特許第6041194号(P6041194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041194
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】駆動伝達機構および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20161128BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20161128BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20161128BHJP
   G03G 21/10 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   G03G21/16 147
   G03G15/02 101
   G03G15/00 657
   G03G15/00 651
   G03G21/10
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-184411(P2012-184411)
(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-41297(P2014-41297A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 直洋
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤森 彰
(72)【発明者】
【氏名】吉野 薫
(72)【発明者】
【氏名】関 秀康
(72)【発明者】
【氏名】後藤 良太
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−288643(JP,A)
【文献】 特開2009−069556(JP,A)
【文献】 特開2011−145423(JP,A)
【文献】 特開2011−242467(JP,A)
【文献】 特開2005−128524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 21/10
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体と、上記潜像担持体に当接して回転する回転体とにそれぞれ駆動源の回転駆動力を伝達する駆動伝達機構において、
上記潜像担持体と同軸上に設けられ、駆動源の原動ギヤと噛み合い、上記潜像担持体に回転駆動力を伝達する潜像担持体ギヤと、
上記潜像担持体ギヤと同軸上に、上記潜像担持体ギヤと一体で回転するように設けられた第1ギヤとを備え、
上記第1ギヤから複数のギヤの噛み合いを経て、上記回転体に上記駆動源の駆動力が伝達されるように構成し
上記第1ギヤの直径を、該第1ギヤと噛み合うギヤの直径よりも大きくし、かつ、上記潜像担持体の外径よりも大きくしたことを特徴とする駆動伝達機構。
【請求項2】
請求項1の駆動伝達機構において、
上記第1ギヤから上記回転体までの駆動伝達を、全てギヤの噛み合いのみにしたことを特徴とする駆動伝達機構。
【請求項3】
請求項1または2の駆動伝達機構において、
上記第1ギヤから上記回転体までの駆動伝達を、2回のギヤの噛み合いで行うように構成したことを特徴とする駆動伝達機構。
【請求項4】
請求項1乃至いずれかの駆動伝達機構において、
上記回転体は、装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットに収納されており、
上記第1ギヤから上記回転体までの駆動伝達経路において、駆動側からユニット側の駆動伝達としてスプライン継手を用いたことを特徴とする駆動伝達機構。
【請求項5】
請求項の駆動伝達機構において、
上記スプライン継手として、インボリュートスプライン継手を用いたことを特徴とする駆動伝達機構。
【請求項6】
請求項1乃至いずれかの駆動伝達機構において、
上記回転体が、上記潜像担持体表面を帯電する帯電部材、上記潜像担持体の表面に残留するトナーを除去するクリーニング部材、上記潜像担持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材のいずれかであることを特徴とする駆動伝達機構。
【請求項7】
潜像を担持する潜像担持体と、
上記潜像担持体に当接して回転する回転体と、
上記潜像担持体と上記回転体とに駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達機構とを備えた画像形成装置において、
上記駆動伝達機構として、請求項1乃至いずれかの駆動伝達機構を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項の画像形成装置において、
潜像を担持する潜像担持体と、上記潜像担持体に当接して回転する回転体とを有し、装置本体に対して脱着可能なユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達機構および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜像を担持する潜像担持体としての感光体と、この感光体の周囲に配置され回転する回転体とにそれぞれ駆動源としての駆動モータの回転駆動力を伝達する駆動伝達機構を備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、感光体に設けられたフランジギヤを介して、感光体表面に当接しながら回転して、感光体表面の転写残トナーを除去する回転体たるクリーニングブラシローラおよび転写残トナー除去後の感光体表面に当接しながら回転して感光体表面に潤滑剤を塗布する回転体たる潤滑剤塗布ブラシローラに駆動モータの回転駆動力を伝達する駆動伝達機構を備えた画像形成装置が記載されている。
【0004】
図10は、特許文献1に記載の画像形成装置におけるクリーニングブラシローラ162および潤滑剤塗布ブラシローラ163へ回転駆動力を伝達する駆動伝達機構を示す斜視図である。
図に示すように、感光体フランジギヤ180aは、潤滑材塗布ブラシローラ駆動ギヤ163bと噛合っており、潤滑材塗布ブラシローラ駆動ギヤ163bとクリーニングブラシローラ駆動ギヤ162bは、2つのアイドラギヤ167を介して噛み合っている。感光体軸から、不図示の駆動モータから駆動力が伝達され、感光体180が回転駆動する。また、感光体フランジギヤ180aが感光体180とともに回転し、潤滑材塗布ブラシローラ駆動ギヤ163bに不図示の駆動モータの駆動力が伝達され、潤滑材塗布ブラシローラ163が回転駆動する。また、2個のアイドラギヤ167を介してクリーニングブラシローラ駆動ギヤ162bに不図示の駆動モータの駆動力が伝達されクリーニングブラシローラ162が回転駆動する。
【0005】
また、特許文献2には、駆動モータの原動ギヤに噛み合い、感光体に駆動モータの駆動力を伝達する感光体ギヤと、駆動モータの原動ギヤに噛み合う入力ギヤを有し、この入力ギヤから複数のギヤを介して駆動モータの駆動力を回転体である現像ローラに伝達する現像ギヤ列とを備えた駆動伝達機構を備えた画像形成装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の駆動伝達機構においては、潤滑剤塗布ブラシローラ163の回転軸163aに固定された潤滑材塗布ブラシローラ駆動ギヤ163bが、直接、感光体フランジギヤ180aと噛み合っている。このため、塗布ブラシローラ163に回転負荷変動が生じた場合、その回転負荷変動が潤滑材塗布ブラシローラ駆動ギヤ163bから直接感光体フランジ180aに伝達され、感光体180に速度変動が生じてしまう。その結果、バンディングなどの異常画像が生じるおそれがある。
【0007】
一方、特許文献2に記載の構成においては、回転体として現像ローラに負荷変動が生じた場合、現像ローラの負荷変動は、現像ギヤ列の複数のギヤ、原動ギヤを介して感光体ギヤに伝達されて、感光体の速度に影響を及ぼすことになる。現像ローラに瞬間的な負荷変動が生じ、現像ローラの速度低下が生じたときは、現像ギヤ列の各ギヤの歯が噛み合い位置で弾性変形するなどして、現像ローラの負荷変動による速度低下の影響が減衰されていく。また、駆動モータの駆動力を直接受ける原動ギヤには、高いトルクがかかっている。よって、現像ローラの負荷変動に抗して、原動ギヤは一定速度で回転する。その結果、感光体ギヤには、現像ローラの回転負荷変動の影響が及ばす、感光体を所定の速度で回転させることができる。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の駆動伝達機構においては、装置のレイアウトなどにより駆動モータが、感光体を挟んで現像ローラと反対側に配置された場合、現像ローラなどの回転体に回転駆動力を伝達するためのギヤの数が多くなる。ギヤの数が多くなると、ギヤの歯型精度やバックラシュによるガタが積み上がるため、感光体の回転の開始に対して回転体の回転の開始が遅れるという不具合が生じる。特許文献2に記載の画像形成装置ように、回転体が現像ローラであり、感光体に対し非接触である構成であれば、感光体の回転の開始に対して回転体の回転の開始が多少遅れたとしても、特に問題はない。しかしながら、感光体に当接しながら回転駆動する潤滑剤塗布ブラシローラなどの回転体の場合、感光体の回転開始に対して、回転の開始が遅れると、感光体表面と回転体とが擦れることになり、感光体表面を傷つけるおそれがある。そのため、潤滑剤塗布ブラシローラなど感光体と当接する回転体の回転駆動に対して、特許文献2に記載の駆動伝達機構を採用することができない。
【0009】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、潜像担持体に回転体の負荷変動が伝達されるのを抑制し、かつ、潜像担持体の回転開始に対して回転体の開始の遅れを抑制することができる駆動伝達機構および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、上記潜像担持体に当接して回転する回転体とにそれぞれ駆動源の回転駆動力を伝達する駆動伝達機構において、上記潜像担持体と同軸上に設けられ、駆動源の原動ギヤと噛み合い、上記潜像担持体に回転駆動力を伝達する潜像担持体ギヤと、上記潜像担持体ギヤと同軸上に、上記潜像担持体ギヤと一体で回転するように設けられた第1ギヤとを備え、上記第1ギヤから複数のギヤの噛み合いを経て、上記回転体に上記駆動源の駆動力が伝達されるように構成し、上記第1ギヤの直径を、該第1ギヤと噛み合うギヤの直径よりも大きくし、かつ、上記潜像担持体の外径よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1ギヤから複数のギヤの噛み合いを経て、回転体に駆動源の駆動力が伝達されるように構成したので、回転体に負荷変動が生じたとき、複数のギヤによる歯の弾性変形などにより回転体の負荷変動による速度低下を減衰することができる。これにより、特許文献1に記載の第1ギヤに直接、回転体の軸に設けられギヤを噛み合わせる構成に比べて、第1ギヤから潜像担持体に伝達される回転体の負荷変動の影響を抑えることができる。
【0012】
また、本発明によれば、駆動源が、潜像担持体を挟んで回転体と反対側に配置された場合において、特許文献2に記載の駆動伝達機構に比べて回転体の潜像担持体に対する回転開始の遅れを抑制することができる。これは、特許文献2に記載の駆動伝達機構においては、潜像担持体ギヤとは別の入力ギヤを原動ギヤに噛み合わせて、この入力ギヤから複数のギヤを介して回転体に駆動伝達しており、原動ギヤから潜像担持体への駆動伝達経路と、原動ギヤから回転体への駆動伝達経路とを完全に分けている。従って、特許文献2に記載の構成においては、原動ギヤから回転体までの駆動伝達経路上の全てのギヤが回転体の潜像担持体に対する回転開始の遅れの要因となるギヤとなる。駆動源が、潜像担持体を挟んで回転体と反対側に配置された場合、特許文献2に記載の駆動伝達機構では、潜像担持体の軸を挟んで駆動源側にも回転体の潜像担持体に対する回転開始の遅れの要因となるギヤが配置されることになる。
一方、本発明は、潜像担持体ギヤと同軸上に設けられ、潜像担持体ギヤと一体で回転する第1ギヤから、複数のギヤを介して回転体に駆動力が伝達されるようにしている。これにより、原動ギヤから第1ギヤまでは、潜像担持体に駆動を伝達する駆動伝達経路と同一の駆動伝達経路をとり、第1ギヤから回転体への駆動伝達経路が分岐する。よって、回転体の潜像担持体に対する回転開始の遅れの要因となるギヤは、第1ギヤよりも後段のギヤとなる。従って、駆動源が感光体を挟んで回転体の反対側に配置された場合でも、回転体の潜像担持体に対する回転開始の遅れの要因となるギヤを、潜像担持体の軸を挟んで回転体側に配置されたギヤのみにすることができる。これにより、上述したように、駆動源が、潜像担持体を挟んで回転体と反対側に配置されたときに、潜像担持体の軸を挟んで駆動源側にも回転体の潜像担持体に対する回転開始の遅れの要因となるギヤを配置する必要のある特許文献2に記載の構成に比べて、回転体の潜像担持体に対する回転開始の遅れの要因となるギヤの数を少なく済ますことができる。これにより、潜像担持体の回転開始に対し、回転体の回転開始遅れを、特許文献2に記載の態様に比べて抑制することができる。その結果、潜像担持体と回転体とが擦れ合うのを抑制することができ、潜像担持体表面の傷つきなどを抑制することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】4つの作像ユニットのうち1つを拡大して示す概略断面図。
図3】本体ケースに設けられている側面カバーを開放した状態を示す斜視図。
図4】第1駆動伝達機構を示す斜視図。
図5】第1駆動伝達機構の装置本体側の構成を示す斜視図。
図6】第1駆動伝達機構のプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図。
図7】現像装置を取り外したプロセスカートリッジの奥側側面を示す図。
図8】現像駆動伝達機構の装置本体側の構成と、第1駆動伝達機構の装置本体側の構成とを示す正面図。
図9】現像駆動伝達機構の装置本体側の構成と、第1駆動伝達機構の装置本体側の構成とを現像装置を取り外したプロセスカートリッジとともに示す平面図。
図10】従来の駆動伝達機構を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照にして本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置1の本体ケース2内には、プリンタエンジン3、光ビームを出射する光書込装置4、被転写体である記録媒体Pを収納する記録媒体収納部である給紙カセット5、トナー画像が転写された記録媒体Pを定着処理する定着装置6、トナー画像を転写した後に発生した廃トナーを回収する廃トナー回収容器7等が設けられている。
【0015】
プリンタエンジン3は、トナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体Pに転写する部分であり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つの作像ユニット23Y,C,M,Kが並べて配置されている。
【0016】
図2は、上述した4つの作像ユニット23のうち1つを拡大して示す概略断面図である。図2に示す作像ユニット23は、基本的な構成は公知の作像ユニット23と同様の構成となっており、作像ユニット23はプロセスカートリッジとして本体ケース2に対して着脱可能となっている。
4つの作像ユニット23(Y,M,C,K)のいずれの作像ユニットでも同様の構成であるため、図2においては、色の区別を示すY、M、C、Kの表示を省略する。
【0017】
図2に示すように、作像ユニット23は、ユニット枠体100に感光体8と、プロセス手段として帯電ローラ9、現像装置10、感光体クリーニング装置11などを一体的に備えて、プロセスカートリッジとして本体ケース2から着脱可能となっている。感光体8と現像装置10と感光体クリーニング装置11とがプロセスカートリッジとしてユニット化されることにより、交換やメンテナンスの作業が容易になり、また、各部材間の位置精度を高精度の維持することができ、形成される画像品質の向上を図ることができる。なお、本実施形態では、プロセスカートリッジとしての作像ユニット23そのものを交換するようになっているが、プロセスカートリッジの構成としては様々のものがあり、例えば、帯電ローラ9、現像装置10、感光体クリーニング装置11の少なくとも一つと感光体8とをケース内に収納してユニット化した構成でもよい。また、作像ユニット23を本体ケース2から取り外し、感光体8、帯電ローラ9、現像装置10、感光体クリーニング装置11のような単位で新しいものと交換するような構成でもよい。
【0018】
次に、作像形成プロセスについて説明する
感光体8は、円筒状に形成されて駆動モータ(図示せず)が連結され、駆動モータからの駆動力により中心線回りに回転する。感光体8の外周面には静電潜像が形成される感光層が設けられている。帯電ローラ9は、感光体8の外周面に配置されている。この帯電ローラ9に対して電源部(図示せず)から電圧が印加されることにより、感光体8の外周面が一様に帯電される。
【0019】
光書込装置4は、画像データに応じた光ビームを出射し、一様に帯電された感光体8の外周面を露光する。この露光により、感光体8の外周面に画像データに応じた静電潜像が形成される。 現像装置10は、感光体8に対してトナーを供給する。供給されたトナーは感光体8の外周面に形成されている静電潜像に付着し、感光体8の外周面上の静電潜像がトナー画像として顕像化される。
【0020】
中間転写ベルト13は、樹脂フィルム又はゴムを基体として形成されたループ状のベルトであり、駆動ローラ16と入口ローラ17とテンションローラ18との回りに巻回され、駆動モータ(図示せず)に連結された駆動ローラ16が回転駆動されることにより矢印A方向に回転する。入口ローラ17とテンションローラ18とは、中間転写ベルト13が矢印A方向へ回転することにより中間転写ベルト13との摩擦力によって従動回転する。
【0021】
一次転写ローラ12は中間転写ベルト13の内周面側(ループの内側)に配置されており、これらの一次転写ローラ12に転写用電圧が印加されることによって各感光体8上のトナー画像が中間転写ベルト13上に転写される。各感光体8上に形成されたトナー画像は中間転写ベルト13上に順次転写されて重ね合わされ、中間転写ベルト13上にはカラーのトナー画像が形成される。
【0022】
感光体クリーニング装置11は、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後の感光体8の外周面をクリーニングする。このクリーニングによって、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後に感光体8の外周面上に残留しているトナーや紙粉等が廃トナーとして回収される。
【0023】
中間転写ベルト13上に形成されたカラーのトナー画像は、中間転写ベルト13と二次転写ローラ14とが当接された転写位置に記録媒体Pが送り込まれたタイミングで二次転写ローラ14に転写用電圧が印加されることにより、記録媒体Pに転写される。記録媒体Pは、給紙カセット5内から給紙されて搬送ローラ19やレジストローラ20により搬送され、トナー画像を転写された後に定着装置6に送り込まれる。トナー画像が転写された記録媒体Pは定着装置6内で熱と圧力とを加えられて定着処理され、この定着処理により溶融したトナー画像が記録媒体Pに定着される。定着処理が終了した記録媒体Pは本体ケース2の上面部に形成されている排紙トレイ21上に排紙される。
【0024】
中転クリーニング装置15は、カラーのトナー画像が記録媒体Pに転写された後の中間転写ベルト13の外周面をクリーニングする。このクリーニングによって、トナー画像の転写後に中間転写ベルト13の外周面上に残留したトナーや紙粉等が廃トナーとして回収される。
【0025】
廃トナー回収容器7は、感光体クリーニング装置11、中転クリーニング装置15で回収された廃トナーが各クリーニング装置11、15から投入され、投入された廃トナーを貯溜する部分である。廃トナー回収容器7は本体ケース2に対して着脱可能に取付けられており、廃トナー回収容器7内の廃トナーが満杯状態に近付いた場合に本体ケース2から取り外され、空の廃トナー回収容器7が取付けられる。
【0026】
図3は、本体ケース2に設けられている側面カバー24を開放した状態を示す斜視図である。
側面カバー24を開放することにより、プリンタエンジン3と廃トナー回収容器7とが現われ、プロセスカートリッジ23や中間転写ベルト13及び廃トナー回収容器7の交換等やその他のメンテナンスを行うことができる。中間転写ベルト13とローラ16、17、18と中転クリーニング装置15とは、ベルトケース13a内に収納されてユニット化されている。
【0027】
次に、各作像ユニット23(K,M,C,Y)の共通する構成について、図2を用いてより詳しく説明する。
それぞれの作像ユニット23は、潜像担持体である感光体8と、感光体8の表面を帯電する帯電手段である帯電ローラ9とを備える。また、作像ユニット23は、帯電ローラ9によって帯電された感光体8の表面上に光書込装置4からレーザー光Lが照射されることで感光体8上に形成された潜像にトナーを供給して現像する現像手段である現像装置10を備える。さらに、作像ユニット23は、現像装置10によって形成されたトナー像が中間転写ベルト13に転写がなされたあとの感光体8表面に残留する残留トナーを除去する感光体クリーニング装置11を有する。
感光体クリーニング装置11は、感光体8の表面移動方向上流側から順に、クリーニングブレード61、回転体である塗布ブラシローラ62及び均しブレード66を備える。感光体クリーニング装置11では、クリーニングブレード61によってトナーを除去する。また、塗布ブラシローラ62と、ブラケットに保持された固形潤滑剤64が潤滑剤加圧スプリング68により塗布ブラシローラ62に加圧される構成とによって潤滑剤供給機構を構成する。
【0028】
クリーニングブレード61は図示しない回転自在に保持されたホルダに固定されており、感光体8の表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体8の表面に当接するように支持されている。また、クリーニングブレード61は、不図示の加圧スプリングにより感光体8に対して加圧するように当接してトナー除去するようになっている。
【0029】
一次転写部でトナー像を中間転写ベルト13に転写した後の感光体8の表面に残留する転写残トナーをクリーニングブレード61によって除去する。クリーニングブレード61によって除去されたトナーは、搬送スクリュ67で感光体クリーニング装置11の外に搬送されるようになっている。
【0030】
クリーニングブレード61によってトナーが除去された感光体8表面は、感光体表面に当接する回転体である塗布ブラシローラ62によって潤滑剤が塗布される。ここで使用される潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛、窒化ホウ素、アルミナを混合し、圧縮成型により固形化して固形潤滑剤64としたものである。潤滑剤の塗布は、ブラケットに保持された固形潤滑剤64が潤滑剤加圧スプリング68により塗布ブラシローラ62に加圧され、塗布ブラシローラ62が固形潤滑剤64を削って感光体8の表面上に塗布している。
【0031】
塗布ブラシローラ62は感光体8の表面移動方向に対してカウンタ方向に回転するようにしている。塗布ブラシローラ62によって固形潤滑剤64から削られて感光体8の表面上に粉体状に付着した潤滑剤は、感光体8の表面移動方向に対してカウンタ方向に感光体8表面に当接するように支持された固定加圧方式の均しブレード66によって感光体8上で均される。
【0032】
各作像ユニット23では、このようにして感光体8上の転写残トナーを除去し、潤滑剤の塗布を行い、帯電ローラ9による一様帯電から始まる次の作像に備える。
【0033】
塗布ブラシローラ62及び搬送スクリュ67は、感光体8の駆動源である感光体駆動モータM1に接続され、感光体駆動モータM1が回転することにより回転駆動する。また、現像装置10の現像ローラ10a,2個の攪拌搬送スクリュ10b,10cは、現像駆動モータM2に接続され、現像駆動モータM2が回転することにより回転駆動する。
【0034】
図4は、感光体8と搬送スクリュ67と塗布ブラシローラ62とに感光体駆動モータM1の駆動力を伝達する第1駆動伝達機構120を示す斜視図であり、図5は、第1駆動伝達機構120の装置本体側の構成を示す斜視図であり、図6は、第1駆動伝達機構120のプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図であり、図7は、現像装置10を取り外したプロセスカートリッジ23の奥側側面を示す図である。
【0035】
図4図5に示すように、第1駆動伝達機構120の装置本体側には、駆動伝達部材122と、クリーニング雌側ジョイント部材123とが設けられている。
駆動伝達部材122には、感光体駆動モータM1の原動ギヤ121と噛み合う潜像担持体ギヤとしての感光体ギヤ部122aと、搬送スクリュ67および塗布ブラシローラ62に駆動を伝達するための第1ギヤ部122bと、感光体8に駆動を伝達するための感光体インボリュートスプライン雄部122cとを有している。これらは同じ材料(例えば樹脂材料)で一体成形されたものである。感光体ギヤ部122aと、第1ギヤ部122bと、感光体インボリュートスプライン雄部122cとを一体成形することで、感光体ギヤおよび第1ギヤの回転軸への取り付け偏心や、感光体インボリュートスプライン雄部122cの回転軸への取り付け偏心が発生することがない。これにより、感光体ギヤ122aと感光体インボリュートスプライン雄部122cとの取り付け偏心に起因する感光体8の速度変動をなくすことができる。また、感光体ギヤ122aと第1ギヤ122bとの取り付け偏心に起因する塗布ブラシローラ62の速度変動をなくすことができる。
【0036】
感光体ギヤ部122aの直径および第1ギヤ部122bの直径は、感光体8の直径よりも大きくなっている。感光体ギヤ部122aを大径とすることで、一段減速にすることができ、かつ、ギヤの1歯噛み合いに対応する感光体表面上でのピッチ誤差を小さくして、副走査方向の印字濃度むら(バンディング)の影響を少なくすることができる。また、原動ギヤ121から感光体8に至るまでの減速段数を1段とすることで、部品点数を少なくし低コストにする他、噛み合い誤差や偏心による伝達誤差の要因を少なくすることができる。減速比は、感光体8の目標速度とモータ特性との関係から、高効率、高回転精度が得られる速度領域に基づいて決定される。駆動伝達部材122は、ポリアセタール樹脂などといった摩擦係数の比較的小さな樹脂材料からなっている。
【0037】
駆動伝達部材122の感光体ギヤ部122aの裏面(感光体駆動モータM1側の面)の中心部には、第2軸部122e(図9参照)が設けられており、この第2軸部122eおよび第1軸部122dとが、ベアリング軸受によって、駆動伝達部材122は、2枚の奥側側板(不図示)に回転可能に取り付けられる。
【0038】
原動ギヤ121は、感光体駆動モータM1のモータ出力軸に直接切削加工にてギヤ歯を形成することで形成されている。
【0039】
クリーニング雌側ジョイント部材123は、第1ギヤ部122bと噛み合う第2ギヤ部123aと、クリーニングインボリュートスプライン雌部123bとを有している。第2ギヤ部123aと、クリーニングインボリュートスプライン雌部123bとは、同じ材料(例えば樹脂材料)で一体成形されたものである。これらを一体成形することで、第2ギヤ123aの回転軸への取り付け偏心や、クリーニングインボリュートスプライン雌部123bの回転軸への取り付け偏心が発生することがない。また、第2ギヤ部123aの直径は、第1ギヤ部122bの直径よりも短くなっている。
【0040】
図6図7に示すように、感光体8の奥側フランジ8aには、駆動伝達部材122の感光体インボリュートスプライン雄部122cと噛み合う感光体インボリュートスプライン雌部128が設けられている。感光体インボリュートスプライン雄部122cと感光体インボリュートスプライン雌部128とで、感光体用インボリュートスプライン継手が構成される。
【0041】
また、図6図7に示すように、プロセスカートリッジの奥側側板100aには、クリーニング雄側ジョイント部材124、アイドラギヤ126が回転可能に取り付けられている。クリーニング雄側ジョイント部材124は、クリーニングインボリュートスプライン雌部123bと噛み合うクリーニングインボリュートスプライン雄部124aと、ジョイントギヤ部124bとを備えている。クリーニングインボリュートスプライン雄部124aとクリーニングインボリュートスプライン雌部123bとで、クリーニング用インボリュートスプライン継手が構成される。ジョイントギヤ部124bには、塗布ブラシローラ62の軸に固定されたブラシギヤ125と、アイドラギヤ126とが噛み合っている。このアイドラギヤ126には、搬送スクリュ67の軸に固定された搬送ギヤ127が噛み合っている。
【0042】
プロセスカートリッジ23を挿入していくと、感光体インボリュートスプライン雌部128が、図5図6に示す矢印X方向へ移動し、感光体インボリュートスプライン雄部122cが、感光体インボリュートスプライン雌部128に挿入され、感光体インボリュートスプライン雄部122cが、感光体インボリュートスプライン雌部128の内歯と噛み合う。これにより、感光体駆動モータM1の駆動力が、感光体ギヤ部122a、感光体用インボリュートスプライン継手を介して感光体8に伝達され、感光体8が回転駆動する。
【0043】
また、クリーニングインボリュートスプライン雄部124aが、図5図6に示す矢印Y方向へと移動して、クリーニングインボリュートスプライン雄部124aが、クリーニングインボリュートスプライン雌部123bに挿入され、クリーニングインボリュートスプライン雄部124aが、クリーニングインボリュートスプライン雌部123bの内歯と噛み合う。これにより、感光体駆動モータM1の駆動力が、感光体ギヤ部122a、第1ギヤ部122b、第2ギヤ部123a、クリーニング用インボリュートスプライン継手、ジョイントギヤ124b、ブラシギヤ125を介して、塗布ブラシローラ62に伝達され、塗布ブラシローラ62が回転駆動する。また、ジョイントギヤ124bから、アイドラギヤ126、搬送ギヤ127を介して感光体駆動モータの駆動力が、搬送スクリュ67に伝達され、搬送スクリュ67が回転駆動する。
【0044】
本実施形態においては、感光体8の駆動伝達をギヤの噛み合いのみで行っている。駆動伝達にベルトなどを用いて感光体8に駆動伝達を行った場合、感光体8に負荷変動が発生した場合に、ベルトとベルトが張架されたローラとの間に滑りが生じ、感光体8への駆動伝達が一瞬止まってしまい、感光体8の速度変動が大きくなるという不具合がある。一方、本実施形態のように、感光体8への駆動伝達をギヤの噛み合いのみで行う場合は、感光体8に負荷変動が生じた場合、歯が弾性変形するなどして、感光体8の速度変動は多少生じるものの、ベルト駆動の場合に比べて抑制することができる。また、塗布ブラシローラ62への駆動伝達をギヤの噛み合いのみで行うことで、塗布ブラシローラ62に負荷変動が生じたとき、ベルトを介して駆動伝達する場合に比べて、塗布ブラシローラ62の速度変動を抑えることができ、塗布ブラシローラ62と感光体8との擦れを抑制することができ、感光体8表面の傷つきを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、第1ギヤ部122bから塗布ブラシローラ62へ複数のギヤの噛み合いを介して駆動が伝達されるように構成している。より具体的に説明すると、第1ギヤ部122bと第2ギヤ部123aとの噛み合い、ジョイントギヤ部124bとブラシギヤ163との噛み合いを介して、塗布ブラシローラ62に駆動が伝達されている。塗布ブラシローラ62に回転負荷変動が生じた場合、各ギヤの歯が弾性変形するなどして、塗布ブラシローラ62の負荷変動を減衰する。言い換えれば、塗布ブラシローラ62に負荷変動が生じても、ジョイントギヤ部124b、ブラシギヤ125、第2ギヤ部123aなどの歯が弾性変形するなどして、駆動伝達方向上流側の速度変動を抑制することができるのである。これにより、特許文献1に記載のように、感光体フランジギヤにブラシギヤを噛み合わせた構成に比べて、塗布ブラシローラ62の負荷変動による感光体8の速度変動を抑制することができる。
【0046】
本実施形態においては、塗布ブラシローラ62の負荷変動は、ジョイントギヤ部124bとブラシギヤ1125との噛み合い、クリーニングインボリュートスプライン継手、第2ギヤ部123aと第1ギヤ部122bとの噛み合いを経て、感光体8の回転に影響を与える。各ギヤ部の噛み合い位置ではバックラッシュ(遊び)があるため、駆動を停止しているとき、歯同士が接触していない場合がある。そのため、駆動を開始すると、各ギヤのバックラッシュの影響で、感光体8の回転開始に対して、塗布ブラシローラ62の回転開始が遅れるおそれがある。しかし、本実施形態においては、第1ギヤ部122bから塗布ブラシローラ62までのギヤの噛み合い箇所を、第1ギヤ部122bと第2ギヤ部123aとの噛み合いと、ジョイントギヤ部124bとブラシギヤ125との噛み合いの2箇所に抑えている。よって、感光体8に対する塗布ブラシローラ62の回転開始の同期ずれを最小限に留めることができ、塗布ブラシローラ62と感光体8との擦れを抑えている。
【0047】
また、特許文献2に記載のように、感光体ギヤ122aとは、別に原動ギヤ121と噛み合うギヤを設け、そのギヤから複数のギヤを介して塗布ブラシローラ62に駆動力を伝達するように構成した場合は、塗布ブラシローラ62の負荷変動が、感光体駆動モータM1の駆動力を直接受ける原動ギヤ121を経由して感光体8に伝達されることになるため、原動ギヤ121で塗布ブラシローラ62の負荷変動の影響をほとんど無くすことができ、感光体8に速度変動が生じるのを良好に抑制することができる。しかしながら、このように構成した場合、感光体駆動モータM1が、塗布ブラシローラ62と感光体8を挟んで反対側に配置された場合、塗布ブラシローラ62に駆動力を伝達するように構成するためのギヤの数が多くなってしまう。その結果、感光体8の回転開始に対して、塗布ブラシローラ62の回転開始が遅れ、塗布ブラシローラ62と感光体8とが擦れてしまい、感光体表面を傷つけしまうおそれがある。
【0048】
一方、本実施形態においては、塗布ブラシローラ62への駆動伝達を、感光体8に駆動伝達する感光体ギヤ部122aを介して伝達するように構成している。感光体8の表面に当接するように設けられる塗布ブラシローラ62は、感光体8の周囲に配設される。また、感光体ギヤ部122aは、感光体8と同軸上に配置される。よって、感光体ギヤ部122aを介して、塗布ブラシローラ62に駆動を伝達するように構成することによって、感光体駆動モータM1が、塗布ブラシローラ62に対して感光体8を挟んで反対側に配置された場合でも、塗布ブラシローラ62の回転開始の遅れの要因となるギヤの噛み合い箇所を、2箇所(第1ギヤ部122bと第2ギヤ部123aとの噛み合いと、ジョイントギヤ部124bとブラシギヤ125との噛み合い)に抑えることができる。これにより、感光体の回転開始に対する塗布ブラシローラ62の回転開始の遅れを抑制することができ、塗布ブラシローラ62と感光体8との擦れを抑えることができる。また、感光体駆動モータM1の配置に位置よらずに、塗布ブラシローラ62に駆動伝達するためのギヤの配列や数を決めることができる。
【0049】
また、本実施形態においては、装置本体側からプロセスカートリッジ側への駆動伝達としてスプライン継手を用いている。スプライン継手は、円筒状の雌部の内周面に形成された内歯と軸の外周面に形成された外歯とが1周にわたり噛み合うため、噛み合い率が高い。そのため、スプライン継手を用いることで、継手部での噛み合い振動を抑制することができる。特に、インボリュートスプライン継手を用いることで、さらに噛み合い率を上げることができ、継手部での噛み合い振動をより一層抑制することができる。これにより、継手部における噛み合い振動により感光体8の速度変動や塗布ブラシローラ62の速度変動を抑えることができる。
【0050】
また、塗布ブラシローラ62への駆動伝達経路における装置本体側とプロセスカートリッジ側との駆動伝達にスプライン継手を用いることで、次の利点を得ることができる。すなわち、スプライン継手は、円周方向1周に亘って外歯と内歯とを噛み合わせる構成であるため、円周方向のいずれかの位置では、かならず、外歯と内歯とが接触している。よって、ギヤの噛み合いのように、バックラッシュがないため、駆動伝達遅れが生じることがない。その結果、感光体8の回転開始に対して、塗布ブラシローラ62の回転開始の遅れを抑制することができ、塗布ブラシローラ62と感光体8表面との擦れを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態においては、第1ギヤ部122bの直径を第2ギヤ部123aの直径よりも大きくしている。このように、第1ギヤ部122bを大きくすることで、第2ギヤ部123aが振動して、その振動が第1ギヤ部122bへ伝達されたとしても、第1ギヤ部122bと第2ギヤ部123aとの径比によって、感光体1回転当りの振動の影響を低減することができる。これにより、第2ギヤ部123aの振動が、感光体8の速度に対して与える影響を低減することができ、第2ギヤ部123aの振動による副走査方向の印字濃度むら(バンディング)の影響を少なくすることができる。特に、本実施形態においては、第1ギヤ部122bを感光体8の外径よりも大きくして、第2ギヤ部123aと第1ギヤ部122bとの径比をさらに大きくしているので、第2ギヤ部123aの振動の影響をより一層少なくしている。
【0052】
また、第1ギヤ部122bと第2ギヤ部123aとの歯をハス歯にして、噛み合い率を向上させることで、第1ギヤ部122bと第2ギヤ部123と噛み合い位置での噛み合い振動を抑制することができ好ましい。
【0053】
図8は、現像装置10の現像ローラ10aや攪拌搬送スクリュ10b,10cに駆動を伝達する現像駆動伝達機構110の装置本体側の構成と、第1駆動伝達機構120の装置本体側の構成とを示す正面図であり、図9は、現像駆動伝達機構110の装置本体側の構成と、第1駆動伝達機構120の装置本体側の構成とを現像装置10を取り外したプロセスカートリッジ23とともに示す平面図である。
図8図9に示すように、現像駆動伝達機構110の装置本体側は、現像駆動伝達部材112と、現像アイドラギヤ113と、現像ジョイント部材114とを備えている。現像駆動伝達部材112は、現像駆動モータM2の現像原動ギヤ111と噛み合う現像第1ギヤ部112aと、現像アイドラギヤ113と噛み合う現像第2ギヤ部112bとを有している。現像ジョイント部材114は、現像アイドラギヤ113と噛み合う現像第3ギヤ部114aと、現像インボリュートスプライン雌部114bとを有している。プロセスカートリッジ23を装置本体に装着すると、現像装置10の奥側側面に設けられた不図示の現像インボリュートスプライン雄部が、上記現像インボリュートスプライン雌部114bに挿入され、装置本体側から現像装置へ駆動力が伝達される。
【0054】
本実施形態においては、塗布ブラシローラ62に駆動伝達する機構に本発明を適用したが、例えば、感光体表面に当接して、感光体表面のトナーをクリーニングするクリーニングローラの駆動伝達に本発明を適用してもよい。この場合も、クリーニングローラの負荷変動による感光体の速度変動を抑えて、感光体とクリーニングローラとの擦れを抑制することができる。また、感光体表面と当接する帯電ローラの駆動伝達に本発明を適用することができる。また、これらに限らず、感光体と当接する回転体の駆動伝達に本発明を適用することで、回転体の負荷変動による感光体の速度変動を抑えて、感光体と回転体との擦れを抑制することができる。
【0055】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
潜像を担持する感光体8などの潜像担持体と、潜像担持体に当接して回転する塗布ブラシローラ62などの回転体とにそれぞれ感光体駆動モータM1などの駆動源の回転駆動力を伝達する駆動伝達機構120において、潜像担持体と同軸上に設けられ、駆動源の原動ギヤ121と噛み合い、潜像担持体に回転駆動力を伝達する感光体ギヤ部122aなどの潜像担持体ギヤと、潜像担持体ギヤと同軸上に、潜像担持体ギヤと一体で回転する第1ギヤ122bとを備え、第1ギヤ122bから複数のギヤの噛み合いを経て、上記回転体に上記駆動源の駆動力が伝達されるように構成した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、第1ギヤと一つのギヤを介して塗布ブラシローラ62などの回転体に駆動伝達するものに比べて、塗布ブラシローラの負荷変動による感光体などの潜像担持体の速度変動を抑えることができる。また、回転体の潜像担持体に対する回転開始の遅れを抑制することができ、回転体と潜像担持体との擦れを抑制することができる。
【0056】
(態様2)
また、(態様1)に記載の駆動伝達機構120において、第1ギヤ123aの直径を、第1ギヤ123aと噛み合うギヤ(本実施形態では第2ギヤ部123a)の直径よりも大きくした。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、第2ギヤ部123aの振動による感光体の速度変動を抑制することができる。
【0057】
(態様3)
また、(態様1)または(態様2)に記載の駆動伝達機構120において、上記第1ギヤ122bから上記塗布ブラシローラ62などの回転体までの駆動伝達を、全てギヤの噛み合いのみにした。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、塗布ブラシローラ62などの回転体に負荷変動が生じたときに、回転体の速度変動が大きくなるのを抑制することができる。
【0058】
(態様4)
また、(態様1)乃至(態様3)いずれかの駆動伝達機構120において、第1ギヤ122bから塗布ブラシローラ62などの回転体までの駆動伝達を、2回のギヤの噛み合い(本実施形態では、第1ギヤ122bと第2ギヤ123aとの噛み合い、ジョイントギヤ部124bとブラシギヤ125との噛み合い)で行うように構成した。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、感光体8などの潜像担持体の回転開始に対する回転体の回転開始の遅れを必要最小限に抑えることができる。
【0059】
(態様5)
また、(態様1)乃至(態様4)いずれかの駆動伝達機構120において、上記塗布ブラシローラ62などの回転体は、装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットに収納されており、上記第1ギヤ122bから上記回転体までの駆動伝達経路において、駆動側からユニット側の駆動伝達としてスプライン継手を用いた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、継手部での噛み合い振動を抑制することができる。また、継手部が、感光体の回転開始に対する回転体の回転開始遅れの要因になるのを防止することができる。
【0060】
(態様6)
また、(態様5)に記載の駆動伝達機構120において、上記スプライン継手として、インボリュートスプライン継手を用いた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、継手部の噛み合い振動をより抑制することができる。
【0061】
(態様7)
また、(態様1)乃至(態様6)いずれかの駆動伝達機構120において、回転体が、潜像担持体表面を帯電する帯電ローラなどの帯電部材、潜像担持体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングローラなどのクリーニング部材、潜像担持体表面に潤滑剤を塗布する塗布ブラシローラなどの潤滑剤塗布部材のいずれかである。
かかる構成を備えることで、感光体などの潜像担持体の負荷変動を抑制することができ、かつ、感光体表面の傷つきを抑制することができる。
【0062】
(態様8)
また、潜像を担持する感光体8などの潜像担持体と、潜像担持体に当接して回転する塗布ブラシローラ62などの回転体と、潜像担持体と回転体とに感光体駆動モータM1などの駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達機構120とを備えた画像形成装置1において、駆動伝達機構として、上記(態様1)乃至(態様7)いずれかの駆動伝達機構を用いた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、バンディングなどの異常画像の発生を抑制し、かつ、感光体の寿命低下を抑えることができる。
【0063】
(態様9)
また、上記(態様8)に記載の画像形成装置1において、潜像を担持する感光体8などの潜像担持体と、潜像担持体に当接して回転する塗布ブラシローラ62などの回転体とを有し、装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジ23などのユニットを備えた。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、交換やメンテナンスの作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1:画像形成装置
8:感光体
9:帯電ローラ
11:感光体クリーニング装置
23:プロセスカートリッジ
62:塗布ブラシローラ
64:固形潤滑剤
66:均しブレード
67:搬送スクリュ
100:ユニット枠体
100a:奥側側板
110:現像駆動伝達機構
111:現像原動ギヤ
112:現像駆動伝達部材
112a:現像第1ギヤ部
112b:現像第2ギヤ部
113:現像アイドラギヤ
114:現像ジョイント部材
114a:現像第3ギヤ部
114b:現像インボリュートスプライン雌部
120:第1駆動伝達機構
121:原動ギヤ
122:駆動伝達部材
122a:感光体ギヤ部
122b:第1ギヤ部
122c:感光体インボリュートスプライン雄部
122d:第1軸部
122e:第2軸部
123:クリーニング雌側ジョイント部材
123a:第2ギヤ部
123b:クリーニングインボリュートスプライン雌部
124:クリーニング雄側ジョイント部材
124a:クリーニングインボリュートスプライン雄部
124b:ジョイントギヤ部
125:ブラシギヤ
126:アイドラギヤ
127:搬送ギヤ
128:感光体インボリュートスプライン雌部
M1:感光体駆動モータ
M2:現像駆動モータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2011−242467号公報
【特許文献2】特開2011−145423号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10