(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039086
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】パウチ型二次電池のシーリングツール
(51)【国際特許分類】
H01M 2/02 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
H01M2/02 K
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-534415(P2015-534415)
(86)(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公表番号】特表2015-536025(P2015-536025A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】KR2014006899
(87)【国際公開番号】WO2015030373
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2015年1月26日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0103631
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ジョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンス
(72)【発明者】
【氏名】ノ ギョリョン
(72)【発明者】
【氏名】キム スルギ
【審査官】
井原 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−298799(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0200722(US,A1)
【文献】
特開2001−202934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が内蔵されたパウチをシーリングするパウチ型二次電池のシーリングツールにおいて、
前記パウチの上部及び下部で昇降自在に設けられるホルダー;
前記ホルダーに結合されてホルダーの昇降によってパウチと接触されることにより前記パウチをシーリングし、前記ホルダーと互いに離隔されてホルダーとの間に離隔空間を形成するシーリングブロック;及び
前記ホルダーとシーリングブロックとの間の離隔空間に介在される離隔部材;を含み、
前記離隔部材は、複数個に設けられて前記離隔空間の両側端部に配置されることを特徴とするパウチ型二次電池のシーリングツール。
【請求項2】
前記離隔部材は、ホルダーが昇降される方向に弾性を有する弾性体で設けられることを特徴とする請求項1に記載のパウチ型二次電池のシーリングツール。
【請求項3】
前記離隔部材は、フィーラゲージで設けられることを特徴とする請求項1に記載のパウチ型二次電池のシーリングツール。
【請求項4】
前記シーリングブロックの内部に内蔵されるヒーティングコイルをさらに含む請求項1に記載のパウチ型二次電池のシーリングツール。
【請求項5】
前記電極組立体は一つ以上の負極、分離膜、正極を順に積層して巻き取ったジェリーロール型電極組立体; 負極、分離膜、正極が順に積層された単位セルを長いフィルム状の分離膜に配置した後、単一方向に巻き取ったスタック(stack)&フォールディング(folding)型電極組立体; 負極、分離膜、正極が順に積層された単位セルを長いフィルム状の分離膜に配置した後、ジグザグ方向に巻き取ったスタック&フォールディング型電極組立体のうちいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のパウチ型二次電池のシーリングツール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載されたパウチ型二次電池のシーリングツールにより製造されるパウチ型二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ型二次電池のシーリングツールに関し、さらに詳しくはシーリングツールのホルダー及びシーリングブロックの間に離隔部材を介在して離隔空間を形成させることにより、シーリングブロックが変形される空間を与えてシーリングブロックのシーリング面の変形を最少化するパウチ型二次電池のシーリングツールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一次電池とは異なり充電及び放電が可能な二次電池は、デジタルカメラ、セルラーフォン、ノートパソコン、ハイブリッド自動車などの先端分野の開発で活発な研究が進められている。二次電池としては、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル-メタルハイドライド電池、ニッケル-水素電池、リチウム二次電池を挙げることができる。この中で、リチウム二次電池は携帯用電子機器の電源として用いられるか、または多数個を直列連結して高出力のハイブリッド自動車に用いられ、ニッケル-カドミウム電池や、ニッケル-メタルハイドライド電池に比べて作動電圧が3倍高く、単位重量当たりのエネルギー密度の特性も優れて急速に用いられている傾向である。
【0003】
このようなリチウム二次電池は多様な形態に製造可能であるが、代表的な形状としてはリチウムイオン電池に主に用いられる円筒状(cylinder type) 及び角形(prismatic type)を挙げることができる。最近、脚光を浴びているリチウムポリマー電池は、柔軟性を有したパウチ型(pouch type)に製造される。このようなパウチ型リチウムポリマー電池(以下、「パウチ型二次電池」と記す)は、その形状が比較的に自由である。
【0004】
図1には、一般的なパウチ型二次電池10、及びパウチ型二次電池10をシーリングするシーリングツール20が示されている。
【0005】
図1に示す通り、パウチ型二次電池10はパウチ11とパウチ11の電気的連結のために備えられる電極タブ12を含む。パウチ11は開放された状態で内部に電解液が注入され、電極タブ12はパウチ11の外側へ突出されるようにパウチ11内部の電極組立体(図示省略)から延長して形成される。また、パウチ11の縁部に沿ってパウチ11が密閉されるようにシーリングされるシーリング部13が形成される。
【0006】
このとき、前記シーリング部13の接合表面にパウチシーラント(sealant : 少なくとも二つ以上の表面を接合させることができる物質であって、バリアあるいは保護コーティングの役割を担う)がコーティングされ、前記電極タブ12の接合表面にはタブシーラントがコーティングされる。
【0007】
前記のようにコーティングされたパウチ及びタブシーラントが、シーリングツール20によって加熱/溶融されてパウチ11のシーリング部13がシーリングされるのである。
【0008】
シーリングツール20は、パウチ11のシーリング部13の上部及び下部に昇降手段30によって昇降自在に設けられ、昇降によってパウチ11のシーリング部13を加圧する。このとき、シーリングツール20は内部に内蔵された加熱手段(図示省略)により熱を発生させ、パウチ11のシーリング部13を加熱することになる。すなわち、シーリングツール20がパウチ11のシーリング部13を加熱/加圧することによってパウチ11がシーリングされるのである。
【0009】
前記のようにシーリングツール20によりパウチ11のシーリング部13をシーリングする技術は、大韓民国公開特許公報第2013-0071813号、大韓民国公開特許公報第2012-0038695号、大韓民国公開特許公報第2011-0039011号などに詳しく開示されている。
【0010】
前記シーリングツール20は、内部に内蔵された前記加熱手段によって180℃以上の高温で加熱されるため、
図2に示されているように、シーリング面21が外部へ突出する熱変形が発生することになる。
【0011】
前記のようにシーリングツール20のシーリング面21が変形すると、パウチ11のシーリング部13のシーリング厚さが一定に形成されなくなる。すなわち、 シーリングツール20のシーリング面21のうち、外部へ突出するように変形された中央部21-1によってシーリングされたパウチ11のシーリング部13-1は、シーリングに必要な充分な圧力を受けることになってシーリングが正常に行われるが、シーリングツール20の両側部21-2によってシーリングされたパウチ11のシーリング部13-2は、シーリングに必要な充分な圧力を受けることができずシーリングが充分行われないため、電解液が漏れるなどの問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報 第2013-0071813号
【特許文献2】大韓民国公開特許公報 第2012-0038695号
【特許文献3】大韓民国公開特許公報 第2011-0039011号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記のような問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、シーリングツールのホルダー及びシーリングブロックの間に離隔部材を介在して離隔空間を形成させることにより、シーリングブロックが変形される空間を与えてシーリングブロックのシーリング面の変形を最少化するパウチ型二次電池のシーリングツールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的は、本発明に基づき、電極組立体が内蔵されたパウチをシーリングするパウチ型二次電池のシーリングツールにおいて、前記パウチの上部及び下部で昇降自在に設けられるホルダー; 及び前記ホルダーに結合されてホルダーの昇降によってパウチと接触されることにより前記パウチをシーリングし、前記ホルダーと互いに離隔されてホルダーとの間に離隔空間を形成するシーリングブロック;によって達成される。
【0015】
また、前記ホルダーとシーリングブロックとの間の離隔空間に介在される離隔部材;をさらに含むことができる。
【0016】
さらに、前記離隔部材は、ホルダーが昇降される方向に弾性を有する弾性体で設けられ得る。
【0017】
一方、前記離隔部材は、フィーラゲージで設けられ得る。
【0018】
また、前記離隔部材は複数個に設けられ、前記離隔空間の両側端部に配置され得る。
【0019】
また、前記シーリングブロックの内部に内蔵されるヒーティングコイルをさらに含むことができる。
【0020】
一方、前記電極組立体は一つ以上の負極、分離膜、正極を順に積層して巻き取ったジェリーロール型電極組立体; 負極、分離膜、正極が順に積層された単位セルを長いフィルム形態の分離膜に配置した後、単一方向に巻き取ったスタック(stack)&フォールディング(folding)型電極組立体; 負極、分離膜、正極が順に積層された単位セルを長いフィルム形態の分離膜に配置した後、ジグザグ方向に巻き取ったスタック&フォールディング型電極組立体のうちいずれか一つであり得る。
【0021】
また、前述したパウチ型二次電池のシーリングツールによって製造されるパウチ型二次電池を含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
これにより、シーリングツールのホルダー及びシーリングブロックとの間に離隔部材を介在して離隔空間を形成させることにより、シーリングブロックが変形される空間を与えてシーリングブロックのシーリング面の変形を最少化するとの効果がある。
【0023】
これにより、パウチシーリング部のシーリング厚さが一定に形成されることにより、パウチ内部の電解液が外部へ漏れることを防止するとの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】パウチ型二次電池及びこれをシーリングする従来のシーリングツールを示した斜視図である。
【
図2】パウチ型二次電池及びこれをシーリングする従来のシーリングツールを示した側面図である。
【
図3】本発明によるパウチ型二次電池のシーリングツールの分解斜視図である。
【
図4】本発明によるパウチ型二次電池のシーリングツールの側面図である。
【
図5】本発明によるパウチ型二次電池のシーリングツールの側断面図である。
【
図6】本発明によるパウチ型二次電池のシーリングツールの作用状態図である。
【
図7】本発明によるパウチ型二次電池のシーリングツールの作用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するため用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0026】
したがって、本明細書に記載された実施形態と図に示された構成は、本発明の最も好ましい一つの実施形態に過ぎないだけで、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物と変形例などがあり得ることを理解しなければならない。併せて、本発明の説明において、関連した公知技術などが本発明の要旨を濁し得ると判断される場合は、それに関する詳しい説明は省略する。
【0027】
以下、図を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態に係るパウチ型二次電池のシーリングツールに対して検討してみる。
【0028】
図3は、本発明の実施形態によるパウチ型二次電池のシーリングツールを分解した状態を示した図である。
図4は、本発明の実施形態によるパウチ型二次電池のシーリングツールの側面図である。
【0029】
図3及び
図4に示す通り、示されたパウチ型二次電池のシーリングツールは、 パウチ型二次電池10(
図1参照)、パウチ11(
図1参照)の上部及び下部に昇降自在に設けられるホルダー100と、ホルダー100に結合されてホルダー100の昇降によってパウチ11と接触されることによりパウチ11をシーリングし、ホルダー100と互いに離隔されてホルダー100との間に離隔空間(S)を形成するシーリングブロック200と、ホルダー100とシーリングブロック200との間の離隔空間(S)に介在される離隔部材300とを含む。
【0030】
ここで、パウチ11の上部及び下部にそれぞれ設けられるシーリングツールの各構成要素は、設けられる位置と方向のみ異なるだけで同一の構成要素なので、以下では説明の便宜のためにパウチ11の上部に設けられたシーリングツールに対してのみ説明する。
【0031】
先ず、ホルダー100は所定厚さを有する金属材質のプレートであって、両側端部が下部に折り曲げられた形態に形成される。すなわち、下部が開口された「
」 状に形成されるのである。また、ホルダー100の上部面の中間部には昇降手段110が設けられてホルダー100を昇降自在にする。ここで、昇降手段110は一般に広く用いられるシリンダーなどで設けられてよいが、必ずしもこれに限られず、ホルダー100を昇降自在にするすべての手段を含む。
【0032】
また、シーリングブロック200は、パウチ11のシーリング部13の長さに対応される長さを有する金属材質の四角バー(bar)形状の部材であって、ホルダー100の開口された領域を閉鎖するようにホルダー100の下端開口部に設けられる。前記のようにシーリングブロック200がホルダー100の開口された端部に設けられるので、ホルダー100とシーリングブロック200との間には離隔空間(S)が形成される。
【0033】
また、シーリングブロック200の内部には、
図5に示されたように、内部全領域にかけてヒーティングコイル210が設けられる。前記ヒーティングコイル210は、電気の供給を受けて電気抵抗により発熱されるものであって、シーリングブロック200を加熱する役割を担う。前記のように加熱されたシーリングブロック200は、昇降手段110の駆動により下降してシーリングブロック200の下部面がパウチ11のシーリング部13を加圧することになる。パウチ11のシーリング部13は、シーリングブロック200により加熱及び加圧され、これによってシーリング部13のシーリングが行われる。
【0034】
一方、ホルダー100とシーリングブロック200との間の離隔空間(S)に介在される離隔部材300は、ホルダー100の折り曲げられた両側端部の高さに対応する高さを有する略四角ボックス形状の部材であって、対に設けられて離隔空間(S)の両側端部に配置される。前記離隔部材300は、離隔空間(S)を維持するためのものであって、ホルダー100の上部内面を支持して外力により離隔空間(S)が縮小されることを防止する。ここで、離隔部材300はホルダー100が昇降される方向に弾性を有する弾性体で設けられるか、フィーラゲージ(feeler gauge)で設けられ得る。離隔部材300が弾性体で設けられるのは、ホルダー100とシーリングブロック200との間を緩衝してパウチ11のシーリング部13を加圧するとき、シーリングが一層均等に行われるようにするためである。また、フィーラゲージは一般に二つの部品の距離を測定するためのものなので、離隔部材300がフィーラゲージで設けられるのは、離隔空間(S)の高さが変化することを測定するためである。前述した離隔部材300は、弾性体またはフィーラゲージが単独に用いられてもよく、これの混合で用いられてもよい。これは作業者が任意に選択可能な事柄である。
【0035】
以下では、
図6及び
図7を参照しつつ、本発明の作用に対して詳しく説明する。
図6は、本発明によるパウチ型二次電池のシーリングツールの側面図であって、未だシーリングブロック200が熱変形される前を示した図である。
【0036】
高温の条件で用いられるシーリングブロック200は、使用期間が長くなるに伴い熱変形が発生する。従来の場合、
図2に示されたように、シーリングツール20が一つの部材で形成されるため、熱変形が発生する場合、シーリングツール20の下部シーリング面21が熱変形されて伸びることになり、これによってパウチ11のシーリング部13が正常にシーリングできないとの問題点があった。
【0037】
しかし、本発明の場合は、シーリングツールがホルダー100及びシーリングブロック200に分離して構成され、これの間に離隔空間(S)が形成されるため、シーリングブロック200が離隔空間(S)側にも熱変形されてシーリングブロック200の下部面の熱変形を最少化することができるようになる。これにより、パウチ11のシーリング部13を最大限均等にシーリングすることができるので、電解液が漏れることを防止することができるようになる。
【0038】
前記のような構成を有するシーリングツールにより、パウチ型二次電池のパウチ11のシーリング部13が均等にシーリングされるのである。前記パウチ型二次電池は、パウチ11の内部に電解液及び電極組立体が内蔵されているものであって、パウチ11のシーリング部13が均等にシーリングされることにより、電解液が外部へ漏れることを防止することができる。ここで、前述の電極組立体は一つ以上の負極、分離膜、正極を順に積層して巻き取ったジェリーロール型電極組立体、負極、分離膜、正極が順に積層された単位セルを長いフィルム状の分離膜に配置した後、単一方向に巻き取ったスタック(stack)&フォールディング(folding)型電極組立体、負極、分離膜、正極が順に積層された単位セルを長いフィルム状の分離膜に配置した後、ジグザグ方向に巻き取ったスタック&フォールディング型電極組立体のうちいずれか一つで設けられ得る。すなわち、本発明はパウチ11の内部に内蔵された電極組立体によりその発明の範囲が限定されない。
【0039】
以上で本発明に係るパウチ型二次電池のシーリングツールに対する好ましい実施形態について説明した。
【0040】
前述した実施形態は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないものと理解されなければならず、本発明の範囲は前述の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲により表れるはずである。また、本特許請求の範囲の意味及び範囲は勿論、その等価概念から導き出されるすべての変更及び変形可能な形態が本発明の範疇に含まれるものと解釈されなければならない。