【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
図1に示すような、両頭研削装置1を用いて本発明の両頭研削方法で単結晶シリコンウェーハの研削を行った。この単結晶シリコンウェーハは、CZ法(チョクラルスキー法)で製造されたシリコン単結晶インゴットから、切り出された直径300mmのものとした。
そして、切り出された単結晶シリコンウェーハから、研削する単結晶シリコンウェーハを5枚選択した。これら、5枚の単結晶シリコンウェーハの疑似ナノトポグラフィを、SBW−330(コベルコ科研製)で測定したところ1.0μmであった。
実施例1において、ワークの研削取り代1μmあたりの砥石の摩耗量は、0.10μmとなるように設定して両頭研削を実施した。
【0035】
次に、両頭研削終了後の単結晶シリコンウェーハ5枚に対して、SBW-330(コベルコ科研製)を用いて擬似ナノトポグラフィの測定を行った。このとき、それぞれの単結晶シリコンウェーハから得られたデータを用いて、擬似ナノトポグラフィ低減能力を下記式(1)より算出した。擬似ナノトポグラフィ低減能力の平均値を
図2に示す。尚、擬似ナノトポグラフィ低減能力とは、下記式(1)で求められる擬似ナノトポグラフィの低減率であり、値が大きいほど簡昜的なナノトポグラフィの定量値である擬似ナノトポグラフィを低減する能力が高いことを示す。
(擬似ナノトポグラフィ低減能力)
=(研削前の擬似ナノトポグラフィ−研削後の擬似ナノトポグラフィ)÷(研削前の擬似ナノトポグラフィ)×100 ・・・式(1)
【0036】
また、擬似ナノトポグラフィ測定後、単結晶シリコンウェーハを後工程であるエッチング工程、両面研磨工程の順に加工処理し、鏡面ウェーハを得た。この5枚の鏡面ウェーハに対し、Wafer Sight II(KLA−Tencor製)を用いて、ナノトポグラフィを測定した。その平均値を
図3に示す。
【0037】
また、これらの鏡面ウェーハの平坦度(SFQR)の測定を行った。その平均値を
図4に示す。
【0038】
図2に示すように、実施例1は後述する比較例1よりも擬似ナノトポグラフィ低減能力が9.2%高いことが確認できた。
また、
図3に示すように鏡面ウェーハのナノトポグラフィは、後述する比較例1よりも3.1nm小さいことが確認できた。
また、
図4に示すように鏡面ウェーハの平坦度(SFQR)も良好であることが分かった。
【0039】
(実施例2)
ワークの研削取り代1μmあたりの砥石の摩耗量を、0.14μmとなるように設定したこと以外、実施例1と同様な条件で両頭研削を行い、その後、実施例1と同様な条件で単結晶シリコンウェーハを加工処理し鏡面ウェーハを得た。
また、実施例1と同様な方法で、擬似ナノトポグラフィ低減能力の平均値、ナノトポグラフィの平均値、平坦度(SFQR)の平均値を測定した。
その結果を
図2、
図3、
図4に示す。
【0040】
図2に示すように、実施例2は後述する比較例1よりも擬似ナノトポグラフィ低減能力が9.9%高いことが確認できた。
また、
図3に示すように鏡面ウェーハのナノトポグラフィは、後述する比較例1よりも3.0nm小さいことが確認できた。
また、
図4に示すように鏡面ウェーハの平坦度(SFQR)も良好であることが分かった。
【0041】
(実施例3)
ワークの研削取り代1μmあたりの砥石の摩耗量を、0.33μmとなるように設定したこと以外、実施例1と同様な条件で両頭研削を行い、その後、実施例1と同様な条件で単結晶シリコンウェーハを加工処理し鏡面ウェーハを得た。
また、実施例1と同様な方法で、擬似ナノトポグラフィ低減能力の平均値、ナノトポグラフィの平均値、平坦度(SFQR)の平均値を測定した。その結果を
図2、
図3、
図4に示す。
【0042】
図2に示すように、実施例3は後述する比較例1よりも擬似ナノトポグラフィ低減能力が9.7%高いことが確認できた。
また、
図3に示すように鏡面ウェーハのナノトポグラフィは、後述する比較例1よりも3.1nm小さいことが確認できた。
また、
図4に示すように鏡面ウェーハの平坦度(SFQR)も良好であることが分かった。
【0043】
(比較例1)
ワークの研削取り代1μmあたりの砥石の摩耗量を、0.08μmとなるように設定したこと以外、実施例1と同様な条件で両頭研削を行い、その後、実施例1と同様な条件で単結晶シリコンウェーハを加工処理し鏡面ウェーハを得た。
また、実施例1と同様な方法で、擬似ナノトポグラフィ低減能力の平均値、ナノトポグラフィの平均値、平坦度(SFQR)の平均値を測定した。その結果を
図2、
図3、
図4に示す。
上述のように、実施例1〜3よりも擬似ナノトポグラフィ低減能力は劣り、鏡面ウェーハのナノトポグラフィは約3.0nmも大きくなってしまうことが確認された。
【0044】
(比較例2)
ワークの研削取り代1μmあたりの砥石の摩耗量を、0.40μmとなるように設定したこと以外、実施例1と同様な条件で両頭研削を行った。
このとき、砥石の摩耗量が大きすぎるため、両頭研削中に砥石同士を平行に保つことができず、
図4に示すように鏡面ウェーハの平坦度(SFQR)が大幅に悪化してしまった。
また、
図2、
図3に示すように擬似ナノトポグラフィ低減能力及び鏡面ウェーハのナノトポグラフィは比較例1よりも更に悪化してしまい、実施例1〜3に大幅に劣ることが確認された。
【0045】
上記の実施例及び比較例から、本発明の両頭研削方法であれば、両頭研削において、平坦度の悪化を防止しながら、前工程で形成されたナノトポグラフィを低減することができ、その結果、全ての加工工程が終了した後にナノトポグラフィの小さい良好な鏡面ウェーハを得られることが分かった。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。