(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
〔呼制御システムの機能について〕
図1は、本実施の形態に係る呼制御システムの全体構成を示す図である。この呼制御システムは、SIPサーバ1と、データ管理サーバ2と、メディアサーバ3とで主に構成される。
【0012】
SIPサーバ1は、IP電話網31を介して発信者電話端末21や契約者電話端末(1)22を収容し、それら各電話端末21,22や自身以外のSIPサーバ1、又はゲートウェイ4から呼設定要求を受信すると、データ管理サーバ2に接続先を問い合わせ、返信された接続先との間で呼接続を設定するサーバである。
【0013】
この接続先とは、例えば、自身以外のSIPサーバ1、メディアサーバ3、契約者端末22と同一グループの電話端末(2)23や電話端末(n)24、自身に収容されているIP通信機器(不図示)である。適切なゲートウェイ4を選択し、他事業者の加入者網等に接続してもよい。
【0014】
データ管理サーバ2は、SIPサーバ1やメディアサーバ3から送信された接続先の問い合わせ要求を受信し、その接続先を解決するサーバである。具体的な機能は後述する。なお、自身と自身以外との間では、例えば、DIAMETERやSIP、SOAP等のプロトコルを用いて通信する。
【0015】
メディアサーバ3は、SIPサーバ1からの呼接続に応じて発信者電話端末21や契約者電話端末(1)22に留守番電話サービスの音声ガイダンスを送出し、ユーザからの発話音声を録音すると共に、電話端末で入力されたPB(Push Button)信号に応じて録音音声を再生するサーバである。
【0016】
ゲートウェイ4は、異なる通信網同士を接続するためのサーバである。複数の相互接続点41に接続されていてもよいし、相互接続点41を介することなく携帯電話網32や他社加入者網33に直接接続されていてもよい。
【0017】
発信者電話端末21及び契約者電話端末(1)22は、IP電話網31に接続されたIP端末である。本実施の形態では、発信側の電話端末を発信者電話端末21とし、留守番電話サービスを契約している電話端末を契約者電話端末(1)22としている。
【0018】
また、電話端末(2)23と電話端末(n)24も同IP電話網31に接続されたIP端末であり、各電話端末23,24は、契約者電話端末(1)22と同一グループ(同一企業等)に属している。
【0019】
契約者携帯電話端末25は、携帯電話網32に接続され、契約者電話端末(1)22と同一契約者の携帯端末である。また、契約者他事業者電話端末26は、他社加入者網33に接続され、電話端末(2)23と同一契約者の電話端末である。
【0020】
なお、
図1のシステム構成は一例であり、SIPサーバ1は複数のゲートウェイ4に接続されていてもよいし、1つの相互接続点41に複数の他事業者用加入者網等が接続されていてもよい。
【0021】
〔データ管理サーバについて〕
次に、データ管理サーバ2について詳述する。データ管理サーバ2は、契約者を収容しているSIPサーバ1やメディアサーバ3を特定する情報を一元管理し、呼制御時に当該管理情報を参照して適切なSIPサーバ1又はメディアサーバ3に接続させる機能を有する。
【0022】
図2は、データ管理サーバの機能ブロック構成を示す図である。データ管理サーバ2は、管理情報記憶部2aと、問い合わせ要求受付部2bと、収容先特定部2cと、問い合わせ結果返信部2dとで主に構成される。
【0023】
管理情報記憶部2aは、SIPサーバ1に収容されている各電話端末21〜24の電話番号に対して、各電話端末21〜24をそれぞれ収容している収容先SIPサーバの識別情報と、各電話番号にそれぞれ割り当てられた収容先メディアサーバの識別情報とを対応付けた管理情報を記憶しておく機能部である。例えば、
図3に示すように、各電話端末21〜24の電話番号と、収容先SIPサーバ名と、収容先メディアサーバ名とを同一行で格納して管理する。
【0024】
問い合わせ要求受付部2bは、SIPサーバ1やメディアサーバ3から、収容先SIPサーバ又は収容先メディアサーバの各問い合わせ要求を受け付ける機能部である。
【0025】
収容先特定部2cは、管理情報記憶部2aから管理情報を読み出して、問い合わせ要求受付部2bで受け付けられた問い合わせ要求に含まれる電話番号に対応する識別情報(収容先SIPサーバの識別情報や収容先メディアサーバの識別情報)を特定する機能部である。
【0026】
問い合わせ結果返信部2dは、収容先特定部2cで特定された識別情報をSIPサーバ又はメディアサーバの収容先(接続先)として返信する機能部である。
【0027】
このように、本実施の形態では、収容先SIPサーバの識別情報を電話番号単位で管理する(非特許文献1参照)ことに加え、電話端末の電話番号毎に収容先メディアサーバを割り当て、収容先メディアデータの識別情報を電話番号単位で管理し、メディアサーバ3への接続時やメディアサーバ3間の連携時に用いるので、従来のような電話番号帯単位で管理する方法よりも、メディアサーバ3のリソース利用効率を向上できる。
【0028】
〔呼制御システムの動作について〕
次に、呼制御システムの動作について説明する。なお、SIPサーバ1は2つとし、メディアサーバ3はnつとする。また、電話端末21〜24の各電話番号は、
図3に示した電話番号とする。
【0029】
(留守録時の動作について)
まず、発信者電話端末21のユーザが、契約者電話端末(1)22のユーザに対してメッセージを残す場合の動作を説明する。
図4は、留守録時の処理動作を示すシーケンスである。
【0030】
最初に、発信者電話端末21が、ユーザによるボタン操作に基づき、「03−1111−B」の契約者電話端末(1)22に対して発信する(ステップS101)。
【0031】
次に、SIPサーバ(1)1aは、その発信に基づくINVITE信号を受信すると、その信号内の電話番号「03−1111−B」の電話端末を収容している収容先SIPサーバをデータ管理サーバ2に問い合わせる(ステップS102)。
【0032】
次に、データ管理サーバ2は、その問い合わせ要求に基づくLIR信号を受信すると、保持している管理情報を参照して、その信号内の電話番号「03−1111−B」に対応するSIPサーバ(2)を収容先として返信する(ステップS103)。
【0033】
次に、SIPサーバ(1)1aは、その返信に基づくLIA信号を受信した後、その信号内のSIPサーバ(2)1bに対してINVITE信号を送信する(ステップS104)。
【0034】
次に、SIPサーバ(2)1bは、そのINVITE信号を受信すると、電話番号「03−1111−B」の電話端末を収容しているかを判定し、収容している場合には、自身に事前登録されているサービスオーダー(契約情報)を用いて、付加サービスの契約の有無を判定する(ステップS105)。
【0035】
その後、SIPサーバ(2)1bは、その判定結果(サービスの制御条件)に応じて呼処理を実行し、例えば、「無条件にメディアサーバにつなぐ」という付加サービスが契約されている場合には、電話番号「03−1111−B」の電話端末に割り当てられている収容先メディアサーバをデータ管理サーバ2に問い合わせる(ステップS106)。
【0036】
なお、上記の例は電話番号「03−1111−B」の電話端末を呼び出すことなく直にメディアサーバに接続するケースであるが、例えば、「電話端末を呼び出す」という契約の場合には、電話番号「03−1111−B」の電話端末に一旦着信し、無応答の場合にメディアサーバに接続するようなケースも考えられる。
【0037】
次に、データ管理サーバ2は、その問い合わせ要求に基づくUDR信号を受信すると、保持している管理情報を参照して、その信号内の電話番号「03−1111−B」に対応するメディアサーバ(2)を収容先として返信する(ステップS107)。
【0038】
次に、SIPサーバ(2)1bは、その返信に基づくUDA信号を受信した後、その信号内のメディアサーバ(2)3bに対してINVITE信号を送信する(ステップS108)。
【0039】
次に、メディアサーバ(2)3bは、そのINVITE信号を受信すると、“200 OK”の応答信号を返信し、留守録用の音声ガイダンスを発信元の発信者端末21に送出する(ステップS109)。
【0040】
最後に、メディアサーバ(2)3bは、発信者端末21のユーザによる発話音声を受信すると、電話番号「03−1111−B」の電話端末、つまり契約者電話端末(1)22に対するメッセージとして録音する(ステップS110)。
【0041】
なお、LIR信号、LIA信号、UDR信号、UDA信号は、DIAMETERのプロトコルで用いられている信号である。それら以外のメッセージ種別の信号を利用してもよいし、DIAMETER以外のプロトコルを利用してもよい。
【0042】
(留守録再生時の動作について)
次に、契約者携帯電話端末25のユーザが、自己の契約者電話端末(1)22に対する録音メッセージを再生する場合の動作を説明する。
図5は、留守録再生時の処理動作を示すシーケンスである。
【0043】
最初に、契約者携帯電話端末25が、ユーザによるボタン操作に基づき、留守録再生用の特番「X」に対して発信する(ステップS201)。
【0044】
次に、SIPサーバ(1)1aは、ゲートウェイ4を介してその発信に基づくINVITE信号を受信すると、ラウンドロビン等により接続先メディアサーバ(1)を選択してINVITE信号を送信する(ステップS202)。
【0045】
次に、メディアサーバ(1)3aは、そのINVITE信号を受信すると、“200 OK”の応答信号を返信し、留守録再生シナリオデータを起動して、留守録再生用の音声ガイダンスを発信元の契約者携帯電話端末25に送出する(ステップS203)。
【0046】
次に、契約者携帯電話端末25は、契約中の契約者電話端末(1)22に対する録音メッセージを確認して留守録を再生するため、ユーザによるボタン操作に基づき、PB信号により契約者電話番号(03−1111−B)と認証パスワード(abc)をメディアサーバ(1)3aに送信する(ステップS204)。
【0047】
次に、メディアサーバ(1)3aは、そのPB信号を受信すると、その信号内の電話番号「03−1111−B」の電話端末に割り当てられている収容先メディアサーバをデータ管理サーバ2に問い合わせる(ステップS205)。
【0048】
次に、データ管理サーバ2は、その問い合わせ要求に基づくUDR信号を受信すると、保持している管理情報を参照して、その信号内の電話番号「03−1111−B」に対応するメディアサーバ(2)を収容先として返信する(ステップS206)。
【0049】
次に、メディアサーバ(1)3aは、その返信に基づくUDA信号を受信した後、その信号内のメディアサーバ(2)3bにPB信号内の電話番号とパスワードを送信し、その電話番号「03−1111−B」に関連する全ての留守録ファイルを取得する(ステップS207)。
【0050】
最後に、メディアサーバ(1)3aは、取得した留守録ファイルのデータを再生し、発信元の契約者携帯電話端末25に送出する(ステップS208)。
【0051】
なお、本動作例では、留守録を再生する場合について説明したが、留守録再生ガイダンス種別や認証パスワード等、メディアサーバ(1)3a〜メディアサーバ(n)3nが保持する情報の設定や変更等を行うPBリモコンの操作全般に適用できる。
【0052】
(留守録ファイル共有時の動作について)
次に、契約者電話端末(1)22への留守録ファイルを、同一グループに属する他の電話端末23,24に対して共有させる場合の動作を説明する。
図6は、留守録ファイル共有時の処理動作を示すシーケンスである。
【0053】
前述のステップS110の後、メディアサーバ(2)3bは、電話番号「03−1111−B」の電話端末と同一グループに属する各電話端末(「03−1111−C」と「03−1111−D」の電話端末)に割り当てられている収容先メディアサーバをデータ管理サーバ2に問い合わせる(ステップS301)。
【0054】
次に、データ管理サーバ2は、その問い合わせ要求に基づくUDR信号を受信すると、保持している管理情報を参照して、その信号内の電話番号「03−1111−C」と「03−1111−D」にそれぞれ対応するメディアサーバ(1)とメディアサーバ(n)を収容先として返信する(ステップS302)。
【0055】
次に、メディアサーバ(2)3bは、その返信に基づくUDA信号を受信した後、その信号内のメディアサーバ(1)3aとメディアサーバ(n)3nに対して、ステップS110で録音した留守録ファイルを送信する(ステップS303)。
【0056】
その後、メディアサーバ(1)3aは、その留守録ファイルを受信すると、電話番号「03−1111−C」の電話端末、つまり電話端末(2)23に対するメッセージとして格納する(ステップS304)。メディアサーバ(n)3nの動作も同様である。
【0057】
引き続き、契約者他事業者電話端末26のユーザが、契約中の電話端末(2)23に対する録音メッセージを再生する場合について説明する。
【0058】
契約者他事業者電話端末26は、ユーザによるボタン操作に基づき、PB信号により契約者電話番号(03−1111−C)と認証パスワードをメディアサーバ(1)3aに送信する。
【0059】
その後、メディアサーバ(1)3aは、前述のステップS201〜ステップS204の後、そのPB信号を受信すると、その信号内の電話番号「03−1111−C」に関連する留守録ファイル、つまりステップS304で格納した留守録ファイルのデータを再生し、発信元の契約者他事業者電話端末26に送出する(ステップS305)。
【0060】
なお、本動作例では、同一グループに属する電話端末23,24の電話番号をメディアサーバ(2)3bで解決する場合について説明したが、「03−1111−B」を含むUDR信号を送信してデータ管理サーバ2で解決してもよい。
【0061】
以上より、本実施の形態によれば、SIPサーバからメディアサーバへの接続時やメディアサーバ間の連携時に、電話番号帯毎ではなく、電話番号毎に割り当てられたメディアサーバの識別情報を用いるので、メディアサーバの拡張率や利用効率を向上でき、他事業者からの番号ポータビリティへの対応を簡便に処理できる。
【0062】
つまり、サービス提供当初は1台のメディアサーバで開始し、契約者の増加に応じてメディアサーバを増設する際には、追加された契約者を新規のメディアサーバに順次収容していけばよく、当初から収容する電話番号帯を考慮する必要はない。
【0063】
また、電話番号帯単位で収容する場合、電話番号帯毎のリソース利用率が異なれば各メディアサーバでの収容数にバラツキが生じて無駄な設備増設が必要となるが、追加された契約者を電話番号毎に収容するので、メディアサーバの設備投資効率を向上できる。
【0064】
最後に、本実施の形態では、データ管理サーバ2を独立した1つの装置として説明したが、データ管理サーバ2の機能をSIPサーバ1に具備させ、SIPサーバ1が自身で接続先を解決してもよい。
【0065】
また、本実施の形態で説明したデータ管理サーバ2は、コンピュータにより実現可能である。また、それらの構成要素の各動作をプログラムとして構築し、コンピュータにインストールして実行させることや、通信ネットワークを介して流通させることも可能である。