特許第6040179号(P6040179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6040179呼処理制御装置、呼処理制御システム、呼量規制方法、呼処理制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040179
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】呼処理制御装置、呼処理制御システム、呼量規制方法、呼処理制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/00 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   H04M3/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-26389(P2014-26389)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-154251(P2015-154251A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】内條 正志
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−245355(JP,A)
【文献】 特開2001−169332(JP,A)
【文献】 特開2008−283307(JP,A)
【文献】 特開2007−60379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04L12/00−12/955
13/02−13/18
29/00−29/14
H04M 1/00
1/24−3/00
3/08−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q 1/20−1/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連携装置と連携して呼処理制御を行う呼処理制御装置であって、
受信した呼処理要求信号の加入者データが、前記連携装置から取得済みか否かを判別する判別手段と、
加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントするカウント手段と、
未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する算出手段と、
前記合算値が所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する規制手段と、を有し、
前記未取得用重み付けは、前記取得済み用重み付けより大きいこと
を特徴とする呼処理制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の呼処理制御装置であって、
前記呼処理要求信号には、呼接続要求信号とロケーションデータ登録要求信号とが含まれ、
前記カウント手段は、未取得の呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントするとともに、取得済み呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントし、
前記算出手段は、未取得の呼接続要求信号の数に第1の未取得用重み付けを、未取得のロケーションデータ登録要求信号の数に第2の未取得用重み付けをするとともに、取得済み呼接続要求信号の数に第1の取得済み用重み付けを、取得済みロケーションデータ登録要求信号の数に第2の取得済み用重み付けし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出し、
前記第1の未取得用重み付けは前記第1の取得済み用重み付けより大きく、前記第2の未取得用重み付けは前記第2の取得済み用重み付けより大きいこと
を特徴とする呼処理制御装置。
【請求項3】
呼処理制御装置と連携装置とが連携して呼処理制御を行う呼処理制御システムであって、
前記呼処理制御装置は、
受信した呼処理要求信号の加入者データが、前記連携装置から取得済みか否かを判別する判別手段と、
加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントするカウント手段と、
未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する算出手段と、
前記合算値が所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する規制手段と、を有し、
前記未取得用重み付けは、前記取得済み用重み付けより大きく、
前記連携装置は、
加入者データを記憶する加入者データ記憶手段と、
前記加入者データを、前記呼処理制御装置に提供する提供手段と、を有すること
を特徴とする呼処理制御システム。
【請求項4】
請求項3記載の呼処理制御システムであって、
前記呼処理要求信号には、呼接続要求信号とロケーションデータ登録要求信号とが含まれ、
前記カウント手段は、未取得の呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントするとともに、取得済み呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントし、
前記算出手段は、未取得の呼接続要求信号の数に第1の未取得用重み付けを、未取得のロケーションデータ登録要求信号の数に第2の未取得用重み付けをするとともに、取得済み呼接続要求信号の数に第1の取得済み用重み付けを、取得済みロケーションデータ登録要求信号の数に第2の取得済み用重み付けし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出し、
前記第1の未取得用重み付けは前記第1の取得済み用重み付けより大きく、前記第2の未取得用重み付けは前記第2の取得済み用重み付けより大きいこと
を特徴とする呼処理制御システム。
【請求項5】
呼量を規制する呼量規制方法であって、
連携装置と連携して呼処理制御を行う呼処理制御装置は、
受信した呼処理要求信号の加入者データが、前記連携装置から取得済みか否かを判別する判別ステップと、
加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントするカウントステップと、
未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する算出ステップと、
前記合算値が所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する規制手段ステップと、を行い、
前記未取得用重み付けは、前記取得済み用重み付けより大きいこと
を特徴とする呼量規制方法。
【請求項6】
請求項5記載の呼量規制方法であって、
前記呼処理要求信号には、呼接続要求信号とロケーションデータ登録要求信号とが含まれ、
前記カウントステップは、未取得の呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントするとともに、取得済み呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントし、
前記算出ステップは、未取得の呼接続要求信号の数に第1の未取得用重み付けを、未取得のロケーションデータ登録要求信号の数に第2の未取得用重み付けをするとともに、取得済み呼接続要求信号の数に第1の取得済み用重み付けを、取得済みロケーションデータ登録要求信号の数に第2の取得済み用重み付けし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出し、
前記第1の未取得用重み付けは前記第1の取得済み用重み付けより大きく、前記第2の未取得用重み付けは前記第2の取得済み用重み付けより大きいこと
を特徴とする呼量規制方法。
【請求項7】
呼処理制御装置と、当該呼処理制御装置と連携する連携装置とを含む呼処理制御システムが行う呼量規制方法であって、
前記呼処理制御装置は、
受信した呼処理要求信号の加入者データが、前記連携装置から取得済みか否かを判別する判別ステップと、
加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントするカウントステップと、
未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する算出ステップと、
前記合算値が所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する規制ステップと、を行い、
前記未取得用重み付けは、前記取得済み用重み付けより大きく、
前記連携装置は、
加入者データを記憶する加入者データ記憶部を備えと、
前記加入者データを、前記呼処理制御装置に提供する提供ステップを行うこと
を特徴とする呼量規制方法。
【請求項8】
請求項1または2記載の呼処理制御装置として機能させるための呼処理制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼処理における呼量を規制する呼処理制御装置、呼処理制御システム、呼量規制方法、呼処理制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼処理を行う方式として、呼処理制御サーバが加入者データ原本を保持する方式と、呼処理制御サーバは加入者データ原本を保持することなく、加入者データ原本を保持する加入者データサーバと連携して呼処理を行う連携方式とがある。
【0003】
また、処理能力を超える呼が大量に発生した場合、輻輳を防止するために、発呼および着呼を規制するトラフィック規制が行われている(非特許文献1参照)。また、輻輳の発生により、一時的にREGISTER信号が規制されることがある(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「輻輳の意味とその性質」、<URL:http://www.interq.or.jp/blue/rhf333/OVER_L.htm>
【非特許文献2】「音声利用IP通信網サービス(一種サービス)のインタフェース−光電話ビジネスタイプ−」、西日本電信電話株式会社、<URL:https://flets-w.com/solution/hikari_service/business/support/pdf/gisanshi3.5.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
呼処理制御サーバと加入者データサーバとが連携する連携方式では、呼処理制御サーバの処理能力は、システム起動時と平常時において異なる。すなわち、システム起動時においては、加入者データサーバから加入者データを取得した上で呼処理を行い、一方、平常時においては、大部分の加入者データは加入者データサーバから取得済であるため、加入者データサーバから加入者データを取得することなく呼処理を行うことができる。そのため、システム起動時と平常時とでは、一定時間内に処理できる呼処理要求の数が異なる。
【0006】
したがって、平常時の処理能力に合わせて呼量を規制した場合、システム起動時には、処理能力以上の呼処理要求を受け付けることになり輻輳が発生するおそれがある。また、システム起動時の処理能力に合わせて呼量を規制した場合、平常時は本来の処理能力以下の呼処理要求しか受け付けられない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、呼処理制御サーバの状態に応じて呼量を規制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、連携装置と連携して呼処理制御を行う呼処理制御装置であって、受信した呼処理要求信号の加入者データが、前記連携装置から取得済みか否かを判別する判別手段と、加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントするカウント手段と、未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する算出手段と、前記合算値が所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する規制手段と、を有し、前記未取得用重み付けは、前記取得済み用重み付けより大きい。
【0009】
上記呼処理制御装置において、前記呼処理要求信号には、呼接続要求信号とロケーションデータ登録要求信号とが含まれ、前記カウント手段は、未取得の呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントするとともに、取得済み呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントし、前記算出手段は、未取得の呼接続要求信号の数に第1の未取得用重み付けを、未取得のロケーションデータ登録要求信号の数に第2の未取得用重み付けをするとともに、取得済み呼接続要求信号の数に第1の取得済み用重み付けを、取得済みロケーションデータ登録要求信号の数に第2の取得済み用重み付けし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出し、前記第1の未取得用重み付けは前記第1の取得済み用重み付けより大きく、前記第2の未取得用重み付けは前記第2の取得済み用重み付けより大きいこととしてもよい。
【0010】
本発明は、呼処理制御装置と連携装置とが連携して呼処理制御を行う呼処理制御システムであって、前記呼処理制御装置は、受信した呼処理要求信号の加入者データが、前記連携装置から取得済みか否かを判別する判別手段と、加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントするカウント手段と、未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する算出手段と、前記合算値が所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する規制手段と、を有し、前記未取得用重み付けは、前記取得済み用重み付けより大きく、前記連携装置は、加入者データを記憶する加入者データ記憶手段と、前記加入者データを、前記呼処理制御装置に提供する提供手段と、を有する。
【0011】
上記呼処理制御システムにおいて、前記呼処理要求信号には、呼接続要求信号とロケーションデータ登録要求信号とが含まれ、前記カウント手段は、未取得の呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントするとともに、取得済み呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントし、前記算出手段は、未取得の呼接続要求信号の数に第1の未取得用重み付けを、未取得のロケーションデータ登録要求信号の数に第2の未取得用重み付けをするとともに、取得済み呼接続要求信号の数に第1の取得済み用重み付けを、取得済みロケーションデータ登録要求信号の数に第2の取得済み用重み付けし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出し、前記第1の未取得用重み付けは前記第1の取得済み用重み付けより大きく、前記第2の未取得用重み付けは前記第2の取得済み用重み付けより大きいこととしてもよい。
【0012】
本発明は、呼量を規制する呼量規制方法であって、連携装置と連携して呼処理制御を行う呼処理制御装置は、受信した呼処理要求信号の加入者データが、前記連携装置から取得済みか否かを判別する判別ステップと、加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントするカウントステップと、未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する算出ステップと、前記合算値が所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する規制手段ステップと、を行い、前記未取得用重み付けは、前記取得済み用重み付けより大きい。
【0013】
上記呼量規制方法において、前記呼処理要求信号には、呼接続要求信号とロケーションデータ登録要求信号とが含まれ、前記カウントステップは、未取得の呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントするとともに、取得済み呼接続要求信号の数およびロケーションデータ登録要求信号の数をそれぞれカウントし、前記算出ステップは、未取得の呼接続要求信号の数に第1の未取得用重み付けを、未取得のロケーションデータ登録要求信号の数に第2の未取得用重み付けをするとともに、取得済み呼接続要求信号の数に第1の取得済み用重み付けを、取得済みロケーションデータ登録要求信号の数に第2の取得済み用重み付けし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出し、前記第1の未取得用重み付けは前記第1の取得済み用重み付けより大きく、前記第2の未取得用重み付けは前記第2の取得済み用重み付けより大きいこととしてもよい。
【0014】
本発明は、呼処理制御装置と、当該呼処理制御装置と連携する連携装置とを含む呼処理制御システムが行う呼量規制方法であって、前記呼処理制御装置は、受信した呼処理要求信号の加入者データが、前記連携装置から取得済みか否かを判別する判別ステップと、 加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントするカウントステップと、未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する算出ステップと、前記合算値が所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する規制ステップと、を行い、前記未取得用重み付けは、前記取得済み用重み付けより大きく、前記連携装置は、加入者データを記憶する加入者データ記憶部を備えと、前記加入者データを、前記呼処理制御装置に提供する提供ステップを行う。
【0015】
本発明は、上記呼処理制御装置として機能させるための呼処理制御プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、呼処理制御サーバの状態に応じて呼量を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態における呼処理制御システムの構成図である。
図2】呼処理の概要を示す図である。
図3】呼処理制御サーバの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における呼処理制御システムの構成図である。本実施形態の呼処理制御システムは、呼処理制御サーバ1(呼処理制御装置)と加入者データサーバ2(連携装置)とを備える。
【0020】
呼処理制御サーバ1は、呼処理を行うサーバであり、本実施形態では、加入者データサーバ2と連携して呼処理を行う連携方式のサーバである。すなわち、呼処理制御サーバ1は、故障や停電からの復旧などによるシステム起動時においては加入者データを保持していなく、呼処理を契機として加入者データサーバ2から対象の加入者データを取得し、呼処理を行う。ここでは、一度取得した加入者データについては、呼処理制御サーバ1内のメモリなどの記憶装置に保持するものとする。なお、本実施形態では、呼処理制御サーバ1は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いた呼処理を行うものとして以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0021】
図示する呼処理制御サーバ1は、呼処理制御部11と、カウント部12と、算出部13と、加入者データ記憶部14と、信号数・合算値記憶部15と、閾値記憶部16とを備える。
【0022】
呼処理制御部11(判別手段、規制手段)は、IP電話端末3または他の呼処理制御サーバ(不図示)からの要求を受け付けて、呼接続処理、ロケーションデータ登録などの呼処理を行う。また、呼処理制御部11は、受信した呼処理要求信号の加入者データが、加入者データサーバ2から取得済みか否かを判別する。また、呼処理制御部11は、受信した呼処理要求信号に基づいて算出した合算値が、閾値記憶部16に記憶された所定の閾値を超える場合、新たに受信する呼処理要求信号を規制する。
【0023】
カウント部12(カウント手段)は、加入者データサーバ2から加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とをそれぞれカウントする。
【0024】
算出部13は、未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する。なお、未取得用重み付けは、取得済み用重み付けより大きい。
【0025】
加入者データ記憶部14は、加入者データサーバ2から取得した加入者データが記憶される記憶装置であって、例えばメモリなどを用いるもことができる。
【0026】
信号数・合算値記憶部15には、カウント部12がカウントする各信号の数、および算出部13が算出する合算値が記憶される。閾値記憶部16には、呼量を規制するための閾値が記憶される。
【0027】
加入者データサーバ2は、呼処理制御サーバ1と各種の信号を送受信し、呼処理制御サーバ1と連携して呼処理を行う。図示する加入者データサーバ2は、処理部21と、加入者データベース22とを備える。処理部21は、呼処理制御サーバ1からの要求に応じて、要求された加入者データを加入者データベース22から読み出し、呼処理制御サーバ1に送信する。加入者データベース22には、加入者データの原本を格納されている。
【0028】
IP電話端末3は、SIPを用いた通信が可能な端末であって、電話の他にスマートフォン、PCなどを用いることができる。
【0029】
上記説明した、本実施形態の呼処理制御サーバ1および加入者データサーバ2は、例えば、CPUと、メモリと、ハードディスク等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各部の各機能が実現される。例えば、呼処理制御サーバ1および加入者データサーバ2の各機能は、呼処理制御サーバ1用のプログラムの場合は呼処理制御サーバ1のCPUが、そして、加入者データサーバ2用のプログラムの場合は加入者データサーバ2のCPUがそれぞれ実行することにより実現される。
【0030】
また、呼処理制御サーバ1用のプログラムおよび加入者データサーバ2用のプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD−ROMなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0031】
次に、本実施形態の処理について説明する。
【0032】
図2は、本実施形態の呼処理の概要を示す図である。IP電話端末3は、呼接続要求信号(INVITE)、ロケーションデータ登録要求信号(REGISTER)などの呼処理要求信号を呼処理制御サーバ1に送信する(S11)。
【0033】
呼処理制御サーバ1は、呼処理要求信号を受信すると、信号数・合算値記憶部15に記憶された現時点の合算値と閾値記憶部16に記憶された所定の閾値とを比較し、合算値が閾値を越えている否かを判別する(S12)。合算値が閾値を超えている場合、呼処理制御サーバ1は、新たに受信した呼処理要求信号については、以降の処理を行うことなく規制する。
【0034】
合算値が閾値を超えていない場合、呼処理制御サーバ1は、受信した呼処理要求信号で指定された加入者データが加入者データサーバ2から取得済みか否か(加入者データ記憶部14に存在するか否か)を判別し、加入者データが未取得の場合、加入者データサーバ2に加入者データ取得要求信号(SAR)を送信する(S13)。
【0035】
加入者データサーバ2の処理部21は、加入者データ取得要求信号を受信すると、要求された加入者データを加入者データベース22から読み出し、読み出した加入者データを含む応答信号(SAA)を、呼処理制御サーバ1に送信する(S14)。
【0036】
呼処理制御サーバ1は、加入者データサーバ2から取得した加入者データを、自身の加入者データ記憶部14に記憶し(S15)、当該加入者データを用いて呼処理(呼接続処理、ロケーションデータ登録など)を行う(S16)。
【0037】
なお、呼処理要求信号で指定された加入者データが加入者データ記憶部14に既に存在する場合、呼処理制御サーバ1は、S13〜S15を行うことなく、加入者データ記憶部14に記憶された加入者データを読み出し、当該加入者データを用いて呼処理を行う(S16)。
【0038】
そして、呼処理制御サーバ1は、一定時間内に受信した呼処理要求信号の数を、加入者データを取得していない未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済みの取得済み呼処理要求信号の数とに分けてカウントし、カウントした未取得の呼処理要求信号の数と取得済み呼処理要求信号の数とを用いて合算値を算出し、信号数・合算値記憶部15の合算値を更新する(S17)。そして、呼処理制御部11は、次に呼処理要求信号を受信すると、更新した合算値が所定の閾値とを越えている場合、新たに受信した呼処理要求信号を規制する。
【0039】
図3は、図2に示す呼処理における呼処理制御サーバ1の処理を示すフローチャートである。
【0040】
呼処理制御サーバ1の呼処理制御部11は、IP電話端末3または他の呼処理制御サーバから呼接続要求信号(INVITE)またはロケーションデータ登録要求信号(REGISTER)などの呼処理要求信号を受信する(S21)。
【0041】
呼処理制御部11は、呼処理要求信号を受信すると、信号数・合算値記憶部15に記憶された現時点の合算値と、閾値記憶部16に記憶された所定の閾値とを比較し、合算値が閾値を越えている否かを判別する(S22)。合算値の算出については後述する。
【0042】
合算値が閾値以下の場合(S22:NO)、呼処理制御部11は、受信した呼処理要求信号で指定された加入者データが加入者データサーバ2から取得済みであるか否か(すなわち、加入者データ記憶部14に存在するか否か)を判別する(S23)。加入者データが加入者データサーバ2から取得済みであるか否については、呼処理制御部11は、加入者データ記憶部14を検索して当該加入者データが存在するか否かにより判別すること、または、加入者データの取得有無を管理する管理データ(テーブル)を呼処理制御サーバ1が別途備え、当該管理データを用いて判別することとしてもよい。
【0043】
なお、管理データは、電話番号と加入者データ有無フラグとを対応付けたテーブルであってもよく、あるいは、加入者データ記憶部14に存在する加入者データの電話番号のリストであってもよい。この場合、呼処理制御部11は、呼処理要求で指定された電話番号を用いて管理データを検索し、加入者データが取得済みか否かを判別する。また、呼処理制御部11は、S26で加入者データを加入者データ記憶部14に登録する際に、管理データのフラグを更新、または当該加入者データの電話番号を登録する。管理データを別途備えることで、加入者データを取得済みか否かの処理を簡易化および高速化することができる。
【0044】
加入者データが未取得で加入者データ記憶部14に存在しない場合(S23:NO)、呼処理制御部11は、加入者データサーバ2に加入者データ取得要求信号(SAR)を送信する(S24)。加入者データサーバ2の処理部21は、要求された加入者データを加入者データベース22から読み出し、読み出した加入者データを含む応答信号(SAA)を呼処理制御サーバ1に送信する。
【0045】
呼処理制御サーバ1の呼処理制御部11は、加入者データサーバ2から加入者データ応答信号を受信し(S25)、加入者データを加入者データ記憶部14に記憶する(S26)。そして、呼処理制御部11は、取得した加入者データを用いて呼処理を行う(S27)。具体的には、S21で受信した信号が、呼接続要求信号の場合は、宛先となる他のIP電話端末3と呼(セッション)を接続するための呼接続処理を行う。また、S21で受信した信号がロケーションデータ登録要求信号の場合は、取得した加入者データにロケーションデータを登録・設定する。
【0046】
なお、S21で受信した信号がロケーションデータ登録要求信号の場合、呼処理制御部11は認証等を実施するために、加入者データサーバ2に認証要求信号(MAR)を送信し、加入者データサーバ2から認証応答信号(MAA)を受信した後に、S24およびS25で加入者データ取得要求信号(SAR)を加入者データサーバ2に送信し、加入者データを含む応答信号(SAA)を加入者データサーバ2から受信する。
【0047】
一方、S21で受信した呼処理要求信号で指定された加入者データが、加入者データサーバ2から取得済みで、加入者データ記憶部14に存在する場合(S23:YES)、呼処理制御部11は、S24〜S26を行うことなく、取得済みの加入者データ記憶部14に記憶された加入者データを読み出し、当該加入者データを用いて呼処理を行う(S27)。
【0048】
そして、カウント部12は、一定時間(例えば1秒間)毎に、当該一定時間内でIP電話端末3等から受信した呼処理要求信号(INVITE、REGISTER)をカウントする。本実施形態では、加入者データを未取得の呼処理要求信号と、加入者データを取得済みの呼処理要求信号とに分けて、それぞれの信号の数をカウントする。例えば、加入者データを未取得であると判別した場合(S23:NO)、カウント部12は、信号数・合算値記憶部15の加入者データ未取得用の信号数のカウンタを「1」カウントアップする。また、加入者データが取得済みであると判別した場合(S23:YES)、カウント部12は、信号数・合算値記憶部15の加入者データ取得済みの信号数のカウンタを「1」カウントアップする。
【0049】
そして、算出部13は、S28でカウントした各呼処理要求信号の数を用いて合算数を算出し、信号数・合算値記憶部15の合算値を算出した合算値で更新する(S29)。具体的には、算出部13は、加入者データ未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けをするとともに、加入者データ取得済み呼処理要求信号の数に、取得済み用重み付けをして、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する。例えば、以下の式により合算数を算出する。
【0050】
合算数=未取得の呼処理要求信号の数×未取得用重み係数a+
取得済み呼処理要求信号の数×取得済み用重み係数b
ここで、未取得の呼処理要求信号の数に乗算する未取得用重み係数aは、取得済み呼処理要求信号の数に乗算する取得済み重み係数bより大きい値とする(a>b)。故障や停電からの復旧などによるシステム起動時においては、加入者データサーバ2から加入者データの取得処理が発生するため、既に大部分の加入者データを取得済みで加入者データの取得処理がほとんど発生しない平常時に比べて処理能力(一定時間内に処理できる呼処理数)が低くなる。平常時においては加入者データ記憶部14に大部分の加入者データが既に記憶されているため、加入者データの取得処理はシステム起動時より少なく、平常時における処理能力は、システム起動時の処理能力より高い。
【0051】
未取得用重み係数aを、取得済み用重み係数bより大きく設定することで、加入者データの取得処理が発生し、処理能力が低下するシステム起動時においては、比較的大きな未取得用重み係数aが適用される未取得の呼処理要求信号が多く、したがって合算値が大きくなる。一方、加入者データの取得処理があまり発生しない平常時においては、比較的小さい取得済み用重み係数bが適用される取得済み呼処理要求信号が多く、したがって合算値はシステム起動時に比べてそれほど大きくならない。このように、加入者データを未取得の呼処理要求信号の数と、加入者データを取得済み呼処理要求信号の数に異なる重み付けをすることで、システムの状態に応じて許容可能な呼処理要求信号の数を調整することができる。
【0052】
すなわち、システム起動時と平常時とを比較した場合、システム起動時の方は加入者データの未取得の信号が多くなるため、一定時間内に受信した呼処理要求信号の数が同じ場合、システム起動時の合算値は平常時の合算値より大きくなり、一定時間で処理可能な(許容する)信号数の数を少なくすることができる。
【0053】
なお、カウント部12は、呼処理要求信号の種別毎(INVITE、REGISTER)に、加入者データを未取得の呼処理要求信号と、加入者データを取得済みの呼処理要求信号とに分けて、それぞれの信号の数をカウントすることとしてもよい。すなわち、カウント部12は、加入者データを未取得のINVITE(呼接続要求信号)の数、およびREGISTER(ロケーションデータ登録要求信号)の数をそれぞれカウントするとともに、加入者データを取得済みINVITEの数およびREGISTERの数をそれぞれカウントする。そして、算出部13は、未取得のINVITEの数に第1の未取得用重み付け(a1)を、未取得のREGISTERの数に第2の未取得用重み付け(a2)をするとともに、取得済みINVITEの数に第1の未取得用重み付け(b2)を、取得済みREGISTERの数に第2の取得済み用重み付け(b2)をし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出する。例えば、以下の式により合算数を算出する。
【0054】
合算数=未取得のINVITEの数 ×第1の未取得用重み係数a1+
未取得のREGISTERの数×第2の未取得用重み係数a2+
取得済みINVITEの数 ×第1の取得済み用重み係数b1+
取得済みREGISTERの数×第2の取得済み用重み係数b2
ここで、第1の未取得用重み付け(a1)は、第1の取得済み用重み付け(b1)より大きく、第2の未取得用重み付け(a2)は、第2の取得済み用重み付け(b2)より大きい(a1>b1、a2>b2)。
【0055】
そして、次にS21で新たな呼処理要求信号を受信した際に、S29で算出し、更新された信号数・合算値記憶部15の合算値と、閾値記憶部16に記憶された閾値とを比較し、合算値が、閾値を越えている否かを判別する(S22)。合算値が閾値を超えている場合は(S22:YES)、S21で受信した呼処理要求信号を規制する(S30)。すなわち、一定時間内に受信した呼処理要求信号数に基づいて算出された合算値が閾値を超えた場合、閾値を超えて新たに受信した呼処理要求信号については、破棄する、またはエラー応答することなどにより規制する。
【0056】
なお、カウント部12は、一定時間の経過後、カウンタを0に初期化し、各呼処理要求信号のカウントを0から開始する。
【0057】
以上説明した本実施形態では、呼処理要求信号の数を、加入者データ未取得の信号と、加入者データ取得済み信号とに分けてカウントし、未取得の呼処理要求信号の数に未取得用重み付けするとともに、取得済み呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けをし、重み付け後の各信号数を合算した合算値を算出し、加入者データ未取得の信号の重み付けを、加入者データ取得済み信号の重み付けより大きくする。
【0058】
このように、未取得の呼処理要求信号の数に取得済み用重み付けより大きな値の未取得用重み付けをすることで、加入者データの未取得の呼処理要求信号が多いシステム起動時において算出される合算値は、呼処理要求信号の数が同じ場合の平常時の合算値より大きくなり、一定時間で処理可能な(許容する)呼処理要求信号数の数を少なくすることができる。すなわち、本実施形態では、呼処理制御サーバ1の各状態(例えば、システム起動時、平常時など)において処理能力が異なることを考慮し、呼処理制御サーバ1の状態に応じた適切な呼量規制を実現することができる。
【0059】
また、本実施形態では、異なる重み付けをした加入者データ未取得の信号数と、加入者データ取得済みの信号数とを合算した合算値と閾値とを比較することで、単に信号数と閾値とを比較した場合に生じる下記の問題を解決することができる。すなわち、呼処理制御サーバ1の平常時の処理能力に合わせた閾値と信号数とを比較して呼量を規制した場合、システム起動時には処理能力以上(許容範囲を超える)の呼処理要求を受け付けてしまうことになり輻輳が発生するおそれがあり、一方、呼処理制御サーバ1のシステム起動時の処理能力に合わせた閾値と信号数とを比較して呼量を規制した場合、平常時には本来の処理能力以下の呼処理要求信号しか受け付けられない、という問題を解決することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。例えば、上記実施形態では、図3に示すように呼処理を実行した後に(S27)、信号数のカウントおよび合算値の算出を行うこととしたが(S28、S29)、S21で呼処理要求信号を受信した後に、信号数のカウントおよび合算値の算出を行い、受信した呼処理要求信号を加味して算出した合算値と閾値とを比較し、閾値を越える場合は当該呼処理信号を規制することとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 :呼処理制御サーバ
11 :呼処理制御部
12 :カウント部
13 :閾値決定部
14 :加入者データ記憶部
15 :信号数・合算値記憶部
16 :閾値記憶部
2 :加入者データサーバ
21 :処理部
22 :加入者データベース
図1
図2
図3