特許第6040623号(P6040623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040623
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】脱臭材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   A61L9/01 E
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-178967(P2012-178967)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-36701(P2014-36701A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】399074710
【氏名又は名称】株式会社横田工業商会
(73)【特許権者】
【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【弁理士】
【氏名又は名称】末次 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(72)【発明者】
【氏名】正岡 淑邦
(72)【発明者】
【氏名】田河 雅威
(72)【発明者】
【氏名】大原 俊彦
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−212383(JP,A)
【文献】 特開2004−350935(JP,A)
【文献】 特開2012−087025(JP,A)
【文献】 特開2008−284272(JP,A)
【文献】 特開2010−057908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/01
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和ポリエステル及び前記不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含有する室温で液状の不飽和ポリエステル樹脂組成物にローズベンガルを添加して溶解させ、
硬化剤を添加して硬化させる、
ことを特徴とする脱臭材の製造方法。
【請求項2】
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物100mlに対して前記ローズベンガルを1.5g以上3.0g未満溶解させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱臭材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光増感色素を用いて臭気成分を分解する方法が知られている。例えば、特許文献1、2には、ローズベンガル等の光増感色素を含む液体に空気を通気し、空気中の臭気成分を分解する装置が開示されている(特許文献1、2)。
【0003】
また、特許文献3には、光増感色素を担体に固定化し、これに酸素を含む気相中で光を照射することで、一重項酸素を発生せしめ、一重項酸素と気相中の臭気成分との接触により、臭気成分を分解する方法が開示されている。光増感色素を固定化する担体として、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられている。
【0004】
また、特許文献4では、光増感色素を利用した一重項酸素発生膜について開示されている。この一重項酸素発生膜は、水溶性の有機化合物からなる光増感色素を、光増感色素と静電的に結合する担体に静電吸着させて複合体粒子を得る工程、複合体粒子を水性媒体に分散させて分散液を得る工程、複合体粒子の粒径よりも小さい孔径の最表面層を備えたメンブランフィルターで分散液を吸引濾過し、メンブランフィルターの片側表面に複合体粒子を膜状に付着させる工程を経て得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−284272号公報
【特許文献2】特開2010−57908号公報
【特許文献3】特開2006−212383号公報
【特許文献4】特開2012−87025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2では、光増感色素を溶解させた脱臭液体に気体を通気させている。気体を脱臭液体に通気する場合、抵抗が大きいことから、脱臭液体に気体を循環させ得る大型ポンプ等の循環装置が必要になる。このため、脱臭装置が大型化してしまい、汎用性に劣る。
【0007】
特許文献3では、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂等の担体の表面に色素を付着して担持させたものを用いることから、担体から色素が脱離してしまい、長期間の使用に耐えられない。また、樹脂等に付着された状態の光増感色素では、臭気成分の分解に資する一重項酸素の発生量が少ない。
【0008】
特許文献4の一重項酸素発生膜では、膜状であるため、これに適応した特殊な脱臭装置等に組み込まなければならず、様々な脱臭装置等への適用は困難であることから汎用性に劣る。また、一重項酸素発生膜は、複数の工程を経て得られるものであり、簡便に得られるものとはいえない。
【0009】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的は、汎用性が高く臭気成分の
分解能が良好な脱臭材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第の態様に係る脱臭材の製造方法は、
不飽和ポリエステル及び前記不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含有する室温で液状の不飽和ポリエステル樹脂組成物にローズベンガルを添加して溶解させ、
硬化剤を添加して硬化させる、
ことを特徴とする。
【0017】
また、前記不飽和ポリエステル樹脂組成物100mlに対して前記ローズベンガルを1.5g以上3.0g未満溶解させることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る脱臭材の製造方法は、不飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含有し、室温で液状の不飽和ポリエステル樹脂組成物にローズベンガルを溶解し、硬化剤を添加して硬化させる。得られた硬化物所望の大きさに形成され得る固体であるので、取り扱い性に優れ、種々の脱臭装置等に充填又は組み込むことができ汎用性に優れる。
【0022】
また、脱臭材は透光性であるため、照射された光が脱臭材を通過し、光源に直接面していない他の脱臭材にも光が照射されることになる。光源に直接面していない脱臭材中の光増感色素も励起されることから、脱臭装置等に充填又は組み込まれた脱臭材を効率よく使用することができ、その結果、効率的に一重項酸素が発生し、臭気成分の分解能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】脱臭装置の第1の例の概略構成図である。
図2】脱臭装置の第2の例の概略構成図である。
図3】脱臭装置の第3の例の概略構成図であり、図3(A)は垂直断面図、図3(B)は、図3(A)のA−A’方向の水平断面図である。
図4】実施例で用いた脱臭装置の概略構成図である。
図5】実施例1における臭気ガスの残存率の経時変化を示すグラフである。
図6】実施例2における臭気ガスの残存率の経時変化を示すグラフである。
図7】実施例3における臭気ガスの残存率の経時変化を示すグラフである。
図8】実施例4における臭気ガスの残存率の経時変化を示すグラフである。
図9】比較例1における臭気ガスの残存率の経時変化を示すグラフである。
図10】脱臭材Es及び脱臭材Acの吸光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(脱臭材)
本実施の形態に係る脱臭材は、不飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含有し、室温で液状の不飽和ポリエステル樹脂組成物に光増感色素が溶解され、硬化剤が添加されて硬化した硬化物である。脱臭材は、光増感色素が不飽和ポリエステル樹脂中に溶解して存在している。光増感色素によって着色されているものの、有色透明であり透光性を有する。厚み2mmの脱臭材について測定した光の透過率が5%以上であることが好ましい。
【0025】
脱臭材は、以下に記すように、空気に含まれる臭気成分を分解する。脱臭材中の光増感色素は、光照射受けると、基底状態から一重項励起状態へ、更には三重項励起状態へと変化する。ここで、脱臭材が酸素及び臭気成分を含有する空気中に介在すれば、三重項励起状態の光増感色素は、そのエネルギーを基底状態の酸素分子に与え、一重項酸素を発生させる。生じた一重項酸素は、活性酸素の一種で、極めて不安定な物質であり、強力な酸化作用を有する。この一重項酸素の酸化作用で臭気成分が分解される。
【0026】
更には、一重項酸素は、雑菌類も分解する作用があるため、空気中の雑菌類を殺菌することもできる。
【0027】
分解され得る臭気成分として、メルカプタン類や硫化メチル、硫化ジメチル、硫化水素などが挙げられる。
【0028】
上述した脱臭材は、以下のようにして得られる。不飽和ポリエステル樹脂組成物に光増感色素を添加し、光増感色素を溶解させる。ローズベンガル等の光増感色素は、不飽和ポリエステル樹脂組成物との相溶性が良好であるため、容易に溶解する。そして、硬化剤を添加し、所定の型枠等に流し込む。所定時間経過後、不飽和ポリエステルと単量体が共重合して硬化し、脱臭材が得られる。
【0029】
用いられる不飽和ポリエステルとしては、常温で液状である通常の不飽和ポリエステルが用いられ、α、β−不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸及び多価アルコールから得られる。α、β−不飽和二塩基酸としては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、テトラコン酸、イタコン酸或いはこれらのアルキルエステル類等である。飽和二塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸或いはこれらのアルキルエステル類等である。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、水素化ビスフェノールA、2,2’−ジ(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ジ(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、エチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等である。上記の不飽和ポリエステルは、その分子中に二重結合等の不飽和基を有していてエステル結合により重合して得られたものであればよく、かつ、共重合可能な単量体と混合した際に室温で液状であり、後述の硬化剤により高分子量化して硬化するものであれば、特に重合度は限定されない。
【0030】
不飽和ポリエステルと共重合が可能な単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレンのようなアルケニル芳香族単量体、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル、酢酸ビニル等が用いられるが、これらの中でも特にスチレンが好ましい。
【0031】
また、不飽和ポリエステル樹脂組成物は、上記の他、低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤などを含有していてもよい。
【0032】
なお、不飽和ポリエステル樹脂組成物は、市販されている透明度の高い不飽和ポリエステル樹脂組成物、例えば、クリアポリエステル樹脂(品番:F−04、株式会社エポック)等を用いることができる。
【0033】
硬化剤は、ラジカル反応を開始させ、不飽和ポリエステルと単量体とを共重合させ得る有機過酸化物などが用いられる。有機過酸化物として、エチルメチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルイソプロピルパーオキシカーボネート、1,1−ジブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−へキシルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、なかでもメチルエチルケトンパーオキサイドが好ましい。硬化剤は、硬化時の発熱温度が低い低発熱型の硬化剤であることが好ましく、硬化時の発熱温度が100℃以下の硬化剤が好ましい。硬化時の発熱温度が高い場合、光増感色素の炭化(褐変現象)が生じてしまい、光増感色素の構造が変化してしまい脱臭機能を消失してしまう。更には、硬化時の発熱温度が高い場合、クラックや収縮等が生じ、得られる脱臭材の光透過率が低くなってしまう。
【0034】
なお、硬化剤として、市販されている不飽和ポリエステル樹脂組成物用の硬化剤、例えば、パーキュアーHB(成分:エチルメチルケトンパーオキサイド、フタル酸ジメチル)(最高発熱温度:49℃)(商品名:日油株式会社)などを用いることができる。
【0035】
光増感色素は、光照射を受けると、基底状態から一重項励起状態へ、更には三重項励起状態へと変化する。ここで、光増感色素が酸素及び臭気成分を含有する空気中に介在すれば、三重項励起状態の光増感色素は、そのエネルギーを基底状態の酸素分子に与え、一重項酸素を発生させ、一重項酸素の酸化作用で臭気成分を分解する。光増感色素としては、ローズベンガルのほか、フラーレン、メチレンブルーなどが挙げられる。これらは、単独でも二種以上を含有していてもよい。ローズベンガルは食品にも用いられている色素であり、安全性も高いことから、好適に用いられ得る。
【0036】
得られた脱臭材は、そのまま用いてもよいし、所定の大きさ、形状に解砕して用いてもよい。脱臭材の形状は、立方体(例えば、一辺の長さ1mm〜50mm)、球状(例えば、径1mm〜50mm)、棒状(例えば、径1mm〜50mm、長さ10mm〜1000mm)、板状(例えば、厚さ1mm〜10mm、長さ5mm〜1000mm)など、どのような形状でもよい。また、脱臭材の大きさについても特に制限はなく、使用用途に応じた大きさであればよい。脱臭材が小さいほど、脱臭材の総表面積が増大し、空気と脱臭材との接触面積が大きくなるが、抵抗が大きくなるので、空気が循環し難くなる。一方、脱臭材が大きいほど、容器等に充填される脱臭材の総表面積が減少し、空気と脱臭材との接触面積が小さくなるものの、空気が循環しやすくなる。したがって、吸引能力、送風能力の高い空気循環装置を用い得る場合では、小さいサイズの脱臭材、吸引能力、送風能力がさほど高くない小型の空気循環装置を用い得る場合では、大きいサイズといったように、適宜使い分ければよい。
【0037】
不飽和ポリエステル樹脂組成物における不飽和ポリエステルと単量体の好ましい構成比率は、不飽和ポリエステルが30〜80重量%、単量体が70〜20重量%である。不飽和ポリエステルが30重量%未満で、単量体が70重量%を越える場合には、得られる硬化物である脱臭材の機械的特性が低下する傾向にある。一方、不飽和ポリエステルが80重量%を越え、単量体が20重量%未満の場合には、不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱い性が悪化してしまう。
【0038】
不飽和ポリエステル樹脂組成物と光増感色素との好ましい配合割合は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100mlに対して光増感色素が1.5g以上3.0g未満であり、より好ましくは1.7g〜2.8g、更に好ましくは1.8g〜2.5g、最も好ましくは1.8g〜2.3gである。光増感色素の配合割合が少ないと、得られる脱臭材中の光増感色素量が少なくなるので、一重項酸素の発生量が少なくなってしまう。一方、光増感色素の配合割合が多いと、得られる脱臭材の光透過率が低くなることから、脱臭材中の光増感色素が励起されにくくなり、一重項酸素を発生させられなくなるためである。後述の実施例にて記すように、不飽和ポリエステル樹脂組成物100mlに対して光増感色素を3.0g配合して得られた脱臭材では、光の透過率がほぼ0となり、光が直接的に或いは反射によって間接的に照射される光増感色素のみが光励起されるに留まり、一重項酸素を効率的に発生させられず、脱臭効果が劣ることになる。
【0039】
なお、不飽和ポリエステル樹脂組成物の代わりに、透明度の高いポリアクリル樹脂組成物やポリエポキシ樹脂組成物等を用いた場合では、後述の実施例にて示すように、透光性を有するものの脱臭能は低い。原因は明かではないが、ポリアクリル樹脂組成物やポリエポキシ樹脂組成物等に光増感色素を溶解させた形態では、光増感色素がポリアクリル樹脂組成物中に完全には溶解しておらず、光増感色素が微粒子のまま分散していることが原因と考えられる。光増感色素粒子に当たった光は光増感色素粒子で遮蔽され、光の減衰が生じ、光増感色素が励起せず、一重項酸素が発生していないものと考えられる。
【0040】
上述した脱臭材は、自然光や照明装置等からの光が照射され、臭気成分を含有する空気が循環する場所に載置して用いることもできるが、後述の脱臭装置に組み合わせて用いることで、より効果的に脱臭することができる。
【0041】
(脱臭装置)
続いて、脱臭装置について、例を挙げつつ説明する。第1の例の脱臭装置1は、図1に示すように、容器10と、光照射装置40と、導入部30と、排出部20と、空気循環装置50とを備える。
【0042】
容器10は、脱臭材100が充填され、流入される空気に含まれる臭気成分の分解が行われる空間である。
【0043】
容器10には、脱臭材載置板11が容器10の底面から離間して設置されており、この脱臭材載置板11上に脱臭材100が配置されている。脱臭材載置板11には、脱臭材100の外径よりも小さい複数の通気孔11aが形成されている。脱臭材載置板11として、網など、載置された脱臭材100が下方に落下せず、且つ、通気可能なものが用いられる。
【0044】
また、容器10には、容器10と脱臭材載置板11との間へと空気が導入される導入部30が接続され、また、臭気成分が分解された空気を外部に排出する排出部20が接続されている。
【0045】
また、容器10内には、脱臭材100に光を照射する光照射装置40が設置されている。光照射装置40として、LED(Light Emitting Diode)やEL(Electro Luminescence)、冷陰極管等、容器10内に設置可能な光源が用いられる。光増感色素を光励起すべく、光強度の高い光源が用いられることが好ましく、30,000ルクス以上の光強度の光源であることが好ましい。
【0046】
また、容器10には、排出部20を通じて容器内の空気を外部に排気する空気循環装置50が設置されている。ここで空気循環装置50とは、少なくとも脱臭装置1内に空気を強制的に供給して、脱臭装置1内に充填された脱臭材100に効率よく接触させるための装置を言い、必要により、脱臭装置1内を強制循環させる装置を言う。ここでは空気循環装置50としてファンが用いられている。
【0047】
続いて、脱臭装置1による脱臭の流れについて説明する。なお、空気の流れを破線矢印にて示している。
【0048】
空気循環装置50の駆動により、導入部30から空気が容器10内に流入する。流入した空気は、通気孔11aを通過し、脱臭材100に接触する。脱臭材100は、光照射装置40によって光照射を受けおり、脱臭材100中の光増感色素が励起され、基底状態から一重項励起状態、更には三重項励起状態になる。光増感色素はそのエネルギーを基底状態の酸素分子に与えることにより、一重項酸素が発生する。そして、この一重項酸素が、臭気成分と接触し、臭気成分を分解する。そして、臭気成分が分解された空気は、空気循環装置50により、排出部20を通じて容器10内から排出される。
【0049】
脱臭材100は透光性を有するため、脱臭材100を透過した光が奥に位置する脱臭材100(図1の例では、光照射装置40に直接面していない下段側の脱臭材100)にも光が届く。したがって、全ての脱臭材100に光が照射されることになる。全ての脱臭材100中の光増感色素が励起されることとなり、一重項酸素を効率的に発生させ得るので、臭気成分の分解能に優れる。
【0050】
続いて、第2の例の脱臭装置2について、図2を参照しつつ説明する。
【0051】
容器10は、円筒形状であり、両端に導入部30及び排出部20が接続されている。そして、導入部30には、空気を容器10内に導入するとともに、容器10から排出部20を通じて外部に排出する空気循環装置50が配置されている。空気循環装置50としてブロワーやポンプ等の公知の装置が用いられる。
【0052】
容器10内には、断面円形状で棒状の脱臭材100が複数本配置されている。
【0053】
また、容器10の外周に、光照射装置40が配置されている。容器10の外部から容器10内にある脱臭材100に光を照射する形態では、容器10は、光透過率の高い高透明性の素材から構成されており、光照射装置40から照射される光は、容器10を透過して脱臭材100に届く。
【0054】
その他の事項については、第1の例の脱臭装置1と同様であるため、省略する。
【0055】
続いて、第3の例の脱臭装置3について、図3を参照しつつ説明する。脱臭装置3は、所謂サイクロン式の構造である。
【0056】
容器10は、下部が逆円錐状の円筒状の外円筒12と外円筒12の内側に内円筒13を備え、外円筒12と内円筒13とが同軸上に配置された構造をしている。
【0057】
内円筒13には、容器10内の空気を吸引し外部へ排出する空気循環装置50を備えており、内円筒13が排出部として機能する。また、外円筒12の上部には、外円筒12の接線方向に外部の空気を吸引する導入部30が設置されている。
【0058】
そして、外円筒12内に脱臭材100が複数個充填されている。外円筒12は透光性素材から構成され、外円筒12の周囲には光照射装置40が設置されている。これにより、容器10内に充填された脱臭材100に光が照射される。
【0059】
空気循環装置50の駆動により、図3(A)及び図3(B)に破線矢印にて示すように、空気は導入部30を通じて容器10内に導入される。外円筒12と内円筒13で囲まれた空間に導入された空気は、螺旋状に旋回しつつ下降した後、内円筒13内を上昇してゆき外部に排出される。容器10内には脱臭材100が充填されており、光照射によって、脱臭材100中の光増感色素が励起され、一重項酸素を発生させて、空気中の臭気成分を分解する。脱臭材100は透光性を有するので、容器10内の外方に位置する脱臭材100(外円筒12寄りに位置する脱臭材100)を透過した光が、容器10内の内方に位置する脱臭材100(内円筒13寄りに位置する脱臭材100)にも光が届く。したがって、充填された個々の脱臭材100に光が照射されることになり、それぞれの脱臭材100中の光増感色素が励起され、一重項酸素を効率的に発生させ得る。
【0060】
その他の事項については、第1の例の脱臭装置1と同様であるため、省略する。
【0061】
いくつかの脱臭装置の具体例を参照しつつ説明したが、脱臭装置の形態は上記の形態に限られない。脱臭材を設置可能な容器、容器内の脱臭材に光を照射可能な光照射装置、容器に空気が導入される導入部及び容器から外部へ空気が排出される排出部、及び、容器内へ空気を導入する或いは容器内から外部へ空気を排出する空気循環装置を備える種々の形態であればどのような形態であってもよい。
【0062】
なお、上記の例では、光照射装置40を備える例について説明したが、太陽光や他の照明装置等から光が照射され得る環境では、光照射装置40を別途備えていなくてもよい。
【0063】
脱臭材及び脱臭装置は、室内空調装置、車内空調装置、冷蔵庫など、種々の用途に適用可能である。
【実施例】
【0064】
以下のようにして脱臭材を作製し、得られた脱臭材の脱臭能について検証した。
【0065】
(脱臭材の作製)
不飽和ポリエステル樹脂組成物として、クリアポリエステル樹脂(品番:F−04、株式会社エポック)100mlにローズベンガルを1.5g添加して攪拌し、溶解させた。
ついで、硬化剤(パーキュアーHB(商品名:日油株式会社)(成分:エチルメチルケトンパーオキサイド、フタル酸ジメチル))を2ml添加して、型枠に流し込み、硬化させ、脱臭材を得た。
脱臭材を型枠から取り出し、下記の各実験条件に記した形状に解砕した。この脱臭材を以下、脱臭材Es1.5と記す。
また、クリアポリエステル樹脂100mlに対し、ローズベンガルを2.0g、3.0gをそれぞれ溶解させ、上記と同様にして脱臭材を得た。この脱臭材をそれぞれ脱臭材Es2.0、脱臭材Es3.0と記す。
【0066】
また、ポリアクリル樹脂を用い、脱臭材を作製した。アクリル樹脂組成物(アクリル樹脂SS101、株式会社エポック)(主剤:メタクリル酸メチル(66wt%)、アクリル樹脂(34wt%))100gに、ローズベンガル1.0gを添加して攪拌し、硬化剤(ナイパーE(商品名:日油株式会社)(成分:ベンゾイルパーオキサイド)を0.25g添加した以外、上記と同様にして脱臭材を得た。この脱臭材を脱臭材Ac1.0と記す。
また、ローズベンガルの配合量を2.0g、3.0gとした以外、上記と同様にして脱臭材を得た。この脱臭材をそれぞれ脱臭材Ac2.0、脱臭材Ac3.0と記す。
【0067】
また、ポリエポキシ樹脂を用い、脱臭材を作製した。エポキシ樹脂組成物(高透明度エポキシ樹脂(PROCRYSTAL770:主剤(ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを重合させて得られたエポキシ樹脂)200g、硬化剤(変性脂環式ポリアミンと変性脂肪族ポリアシンが配合されたもの)130g)、テムコファイン株式会社)を用い、ローズベンガルを2g添加した以外、上記と同様にして脱臭材を得た。この脱臭材を脱臭材Epと記す。
【0068】
なお、上記の脱臭材の作製作業は、全て室温で行った。以上のようにして得られた各脱臭材を以下の実験に供した。
【0069】
(実施例1:混合ガスの流速による脱臭能への影響の検証)
脱臭材の脱臭能の検証に用いた装置構成を図4に示す。サイクロン式の脱臭装置4を構築し、容器10内に脱臭材を充填した。そして、この脱臭装置4をチャンバー60内に設置した。なお、チャンバー60内は密閉された暗室である。また、容器10の内容積(脱臭材を充填可能な容積)は1L、チャンバーの内容積は5Lである。
【0070】
臭気ガスと空気を混合した混合ガスをチャンバーに封入し、装置を駆動させた。チャンバー内の混合ガスは導入路から容器内に入り、容器内にて脱臭材に接触したのち、排出部からチャンバーに排出され、容器内を混合ガスが循環する仕組みである。そして、経時的にチャンバー内の臭気ガスの残存率(%)を測定した。また、混合ガスの流速は脱臭装置の入口部にて測定した。
【0071】
以下に記す実験条件で混合ガス中の臭気ガスを分解した。
・光強度:30,000ルクス
・充填した脱臭材:脱臭材Es2.0(3〜10mmの略角柱体形状)
・脱臭材の充填量:160g
・臭気ガス:メチルメルカプタン
・混合ガスの流速:12.8L/min、6.4L/min、3.2L/min
【0072】
その結果を図5に示す。いずれの流速においても、最終的にメチルメルカプタンの残存率が0%となり、メチルメルカプタンを完全に分解できていることがわかる。また、循環させる混合ガスの流速が速くなるにしたがって、メチルメルカプタンの分解速度が速くなっている。混合ガスの流速が速いほど、光増感色素によって発生する一重項酸素とメチルメルカプタンとの接触回数が増加するためと考えられる。
【0073】
(実施例2:臭気ガスの流速による脱臭能への影響の検証)
つづいて、臭気ガスを硫化ジメチルに代える以外、実施例1と同様にして行った。
実験条件を以下に記す。
・光強度:30,000ルクス
・充填した脱臭材:脱臭材Es2.0(3〜10mmの略角柱体形状)
・脱臭材の充填量:160g
・臭気ガス:硫化ジメチル
・混合ガスの流速:12.8L/min、6.4L/min、3.2L/min
【0074】
その結果を図6に示す。メチルメルカプタンに比べて、分解速度は遅いものの、硫化ジメチルの残存率が徐々に減少しており、硫化ジメチルを分解できていることが実証された。また、メチルメルカプタンと同様に、混合ガスの流速が速いほど分解速度が向上している。
【0075】
(実施例3:光増感色素と不飽和ポリエステル樹脂組成物との配合比率による影響の検証)
つづいて、不飽和ポリエステル樹脂組成物中の光増感色素の配合量が臭気ガスの分解に及ぼす影響について検証した。
【0076】
下記の実験条件にて、実施例1と同様にしてメチルメルカプタンの分解を行った。
・光強度:30,000ルクス
・充填した脱臭材:脱臭材Es1.5、脱臭材Es2.0、脱臭材Es3.0(いずれも3〜10mmの角柱体形状)
・脱臭材の充填量:160g
・臭気ガス:メチルメルカプタン
・混合ガスの流速:12.8L/min
【0077】
その結果を図7に示す。脱臭材Es2.0が最も分解速度が速く、20分経過時にはメチルメルカプタンの残存率は0%である。脱臭材Es1.5では、200分経過時にメチルメルカプタンの残存率が0%となった。一方、脱臭材Es3.0では、分解速度が遅く、240分経過時でもメチルメルカプタンが残存していた。脱臭材Es3.0では、後述するように光の透過率がほぼ0%であるため、容器の外側(光が照射される側)の脱臭材の光増感色素のみが励起されるに過ぎず、一重項酸素の発生量が少なかったためと考えられる。
【0078】
(実施例4:光増感色素と不飽和ポリエステル樹脂組成物との配合比率による影響の検証)
つづいて、臭気ガスを硫化ジメチルに代える以外、実施例3と同様にして行った。
【0079】
実験条件を以下に示す。
・光強度:30,000ルクス
・充填した脱臭材:脱臭材Es1.5、脱臭材Es2.0、脱臭材Es3.0(いずれも3〜10mmの角柱体形状)
・脱臭材の充填量:160g
・臭気ガス:硫化ジメチル
・混合ガスの流速:12.8L/min
【0080】
その結果を図8に示す。全体的にメチルメルカプタンの場合と比べて分解速度は遅いが、実施例3と同様に、脱臭材Es2.0、脱臭材Es1.5、脱臭材Es3.0の順に分解速度が速い傾向であった。
【0081】
(比較例1:脱臭材Acの脱臭能の検証)
つづいて、不飽和ポリエステル樹脂組成物の代わりに、ポリアクリル樹脂組成物を用いて作製した脱臭材Acについて、その脱臭能を検証した。
【0082】
・光強度:30,000ルクス
・充填した脱臭材:脱臭材Ac2.0(3〜10mmの略角柱体形状)
・脱臭材の充填量:160g
・臭気ガス:メチルメルカプタン
・混合ガスの流速:12.8L/min
【0083】
その結果を図9に示す。脱臭材Es2.0の場合では、20分後には、メチルメルカプタンの残存率が2〜3%とほぼ分解されているのに対し、脱臭材Ac2.0では、メチルメルカプタンの残存率は90〜95%とあまり分解されていなかった。すなわち、脱臭材Ac2.0では、ローズベンガルの配合量が同量である脱臭材Es2.0に比べて、メチルメルカプタンの分解速度は極めて遅いことがわかる。これは、脱臭材Ac2.0に光を照射しても、脱臭材Ac2.0中のローズベンガルがさほど光励起しておらず、一重項酸素の発生量が少ないと考えられる。このことから、アクリル樹脂組成物を用いて得られる脱臭材は、脱臭効果が劣り、不適当であるといえる。
【0084】
(検証例1:光透過率及び吸光スペクトルの検証)
ポリアクリル樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂組成物の臭気成分の分解能の違いについて、更に検証すべく、脱臭材Es、脱臭材Acの透過率を測定した。
【0085】
日立分光光度計(U−2001)にて、セル内に脱臭材Es1.5、2.0、3.0(厚み2mm、幅8mm、長さ20mm)をそれぞれ挿入し、波長:700nm〜400nmまでの吸光度をスキャンした。そして、ローズベンガルの最大吸収波長567nmにおける吸光度を測定し、透過率を求めた。
【0086】
なお、マーカーで黒く塗った紙を6重にしてセル内に挿入し、光を遮断して吸光度を測定すると、吸光度は2付近であったため、この吸光度を透過率0%とし、それぞれの透過率を換算して求めた。
【0087】
脱臭材Es1.5、2.0、3.0の吸光度及び透過率を表1に示す。なお、表1中におけるポリエステル樹脂は、上記の脱臭材Esの作製において、ローズベンガルを添加せずに得られたものである。
【0088】
【表1】
【0089】
表1をみると、不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて得られた脱臭材(脱臭材Es1.5、2.0、3.0)では、色素の配合量が増加するにつれて、透過率が低下している。脱臭材Es3.0では、透過率が0%であり、ほぼ光が透過していないことがわかった。これは、実施例4にて、脱臭材Es3.0におけるメチルメルカプタン及び硫化ジメチルの分解速度が遅いことの原因と考えられる。
【0090】
また、上記と同様に、脱臭材Ac1.0、2.0、3.0(厚み1mm、幅8mm、長さ20mm)についても、吸光度を測定し、透過率を求めた。なお、脱臭材Ac1.0、2.0、3.0は、2枚重ね、2mmの厚みにして吸光度を測定した。脱臭材Es1.5、2.0、3.0の吸光度及び透過率を表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】
表2を見ると、ポリアクリル樹脂組成物を用いて得られた脱臭材Ac1.0と脱臭材Ac2.0とでは、色素の配合量が変化しても、透過率の変化はほぼなく、脱臭材Ac3.0では0%となった。
【0093】
更に、脱臭材Es1.5、2.0、3.0、及び、脱臭材Ac1.0、2.0、3.0、並びに、ポリエステル樹脂の吸光スペクトルを図10に示し検討する。
【0094】
脱臭材Es1.5、2.0では、500nm〜600nmの範囲(図10中、丸で囲っている箇所)でローズベンガル特有のピークが見られる。即ち、脱臭材Es1.5、2.0中のローズベンガルが励起され、一重項酸素を発生させ得ることを示している。脱臭材Es3.0では、光透過率が0%であるため、同様のピークは見られなかった。
【0095】
一方、脱臭材Ac1.0、2.0については、光透過率が20%以上であるにも関わらず、いずれも脱臭材Es1.5、2.0で現れたローズベンガル特有のピークが現れなかった。このことは、アクリル樹脂中にローズベンガルを分散させても、ローズベンガルは光励起されない、即ち、一重項酸素を発生させることができず、一重項酸素発生による臭気成分の分解メカニズムを果たし得ないことを示している。
【0096】
(検証例2:光増感色素の樹脂組成物への溶解性の検証)
200mlの水を入れたビーカーを用意し、これに脱臭材Es2.0(10g,3〜10mmの略角柱体形状)を投入した。また、同様にして、脱臭材Ac2.0(10g,3〜10mmの略角柱体形状)、脱臭材Ep(10g,3〜10mmの略角柱体形状)をそれぞれ水に投入した。
【0097】
脱臭材Ac2.0、脱臭材Epでは、いずれも水に投入した直後に、すぐさま水が赤く着色された。脱臭材Ac2.0、脱臭材Epでは、樹脂中のローズベンガルが溶け出すことがわかった。これは、ローズベンガルの粒子がアクリル樹脂、エポキシ樹脂に完全には溶解せず、ローズベンガルの粒子は樹脂中にそのまま分散した形態であることを示している。
【0098】
一方、脱臭材Es2.0では、水に投入してそのまま放置し、3分経過後においても、水がほとんど着色されなかった。不飽和ポリエステル樹脂とローズベンガルとの相溶性が良好であり、不飽和ポリエステル樹脂にローズベンガルが十分に溶解した形態であるため、ローズベンガルが溶け出さなかったことを示している。
【0099】
これらの結果から、どのような樹脂組成物に光増感色素を溶解させても、光増感色素の光励起によって一重項酸素を発生させ臭気成分を分解する機能を果たす脱臭材が得られるものではなく、不飽和ポリエステル樹脂組成物と光増感色素を組み合わせた場合に、光増感色素が十分に溶解し、優れた脱臭能を有する脱臭材が得られることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上説明したように、本発明に係る脱臭材は、不飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステルと共重合可能な単量体を含有する室温で液状の不飽和ポリエステル樹脂組成物に光増感色素を溶解し、硬化剤を添加して硬化させて得られた硬化物である。所望の大きさに形成され得る固体であるので、取り扱い性に優れ、種々の脱臭装置等に組み込むことができ汎用性に優れる。また、脱臭材は透光性を有するため、照射された光が脱臭材を通過し、光源に直接面していない他の脱臭材にも光が照射されることになる。光源に直接面していない脱臭材中の光増感色素も励起されることから、効率的に一重項酸素が発生し、臭気成分の分解能に優れる。したがって、室内空調装置、車内空調装置、冷蔵庫など、種々の装置への適用が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 脱臭装置
2 脱臭装置
3 脱臭装置
4 脱臭装置
10 容器
11 脱臭材載置板
11a 通気孔
12 外円筒
13 内円筒
20 排出部(排出路)
30 導入部(導入路)
40 光照射装置
50 空気循環装置
60 チャンバー
100 脱臭材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10