(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
単結晶引上げ装置から排出される酸化物を含有する排気ガスを排気するために引上げ機排気配管によって接続されたドライ真空ポンプ、前記引上げ機排気配管に設けられ前記単結晶引上げ装置と前記ドライ真空ポンプ間を遮断するチャンバー排気弁、該チャンバー排気弁と前記ドライ真空ポンプの間の前記引上げ機排気配管に設けられた大気導入切替弁、前記ドライ真空ポンプの下流に接続された真空ポンプ排気配管、及び該真空ポンプ排気配管に前記ドライ真空ポンプの冷却用に設けられたポンプ冷却エアー切替弁を有する単結晶製造設備における排気配管内部に堆積する酸化物の燃焼方法であって、
前記単結晶引上げ装置での単結晶成長の操業終了後に前記ドライ真空ポンプを駆動したまま、前記ポンプ冷却エアー切替弁を一部開き前記真空ポンプ排気配管内部にエアーを導入し前記真空ポンプ排気配管内の酸化物を一部燃焼させる工程と、それに続いて前記ポンプ冷却エアー切替弁をさらに開き前記真空ポンプ排気配管内部に前記一部燃焼させる工程より多くのエアーを導入し前記真空ポンプ排気配管内の酸化物をさらに燃焼させる工程と、それに続いて前記ポンプ冷却エアー切替弁を開としたまま前記チャンバー排気弁を閉とし、前記大気導入切替弁を開として前記引上げ機排気配管内部にエアーを導入し前記引上げ機排気配管内の酸化物を燃焼させる工程を有することを特徴とする排気配管内酸化物の燃焼方法。
前記ポンプ冷却エアー切替弁を一部開く工程におけるエアー導入量が50〜100L/分、弁の開時間が15〜60分であり、前記ポンプ冷却エアー切替弁をさらに開く工程におけるエアー導入量が300〜600L/分、弁の開時間が45〜120分であることを特徴とする請求項1に記載の排気配管内酸化物の燃焼方法。
前記大気導入切替弁を開とする工程におけるエアー導入量が1,000〜2,000L/分、弁の開時間が30〜50分であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排気配管内酸化物の燃焼方法。
前記ポンプ冷却エアー切替弁及び前記大気導入切替弁の開度、開時間をシーケンサー又はコンピューターを用いて任意に設定できるシステムを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の排気配管内酸化物の燃焼方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のSiO微粉を安定化させる方法としては、例えば大気を導入する方法が挙げられる。この方法では、大気を導入することでSiO微粉と大気中の酸素とを反応させて安定なSiO
2とするが、SiO微粉と酸素が反応することで、発火や急激な圧力上昇が生じ、機器破損等につながる可能性がある。
【0007】
また、CZ法による単結晶製造では、一つのルツボから複数本の単結晶インゴットを引き上げるマルチ引上げ法が採用され、ルツボの大口径化による原料充填量の増大から1バッチあたりの操業時間が数日から数週間に及ぶことがあり、ドライ真空ポンプ前後の排気配管に堆積する不安定なSiO微粉は増大している。
【0008】
本発明者らは、このような長時間操業における乾燥したSiO微粉の安定化を目的として定期的に(例えば1〜2回/日)大気を排気配管内に導入する方法を採用してきた(特許文献4)。しかし、この方法では、単結晶成長の操業中の定期的な大気の導入によって排気ガスに大気が混入するため、大気成分を除去するまで不活性ガス回収精製装置へ排気ガスを送気することが出来ず、不活性ガスの回収効率が大幅に低下するという問題があった。
例えば、1バッチ10日間(240時間)の単結晶引上げにおいて、1日1回2時間の大気導入を行うと、20時間分の不活性ガスが回収できず、8.3%回収効率が低下した。また、副次的には、大気導入後のエアーから不活性ガスへの置換が不十分であると、回収設備の精製負荷が増大し精製ガスの不純物濃度が上昇したり、精製設備の能力が低下するなど、不合理な回収設備の運転が発生していた。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、回収精製装置へ長時間排気ガスを送気することを可能とするため、単結晶成長の操業終了後に単結晶製造設備の排気配管内に堆積した酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、
単結晶引上げ装置から排出される酸化物を含有する排気ガスを排気するために引上げ機排気配管によって接続されたドライ真空ポンプ、前記引上げ機排気配管に設けられ前記単結晶引上げ装置と前記ドライ真空ポンプ間を遮断するチャンバー排気弁、該チャンバー排気弁と前記ドライ真空ポンプの間の前記引上げ機排気配管に設けられた大気導入切替弁、前記ドライ真空ポンプの下流に接続された真空ポンプ排気配管、及び該真空ポンプ排気配管に前記ドライ真空ポンプの冷却用に設けられたポンプ冷却エアー切替弁を有する単結晶製造設備における排気配管内部に堆積する酸化物の燃焼方法であって、
前記単結晶引上げ装置での単結晶成長の操業終了後に前記ドライ真空ポンプを駆動したまま、前記ポンプ冷却エアー切替弁を一部開き前記真空ポンプ排気配管内部にエアーを導入し前記真空ポンプ排気配管内の酸化物を一部燃焼させる工程と、それに続いて前記ポンプ冷却エアー切替弁をさらに開き前記真空ポンプ排気配管内部に前記一部燃焼させる工程より多くのエアーを導入し前記真空ポンプ排気配管内の酸化物をさらに燃焼させる工程と、前記ポンプ冷却エアー切替弁を開としたまま前記チャンバー排気弁を閉とし、前記大気導入切替弁を開として前記引上げ機排気配管内部にエアーを導入し前記引上げ機排気配管内の酸化物を燃焼させる工程を有することを特徴とする排気配管内酸化物の燃焼方法を提供する。
【0011】
このような排気配管内酸化物の燃焼方法であれば、たとえ長時間操業により大量に堆積した排気配管内酸化物であっても機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させることができるとともに、エアー導入時間を大幅に短縮して、不活性ガス回収効率を向上できる。しかも、単結晶成長の操業中にエアーを導入することがないので、回収設備に思わぬトラブルを発生させることもない。
【0012】
また、このとき、前記ポンプ冷却エアー切替弁を一部開く工程におけるエアー導入量が50〜100L/分、弁の開時間が15〜60分であり、前記ポンプ冷却エアー切替弁をさらに開く工程におけるエアー導入量が300〜600L/分、弁の開時間が45〜120分であることが好ましい。
【0013】
これにより、真空ポンプ排気配管内の酸化物を機器破損等を防止しながらより穏やかに燃焼させることができる。また、エアー導入量及び弁の開時間が適切であるため、排気配管内酸化物を十分に燃焼させることができ、また燃焼時間の無駄をなくすことで不活性ガスの回収効率を向上させることができる。
【0014】
また、このとき、前記大気導入切替弁を開とする工程におけるエアー導入量が1,000〜2,000L/分、弁の開時間が30〜50分であることが好ましい。
【0015】
これにより、引上げ機排気配管内の酸化物を機器破損等を防止しながらより穏やかに燃焼させることができる。また、エアー導入量及び弁の開時間が適切であるため、排気配管内酸化物を十分に燃焼させることができ、また燃焼時間の無駄をなくすことで不活性ガスの回収効率を向上させることができる。
【0016】
また、このとき、前記ポンプ冷却エアー切替弁が機械制御によって開度調節可能な弁であることが好ましい。
【0017】
これにより、前記ポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量及び弁の開時間をより精密に制御することができる。
【0018】
また、このとき、前記大気導入切替弁がダイアフラムバルブであることが好ましい。
【0019】
これにより、前記大気導入切替弁からの大容量のエアー導入が可能となる。
【0020】
また、このとき、前記ポンプ冷却エアー切替弁及び前記大気導入切替弁の開度、開時間をシーケンサー又はコンピューターを用いて任意に設定できるシステムを用いることが好ましい。
【0021】
これにより、前記ポンプ冷却エアー切替弁及び前記大気導入切替弁のエアー導入量及び弁の開時間をより自動的に精密に制御することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の排気配管内酸化物の燃焼方法であれば、単結晶成長の操業終了後に単結晶製造設備の排気配管内に堆積した酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させることができる。これにより、回収精製装置へ長時間排気ガスを送気することが可能となり、不活性ガスの回収率を向上させることができる。また、ポンプ冷却エアー切替弁及び大気導入切替弁のエアー導入量及び弁の開時間を精密に制御し、適切なエアー導入量及び弁の開時間で燃焼させることで、排気配管内酸化物を十分に燃焼させることができ、また燃焼時間の無駄をなくすことで不活性ガスの回収効率をさらに向上させることができる。しかも、単結晶成長の操業中にエアーを導入することがないので、回収設備にエアーを混入させてしまう恐れがほとんどなく、精製設備の能力低下等の問題を発生させることもない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
単結晶引上げ装置からの排気ガスに含まれる酸化物は特にドライ真空ポンプの下流に堆積しやすい。ドライ真空ポンプ上流の引上げ機排気配管内は通常真空状態であり排気ガスの流速が速いため、酸化物はあまり堆積しない。一方、ドライ真空ポンプ下流の真空ポンプ排気配管内は大気圧であり排気ガスの流速が低速のため、酸化物が堆積しやすい。そのため、単結晶成長の操業終了後に大気を一時的に大量導入すると急激な燃焼反応が生じ、特にドライ真空ポンプ下流の排気配管及び構成機器を破損する恐れがある。これを避けるべく、単結晶成長の操業中に定期的に大気を導入すると不活性ガスの回収効率が下がってしまう。このような事情から、単結晶製造設備の排気配管内に大量に堆積した酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させる方法の開発が求められていた。
【0025】
本発明者らは、上記課題を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、CZ法により単結晶引上げ装置内からドライ真空ポンプを用いて不活性ガスを排出しながら単結晶インゴットを引き上げる単結晶製造設備において、ドライ真空ポンプ前後の排気配管に大気導入用の弁を設け、単結晶成長の操業終了後にこれらの弁を下流側から順次開とし、また弁の開度を調節して導入する大気の量を調節しながら大気を導入することで、排気配管内の酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させられるとともに、不活性ガスの回収効率も向上できることを見出し、本発明を完成させた。
【0026】
以下、本発明について、実施形態の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
本発明の燃焼方法では、例えば
図1に概略図として示すCZ法による単結晶製造設備15を用いることができる。
単結晶製造設備15は、単結晶インゴットを引き上げるための単結晶引上げ装置1と、単結晶引上げ装置1に引上げ機排気配管2で接続され単結晶引上げ装置1からの排気ガスを排気するドライ真空ポンプ4と、引上げ機排気配管2に設けられ単結晶引上げ装置1とドライ真空ポンプ4の間を遮断するチャンバー排気弁3と、チャンバー排気弁3とドライ真空ポンプ4の間の引上げ機排気配管2に設けられドライ真空ポンプ4の上流に大気を導入する大気導入切替弁13と、真空ポンプ排気配管5にドライ真空ポンプ4を冷却するために設けられドライ真空ポンプ4の下流に大気を導入するポンプ冷却エアー切替弁14を有する。
【0028】
また、単結晶製造設備15は、ドライ真空ポンプ4に真空ポンプ排気配管5で接続されバブリング缶7からの水の逆流を防止する緩衝缶6と、緩衝缶6の下流に接続され主として不活性ガス中の酸化物を除去するためのバブリング缶7と、バブリング缶7に不活性ガス回収配管10で接続され不活性ガスを回収・精製する不活性ガス回収精製装置11と、不活性ガス回収配管10に設けられバブリング缶7と不活性ガス回収精製装置11間を遮断する不活性ガス回収切替弁9と、不活性ガス回収配管10の不活性ガス回収切替弁9より上流に設けられバブリング缶7から排出されたガスを大気に開放する大気開放切替弁8を有し、不活性ガス回収精製装置11で精製された不活性ガスを精製ガス供給配管12を通じて単結晶引上げ装置1内に導入することができる。これにより、単結晶引上げ装置1内に導入する不活性ガスを循環させながら再利用することができる。
【0029】
このような単結晶製造設備15を用いて、単結晶引上げ装置1内で、ルツボに収容された例えばシリコン融液に種結晶を接触させ、その後種結晶を回転させながら引き上げることで、シリコン単結晶インゴットをCZ法により育成することができる。その際、不活性ガスとして、例えばArガスを単結晶引上げ装置1内に供給しながら、一方で単結晶引上げ装置1内から不活性ガスをドライ真空ポンプ4により排出して回収、精製することで循環させることができる。
【0030】
このような単結晶製造設備において、本発明は、単結晶引上げ装置1での単結晶成長の操業終了後にドライ真空ポンプ4を駆動したまま、ポンプ冷却エアー切替弁14を一部開き真空ポンプ排気配管5内部にエアーを導入し真空ポンプ排気配管5内の酸化物を一部燃焼させる工程と、それに続いてポンプ冷却エアー切替弁14をさらに開き真空ポンプ排気配管5内部に前記一部燃焼させる工程より多くのエアーを導入し真空ポンプ排気配管5内の酸化物をさらに燃焼させる工程と、ポンプ冷却エアー切替弁14を開としたままチャンバー排気弁3を閉とし、大気導入切替弁13を開として引上げ機排気配管2内部にエアーを導入し引上げ機排気配管2内の酸化物を燃焼させる工程を有する排気配管内酸化物の燃焼方法である。
【0031】
本発明の燃焼方法では、特に酸化物が堆積しやすい真空ポンプ排気配管5に大気を導入する際、真空ポンプ排気配管5に大気を導入するポンプ冷却エアー切替弁14の開度を2段階とし、導入する大気の量を調節しながら大気を導入することで、真空ポンプ排気配管5内の酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させることができる。
【0032】
また、ポンプ冷却エアー切替弁14を開としたままチャンバー排気弁3を閉とし、大気導入切替弁13を開として引上げ機排気配管2内部にエアーを導入し引上げ機排気配管2内の酸化物を燃焼させる工程では、真空ポンプ排気配管5内の酸化物が既に燃焼されており、また引上げ機排気配管2内の酸化物は多くないため、大量にエアーを導入しても引上げ機排気配管2内の酸化物を穏やかに燃焼させることができる。
【0033】
なお、緩衝缶6の側面に
図1のように燃焼状態測定ポイントAを設け温度を測定することで燃焼状態を確認することができる。緩衝缶の種類や材質により異なるが、例えば、燃焼状態測定ポイントAでの温度が40〜70℃であれば酸化物を穏やかに燃焼できているとみなすことができる。
【0034】
また、ポンプ冷却エアー切替弁14を一部開く工程におけるエアー導入量は50〜100L/分が好ましい。エアー導入量を50L/分以上とすることで、酸化物を十分に燃焼させることができ、エアー導入量を100L/分以下とすることで、酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させることができる。また、ポンプ冷却エアー切替弁14を一部開く工程における弁の開時間は15〜60分が好ましい。弁の開時間を15分以上とすることで、酸化物の一部を確実に燃焼させることができ、弁の開時間を60分以下とすることで、燃焼時間の無駄をなくして工程の短縮化を図ることができる。
【0035】
また、ポンプ冷却エアー切替弁14をさらに開く工程におけるエアー導入量は300〜600L/分が好ましい。エアー導入量を300L/分以上とすることで、酸化物の燃焼を継続させることができ、エアー導入量を600L/分以下とすることで、酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかかつ確実に燃焼させることができる。また、ポンプ冷却エアー切替弁14をさらに開く工程における弁の開時間は45〜120分が好ましい。弁の開時間を45分以上とすることで、酸化物を十分に燃焼させることができ、弁の開時間を120分以下とすることで、燃焼時間の無駄をなくして工程の短縮化を図ることができる。
【0036】
また、大気導入切替弁13を開とする工程におけるエアー導入量は1,000〜2,000L/分が好ましい。エアー導入量を1,000L/分以上とすることで、引上げ機排気配管内の酸化物を十分に燃焼させることができ、エアー導入量を2,000L/分以下とすることで、酸化物を機器破損等を防止しながらより穏やかに燃焼させることができる。また、大気導入切替弁13を開とする工程における弁の開時間は30〜50分が好ましい。弁の開時間を30分以上とすることで、酸化物を十分に燃焼させることができ、弁の開時間を50分以下とすることで、燃焼時間の無駄をなくして工程の短縮化を図ることができる。
【0037】
また、ポンプ冷却エアー切替弁14が機械制御によって開度調節可能な弁であることが好ましい。ポンプ冷却エアー切替弁14がこのような弁であれば、ポンプ冷却エアー切替弁14のエアー導入量及び弁の開時間をより精密に制御することができる。このような弁としては、例えばモーター駆動ボールバルブが挙げられる。
【0038】
また、大気導入切替弁13がダイアフラムバルブであることが好ましい。大気導入切替弁13がこのような弁であれば、大気導入切替弁13からの大容量のエアー導入が可能となる。
【0039】
また、ポンプ冷却エアー切替弁14及び大気導入切替弁13の開度、開時間をシーケンサー又はコンピューターを用いて任意に設定できるシステム16を用いることが好ましい。このようなシステム16を用いることで、シーケンサー又はコンピューターで弁の作動順序、開度(開閉を含む)、開時間を任意に設定し操作できるため、ポンプ冷却エアー切替弁14及び大気導入切替弁13のエアー導入量及び弁の開時間をより精密に制御することができる。
【0040】
また、本発明の燃焼方法を実施した後、単結晶引上げ装置1の上部に取り付けられたプルチャンバードアーを開とし、単結晶引上げ装置1内を大気と置換後にこのドアーを閉とし、単結晶引上げ装置1とドライ真空ポンプ4の間に設けられたチャンバー排気弁3を開として大気を導入し、酸化物を燃焼させる方法(特許第3846620号公報)を実施することもできる。
【0041】
以上のように、本発明の排気配管内酸化物の燃焼方法であれば、単結晶成長の操業終了後に単結晶製造設備の排気配管内に堆積した酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させることができる。これにより、単結晶成長の操業中にエアーを導入する場合に比べ、回収精製装置へ長時間排気ガスを送気することが可能となり、不活性ガスの回収率を向上させることができる。また、ポンプ冷却エアー切替弁及び大気導入切替弁のエアー導入量及び弁の開時間を精密に制御し、適切なエアー導入量及び弁の開時間で燃焼させることで、排気配管内酸化物を十分に燃焼させることができ、また燃焼時間の無駄をなくすことで不活性ガスの回収効率をさらに向上させることができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、ポンプ冷却エアー切替弁又は大気導入切替弁をいきなり全開にして排気配管内に大気を導入すると、大量の大気が排気配管内のSiO微粉と反応することで高温・高圧等が発生し、装置が破損する恐れがあるため、測温しながら行うことで、装置にダメージが生じる前にそれ以上の大気の導入は中止した。
【0043】
〔実施例〕
本発明の実施例として、単結晶製造設備における排気配管内部に堆積するSiO微粉を以下の4工程を行って燃焼させ、
図1の燃焼状態測定ポイントAにおける燃焼状態を測定した。
(1)単結晶成長の操業終了後、ドライ真空ポンプを駆動したまま、ドライ真空ポンプ下流のポンプ冷却エアー切替弁を一部開いて大気を導入し、ドライ真空ポンプ下流のSiO微粉を燃焼させる。(以下、Step1とする。)
(2)Step1で一部開いたポンプ冷却エアー切替弁をさらに開いて大気を導入し、ドライ真空ポンプ下流の未燃焼のSiO微粉を燃焼させる。(以下、Step2とする。)
(3)ポンプ冷却エアー切替弁を開いたまま、単結晶引上げ装置とドライ真空ポンプとの間に設けられたチャンバー排気弁を閉め、チャンバー排気弁とドライ真空ポンプとの間に設けられた大気導入切替弁を開いて大気を導入し、ドライ真空ポンプ上流のSiO微粉を燃焼させる。(以下、Step3とする。)
(4)単結晶引上げ装置の上部に取り付けられたプルチャンバードアーを開とし、単結晶引上げ装置内を大気と置換後にこのドアーを閉とし、単結晶引上げ装置とドライ真空ポンプの間に設けられたチャンバー排気弁を開として大気を導入し、引上げ機排気配管の上流にあるSiO微粉を燃焼させる。
【0044】
Step1におけるポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量を30L/分、50L/分、70L/分、100L/分、150L/分、弁の開時間を10分、15分、40分、60分、80分とし、それぞれStep2におけるポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量を200L/分、弁の開時間を60分、Step3における大気導入切替弁のエアー導入量を1,000L/分、弁の開時間を60分として大気を導入してSiO微粉の燃焼を行い、
図1の燃焼状態測定ポイントAにおける燃焼状態を測定した結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
上記表1中の◎は穏やかに十分燃焼できたもの、○は穏やかに燃焼できたもの、●は穏やかに十分燃焼できたが燃焼時間に無駄があったもの、△は十分に燃焼できたが装置にダメージを与えるほどではないものの燃焼速度が速かったものを示す。
【0046】
表1に示されるように、本発明の排気配管内酸化物の燃焼方法であれば、排気配管内のSiO微粉を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させることができる。また、Step1におけるポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量は50〜100L/分が好ましく、弁の開時間は15〜60分が好ましい。
【0047】
Step2におけるポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量を200L/分、300L/分、450L/分、600L/分、800L/分、弁の開時間を30分、45分、90分、120分、150分とし、それぞれStep1におけるポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量を50L/分、弁の開時間を15分、Step3における大気導入切替弁のエアー導入量を1,000L/分、弁の開時間を60分として大気を導入してSiO微粉の燃焼を行い、
図1の燃焼状態測定ポイントAにおける燃焼状態を測定した結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
上記表2中の◎、○、●、△は上記表1と同様である。
【0049】
表2に示されるように、本発明の排気配管内酸化物の燃焼方法であれば、排気配管内のSiO微粉を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させることができる。また、Step2におけるポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量は300〜600L/分が好ましく、弁の開時間は45〜120分が好ましい。
【0050】
Step3における大気導入切替弁のエアー導入量を800L/分、1,000L/分、1,500L/分、2,000L/分、2,500L/分、弁の開時間を25分、30分、40分、50分、60分とし、それぞれStep1におけるポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量を100L/分、弁の開時間を15分、Step2におけるポンプ冷却エアー切替弁のエアー導入量を600L/分、弁の開時間を120分として大気を導入してSiO微粉の燃焼を行い、
図1の燃焼状態測定ポイントAにおける燃焼状態を測定した結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
上記表3中の◎、○、●、△は上記表1と同様である。
【0052】
表3に示されるように、本発明の排気配管内酸化物の燃焼方法であれば、排気配管内のSiO微粉を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させることができる。また、Step3における大気導入切替弁のエアー導入量は1,000〜2,000L/分が好ましく、弁の開時間は30〜50分が好ましい。
【0053】
以上のことから、本発明の排気配管内酸化物の燃焼方法であれば、単結晶成長の操業終了後に排気配管内酸化物を機器破損等を防止しながら穏やかに燃焼させられることが明らかとなった。さらに、適切なエアー導入量及び弁の開時間で燃焼させることで、排気配管内酸化物を十分に燃焼させることができ、また燃焼時間の無駄をなくすことで工程時間を短縮し不活性ガスの回収効率を向上させることができることが明らかとなった。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0055】
1…単結晶引上げ装置、 2…引上げ機排気配管、 3…チャンバー排気弁、
4…ドライ真空ポンプ、 5…真空ポンプ排気配管、 6…緩衝缶、
7…バブリング缶、 8…大気開放切替弁、 9…不活性ガス回収切替弁、
10…不活性ガス回収配管、 11…不活性ガス回収精製装置、
12…精製ガス供給配管、 13…大気導入切替弁、
14…ポンプ冷却エアー切替弁、 15…単結晶製造設備、
16…弁制御システム、 A…燃焼状態測定ポイント