールプロパン)、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)-アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、トリグリセロール若しくはより高級のグリセロールの縮合生成物、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリトリトール)、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、トリス(ヒドロキシプロピル)-イソシアヌレート、
糖類若しくは糖アルコール、例えばグルコース、フルクトース若しくはスクロース等、糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、若しくはイノシトール等、
エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/若しくはブチレンオキシドとの反応により得られる三官能性以上のアルコールをベースとした、三官能性以上のポリエーテルオール(polyetherol)、
又は、カプロラクトンとの反応により得られる、三官能性以上のアルコールをベースとした、三官能性以上のポリエステルオールである。
【0050】
ここで特に好ましく使用される三官能性以上のアルコール(yが3以上のB
y)は、
グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリトリトール、スクロース又はソルビトール、更には、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをベースとしたそれらのポリエーテルオール、
特に、
グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、又は、エチレンオキシドをベースとしたそれらのポリエーテルオールである。
【0051】
本発明において、二官能性以上のアルコール(B
y)の混合物を使用することもできる。
【0052】
スルホネート基を有する分岐状ポリエステルについて、好ましくは、α,β-オレフィン性不飽和結合を有していない二官能性以上のカルボン酸(A
x)は、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン-α,ω-ジカルボン酸、ドデカン-α,ω-ジカルボン酸、cis-及びtrans-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、cis-及びtrans-シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、cis-及びtrans-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、cis-及びtrans-シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸、cis-及びtrans-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸であり、
フタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸であり、
ここで、指定されたジカルボン酸は、例えばC
1-C
20-アルキル基又はC
2-C
20-アルケニル基により置換されていてもよい。
【0053】
言及され得る置換ジカルボン酸又はそれらの誘導体の代表例は、2-メチルマロン酸、2-エチルマロン酸、2-フェニルマロン酸、2-メチルコハク酸、2-エチルコハク酸、2-フェニルコハク酸、3,3-ジメチルグルタル酸、ドデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸である。
【0054】
更に、スルホネート基を有する分岐状ポリエステルについて、使用され得るα,β-オレフィン性不飽和結合を有していない二官能性以上のカルボン酸(A
x)は、
トリメリット酸及びその誘導体、例えばその無水物及び/又はエステル誘導体、
又は、ピロメリット酸及びその誘導体、例えばその無水物及び/又はエステル誘導体である。
【0055】
これらの二官能性以上のカルボン酸(A
x)は、そのままで使用することができ、又は、誘導体の形態において使用することができる。
【0056】
誘導体は、好ましくは、
- モノマー状形態又はポリマー状形態の関連した無水物、
- モノ-又はジアルキルエステル、好ましくはモノ-又はジ-C
1-C
4-アルキルエステル、特に好ましくはモノ-若しくはジメチルエステル又は対応するモノ-若しくはジエチルエステル、
- 同様に、モノ-及びジビニルエステル、更には、
- 混合されたエステル、好ましくは、異なるC
1-C
4-アルキル成分を含んだ混合されたエステル、特に好ましくは、混合されたメチルエチルエステル
を意味するものとして理解される。
【0057】
これらの中でも、無水物及びモノ-又はジアルキルエステルが好ましく、無水物及びモノ-又はジ-C
1-C
4-アルキルエステルが特に好適であり、非常に特に好ましくは、無水物である。
【0058】
スルホネート基を有する分岐状ポリエステルについて、α,β-オレフィン性不飽和結合を有していない二官能性以上のカルボン酸(A
x)として、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン-α,ω-ジカルボン酸、ドデカン-α,ω-ジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸又はオクタ-デセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸を使用することが、特に好適である。
【0059】
本発明において、α,β-オレフィン性不飽和結合を有していない二官能性以上のカルボン酸(A
x)の混合物を使用することもできる。
【0060】
スルホネート基を有する分岐状ポリエステルについて、α,β-オレフィン性不飽和結合を有していないヒドロキシカルボン酸(A
xB
y)として、クエン酸、例えばクエン酸一水和物等のクエン酸の水和物、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシコハク酸、酒石酸、イソクエン酸、ジメチロールプロピオン酸又はジメチロール酪酸を使用することが好適である。
【0061】
クエン酸、その水和物又は酒石酸を使用することが、特に好適である。
【0062】
本発明において、ヒドロキシカルボン酸(A
xB
y)の混合物を使用することもできる。
【0063】
好ましい実施形態では、スルホネート基を有する分岐状ポリエステルは、四種以下である幾つかの異なる成分A、B及びCをベースとしており、即ち、ステップaにおいては、四種又はそれより少ない異なる成分A、B及びCが使用される。好ましくは、異なる成分A、B及びCの数は3である。異なる成分A、B及びCの数は、当然ながら、少なくとも2である。
【0064】
本発明の別の好ましい実施形態において、スルホネート基を有する分岐状ポリエステルについて、成分Aの量は、成分Aと成分Cを合わせたカルボン酸の合計量に基づいて、20mol%より多く、好ましくは30mol%より多く、特に好ましくは50mol%より多い。
【0065】
本発明の別の実施形態は、本発明によるスルホネート基を有する分岐状ポリエステルの混合物により与えられる。このような混合物は、本発明の分岐状ポリエステルに加えて、溶媒又は界面活性剤等の別の成分を含む。
【0066】
これらの混合物は、好ましくは、清浄剤、すすぎ液若しくは洗剤、又は水処理用混合物である。本発明の分岐状ポリエステルは、それらの様々な提示形態において、当業者に公知の方法により、これらの配合物(混合物)中に直接組み込むことができる。これに関連して、粉末、錠剤等の固体配合物及び液体配合物に言及すべきである。
【0067】
本発明は、したがって、すすぎ液、清浄剤若しくは洗剤、特に食器用洗剤における本発明によるスルホネート基を有する分岐状ポリエステル又はその混合物の使用を更に提供する。
【0068】
それらは、機械式食器洗い用洗剤に特に有利に使用することができる。それらは、ここで、無機沈着物と有機沈着物の両方に対するそれらの沈着物抑制効果により、特に特徴付けられる。特に、それらは、カルシウム及びマグネシウムの炭酸塩並びにカルシウム及びマグネシウムのリン酸塩及びホスホン酸塩の沈着物を抑制する。更に、それらは、グリース、タンパク質及びデンプン沈着物等、洗浄液の汚れ成分に由来する沈着物を阻止する。
【0069】
本発明による機械用清浄化配合物は、液体又は固体の形態において、単相又は多相において、錠剤として若しくはその他の計量単位の形態において、包装済み形態又は未包装の形態において提供され得る。
【0070】
これらのポリマーは、多成分型製品システム(清浄剤、すすぎ洗い助剤及び塩の再生の個別使用)に使用することもできるし、清浄剤、すすぎ洗い助剤及び塩の再生の機能が1個の製品中に組み合わせられている食器洗い用洗剤(3インワン製品(3-in-one product)、6インワン製品、9インワン製品、オールインワン製品)中に使用することも同様にできる。
【0071】
本発明による混合物の好ましい実施形態は、
a)1重量%から20重量%までの本発明による少なくとも一種のポリマー
b)0重量%から50重量%までの錯化剤、
c)0重量%から70重量%までのホスフェート、
d)0重量%から60重量%までの更なるビルダー及びコビルダー(cobuilder)、
e)0.1重量%から20重量%までの非イオン性界面活性剤、
f)0.1重量%から30重量%までの漂白剤及び場合によって漂白活性化剤、
g)0重量%から8重量%までの酵素、
h)0重量%から50重量%までの、アニオン性界面活性剤又は双性イオン性界面活性剤、アルカリ担体、ポリマー分散剤、防食剤、消泡剤、染料、芳香剤、充填材、有機溶媒、錠剤化助剤、崩壊剤、増粘剤、溶解促進剤及び水等の一種以上の別の添加剤、
を成分として含み、a)からh)までの成分の合計が100重量%である機械式食器洗い用の清浄化配合物により与えられる。
【0072】
b)からh)までの成分についての詳細な記述は、WO 2008/13213 A1及びDE 2007 006630 A1において見出され得る。
【0073】
b)からh)までの成分は、従来技術から当業者には公知であり、WO 2008/13213 A1及びDE 2007 006630 A1において概ね記述されている。適切な錯化剤b)は、例えば、WO 2008/13213 A1 pp. 24〜26において記述されている。使用されるホスフェートc)は、例えば、WO 2008/13213 A1 pp. 18〜21において記述されている物質である。ビルダー及びコビルダーd)は、例えば、WO 2008/13213 A1 pp. 21〜24及びDE 2007 006630 A1 pp. 5〜7において記述されている物質を意味するものとして理解される。適切な非イオン性界面活性剤e)は、当業者により、例えばDE 2007 006630 A1 pp. 9〜12において見出され得る。漂白剤及び漂白活性化剤f)は、例えばWO 2008/13213 A1 pp. 29〜31から当業者には周知である。酵素g)の例は、WO 2008/13213 A1 pp. 26〜29において記述されている。個々の成分の量比は、清浄化配合物の使用に関した特定の分野に応じて、当業者により調節される。
【0074】
本発明は、本発明によるスルホネート基を有する分岐状ポリエステル又はそれらの混合物の導水システムにおける沈着物抑制剤としての使用を更に提供する。
【0075】
本発明によるポリマーが使用され得る導水システムは、特に、海水の脱塩プラント、冷却水システム及びボイラー給水システム及び工業用プロセス用水である。
【0076】
一般に、本発明によるポリマーは、0.1mg/lから100mg/lまでの量で導水システムに添加される。最適な投入は、特定の用途の要件及び/又は特定のプロセスの運転条件により支配される。例えば、熱による海水の脱塩の場合、本発明のポリマーは、好ましくは、0.5mg/lから10mg/lまでの濃度で使用される。工業用冷却循環器又はボイラー給水システムにおいては、最大100mg/lのポリマー濃度が使用される。沈着物を形成する塩の比率を確認し、これにより最適な投入を確認するために、しばしば、水質分析が実施される。
【0077】
本発明によるポリマーに加えて、特にホスホネート、ポリホスフェート、亜鉛塩、モリブデン酸塩、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾイミダゾール若しくはエチニルカルビノールアルコキシレート等の有機防食剤、殺生物剤、錯化剤及び/又は界面活性剤を要件に応じて含み得る配合物もまた、導水システムに添加することができる。ホスホネートの例は、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)及びエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)であり、これらは、各場合において、酸形態又はそれらのナトリウム塩の形態において使用される。
【0078】
本発明は、
1.分岐状ポリエステルを与える、成分A、成分B、場合によって成分C及び場合によって成分Dの反応であって、
i.成分Aが、α,β-オレフィン性不飽和ジカルボン酸(A
2)の群から選択され、
ii.成分Bが、二官能性以上のアルコール(B
y)の群から選択され、
iii.場合による成分Cが、α,β-オレフィン性不飽和結合を有していない二官能性以上のカルボン酸(A
x)及びヒドロキシカルボン酸(A
xB
y)の群から選択され、
iv. 場合による成分Dが、式CH
3(-O-CH
2-CH
2)
n-OH(式中、nは2から40までの範囲の整数に相当する)の化合物から選択され、
ただし、二官能性アルコール(B
2)のみが成分Bとして選択される場合、成分Cが反応aにおいて存在し、且つα,β-オレフィン性不飽和結合を有していない三官能性以上のカルボン酸(A
x)及びヒドロキシカルボン酸(A
xB
y)の群から選択される反応
b.ステップaにおいて得られた分岐状ポリエステルと亜硫酸水素塩との後続の反応であって、亜硫酸水素塩のモル量が、α,β-オレフィン性不飽和ジカルボン酸(A
2)の量に基づいて最大95mol%である反応
を含む、スルホネート基を有する分岐状ポリエステルを製造するための方法を更に提供する。
【0079】
本発明による方法のステップ1は、希釈液せずに実施することができ、又は溶媒の存在下で実施することができる。適切な溶媒は、例えば、パラフィン又は芳香族化合物等の炭化水素である。特に適切なパラフィンは、n-ヘプタン及びシクロヘキサンである。特に適切な芳香族化合物は、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、異性体混合物としてのキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン並びにオルト-及びメタ-ジクロロベンゼンである。酸性触媒の不在下での溶媒として同様に適切なのは、非常に詳細には、例えばジオキサン又はテトラヒドロフラン等のエーテル、並びに、例えばメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトンである。
【0080】
本発明によれば、添加される溶媒の量は、反応する使用される出発物質の質量に基づいて、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、特に好ましくは少なくとも10重量%である。反応する使用される出発物質の質量に基づいて過剰な、例えば1.01倍から10倍までの溶媒を使用することもできる。反応する使用される出発物質の質量に基づいて100倍より多い溶媒量は、反応物質の大幅により低い濃度において、反応速度が大幅に低下し、これが不経済に長い反応時間につながるため、有利ではない。
【0081】
好ましい一実施形態では、上記反応は、溶媒なしで実施される。
【0082】
本発明による方法におけるステップ1を実施するために、反応の開始のときに添加される添加剤としての脱水剤(water-withdrawing agent)の存在下で行うことができる。分子篩い、特に分子篩い4Å、例えばMgSO
4及びNa
2SO
4が適切である。反応中、別の脱水剤もまた添加され得、又は、脱水剤は、新しい脱水剤と取り替えることができる。反応中に形成された水及び/又はアルコールは留去することもでき、例えば、添加溶剤を用いて水が除去される水分離器を使用することができる。
【0083】
本発明による方法のステップ1は、触媒の不在下で実施することができる。しかしながら、少なくとも一つの触媒の存在下で行うことが好適である。これらは、好ましくは酸性の無機触媒、有機金属触媒若しくは有機触媒、又は、二種以上の酸性の無機触媒、有機金属触媒若しくは有機触媒の混合物である。
【0084】
本明細書において、酸性触媒はまた、ルイス酸、即ち、ロンプ化学事典(Rompps Chemie-Lexikon)、見出し語「酸-塩基説」に従った化合物ともみなされ、これは、それらの原子のうちの1個の原子価殻中に、電子対を受容することができる。
【0085】
本発明の目的について、酸性無機触媒は、例えば、硫酸、スルフェート、並びに、硫酸水素ナトリウム等の硫酸水素塩、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲル(pH≦6、特に≦5)及び酸性酸化アルミニウムである。例えば、一般式Al(OR
1)
3のアルミニウム化合物及び一般式Ti(OR
1)
4のチタネートを酸性無機触媒として使用することもでき、式中、基R
1は、各場合において同一であってもよく又は異なっていてもよく、互いに独立に、
C
1-C
20-アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル又はn-オクタデシル、
C
3-C
12-シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシル、好適には、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル
から選択される。
【0086】
好ましくは、Al(OR
1)
3及びTi(OR
1)
4中の基R
1は、各場合において同一であり、n-ブチル、イソプロピル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、デシル又はドデシルから選択される。
【0087】
好ましい酸性有機金属触媒は、例えば、ジアルキルスズオキシドR
12SnO又はジアルキルスズジエステルR
12Sn(OR
2)
2から選択され、式中、R
1は、上記で規定された通りであり、同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0088】
R
2は、R
1と同じ意味を有し得、更にC
6-C
12-アリール、例えば、フェニル、o-、m-若しくはp-トリル、キシリル又はナフチルであり得る。R
2は、各場合において同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0089】
有機スズ触媒の例は、n-オクタン酸スズ(II)、2-エチルヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート又はジオクチルスズジアセテートである。有機アンチモン触媒、有機ビスマス触媒又は有機アルミニウム触媒もまた、考えられる。
【0090】
酸性有機金属触媒の特に好ましい代表は、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド及びジブチルスズジラウレートである。
【0091】
好ましい酸性有機触媒は、例えばホスフェート基、スルホン酸基、スルフェート基又はホスホン酸基を有する酸性有機化合物である。例えばパラ-トルエンスルホン酸等のスルホン酸が特に好適である。酸性有機触媒として酸性イオン交換体、例えば、スルホン酸基を含み約2mol%のジビニルベンゼンで架橋されているポリスチレン樹脂を使用することもできる。
【0092】
前述した触媒のうちの二種以上の組合せを使用することもできる。例えばシリカゲル又はゼオライトの上に固定化された形態の離散した分子において存在する、有機触媒又は有機金属触媒又は無機触媒を使用することも、同様に可能である。
【0093】
酸性の無機触媒、有機金属触媒又は有機触媒を使用することが所望される場合、使用される量は、ヒドロキシ含有化合物及びカルボキシ含有化合物の合計質量に基づいて、好ましくは1ppmから10000ppmまでの触媒であり、特に好ましくは2ppmから5000ppmまでである。
【0094】
酸性の無機触媒、有機金属触媒又は有機触媒を使用することが所望される場合、本方法は、60℃から140℃までの温度において、本発明に従って実施される。80℃から140℃までの温度、特に好ましくは100℃から130℃までにおいて行うのが好適である。
【0095】
本発明によれば、触媒として酵素を使用することもできるが、それらの使用は、好ましさがより小さい。
【0096】
この目的のために使用され得る酵素は、例えば、加水分解酵素(E.C. 3.-.-.-)から選択され、これらの中でも特に、遊離形態又は担体上に物理的又は化学的に固定化された形態のエステラーゼ(E.C. 3.1.-.-)、リパーゼ(E.C. 3.1.1.3)、グリコシラーゼ(E.C. 3.2.-.-)及びプロテアーゼ(E.C. 3.4.-.-)、好ましくはリパーゼ、エステラーゼ又はプロテアーゼ、特に好ましくはエステラーゼ(E.C. 3.1.-.-)から選択される。Novozyme 435(カンジダ・アンタークチカB(Candida antarctica B)のリパーゼ)、又は、アルカリゲネス属の種(Alcaligenes sp.)、アスペルギルス属の種(Aspergillus sp.)、ケカビ属の種(Mucor sp.)、アオカビ属の種(Penicilium sp.)、ジオトリクム属の種(Geotricum sp.)、クモノスカビ属の種(Rhizopus sp.)、バークホルデリア属の種(Burkholderia sp.)、カンジダ属の種(Candida sp.)、シュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)、サーモマイセス(Thermomyces sp.)若しくはブタ膵臓からのリパーゼが非常に特に好適であり、カンジダ・アンタークチカB若しくはバークホルデリア属の種からのリパーゼが特に好適である。列挙された酵素は、例えば、Novozymes Biotech Inc.、デンマークから市販されている。
【0097】
反応媒体中の酵素含量は一般に、使用される成分の合計に基づいて、約0.1重量%から10重量%までの範囲である。
【0098】
触媒として酵素を使用することが所望される場合、本方法のステップ1は、20℃から最大120℃までの、好ましくは20℃から100℃までの、特に好ましくは20℃から80℃までの温度において、本発明に従って実施される。
【0099】
クエン酸又は糖アルコール及びそれらの誘導体を重縮合反応において使用することが所望される場合、この反応は60℃から140℃までの温度で実施される。80℃から130℃までの温度で実施することが好ましい。
【0100】
本発明による方法は、好ましくは、不活性ガス雰囲気下、即ち、反応条件下で不活性な気体の中で実施され、例えば、二酸化炭素、燃焼ガス、窒素又希ガスの中で実施され、これらの中でも特に、アルゴンに言及すべきである。
【0101】
本発明による方法の圧力条件は一般に重要ではない。著しい減圧において、例えば、10mbarから500mbarまでにおいて行うことができる。本発明による方法は、500mbarより高い圧力においても実施することができる。簡便性の理由から、大気圧において反応を実施することが好ましいが、わずかに高められた圧力、例えば、最大1200mbarにおいて反応を実施することもできる。著しく増大された圧力下で、例えば、最大10barの圧力下において行うこともできる。減圧又は大気圧、特に好ましくは大気圧において反応を実施することが、好適である。
【0102】
本発明による方法の反応時間は通常、10分から48時間まで、好ましくは30分から24時間まで、特に好ましくは1時間から12時間までである。
【0103】
ステップ1の反応が完了したとき、高度に官能性の分岐状ポリエステルが、例えば、触媒を濾別し、場合によって溶媒を取り除くことにより、容易に単離され得、溶媒の取り除きは通常、減圧において実施される。別の非常に適切な後処理方法は、水を添加した後にポリマーを沈殿させ、続いて、洗浄及び乾燥することである。
【0104】
必要ならば、反応混合物は例えば、例えば0.1重量%から50重量%までの、好ましくは0.5重量%から25重量%までの、特に好ましくは1重量%から10重量%までの量の活性炭又は金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素若しくはそれらの混合物等で、例えば10℃から140℃までの、好ましくは20℃から130℃までの、特に好ましくは30℃から120℃までの温度で処理することにより、脱色を施すことができる。
【0105】
これは、粉末状若しくは顆粒状の脱色剤を反応混合物に添加し、続いて濾過することによって実施することができ、又は、反応混合物を、任意の所望の適切な成型品の形態になった脱色剤の層に通過させることにより実施することができる。
【0106】
反応混合物の脱色は、後処理プロセス中の任意の所望の時点において実施することができ、例えば、粗製反応混合物の段階又は場合によって続いて実施される予備洗浄、中和、洗浄又は溶媒除去において実施することができる。
【0107】
反応混合物は、予備洗浄及び/又は中和及び/又は後洗浄を施すこともでき、好ましくは、中和のみを施すこともできる。場合によって、中和と予備洗浄の順序は、交換することもできる。
【0108】
洗浄及び/又は中和の水性相からは、酸性化及び溶媒による抽出により生じた何らかの有価生成物を、少なくとも部分的に回収することができ、それらを新たに使用することができる。
【0109】
加工の観点において、それ自体は公知であるすべての抽出及び洗浄用のプロセス及び装置は、本発明による方法における洗浄又は中和のために使用することができ、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、1999 Electronic Release、章題: Liquid-Liquid Extraction - Apparatusにおいて記述されているものである。例えば、これらは、単段式又は多段式の、好ましくは単段式の抽出であり得、更には、並流運転又は向流運転、好ましくは向流運転における抽出でもあり得る。
【0110】
しかしながら、好ましい実施形態では、洗浄、中和及び脱色なしで済ませることができる。
【0111】
ポリエステルのスルホン化のための本発明による方法のステップ2は、希釈しないで実施することができ、又は溶媒の存在下で実施することができる。適切な溶媒は、例えば、水又はアルコールである。
【0112】
本発明に従って添加される溶媒の量は、反応する使用される出発物質の質量に基づいて、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、特に好ましくは少なくとも10重量%である。反応する使用される出発物質の質量に基づいて過剰な、例えば、1.01倍から10倍までの溶媒を使用することもできる。反応する使用される出発物質の質量に基づいて100倍より多い溶媒量は、反応物質の著しくより低い濃度においては反応の速度が大幅に低下し、これが不経済に長い反応時間につながるため、有利ではない。
【0113】
本発明による方法のステップ2は、60℃から150℃までの温度において実施される。80℃から120℃までの温度、特に好ましくは90℃から110℃までにおいて行うことが好適である。
【0114】
好ましくは、ポリエステルは、撹拌可能な溶融物としての初期装入物として、反応温度において導入され、次いで、スルホン化試薬の水溶液と混合される。
【0115】
使用され得るスルホン化試薬は、硫酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(亜硫酸水素塩)の溶液である。この溶液の濃度は、10重量%から90重量%まで、好ましくは20重量%から50重量%まで、非常に特に好ましくは30重量%から45重量%までである。
【0116】
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム又は亜硫酸水素マグネシウムの水溶液を使用することが好適である。亜硫酸水素ナトリウムの水溶液が、非常に特に好適である。
【0117】
別法として、亜硫酸水素塩と不均化するチオ硫酸ナトリウムの酸性水溶液を使用することができる。
【0118】
本発明による方法のステップ2における反応時間は通常、10分から48時間まで、好ましくは30分から24時間まで、特に好ましくは1時間から3時間までである。
【0119】
反応は、亜硫酸水素塩が反応混合物中にもはや検出できなくなったときに完了である。転化中、反応混合物中の亜硫酸水素塩の消費は、定性的又は定量的にモニターすることができる。
【0120】
定性的モニタリングに適しているのは、例えば、過マンガン酸カリウム希釈溶液を用いて反応混合物の試料を処理し、続いて、塩化バリウム溶液を添加することである。ここで、存在するいかなる亜硫酸水素塩も、最初に、過マンガン酸塩によりスルフェートに酸化され、これは、バリウムイオンと接触したとき、やや溶けにくい硫酸バリウムとして沈殿する。検出が、過マンガン酸カリウムとマレイン酸二重結合との反応により妨害されることは、考慮に入れるべきである。
【0121】
反応の定量的モニタリングに適しているのは、例えばGerhard Schulze、Jurgen Simon「Jander/Jahr MaBanalyse」、第17版2009年、de Gruyter, Berlin、p. 187において記述されているような、スルファイトのヨウ素滴定による測定である。
【0122】
本発明により、カルボン酸、カルボキシレート及び/又はスルホネートが高密度であるために、清浄化のため、及び水処理のために使用することができるが、それにもかかわらず生分解性であるスルホネート基を有する分岐状ポリエステルが利用できるようになる。低毒性を有するこれらのポリマー型作用物質は、技術的に比較的簡単でコスト面で効果的な方法により調製することができ、清浄化のための配合物中に、それらの様々な提示形態において、容易に組み込むことができる。
【0123】
本発明は、実施例により詳細に説明されるが、これらの実施例が本発明の主題を限定することはない。
【実施例】
【0124】
MA=無水マレイン酸
TMP=トリメチロールプロパン
TMP×n EO=nモル過剰なエチレンオキシドとTMPの反応生成物
ASA=オクタデセニルコハク酸
CA=クエン酸一水和物
DBTL=ジブチルスズジラウレート
Ti(OBu)
4=テトラブチル酸チタン
*x% NaHSO
3とは、スルホン化反応において、ポリマー中に理論上存在するα,β-オレフィン性不飽和二重結合のx%をスルホン化するのに必要とされる量のNaHSO
3が使用されたことを意味する。
【0125】
非スルホン化ポリエステルの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(カラム組合せ: 2×PLゲル3μm MIXED-E及び1×ResiPore 3μm、標準:ポリメチルメタクリレート(PMMA)、溶離剤: THF)により測定した。
【0126】
酸価(mg KOH/gポリマー)を、DIN 53402に従って測定した。
【0127】
実施例1
ポリマー1: MA: TMP×12 EO
44.7gのMA及び255.2gのTMP×12 EOを、撹拌器、内部温度計、ガス導入管、及び捕捉容器付の下降冷却器(descending condenser)を備えた500ml丸底フラスコの中に量り取り、均一な溶融物が形成されるまで、撹拌しながら160℃に加熱した。次いで、0.1gのDBTLを添加し、反応混合物を、GPC対照品が6900g/molの重量平均分子量を示すまで、反応の水を分離しながら、8時間の間160℃において撹拌した。反応はその後、室温への冷却により完了した。
【0128】
生成物は、黄色の水溶性樹脂の形態において得られた。
【0129】
下記の特性データが測定された:
酸価=47mg KOH/gポリマー
M
n=1660g/mol、M
w=8740g/mol。
【0130】
スルホン化ポリマー1a:(MSA: TMP×12 EO)
*25% NaHSO
3
150gのポリマー1及び15.3gのNaHSO
3水溶液(39%濃度)を、撹拌器、内部温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた500ml丸底フラスコの中に量り取り、撹拌しながら100℃に加熱し、反応混合物中での亜硫酸水素塩の検出が否定されるまで、この温度に保持した。この反応混合物を次いで室温まで冷却し、50%濃度水酸化カリウム水溶液を使用して、pH=7のpHに調節した。反応混合物をアルミニウム皿に移し、真空乾燥キャビネット(70℃)内での乾燥により乾燥させた。
【0131】
生成物は、黄色の水溶性樹脂の形態において得られた。
【0132】
下記の特性データが測定された:
酸価=8mg KOH/gポリマー。
【0133】
実施例2
ポリマー2: MA: TMP×12 EO: ASA
137gのMA、491.4gのASA及び1875.7gのTMP×12 EOを、撹拌器、内部温度計、ガス導入管、及び捕捉容器付の下降冷却器を備えた500ml丸底フラスコの中に量り取り、均一な溶融物が形成されるまで、撹拌しながら170℃に加熱した。次いで、0.75gのTi(OBu)
4を添加し、反応混合物を、GPC対照品が5900g/molの重量平均分子量を示すまで、反応の水を分離しながら、11時間の間170℃〜180℃において撹拌した。反応はその後、室温への冷却により完了した。
【0134】
生成物は、黄色がかった水不溶性樹脂の形態において得られた。
【0135】
下記の特性データが測定された:
酸価=33mg KOH/gポリマー
M
n=650g/mol、M
w=6400g/mol
スルホン化ポリマー2a:(MA: TMP×12 EO: ASA)
*25% NaHSO
3
1001gのポリマー2及び77.3gのNaHSO
3水溶液(39%濃度)を、撹拌器、内部温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた2000ml丸底フラスコの中に量り取り、撹拌しながら100℃に加熱し、反応混合物中での亜硫酸水素塩の検出が否定されるまで、この温度に保持した。この反応混合物を次いで室温まで冷却し、50%濃度水酸化カリウム水溶液を使用して、pH=7のpHに調節した。反応混合物をアルミニウム皿に移し、真空乾燥キャビネット(70℃)内での乾燥により乾燥させた。
【0136】
生成物は、黄色の水溶性蝋状固体の形態において得られた。
【0137】
下記の特性データが測定された:
酸価=16mg KOH/gポリマー。
【0138】
実施例3
ポリマー3: CA: MA: TMP
68.8gのMA、443gのCA及び189.1gのTMPを、撹拌器、内部温度計、ガス導入管、及び捕捉容器付の下降冷却器を備えた1000ml丸底フラスコの中に量り取り、均一な溶融物が形成されるまで、撹拌しながら130℃に加熱した。次いで、0.21gのTi(OBu)
4を添加し、反応混合物を、GPC対照品が6400g/molの重量平均分子量を示すまで、反応の水を分離しながら、3時間の間130℃において撹拌した。反応はその後、室温への冷却により完了した。
【0139】
生成物は、無色の水不溶性非晶質固体の形態において得られた。
【0140】
下記の特性データが測定された:
酸価=367mg KOH/gポリマー
M
n=120g/mol、M
w=9760g/mol。
【0141】
スルホン化ポリマー3a:(CA: MA: TMP)
*30% NaHSO
3
150gのポリマー3及び12gのNaHSO
3水溶液(39%濃度)を、撹拌器、内部温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた250ml丸底フラスコの中に量り取り、撹拌しながら100℃に加熱し、5時間の間この温度において撹拌した。この反応混合物を次いで室温まで冷却し、50%濃度水酸化カリウム水溶液を使用して、pH=5のpHに調節した。反応混合物をアルミニウム皿に移し、真空乾燥キャビネット(70℃)内での乾燥により乾燥させた。
【0142】
生成物は、黄色の水溶性蝋状固体の形態において得られた。
【0143】
スルホン化ポリマー3b:(CA: MA: TMP)
*60% NaHSO
3
100gのポリマー3及び16gのNaHSO
3水溶液(39%濃度)を、撹拌器、内部温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた250ml丸底フラスコの中に量り取り、撹拌しながら100℃に加熱し、5時間の間この温度において撹拌した。この反応混合物を次いで室温まで冷却し、50%濃度水酸化カリウム水溶液を使用して、pH=5のpHに調節した。反応混合物をアルミニウム皿に移し、真空乾燥キャビネット(70℃)内での乾燥により乾燥させた。
【0144】
生成物は、黄色の水溶性蝋状固体の形態において得られた。
【0145】
スルホン化ポリマー3c:(CA: MA: TMP)
*90% NaHSO
3
1008gのポリマー3及び24gのNaHSO
3水溶液(39%濃度)を、撹拌器、内部温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた2000ml丸底フラスコの中に量り取り、撹拌しながら100℃に加熱し、5時間の間この温度において撹拌した。この反応混合物を次いで室温まで冷却し、50%濃度水酸化カリウム水溶液を使用して、pH=5のpHに調節した。反応混合物をアルミニウム皿に移し、真空乾燥キャビネット(70℃)内での乾燥により乾燥させた。
【0146】
生成物は、黄色の水溶性蝋状固体の形態において得られた。
【0147】
実施例4
炭酸カルシウム抑制試験
NaHCO
3、Mg
2SO
4、CaCl
2及びポリマーの溶液を、2時間の間70℃において水浴中で振とうする。まだ温かい溶液を0.45μm Milexフィルターにより濾過した後、濾液のCa含量を錯滴定により測定し、又はCa
2+選択電極により測定し、前後での比較により、CaCO
3抑制を%で測定する(式Iを参照)。
【0148】
Ca
2+ 215mg/l
Mg
2+ 43mg/l
HCO
3- 1220mg/l
Na
+ 460mg/l
Cl
- 380mg/l
SO
42- 170mg/l
ポリマー 10mg/l
温度 70℃
時間 2時間
pH 8.0〜8.5
CaCO
3抑制(%)=24時間後のmg(Ca
2+)- 24時間後のmg(Ca
2+)ブランク値/mg(Ca
2+)ゼロ値-24時間後のmg(Ca
2+)ブランク値×100
【表1】
【0149】
これらのポリマーを、下記のホスフェートを含まない配合物PF1及びPF2及びホスフェートをベースとした配合物P1において試験した。これらのポリマーの組成は、表3(重量%におけるデータ)に示されている。
【表2】
【0150】
ここで、下記の実験条件が認められた:
食器洗い機: Miele G 1222 SCL
プログラム: 65℃(予洗あり)
器物: 3本のナイフ(WMF Tafelmesser Berlin、モノブロック型)
3個の飲料用グラスAmsterdam 0.2 l
3枚の朝食用平皿「OCEAN BLUE」(メラミン)
3枚の磁器平皿: RIMMED PLATES FLAT 19 cm
配置:ナイフはカトラリー用の引き出しの中、グラスは上側のカゴの中、平皿は下側のカゴの中
食器洗い用洗剤: 21g
汚れの添加: 50gのバラスト汚れ(ballast soiling)を解凍し、予洗後の配合物と一緒に計量する。組成に関しては以下を参照。
【0151】
クリアリンス温度: 65℃
水硬度: 21°ドイツ硬度(Ca/Mg):HCO3(3:1):1.35
洗浄サイクル: 15回;各場合において合間に1時間の中断(ドアを開いて10分、ドアを閉めて50分)
評価:15洗浄サイクル後の目視による
器物の評価を15サイクル後に暗室内で、開口絞りの後ろの光の下で実施した。
【0152】
バラスト汚れの組成:
デンプン: 0.5%ジャガイモデンプン、2.5%肉汁
グリース: 10.2%マーガリン
タンパク質: 5.1%卵黄、5.1%牛乳
その他: 2.5%トマトケチャップ、2.5%マスタード、0.1%安息香酸、71.4%水
結果:
ポリマーを有するこれらの配合物は、特に、グラス、ナイフ、磁器及びプラスチック部品上の無機及び有機沈着物に対する、それらの非常に高い沈着物抑制効果により特徴付けられる。更に、それらは、食器洗い用洗剤の清浄化力を増大させ、器物からの水の流れ落ちを助け、その結果、特に澄みとおったグラス及び光沢のある金属製カトラリーが得られる。