特許第6040992号(P6040992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040992
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】集積光学アセンブリの改良
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20161128BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20161128BHJP
   G01S 17/88 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   G01B11/24 D
   G01S7/481 A
   G01S17/88
【請求項の数】19
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2014-548245(P2014-548245)
(86)(22)【出願日】2012年12月23日
(65)【公表番号】特表2015-505050(P2015-505050A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】IB2012003023
(87)【国際公開番号】WO2013093633
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年8月6日
(31)【優先権主張番号】61/580,118
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ダニエル, ジーン
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0188557(US,A1)
【文献】 特開2011−226785(JP,A)
【文献】 米国特許第04537465(US,A)
【文献】 特開2006−064512(JP,A)
【文献】 特開2009−236655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01S 7/48− 7/51
G01S 17/00−17/95
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに光源からの測定光を視線に沿って集光させる光学アセンブリであって、
レンズ、
走査反射器及び
固定反射器を有し、前記レンズ、前記走査反射器、前記固定反射器は、前記光源からのビームが前記走査反射器によって前記固定反射器へと反射され、前記固定反射器からの反射光が前記走査反射器によって再び反射されて前記レンズを通して前記視線に沿って方向が付けられるように位置付けられ、
前記走査反射器は前記ビームの焦点を前記視線に沿って調整するために前記光源、前記レンズ及び前記固定反射器に対して相対的に移動可能である光学アセンブリと、
前記ターゲットから反射する測定光と、前記ターゲットを経由しない参照光とを検出する検出部と、
前記検出部からの信号を用いて、前記ターゲットまでの距離を演算する演算部と、を備え、
前記参照光の光路には前記光学アセンブリが配置され、前記走査反射器の走査に伴い前記測定光の光路長の変化に応じて、前記参照光の光路長が変化する、距離測定装置。
【請求項2】
前記走査反射器がレトロリフレクターを含む請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記レトロリフレクターはコーナーキューブである、請求項2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記光源からの光は、前記光学アセンブリを介して、ターゲットに測定光として照射するとともに、前記光学アセンブリを介した前記光源からの光の一部を反射することで、前記参照光とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記光学アセンブリは、前記レンズの少なくとも一部で前記光源からの光を反射することで、前記参照光とする、請求項4に記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記光源からのビームが前記走査反射器によって前記固定反射器へ反射され、前記固定反射器からの反射光が前記走査反射器によって再び反射されて前記レンズを通して、前記ターゲットに照射され、前記ターゲットから反射する光は前記レンズを通り、前記走査反射によって前記固定反射器に反射され、前記固定反射器からの反射光が前記走査反射器によってふたたび反射された光を前記測定光とし、
前記測定光と同じ回数前記走査反射器と前記固定反射器により反射された光を前記参照光とし、
前記測定光と前記参照光とを前記検出部で検出し、前記演算部で前記ターゲットまでの距離を演算する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記光源からの光を、光ファイバを用いて、前記走査反射器に導く、請求項1〜6のいずれか一項に記載の距離測定装置。
【請求項8】
ターゲットまでの距離を測定する、距離測定装置であって、
前記ターゲットに測定光を送る送光光学系と、
前記ターゲットから反射する測定光と、前記ターゲットを経由しない参照光とを検出する検出部と、
前記検出部からの信号を用いて、前記ターゲットまでの距離を演算する演算部と、
前記送光光学系の測定光の光路に配置され、前記測定光の焦点位置を変える第1光路長変更光学部材と、
前記参照光の光路に配置され、前記測定光の焦点位置を変えることによる前記測定光の光路長の変化に応じて、前記参照光の光路長を変える、第2光路長変更光学部材と、を備える、距離測定装置。
【請求項9】
前記第1、第2光路長変更部材は、同じ部材である、請求項8に記載の距離測定装置。
【請求項10】
前記第1光路長部材は、走査反射器と固定反射器を含み、前記固定反射器に対して前記走査反射器動くことで、前記視線に沿って、前記ターゲットに送られる測定光の焦点位置を変える焦点位置変更光学部材である請求項9に記載の距離測定装置。
【請求項11】
前記走査反射器がレトロリフレクターを含む、請求項10に記載の距離測定装置。
【請求項12】
前記レトロリフレクターはコーナーキューブである、請求項11に記載の距離測定装置。
【請求項13】
前記走査反射器に導入される測定光は、光ファイバを用いる、請求項10〜12のいずれか一項に記載の距離測定装置。
【請求項14】
前記走査反射器によって前記固定反射器へ反射され、前記固定反射器からの反射光が前記走査反射器によって再び反射されて前記レンズを通して、前記ターゲットに照射され、前記ターゲットから反射する光は前記レンズを通り、前記走査反射によって前記固定反射器に反射され、前記固定反射器からの反射光が前記走査反射器によってふたたび反射された光を前記測定光とし、
前記測定光と同じ回数前記走査反射器と前記固定反射器により反射された光を前記参照光とし、
前記測定光と前記参照光とを前記検出部で検出し、前記演算部で前記ターゲットまでの距離を演算する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の距離測定装置。
【請求項15】
ターゲットに光源からの測定光を視線に沿って集光させる光学アセンブリであって、
レンズ、
走査反射器及び
固定反射器を有し、前記レンズ、前記走査反射器、前記固定反射器は、前記光源からのビームが前記走査反射器によって前記固定反射器へと反射され、前記固定反射器からの反射光が前記走査反射器によって再び反射されて前記レンズを通して前記視線に沿って方向が付けられるように位置付けられ、
前記走査反射器は前記ビームの焦点を前記視線に沿って調整するために前記光源、前記レンズ及び前記固定反射器に対して相対的に移動可能である光学アセンブリを用意することと、
前記ターゲットから反射する測定光と、前記ターゲットを経由しない参照光とを検出することと、
前記検出部からの信号を用いて、前記ターゲットまでの距離を演算することと、
前記参照光の光路に前記光学アセンブリを配置して、前記走査反射器の走査に伴い前記測定光の光路長の変化に応じて、前記参照光の光路長が変化させることと、を備える距離測定方法。
【請求項16】
ターゲットまでの距離を測定する距離測定方法であって、
前記ターゲットに測定光を送ることと、
前記ターゲットから反射する測定光と、前記ターゲットを経由しない参照光とを検出することと、
前記検出された信号を用いて、前記ターゲットまでの距離を演算することと、
前記測定光の光路に第1光路長変更光学部材を配置して、前記測定光の焦点位置を変えることと、
前記参照光の光路に第2光路長変更光学部材を配置して、前記測定光の焦点位置を変えることによる前記測定光の光路長の変化に応じて、前記参照光の光路長を変えることと、を備える距離測定方法。
【請求項17】
構造体を製造する方法であって、
設計情報に基づいて構造体を製造することと、
請求項15又は16の距離測定方法もしくは請求項1〜14のいずれか一項に記載の距離測定装置を用いることによって、構造体の形状情報を得ることと、
前記得られた形状情報を前記設計情報と比較することとを含む、構造体を製造する方法。
【請求項18】
さらに、前記構造体を前記比較の結果に基づいて再処理することを含む、請求項17に記載の構造体を製造する方法。
【請求項19】
前記構造体の再処理が前記構造体をもう一度製造することを含む、請求項18に記載の構造体を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:スミス、ダニエル・ジーン
関連出願の参照情報及び優先権の主張:本願は、2011年12月23日に出願された「集積光学アセンブリの改良」と題された仮特許出願第61/580,118号に関連し、該仮特許出願の優先権を主張する。上記仮出願の開示全てをここに援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
<導入説明及び発明の概要>
本発明によって、光源からのビーム(光線)を視線に沿って集光させるための光学アセンブリ及びそのような光学アセンブリにおいて有用なデータを生成する方法が提供される。本発明の光学アセンブリ及び方法は、米国特許出願第13/281,393号に示されたタイプのレーザーレーダーシステムにおいて記載されたタイプの集積光学アセンブリ(IOA:Integrated Optical Assembly)において特に有用であり、この米国特許出願第13/281,393号の開示全てをここに援用して本文の記載の一部とする
【背景技術】
【0003】
上述のIOAにおいて、光源(例えば、光源は光学ファイバーチップを通して生成される、光ファイバーチップが光源とみなすことができる。)からの測定ビームは、レンズ、走査反射器(例えば、調整可能なコーナーキューブ)及び固定反射器であって、光源からのビームが走査反射器によって固定反射器へと反射されるとともに該固定反射器から反射された光が該走査反射器によって再び反射されてレンズを通して視線に沿って方向付けられるように互いに相対的に方位(向き)が付けられたレンズ、走査反射器及び固定反射器によって、視線に沿って方向付けられる。この測定ビームはターゲットに向かって方向が付けられており、ターゲットからの戻り光(例えば、ターゲットから反射されるか又は散乱された測定ビーム)は光源として機能する光学ファイバーに向けて方向付けられて、ターゲットに関するデータを生成するために検出され処理される。走査反射器はビームの焦点を視線に沿って調整するために、光源、レンズ及び固定反射器に対して相対的に移動可能である。それゆえに、走査反射器はまた「調整可能な反射器」とも称され、本発明において好ましい走査反射器はレトロレフレクターとしても機能するコーナーキューブである(光の方向を変える際に光を反射及び透過するやり方に因る)ので、走査反射器はまた「走査レトロリフレクター」と称されてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によれば、集積光学アセンブリは走査反射器の光学特性に関連するか又は光源に対する走査反射器の相対的な位置もしくは相対的な方位の変化に関連した参照ビームを生成する。このような参照ビームは提出物Aに示されたタイプのIOAにおいて、いくつかの点において有用である。例えば、もしも走査反射器の方位が意図された方位からシフトする場合に(例えば、熱膨張などに起因して)、又は、もしも走査反射器の特性(例えば、走査反射器の屈折率)が温度変化のために変化する場合に、参照ビームを使用することによって、そのような変化の原因を明らかにするために使用可能なデータが提供出来る。さらに、もしも走査反射器が所望される方位と異なる方位が付けられて位置付けられた場合に、そのような位置付けを特定及び補正するために参照ビームを用いることが出来る。本質的に、参照ビームは上述の要因によって発生した可能性のあるエラーを除去するために用いることが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、IOAのいくつかの実施態様であって、IOAがそれによって参照ビームを生成できるいくつかの実施態様を提供する。例えば、光学アセンブリは光源と走査反射器との間に配置されたレンズであって、走査反射器を少なくとも2回横切り、次いで光源に再び集光される連続的な平行参照ビームを生成するように構成されたレンズを含むことが出来る。レンズはビームを光源から若干の角度を付けて平行にするように光源に対して偏心しており、光学アセンブリはさらに、走査反射器を2回通過した後の参照信号が光源に隣接する反射器に再び集光され、走査反射器をさらに2回横切り、次いで光源に再び集光するように構成される。
【0006】
本発明の別の実施態様によると、測定ビーム及び参照ビームは、一対のファイバーを介して生成された測定ビーム及び参照ビームが事実上「光源」を備えるように(及び、これらの測定及び参照ビームが共に、測定及び参照ビームに分割される同じ光源から発生するように)、一対のファイバーを介して方向が付けられる。一対のファイバーのうちの一方のファイバーから生成された測定ビームは折り返しミラーによって反射され、走査レトロリフレクター(コーナーキューブ)を横切り、固定反射器によって反射され、走査レトロリフレクターを再び横切り、そしてレンズを通して視線に沿って方向が付けられる。一対のファイバーのうちの他方のファイバーから生成された参照ビームは折り返しミラーによって反射され、走査レトロリフレクターを横切り、プリズム又は参照ビームをシフトさせるその他の好適な光学素子によって反射され、走査レトロリフレクターを再び横切り、軸上の参照ビームを走査レトロリフレクターに反射し返す小型の固定レトロリフレクターによって反射されて走査レトロリフレクターを再び横切り、次いで、参照ビームのためのファイバーに戻って到達する前にもう一度ビームが走査レトロリフレクターを横切るように、前の工程においてビームをシフトさせるために用いられたプリズム又はその他の好適な光学素子によって反射される。それゆえに、参照ビームは走査レトロリフレクターを少なくとも2回(この場合においては4回)横切り、次いで光源(この場合においてはすなわち参照ビームのファイバー)に再び集光される平行参照信号である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のさらなる特徴は下記の詳細な説明及び添付の図面から、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は提出物Aに示されたタイプのIOAの模式図である。
図2図2aは本発明に従う、提出物AのIOAに対する改良の一つのバージョンの模式図である。図2bは図2aの一部の拡大図である。
図3図3は、図2a、図2bのバージョンにおいて用いることが出来る、ビーム経路(及びそのいくつかの変形形態)の模式図である。
図4図4は本発明に従う方法の工程の模式図である。
図5図5は本発明に従う光学アセンブリを有するIOAが備えられたレーザーレーダーシステムの模式図である。
図6図6は好ましいタイプのレーザーレーダーシステムの正面図である。
図7図7は本発明を実施する光学アセンブリの代替的な構成の模式図である。
図8図8は本発明を実施する光学アセンブリの代替的な構成の模式図である。
図9図9は本発明を実施する光学アセンブリの代替的な構成の模式図である。
図10図10は構造体製造システム700のブロック図である。
図11図11は、構造体製造システム700のプロセスフローを示すフローチャートである。
図12図12は、関連発明の実施形態に従う光学アセンブリを用いることができるタイプのレーザーレーダーシステムの概略図面である。
図13図13は、関連発明の好ましいタイプの実施形態に従う光学アセンブリを用いることができるレーザーレーダーシステムの正面図である。
図14図14a、14b、14cは、関連発明の第1実施形態に従う光学アセンブリの異なるバージョンの例である。
図15図15は、関連発明の第1実施形態に従う光学アセンブリの他の例の反射屈折部を示す。
図16図16は、関連発明の第1実施形態に従う光学アセンブリの特定の性能を示す。
図17図17は、関連発明の第1実施形態に従う光学アセンブリのさらなる性能を示す。
図18図18aは、関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリのあるバージョンの概略図である。図18bは、図18aの光学アセンブリの断片的な概略図であり、コーナーキューブ及び平面鏡によりもたらされる反射の図式を示す。
図19図19a及び図19bは、関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリの第2のバージョンの概略側面及び上面図である。図19cは、図19a及び図19bの光学アセンブリの断片的な概略図であり、それらの構成部品の反射ルーフによりもたらされる反射の図式を示す。
図20図20は、関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリのさらなるコンセプトの概略図である。
図21図21は、関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリのさらなるコンセプトの概略図である。
図22図22は、関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリのさらなるコンセプトの概略図である。
図23図23は、関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリのさらなるコンセプトの概略図である。
図24図24は、関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリのさらなるコンセプトの概略図である。
図25図25は、関連発明の構造体製造システム700のブロック図である。
図26図26は、関連発明の構造体製造システム700のプロセスフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前述のように、本発明は、後述の関連発明に関する説明に記載されたタイプのレーザーレーダーシステムのための集積光学アセンブリ(IOA)について特に有用な、IOAに対する改良及び方法を提供するものである。本文に記載された本発明は後述の関連発明に関する説明に示されたタイプのIOAと関連して記載され、本発明が後述の関連発明に関する説明に記載のIOAと互換性のある様々な装置と提携して使用可能なやり方は、本発明の記載から当業者にとって明らかとなるであろう。
【0010】
本発明に従うIOAの改良は、後述の関連発明に関する説明に記載されたレーザーレーダーシステム及び方法において特に有用である。後述の関連発明に関する説明において説明されているように、レーザーレーダーは非接触であって、且つ、真に単独の操作者による物体(しばしばターゲットと称される)の検査を提供する、多用途の計測システムである。レーザーレーダー計測は、航空宇宙産業、代替エネルギー、アンテナ、人工衛星、標準より大きい鋳造及び他の大型の用途などの多様な産業における高品質の物体検査データの取得に特に有用な物体検査を提供する。レーザーレーダーは、例えば、構造体を製造するために用いることが出来、設計情報に基づいて構造体を形成することと、レーザーレーダーを用いることによって構造体の形状情報を得ることと、製造された構造体を配置することによって構造体の形状情報を得ることと、得られた形状情報を設計情報と比較することとを含む。
【0011】
後述の関連発明に関する説明及び図5図6のレーザーレーダーシステム及び方法において、集積光学アセンブリ(IOA)はレーザーレーダーシステム200の一部として提供されている。IOAは小型になるように、且つ、指向ビーム(ポインティングビーム)及び測定ビームを光学レーダーシステムの出口に向けて方向付け且つ集光させるための素子を比較的単純に組み立てたものを利用するように設計される。ポインティングビーム及び測定ビームの「光源」は、光源によって生成された光が光学ファイバーを通して方向が付けられるという意味において、光学ファイバーを備える。ポインティングビームは可視(例えば約610nmから750nmのような赤色)波長範囲内で生成され、測定ビームは異なる所定の波長(例えば約0.7μmから10μmなどの赤外光、つまりIR)範囲内で生成される。
【0012】
図5のレーザーレーダーシステムにおいて、ポインティングビームは、測定ビームが向けられるターゲット220上の点(位置)を識別するために用いられる。測定ビームはターゲットから反射され、その反射または散乱された測定ビームの一部分がレーザーレーダーシステムに戻って受光され、該レーザーレーダーシステム内においてはファイバーを通して方向付けられて戻され、検出器に伝達され、制御ユニットによって処理されてレーザーレーダーシステムの特性である有用なタイプの情報をもたらす。
【0013】
図6に示されるように、レーザーレーダーシステム200は、光学アセンブリが設置、固定されるハウジング(例えば回転可能シリンダ113)を含む。それにより光学アセンブリはシリンダ113と一体として、レーザーレーダーシステムの基部110に対して相対的に移動する。レーザーレーダーシステムは、ハウジング113において出口120を含み、出口120を通して放射(例えば2つの波長のポインティングビーム及び測定ビーム)がレーザーレーダーシステムから方向付けられる。基部110は、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号に開示されるレーザーレーダーシステムの処理性能を含む。このシステムのサイズは、カメラ140がレーザーレーダーシステムの移動部分に設置されるように十分小さく設計されるべきである。
【0014】
さらに別のレーザーレーダーシステムのコンセプトは、レーザーレーダーシステムの他の部品に対して相対的に回転し且つビームの所望される方向を達成するために用いられる、回転走査(ポインティング)ミラーを有する。レーザーレーダーシステムのその他のコンセプトは、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号に開示されており、これらの米国特許及び日本特許の開示全てをここに援用して本文の記載の一部とする。レーザーレーダーシステムからのレーザービーム(ここでは「測定ビーム」として称される)はレーザーレーダーシステムの光学系によって制御され、レーザーレーダーシステムからターゲットに向けて方向が付けられる。
【0015】
図1図23に示されたIOAの模式図である。このIOAにおいて、光源(すなわち、ガラス窓101内のフェルール102に支持されたファイバーチップ100)からのビームは、レンズ104、走査反射器106(例えば、コーナーキューブ)及び固定反射器(ガラス窓101上に支持されるミラー108)であって、光源100からのビームが走査反射器106によって固定反射器108へと反射され、そして固定反射器からの反射光が走査反射器によって再び反射され、レンズ104を通して視線138に沿って方向付けられるように、互いに対して方位が付けられているレンズ104、走査反射器106及び固定反射器によって視線138に沿って方向が付けられている。走査反射器106は、視線138に沿ってビームの焦点を調整するために、光源100、レンズ104及び固定反射器108に対して相対移動可能である。
【0016】
本発明によってもたらされる改良に従い、集積光学アセンブリは走査反射器106の光学特性又は走査反射器106の光源(すなわち、ファイバーチップ100)に対する位置もしくは方位の変化に関連する参照ビームを生成するよう構成されている。この参照ビームは後述の関連発明に関する説明及び図1に示されたタイプのIOAにおいていくつかの点で有用である。例えば、もしも走査反射器106の方位が意図された方位からシフトする場合に(例えば、熱膨張などに起因して)、又は、もしも走査反射器の特性(例えば、走査反射器の屈折率)が温度変化のために変化する場合に、参照ビーム(図5に示されている検出器によって検出されるとともに図5に示されている制御ユニットによって処理される参照ビーム)を使用することによって、そのような変化の原因を明らかにするために使用可能なデータが提供出来る。加えて、もしも走査反射器106が所望される方位と異なる方位を付けられて位置付けられる場合に、そのような位置付けを特定及び補正するために参照ビームを用いることが出来る。本質的に、参照ビームは上述の要因によって発生した可能性のあるエラーを除去するために用いることが出来る。
【0017】
図2a及び図2bは上記のような参照信号を生成するように構成された、本発明に従うIOAの一つのバージョンを示す。この光学アセンブリは、光源100と走査反射器106との間に配置されたレンズ110であって、走査反射器106を少なくとも2回横切り、次いで光源100に再び集光される連続的な平行参照信号を生成するように構成されたレンズ110を含んでいる。レンズ110は光源100に対して偏心配置されて、ビームを光源に対して若干の角度を付けて平行にするとともに、光学アセンブリは、参照信号が2回走査反射器を横切った後、参照信号は光源100に隣接する反射器112(例えば、窓、フェルールなど)に再度集光され、走査反射器106をさらに2回横切り、次いで光源100に再度集光されるように構成されている。
【0018】
このバージョンの基礎をなす原則は、偏心レンズ110を用いることによって、ビームを一回通過させた後にファイバーチップ100の隣にある反射器112に再度集光させるために、ビームをファイバーの軸に対して若干の角度を付けて平行にする(及び、ミラーを垂直に戻す)というものである。上記の反射後、ビームはコーナーキューブシステムを2度目に横切って、次いで参照ビームとしてファイバーチップ100に集光される。この集光は自動的に起こるものであり、単なる結像システムの特性である。したがって、面倒な配置は特に何ら必要とされない。
【0019】
図2a及び図2bに示された本発明のこのバージョンによると、安定し且つ高感度な参照ビームが、複光路平行参照ビーム経路による集光範囲全体にわたってもたらされ、参照ビームは走査反射器を4回横切る。図2a及び図2bにおいて、レンズ110の偏心は視覚化のために幾分誇張して描かれている。環状の反射領域110a、110bをレンズ110に設けて(図3)、測定ビームによって用いられるパワーを制限することなくゴースト効率を高めることも可能である。さらに、レンズ110は窓101(又はミラー108)に切り込まれた凹部に直接搭載することも可能であろうし、必要とされる偏心も含むことも可能であろう。図2aに示された別の変形例は、反射性のフェルール112を用いるか、又は、レンズをより小型にすることが可能であろうから、反射器をファイバーチップ110に対してきわめて接近配置するものである。
【0020】
図2a、2b及び図3に模式的に示されているように、2回通過させる構成によって、範囲測定の補償に必要とされる感度が正しい量で達成される。平行参照ビームによって、全ての範囲においてシステムをハイパワーに維持することが可能となる。平行ビームを生成するレンズ110又はいかなるその他の光学素子は、同時に非平行測定ビームが通過することをも許容しなければならない。このことは、フレネルゾーンプレート又はその他のホログラフィックレンズによっても達成出来るが、別の取り組みとして、平行ゴースト反射をも有するゼロパワーレンズ(図3)を用いるというものがある。そのようなレンズは、2回屈折経路に対して何らパワーを有さないように設計されているが、ゴースト経路と称される2回反射経路は、有限の焦点距離によって平行となる。
【0021】
環状の反射領域110a、110bをレンズ110に設けて(図3)、測定ビームによって用いられるパワーを制限することなくゴースト効率を高めることも可能である。その結果、環状の参照ビームが得られる。さらに、レンズを窓(又はミラー)に切り込まれた凹部に直接搭載することも可能であろうし、必要とされる偏心も含むことも可能であろう。これによって、反射性のフェルール112、及び反射器をファイバーチップ110に極めて接近配置するためのその他の方法は、これによってレンズをより小型にすることが可能となるために魅力的なものとなる。
【0022】
リターンミラーに対して実質的に平行な(完璧に平行である必要は無いが)窓をファイバーチップ100に接近させて有することで、結果として、この経路を一つの焦点位置で参照信号を生成するために用いることが可能となる。
【0023】
図4に模式的に示されているように、本発明に従う方法において、光学アセンブリは光源からのビームが走査反射器によって固定反射器へと反射され、固定反射器からの反射光が走査反射器によって再び反射されてレンズを通して視線に沿って方向が付けられるように互いに向き(方位)が付けられたレンズ、走査反射器及び固定反射器を含み、走査反射器は、ビームの焦点を視線に沿って調整するために光源、レンズ及び固定反射器に対して相対的に移動可能である。光学アセンブリは測定ビームをターゲットに向け、戻り光は検出器に伝達されて制御ユニットによって処理される一方で、走査反射器の光源に対する相対的な方位に関する参照ビームが生成される。この参照ビームは、後述の関連発明に関する説明及び図1に示されたタイプのIOAにおいていくつかの点で有用である。例えば、仮に走査反射器の方位が意図された方位から(例えば、熱膨張などに起因して)シフトするか、又は仮に走査反射器の特性(例えば、走査反射器の屈折率など)が温度変化のために変化する場合に、参照ビームを使用することによって、そのような変化の原因を明らかにするために使用可能なデータが提供出来る。さらに、もしも走査反射器が所望される方位と異なる方位が付けられて位置付けられた場合に、そのような位置付けを特定及び補正するために参照ビームを用いることが出来る。本質的に、参照ビームは上述の要因によって発生した可能性のあるエラーを除去するために用いることが出来る。
【0024】
従って、走査反射器の反射特性又は屈折特性が、(1)走査反射器の意図された方位の変化、又は(2)走査反射器の方位角の変化、走査反射器の温度変化、に起因して変化した原因を明らかにするためのデータを生成するために参照ビームを用いることが出来る。
【0025】
この方法は例えば、走査反射器と光源との間に、走査反射器を少なくとも1回横切る(そして好ましくは図2a、2bに示されているように4回横切る)とともに、次いで光源に再度集光される連続的な平行参照信号を生成することによって実施出来る。図2a、2bに示されているように、ビームは光源に対して若干の角度を付けて平行にされており、光学アセンブリは、参照ビームが走査反射器を2回横切った後、参照ビームは光源に隣接した反射器に再度集光され、次いで隣接反射器によって反射された後に、ビームは走査反射器を3回目及び4回目としてさらに横切って、その後光源に再度集光されるように構成されている(例えば、図2a、2b参照)。
【0026】
本発明の方法は、図7〜9に模式的に示されたやり方によっても実施出来る。図7はその実施の主要な構成要素を模式的に示している。図8はその実施の測定ビームの経路を示している。図9はその実施の参照ビームの経路を示している。図7〜9の実施において、測定ビーム及び参照ビームはそれぞれチップ200a及びチップ200bを有するファイバー対を通して方向付けられている。それゆえに、ファイバー対を通して方向が付けられている測定ビーム及び参照ビームは事実上「光源」を備えている(そして測定ビーム及び参照ビームは共に同じ光源から発せられることが出来、この同じ光源は測定ビームと参照ビームとに分割される)。図7及び図8から分かるように、ファイバーチップ200aからの測定ビームは、折り返しミラー204によって反射され、走査レトロリフレクター202(移動可能なコーナーキューブであることが好ましい)を横切り、固定反射器206によって反射され、走査レトロリフレクター202を再び横切り、そして少なくとも一つのレンズ及び反射要素208を通して視線に沿って方向が付けられる。それゆえに、測定ビームの経路は図1に示されるとともに図1に関連して記載されたものと同じである。図7及び図9から分かるように、ファイバーチップ200bからの参照ビームは、レンズ209を通して方向が付けられ、折り返しミラー210によって反射され、走査レトロリフレクター202を横切り、プリズム212又はその他の参照ビームをシフトさせる好適な光学素子によって反射され、走査レトロリフレクター202を再び横切り、軸上の参照ビームを走査レトロリフレクター202に反射し返す小型の固定レトロリフレクターに214に反射され、その走査レトロリフレクター202を再び横切り、次いで、参照ビームのためのファイバーチップ200bに反射し返される。それゆえに参照ビームは、走査レトロリフレクター202を少なくとも2回横切り、次いで、光源(この実施形態においては、参照ビームのためのファイバーチップ200b)に再度集光される、平行参照信号である。
【0027】
従って、本発明は、レーザーレーダーシステムにおいて特に有用なタイプのIOAに対する改良を提供するものである。本発明による改良は、IOA(及び方法)であって、走査反射器の光学特性に関連するか又は光源に対する走査反射器の相対的な位置もしくは相対的な方位の変化に関連した参照ビームを生成するIOA(及び方法)を提供する。前述の開示を考慮すれば、様々なタイプのIOAアセンブリにおいて実施し得るそのような強化(改良)がなされるやり方は、当業者にとって明らかとなるであろう。
【0028】
本文に記載されているIOAアセンブリの参照ビーム経路は、走査反射器を少なくとも1回横切らなければならず、そしてすべての場合において、参照ビーム及測定ビームを、それぞれが独自の内部リファレンスを有する、別々の干渉計の測定用のビームとすることが可能である。参照ビームを測定用のビームとして用いる干渉計は、走査反射器の位置によって増大する経路長を有するであろう。この経路長の増大は(参照ビームの)横切る回数の2倍(2nx)に比例し、この場合において「x」は走査反射器の位置の変化を表し、「n」は横切る回数を表し、横切る回数の最小値は1(1回)である。測定干渉計の経路もまた、走査反射器の位置によって増大するが、因数8xで増加する。したがって、走査反射器のシフトに対して、測定経路の変化を(4/n)倍したものを減算することによって測定経路を補償できる。
【0029】
好ましい実施形態はまた、参照ビームを測定ビームに干渉させて、参照ビームの経路と測定ビームの経路との差異に対する走査反射器の位置の寄与が最小限である干渉計を形成することを参照ビームと測定ビームに許容するものである。これは、参照ビームが例えば図2a、2bについて記載されたように走査反射器を4回横切る場合にのみ発生する。
【0030】
開示された実施形態において、測定経路と参照経路は同じコーナーキューブ(106、202)を使用する。しかしながら、測定経路のコーナーキューブは参照経路のコーナーキューブと異なっていてもよい。したがって、測定経路のコーナーキューブの動きは、測定経路のコーナーキューブの動きと同期してもよい。
【0031】
次に、上述の測定装置(レーザーレーダーシステム200)を備える構造体製造システムについて説明する。
【0032】
図10は構造体製造システム700のブロック図である。この構造体製造システムは、少なくとも一つの材料から、例えば船、航空機などの少なくとも一つの構造体を製造し、構造体を形状測定装置200によって検査するためのものである。実施形態の構造体製造システム700は、実施形態において上述されたように形状測定装置200を含み、さらに設計装置610、成形装置620、制御装置630(検査装置)及びリペア装置640を含む。制御装置630は、座標保管部631及び検査部632を含む。
【0033】
設計装置610は、構造体の形状に関して設計情報を作成し、作成した設計情報を成形装置620へ送信する。さらに、設計装置610は、作成した設計情報を制御装置630の座標保管部631に保管させる。設計情報は、構造体の位置の各々の座標を示す情報を含む。
【0034】
成形装置620は、設計装置610から入力された設計情報に基づいて構造体を製造する。成形装置620による成形工程は、例えば、鋳造、鍛造、切削などを含む。形状測定装置200は製造された構造体の座標を測定(物体を測定)し、測定した座標を示す情報(形状情報)を制御装置630に送る。
【0035】
制御装置630の座標保管部631は、設計情報を保管する。制御装置630の検査部632は、座標保管部631から設計情報を読み出す。検査部632は、形状測定装置200から受信した座標を示す情報(形状情報)を座標保管部631から読みだされた設計情報と比較する。比較結果に基づき、検査部632は、構造体が設計情報に従って成形されているかどうかを判定する。換言すると、検査部632は、製造された構造体に欠陥がないかどうかを判定する。構造体が設計情報に従って成形されていない場合、検査部632は、構造体が修復可能かどうかを判断する。もし修復可能な場合は、検査部632は、比較結果に基づいて欠陥部分及び修復量を計算し、欠陥部分を示す情報及び修復量を示す情報をリペア装置640に送信する。
【0036】
リペア装置640は、制御装置630から受信した欠陥部分を示す情報及び修復量を示す情報に基づき、構造体の欠陥部分の処理を行う。
【0037】
図11は、構造体製造システム700のプロセスフローを示すフローチャートである。構造体製造システム700に関して、まず、設計装置610が、構造体の形状に関して設計情報を作成する(S101工程)。次に、成形装置620が、設計情報に基づいて構造体を製造する(S102工程)。次いで、形状測定装置100が、製造された構造体を測定してその形状情報を得る(S103工程)。次いで、制御装置630の検査部632が、形状測定装置200から得られる形状情報を設計情報と比較することによって、構造体が真に設計情報に従って製造されているかどうか検査する(S104工程)。
【0038】
次いで、制御装置630の検査部632が、製造された構造体に欠陥がないかどうかを判定する(S105工程)。製造された構造体に欠陥がないと検査部632が判定した場合(S105工程における「YES」)、構造体製造システム700はプロセスを終了する。一方、製造された構造体に欠陥があると検査部632が判定した場合(S105工程における「NO」)、次いで検査部632は、構造体が修復可能かどうかを判断する(S106工程)。
【0039】
検査部632が製造された構造体が修復可能であると判断した場合(S106工程の「YES」)、次いでリペア装置640が構造体に対して再処理プロセスを実行し(S107工程)、構造体製造システム700はプロセスをS103工程に戻す。検査部632が製造された構造体が修復不可能であると判断した場合(S106工程の「NO」)、次いで構造体製造システム700はプロセスを終了する。そうして、構造体製造システム700は、図11のフローチャートに示される全プロセスを終了する。
【0040】
実施形態の構造体製造システム700に関して、実施形態の形状測定装置200は構造体の座標を正確に測定することができるため、製造された構造体に欠陥がないかどうかを判断することができる。さらに、構造体に欠陥がある場合、構造体製造システム700は構造体に対して再処理プロセスを実行して構造体を修復することができる。
【0041】
さらに、実施形態においてリペア装置640によって実行される修復工程は、例えば成形装置620に成形工程をもう一度行わせることと置き換えられてもよい。このような場合において、制御装置630の検査部632が構造体は修復可能と判断した場合、次いで成形装置620は成形工程(鍛造、切削など)をもう一度実行する。例えば具体的には、成形装置620は、切削を受けるべきであったが受けなかった構造体の部分に切削工程を実行する。これによって、構造体製造システム700が構造体を正確に製造することができるようになる。
【0042】
上記の実施形態において、構造体製造システム700は、形状測定装置200、設計装置610、成形装置620、制御装置630(検査装置)及びリペア装置640を含む。しかし、本教示はこの構成に限定されない。例えば、本教示に従う構造体製造システムは、少なくとも成形装置及び形状測定装置を含めばよい。
【0043】
よって、本発明は装置、光学アセンブリ、物体の検査方法又は測定方法、及び構造体を製造する方法について、新規で役に立つコンセプトを提供する。前述の説明を考慮すれば、それらのコンセプト(例えば本実施形態の光学アセンブリ)を様々なタイプのレーザーレーダーシステムや他のタイプの光学システム及び方法において実施することができるやり方が、当業者にとって明らかであるだろう。
【0044】
<関連発明に関する説明>
<関連発明の背景技術>
レーザーレーダーは、非接触であって、且つ、真に単独の操作者による物体(しばしばターゲットと称される)の検査を提供する、多用途の計測システムである。レーザーレーダー計測は、航空宇宙産業、代替エネルギー、アンテナ、人工衛星、標準より大きい鋳造及び他の大型の用途などの多様な産業における高品質の物体検査データの取得に特に有用な物体検査を提供する。
【0045】
レーザーレーダーシステムについて知られているコンセプトは、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号において開示されている。レーザーレーダーシステムからのレーザービーム(ここでは「測定ビーム」と称する)は、レーザーレーダーシステムの光学系によって制御され、且つレーザーレーダーシステムからターゲットに向けて方向づけられる。レーザーレーダーシステムからの方向づけられたレーザービームは、スプリッタを通過しうる。スプリッタはレーザービームを測定経路に沿ってターゲットに向けて方向づけ、処理システムに向かって、レーザービームの一部分を分離させる。なお、処理システムは、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号において開示されるが本関連発明のどの部分も形成しない。測定経路に沿って方向づけられるレーザービームはターゲットから反射または散乱され、その反射または散乱されたレーザービームの一部分は、レーザーレーダーシステムに戻って受光され、そこでその反射または散乱されたレーザービームの一部分は、ターゲットについての情報をもたらすために検出され且つ処理される。反射または散乱された光の検出及び処理は、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号に従ってもたらされる。また、これらの文献には、本関連発明の本質的な部分は記載されていない。本関連発明は、レーザーレーダーシステムからポインティングビーム及び測定レーザービームを伝達する光学アセンブリに関する。
<関連発明の概要>
<関連発明が解決しようとする課題>
【0046】
既存のレーザーレーダーシステムは、レーザーレーダーシステムの他の部品に対して回転し且つビームのポインティングを達成するために用いられる、比較的大きな回転走査(ポインティング)ミラーを備える。このミラーはシステムの不安定性及び偏光の問題を引き起こす。また、既存のシステムは色収差があるため、2つの波長(例えばポインティングビーム波長と測定ビーム波長)を同時に空間の部分に集光させることができない。さらに、既存のシステムは、レーザーレーダーと同じ方向に向けられたカメラの視野を制限する。
<関連発明における課題を解決するための手段>
【0047】
本関連発明は上記の事情を考慮してなされ、本関連発明の目的は、装置の一部として一体として移動可能な光学アセンブリを含み、光学アセンブリの出口を通して測定ビームを方向づけるように構成された装置を提供することである。なお、光学アセンブリは、光学アセンブリの出口を通して方向づけられている測定ビームの光路を折り返すように構成される。
【0048】
本関連発明の他の目的は、視線に沿ってビームを集光する光学アセンブリを提供することである。該光学アセンブリは、レンズと、レンズを通って延在する視線に沿って光源からのビームを集光するために協働する走査反射器及び固定反射器とを備え、光源からのビームが走査反射器によって固定反射器へ反射され、固定反射器からの反射光が再び走査反射器によって反射されてレンズを通して視線に沿って方向づけられるように、レンズ、走査反射器及び固定反射器が互いに関連して方向付けられ、視線に沿ってビームの焦点を調節するために、走査反射器が光源、レンズ、固定反射器に対して移動可能である。
【0049】
本関連発明の他の目的は、物体を検査又は測定する方法であって、測定ビームを光学アセンブリの出口を通して方向づけるように構成された光学アセンブリを用いることによって測定ビームを物体に向ける方法を提供することである。なお、前記光学アセンブリは、光学アセンブリの出口を通して方向づけられている測定ビームの光路を折り返すように構成される。
【0050】
本関連発明のさらに他の目的は、構造体を製造する方法であって、設計情報に基づいて構造体を形成することと、前記装置を用いることによって構造体の形状情報を得ることと、形成された構造体を配置することによって構造体の形状情報を得ることと、得られた形状情報を設計情報と比較することとを含む、構造体を製造する方法を提供することである。
【0051】
本関連発明の第1の態様に従えば、物体を検査又は測定するための装置であって、前記装置の一部として一体として移動可能な光学アセンブリを含み、測定ビームを前記光学アセンブリの出口を通して方向づけるように構成され、前記光学アセンブリは、前記光学アセンブリの前記出口を通して方向づけられる前記測定ビームの光路を折り返すように構成される装置が提供される。
【0052】
前記装置は、前記光学アセンブリが反射屈折光学系を含んでもよい。さらに、光の進行方向が前記光学アセンブリ内で変化してもよい。
【0053】
本関連発明の第1の態様に従う装置は、さらに、前記測定ビームと参照ビームを分離するように構成される第1スプリッタを含んでもよい。さらに、前記物体からの反射された測定ビームと前記参照ビームを混ぜて前記物体の距離を測定するように構成される第2スプリッタを含んでもよい。
【0054】
本関連発明の第1の態様に従う装置は、さらに、異なる方向を有する2つの軸に沿って前記光学アセンブリを動かすように構成される移動可能な部分を含んでもよい。
【0055】
本関連発明の第1の態様に従う装置は、前記光学アセンブリが反射屈折光学系を含んでもよく、さらに、前記光学アセンブリが、前記測定ビームが前記光学アセンブリの前記出口へ方向づけられる透過部を有する窓を含んでもよい。さらに、前記光学アセンブリが、前記測定ビームを光ファイバーから前記窓の反射領域へ方向づける中継システムと、前記窓の前記反射領域からの前記測定ビームを受光し反射し返し前記窓の透過部分を通して、前記光学アセンブリの前記出口を通して方向づけられているポインティングビーム及び測定ビームの光路を折り返す反射屈折光学系を含んでもよい。さらに、前記光学アセンブリが、前記反射屈折光学系によって反射され戻って前記窓の前記透過部を通るように方向付けられる前記測定ビームの焦点を変化させるために、少なくとも一つの移動可能な光学系を含んでもよい。さらに、前記反射屈折光学系によって反射され戻って前記窓の前記透過部を通るように方向づけられる前記測定ビームの前記焦点が、複数の光学系を動かすことによって変化し、前記複数の光学系が光学パワーは低いが球面収差が大きくてもよい。
【0056】
本関連発明の第1の態様に従う装置は、前記光学アセンブリが反射屈折光学系を含んでもよく、さらに、前記窓は、前記ポインティングビーム及び前記測定ビームの波長範囲を含む所定の波長範囲内の光を透過するコールドミラーを含み、前記ポインティングビーム及び前記測定ビームを伝達する光ファイバーが前記コールドミラーの中心部位に設置され、前記反射屈折光学系は、前記光ファイバーからの前記測定ビームを受光し、前記測定ビームを反射して前記コールドミラーを通るように戻し、前記測定ビームが前記光学アセンブリの前記出口へ方向づけられてもよい。さらに、前記光学アセンブリが、前記反射屈折光学系によって反射され戻って前記コールドミラーを通るように方向づけられた前記測定ビームの焦点を変えるために、少なくとも一つの移動可能な光学系を含んでもよい。さらに、前記反射屈折光学系によって反射され戻って方向づけられて前記窓の前記透過部分を通る前記測定ビームの前記焦点が、複数の光学系を動かすことによって変えられ、前記複数の光学系は、光学パワーは低いが球面収差が大きくてもよい。
【0057】
本関連発明の第1の態様に従う装置は、前記測定ビームがポインティングビームと組み合わされてもよい。
【0058】
本関連発明の第1の態様に従う装置は、前記光学アセンブリが、前記測定ビームを視線に沿って且つ前記光学アセンブリの出口を通して方向づけるように構成され、前記光学アセンブリは走査反射器を含み、前記走査反射器は前記測定ビームの焦点を前記視線に沿って調節するために移動可能であってもよい。さらに、前記光学アセンブリは固定反射器を含み、前記固定反射器及び走査反射器は、光源からの前記測定ビームが前記走査反射器によって前記固定反射器へ反射され、前記固定反射器からの反射された測定ビームが再び前記走査反射器によって反射されるように、互いに対して相対的に方向づけられ、前記測定ビームの前記焦点を前記視線に沿って調節するために、前記走査反射器は前記固定反射器に対して移動可能であってもよい。さらに、前記走査反射器がレトロリフレクターを含み、前記固定反射器が平面鏡を含んでもよい。さらに、前記光源及び前記平面鏡が全て前記光学アセンブリの支持構造体に対して固定された部位にあり、前記測定ビームの前記焦点を前記視線に沿って変化させるために、前記レトロリフレクターがそれらの固定された部位に対して移動可能であってもよい。さらに、前記レトロリフレクターは、少なくとも3つの反射面を有するコーナーキューブを含み、前記少なくとも3つの反射面は、(i)前記光源からの前記測定ビームが前記コーナーキューブを通して前記平面鏡へ反射され、前記平面鏡から反射された前記測定ビームが再び前記コーナーキューブを通して反射され、(ii)少なくとも一つの所定の方向における前記コーナーキューブの動きによって、前記所定の方向を横切る方向における前記コーナーキューブの動きまたは前記所定の方向に対する前記コーナーキューブの回転に実質的に影響されない方法で、前記測定ビームの前記焦点が前記視線に沿って調節されるように方位が付けられてもよい。
【0059】
本関連発明の第1の態様に従う装置は、前記光学アセンブリが、前記測定ビームを視線に沿って且つ前記光学アセンブリの出口を通して方向づけるように構成され、前記光学アセンブリは走査反射器を含み、前記走査反射器は前記測定ビームの焦点を前記視線に沿って調節するために移動可能であってもよく、さらに、前記走査反射器は、前記測定ビームの2つの反射をもたらす反射ルーフを含み、前記固定反射器も、前記測定ビームの2つの反射光をもたらす反射ルーフを含み、両方の反射ルーフの交線は互いに相対して所定の方向を向いていてもよい。さらに、前記走査反射器によって反射され、前記視線に沿って方向づけられる前記測定ビームが、前記測定ビームの前記視線を折り返す折り返しミラーによって反射されてもよい。さらに、前記ビーム源及び前記平面鏡が、前記レトロリフレクターに対して一体として動くことが可能であるような方法で支持され、前記視線は前記一体とともに動いてもよい。さらに、前記光源が前記折り返しミラーに支持される光ファイバーを含んでもよい。
【0060】
本関連発明の第1の態様に従う装置は、前記光学アセンブリが、前記測定ビームを視線に沿って且つ前記光学アセンブリの出口を通して方向づけるように構成され、前記光学アセンブリは走査反射器を含み、前記走査反射器は前記測定ビームの焦点を前記視線に沿って調節するために移動可能であってもよい。さらに、前記光学アセンブリは固定反射器を含み、前記固定反射器及び走査反射器は、光源からの前記測定ビームが前記走査反射器によって前記固定反射器へ反射され、前記固定反射器からの反射された測定ビームが再び前記走査反射器によって反射されるように、互いに対して相対的に方向づけられ、前記測定ビームの前記焦点を前記視線に沿って調節するために、前記走査反射器は前記固定反射器に対して移動可能であってもよい。さらに、前記走査反射器がレトロリフレクターを含み、前記固定反射器が平面鏡を含んでもよい。この場合において、前記走査反射器によって反射され、前記視線に沿って方向づけられる前記測定ビームが、前記測定ビームの前記視線を折り返す偏光ビームスプリッタによって反射され、前記光源は、前記測定ビームの前記視線を折り返す前記偏光ビームスプリッタに対する所定の部位において光ファイバーを備えてもよい。あるいは、前記光源が、前記平面鏡として機能する部分及び前記走査反射器によって反射される前記測定ビームの前記視線を折り返す別の部分を有するモノリシック部材によって支持される光ファイバーを含んでもよい。あるいは、前記光源が前記平面鏡を支持する透過部材によって支持される光ファイバーを含んでもよい。
【0061】
本関連発明の第2の態様に従えば、ビームを視線に沿って集光するための光学アセンブリであって、レンズと、前記レンズを通って延在する視線に沿って光源からのビームを集光するために協働する走査反射器及び固定反射器と含み、前記光源からのビームが前記走査反射器によって前記固定反射器へ反射され、前記固定反射器からの反射光が再び前記走査反射器によって反射されて前記レンズを通して前記視線に沿って方向づけられるように、前記レンズ、前記走査反射器及び前記固定反射器が互いに対して相対的に方位が付けられ、前記視線に沿って前記ビームの前記焦点を調節するために、前記走査反射器が前記光源、前記レンズ及び前記固定反射器に対して相対的に移動可能である光学アセンブリが提供される。
【0062】
本関連発明の第2の態様に従う光学アセンブリは、前記走査反射器がレトロリフレクターを含み、前記固定反射器が平面鏡を含んでもよい。さらに、前記光源、前記レンズ及び前記平面鏡が全て前記光学アセンブリの支持構造体に対して固定され、前記測定ビームの前記焦点を前記視線に沿って変化させるために、前記レトロリフレクターがそれらの固定された部位に対して移動可能であってもよい。さらに、前記レトロリフレクターは、少なくとも3つの反射面を有するコーナーキューブを含み、前記少なくとも3つの反射面は、(i)前記光源からの光が前記コーナーキューブを通して前記平面鏡へ反射され、前記平面鏡から反射された光が再び前記コーナーキューブを通して反射され、(ii)少なくとも一つの所定の方向における前記コーナーキューブの動きによって、前記所定の方向を横切る方向における前記コーナーキューブの動きまたは前記所定の方向に対する前記コーナーキューブの回転に実質的に影響されない方法で、前記ビームの前記焦点が前記視線に沿って調節されるように方向づけられてもよい。
【0063】
本関連発明の第2の態様に従う光学アセンブリにおいて、前記走査反射器は、前記ビームの2つの反射をもたらす反射ルーフを含み、前記固定反射器も、前記ビームの2つの反射光をもたらす反射ルーフを含み、両方の反射ルーフの交線は互いに相対して所定の方向を向いていてもよい。さらに、前記走査反射器によって反射され、前記レンズを通して前記視線に沿って方向づけられる前記ビームが、前記レンズを通して方向づけられる前記ビームの前記視線を折り返す折り返しミラーによって反射されてもよい。この場合において、さらに、前記レンズ、前記ビーム源及び前記平面鏡が、前記レトロリフレクターに対して一体として動くことが可能であるような方法で支持され、前記視線は前記一体とともに動てもよい。あるいは、前記光源が前記折り返しミラーに支持される光ファイバーを含んでもよい。
【0064】
本関連発明の第2の態様に従う光学アセンブリにおいて、前記走査反射器がレトロリフレクターを含み、前記固定反射器が平面鏡を含んでもよく、さらに、前記走査反射器によって反射され、前記レンズを通して前記視線に沿って方向づけられる前記ビームが、前記レンズを通して方向づけられる前記ビームの前記視線を折り返す偏光ビームスプリッタによって反射され、前記光源が、前記レンズを通して方向づけられる前記ビームの前記視線を折り返す前記偏光ビームスプリッタに対する所定の部位において光ファイバーを含んでもよい。
【0065】
本関連発明の第2の態様に従う光学アセンブリにおいて、前記走査反射器がレトロリフレクターを含み、前記固定反射器が平面鏡を含んでもよく、さらに、前記光源が、前記平面鏡として機能する部分及び前記走査反射器によって反射され且つ前記レンズを通して前記視線に沿って方向づけられる前記ビームの前記視線を折り返す別の部分とを有するモノリシック部材によって支持される光ファイバーを含んでもよい。
【0066】
本関連発明の第2の態様に従う光学アセンブリにおいて、前記走査反射器がレトロリフレクターを含み、前記固定反射器が平面鏡を含んでもよく、さらに、前記光源が前記平面鏡を支持する透過部材によって支持される光ファイバーを含んでもよい。
【0067】
本関連発明の第3の態様に従えば、物体を検査又は測定するための方法であって、光学アセンブリの出口を通して測定ビームを方向づけるように構成される光学アセンブリ用いて前記物体を測定ビームで照明することを含み、前記光学アセンブリは、前記光学アセンブリの前記出口を通して方向づけられている前記測定ビームの光路を折り返すように構成される、物体を検査又は測定するための方法が提供される。
【0068】
本関連発明の第2の態様に従う物体を検査又は測定するための方法は、前記光学アセンブリが反射屈折光学系を含んでもよい。さらに、前記光学アセンブリが、測定ビームを視線に沿って且つ前記光学アセンブリの前記出口を通して方向づけるように構成され、前記光学アセンブリは走査反射器を含み、前記走査反射器は前記測定ビームの焦点を前記視線に沿って調節するために移動可能であってもよい。
【0069】
本関連発明の第4の態様に従えば、設計情報に基づいて構造体を製造することと、
本関連発明の第3の態様に従う方法を用いることによって、構造体の形状情報を得ることと、
前記得られた形状情報を前記設計情報と比較することとを含む、構造体を製造する方法が提供される。
【0070】
本関連発明の第4の態様に従う、構造体を製造する方法は、さらに、前記構造体を前記比較の結果に基づいて再処理することを含んでもよい。
【0071】
本関連発明の第4の態様に従う、構造体を製造する方法において、前記構造体の再処理が前記構造体をもう一度製造することを含んでもよい。
<関連発明を実施するための形態>
【0072】
本関連発明によるレーザーレーダーシステム1100の実施形態を、以下で図面を参照して説明する。しかし、本関連発明はそれらに限定されない。
【0073】
本関連発明の実施形態は、小型の光学アセンブリ(集積光学アセンブリ又はIOAと称されることがある)を提供する。このような小型の光学アセンブリはレーザーレーダーシステムにおいて有用であり、他の様々な光学システムにおいても有用である。
【0074】
レーザーレーダーシステムにおいて、光学アセンブリは、レーザーレーダーシステムがターゲットに向けられるように、レーザーレーダーシステムと一体として動くように構成され、レーザーレーダーシステムの他の部品に対して移動可能な大きな走査(ポインティング)ミラーを不要にする。
【0075】
光学アセンブリは小型であり、ポインティングビーム及び測定ビームを光学レーダーシステムの出口に向けて方向づけ集光させるための素子を比較的単純に組み立てたものを利用するように設計される。
【0076】
本関連発明の第1実施形態に従う光学システムは、レーザーレーダーと一体として移動可能であり、レーザーレーダーシステムが向けられるターゲットへポインティングビームと測定ビームの両方を方向づける反射屈折光学系を含み、反射屈折光学系は、ポインティングビームを方向づけるためにレーザーレーダーの他の部品に対して移動可能な走査(ポインティング)ミラーを不要にする。ポインティングビームは可視(例えば約610nmから750nmのような赤色)波長範囲内で作り出され、測定ビームは異なる所定の波長(例えば約0.7μmから10μmなどの赤外光、つまりIR)範囲内で作り出される。ポインティングビーム及び測定ビームをレーザーレーダーシステムから(ターゲットに)方向づけるために、ポインティングビーム及び測定ビームは、レーザーレーダーシステムと一体として動く本実施形態の小型の光学アセンブリによって、レーザーレーダーの他の部品に対して移動可能な走査(ポインティング)ミラーの使用をしない方法で操作される。
【0077】
光学アセンブリは、光学パワー(optical power)の大部分をもたらす凹面鏡を含む反射屈折光学系を含み、2つの必要とされる波長の間の色収差の容易な補正を可能にする。凹面鏡は、光路をそれ自身に向けて折り返し、光学アセンブリの全体の大きさを実質的に減じる。光学アセンブリのサイズは、カメラがレーザーレーダーシステムの移動部分に設置されるように十分小さく設計され、カメラの光軸が測定ビームの軸と同一線上になるようにする反射窓又はコールドミラーを用いることにより、視差効果を取り除く。凹面鏡は、システムの色収差の補正に役立ち、また光路を折り返して、走査のために光学アセンブリ全体がレーザーレーダーシステムと一体として回転するようにする小型の光学システムを作り出し、既存のシステムの高価で手間のかかる回転(ポインティング)ミラーを除外する。
【0078】
基本的に本関連発明の第1実施形態は、レーザーレーダーシステムの一部として一体として移動可能であり、且つポインティングビーム及び測定ビームをレーザーレーダーシステムの出口を通して方向づけるように構成される光学アセンブリを含む。光学アセンブリは、光学アセンブリの大きさを圧縮するために、レーザーレーダーシステムの出口を通して方向づけられているポインティングビーム及び測定ビームの光路を折り返すように構成される反射屈折光学系を含む。
【0079】
本関連発明の第1実施形態は様々な方法で実施(implemented)され得る。例えば、光学アセンブリは、ポインティングビーム及び測定ビームをレーザーレーダーシステムの出口に向かって方向づける透過部分を備える窓を含む。中継システムが、ポインティングビーム及び測定ビームを光ファイバーから窓の反射領域へ方向づけ、反射屈折光学系が窓の反射領域からのポインティングビーム及び測定ビームを受光し、反射して窓の透過部分に戻す。それによりレーザーレーダーシステムの出口を通して方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームの光路が折り返され、光学アセンブリの大きさが圧縮される。凹面鏡は、光路をそれ自身に向けて折り返す。換言すると、光路の一部が重なる。測定ビームの光路に関しては、凹面鏡と窓の反射領域の間の光路が重なる。換言すると、光学アセンブリは光源からの光の2以上の方向を有する。
【0080】
この実装のある具合的なバージョンにおいて、光学アセンブリは、反射屈折光学系によって反射されて窓の透過部分を通るように戻されたポインティングビーム及び測定ビームの焦点を変えるために、少なくとも一つの移動可能な光学系を含む。他の具体的なバージョンにおいて、反射屈折光学系によって反射されて窓の透過部分を通るように戻されたポインティングビーム及び測定ビームの焦点は、光学パワーは低いが(low optical
power)球面収差が大きいことを特徴とする複数の光学系を動かすことによって変化する。
【0081】
本関連発明の第1実施形態の他の実装において、窓は、ポインティングビーム及び測定ビームの各々の波長範囲を含む所定の波長範囲内の光を透過するコールドミラーを含み、ポインティングビーム及び測定ビームを伝達する光ファイバーがコールドミラーの中心部位に設置される。反射屈折光学系は光ファイバーからのポインティングビーム及び測定ビームを受光し、ポインティングビーム及び測定ビームを反射して、レーザーレーダーシステムの出口へ方向づけられるコールドミラーに戻す。カメラ140は、コールドミラー122の被膜によって反射された光をカメラが受光するように位置づけられ、カメラの視線は測定ビーム及びポインティングビームの軸と同一線上になる。コールドミラー122はカメラの光軸を測定ビームの軸と同一線上にする。
【0082】
この実装のある具体的なバージョンにおいて、光学アセンブリは、反射屈折光学系によって反射されてコールドミラーを通るように戻るポインティングビーム及び測定ビームの焦点を変えるために、少なくとも一つの移動可能な光学系を含む。他の具体的なバージョンにおいて、反射屈折光学系によって反射されてコールドミラーを通るように戻ったポインティングビーム及び測定ビームの焦点は、光学パワーは低いが(low optical
power)球面収差が大きいことを特徴とする複数の光学系を動かすことによって変えられる。
【0083】
本関連発明の第2実施形態の基本的な態様に従うと、光学アセンブリは、ポインティングビーム及び測定ビームを視線に沿って且つレーザーレーダーシステムの出口を通して方向づけるように構成される。光学アセンブリは、光源、レンズ、走査反射器及び固定反射器を含み、これらはレンズを通って延在する視線に沿って光源からのポインティングビーム及び測定ビームを集光するために協働する。光源、レンズ、走査反射器及び固定反射器は、光源からのポインティングビーム及び測定ビームが走査反射器によって固定反射器へ反射され、固定反射器からの反射されたポインティングビーム及び測定ビームが再び走査反射器によって反射され、レンズを通して視線に沿って方向づけられるように、互いに関連して方向づけられる。そして走査反射器は、ポインティングビーム及び測定ビームの焦点を視線に沿って調節するために、光源、レンズ及び固定反射器に対して移動可能である。
【0084】
本関連発明の第2の実施形態の好ましいバージョンに従うと、走査反射器はレトロリフレクターを含み、固定反射器は平面鏡を含む。光源、レンズ及び平面鏡は全て、光学アセンブリの支持構造体に対して固定された部位にあり、レトロリフレクターは、ポインティングビーム及び測定ビームの焦点を視線に沿って変化させるために、それらの固定された部位に対して移動可能である。
【0085】
また、以下の詳細な説明は、本関連発明の第2実施形態の光学アセンブリのいくつかのバージョンを提供する。あるバージョンにおいて、レトロリフレクターは、次のように方向づけられる少なくとも3つの反射面を有するコーナーキューブを含む。(i)光源からのポインティングビーム及び測定ビームがコーナーキューブを通して平面鏡へ反射される。(ii)平面鏡から反射されたポインティングビーム及び測定ビームが再びコーナーキューブを通して反射される。(iii)少なくとも一つの所定の方向におけるコーナーキューブの動きによって、所定の方向を横切る方向におけるコーナーキューブの動きまたは所定の方向に対するコーナーキューブの回転に実質的に影響されない方法で、ポインティングビーム及び測定ビームの焦点が視線に沿って調節される。
【0086】
本関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリの別のバージョンにおいて、走査反射器は、ポインティングビーム及び測定ビームの2つの反射光をもたらす反射ルーフを含み、固定反射器は、ポインティングビーム及び測定ビームの2つの反射光をもたらす反射ルーフを含み、両方の反射ルーフの交線は互いに相対して所定の方向を向いている。
【0087】
また以下の詳細な説明は、(例えば本関連発明の第2実施形態の)光学アセンブリの部品を構成し方向づけるためのコンセプトをもたらす。それらのコンセプトは、例えば、光学アセンブリを可能な限り小型に保ったまま、光学アセンブリを軽量にし、光学アセンブリの性能を改善するために設計される。
【0088】
あるコンセプトにおいて、走査反射器によって反射され且つレンズを通して視線に沿って方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームは、レンズを通して方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームの視線を折り返す折り返しミラーによって反射される。光源は折り返しミラーに支持される光ファイバーを含む。
【0089】
別のコンセプトにおいて、レンズ、ビーム源及び平面鏡は、それらが、レトロリフレクターに対して一体として動くことが可能であるような方法で支持され、視線はその一体となったレンズ、ビーム源及び平面鏡とともに動く。
【0090】
さらなる別のコンセプトにおいて、走査反射器によって反射され且つレンズを通して視線に沿って方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームは、レンズを通して方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームの視線を折り返す偏光ビームスプリッタによって反射される。光源は、レンズを通して方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームの視線を折り返す偏光ビームスプリッタに対する所定の部位において光ファイバーを含む。
【0091】
さらに別のコンセプトにおいて、光源は、平面鏡として機能する部分及び走査反射器によって反射され且つレンズを通して視線に沿って方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームの視線を折り返す別の部分を有するモノリシック部材によって支持される光ファイバーを含む。
【0092】
さらに別のコンセプトにおいて、光源は、平面鏡を支持する透過部材に支持される光ファイバーを含む。
<本関連発明の第1実施形態>
【0093】
上記のように本関連発明は、レーザーレーダーシステムと一体として移動可能であり且つレーザーレーダーシステムからのポインティングビーム及び測定ビームを伝達するように構成される光学アセンブリを提供し、ポインティングビーム及び測定ビームはレーザーレーダーシステムが向けられるターゲットに向けられ得る。本発明は、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号に記載されるタイプのレーザーレーダーシステムと関連してここに記載される。また、その記載から、本関連発明を様々なタイプのレーザーレーダーシステムに実装することができる方法は当業者にとって明らかであるだろう。
【0094】
図12及び図13は、この明細書で開示される実施形態の全てを含むレーザーレーダーシステムを示す。図12及び図13に示されるように、レーザーレーダーシステム1100は、可視(例えば、赤色)波長範囲内のポインティングビームと、別の(例えば、赤外、IR)波長範囲内の測定ビームを形成し、ポインティングビーム及び測定ビームをレーザーレーダーシステムの出口1120へ方向づける(伝達する)。ポインティングビームは、測定ビームが向けられるターゲット1106上の位置を識別するために用いられる。ポインティングビーム及び測定ビームの光源は異なる。制御ユニットは、レーザーレーダーシステム1100を制御することができる。この実施形態において、レーザーレーダーシステム1100は制御ユニットを備える。しかし、レーザーレーダーシステム1100に連結される別々のシステムが制御ユニットを備えてもよい。
【0095】
測定ビームは、スプリッタ1102を通過してもよく、スプリッタ1102は、測定ビーム(及びポインティングビーム)を測定経路1104に沿って且つターゲット1106に向けて方向づけ、レーザービームの一部分が米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号に記載される方法で処理される回路1108を通して測定ビームの一部分を送る。図12において、そのスプリッタは1102と識別される下部のスプリッタである。測定経路1104に沿って方向づけられる測定ビームがターゲット1106から反射され、その反射または散乱された測定ビームの一部分がレーザーレーダーシステム1100に戻って受光される。反射または散乱された測定ビームの一部分は、図12に示される上部のスプリッタによって検出器へ方向づけられ、ターゲット1106についての情報をもたらすために検出され処理される。反射又は散乱される測定ビームからの放射の検出及び処理は、レーザーレーダーシステム100の基部110でなされ、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号に従って、反射される放射を検出し処理するように構成される。これらの特許文献をここに援用して本文の記載の一部するが、これらは本関連発明の本実施形態のどの部分も形成しない。簡潔には、光ヘテロダイン式検出は、ターゲット1106へ方向づけられ、ターゲット1106から反射される光源光線を提供する。次いで、ターゲット1106についての詳細な情報を提供するために処理されうる光干渉パターンをもたらすために、リターン光線は光検出器でローカルオシレーター光線と混合される。光ヘテロダイン技術は、光源光線及び反射光線の相互関係を利用する。例えばこれらの光線は実質的に同じ波長であり、同じ光軸上に方向づけられる。測定経路1104及びターゲット経路1104は同じである。このことより信号対雑音比(SNR)が改善され感度が高まる。SNRは公知の直接検出システムと対照的に、小さい受光開口を用いてもよいように十分に高い。小さい受光開口は、アクセスが制限される領域に挿入できる非常に小さいレンズとして想定されてもよい。また、小さい受光開口はターゲットについての詳細な情報を提供できるため、コヒーレントシステムの光学部品は非常に小さく形成されてもよく、関連する走査速度及び正確さの上昇をもたらしてもよい。例えば、1/2インチ(約1.3cm)の開口を用いるコヒーレント光システムは、直接光検出システムで用いられる4インチ(約10.1cm)の開口よりも多くのターゲットについての情報を得ることができる。本関連発明は、ポインティングビーム及び測定ビームをレーザーレーダーシステムの出口1120に伝達する光学アセンブリを対象とする。
【0096】
公知のレーザーレーダーシステムにおいて、ポインティングビームをターゲットへと方向づけるために、移動可能なミラーが設けられる。移動可能なミラーは、測定ビームを伝達する光学系から離れており、移動可能なミラーとレーザーレーダー光学系の両方を収容するために比較的大きなレーザーレーダーハウジングを必要とする。測定ビームとポインティングビームの両方がレーザーレーダーシステム1100と一体として移動可能で且つ比較的小型な光学アセンブリによって形成されるため、本関連発明は比較的小型である。さらに、本発明の光学アセンブリは、ビーム伝達/受光動作を実行する場合に比較的安定であるように設計される。光学アセンブリを移動するために電気モーターが設けられる。この関連発明の実施形態において、光学アセンブリは、異なる方向と関連する2つの軸について移動可能である。図13に示されるように、2つの軸は、YZ面とXY面で定まる。2つの軸はZ軸及びX軸である。光学アセンブリの位置をモニターするためにエンコーダが設けられる。制御ユニットは、光学アセンブリの位置によって電気モーターのパワーを制御することができる。
【0097】
図13に示されるように、レーザーレーダーシステム1100は、光学アセンブリが設置、固定されるハウジング(例えば回転可能シリンダ1112)を含む。それにより光学アセンブリはシリンダ1112と一体として、レーザーレーダーシステムの基部1110に対して移動する。レーザーレーダーシステムは、ハウジング1112において出口1120を含み、出口1120を通して放射(例えば2つの波長のポインティングビーム及び測定ビーム)がレーザーレーダーシステムから方向づけられる。基部1110は、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,114,226号、第7,139,446号、第7,925,134号及び日本特許第2,664,399号に開示されるレーザーレーダーシステムの処理性能を含む。
【0098】
本実施形態の第1実施形態の光学アセンブリ1114の基本的な特徴は、図14a〜14cから理解することができる。図14aにおいて、光学アセンブリ1114は、ポインティングビーム及び測定ビームが伝達される光ファイバー(ファイバーチップ1116で表される)と、光ファイバー1116からのポインティングビーム及び測定ビームを(図14a〜14cの実施形態においては、折り返しミラーとも称される)窓1122の小さい反射領域1126へと方向づける中継システム1124と、窓1122の反射領域1126からのポインティングビーム及び測定ビームを受光及び反射し窓1122を通るように戻す反射屈折光学系1128とを含み、ポインティングビーム及び測定ビームは、ハウジング1112の出口1120を通して方向づけられる。窓1122は、片面に反射領域1126を形成する小さな銀色の領域を有し、もう一方の面に赤色及び赤外範囲内の放射が窓を透過して出力開口1120に伝達されるようにする被膜を有する。カメラ1140が、窓1122の被膜によって反射された光を受光するように、カメラの視線が測定ビーム及びポインティングビームの軸と同一線上になるようにして設置される。なお、カメラ1140の位置及び向きが図14aに示されているが、図14b、図14c、図15に示される本関連発明の第1実施形態のバージョンにおいて、カメラ1140を窓1122に対して同様に位置づけ、方向づけることができる。
【0099】
さらに、光学アセンブリ1114は、ターゲット1106から反射または散乱された少なくともいくつかの放射を受光するように構成され、その放射がファイバー1116に戻るように方向付ける。ファイバー1116は、可視(例えば赤色)波長範囲内のポインティングビームを異なる、例えば赤外(IR)の波長範囲内の測定ビームと結合する、ファイバービーム結合器を有し得る。ポインティングビーム及び測定ビームは別々の光源から発生させられ、当業者によく知られた方法で基部1110内に設置されるファイバービーム結合器によって結合される。
【0100】
この本関連発明の実施形態のレーザーレーダーシステム1100は、ポインティングビーム及び測定ビームを有する。しかしレーザーレーダーシステム1100は測定ビームを有し、ポインティングビームを有さなくてもよい。測定ビームは、例えば可視である。ゆえにこの場合では、測定ビームがポインティングビームにもなり得る。この関連発明の実施形態のレーザーレーダーシステム1100は、ポインティングビームと測定ビームの間で異なる波長領域を有する。しかしレーザーレーダーシステム1100は、例えば可視領域などの同じ波長領域を有してもよい。
【0101】
図14aにおいて、光学アセンブリ1114は、光ファイバー1116からのポインティングビーム及び測定ビームを窓1122の小さな反射領域1126へと方向づける中継システム1124と、窓1122の反射領域1126からのポインティングビーム及び測定ビームを受光及び反射し、窓1122の透過部を通るように戻す反射屈折光学系1128とを含み、ポインティングビーム及び測定ビームは、ハウジングの出口1120を通して方向づけられる。反射屈折光学系1128は、放射(つまり、ポインティングビーム及び測定ビーム)を反射する球面鏡1130と、放射を方向づける1つ以上の光学系を含む。図14aの実施形態において、光学アセンブリは、球面鏡1130から反射された放射の焦点を変化させ、窓1122を通して戻すために、少なくとも一つの移動可能な光学系1132を含む。光学系1132は両凹でも平凹でもよく、少なくとも一つの凹部1134が折り返しミラー1122に対面する。移動可能な光学系1132は、球面鏡1130から反射された放射をターゲットに集光するように構成される。また移動可能な光学系1132は、透過レンズ表面で反射された迷光(ゴースト像)が戻ってファイバー1116を通るように方向付けられることを減少させるように構成される。具体的には(specifically)、光学系1132の凹部1134は、レンズ表面で反射された迷光が戻ってファイバーを通るように方向付けられる可能性を減少させるために、ファイバー複合体とは全く異なる曲率中心を有する。また、光学アセンブリに関して固定されるレンズ1135は、ターゲット上の回折限界集光スポットを許容し(allowing for)、球面収差を補正する。球面鏡は光路をそれ自身に向かって折り返す。言い換えると、光路の一部分が重なる。測定ビームの光路に関して、凹面鏡と反射領域1126の間の光路が重なる。言い換えると、光源からの光の進行方向が光学アセンブリ内で変わる。反射領域1126から凹面鏡への方向は、凹面鏡から反射領域1126への方向と異なる。本関連発明の第1実施形態の別の特定のバージョンでは、図14b及び図14cに示されるように、光学アセンブリは、球面鏡1130及び窓1122に対してグループとして移動できる光学系の組1136を含む。図14b及び14cの実施形態において、反射屈折光学系によって反射され戻って窓1122を通るように方向づけられたポインティングビーム及び測定ビームの焦点は、光学系の組1136を動かすことによって変化する。その光学系は、光学パワーは低いが(low optical power)球面収差が大きいことを特徴とする。よって、図14bの例において、短い距離(例えば、約1メートル)の焦点をもたらすために、光学系の組1136が窓1122に比較的近接している。図14cにおいては、比較的長い距離(例えば、約60メートル)の焦点をもたらすために、光学系の組1136が球面鏡1130に比較的近接している。移動するグループ1136の位置は、2つの極端な状態の間で連続的に可変であり、レーザーレーダー光学アセンブリから例えば1〜60メートルの間のいかなる距離においても、測定ビーム及びポインティングビームを集光できる。
【0102】
本関連発明の第1実施形態のさらに別の特定のバージョンにおいて、その反射屈折部分が図15に示されるが、窓1122は「コールドミラー」として知られるものを含む。なぜならコールドミラーはポインティングビーム及び測定ビームの可視赤色波長領域及びIR波長領域の放射を透過し、より短い波長の放射を反射するためである。光ファイバー1116はコールドミラー1122の中心部位の孔1137に設置される。反射屈折光学系は、図14a、14b、14cに関係して記載された方法で、光ファイバー1116からのポインティングビーム及び測定ビームの放射を受光し、コールドミラー1122を通してレーザーレーダーのハウジング1122の出口1120へその放射を反射して戻す。また、第1実施形態のこのバージョンは、反射されてコールドミラーを通るように戻された放射の焦点を変化させるために、(例えば図14aにおいて1132で示されるような)一つの両凹又は平凹の光学系を含み得る。(一つの両凹又は平凹の光学系は、レンズ表面から反射された迷光(ゴースト像)が戻ってファイバーを通るように方向付けられることを減少させるために、ファイバー複合体とは全く異なる曲率中心を有する凹表面1134を備える。)あるいは、その第1実施形態のバージョンは、(例えば、図14b及び14cにおいて1136で示されるような)複数の移動する光学系を含み得る。複数の移動する光学系は、光学パワーは低いが(low optical power)球面収差が大きいことを特徴とする光学系の組1136を動かすことによって、反射屈折光学系によって反射され且つ戻ってコールドミラー1122を通るように方向付けられたポインティングビーム及び測定ビームの焦点が変化するように構成される。
【0103】
図16は、本関連発明の第1実施形態に従う光学アセンブリの性能の例を示す。図16の例において、1、2、5、24及び60メートルにおいて(赤外光について)性能が示されているが、赤色光はいずれの位置についてもよく集光する。図16は、当業者によく知られている光学システムの性能水準を示すスポットダイアグラムを示す。図16の実線の円は、波長及びレーザーレーダー光学システムの開口によって定まる回折限界を示す。回折限界は、当業者によく知られるように、この光学システムにとって可能な最良の性能を示す。1、2、5、24及び60メートルの各ターゲット距離についての3つのプロットは、反射屈折光学システム1128及び/又は中継システム1124に対してファイバーが軸外に移動するときの性能を示す。各ターゲット距離についての3つのプロットは、左上は軸外距離0mmについて、右上は軸外距離0.3mmについて、中央下は軸外距離0.5mmについてである。「+」記号は、異なる光線の集光位置を示す。これらの記号全てが回折限界を示す円内または円に近接している場合は、当業者によく理解されるように、レンズの性能は回折限界的である。
【0104】
ターゲットの3次元における位置を測定するためのレーザーレーダーの能力の重要な側面は、レーザーレーダーのポインティング(光学)軸に垂直な面におけるスポットの位置の分解能である。これは、光学アセンブリ全体をポイントするステアリングアセンブリの2つのポインティング角を正確に測定することによってなされる。しかしある状況において、ポインティング軸に垂直な面におけるターゲット位置の空間分解能は、光学アセンブリがターゲット上に結像するスポットの大きさに制限され得る。換言すると、ターゲットの結像される光のスポットが小さいほど、ターゲットの3次元位置がよりよく定められ得る。よって図16に示される性能は、当業者にとって明らかなように、本明細書に記載されるタイプのシステムを用いて達成される典型的な性能は回折限界的であり得ることを示す。
【0105】
さらに、結像したスポットの大きさは、光学アセンブリによってどれだけ光が集められ得るかを決定する。より多くの光がターゲットに集光する場合、より多くの光がターゲットによって反射又は散乱され、その反射又は散乱された光の適当な一部分が光学アセンブリによって集められ、集光されてファイバー1116に戻され、これによりレーザーレーダーとターゲットの間の距離の正確な測定が可能となる。換言すると、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,1114,226号、第7,139,446号、第7,925,1134号及び日本特許第2,664,399号に記載される技術を用いると、スポットが小さいほど、より多くの測定光が光学アセンブリに戻り、より正確な距離測定がなされる。
【0106】
図17は、本実施形態に従う光学アセンブリを用いた、移動するグループ1136の軸方向の位置を関数とする測定ビーム及びポインティングビームの焦点位置の例を示す。図17に示されるプロットは、特に図14b及び14cに示される構成についての移動するグループの位置を示し、1メートルから60メートルの距離まで(レーザーレーダーハウジング1112からターゲットまで)進むためには、光学系の移動可能なグループ1136が約47mm動く必要があることを示す。
【0107】
当業者に理解されるように、本関連発明の第1実施形態の光学アセンブリ1114は小型で堅牢であり、光学パワーの大半のために凹面鏡1130を用いる。また、凹面鏡1130は色収差を生じない。図14a〜14cの実施形態において、窓1122は、窓の片面に小さな銀色の領域1126が加えられ(、少し不明瞭化を生じ)る。窓1122の他方の面は、所定の波長(例えば、可視赤色、IR)範囲内の光を透過し、可視ポインティングビームに使用される波長以外のスペクトルの可視域の光を反射する波長選択性被膜を備える。これによりカメラ1140は、レーザーレーダーシステムによって測定されている場所を見るためにその残りの可視光を使用できる。
【0108】
また、主ミラー1130は凹型であり、好ましい実施形態において、主ミラーは球形であることにも注目すべきである。主ミラー1130は、光学アセンブリの色収差を補正するのに役立ち得る。図14aの実施形態における両凹又は平凹の移動レンズ1132により集光を達成(accomplish)することができる。レンズグループ1136(図14b、14c)を主ミラー1130とコールドミラー1122の間で動かすことによっても集光を達成(accomplish)することができる。
【0109】
よって、本関連発明の第1実施形態の反射屈折光学アセンブリは、(i)移動するミラーの必要性を取り除(いて、問題のあるドップラー効果を取り除)き、(ii)2つの波長(赤及び赤外)を同時に集光させるように設計される、小型の光学アセンブリを提供する。凹面鏡1130と窓(又はコールドミラー)1122の間に設置される移動可能なレンズ1132又はレンズグループ1136が、ここに記載され示される部品と共に、集光を実現する。
【0110】
さらに、光学アセンブリは、窓(又はコールドミラー)1122から1メートルから60メートルの連続的な集光範囲をもたらすように設計される。窓(又はコールドミラー)の背面での不明瞭化はごくわずかであり、中継システム1124によってもたらされる色収差は反射屈折光学系によって補正される。
【0111】
よって、本関連発明の第1実施形態は、小型の光学アセンブリを提供し、この光学アセンブリは、レーザーレーダーシステムの他の部品に対して移動可能な大きな走査(ポインティング)ミラーを不要にするため、レーザーレーダーシステムにおいて役立つ。さらに、本関連発明の第1実施形態の小型の光学アセンブリは、屈折力のほとんどをもたらす凹面鏡を備える反射屈折構成を有し、ポインティングビーム及び測定ビームの2つの所要波長間でより容易に色収差を補正する。凹面鏡は、光路をそれ自身へ向けて折り返し、全体的な大きさを実質的に減じる。システムの大きさは、カメラ1140(図13、14a)がレーザーレーダーシステムの動く部分に設置されるように十分に小さいべきであり、カメラの光軸が測定ビームの軸と同一線上になるようにする反射窓又はコールドミラーを用いることで視差効果を除外する。窓(又はコールドミラー)1122は光がターゲットに投影される前の最後の光学要素であるため、この新たな光学アセンブリは、カメラの視野が窓(またはコールドミラー)1122から反射されるように構成することによって、レーザーレーダーと同じ方向に同じ軸に沿って向けることができる広角カメラ1140を使用できるようにする。不明瞭化はわずかであり、レーザーレーダーの作動中にターゲットに形成されるスポットの大きさを大幅に増加させないだろう。
【0112】
したがって、上記の説明からわかるように、本実施形態は、レーザーレーダーシステム用の小型の光学アセンブリを提供する。光学アセンブリは、レーザーレーダーシステムと一体として移動しポインティングビーム及び測定ビームをレーザーレーダーシステムの出口へ伝達する反射屈折光学系を備え、レーザーレーダーシステムの他の部品に対して移動可能な走査(ポインティング)ミラーを不要にする。上記の説明を考慮すると、本実施形態の光学アセンブリを様々なタイプのレーザーレーダーシステムに実装できる方法が当業者にとって明らかであろう。
【0113】
<本関連発明の第2実施形態>
本関連発明の第2実施形態は、上記で図12及び13に関連して説明される基本原則に従って構成され作動するレーザーレーダーシステム1100を備える。図18a及び18bから、本関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリ1114の基本的な特定の特徴が理解されるだろう。図18aの光学アセンブリは、ポインティングビーム及び測定ビームが方向づけられるファイバー1130で表される光源と、レンズ1132、走査反射器1134、及び固定反射器を含む。図18aにおいて固定反射器は平面鏡1136を含む。これらの要素は、ファイバー1130からのポインティングビーム及び測定ビームを視線1138に沿って方向づけ集光するために協働する。視線1138は光学アセンブリの光軸と一致しレンズ1132を通って延在することが好ましい。ファイバー1130、レンズ1132、走査反射器1134及び平面鏡は、ファイバー1130からのポインティングビーム及び測定ビームが走査反射器1134によって平面鏡1136へ反射され、平面鏡1136からの反射されたポインティングビーム及び測定ビームが再び走査反射器1134によって反射され、レンズ1132を通して視線1138に沿って方向づけられるように、互いに関連して方向づけられる。次いでポインティングビーム及び測定ビームはレーザーレーダーシステムからターゲット1106に方向づけられる。
【0114】
図18aの実施形態において、走査反射器1134はレトロリフレクターを含む。レトロリフレクターは好ましくは、光学アセンブリの支持構造に全て固定されるファイバー1130、レンズ1132及び平面鏡1136に対して(例えばZ方向に)移動するコーナーキューブである。コーナーキューブ1134の移動により、ファイバーとレンズの間で測定ビームが進行する距離を変えることで、ポインティングビーム及び測定ビームの焦点を視線1138に沿って調節される。コーナーキューブ1134は、次のように方向づけられる少なくとも3つの反射面を有する。(i)光源からのポインティングビーム及び測定ビームがコーナーキューブ1134を通して平面鏡1136へ反射される。(ii)平面鏡1136から反射されたポインティングビーム及び測定ビームが再びコーナーキューブ1134を通して反射される。(iii)少なくとも一つの所定の方向(例えば図18aのZ方向)におけるコーナーキューブの動きによって、所定の方向を横切る方向におけるコーナーキューブの動きまたは所定の方向に対するコーナーキューブの回転に実質的に影響されない方法で、ポインティングビーム及び測定ビームの焦点が視線1138に沿って調節される。図18bは図18aの光学アセンブリの断片的な概略図であり、コーナーキューブ1134及び平面鏡1136によりもたらされる反射の図式を示し、これは、ポインティングビーム及び測定ビームの反射が、Z方向を横切る方向におけるコーナーキューブ1134の動きまたはZ方向に対するコーナーキューブの回転に影響されないようにする。
【0115】
ファイバー1132は、可視(例えば赤色)波長範囲内のポインティングビームを異なる、例えば赤外(IR)の波長範囲内の測定ビームと結合するファイバービーム結合器を伴う。ポインティングビーム及び測定ビームは、別々の光源から発生させられ、当業者によく知られる方法で(基部1110内に設置される)ファイバービーム結合器によって結合される。結合されるポインティングビーム及び測定ビームはここに記載される方法で、ファイバー1130から方向づけられ、視線1138に沿って集光される。
【0116】
よって、図18a及び18bに示される本関連発明の第2実施形態のバージョンにおいて、ポインティングビーム及び測定ビームは視線1138に沿って方向づけられ、視線に沿ったポインティングビーム及び測定ビームの焦点は、一つの部品(つまり、コーナーキューブ1134)を移動することにより、Z方向を横切る方向におけるコーナーキューブの動きまたはZ方向に対するコーナーキューブの回転に反応しない(つまり、影響されない)方法で調節される。また、図18a及び18bの光学アセンブリは非常に小型であり、比較的少ない部品で構成されている。ある構成において、コーナーキューブ1134は、固定された素子(ファイバー、平面鏡及びレンズ)に対して約22mm以下の距離にわたって移動することにより、ポインティングビーム及び測定ビームの焦点を調節することができ、そのことは光学アセンブリの小型化に寄与する。
【0117】
図18a及び18bの本関連発明の第2実施形態のバージョンにおいて、ポインティングビーム及び測定ビームは視線に沿って、レーザーレーダーシステムの出口1120へ方向づけられる。ポインティングビーム及び測定ビームは、測定ビームをレーザーレーダーシステムからターゲット1106上のスポットに方向づけ、そこで放射がターゲットから反射及び/又は散乱される。レーザーレーダーシステムの動作原理に従うと、光学アセンブリ1114は、ターゲット1106から反射または散乱される少なくともいくつかの放射を受光し、その放射は、当業者にとって明らかな方法で、戻ってファイバー1130を通るように方向づけられるであろう。
【0118】
ターゲット1106上に結像した測定ビームのスポットの大きさは、どれだけの光が光学アセンブリによって集められ得るかを決定する。より多くの光がターゲット上に集光する場合、より多くの光がターゲットによって反射又は散乱され、その反射または散乱された光の適当な一部分が光学アセンブリによって集められ、ファイバー1130に集光し戻され、これによりレーザーレーダーとターゲットの間の距離の正確な測定が可能となる。換言すると、米国特許第4,733,609号、第4,824,251号、第4,830,486号、第4,969,736号、第5,1114,226号、第7,139,446号、第7,925,1134号及び日本特許第2,664,399号に記載される技術を用いると、スポットがより小さいほど、より多くの測定光が光学アセンブリに戻り、より正確な距離測定が成なされる。
【0119】
図18a及び18bに示される本関連発明の第2実施形態のバージョンの光学アセンブリにおいて、コーナーキューブ1134に関連して固定される平面鏡1136の設備は、コーナーキューブを出た第1経路ビームを送り戻してコーナーキューブを通すが、システムは移動するコーナーキューブのZ方向に対する傾斜に依然として反応しない。コーナーキューブ1134のZ方向における横方向の移動は依然として第1経路にシフトを引き起こすが、しかし平面鏡1136がビームを反転し戻してコーナーキューブを通し、それが等価な反対のシフトを引き起こし、シフトが相殺される。コーナーキューブを通る経路の各々について、コーナーキューブの再帰反射特性は、コーナーキューブの向き、つまり傾斜又は回転に関わらず、出力ビームが入力ビームに平行であることを確実にする。したがって、図18aのシステムは名目上、コーナーキューブの傾斜及びx/y方向の動きには反応しない。図18bは、固定された平面鏡1136が、システムをどのようにコーナーキューブのx/y方向の動きに反応しないようにするかを示す。
【0120】
さらに、レーザーレーダーシステムは2つの波長を用いており、またシステムは背面反射に敏感であるため、コーナーキューブ1134は、固体ガラスの従来のコーナーキューブよりもむしろ、3つのミラーの組(エアコーナーキューブ)であってもよい。そして、ビームの各々が表面鏡に入射する。したがって、レーザーレーダーの距離測定部品についてノイズフロア(noise floor)に寄与し得るゴースト像を形成し得る面は、光学パワー(optical power)をもたらすための2インチ(約5.08cm)レンズ以外は存在しない。
【0121】
コーナーキューブ1134は、ビームによって2回横切られ、且つ反射されるため、ファイバー1130とレンズ1132の間の光路は、コーナーキューブの動きの4倍である;コーナーキューブの1mmの動きはファイバーとレンズの間の距離を4mm変化させる。ファイバーの既知のNA約0.1に基づき、且つ出口開口50mmに基づくと、固定レンズ1132の理想的な焦点距離は約250mmであることがわかる。物体と像の関係についてのニュートン方程式に基づくと、必要な総焦点範囲は、近焦点位置(1メートル)と遠焦点位置(60メートル)の間で約88mmである。これは、88/4=約22mmのコーナーキューブの移動に換算される。したがって唯一の必要なレンズは直径2インチ(約5.08cm)の対物レンズ1132である。
【0122】
この光学アセンブリの他の大きな利点は、光路1138がコーナーキューブ1134を通して2回折り返されるため、非常に小型な容積の中に250mmから(88+250)=338mmが収められることである。また長い焦点距離は、より短い折り返しのないシステムと比べて、レンズ1132の収差の要求が緩和されることも意味する。
【0123】
このシステムと透過光学系が移動するシステムとの主要な違いは、ファイバーがZ位置の基準であるために、集光部品(コーナーキューブ1134)の動きがファイバー1130と最後のレンズ部品の間のZ位置を変化させることである。したがって、システムは、この動きを簡単に補正するように十分正確にコーナーキューブの位置がわからなければならない。現在用いられているシステムパラメータは5μm+1.25ppm/mの軸方向位置測定精度を有し、最低で1メートル焦点あたり6.25μmの軸方向位置精度を有する。これはステージ位置が最悪でも6.25/4=1.56μmの精度で測定されなければならないことを意味する。遠焦点(60m)において、ステージは80/4=20μmの精度で知られなければならないだけである。このシステムのすべての利点を考慮すると、これはささいなトレードオフであるように思われる。
【0124】
図18aのシステムについて、入力ファイバー1130は分岐する出力ビームのちょうど真ん中にある。システムが図18aのように造られる場合、ファイバー1130を保持する構造体が光を遮り、光の一部が戻って直接ファイバーに入射し、ノイズフロア(noise floor)をもたらす可能性がある。図19a、19b及び19cに示される代替システムは、この問題に対処する方法を提供する。
【0125】
図19a、19b及び19cに示される光学アセンブリ1114aは本関連発明の第2実施形態の第2バージョンを提供し、測定ビーム及びポインティングビームの光源を提供するファイバー1130a、レンズ1132a、走査反射器1134a及び固定反射器1136aを含む。走査反射器1134aは、ポインティングビーム及び測定ビームを2回反射する反射ルーフを含み、固定反射器1136aもポインティングビーム及び測定ビームを2回反射する反射ルーフを含む。また、反射ルーフ1134a及び1136aのそれぞれの交線1140、1142は互いに相対して所定の方向に向けられている。
【0126】
図19a、19b及び19cに示される本関連発明のバージョンは、図18a及び18bのバージョンと全般的に同じ方法で作動する。反射ルーフ1134aは、次のように方向づけられる一組の反射面を備える。(i)光源からのポインティングビーム及び測定ビームが反射ルーフ1134aを通して固定反射ルーフ1136aへ反射され、固定反射ルーフ1136aから反射されたポインティングビーム及び測定ビームが再び反射ルーフ1134aを通して反射される。(ii)少なくとも一つの所定の方向(例えば図19aのZ方向)における反射ルーフ1134aの動きによって、ポインティングビーム及び測定ビームの焦点が視線1138aに沿って調節される。図19cは図19a及び19bの光学アセンブリの断片的な概略図であり、反射ルーフ1134a及び固定反射ルーフ1136aによりもたらされる反射の図式を示す。よって、ポインティングビーム及び測定ビームは視線1138aに沿って方向づけられ、視線1138aに沿ったポインティングビーム及び測定ビームの焦点は、一つの部品(反射ルーフ1134a)を固定反射ルーフ1136a、レンズ1132a及びファイバー1130aに対してZ方向に移動することによって調節される。図19a、19b及び19aの光学アセンブリは非常に小型であり、比較的少ない部品で構成されている。前のバージョンと同様に、反射ルーフ1134aは、固定された素子(ファイバー1130a、固定反射ルーフ1136a及びレンズ1132a)に対して22mm以下の距離にわたって移動することにより、ポインティングビーム及び測定ビームの焦点を調節することができ、そのことは光学アセンブリ1114aの小型化に寄与する。
【0127】
図19a、19b及び19cの光学アセンブリは、分岐する出力ビームのちょうど真ん中に入力ファイバーがあり、その結果ファイバーを保持するための構造が光を遮り、光の一部が戻ってファイバーに直接入射し、ノイズフロア(noise floor)をもたらすだろうという問題に対処する。具体的には、コーナーキューブを移動させること及び固定ミラーを用いることの代わりに、光学アセンブリは2つの反射ルーフ1134a、1136aに分けられる。反射ルーフ1134aはコーナーキューブの代わりに移動し、反射ルーフ1136aは固定され且つ反射ルーフ1134aの移動に対して光学軸の周りを90°回転する。この光学アセンブリは、一つの主要なさらなる利点と一つの不利益と共に、図18aのシステムと同じ利点を達成する。入力ファイバー1130からのポインティングビーム及び測定ビームは、動く反射ルーフ1134aに向かい、反射ルーフ1134aによって下へ移動される。次いでポインティングビーム及び測定ビームは、固定反射ルーフ1136aに向かい、反射ルーフ1136aはそれらのビームを図の手前から奥へずらす。次いでビームは、反射ルーフ1134aを通して戻され、入力ファイバー1130aに対して拡大され、しかし平行に外に出る。しかし、固定ルーフ1136aのおかげで、ビームはファイバー1130に対して図19a及び19bのY方向に移動される。したがって、不明瞭化の問題も背面反射の問題もない。しかし、もし移動するルーフがZ軸の周りを回転する場合は、この理想的な特性はもはや、必ずしも当てはまらないという不利益がある。
【0128】
もし反射ルーフ1134aが移動中にY軸の周りを回転する場合、反射ルーフ1134aは屋根のように作動し、角度は変化しない。もし反射ルーフ1134aがX軸の周りを回転する場合、反射ルーフ1134aは平面鏡のように振る舞うが、固定反射ルーフ1136aがZ軸の周りを90°回転するため、固定反射ルーフ1136aがこの角度変化を除去する。もし反射ルーフ1134aがX方向にシフトする場合、それはビームをシフトさせるが、しかし、次いで固定反射ルーフ1136aが(図18aのシステムにおけるように)ミラーのように振る舞い、反射ルーフ1134aを通る第2経路がシフトを補正する。最後に、反射ルーフ1134aがY方向にシフトする場合、それは平面鏡と同様であるため、ビームに変化は生じない。
【0129】
ファイバー1130aと固定レンズ1132aの間の軸方向距離を変化させるために、(反射ルーフ1134a、1136aを形成する2つの屋根型プリズムの形の)一連の第1面鏡(表面鏡)が用いられる。このシステムは名目上、動く部品(反射ルーフ1134a)の傾斜及びxy方向のシフトには反応しない。2つのルーフ型のシステムからの出力ビームは、入力ファイバー1130aに対してシフトされているので、不明瞭化や背面反射の問題はない。さらに、すべての面が第1面鏡であるため、ゴースト反射を生じ得る界面がない。ビーム経路の折り返さられた性質は、機械的安定性を許容し(allowing for)、システムを非常に小型にする。システムの長い焦点距離は、固定反射ルーフ1136aが既製の色補正ダブレットであることが好ましいこと意味する。
【0130】
図20〜24は、本関連発明の第2実施形態の光学アセンブリの部品を構成し方向づける様々なコンセプトを概略的に示す。
【0131】
例えば、図20に示されるように、走査反射器1134によって反射され、レンズを通して視線1138に沿って方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームは、レンズ1132を通して方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームの視線1138を折り返す折り返しミラー1144によって反射される。さらに図20に示されるように、ファイバー1130は折り返しミラー1144の中に設置することができる。
【0132】
本関連発明の光学アセンブリは、レンズ1132から1メートルから60メートルの範囲で集光されるように設計される。図20に示されるシステムがレンズから1メートルで集光される場合、より少ない光がターゲットに方向づけられるが、光損失はたった数パーセントである。コーナーキューブ1134が約22mm動くことによって、光学アセンブリがレンズから60メートルで集光される場合、ビームはレンズ1132の開口をほとんど満たし、よって実質的にすべての光が、ターゲットに衝突する(impinges on)スポットを形成するために用いられる。
【0133】
さらに、図21に概略的に示されるように、レンズ1132、ビーム源(つまり、ファイバー1130)及び平面鏡1136は、それらがレトロリフレクター1134に対して一体として動くことができるような方法で支持され、その場合、視線がその一体とともに動く。よって、図21に示されるように、レンズ1132、平面鏡及びファイバー1130はボックス1146によって支持される。そのため、それらの部品の全てがレトロリフレクター1134に対して一体として動くことができる。したがって、レトロリフレクター及び他の部品(ファイバー、レンズ、固定反射器)が互いに「対して、相対的に」移動可能であるということは、他の部品が支持構造体によって固定され、レトロリフレクターが支持構造体に対して動くこと、または、他の部品の支持構造体(例えは図21のボックス1146)が、それらの他の部品がレトロリフレクター1134に対して一体として動く(例えば回転する)ことを可能にすることを指し得る。
【0134】
さらに、図21にも示されるように、走査反射器1134によって反射され、レンズ1132を通して視線1138に沿って方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームは、レンズを通して方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームの視線1138を折り返す偏光ビームスプリッタプレート1150によって(図20に示される方法と同様の方法で)反射される。図21において、偏光ビームスプリッタプレート1150は、偏光ビームスプリッタプレート1150が偏光ビームスプリッタとして機能することを可能にする偏光ビームスプリット被膜を有し、平面鏡1136から反射されたビームの偏光を調節するために平面鏡1136に4分の1波長板1148が設けられる。図21において、ビーム源である光ファイバー1130は、偏光ビームスプリッタプレート1150に対して所定の位置においてドットで(by a dot)表わされる。
【0135】
よって、図21に示されるコンセプトにおいて、偏光ビームスプリッタ(PBS)プレート1150は、視線に沿って方向づけられる光が結合してファイバー1130へ戻ることを防ぐために用いられる。測定ビームは直線偏光されているため、その偏光状態は、4分の1波長板(QWP)1148を通過して45度に2度方向づけられることにより90度回転され得る。またこの場合、QWP1148は、システムのミラー1136として図18aと関連して示され且つ記載される方法で振る舞う第2面鏡(裏面鏡)1136を備える。ファイバー1130はPBSプレート1150の裏面近傍に設置される。PBSプレートであり、入力面がファイバーに対して45度傾斜していることから、いかなる裏面反射もファイバーに戻らないだろう。コーナーキューブ1134は固体ガラスである。なぜなら固体ガラスは既製部品であり、ファイバーとレンズの間の軸方向距離(物理的距離)を増すためである。この光学アセンブリには不明瞭性はない。
【0136】
また、図21に示されるコンセプトにおいて、コーナーキューブ1134は、固定保持され得、(すべてがボックス1146内に支持さる)平面鏡、折り返しミラー、レンズ及びファイバーは全てコーナーキューブの中心線を軸に回転する。回転はコーナーキューブの中心線を軸としなければならず、そうでないと回転中にビームがコーナーキューブの端の外に移動するだろう。本関連発明の第2実施形態のこのコンセプトは、仰角軸の回りを動く必要がある回転する質量を減らすことができ、そのため、より小型で軽量の仰角軸モーターを使用でき、さらに結果として発熱が少なくなる(熱源は部品を動かすために使用されるアクチュエーターである)。また、それによってさらにより小型のアセンブリとなってもよい。また、それは集光ステージの複雑さの低減にもつながり得、回転接合部を通過する必要があるケーブルがより少なくなり得る。それによりケーブルの経路設定がより単純になり、ケーブルが動くことによって引き起こされるケーブルの阻害を減少させることができ、動きの正確性が向上し、それゆえに機器の性能が向上する。それゆえ、図21のコンセプトのこの側面は、より小型でより単純なコスト効率のよりよい光学アセンブリを作り出すことができ、また、ケーブルの阻害の減少により正確性が向上する。
【0137】
さらに、図22に概略的に示されるように、光源は、平面鏡として機能する部分1136bと走査反射器1134によって反射され且つレンズ1132を通して視線に沿って方向づけられるポインティングビーム及び測定ビームの視線1138を折り返す別の部分1154を有するモノリシック部材1152によって支持される光ファイバー1130を含む。
【0138】
また、図23に概略的に示されるように、光源は、平面鏡を形成する反射部1136cを表面に有する透過部材(例えばガラス窓1160)に支持される光ファイバー1130を含み得る。さらに、光ファイバーは、出願人が「スパイダー」と称する、図24に示される、機械構造体1162によって支持され得る。機械構造体1162は、光ファイバーの支持体を形成する中央開口1166を有する一連の支柱1164含む。スパイダー1162はアルミニウムのような軽量の金属で形成することができる。それゆえ、光学アセンブリは、(図23に示されるように、)ファイバー用の孔及びミラー1136cのような銀色の領域を有するガラス板1160を含み得る。又は、光学アセンブリは、(図24のような)ファイバーを保持し光を透過させるためのスパイダーを有する金属板と、スパイダーに取り付けられて反射領域1136cを形成する、機械加工及び研磨された別の鏡面を備え得る。したがって、図23においてファイバーを支持する透過部材1160はガラス部品であり、図24において透過部材はスパイダー1162の機械的構成物の間の空間であるということを除いては、図23及び24は同様である。
【0139】
図22、23及び24に示されるコンセプトは、本関連発明の第2実施形態に従う光学アセンブリにさらなる有利な特徴をもたらす。例えば、図22のコンセプトは、両方のミラーとして及びファイバーの保持のために一つの基板を用いる。これはより単純な構成をもたらし、一つの基板が比較的軽量なアルミニウムで形成されてもよいことになる。図23及び24のコンセプトに関しては、折り返しミラーを窓、又は窓/スパイダー構成で代替することで、折り返しミラーの重量が除外されるため、光学アセンブリの全体の重量を減少させることができる。また、図23及び24のコンセプトは、表面形状及びミラー角度位置についてのさらなる許容誤差の要件を減少させることができる。結果として、ここではコーナーキューブはレンズの光学軸に対して垂直に動くよりもむしろ平行に動く。ゆえに、光学アセンブリはミラーが一つ少ないため、光学アセンブリはより単純化され、ミラーの間の角度は適合すべき仕様が一つ少ない。さらに、表面に垂直にカッティングするときに(もし図22のモノリシック金属ミラーのコンセプトを用いる場合は問題ではないが)、ファイバーの孔とミラー表面の間の角度がより直接的に制御可能である。また、製造中にレンズに対するファイバーの軸の位置を、(例えば両方の部品をチューブ内に保持することによって)より簡単に維持でき、それによってビームが開口の中心に置かれていないために起こる焦点ずれの(反復可能な)照準エラーが減少する。さらに、ファイバーの孔がレンズの光軸と平行であるため、それら二つを整列し熱的照準エラーを大きく減少させることがより容易である。さらに、コーナーキューブをファイバーにより近づけることができ、そしてより小型になり得る。
【0140】
したがって、上記の説明からわかるように、本関連発明の第2実施形態は、レーザーレーダーシステム用の小型の光学アセンブリを提供する。光学アセンブリは、光源、レンズ、走査反射器、及び固定反射器を含み、これらは、レンズを通って延在する視線に沿って光源からのビームを集光するために協働する。光源、レンズ、走査反射器、及び固定反射器は、(i)光源からのビームが走査反射器によって固定反射器へ反射され、(ii)固定反射器から反射された光が再び走査反射器によって反射され、レンズを通して視線に沿って方向づけられ、(iii)ビームの焦点を視線に沿って調節するために、走査反射器が、光源、レンズ及び固定反射器に対して移動可能であるように、互いに対して相対的に(relative to)方向づけられる。
【0141】
この本関連発明の実施形態において、レーザーレーダーシステム1100はポインティングビーム及び測定ビームを有する。しかしレーザーレーダーシステム1100は測定ビームを有し、ポインティングビームを有さなくてもよい。測定ビームは例えば可視である。ゆえにこの場合では、測定ビームがポインティングビームの役割をし得る。この本関連発明の実施形態のレーザーレーダーシステム1100は、ポインティングビームと測定ビームの間で異なる波長領域を有する。しかしレーザーレーダーシステム1100は、例えば可視領域などの同じ波長領域を有してもよい。
【0142】
随意の本関連発明の実施形態において、光学アセンブリはレンズ1132、走査反射器1134及び固定反射器を備える。しかし、光学アセンブリはレンズ1132と走査反射器1134を有し固定反射器を有さなくてもよい。例えば、測定ビームを反射器1134からレンズ1132へ直接方向づけることができる。
【0143】
また、レーザーレーダーシステム1100に関して、本関連発明の第2実施形態は、反射器又は反射器が配置される物体の6自由度(α、β、d、φ、χ、ψ)を測定し、且つ、例えば米国特許出願公開第2006−0222314号(ここに援用し本文の記載の一部とする)に開示されるレーザートラッカーのような角度及び距離測定装置を含む、距離測定システムに適用することができる。また、レーザーレーダーシステム1100に関して、本関連発明は、放射されるレーザー光と反射されるレーザー光を比較することによって測定システムとターゲット位置の間の距離及び/またはこの距離の変化を測定する距離測定システム、例えば米国特許出願公開第20110181872号(ここに援用し本文の記載の一部とする)に開示されるようなレーザートラッカーに適用することができる。
【0144】
次に、上記の測定装置(レーザーレーダーシステム1100)を備える構造体製造システムに関して説明する。
【0145】
図25は構造体製造システム1700のブロック図である。構造体製造システムは、少なくとも一つの材料から、例えば船、航空機などの少なくとも(at least a
structure)一つの構造体を製造し、構造体を形状測定装置1100によって検査するためのものである。本関連発明の実施形態の構造体製造システム1700は、実施形態において上に説明するように形状測定装置1100を含み、さらに設計装置1610、成形装置1620、制御装置1630(検査装置)及びリペア装置1640を含む。制御装置1630は、座標保管部1631及び検査部1632を含む。
【0146】
設計装置1610は、構造体の形状に関して設計情報を作成し、作成した設計情報を成形装置1620へ送信する。さらに、設計装置1610は、作成した設計情報を制御装置1630の座標保管部1631に保管させる。設計情報は、構造体の位置の各々の座標を示す情報を含む。
【0147】
成形装置1620は、設計装置1610から入力された設計情報に基づいて構造体を製造する。成形装置1620による成形工程は、例えば、鋳造、鍛造、切削などを含む。形状測定装置1100は製造された構造体の座標を測定(物体を測定)し、測定した座標を示す情報(形状情報)を制御装置1630に送る。
【0148】
制御装置1630の座標保管部1631は、設計情報を保管する。制御装置1630の検査部1632は、座標保管部1631から設計情報を読み出す。検査部1632は、形状測定装置1100から受信した座標を示す情報(形状情報)を座標保管部1631から読みだされた設計情報と比較する。比較結果に基づき、検査部1632は、構造体が設計情報に従って成形されているかどうかを判定する。換言すると、検査部1632は、製造された構造体に欠陥がないかどうかを判定する。構造体が設計情報に従って成形されていない場合、検査部1632は、構造体が修復可能かどうかを判断する。もし修復可能な場合は、検査部1632は、比較結果に基づいて欠陥部分及び修復量を計算し、欠陥部分を示す情報及び修復量を示す情報をリペア装置1640に送信する。
【0149】
リペア装置1640は、制御装置1630から受信した欠陥部分を示す情報及び修復量を示す情報に基づき、構造体の欠陥部分の処理を行う。
【0150】
図26は、構造体製造システム1700のプロセスフローを示すフローチャートである。構造体製造システム1700に関して、まず、設計装置1610が、構造体の形状に関して設計情報を作成する(S1101工程)。次に、成形装置1620が、設計情報に基づいて構造体を製造する(S1102工程)。次いで、形状測定装置1100が、製造された構造体を測定してその形状情報を得る(S1103工程)。次いで、制御装置1630の検査部1632が、形状測定装置1100から得られる形状情報を設計情報と比較することによって、構造体が真に設計情報に従って製造されているかどうか検査する(S1104工程)。
【0151】
ついで、制御装置1630の検査部1632が、製造された構造体に欠陥がないかどうかを判定する(S1105工程)。製造された構造体に欠陥がないと検査部1632が判定した場合(S1105工程における「YES」)、構造体製造システム1700はプロセスを終了する。一方、製造された構造体に欠陥があると検査部1632が判定した場合(S1105工程における「NO」)、次いで検査部1632は、構造体が修復可能かどうかを判断する(S1106工程)。
【0152】
検査部1632が製造された構造体が修復可能であると判断した場合(S1106工程の「YES」)、次いでリペア装置1640が構造体に対して再処理プロセスを実行し(S1107工程)、構造体製造システム1700はプロセスをS1103工程に戻す。検査部1632が製造された構造体が修復不可能であると判断した場合(S1106工程の「NO」)、次いで構造体製造システム1700はプロセスを終了する。そうして、構造体製造システム1700は、図26のフローチャートに示される全プロセスを終了する。
【0153】
本関連発明の実施形態の構造体製造システム1700に関して、本関連発明の実施形態の形状測定装置1100は構造体の座標を正確に測定することができるため、製造された構造体に欠陥がないかどうかを判断することができる。さらに、構造体に欠陥がある場合、構造体製造システム1700は構造体に対して再処理プロセスを実行して同様に修復することができる。
【0154】
さらに、本関連発明の実施形態においてリペア装置1640によって実行される修復工程は、例えば成形装置1620に成形工程をもう一度行わせることと置き換えられてもよい。このような場合において、制御装置1630の検査部1632が構造体は修復可能と判断した場合、次いで成形装置1620は成形工程(鍛造、切削など)(forging cutting, and the like)をもう一度実行する。例えば具体的には、成形装置1620は、切削を受けるべきであったが受けなかった構造体の部分に切削工程を実行する。これによって、構造体製造システム1700が構造体を正確に製造することができるようになる。
【0155】
上記の本関連発明の実施形態において、構造体製造システム1700は、形状測定装置1100、設計装置1610、成形装置1620、制御装置1630(検査装置)及びリペア装置1640を含む。しかし、本教示はこの構成に限定されない。例えば、本教示に従う構造体製造システムは、少なくとも成形装置及び形状測定装置を含めばよい。
【0156】
よって、本関連発明は装置、光学アセンブリ、物体の検査方法又は測定方法、及び構造体を製造する方法について、新規で役に立つコンセプトを提供する。前述の説明を考慮すると、それらのコンセプト(例えば本実施形態の光学アセンブリ)を様々なタイプのレーザーレーダーシステムや他のタイプの光学システム及び方法に実施することができる方法が、当業者にとって明らかであるだろう。
図1
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図14b
図14c
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図16b
図16c
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図26