(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却側の板部材が前記可動側の板部材とされ、前記剛性部に、冷却促進用のフィンが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電変換式発電装置。
前記変形部が、前記剛性部の周縁面における前記熱電変換モジュール側とは反対側の外側から側方に延びる状態に設けられており、該剛性部の周縁面は、前記外側から前記熱電変換モジュール側である内側に向かうにしたがって、側方に突出する略テーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱電変換式発電装置。
前記密閉容器は、前記加熱側の板部材で囲繞される中空部を有し、該中空部の周囲に前記熱電変換モジュールが配設され、該熱電変換モジュールの外側に前記冷却側の板部材が配設され、
前記中空部に加熱流体が流通されて前記加熱側の板部材が加熱されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱電変換式発電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の発電装置においては、上記のように熱電変換モジュールに与えられる温度差が大きいほど発電量が大きくなり、発電性能が向上することが知られている。熱電変換モジュールの温度差を大きくとる方策の1つとして、熱電変換モジュールを挟んで配設された加熱側および冷却側の板部材を、熱電変換モジュールに対し均一な状態で密着させ、これら板部材を介しての熱伝導度を高めることは有効である。
【0005】
例えば上記特許文献1のようにタイロッドやナットといった締結用の部材を用いて各板部材を熱電変換モジュールに加圧状態で密着させることは可能である。しかしながらこのような部材を用いると、均一な圧力で板部材を熱電変換モジュールに加圧することが難しく、また、装置の構成が複雑になったりコストが上がったりする。また、設計やデザインの自由度に制限が生じる場合があり、さらには、できるだけ軽量化を図りたい装置に装備させる場合には不利になるといった問題もある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その主たる課題は、熱電変換モジュールに温度差を与えるために熱電変換モジュールを挟んで配設される密閉容器の加熱側および冷却側の各板部材を、装置が複雑かつ高コストになることなく熱電変換モジュールに対し均一な加圧状態で密着させることができるとともに、設計やデザインの自由度の向上や軽量化に寄与することができる熱電変換式発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱電変換式発電装置は、加熱側の板部材と冷却側の板部材とを備えた密閉容器と、前記加熱側の板部材と前記冷却側の板部材との間に配設した状態で、前記密閉容器内に配設される熱電変換モジュールとを備え、前記加熱側の板部材が加熱されるとともに前記冷却側の板部材が冷却されて前記熱電変換モジュールに温度差が与えられることにより、該熱電変換モジュールが発電する熱電変換式発電装置であって、前記加熱側の板部材および前記冷却側の板部材のうちの少なくとも一方の板部材が、前記密閉容器内が減圧状態とされて発生する該密閉容器の内外の圧力差によって前記熱電変換モジュールに加圧状態で当接される可動側の板部材とされ、該可動側の板部材は、剛性を有し前記熱電変換モジュールに当接させられる剛性部と、この剛性部
の周囲に該剛性部の面方向に延在する状態に連なって形成され、前記圧力差によって変形し、該変形により前記剛性部を前記熱電変換モジュールに当接させる変形部と、を有
し、全体として略平板状に形成されていることを特徴とする熱電変換式発電装置。
【0008】
本発明によれば、密閉容器内を所定の圧力に減圧して組立状態が完成される。内部の減圧により密閉容器の内外に圧力差が生じ、剛性部と変形部を有する可動側の板部材においては減圧作用で変形部が変形し、剛性部が熱電変換モジュールに外圧で加圧されて当接し、密着する。タイロッドやナットといった締結用の部材を用いず、密閉容器内を減圧することで可動側の板部材を熱電変換モジュールに対し密着させるため、可動側の板部材を、装置が複雑かつ高コストになることなく熱電変換モジュールに対し均一な加圧状態で密着させることができる。そして、ボルト・ナットといった締結用の部材を用いないため、設計やデザインの自由度の向上や軽量化に寄与することができる。
【0009】
また、本発明の可動側の板部材によれば、熱電変換モジュールに密着する部分を剛性部とすることにより、変形が生じることなく、かつ、確実に面で熱電変換モジュールに当接し、熱電変換モジュールに対する均一な加圧状態を得やすい。また、密閉容器内が減圧されるため、内部に空気等のガスが常圧で存在する場合に比べて密閉容器内が加熱されにくく、内部ガスが膨張して密閉容器に影響を与えたり、熱電変換モジュールが加熱されて劣化したりするといった不具合の発生を抑えることができる。
【0010】
本発明は、前記変形部は前記剛性部よりも板厚が小さいことにより前記圧力差によって変形可能となっている形態を含む。この形態によれば、変形部を容易に構成することができる。
【0011】
また、本発明は、前記冷却側の板部材が前記可動側の板部材とされ、前記剛性部に、冷却促進用のフィンが設けられている形態を含む。この形態によれば、冷却側の板部材の冷却効果が向上して熱電変換モジュールに生じる温度差がより大きくなり、発電性能のさらなる向上が図られる。また、フィンにより剛性部の剛性が高まり、剛性部の変形防止の作用をさらに高めることができる。さらに、剛性部であるためフィンを固定しやすい。
【0012】
また、本発明は、前記変形部が、前記剛性部の周縁面における前記熱電変換モジュール側とは反対側の外側から側方に延びる状態に設けられており、該剛性部の周縁面は、前記外側から前記熱電変換モジュール側である内側に向かうにしたがって、側方に突出する略テーパ状に形成されている形態を含む。この形態によれば、減圧作用で変形する変形部が剛性部の周縁面に干渉しにくくなり、変形部に折れや亀裂といった損傷が生じにくくなる。
【0013】
また、本発明は、前記密閉容器は、前記加熱側の板部材で囲繞される中空部を有し、該中空部の周囲に前記熱電変換モジュールが配設され、該熱電変換モジュールの外側に前記冷却側の板部材が配設され、前記中空部に加熱流体が流通されて前記加熱側の板部材が加熱される形態を含む。この形態では、加熱流体を中空部に流通させることで、加熱流体を拡散させることなく加熱側の板部材を効率よく加熱することができる。
【0014】
また、本発明は、前記熱電変換モジュールは、前記剛性部と非接合状態である形態を含む。この形態によれば、加熱・冷却によって熱電変換モジュールや剛性部が膨張・収縮した場合、剛性部と熱電変換モジュールとの間は非接合状態であるため両者は当接した状態で相対的に移動することが可能であり、このため熱影響による応力が生じて変形するといった不具合が起こらない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、熱電変換モジュールに温度差を与えるために熱電変換モジュールを挟んで配設される密閉容器の加熱側および冷却側の各板部材を、装置が複雑かつ高コストになることなく熱電変換モジュールに対し均一な加圧状態で密着させることができるとともに、設計やデザインの自由度の向上や軽量化に寄与することができる熱電変換式発電装置が提供されるといった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]熱電変換式発電装置の全体構成
図1〜
図6は、一実施形態の熱電変換式発電装置(以下、発電装置)1を示している。この発電装置1は、密閉容器3を有する複数の発電ユニット2が図中Y方向に冷却部5Aを挟んで並列状態で積層され、装置1全体の両側面、すなわちY方向両端部にも冷却部5Bが配設された構成となっている。発電ユニット2の数は任意であり、この場合は4つの発電ユニット2を積層して発電装置1を構成している。
【0018】
密閉容器3は、縦断面(Y−Z断面)がZ方向に長い略直方体の箱状の筐体30と、筐体30内の中央部に配設された縦断面がZ方向に長い扁平管状の流通管35と、X方向両端の開口を塞ぐ封止カバー38(
図6参照)とから構成されている。筐体30および流通管35はいずれもX方向の両端が開口しており、流通管35の内部が、後述する加熱流体がX方向に流される中空部351となっている。
【0019】
図7に示すように、筐体30は、X−Z面と平行な互いに対向する一対の可動板部(本発明の冷却側の板部材であり、可動側の板部材)31と、可動板部31の上下の端縁を連結する平板状の一対の端板部32とにより、略直方形の箱状に形成されている。また、流通管35は、X−Z面と平行な互いに対向する一対の内板部(本発明の加熱側の板部材)36と、内板部36の上下の端縁を連結する断面半円弧状の一対の湾曲部37とにより、扁平管状に形成されている。
【0020】
流通管35の内部、すなわち密閉容器3の中空部351には、フィン352が配設されている。フィン352は、例えば板材を折り曲げ加工して波板状に形成したもので、屈曲部の外側が内板部36の内面に当接した状態でろう付け等の接合手段で接合されている。
【0021】
密閉容器3内、すなわち筐体30の内面と流通管35の外面との間には、縦断面がZ方向に長い略環状の内部空間3aが形成されている。そして、この内部空間3aにおけるY方向両側には、筐体30の可動板部31と流通管35の内板部36との間に挟まれた状態で、熱電変換モジュール4がそれぞれ配設されている。
【0022】
内部空間3aのY方向両側の領域に熱電変換モジュール4が一対の状態で配設された複数の密閉容器3は、
図4および
図6に示すように、可動板部31間に冷却部5Aを挟んでY方向に並列して積層される。また、Y方向両端の可動板部31の外面にも、それぞれ冷却部5Bが配設される。以下、密閉容器3間の冷却部5Aを中間冷却部5A、Y方向両端部の冷却部5Bを端部冷却部5Bと称する。
【0023】
熱電変換モジュール4は、
図8に示すように、平面状に並べられた複数の熱電変換素子41の、一方側の面および他方側の面を、銅等からなる電極42によりジグザグ状に連結して構成されたもので、一方の面側の電極42が流通管35の内板部36の内面にろう付け等の接合手段で接合されている。また、熱電変換モジュール4の他方の面側の電極42は、筐体30の可動板部31の、後述する内側剛性部312の内面に当接している。すなわち、熱電変換モジュール4は内側剛性部312と非接合状態であり、双方は互いの当接面に沿って相対移動可能となっている。
【0024】
熱電変換モジュール4を構成する熱電変換素子41は、耐熱温度が高い種類が用いられ、例えば、シリコン−ゲルマニウム系、マグネシウム−シリコン系、マンガン−シリコン系、珪化鉄系等が好適に用いられる。熱電変換モジュール4には、電気を取り出すための一対の端子43が接続されている。この場合、端子43は
図7(a)に示すように内部空間3aの上部において上方に延出され、密閉容器3の上側の端板部32を貫通して外部に突出している。端板部32の端子43の貫通孔は、気密的に塞ぐ処理がなされている。
【0025】
図6に示すように、密閉容器3の内部空間3aのX側の開口は、断面が内側にへこんだ断面U字状で全体としては長円状の封止カバー38で塞がれている。封止カバー38は、可動板部31の後述する外側剛性部311の内面と、流通管35のX方向端部の外面に気密的に接合されている。密閉容器3の内部空間3aは、筐体30、流通管35および封止カバー38によって気密的に封止されている。各密閉容器3の筐体30のX方向両端面には外側カバー33が接合され、本装置1のX方向両側が、この外側カバー33で覆われている。各流通管35のX方向両端部は各筐体30から突出しており、この突出端部は、外側カバー33に形成された流通管挿入孔331を貫通して外部に突出している。
【0026】
[2]密閉容器の構成
上記密閉容器3の筐体30を構成する可動板部31は、
図7に示すように、外形が長方形の枠状に形成された外側剛性部311と、外側剛性部311の内側に配設された外側剛性部311と同じ厚さの内側剛性部312と、外側剛性部311と内側剛性部312との間に形成される一定幅の隙間314を塞ぐ状態に配設された各剛性部311,312の厚さよりも薄い変形部313とを有している。
【0027】
外側剛性部311の内縁311aは略長円形状に形成されており、内側剛性部312の外縁312aは、外側剛性部311の内縁311aから一定の隙間314を空けて略長円形状に形成されている。内側剛性部312の外面には、可撓性を有する薄板315がろう付け等の接合手段で接合されている。この薄板315は各剛性部311,312の間の隙間314を覆って外側剛性部311の外面に達する大きさを有しており、外縁部が外側剛性部311の外面にろう付け等の接合手段で接合されている。この薄板315により剛性部311,312どうしが同一平面内に存在するように連結された状態となっている。本実施形態では剛性部311,312どうしが同一平面内に存在しているが、各剛性部311,312の位置関係はこれに限定されず、いずれか一方が内側にずれた状態で薄板315により連結されている構成であってもよい。
【0028】
薄板315の隙間314を覆う部分が可撓性を有する略環状の変形部313を構成しており、
図8に示すように変形部313の幅方向中央部には、内側に向けて突出する凸条部313aが全周にわたって形成されている。変形部313は、内側剛性部312の周縁面312bの外側から外側剛性部311の内縁311aの外側に延びる状態に設けられている。外側剛性部311のZ方向の両側の端縁は端板部32に一体化した状態に形成されている。すなわち上下一対の端板部32に両側の外側剛性部311が一体成形されており、外側剛性部311に薄板315を介して内側剛性部312が接合されて、筐体30が構成されている。内側剛性部312は、熱電変換モジュール4を覆う大きさを有し、熱電変換モジュール4の片面全面に当接した状態となっている。
【0029】
密閉容器3の上側の端板部32には複数の減圧封止口321が設けられており、これら減圧封止口321を利用して密閉容器3内の内部空間3aは減圧される。
【0030】
上記密閉容器3は、減圧封止口321から内部の空気を吸引して密閉容器3内の内部空間3aを所定圧力(例えば1〜100Pa程度)に減圧し、減圧封止口321を溶接するなどして気密的に封止した状態とされる。これにより密閉容器3においては、内部が外部の大気よりも圧力が低いという圧力差が生じ、この圧力差によって、筐体30の可動板部31が内側に加圧される力を受ける。
【0031】
図8(a)は密閉容器3内を減圧する前の状態であり、減圧されて可動板部31が内側に加圧されると、
図8(b)に示すように、可撓性を有する変形部313は凸条部313aが内側にさらに突出するように変形し、これにより内側剛性部312は熱電変換モジュール4に強く当接し、熱電変換モジュール4に均一に密着した状態となる。換言すると、内側剛性部312の熱電変換モジュール4への当接面が熱電変換モジュール4に均一に強く密着するように動くことを、変形部313が変形することで実現される。
【0032】
[3]冷却部
中間冷却部5Aおよび端部冷却部5Bは、それぞれ冷却ケース53A,53Bを備えている。中間冷却部5Aの冷却ケース53Aは、可動板部31の外側剛性部311の周縁に沿った枠状に形成されており、隣接する外側剛性部311の間に挟まれ、これら外側剛性部311の外面周縁部に接合されている。すなわち本装置1においては、隣接する筐体30は、隣接する外側剛性部311どうしが冷却ケース53Aを介して接合された状態となっている。冷却ケース53Aと、冷却ケース53Aを挟む両側の可動板部31とで囲まれた中間冷却部5Aの内部には、冷却水の流路となって可動板部31を冷却する冷却ジャケット53aが形成されている。
【0033】
一方、端部冷却部5Bの冷却ケース53Bは、端部の可動板部31を覆う蓋状に形成されており、片面側に形成された浅い凹所を可動板部31側に向けて、端縁が外側剛性部311の外面周縁部に接合されている。冷却ケース53Bの内面と可動板部31とで囲まれた端部冷却部5Bの内部には、冷却水が供給されて可動板部31を冷却する冷却ジャケット53bが形成されている。
【0034】
中間冷却部5Aおよび端部冷却部5Bの各冷却ケース53A,53Bの、下端面には冷却水供給口51が、また、上端面には冷却水排水口52が、それぞれ形成されている。冷却水供給口51および冷却水排水口52はX方向の中央に形成されており、冷却水供給口51および冷却水排水口52には、それぞれ図示せぬ冷却水供給管および排水管が接続される。
【0035】
中間冷却部5Aおよび端部冷却部5Bの冷却ジャケット53a,53b内には、例えば波板状に形成されたフィン7が収容されている。このフィン7は内側剛性部312に一端部が接合され、他端部は冷却ケース53Bの内面に接合されず当接した状態とされている。
【0036】
[4]発電装置の作用
上記構成からなる発電装置1では、各冷却ジャケット53a,53b内に冷却水を供給して流通させ、密閉容器3の可動板部31を冷却する。一方、各流通管35に、一端側から他端側に向けて高温の加熱流体Hを流して流通管35を加熱する。冷却された可動板部31の温度は熱電変換モジュール4の外面側に伝わり、熱電変換モジュール4の外面側が冷却され、一方、加熱された流通管35の内板部36の温度は熱電変換モジュール4の内面側に伝わり、熱電変換モジュール4の内面側が加熱される。加熱流体Hは中空部351を流れることで拡散せず、流通管35の内板部36が効率よく加熱される。
【0037】
本実施形態では、筐体30の可動板部31が冷却側の板部材となり、流通管35の内板部36が加熱側の板部材を構成する。このようにして熱電変換モジュール4の外面側と内面側に温度差が与えられることで、熱電変換モジュール4は発電し、端子43から電気が取り出される。
【0038】
本実施形態の発電装置1は、例えば工場やゴミ焼却炉で発生する排熱ガスや、自動車の排気ガスなどが、上記加熱流体Hとして利用される。
【0039】
[5]密閉容器の作用効果
本実施形態の発電装置1では、密閉容器3内を減圧して密閉容器3の内外に圧力差を生じさせることにより、減圧しない状態では単に熱電変換モジュール4に当接する状態である可動板部31の内側剛性部312が、熱電変換モジュール4に対し加圧された状態で当接し、均一に密着した状態となる。可動板部31を、熱電変換モジュール4に当接する内側剛性部312と、その周囲の可撓性を有する変形部313とを有する構成とすることにより、減圧状態において変形部313が変形し、内側剛性部312が熱電変換モジュール4に均一に当接しやすくなる。このため、可動板部31の内側剛性部312を介しての冷却部5A,5Bから熱電変換モジュール4への熱伝導度は向上し、熱電変換モジュール4に与えられる温度差が大きくなって発電性能が向上する。
【0040】
本実施形態では、従来のように、タイロッドやナットといった締結用の部材を用いず、密閉容器3内を減圧することで冷却側の板部材である可動板部31の内側剛性部312を熱電変換モジュール4に密着させるため、複雑かつ高コストになることなく熱電変換モジュール4に対し均一な加圧状態で内側剛性部312を密着させることができる。そして、ボルト・ナットといった締結用の部材を用いないため、設計やデザインの自由度の向上や軽量化を図ることができる。
【0041】
減圧作用により熱電変換モジュール4に加圧状態で密着させられる内側剛性部312は、熱電変換モジュール4側に加圧されても変形をきたさない厚さに設定され、一方、変形部313は密閉容器3内を減圧した際に、内側剛性部312の内側への動きに追従して変形可能となっている。このため、内側剛性部312が変形することが抑えられ、かつ、内側剛性部312が熱電変換モジュール4に対し確実に面で当接し、均一に密着した状態を得ることができる。
【0042】
また、密閉容器3内が減圧されるため、内部空間3aに空気等のガスが常圧で存在する場合に比べて密閉容器3内が加熱されにくく、内部ガスが膨張して密閉容器3に影響を与えたり、熱電変換モジュール4が加熱されて劣化したりするといった不具合の発生を抑えることができる。可動板部31の変形部313は内側剛性部312よりも板厚が小さいことにより変形可能となっており、変形部313を容易に設けることができる。
【0043】
また、可動板部31の内側剛性部312は、熱電変換モジュール4に対し密着はしているが非接合状態であり、内側剛性部312と熱電変換モジュール4は互いの当接面に沿って相対移動可能となっている。このため、加熱・冷却によって熱電変換モジュール4や内側剛性部312が膨張・収縮した場合、両者は当接した状態で互いの当接面に沿って相対移動し、その結果、熱影響による応力が生じて変形するといった不具合が起こらない。
【0044】
また、可動板部31の内側剛性部312の外面にフィン7を取り付けているため、冷却効果が向上して熱電変換モジュール4に生じる温度差をより大きくすることができ、発電性能のさらなる向上が図られる。また、フィン7により内側剛性部312の剛性が高まり、内側剛性部312の変形防止の作用をより高めることができる。内側剛性部312は変形しにくいことから、フィン7を固定しやすいという利点もある。
【0045】
[6]実施形態の変形例
図9に示すように、可動板部31の内側剛性部312の周縁面312bを、外側から内側(
図9で、熱電変換モジュール4側とは反対側の上側から、熱電変換モジュール4側の下側)に向かうにしたがって、側方に傾斜して突出する略テーパ状に形成する。この形態によれば、減圧作用で内側に変形する変形部313が内側剛性部312の周縁面312bと外面との角部に干渉しにくくなり、変形部313に折れや亀裂といった損傷が生じにくくなる。なお、図示例ではテーパ状の周縁面312bは平坦面であるが、必要に応じて、外側から内側に向かうにしたがって凹状曲面もしくは凸状曲面等に形成される場合もある。
【0046】
図10に示すように、変形部313を構成する薄板315は、内側剛性部312の外面全面を覆うものではなく、外側剛性部311と内側剛性部312との間の隙間314を覆う程度の幅を有する環状に形成したものとしてもよい。
【0047】
また、熱電変換モジュール4と、冷却側の板部材(この場合、密閉容器3における可動板部31の内側剛性部312)および加熱側の板部材(この場合、密閉容器3における流通管35の内板部36)の少なくとも一方との間に、例えば柔軟性を有する材料からなる緩衝材を配設する構成としてもよい。このような構成の場合には、密閉容器3が該緩衝材を介して熱電変換モジュール4に加圧状態で当接し、熱電変換モジュール4が緩衝材で保護される。