(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物にパルスレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段とを具備し、該レーザー光線照射手段がレーザー光線発振器と該レーザー光線発振器によって発振されたレーザー光線を集光して被加工物に照射する集光器とを具備しているレーザー加工装置において、
該レーザー光線発振器と該集光器との間に配設され該レーザー光線発振器から発振されるレーザー光線のビーム径を調整するビーム径調整手段と、
該ビーム径調整手段を通過したレーザー光線を該集光器に向けて光路を変換する光路変換ミラーと、
該光路変換ミラーを、該ビーム径調整手段を通過したレーザー光線の光路を変換して該集光器に導く作用位置と、該ビーム径調整手段を通過したレーザー光線を直進させ検出光路に導く非作用位置に位置付けるミラー位置付け手段と、
該光路変換ミラーを非作用位置に位置させることにより該検出光路に導かれたレーザー光線の一部を遮光する遮光部材と、該遮光部材を該検出光路に導かれたレーザー光線の光軸に垂直な方向に移動せしめる移動手段と、該遮光部材の移動量を検出する移動量検出手段と、該遮光部材によって遮光されたレーザー光線の光量を検出する光量検出手段とを備え、該遮光部材による遮光量と該遮光部材の移動量に基づいて該検出光路に導かれたレーザー光線のビーム径を求めるビーム径検出機構と、
該ビーム径検出機構の光量検出手段を該検出光路に沿って移動することにより光路長を変更する光路長変更手段と、
該ビーム径調整手段と該ビーム径検出機構および該光路長変更手段を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該光路長変更手段を作動して該ビーム径検出機構の光量検出手段を直線状に移動させ光路長が異なる2箇所に位置付け、該2箇所において該ビーム径検出機構を作動してそれぞれ該検出光路に導かれたレーザー光線のビーム径を検出し、検出された2個のビーム径が所定の関係になるように該ビーム径調整手段を制御する、
ことを特徴とするレーザー加工装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、上記ビーム調整手段による調整は、オペレータが光学系を露出させ、集光器に至る光路にレーザー光線のビーム径を検出する検出器を2箇所に位置付けて検出し、検出した2個のビーム径が同じ径になるようにビーム調整手段を調整するので、作業性が悪いという問題がある。なお、集光レンズに導かれるレーザー光線は、必ずしも平行光だけではなく、例えば0.1度程度の角度をもって縮径するように調整して用いる場合がある。このような調整もオペレータは、光学系を露出させ、集光器に至る光路にレーザー光線のビーム径を検出する検出器を2箇所に位置付けて検出し、検出した2個のビーム径が所定の関係になるようにビーム調整手段を調整する。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、レーザー光線発振器から発振されたレーザー光線の平行度等を容易に調整することができる平行度調整機能を備えたレーザー加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物にパルスレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段とを具備し、該レーザー光線照射手段がレーザー光線発振器と該レーザー光線発振器によって発振されたレーザー光線を集光して被加工物に照射する集光器とを具備しているレーザー加工装置において、
該レーザー光線発振器と該集光器との間に配設され該レーザー光線発振器から発振されるレーザー光線のビーム径を調整するビーム径調整手段と、
該ビーム径調整手段を通過したレーザー光線を該集光器に向けて光路を変換する光路変換ミラーと、
該光路変換ミラーを、該ビーム径調整手段を通過したレーザー光線の光路を変換して該集光器に導く作用位置と、該ビーム径調整手段を通過したレーザー光線を直進させ検出光路に導く非作用位置に位置付けるミラー位置付け手段と、
該光路変換ミラーを非作用位置に位置させることにより該検出光路に導かれたレーザー光線の一部を遮光する遮光部材と、該遮光部材を該検出光路に導かれたレーザー光線の光軸に垂直な方向に移動せしめる移動手段と、該遮光部材の移動量を検出する移動量検出手段と、該遮光部材によって遮光されたレーザー光線の光量を検出する光量検出手段とを備え、該遮光部材による遮光量と該遮光部材の移動量に基づいて該検出光路に導かれたレーザー光線のビーム径を求めるビーム径検出機構と、
該ビーム径検出機構の光量検出手段を該検出光路に沿って移動することにより光路長を変更する光路長変更手段と、
該ビーム径調整手段と該ビーム径検出機構および該光路長変更手段を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該光路長変更手段を作動して該ビーム径検出機構の光量検出手段を直線状に移動させ光路長が異なる2
箇所に位置付け、該2
箇所において該ビーム径検出機構を作動してそれぞれ該検出光路に導かれたレーザー光線のビーム径を検出し、検出され
た2個のビーム径が所定の関係になるように該ビーム径調整手段を制御する、
ことを特徴とするレーザー加工装置が提供される。
【0009】
上記2個のビーム径の所定の関係は、同一に設定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるレーザー加工装置は、パルスレーザー光線発振器と集光器の間に配設されたビーム径調整手段と、ビーム径調整手段を通過したレーザー光線を集光器に向けて光路を変換する光路変換ミラーと、光路変換ミラーをビーム径調整手段を通過したレーザー光線の光路を変換して被加工物にレーザー光線を照射する集光器に導く作用位置と、ビーム径調整手段を通過したレーザー光線を直進させ検出光路に導く非作用位置に位置付けるミラー位置付け手段と、該光路変換ミラーを非作用位置に位置させることにより検出光路に導かれたレーザー光線の一部を遮光する遮光部材による遮光量と遮光部材の移動量に基づいて検出光路に導かれたレーザー光線のビーム径を求めるビーム径検出機構と、ビーム径検出機構の光量検出手段を検出光路に沿って移動することにより光路長を変更する光路長変更手段と、制御手段とを具備し、制御手段は光路長変更手段を作動してビーム径検出機構の光量検出手段を直線状に移動させ光路長が異なる2
箇所に位置付け、該2
箇所においてビーム径検出機構を作動してそれぞれ検出光路に導かれたレーザー光線のビーム径を検出し、検出された2個のビーム径が所定の関係になるようにビーム径調整手段を制御するので、オペレータによるパルスレーザー光線発振手段から発振されるパルスレーザー光線を平行光等に修正する作業が不要となり、作業性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図が示されている。
図1に示すレーザー加工装置1は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記X軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線照射ユニット支持機構4に矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
【0014】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上にX軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上にX軸方向に移動可能に配設された第1の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持されたカバーテーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、吸着チャック361の上面(保持面)に被加工物である例えば円盤状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
【0015】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面にY軸方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第1の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動せしめられる。
【0016】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0017】
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上にY軸方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一方の側面にZ軸方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロット431と、該雄ネジロット431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロット431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロット431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロット431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0018】
図示のレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段6を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、Z軸方向に移動可能に支持される。
【0019】
図示のレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿ってZ軸方向に移動させるための集光点位置調整手段53を具備している。集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロット(図示せず)と、該雄ネジロットを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロットを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびレーザー光線照射手段6を案内レール423、423に沿ってZ軸方向に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射手段6を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段6を下方に移動するようになっている。
【0020】
図示のレーザー光線照射手段6は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング61を含んでいる。また、レーザー光線照射手段6は、
図2に示すようにケーシング61内に配設されたパルスレーザー光線発振手段62と、該レーザー光線発振手段62によって発振されたレーザー光線を集光する対物集光レンズ631を備えケーシング61に配設された集光器63とを具備している。パルスレーザー光線発振手段62は、YAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器621と、これに付設された繰り返し周波数設定手段622とから構成されている。このように構成されたパルスレーザー光線発振手段62は、図示の実施形態においては直径が3mmのパルスレーザー光線を発振する。上記集光器63は、レーザー光線発振手段62によって発振されたレーザー光線を集光して上記チャックテーブル36に保持された被加工物Wに照射する。
【0021】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態におけるレーザー光線照射手段6は、パルスレーザー光線発振手段62と集光器63との間に配設されパルスレーザー光線発振手段62から発振されるレーザー光線のビーム径を調整するビーム径調整手段64と、該ビーム径調整手段64を通過したレーザー光線を集光器63に向けて光路を変換する光路変換ミラー65と、該光路変換ミラー65を
図2において実線で示す作用位置と2点鎖線で示す非作用位置に位置付けるミラー位置付け手段66を具備している。
【0022】
ビーム径調整手段64は、図示の実施形態においては焦点距離が(f1=−50mm)の凹レンズからなる第1のレンズ641と、該第1のレンズ641と間隔(L=100mm)を置いて配設される焦点距離が(f2=+100mm)の凸レンズからなる第2のレンズ642を具備している。この第1のレンズ641は光軸方向(
図2において左右方向)に延びる支持基台643上に配設され、第2のレンズ642は支持基台643上に光軸方向(
図2において左右方向)に移動可能に配設された移動基台644に装着されている。図示の実施形態におけるビーム径調整手段64は、第2のレンズ642が装着された移動基台644を光軸方向(
図2において左右方向)に移動せしめる移動手段645を具備している。移動手段645は、光軸方向(
図2において左右方向)に支持基台643に沿って配設された雄ネジロッド645aと、該雄ネジロッド645aを回転駆動するためのパルスモータ645b等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド645aは、その一端が上記支持基台643に固定された軸受ブロック645cに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ645bの出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド645aは、移動基台644に取付けられた雌ネジブロック645dに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ645bによって雄ネジロッド645aを正転および逆転駆動することにより、第2のレンズ642が装着された移動基台644は支持基台643に沿って移動せしめられる。なお、第2のレンズ642が装着された移動基台644の移動量は、パルスモータ645bに印加する駆動パルスが1パルス当たり例えば1μmに設定されている。このように構成された移動手段645のパルスモータ645bは、後述する制御手段によって制御される。
【0023】
上記光路変換ミラー65は、上記パルスレーザー光線発振手段62によって発振されビーム径調整手段64を通過したレーザー光線を
図2において下方に方向変換して集光器63に導く。光路変換ミラー65を
図2において実線で示す作用位置と2点鎖線で示す非作用位置に位置付けるミラー位置付け手段66は、光路変換ミラー65を支持するミラー支持部材661と、該ミラー支持部材661を
図2において上下方向に移動せしめる移動手段662とからなっている。移動手段662は、上下方向に延びる支持基台662aと、該支持基台662aに沿って上下方向に配設された雄ネジロッド662bと、該雄ネジロッド662bを回転駆動するためのパルスモータ662c等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド662bは、その一端が上記支持基台662aに固定された軸受ブロック662dに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ662cの出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド662bは、ミラー支持部材661に取付けられた雌ネジブロック662eに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ662cによって雄ネジロッド662bを正転および逆転駆動することにより、光路変換ミラー65を支持するミラー支持部材661は支持基台662aに沿って上下方向に移動せしめられる。このように構成された移動手段662によって光路変換ミラー65を支持するミラー支持部材661を
図2において実線で示す作用位置に位置付けると、上記パルスレーザー光線発振手段62によって発振されビーム径調整手段64を通過したレーザー光線を集光器63に導く。また、移動手段662によって光路変換ミラー65を支持するミラー支持部材661を
図2において2点鎖線で示す非作用位置に位置付けると、上記パルスレーザー光線発振手段62によって発振されビーム径調整手段64を通過したレーザー光線を直進させ検出光路67に導く。
【0024】
図2を参照して説明を続けると、レーザー光線照射手段6は、上記検出光路67に配設され該検出光路67に導かれたレーザー光線のビーム径を検出するビーム径検出機構68と、該ビーム径検出機構68を該検出光路に沿って移動することにより光路長を変更する光路長変更手段70を具備している。ビーム径検出機構68は、検出光路67に導かれたレーザー光線の一部を遮光する遮光手段680と、該遮光手段680によって遮光されたレーザー光線の光量を検出する光量検出手段69とからなっている。遮光手段680は、光量検出手段69を収容したケース690の上面に配設されている。この遮光手段680は、検出光路67に導かれたレーザー光線の一部を遮光する遮光部材としてのナイフエッジ681と、該ナイフエッジ681を支持するナイフエッジ支持部材682と、該ナイフエッジ支持部材682を検出光路67に導かれたレーザー光線の光軸に垂直な方向(
図2において上下方向)に移動可能に支持する支持基台683と、ナイフエッジ支持部材682を支持基台683に沿って
図2において上下方向に移動せしめる移動手段684とからなっている。移動手段684は、支持基台683に沿って上下方向に配設された雄ネジロッド684aと、該雄ネジロッド684aを回転駆動するためのパルスモータ684b等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド684aは、その一端が上記支持基台683に固定された軸受ブロック684cに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ684bの出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド684aは、ナイフエッジ支持部材682に取付けられた雌ネジブロック684dに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ684bによって雄ネジロッド684aを正転および逆転駆動することにより、ナイフエッジ681が支持されているナイフエッジ支持部材682は支持基台683に沿って移動せしめられる。このように構成された移動手段684のパルスモータ684bは、後述する制御手段によって制御される。なお、上記ナイフエッジ681が装着されたナイフエッジ支持部材682の移動量は、パルスモータ684bに印加する駆動パルスが1パルス当たり例えば1μmに設定されている。従って、パルスモータ684bの駆動パルスをカウントすることにより遮光手段としてのナイフエッジ681の移動量を検出することができるので、パルスモータ684bの駆動パルスをカウントする後述する制御手段のカウンターはナイフエッジ681の移動量を検出する移動量検出手段として機能する。このように構成された移動手段684のパルスモータ684bは、後述する制御手段によって制御される。なお、ナイフエッジ681の移動量を検出する移動量検出手段としては、移動手段684を構成する雄ネジロッド684aに沿ってリニアスケールを配設し、ナイフエッジ支持部材682にリニアスケールを読み取る読み取りヘッドを取り付けた構成にしてもよい。
【0025】
上記光量検出手段69は、ケース690内に受光面を検出光路67に向けて配設されたホトデテクターからなり、受光した光の強度に対応した電圧信号を後述する制御手段に送出する。
【0026】
図示の実施形態におけるビーム径検出機構68は以上のように構成されており、以下その作動について説明する。
検出光路67に導かれたレーザー光線は光量検出手段69によって受光され、光量検出手段69は受光した光の光量に対応した電圧信号を出力し後述する制御手段に送る。
図3は、光量検出手段69が出力する電圧信号とナイフエッジ681の移動量との関係を示す説明図である。
図3において横軸はナイフエッジ681の移動量(μm)を示し、縦軸は光量検出手段69が出力する電圧値(V)を示している。
図3に示すように、ナイフエッジ681がレーザー光線の一部を遮光していない状態ではレーザー光線の全て(100%)が検出光路67に受光され、検出光路67は電圧値(V1) を出力する。また、ナイフエッジ681を作動して検出光路67に導かれたレーザー光線の一部を遮光していくと、検出光路67が出力する電圧値(V)が漸次減少していく。そして、ナイフエッジ681を作動して検出光路67に導かれたレーザー光線の一部を遮光し、光量検出手段69によって検出される光量が上記電圧値(V1)の80%(0.8V1)となる位置に位置付ける。次に、ナイフエッジ681を作動して検出光路67に導かれたレーザー光線を更に遮光し、光量検出手段69によって検出される光量が上記電圧信号(V1)の20%(0.2V1)となる位置に位置付ける。このときのナイフエッジ681の移動量(L)がレーザー光線のビーム径となる。従って、図示の形態においては、光量検出手段69によって検出される光量が上記電圧値(V1)の80%(0.8V1)となる位置から上記電圧信号(V1)の20%(0.2V1)となる位置までのナイフエッジ681の移動量(L)、即ちパルスモータ684bの駆動パルスをカウントすることにより、ビーム径(μm)を求めることができる(ビーム径検出工程)。
【0027】
上記光路長変更手段70は、上記光量検出手段69および遮光手段680が配設されたケース690を支持する移動基台71と、該移動基台71を検出光路67に沿って移動可能に支持する支持基台72と、移動基台71を支持基台72に沿って移動せしめる移動手段73とを具備している、移動手段73は、支持基台72に沿って配設された雄ネジロッド731と、該雄ネジロッド731を回転駆動するためのパルスモータ732等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド731は、その一端が上記支持基台72に固定された軸受ブロック733に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ732の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド731は、移動基台71に取付けられた雌ネジブロック734に形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ732によって雄ネジロッド731を正転および逆転駆動することにより、光量検出手段69および遮光手段680が配設されたケース690を支持する移動基台71は支持基台72に沿って移動せしめられる。このように構成された移動手段73のパルスモータ732は、後述する制御手段によって制御される。
【0028】
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射手段6を構成するケーシング61には、レーザー光線照射手段6によってレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント手段60が配設されている。このアライメント手段60は、撮像素子(CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0029】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、
図4に示す制御手段8を具備している。
図4に示す制御手段8はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)81と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)82と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)83と、カウンター84と、入力インターフェース85および出力インターフェース86とを備えている。制御手段8の入力インターフェース85には、上記アライメント手段60、光量検出手段69等からの検出信号が入力される。そして、制御手段8の出力インターフェース86からは、上記加工送り手段37を構成するパルスモータ372、第1の割り出し送り手段38を構成するパルスモータ382、第2の割り出し送り手段43を構成するパルスモータ432、集光点位置調整手段53を構成するパルスモータ532、レーザー光線照射手段6のパルスレーザー光線発振手段62、ビーム径調整手段64の移動手段645を構成するパルスモータ645b、ミラー位置付け手段66の移動手段662を構成するパルスモータ662c、遮光手段680の移動手段684を構成するパルスモータ684b、光路長変更手段70の移動手段73を構成するパルスモータ732等に制御信号を出力する。
【0030】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
パルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線(直径が3mm)は、平行光であれば、ビーム径調整手段64の第1のレンズ641および第2のレンズ642が上述したように配設されている場合には、直径が6mmの平行光となる。しかるに、パルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線は、略平行光であるものの僅かに拡径または縮径する傾向がある。従って、パルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線が平行光でない場合には、平行光に修正する必要がある。以下、パルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線が平行光であるか否かを検出するとともに、平行光でない場合には平行光に修正する方法について、主に
図2を参照して説明する。
【0031】
先ず、制御手段8は、ミラー位置付け手段66の移動手段662を構成するパルスモータ662cを作動して、光路変換ミラー65を支持するミラー支持部材661を
図2において2点鎖線で示す非作用位置に位置付ける。また、制御手段8は、光路長変更手段70の移動手段73を構成するパルスモータ732を作動して、ビーム径検出機構68を構成する光量検出手段69を
図2において矢印Aで示す第1の検出位置に位置付ける。このように光路変換ミラー65を非作用位置に位置付けるとともに光量検出手段69を第1の検出位置Aに位置付けたならば、制御手段8はパルスレーザー光線発振手段62を作動してパルスレーザー光線を発振せしめる。この結果、パルスレーザー光線発振手段62によって発振されたパルスレーザー光線は、ビーム径調整手段64を通過して検出光路67に導かれ、光量検出手段69に達する。そして、上記ビーム径検出工程を実施することにより制御手段8は、光量検出手段69によって検出される光量が上記電圧値(V1)の80%(0.8V1)となる位置から上記電圧信号(V1)の20%(0.2V1)となる位置までのナイフエッジ681の移動量(L)を求め、この移動量(L)を第1の検出位置Aにおけるレーザー光線のビーム径φAとしてランダムアクセスメモリ(RAM)83に一時格納する(第1のビーム径検出工程)。
【0032】
上述した第1のビーム径検出工程を実施したならば、制御手段8は光路長変更手段70の移動手段73を構成するパルスモータ732を作動して、ビーム径検出機構68を構成する光量検出手段69を
図2において矢印Bで示す第2の検出位置に位置付ける。このように光量検出手段69を第2の検出位置Bに位置付けたならば、制御手段8は上記ビーム径検出工程を実施することにより光量検出手段69によって検出される光量が上記電圧値(V1)の80%(0.8V1)となる位置から上記電圧信号(V1)の20%(0.2V1)となる位置までのナイフエッジ681の移動量(L)を求め、この移動量(L)を第2の検出位置Bにおけるレーザー光線のビーム径φBとしてランダムアクセスメモリ(RAM)83に一時格納する(第2のビーム径検出工程)。
【0033】
上述したように第1の検出位置Aにおけるレーザー光線のビーム径φAと第2の検出位置Bにおけるレーザー光線のビーム径φBを求めたならば、制御手段8はビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係であるか否かをチェックする。ビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係である場合には、制御手段8はパルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線は平行光或いは設定された所定の関係であると判断し、パルスレーザー光線発振手段62の作動を停止するとともに、ミラー位置付け手段66の移動手段662を構成するパルスモータ662cを作動して光路変換ミラー65を支持するミラー支持部材661を
図2において実線で示す作用位置に位置付ける。
【0034】
上記ビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係でない場合には、制御手段8はビーム径φAがビーム径φBより大きいか否かをチェックする。ビーム径φAがビーム径φBより大きい場合には、パルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線は拡径されているので、制御手段8はビーム径調整手段64に対して縮径工程を実施する。この縮径工程は、先ずビーム径調整手段64の移動手段645を構成するパルスモータ645bを作動して、第2のレンズ642が装着された移動基台644を第1のレンズ641に接近する方向(
図2において左方)に例えば1mm移動する。このように第2のレンズ642を第1のレンズ641に接近する方向に移動したならば、制御手段8は光路長変更手段70の移動手段73を構成するパルスモータ732を作動して、光量検出手段69を第1の検出位置Aおよび第2の検出位置Bにそれぞれ位置付けて上記第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程を実施する。そして、制御手段8は、今回の第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程を実施することによって求められた上記ビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係であるか否かをチェックし、ビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係である場合にはパルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線は平行光或いは設定された所定の関係に修正されたと判断し、パルスレーザー光線発振手段62の作動を停止するとともに、ミラー位置付け手段66の移動手段662を構成するパルスモータ662cを作動して光路変換ミラー65を支持するミラー支持部材661を
図2において実線で示す作用位置に位置付ける。
【0035】
今回の第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程を実施することによって求められた上記ビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係でない場合には、制御手段8はビーム径調整手段64の移動手段645を構成するパルスモータ645bを作動して、第2のレンズ642が装着された移動基台644を第1のレンズ641に接近する方向(
図2において左方)に例えば100μm移動する。そして、制御手段8は、上記第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程を実施する。このようにして、上記縮径工程とビーム径検出工程とを交互に実施してビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係になるまで実施する。なお、上記縮径工程において第2のレンズ642が装着された移動基台644を第1のレンズ641に接近する方向(
図2において左方)に移動する距離は、3回目は例えば10μm、4回目は例えば1μmというように漸次短くしていく。
【0036】
一方、ビーム径φBがビーム径φAより大きい場合には、パルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線は縮径されているので、制御手段8はビーム径調整手段64に対して拡径工程を実施する。この拡径工程は、先ずビーム径調整手段64の移動手段645を構成するパルスモータ645bを作動して、第2のレンズ642が装着された移動基台644を第1のレンズ641と離反する方向(
図2において右方)に例えば1mm移動する。このように第2のレンズ642を第1のレンズ641と離反する方向に移動したならば、制御手段8は光路長変更手段70の移動手段73を構成するパルスモータ732を作動して、光量検出手段69を第1の検出位置Aおよび第2の検出位置Bにそれぞれ位置付けて上記第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程を実施する。そして、制御手段8は、今回の第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程を実施することによって求められた上記ビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係であるか否かをチェックし、ビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係である場合にはパルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線は平行光或いは設定された所定の関係に修正されたと判断し、パルスレーザー光線発振手段62の作動を停止するとともに、ミラー位置付け手段66の移動手段662を構成するパルスモータ662cを作動して光路変換ミラー65を支持するミラー支持部材661を
図2において実線で示す作用位置に位置付ける。
【0037】
今回の第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程を実施することによって求められた上記ビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係でない場合には、制御手段8はビーム径調整手段64の移動手段645を構成するパルスモータ645bを作動して、第2のレンズ642が装着された移動基台644を第1のレンズ641と離反する方向(
図2において右方)に例えば100μm移動する。そして、制御手段8は、上記第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程を実施する。このようにして、上記拡径工程と第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程とを交互に実施してビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係になるまで実施する。なお、上記拡径工程において第2のレンズ642が装着された移動基台644を第1のレンズ641と離反する方向(
図2において右方)に移動する距離は、3回目は例えば10μm、4回目は例えば1μmというように漸次短くしていく。
【0038】
上述したように第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程において第1の検出位置Aと第2の検出位置Bにおいて求められたパルスレーザー光線のビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係でない場合には、上記縮径工程または拡径工程と第1のビーム径検出工程および第2のビーム径検出工程とを交互に実施してビーム径φAとビーム径φBが同一或いは設定された所定の関係になるまで実施することにより、パルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線を平行光或いは設定された所定の関係に修正することができる。このようにして、パルスレーザー光線発振手段62によって発振されるパルスレーザー光線を平行光或いは設定された所定の関係に修正したならば、光路変換ミラー65を
図2において実線で示す作用位置に位置付けることにより、平行光或いは設定された所定の関係に修正されたパルスレーザー光線を集光器63によって集光してレーザー加工を実施することができる。
【0039】
以上のように図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、パルスレーザー光線発振手段62と集光器63の間に配設されたビーム径調整手段64と、ビーム径調整手段64を通過したレーザー光線を集光器63に向けて光路を変換する光路変換ミラー65と、光路変換ミラー65をビーム径調整手段64を通過したレーザー光線を集光器63に導く作用位置と、ビーム径調整手段64を通過したレーザー光線を直進させ検出光路67に導く非作用位置に位置付けるミラー位置付け手段66と、検出光路67に導かれたレーザー光線の一部を遮光する遮光部材としてのナイフエッジ681による遮光量とナイフエッジ681の移動量に基づいて検出光路67に導かれたレーザー光線のビーム径を求めるビーム径検出機構68と、ビーム径検出機構68を検出光路67に沿って移動することにより光路長を変更する光路長変更手段70と、制御手段8とを具備し、制御手段8は光路長変更手段70を作動してビーム径検出機構68の光量検出手段69を光路長が異なる2
箇所に位置付け、該2
箇所においてビーム径検出機構68を作動してそれぞれ検出光路67に導かれたレーザー光線のビーム径を検出し、検出された2個のビーム径が同一或いは設定された所定の関係になるようにビーム径調整手段64を制御するので、オペレータによるパルスレーザー光線発振手段62から発振されるパルスレーザー光線を平行光或いは設定された所定の関係に修正する作業が不要となり、作業性が向上する。