【実施例】
【0059】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0060】
(製造例1:パイナップルセラミドの製造)
パイナップル可食部の圧搾後の残渣(パイナップルパルプ)10kgを90体積%エタノール1,000mLに加え、還流抽出器で80℃にて2時間加熱抽出し、熱時濾過した。その後、エバポレーターを用いて減圧下で濃縮し、更に同様の濾過処理を行った。得られた残渣について500mLの水で洗浄し、ペースト状のパイナップルセラミド15gを得た。抽出物の収率は、0.15(質量%)であった。
【0061】
得られたパイナップルセラミドについて、以下の通り成分分析を行った。
−ヒドロキシ脂肪酸誘導体の測定−
前記パイナップルセラミドを乾燥させた乾燥物100mgをエタノール1mLに溶解したものを被験試料として用い、市販のスフィンゴ糖脂質標準品エタノール溶液(0.25mg/mL、0.5mg/mL、1、2mg/mL、5mg/mL)とともにシリカゲル薄層クロマトグラフィープレートにアプライし、クロロホルム:メタノール混合溶液(9:1、体積比)で展開した。展開後、硫酸を噴霧し、加熱を行い、スフィンゴ糖脂質標準品と同じRf値となるスポットをスフィンゴ糖脂質のスポットとした。薄層クロマトグラフィーの発色強度を、デンシトメーター(株式会社島津製作所製 CS−9300PC)により測定し、得られた標準品の発色強度に基づいて検量線を作成し、試料の発色強度よりスフィンゴ糖脂質量を求めた。測定の結果、前記パイナップルセラミドは、20質量%のヒドロキシ脂肪酸誘導体を含有することがわかった。
【0062】
−ヒドロキシ脂肪酸誘導体の同定−
下記の手順により、得られたパイナップルセラミドに含まれるヒドロキシ脂肪酸誘導体を同定した。
【0063】
<1.TLC分析による分子骨格の推定>
下記のTLC分析条件において、下記標準試料と共に被験試料を展開した結果、被験試料が単糖をもった糖脂質であるモノヘキソシルセラミド(CMH)を含むと推定された。
[TLC分析条件]
プレート:HPTLC silica gel 60(Merck社製)
使用直前に120℃、30分間の活性化を行う
展開溶媒:クロロホルム:メタノール:水=65:25:4(体積比)
発色: オルシノール硫酸試薬
標準試料:モノヘキソシルセラミド(CMH)及びステリルグリコシド
【0064】
<2.MALDI−TOFMS分析による分子構造の推定>
マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization−Time of Flight Mass Spectrometry;MALDI−TOFMS)により、以下の手順で、得られたパイナップルセラミドに含まれるヒドロキシ脂肪酸誘導体の分子構造を推定した。
マトリックス(試料分子イオン化補助剤)としての2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を、10体積%エタノール水溶液で10mg/mLの濃度に調製した溶液をマトリックス溶液として用いた。次いで、被験試料を1mg/mL濃度となるようにクロロホルム:メタノール=1:1(体積比)溶液に溶解して糖脂質溶液を調製し、該糖脂質溶液0.2μLとマトリックス溶液1.0μLとをサンプルプレート上で混合した後、風乾して結晶化させた。このサンプルプレートをMALDI−TOFMS分析装置であるVoyager DE−STR(Applied Biosystems製)にセットし、質量分析を行った。
【0065】
その結果、前記パイナップルセラミドは、C
44H
83NO
9の分子式を持つ下記構造式(1)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体を主成分とし、脂肪酸部分及びスフィンゴイド塩基部分が異なる下記構造式(2)〜(5)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体を含む混合物であると推定された。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0066】
<3.GC−MS分析による脂肪酸部分の構造同定>
ガス・クロマトグラフを直結した質量分析計(Gas Chromatography−Mass Spectrometer;GC−MS)により、以下の手順で、脂肪酸部分の構造同定を行った。
被験試料中の糖脂質100μg〜200μg当たり2.5体積%無水塩酸メタノール0.3mLを加えて80℃で12時間加水分解した(メタノリシス)。反応液に等量のヘキサンを加え、生成した脂肪酸メチルエステルをヘキサンで抽出した。ヘキサン抽出を3回繰り返し、得られたヘキサン層を一度窒素気流下で乾固した後、残渣にトリメチルシリル(TMS)化試薬(ピリジン:1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS):トリメチルクロロシラン(TMCS)=1:1.3:0.8、体積比)200μLを加え、60℃で10分間加熱した。反応液を遠心分離し、得られた上清0.2μLをGC−MSにて分析した。GC−MS分析のカラムには、J&W Scientific社のDB−5M(0.25mm×30m)を用い、カラム温度は試料注入後、最初の1分間は60℃に保ち、その後、毎分8℃で300℃まで昇温させ、300℃で9分間保つ条件で行った。
【0067】
GC−MSによる脂肪酸部分解析の結果、主成分のヒドロキシ脂肪酸誘導体を構成する脂肪酸部分が、炭素数20の直鎖α−ヒドロキシ酸であることが同定できた。また、被験試料に由来する脂肪酸部分としては、炭素数がそれぞれ18、19、20、21、22、23、24、25、26の直鎖α−ヒドロキシ酸が同定できた。
【0068】
<4.GC−MS分析によるスフィンゴイド塩基部分の構造同定>
被験試料中の糖脂質200μg当たり水性塩酸メタノール(濃塩酸8.6mL、水0.4mL、メタノール41.0mLを混合して調製)0.3mLを加えて75℃で16時間加水分解した。反応液に等量のヘキサンを加え、脂肪酸メチルエステルをヘキサンで抽出除去した。酸性メタノール層を窒素気流下で乾固した後、0.1N水酸化ナトリウム溶液0.6mLとメタノール1.0mLを加え、次いでクロロホルム2.0mLを加えて混合し、遠心分離して上層を除去した。下層のクロロホルム層をFolchの上層(クロロホルム:メタノール:水=1:50:49、体積比)で2回洗浄した。得られたクロロホルム層を窒素気流下で乾固した後、残渣にTMS化試薬(ピリジン:HMDS:TMCS=1:1.3:0.8、体積比)100μLを加え、60℃で10分間加熱した。反応液を遠心分離し、得られた上清0.2μLをGC−MSにて分析した。GC−MSの分析は、脂肪酸分析と同じ条件で行った。
【0069】
GC−MSによるスフィンゴイド塩基部分解析の結果、主成分のグルコシルセラミドを構成するスフィンゴイド塩基部分が、2−アミノ−4,8−オクタデシジエン−1,3−ジオールであることが同定できた。また、被験試料に由来するスフィンゴイド塩基部分としては、2−アミノ−4,8−オクタデシジエン−1,3−ジオール及び2−アミノ−4−オクタデセン−1,3,4−トリオールが同定できた。
【0070】
<5.ヒドロキシ脂肪酸誘導体の同定>
以上の分析結果から、上記MALDI−TOFMS分析で推定した通り、前記パイナップルセラミドに含まれるヒドロキシ脂肪酸誘導体の主成分は、グルコシル基と、脂肪酸として炭素数20の直鎖α−ヒドロキシ酸と、スフィンゴイド塩基として2−アミノ−4,8−オクタデシジエン−1,3−ジオールからなる、化学式C
44H
83NO
9の前記構造式(1)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体であることが確認できた。また、前記パイナップルセラミドは、前記構造式(1)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体を主成分として、更にその脂肪酸部分の炭素数及びスフィンゴイド塩基が異なる前記構造式(2)〜(5)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体を含む混合物であることが確認できた。
【0071】
(実施例1:パイナップルセラミド配合チュアブルの製造)
下記表1に示される組成のパイナップルセラミド配合チュアブルを製造した。
製造例1のグルコシルセラミド20質量%含有パインセラミド6g、デンプン(エフメルト(登録商標)F−1、富士化学工業株式会社製)250g、デキストリン(松谷化学工業株式会社製)121.5g、セルロース(株式会社伏見製造所製)100g、微粒酸化ケイ素(富士シリア化学株式会社製)7.5g、ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製)15gを用いて、パイナップルセラミド配合チュアブルを製造した。前記チュアブルの製造方法としては、周知の方法を用いた。
得られたパイナップルセラミド配合チュアブルの組成(各成分の含有量)を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
(比較例1:パイナップルセラミド無配合チュアブルの製造)
実施例1のパイナップルセラミドの代わりに、色素(クチナシ色素、粉末サンエロー(登録商標)No.2FU、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)4gを用いた以外は、実施例1と同様にして、パイナップルセラミド無配合チュアブル(プラセボ)を製造した。得られたパイナップルセラミド無配合チュアブルの組成(各成分の含有量)を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
口腔内乾燥の改善試験
被験者に4週間、毎日、昼食後1時間以内に実施例1のパイナップルセラミド配合チュアブル、又は比較例1のパイナップルセラミド無配合チュアブル(プラセボ)のどちらかを、口腔内に5分以上、飴を舐める感覚で保持する形式で摂取してもらった。その際、各被験者には、自身が摂取しているものが、パイナップルセラミド配合チュアブルとパイナップルセラミド無配合チュアブル(プラセボ)のどちらであるかは告げなかった。
被験者は計12名(男性5名、女性7名)であった。以下、パイナップルセラミド配合チュアブルを4週間摂取した被験者をパインセラ群、パイナップルセラミド無配合チュアブル(プラセボ)を4週間摂取した被験者をプラセボ群と称する。
(パインセラ群)
人数: 6名
年齢: 平均47.5歳
(プラセボ群)
人数: 6名
年齢: 平均44.2歳
以下、口腔内乾燥の改善効果について評価を行った。
試験期間(2012年9月29日〜2012年10月27日)の温度及び湿度を
図1に示す。
【0076】
(試験例1:口腔内の肉眼観察評価)
各被験者の口腔内の状態について、摂取前、及び摂取4週間後のそれぞれの時期に、肉眼で観察し、下記の5段階評価で評価した。
A : 乾燥した舌粘膜や頬粘膜が認められる
B : 唾液の塊や唾液中の泡が認められる
C : 唾液の粘稠度が増加している
D : 口蓋及び舌背が唾液で湿っている
E : 口蓋及び舌背上の唾液が十分に見える
評価結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
前記表3に示した肉眼観察による評価結果をグラフ化したものを
図2A(プラセボ群)及び
図2B(パインセラ群)に示す。
パインセラ群において、摂取4週間後で口腔内状態の改善がみられた。
【0078】
(試験例2:口腔内水分量の測定)
各被験者の口腔内水分量について、摂取前、及び摂取4週間後のそれぞれの時期に口腔水分計(ムーカス(登録商標)、株式会社ライフ製)を用いて、測定を3回行い、その中央値を採用した。結果を
図3A〜
図3Cに示す。
図3Aは、各被験者におけるチュアブル摂取前後の口腔水分測定値を示す。
図3Bは、各被験者におけるチュアブル摂取前後の口腔水分測定値の増減量(チュアブル摂取前を100%とした相対値)を示す。
図3Cは、各群で、チュアブル摂取前後の口腔水分測定値の増減量をまとめた結果を示す。口腔水分計による測定値を、Parametric−testであるt検定を用いて比較した。
口腔水分計により口腔内水分量を測定した結果、プラセボ群では摂取前後で口腔内水分量が低下していたのに対して、パインセラ摂取群では摂取前後で唾液分泌に大きな差はなく、プラゼボ群と比較し、有意な差が確認された。
【0079】
(試験例3:口腔乾燥に関する自覚症状の評価)
摂取前、及び摂取4週間後のそれぞれの時期に口腔乾燥の自覚症状に関するアンケート(下記の5段階評価の中から選択)に対して、各被験者が直接記入、回答した結果を集計した。
A : ひどく乾燥している
B : 乾燥している
C : やや乾燥している
D : あまり乾燥していない
E : 全く乾燥していない
評価結果を表4に示す。
【0080】
【表4】
前記表4に示したアンケートの結果をグラフ化したものを
図4A(プラセボ群)及び
図4B(パインセラ群)に示す。
【0081】
(試験例4:VAS法による評価)
主観的な項目である自覚的口腔乾燥症状を数値化するためにVAS(visual analog scale)法を用いた。VAS法により乾燥症状3項目(「口腔内の潤い」、「寝起きの口腔内のネバネバ感」、「口唇の潤い」)を評価した。スケールは10.0cmとし、被験者には主観を2点の間で自由に印してもらい、0.0cmの点からの長さを測定した。
「口腔内の潤い」については、0.0cmの点を「全く感じない」、10.0cmの点を「最も潤っている」とした。
「寝起きの口腔内のネバネバ感」については、0.0cmの点を「全く感じない」、10.0cmの点を「最もネバネバしている」とした。
「口唇の潤い」については、0.0cmの点を「全く感じない」、10.0cmの点を「最も潤っている」とした。
図5Aは、「口腔内の潤い」に関するVAS値をプラセボ群とパインセラ群でまとめた結果を示す。
図5Bは、「口腔内の潤い」に関するVAS値の増減をプラセボ群とパインセラ群でまとめた結果を示す。
図5Cは、「寝起きの口腔内のネバネバ感」に関するVAS値をプラセボ群とパインセラ群でまとめた結果を示す。
図5Dは、「寝起きの口腔内のネバネバ感」に関するVAS値の増減をプラセボ群とパインセラ群でまとめた結果を示す。
図5Eは、「口唇の潤い」に関するVAS値をプラセボ群とパインセラ群でまとめた結果を示す。
図5Fは、「口唇の潤い」に関するVAS値の増減をプラセボ群とパインセラ群でまとめた結果を示す。
「寝起きの口腔内のネバネバ感」、及び「口唇の潤い」について、プラセボ群と比較して、パインセラ群で改善効果が確認された。
【0082】
(実施例2:アクアポリン3mRNA発現促進作用試験)
製造例1のグルコシルセラミド20質量%含有パイナップルセラミドを被験試料として用い、下記の試験方法により、アクアポリン3(AQP3)産生促進作用を試験した。
【0083】
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(NHEK)を80cm
3フラスコで正常ヒト表皮角化細胞増殖用無血清液体培地(Epilife−KG2、倉敷紡績株式会社製)を用いて、37℃、5%CO
2の条件下にて前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。
培地にEpilife−KG2を用いて、回収した細胞を35mmシャーレ(FALCON社製)に40×10
4細胞/2mLずつ播種し、37℃、5%CO
2の条件下で24時間培養した。24時間後に培養液を捨て、Epilife−KG2で必要濃度に溶解した被験試料(試料濃度:50μg/mL)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO
2の条件下にて24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(Cat.No.311−02501、ニッポンジーン株式会社製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計(日本分光株式会社製)にて測定し、200μg/mLになるように総RNAを調製した。
【0084】
この総RNAを鋳型として、AQP3及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置SmartCycler(登録商標)(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBER PrimeScript(登録商標)RT−PCR kit(Perfect Real Time,code No. RR063A、タカラバイオ株式会社製)によるリアルタイム2Step RT−PCR反応により行った。
AQP3のmRNA発現促進率(%)は、被験試料無添加及び被験試料添加でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、更に被験試料無添加の補正値を100としたときの被験試料添加の補正値を算出した。結果を表5に示す。
AQP3のmRNA発現促進率(%)の計算方法は以下の通りである。
AQP3 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
ただし、前記式中、Aは被験試料添加時の補正値を表し、Bは被験試料無添加時(コントロール)の補正値を表す。
【0085】
【表5】
【0086】
グルコシルセラミド20質量%含有パイナップルセラミドには、添加濃度50μg/mL時においてコントロールと比べて約2.2倍のAQP3 mRNA発現促進作用が認められた。
ちなみに、レチノイン酸を10μM濃度になるように添加した陽性対照実験におけるAQP3 mRNA発現促進率は、518.1%であった。
【0087】
(実施例3:アクアポリン5mRNA発現促進作用試験)
製造例1のグルコシルセラミド20質量%含有パイナップルセラミドを被験試料として用い、下記の試験方法により、アクアポリン5(AQP5)産生促進作用を試験した。
【0088】
マウス肺胞上皮細胞株(MLE−12)を80cm
3のフラスコで4質量%FBS含有D−MEMにて37℃、5%CO
2下で培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。
培地に4質量%FBS含有D−MEMを用いて、回収した細胞を35mmシャーレ(FALCON社製)に90×10
4細胞/2mLずつ播種し、37℃、5%CO
2の条件下で24時間培養した。24時間後に培養液を捨て、4質量%FBS含有D−MEMで必要濃度に溶解した被験試料(試料濃度:0.2μg/mL又は12.5μg/mL)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO
2の条件下にて24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(Cat.No.311−02501、ニッポンジーン株式会社製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計(日本分光株式会社製)にて測定し、200μg/mLになるように総RNAを調製した。
【0089】
この総RNAを鋳型として、AQP5及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置SmartCycler(登録商標)(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBER PrimeScript(登録商標)RT−PCR kit(Perfect Real Time,code No. RR063A、タカラバイオ株式会社製)によるリアルタイム2Step RT−PCR反応により行った。
AQP5のmRNA発現促進率(%)は、被験試料無添加及び被験試料添加でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、更に被験試料無添加の補正値を100としたときの被験試料添加の補正値を算出した。結果を表6に示す。
AQP5のmRNA発現促進促進率(%)の計算方法は以下の通りである。
AQP5 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
ただし、前記式中、Aは被験試料添加時の補正値を表し、Bは被験試料無添加時(コントロール)の補正値を表す。
【0090】
【表6】
【0091】
グルコシルセラミド20質量%含有パイナップルセラミドは、AQP5 mRNA発現促進作用を示した。
ちなみに、レチノイン酸を10μM濃度になるように添加した陽性対照実験におけるAQP5 mRNA発現促進率は、241.2%であった。