(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、提示する実施形態を完全に理解できるように、いくつかの具体的な詳細を述べる。開示する実施形態は、これらの具体的な詳細のいくつかまたは全てを伴わずに実施することができる。なお、よく知られているプロセス操作は、開示する実施形態を不要に曖昧にしないように、詳細には説明していない。開示する実施形態を具体的な実施形態に関連付けて説明するが、開示する実施形態を限定することは意図されていないことを理解されたい。
【0015】
半導体デバイスの製造は、典型的には、集積製造プロセスにおいて非平坦構造の上に1つまたは複数の薄膜を堆積することを含む。集積プロセスのいくつかの側面において、基板トポグラフィに適合する薄膜を堆積することが有用となり得る。例えば、いくつかのフロントエンドプロセスは、コンフォーマルな被膜の堆積を含むことがある。例示的な基板としては、少なくとも約2:1、または少なくとも約4:1、または少なくとも約6:1、または少なくとも約10:1のアスペクト比を有するフィーチャを有する基板を挙げることができる。フロントエンドプロセスに関するコンフォーマルな被膜の例としては、ハードマスク、エッチストップ、およびカプセル化層が挙げられる。そのような被膜を使用して製造されるフロントエンド構造は、トランジスタ(例えば、FinFET)および金属含有メモリデバイスを含む。
【0016】
原子層堆積(ALD)プロセスは、層毎に被膜を堆積するために、表面媒介堆積反応を使用する。ALDプロセスの一例では、1群の表面活性部位を含む基板表面が、1回のドージングで第1の前駆体の気相分散に露出される。この第1の前駆体のいくらかの分子が、第1の前駆体の化学吸着種および/または物理吸着分子を含む凝縮相を基板表面の上に生成することができる。次いで、気相の第1の前駆体を除去するためにリアクタが真空化され、それにより、吸着された種のみが残る。次いで、第2の前駆体をリアクタに導入することができ、それにより、これらの分子のいくらかが基板表面に吸着する。次いで、リアクタを再び排気して、結合していない第2の前駆体分子を除去することができる。被膜層を形成するために、熱エネルギーが第1の前駆体と第2の前駆体との間の表面反応を活性化させることができる。いくつかのプロセスでは、第2の前駆体は、吸着された第1の前駆体とすぐに反応する。他の実施形態では、第2の前駆体は、活性化源が一時的に印加された後で初めて反応する。追加のALDサイクルを使用して、被膜厚さを増すことができる。
【0017】
上述したものなど従来のALDプロセスは、非常にコンフォーマルな被膜を形成する。被膜のコンフォーマル性は、しばしば、ステップカバレッジによって測定される。ステップカバレッジは、フィーチャの底部、側壁、または上部での堆積された被膜の平均厚さを、フィーチャの底部、側壁、または上部での堆積された被膜の平均厚さと比較することによって計算することができる。例えば、ステップカバレッジは、フィーチャの側壁での堆積された被膜の平均厚さを、フィーチャの上部での堆積された平均厚さで割り、100を掛けてパーセンテージを得ることによって計算することができる。従来のALDプロセスは、ほぼ100%のステップカバレッジを有する被膜を堆積することができる。
【0018】
しかし、従来のALDプロセスは、堆積された被膜が非常にコンフォーマルであるが、堆積成長速度が低く、例えば、窒化アルミニウムの堆積に関してサイクル当たり約0.7Å〜1.0Åの間であり、またはサイクル当たりに1モノレーヤ未満しか堆積されない。成長速度が低くなると、製造効率が下がり、したがってスループットが低くなる。
【0019】
化学気相成長(CVD)および物理気相成長(PVD)によって、より高い堆積成長速度が観察される。しかし、これらのプロセスでは、堆積された被膜は、低いコンフォーマル性を有し、ステップカバレッジが約50%〜約70%の間である。したがって、既存のプロセスは、高い成長速度と高いコンフォーマル性との両方を有するコンフォーマルな被膜を堆積することができない。
【0020】
本明細書では、高い成長速度で非常にコンフォーマルな薄膜を堆積する方法が提供される。いくつかの方法は、CVDと同様の反応とALD表面反応とを組み合わせた改良型のALD法を含む。コンフォーマル性を大きく損なうことなく、CVDと同様の条件を実現できる。いくつかの方法は、低いパージ対ドージング比を含むことがあり、堆積される被膜の形成は、プラズマ活性反応ではなく、主に熱媒介反応(熱反応)により誘発される。堆積される被膜は、従来のALD法の約4〜約7倍の高い成長速度を示すことがあり、これは、スループットを高め、基板を処理するコストを減少させる。また、いくつかの方法は、70%を大幅に超える、例えば約100%のステップカバレッジを有する非常にコンフォーマルな堆積された被膜を示す。
【0021】
これらの方法は、コンフォーマルなハードマスク、エッチストップ被膜、カプセル化被膜、あるいはスタックの1つまたは複数の層、例えばゲート、メモリスタック(例えば磁気RAMスタック)、または他の適切な半導体デバイス構造として使用するのに適した被膜を堆積するために実施することができる。いくつかの場合には、堆積される被膜は、ゲート電極および/またはゲート誘電体を含むゲート構造をカプセル化する。いくつかの実施形態では、堆積される被膜は、磁気メモリスタックをカプセル化する。開示する方法は、バイアやコンタクトホールなどの「フィーチャ」を有する基板上で実施することができ、フィーチャは、狭い開口および/または凹角の開口、フィーチャ内部の狭窄、および高いアスペクト比の1つまたは複数によって特徴付けられることがある。フィーチャの一例は、半導体基板または基板上の層にあるホールまたはバイアである。別の例は、基板または層のトレンチである。基板は、シリコンウェハ、例えば、200mmウェハ、300mmウェハ、または450mmウェハでよく、誘電体材料、導体材料、または半導体材料などの材料の1つまたは複数の層が上に堆積されたウェハを含む。フィーチャは、これらの層の1つまたは複数に形成することができる。いくつかの実施形態では、フィーチャは、少なくとも約2:1、少なくとも約4:1、少なくとも約6:1、少なくとも約10:1、またはそれよりも大きいアスペクト比を有することがある。また、フィーチャは、約10nm〜500nmの間、例えば約25nm〜約300nmの間の開口(例えば開口直径またはライン幅)に近い寸法を有することもある。開示する方法は、約150nm未満の開口を有するフィーチャを有する基板上で実施することができる。フィーチャであるバイアまたはトレンチは、未充填フィーチャまたはフィーチャと呼ばれることもある。
【0022】
フィーチャは、フィーチャの底部、閉じた端部、または内部からフィーチャ開口に狭まる凹角のプロファイルを有することができる。様々な実施形態において、フィーチャは、バリア層や接着層などの下層を有することができる。下層の非限定的な例としては、誘電体層および導電層、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および金属の層が挙げられる。特定の実施形態では、下層は、窒化チタン(TiN)、チタン金属(Ti)、窒化タングステン(WN)、チタンアルミナイド(TiAl)、または酸化チタン(TiO
x)でよい。様々な実施形態において、下層は、酸化物、窒化物、または酸窒化物などの誘電体層でよい。誘電体層の例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などが挙げられる。
【0023】
多くの実施形態で、開示される方法は、約250℃〜約450℃、または約350℃〜約400℃の間の温度で実施することができる。一般に、堆積温度が高いほど、堆積速度も高い。様々な実施形態において、方法は、約0.01Torr〜約10Torrの間の圧力、または約0.1Torr〜約1Torrの間の圧力で実施することができる。圧力が高いほど、堆積空間内により多量の反応物が存在し、それにより堆積速度を高めることができる。説明する方法は、主に熱反応プロセスによって誘発される。以下の例では、180Lチャンバに関して流量を提示する。いくつかの場合には、リアクタ構成に応じて、様々な体積に対応するように流量をスケール調整することができる。
【0024】
図1は、特定の実施形態によるコンフォーマルな薄膜を堆積する方法のプロセス流れ図である。提示する以下の化学物質は、開示する実施形態を例示するための一例にすぎないことに留意されたい。処理すべき基板は、堆積チャンバまたは堆積ステーション内にあることがある。操作101で、基板が第1の前駆体に露出される。第1の前駆体は、例えば、有機アルミニウム化合物などアルミニウム含有前駆体である。いくつかの実施形態では、アルミニウム含有前駆体は、トリメチルアルミニウム(TMA)や水素化ジメチルアルミニウムなどアルキルアルミニウム化合物である。いくつかの実施形態では、アルミニウム含有前駆体は、酢酸アルミニウム、アルコキシド、またはハロゲン化アルミニウムである。多くの実施形態で、露出時間または期間は、実質的に完全な飽和層または吸着層を基板の表面上に形成するのに十分なものである。特定の実施形態では、このドージングのための露出時間は、約5秒〜約60秒の間、例えば約7.5秒〜約30秒の間でよい。特定の実施形態では、TMAの流量は、約10sccm〜約350sccmの間の範囲内でよい。基板を反応物(例えばアルミニウム含有前駆体)と接触させるプロセスは、時として「ドージング」と呼ばれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、操作101は、基板が位置される堆積チャンバに接続されたラインを通してTMA源(TMAのリザーバであることがある)のヘッドスペースからTMAを直接引き出すことによって行うことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、操作101は、TMA源の下流で導入されるキャリアガスを使用して、ヘッドスペースからシャワーヘッドを通してチャンバ内にTMAを入れることによって行うことができる。キャリアガスは、TMA源の下流で、かつチャンバまたはシャワーヘッドの上流で導入することもできる。多くの実施形態で、キャリアガスは不活性ガスである。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)、水素(H
2)、またはヘリウム(He)でよい。いくつかの実施形態では、キャリアガスの流量は、約50sccm〜約1000sccmの間でよい。TMAに基板を露出させるためにキャリアガスが使用されるとき、TMAの全体的な流量をより高くすることができ、例えば、約150sccm〜約950sccmの間のキャリアガス流量に関して、純粋なTMA蒸気の流量を約10sccm〜約200sccmにすることができる。いくつかの実施形態では、TMAの全体的な流量をより低くすることもできる。
【0027】
操作103で、気相でのアルミニウム含有前駆体を完全にパージするには不十分な期間にわたってチャンバまたはステーションがパージされる。多くの実施形態では、チャンバまたはステーションは、例えば窒素(N
2)などパージガスを流すことによってパージされる。特定の実施形態では、パージガスの流量は、約15sccm〜約500sccmの間である。パージガスは、第1の前駆体の流れが停止された後に導入される。パージ時間またはパージ期間は、気相でのアルミニウム含有前駆体を完全にパージするには不十分なことがあり、それにより、操作101からの表面吸着と、基板の表面上にない、または基板に緩く付着した、反応空間内の気相での残留アルミニウム含有前駆体との両方が存在する。多くの実施形態では、例えば操作102と操作101の時間の比など、パージ時間とドージング時間の比は、約3:1〜約20:1の間、例えば約3.75:1〜約15:1の間でよい。いくつかの実施形態では、パージ時間は、約5秒未満、例えば約0.1秒〜約5秒の間、または約2秒である。いくつかの実施形態では、操作103でのパージは、反応チャンバを排気することによって達成することができる。
【0028】
操作105で、基板の表面上での熱反応によって例えば窒化アルミニウムの層を形成するのに十分な期間にわたって、第2の前駆体、すなわち一例として窒素含有前駆体に基板が露出される。特定の実施形態では、窒素含有前駆体は、アンモニア(NH
3)である。多くの実施形態では、約1秒〜約60秒の間の時間にわたって、または約2.5秒、または約30秒にわたって窒素含有前駆体に基板が露出される。様々な実施形態において、得られる窒化アルミニウム層は、約1.5Å以上、典型的には3Å/サイクルよりも大きい厚さを有する。いくつかの実施形態では、窒素含有前駆体の流量は、約0.1slm〜約20slmの間(例えば約1slm〜約10slmの間)でよい。いくつかの実施形態では、窒素含有前駆体への露出中にキャリアガスを使用することができる。適切なキャリアガスの一例は窒素(N
2)であり、窒素がキャリアガスとして使用され、窒素含有前駆体と共に流される場合、窒素を約500sccm〜10slmの間の流量で流すことができる。
【0029】
操作105で、一次反応は、表面上でのALD反応であり、したがって表面拡散反応が生じて、コンフォーマルな窒化アルミニウム層を形成する。特定の理論には束縛されないが、それと同時に、操作103でのパージ後に気相に残る残留アルミニウム含有前駆体と、反応空間に入る窒素含有前駆体との間で生じるCVDと同様の反応によって、気相での反応または気相核生成が生じる。これは、コンフォーマルな薄膜の成長速度の増加に寄与することがある。(ALDに関連付けられる)表面拡散反応の強い寄与が、コンフォーマル性を保つことを保証する。
【0030】
操作107で、窒素含有前駆体がパージされる。多くの実施形態で、パージは、例えば窒素(N
2)などのパージガスを流すことを含む。いくつかの実施形態では、パージガスは、約0sccm〜約10000sccmの間の流量で約5秒〜約10秒の間、または約6秒流される。このパージは、反応空間、またはステーション、またはチャンバから、気相に残っている窒素含有前駆体を実質的に全て除去するのに十分なものにすることができる。
【0031】
操作109で、ワークフローは、被膜が適切な厚さまで堆積されているかどうか判断し、そうである場合には、被膜を堆積する方法が完了する。被膜が適切な厚さにまだ堆積されていない場合、被膜が適切な厚さに堆積されるまで操作101〜107が繰り返される。
【0032】
「サイクル」の概念は、本明細書における様々な実施形態の論述に重要である。一般に、1サイクルは、表面堆積反応を1回行うのに必要とされる最小の操作の組である。1回のサイクルにより、基板表面上に少なくとも部分的な被膜層が生成される。典型的には、1サイクルは、各反応物を基板表面に送給して吸着させ、次いでそれらの吸着された反応物を反応させて、被膜の部分層を形成するのに必要なステップのみを含む。当然、1サイクルは、反応物または副生成物の1つを除去するステップ、および/または堆積された部分被膜を処理するステップなど、何らかの補助ステップを含むこともある。一般に、1サイクルは、1回の特有の操作シーケンスを含む。一例として、1サイクルは、以下の操作を含むことがある。(i)反応物Aの送給/吸着、(ii)反応チャンバからの反応物Aの一部の除去、(iii)表面上に部分被膜層を形成するために反応物Aと反応物Bの反応を誘発するのに十分な条件下での反応物Bの送給/吸着、および(iv)反応チャンバからの反応物Bの除去。
【0033】
図1に示される方法を行う2つの堆積サイクルが、
図2でのタイミングシーケンス200に示されている。このシーケンスでは、210Aおよび210Bで示されるような堆積サイクルは、第1の前駆体の露出、パージ、第2の前駆体の露出、および再度のパージを含む。図示されるように、露出およびパージの段階は、タイミング図で左から右に進み、ガスが流されるか否かがシーケンスでのラインによって示される。
【0034】
一例として、窒素(N
2)は、それぞれ
図1での操作103および107の実施に対応する堆積サイクル210Aでのパージ段階240Aおよび280A中に流される。また、窒素は、
図1での操作103および107の繰返しにそれぞれ対応する堆積サイクル210Bでのパージ段階240Bおよび280B中にも流される。一例として、
図1での操作101の実施に対応する堆積サイクル210Aでの第1の前駆体またはTMA露出段階220A中に流されるガスとして、TMAが示される。TMAは、
図1での操作101の繰返しに対応する堆積サイクル210BでのTMA露出段階220B中にも流される。
図2に示されるように、TMAと共に窒素または他のキャリアガスを流すことができる。一例として、
図1での操作105の実施に対応する堆積サイクル210Aでの第2の前駆体またはアンモニア露出段階260A中に流されるガスとして、アンモニアが示される。アンモニアは、
図1での操作105の繰返しに対応する堆積サイクル210Bでのアンモニア露出段階260B中にも流される。ここで、第1の堆積サイクル210Aの後、
図1での操作109に対する応答は、被膜が適切な厚さに堆積されていないというものであり、したがって第2の堆積サイクル210Bで操作101〜107が繰り返されることに留意されたい。
【0035】
例えば、「レシピ」または単一の堆積サイクルシーケンスは、約7.5秒〜約30秒の間にわたって、約15sccm〜500sccmの間で流されるキャリアガスとしてのN
2を伴う約10sccm〜350sccmの間の流量でのTMAに露出させることから始まることがある。次に、TMAの流れをオフに切り替えることができ、窒素は、約0sccm〜約10000sccmの間の流量で約2秒間、パージガスとして流れ続けることができる。次いで、約30秒間、約500sccm〜10slmの間で流されるキャリアガスとしての窒素を伴う約1slm〜10slmの間の流量でのアンモニアへの露出のために、アンモニア(NH
3)の流れをオンに切り替えることができる。次いで、アンモニアは、吸着された気相のTMAと反応して、窒化アンモニウム被膜を形成することができる。次に、アンモニアの流れをオフに切り替えることができ、窒素は、約0sccm〜約10000sccmの間の流量で約6秒間、パージガスとして流れ続けることができる。この例示的な堆積サイクルは、約350℃〜約400℃の間の温度で約0.1Torrの圧力で実施することができる。一例として本明細書で与えたような堆積サイクルを、被膜の所望の厚さが堆積されるまで繰り返すことができる。例えば、窒化アルミニウム被膜は、サイクル当たり約2.5Å〜約8Åの間の堆積速度で堆積することができる。得られる窒化アルミニウム被膜は、少なくとも約90%または約100%のステップカバレッジを有することがあり、実施される堆積サイクルの数に応じることがある。
【0036】
本明細書で開示する方法によって堆積される被膜は、サイクル当たり約1.5Å〜約10Å、またはサイクル当たり2Å〜約5Åの堆積速度または成長速度をもたらすことができる。多くの実施形態で、堆積される被膜は、非常にコンフォーマルであり、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約99%、または約100%のステップカバレッジを示す。これらのレベルのコンフォーマル性および堆積速度は、高いアスペクト比(例えば約1:2以上または約1:6以上)および小さいサイズ(例えば約100nm以下または約60nm以下の開口)を有するフィーチャで得られる。多くの実施形態では、本明細書で開示される方法によって堆積される被膜は、パターンローディングをほとんどまたは全くもたらさない。パターンローディングまたは「マイクロローディング」は、同じ堆積条件において、同じウェハ上でも異なるアスペクト比および異なる領域構造密度によって被膜の堆積の仕方が異なる傾向と定義される。
【0037】
いくつかの実施形態では、プラズマを使用することができる。プラズマが使用される実施形態では、方法は、(1)基板の表面上に吸着するのに十分な期間にわたって金属含有前駆体(例えばアルミニウム含有前駆体)に基板を露出させるステップと、(2)気相での金属含有前駆体を実質的に全て除去するには不十分な期間にわたって金属含有前駆体をパージするステップと、(3)基板上に金属窒化物または金属酸化物被膜を形成するために、窒素または酸素含有前駆体に基板を露出させると共にプラズマを開始するステップと、(4)窒素含有前駆体を気相からパージするステップと、(5)ステップ(1)〜(4)を繰り返すステップとを含むことができる。特定の実施形態では、金属含有前駆体は、TMAである。いくつかの実施形態では、パージは、例えば窒素などパージガスを流すことによって行われる。特定の実施形態では、窒素含有前駆体は、アンモニアである。多くの実施形態で、プラズマの高周波(RF)出力は、約13.56MHz〜約40MHzの間でよい。300mmウェハに関して、RF出力は、ステーション当たり約0kW〜約2.5kWの範囲内でよい。多くの実施形態で、プラズマは、基板の上で約0ワット/cm
2〜約3.54ワット/cm
2の間のRF出力密度を有する。コンフォーマル被膜堆積(CFD)プロセスでプラズマを使用する例は、2011年4月11日出願の米国特許出願第13/084,399号および2011年9月1日出願の米国特許出願第13/224,240号に記載されており、これらの特許文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0038】
図1に示される方法は、他の化学物質を使用して実施することもできる。操作101での第1の前駆体の例としては、金属含有化合物、例えばアルミニウム含有前駆体、例えばアルキルアルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)や水素化ジメチルアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム含有前駆体は、酢酸アルミニウム、アルコキシド、またはハロゲン化アルミニウムである。一般に、金属含有前駆体は、アルキル金属化合物などの有機金属化合物、および堆積条件下で高い蒸気圧を有する金属ハロゲン化物を含む。そのような化合物は、蒸気状態で存在し、容易に基板に送給されて基板に吸着する。本明細書で述べるいくつかの方法は、様々な金属系のための半反応物として、有機金属またはハロゲン化物前駆体、およびアンモニア/水(NH
3/H
2O)またはオゾン(O
3)を含む熱ALDに適していることがある。金属系の例としては、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、およびタンタル(Ta)が挙げられる。操作103〜107で使用されるパージガスの例としては、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、水素(H
2)、酸素(O
2)などが挙げられる。操作105での第2の前駆体の例としては、窒素含有前駆体、例えばアンモニア(NH
3)またはtert−ブチルアミン(TBA)が挙げられる。第2の前駆体の他の例としては、酸素含有前駆体、例えばオゾン(O
3)、水蒸気(H
2)、メタノール(CH
4O)、エタノール(C
2H
6O)、過酸化物などが挙げられる。前駆体ガスと共に流すことができるキャリアガスの例としては、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、および窒素(N
2)が挙げられる。
【0039】
装置
図3Aは、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ本体302を有する原子層堆積(ALD)プロセスステーション300の一実施形態の概略図を示す。複数のALDプロセスステーション300が、共通の低圧プロセスツール環境内に含まれることがある。例えば、
図4は、マルチステーション処理ツール400の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、以下に詳細に論じるものを含めたALDプロセスステーション300の1つまたは複数のハードウェアパラメータを、1つまたは複数のコンピュータ制御装置350によってプログラム可能に調節することができる。
【0040】
ALDプロセスステーション300は、プロセスガスを分散シャワーヘッド306に送給するための反応物送給システム301aと流体連絡する。反応物送給システム301aは、シャワーヘッド306に送給するためにプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための混合容器304を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁320が、混合容器304へのプロセスガスの導入を制御することができる。
【0041】
図3Bは、シャワーヘッド306に反応物を送給するための代替の反応物送給システム301bの概略図を示す。トリメチルアルミニウム(TMA)などいくつかの反応物は、気化およびその後のプロセスチャンバ本体302への送給の前に、液体状態で貯蔵することができる。
図3Bで、リザーバ370に含まれるプロセス液体の蒸気は、ヘッドスペース372から制限器362に引き込むことができ、制限器362は、反応物をキャリアガスと共にプロセスチャンバ本体302に送給することができる。リザーバは、ゲージ365を含むことがある。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、プロセス液体リザーバ370の上流で導入することができ、それにより、キャリアガスは、最初にヘッドスペース372から引き込まれたリザーバ370内のプロセス液体の蒸気を、管路を通して制限器362に、次いでチャンバ本体302に押す。多くの実施形態では、まずキャリアガスがマスフローコントローラ360を通って流れ、その後、ヘッドスペース372から制限器362に蒸気を搬送することができる。蒸気を押すためにキャリアガスが使用されるこれらの実施形態では、チャンバ302内への蒸気の流量は、キャリアガスが使用されない実施形態よりも高いことがあり、蒸気は、ヘッドスペース372から混合容器304およびチャンバ本体302に直接引き込まれる。
【0042】
一例として、
図3Aの実施形態は、混合容器304に供給すべき液体反応物を気化するための気化点303を含む。いくつかの実施形態では、気化点303は、加熱気化器でよい。そのような気化器から生成される飽和反応物蒸気は、下流の送給配管内で凝縮することがある。凝縮された反応物への不適合なガスの露出により、小さな粒子が生じることがある。これらの小さな粒子は、配管に詰まったり、弁操作を妨げたり、基板を汚染したりすることがある。これらの問題に対処するためのいくつかの手法は、残留反応物を除去するために送給配管をパージおよび/または排気することを含む。しかし、送給配管のパージは、プロセスステーションサイクル時間を増加し、プロセスステーションスループットを低下させることがある。したがって、いくつかの実施形態では、気化点303の下流の送給配管は、ヒートトレースされることがある。いくつかの例では、混合容器304もヒートトレースされることがある。1つの非限定の例では、気化点303よりも下流の配管は、混合容器304で約100℃から約150℃に及ぶ増加する温度プロファイルを有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、液体前駆体または液体反応物は、液体インジェクタで気化されることがある。例えば、液体インジェクタは、混合容器の上流で液体反応物のパルスをキャリアガスストリームに注入することができる。一実施形態では、液体インジェクタは、より高い圧力からより低い圧力に液体をフラッシュすることによって反応物を気化させることができる。別の例では、液体インジェクタは、液体を霧化して、分散された微小滴にすることができ、これらの微小滴が、その後、加熱された送給パイプ内で気化される。より小さな小滴は、より大きな小滴よりも速く気化することができ、液体注入と完全な気化との間の遅延を減少する。より高速の気化は、気化点303よりも下流の配管の長さを減少させることができる。1つのシナリオでは、液体インジェクタは、混合容器304に直接取り付けることができる。別のシナリオでは、液体インジェクタは、シャワーヘッド306に直接取り付けることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、気化およびプロセスステーション300への送給のために液体の質量流量を制御するために、気化点303の上流に液体流量制御装置(LFC)が提供されることがある。例えば、LFCは、LFCの下流に位置されたサーマルマスフローメータ(MFM)を含むことがある。次いで、LFCのプランジャ弁を、MFMとの電気的に連絡する比例積分微分(PID)制御装置によって提供されるフィードバック制御信号に応答して調節することができる。しかし、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定させるには、1秒以上かかることがある。これは、液体反応物をドージングするための時間を延ばすことがある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えることができる。いくつかの実施形態では、これは、LFCおよびPID制御装置のセンスチューブを使用不可にすることによって行うことができる。
【0045】
シャワーへッド306は、基板312に向けてプロセスガスを分散させる。
図3Aに示される実施形態では、基板312は、シャワーヘッド306の下に位置され、ペデスタル308の上に位置した状態で図示されている。シャワーヘッド306は、任意の適切な形状を有することができ、プロセスガスを基板312に分散させるための任意の適切な数および構成のポートを有することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、微小体積307が、シャワーヘッド306の下に位置される。開示する実施形態をプロセスステーションの体積全体ではなく微小体積内で実施することで、反応物露出およびパージ時間を短縮することができ、プロセス条件(例えば圧力や温度など)を変更するための時間を短縮することができ、またプロセスガスへのプロセスステーションロボットの露出を制限することができる。例示的な微小体積サイズは、限定はしないが、0.1リットル〜2リットルの間の体積を含む。これはまた、生産性スループットに影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、開示する実施形態は、微小体積内で行われない。
【0047】
いくつかの実施形態では、ペデスタル308は、微小体積307に基板312を露出させるため、および/または微小体積307の体積を変えるために上昇または下降させることができる。例えば、基板移送段階で、ペデスタル308を上昇させて、基板312を微小体積307内部に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、微小体積307は、基板312、およびペデスタル308の一部を完全に取り囲み、高フローインピーダンスの領域を形成することができる。
【0048】
任意選択で、ペデスタル308は、微小体積307の内部のプロセス圧力や反応物濃度などを調整するために、プロセスのいくつかの段階において下降および/または上昇させることができる。プロセス中にプロセスチャンバ本体302がベース圧で保たれる1つのシナリオでは、ペデスタル308を下降させることで、微小体積307を排気することができる。微小体積とプロセスチャンバ体積との例示的な比は、限定はしないが、1:500〜1:10の間の体積比を含む。いくつかの実施形態では、ペデスタルの高さは、適切なコンピュータ制御装置350によってプログラム可能に調節することができることを理解されたい。
【0049】
別のシナリオでは、ペデスタル308の高さの調節により、プロセス中に含まれるプラズマ活性化および/または処理サイクル中にプラズマ密度を変えることが可能になり得る。プロセス段階が終了すると、ペデスタル308は、ペデスタル308からの基板312の取外しを可能にするために、さらなる基板移送段階中に下降させることができる。
【0050】
本明細書で述べる例示的な微小体積変形形態は高さ調節可能なペデスタルに言及するが、いくつかの実施形態では、微小体積307の体積を変えるためにシャワーヘッド306の位置をペデスタル308に対して調節することができることを理解されたい。さらに、ペデスタル308および/またはシャワーヘッド306の垂直位置は、本開示の範囲内で任意の適切なメカニズムによって変えることができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、ぺデスタル308は、基板312の向きを回転させるための回転軸を含むことができる。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調節の1つまたは複数は、1つまたは複数の適切なコンピュータ制御装置350によってプログラム可能に実施することができることを理解されたい。
【0051】
上述したようにプラズマを使用することができるいくつかの実施形態では、シャワーヘッド306およびペデスタル308は、プラズマに電力供給するために、高周波(RF)電源314および整合ネットワーク316と電気的に連絡する。いくつかの実施形態では、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源出力、RF源周波数、およびプラズマ出力パルスタイミングの1つまたは複数を制御することによってプラズマエネルギーを制御することができる。例えば、望まれるラジカル種組成を有するプラズマを生成するために、RF電源314および整合ネットワーク316を任意の適切な出力で動作させることができる。適切な出力の例は上述した。同様に、RF電源314は、任意の適切な周波数のRF出力を提供することができる。いくつかの実施形態では、RF電源314は、高周波RF電源と低周波RF電源を互いに独立して制御するように構成することができる。例示的な低周波RF周波数は、限定はしないが、50kHz〜500kHzの間の周波数を含むことがある。例示的な高周波RF周波数は、限定はしないが、1.8MHz〜2.45GHzの間の周波数を含むことがある。表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、任意の適切なパラメータを離散的または連続的に調整することができることを理解されたい。1つの非限定的な例では、プラズマ出力は、断続的にパルスされることがあり、連続的に電力供給されるプラズマに比べて基板表面とのイオン衝突を減少する。
【0052】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニタによってインサイチュで監視することができる。1つのシナリオでは、プラズマ出力は、1つまたは複数の電圧電流センサ(例えばVIプローブ)によって監視することができる。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度は、1つまたは複数の発光分光分析センサ(OES)によって測定することができる。いくつかの実施形態では、そのようなインサイチュプラズマモニタからの測定値に基づいて、1つまたは複数のプラズマパラメータをプログラム可能に調節することができる。例えば、OESセンサは、プラズマ出力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループで使用することができる。いくつかの実施形態では、他のモニタを使用して、プラズマおよび他のプロセス特性を監視することができることを理解されたい。そのようなモニタとしては、限定はしないが、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器を挙げることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、制御装置350のための命令は、入出力制御(IOC)シーケンス命令を介して制御することができる。一例では、プロセス段階のための条件を設定するための命令は、プロセスレシピの対応するレシピ段階に含まれることがある。いくつかの場合には、プロセスレシピ段階は、順次に構成されることがあり、それにより、プロセス段階に関する全ての命令が、そのプロセス段階と同時に実行される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリアクタパラメータを設定するための命令が、レシピ段階に含まれることがある。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応物ガス(例えばTMAなど第1の前駆体)の流量を設定するための命令、キャリアガス(窒素など)の流量を設定するための命令、および第1のレシピ段階に関する時間遅延命令を含むことがある。後続の第2のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応物ガスの流量を調整または停止するための命令、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令、および第2のレシピ段階に関する時間遅延命令を含むことがある。第3のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応物ガスの流量を設定するための命令(これは、第1のレシピ段階で使用されるガス(例えばアンモニアなど第2の前駆体)と同じでも、異なっていてもよい)、キャリアガスの流量を調整するための命令、および第3のレシピ段階に関する時間遅延命令を含むことがある。第4のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応物ガスの流量を調整または停止するための命令、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令、および第4のレシピ段階に関する時間遅延命令を含むことがある。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で任意の適切な様式でさらに細分化および/または反復することができることを理解されたい。
【0054】
いくつかの実施形態では、ペデスタル308は、ヒータ310によって温度制御されることがある。さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション300のための圧力制御は、バタフライバルブ318によって提供されることがある。
図3の実施形態で示されるように、バタフライバルブ318は、下流にある真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空をスロットル調整する。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション300の圧力制御は、プロセスステーション300に導入される1つまたは複数のガスの流量を変えることによって調節することもできる。
【0055】
上述したように、1つまたは複数のプロセスステーションがマルチステーション処理ツールに含まれることがある。
図4は、投入ロードロック402と排出ロードロック404を備えるマルチステーション処理ツール400の一実施形態の概略図を示し、それらのロードロックの一方または両方が、遠隔プラズマ源を備えることができる。ロボット406は、大気圧で、ポッド408を通して装填されたカセットから大気圧ポート410を通して投入ロードロック402内にウェハを移動させるように構成される。ロボット406によって投入ロードロック402内でペデスタル412上にウェハが配置され、大気圧ポート410が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。投入ロードロック402が遠隔プラズマ源を備える場合、ウェハは、処理チャンバ414内に導入される前に、ロードロック内で遠隔プラズマ処理を施されることがある。さらに、例えば水分および吸着されたガスを除去するために、ウェハが投入ロードロック402内で加熱されることもある。次に、処理チャンバ414へのチャンバ輸送ポート416が開かれ、別のロボット(図示せず)が、処理のためにリアクタ内に図示されている第1のステーションのペデスタル上でウェハをリアクタ内に配置する。
図4に示される実施形態はロードロックを含むが、いくつかの実施形態では、プロセスステーション内へのウェハの直接の進入を可能にすることができることを理解されたい。
【0056】
図示される処理チャンバ414は、
図4に示される実施形態では番号1〜4を付された4つのプロセスステーションを備える。各ステーションは、加熱されるぺデスタル(ステーション1に関して参照番号418で示される)と、ガスライン入口とを有する。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションが、異なるまたは複数の目的を有することがあることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスステーションは、ALDモードとプラズマALDプロセスモードとの間で切替え可能でよい。追加としてまたは代替として、いくつかの実施形態では、処理チャンバ414は、ALDプロセスステーションとプラズマALDプロセスステーションの1つまたは複数の適合された対を含むことができる。図示される処理チャンバ414は4つのステーションを備えるが、本開示による処理チャンバが任意の適切な数のステーションを有することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは、5つ以上のステーションを有することがあり、他の実施形態では、処理チャンバは、3つ以下のステーションを有することがある。
【0057】
図4は、処理チャンバ414内部でウェハを移送するためのウェハ取扱いシステム490の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ウェハ取扱いシステム490は、様々なプロセスステーション間、および/またはプロセスステーションとロードロックとの間でウェハを移送することができる。任意の適切なウェハ取扱いシステムを採用することができることを理解されたい。非限定的な例としては、ウェハカルーセルおよびウェハ取扱いロボットが挙げられる。また、
図4は、プロセスツール400のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために採用されるシステム制御装置450の一実施形態を示す。システム制御装置450は、1つまたは複数のメモリデバイス456と、1つまたは複数のマスストレージデバイス454と、1つまたは複数の処理装置452とを含むことがある。処理装置452は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッパモータ制御装置ボードなどを含むことがある。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム制御装置450は、プロセスツール400の全ての活動を制御する。システム制御装置450は、マスストレージデバイス454に記憶され、メモリデバイス456にロードされ、処理装置452で実行されるシステム制御ソフトウェア458を実行する。代替として、制御論理は、制御装置450にハードコード化されることがある。特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはFPGA)などを、これらの目的に使用することもできる。以下の論述では、「ソフトウェア」または「コード」が使用される場合には常に、機能的に同等のハードコード化された論理を代わりに使用することもできる。システム制御ソフトウェア458は、タイミング、ガスの混合、亜飽和ガス流量、チャンバおよび/またはステーション圧力、チャンバおよび/またはステーション温度、ウェハ温度、ターゲット出力レベル、RF出力レベル、基板ペデスタル、チャックおよび/またはサセプタ位置、およびプロセスツール400によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含むことがある。システム制御ソフトウェア458は、任意の適切な様式で構成されることがある。例えば、様々なプロセスツールプロセスを実施するのに必要なプロセスツール構成要素の動作を制御するために、様々なプロセスツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが書かれることがある。システム制御ソフトウェア458は、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化されることがある。
【0059】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェア458は、上述した様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含むことがある。いくつかの実施形態では、システム制御装置450に関連付けられるマスストレージデバイス454および/またはメモリデバイス456に記憶されている他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムを採用することもできる。この目的でのプログラムまたはプログラムの一部の例としては、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムが挙げられる。
【0060】
基板位置決めプログラムは、ペデスタル418上に基板を装填するため、および基板とプロセスツール400の他の部分との間の間隔を制御するために使用されるプロセスツール構成要素のためのプログラムコードを含むことがある。
【0061】
プロセスガス制御プログラムは、ガス組成(例えば、TMA、アンモニア、および本明細書で述べるパージガス)と流量を制御するためのコード、および任意選択でプロセスステーション内の圧力を安定させるために堆積前に1つまたは複数のプロセスステーション内にガスを流すためのコードを含むことがある。圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システム内のスロットル弁やプロセスステーション内へのガス流量などを調整することによってプロセスステーション内の圧力を制御するためのコードを含むことがある。
【0062】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含むことがある。代替として、ヒータ制御プログラムは、基板への伝熱ガス(ヘリウムなど)の送給を制御することがある。
【0063】
プラズマ制御プログラムは、本明細書におけるいくつかの実施形態によれば、1つまたは複数のプロセスステーション内でプロセス電極に印加されるRF出力レベルを設定するためのコードを含むことがある。
【0064】
圧力制御プログラムは、本明細書におけるいくつかの実施形態によれば、反応チャンバ内の圧力を維持するためのコードを含むことがある。
【0065】
いくつかの実施形態では、システム制御装置450に関連付けられるユーザインターフェースが存在することがある。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、およびユーザ入力デバイス(例えばポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなど)を含むことがある。
【0066】
いくつかの実施形態では、システム制御装置450によって調節されるパラメータは、プロセス条件に関係することがある。非限定的な例としては、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(例えばRFバイアス出力レベル)、圧力、温度などが挙げられる。これらのパラメータは、ユーザインターフェースを利用して入力することができるレシピの形態でユーザに提供することができる。
【0067】
プロセスを監視するための信号は、様々なプロセスツールセンサから、システム制御装置450のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されることがある。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール400のアナログおよびデジタル出力接続で出力することができる。監視することができるプロセスツールセンサの非限定的な例としては、マスフローコントローラ、圧力センサ(マノメータなど)、熱電対などが挙げられる。これらのセンサからのデータと共に、適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムを使用して、プロセス条件を保つことができる。
【0068】
システム制御装置450は、上述した堆積プロセスを実施するためのプログラム命令を提供することができる。プログラム命令は、DC出力レベル、RFバイアス出力レベル、圧力、温度など様々なプロセスパラメータを制御することができる。本明細書で述べる様々な実施形態によれば、命令は、被膜スタックのインサイチュ堆積を操作するためにパラメータを制御することができる。
【0069】
システム制御装置は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと、本発明による方法を装置が実施するように命令を実行するように構成された1つまたは複数の処理装置とを含む。本発明によるプロセス操作を制御するための命令を含む機械可読媒体が、システム制御装置に結合されることがある。
【0070】
本明細書に開示する方法を実施するための適切な装置は、2011年4月11日出願の「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION」という名称の米国特許出願第13/084,399号、および2011年4月11日出願の「SILICON NITRIDE FILMS AND METHODS」という名称の第13/084,305号にさらに論じられて述べられており、各特許文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0071】
本明細書で述べる装置/プロセスは、リソグラフィパターン形成ツールまたはプロセスと共に、例えば半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光パネルなどの作製または製造に使用されることがある。必須ではないが、典型的には、そのようなツール/プロセスは、共通の製造施設で一緒に使用または実施される。被膜のリソグラフィパターン形成は、典型的には以下の操作のいくつかまたは全てを含み、各操作が、いくつかの使用可能なツールを用いて可能にされる。(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを使用して、ワークピース、すなわち基板にフォトレジストを塗布する操作;(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化する操作;(3)ウェハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光でフォトレジストを露光する操作;(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像し、レジストを選択的に除去し、それによりレジストをパターン形成する操作;(5)ドライエッチングまたはプラズマエッチングツールを使用することによって、下にある被膜またはワークピースにレジストパターンを転写する操作;および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去する操作。
【0072】
実験
実験1
開示する実施形態の方法を使用して堆積されたフィーチャのステップカバレッジを評価するために実験を行った。この実験では、350℃および1Torrで、7.5秒のトリメチルアルミニウム(TMA)への露出、2秒のパージ、30秒のアンモニア(NH
3)への露出、および6秒のパージのサイクルを使用して、フィーチャを有する金属誘電体基板上に窒化アルミニウム層を堆積した。反応は、完全に熱反応であり、プラズマは開始しなかった。
【0073】
ステップカバレッジの測定および計算の結果を、以下の表1に示す。
【表1】
【0074】
図5は、基板上に堆積された窒化アルミニウム被膜の画像である。窒化アルミニウムの平均堆積速度は、サイクル当たり約3.3Åであり、100%のコンフォーマル性が実現された。
【0075】
実験2
開示する実施形態を実施したことによりパターンローディングが生じたかどうかを評価するために実験を行った。この実験では、350℃および0.1Torrで、7.5秒のトリメチルアルミニウム(TMA)への露出、2秒のパージ、30秒のアンモニア(NH
3)への露出、および6秒のパージのサイクルを使用して、フィーチャを有する金属誘電体基板上に窒化アルミニウム層を堆積した。反応は、完全に熱反応であり、プラズマは開始しなかった。2.5:1および6:1のアスペクト比を有する基板、およびフィールドまたはブランケット基板に対して実験を行った。ステップカバレッジの測定および計算の結果を、以下の表2に示す。
【表2】
【0076】
図5は、2.5:1のアスペクト比のフィーチャ上に堆積された窒化アルミニウム被膜の画像である。
図6Aは、6:1のアスペクト比のフィーチャ上に堆積された窒化アルミニウム被膜の画像である。
図6Bは、フィールド基板上に堆積された窒化アルミニウム被膜の画像を示す。開示する実施形態を使用して堆積された層は、約1:6までのアスペクト比を有するフィーチャに関して依然としてコンフォーマルであり、パターンローディングの影響は観察されなかった。
【0077】
実験3
様々な実施形態に従って堆積された被膜の被膜品質を評価するために実験を行った。この実験では、350℃および0.1Torrで、7.5秒のトリメチルアルミニウム(TMA)への露出、2秒のパージ、30秒のアンモニア(NH
3)への露出、および6秒のパージのサイクルを使用して、フィーチャを有する金属誘電体基板上に窒化アルミニウム層を堆積した。反応は、完全に熱反応であり、プラズマは開始しなかった。
図5は、ウェットエッチングテストまたは浸漬前の、堆積された窒化アルミニウム被膜の画像である。
【0078】
次いで、標準の洗浄溶液を使用して、50℃で25秒間の浸漬で、基板に対してSC
2ウェットエッチングテストを行った。SC
2標準エッチャント/洗浄溶液の組成は、HCl、H
2O
2、およびH
2Oを1:1:5の組成比で含む。ステップカバレッジの測定および計算の結果を、以下の表3に示す。
【表3】
【0079】
図7は、ウェットエッチングテスト後の、エッチングされた窒化アルミニウム被膜の画像である。図示されるように、エッチングは、フィーチャの表面全体にわたって均一であった。計算された側壁エッチングレートと上部エッチングレートとの比は、約0.97であった。被膜品質は、従来のALDの被膜品質と同等であった。ウェットエッチング浸漬後でさえ、堆積された被膜のステップカバレッジは依然として約100%であり、それにより、被膜が均一にエッチングされ、エッチングレートが、堆積された被膜にわたって一貫していることを示した。また、これらの結果が示すように、堆積中にCVDと同様の反応が生じるにも関わらず、側壁での被膜の品質は、構造の上部および底部でのフィールド領域内の被膜の品質と同等である。これは、表面で生成される被膜と気相で生成される被膜との品質が同等または同様であることを示唆する。
【0080】
結論
前述の実施形態は、理解しやすくするためにいくらか詳細に述べたが、添付の特許請求の範囲の範囲内で特定の変更および修正を実施することができることが明らかであろう。本発明の実施形態のプロセス、システム、および装置を実装する多くの代替法が存在することに留意すべきである。したがって、本発明の実施形態は、限定ではなく例示とみなされるべきであり、これらの実施形態は、本明細書で与えられる詳細に限定されるべきではない。