特許第6041443号(P6041443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6041443
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】安全性が向上した二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20161128BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20161128BHJP
   H01M 10/60 20140101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01M2/02 K
   H01M2/10 S
   H01M2/10 Y
   H01M10/60
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-536498(P2013-536498)
(86)(22)【出願日】2011年10月17日
(65)【公表番号】特表2013-545235(P2013-545235A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】KR2011007712
(87)【国際公開番号】WO2012060558
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年4月25日
【審判番号】不服2015-7608(P2015-7608/J1)
【審判請求日】2015年4月23日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0060561
(32)【優先日】2011年6月22日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0034680
(32)【優先日】2011年4月14日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0109973
(32)【優先日】2010年11月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、チャン、ムーン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャン、ホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、スン、ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ミン‐チュル
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スン、テク
(72)【発明者】
【氏名】シン、イン、チョル
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ナン、ジ
(72)【発明者】
【氏名】カン、ダル、モー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨ、ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ヨン、キュ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ユー、リム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、サン、ユン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、スン、ス
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スル、ギー
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジュン、ソク
【合議体】
【審判長】 池渕 立
【審判官】 河本 充雄
【審判官】 富永 泰規
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−172611(JP,A)
【文献】 特開2008−269954(JP,A)
【文献】 特開2010−80370(JP,A)
【文献】 特開2005−116374(JP,A)
【文献】 特開2005−123127(JP,A)
【文献】 特開2005−129260(JP,A)
【文献】 特開2010−97700(JP,A)
【文献】 特開2000−176931(JP,A)
【文献】 特開平8−13447(JP,A)
【文献】 特開2012−84447(JP,A)
【文献】 特開平10−159854(JP,A)
【文献】 特開2010−15931(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/048952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/00- 2/08
H01M 2/14- 2/34
H01M10/00-10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックであって、
電気的に連結された複数の二次電池と、前記複数の二次電池の全体を外装する電池モジュール外装材と、をそれぞれ含む複数の電池モジュールを備えてなり、
前記複数の電池モジュールの全体を外装する電池パック外装材の最外側面に一つ以上の第1耐衝撃素材を備え、前記第1耐衝撃素材は、150℃以上で熱分解される高強度および高耐熱性を有する耐衝撃素材であり、アラミド繊維、ガラス繊維、UHMWPE繊維およびポリベンゾオキサゾール繊維からなる群から選択される一種以上を含むものであり、
パワーツール、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、E−バイク、E−スクーター、電気ゴルフカート、電気トラック、及び電気商用車からなる群から選択される一種以上のものの電源として使用されることを特徴とする、電池パック。
【請求項2】
前記複数の電池モジュールのそれぞれが、それぞれの電池モジュールに含まれる前記電池モジュール外装材に一つ以上の第2耐衝撃素材を備え
前記第2耐衝撃素材は、150℃以上で熱分解される高強度および高耐熱性を有する耐衝撃素材であり、アラミド繊維、ガラス繊維、UHMWPE繊維およびポリベンゾオキサゾール繊維からなる群から選択される一種以上を含むものであることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電池パックが、冷媒が流れるダクトと隣接して配置されており、
前記電池パックまたは前記ダクトに第3耐衝撃素材が備えられてなり、
前記第3耐衝撃素材は、150℃以上で熱分解される高強度および高耐熱性を有する耐衝撃素材であり、アラミド繊維、ガラス繊維、UHMWPE繊維およびポリベンゾオキサゾール繊維からなる群から選択される一種以上を含むものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池パックが、
前記電池パックと前記ダクトとの間に第4耐衝撃素材を備えた構造を備えてなり、
前記第4耐衝撃素材は、150℃以上で熱分解される高強度および高耐熱性を有する耐衝撃素材であり、アラミド繊維、ガラス繊維、UHMWPE繊維およびポリベンゾオキサゾール繊維からなる群から選択される一種以上を含むものであることを特徴とする、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記電池パックが、
前記電池パックと第5耐衝撃素材との間に前記ダクトを備えた構造を備えてなり、
前記第5耐衝撃素材は、150℃以上で熱分解される高強度および高耐熱性を有する耐衝撃素材であり、アラミド繊維、ガラス繊維、UHMWPE繊維およびポリベンゾオキサゾール繊維からなる群から選択される一種以上を含むものであることを特徴とする、請求項3に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性が向上した二次電池、電池モジュールおよび電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、充放電が可能な二次電池は、ワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広範囲に使用されている。また、二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン自動車、ディーゼル自動車などによる大気汚染などを解決するための代替案として提示されている電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力源としても注目されている。
【0003】
小型モバイル機器には、デバイス1台当たり一つまたは二つ〜三つの電池セルが使用される反面、自動車などの中大型デバイスには、高出力および大容量の必要性により、複数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが使用される。中大型電池モジュールは、できるだけ小さいサイズと重量で製造されることが好ましいため、高い集積度で充積されることができ、容量に対する重量が小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に使用されている。
【0004】
特に、アルミニウムラミネートシートなどを外装部材として使用するパウチ型電池は、重量が小さく、製造コストが低く、形態変形が容易であるなどの利点により、最近多くの関心を集めている。
【0005】
中大型電池モジュールが所定の装置乃至デバイスで要求される出力および容量を提供するためには、複数の電池セルを直列方式で電気的に連結しなければならず、外力に対して安定した構造を維持しなければならない。
【0006】
また、中大型電池モジュールを構成する電池セルは、充放電が可能な二次電池で構成されており、そのうち高いエネルギー密度と電圧を有し、かつサイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く使用されている。
【0007】
このような二次電池における主要研究課題の一つは安全性を向上させることである。特に、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電源として中大型電池パックに使用される二次電池は、複数の高エネルギー電池セルが密集しており、発火点の低い有機電解液を含んでいる特性上、安全性の確保が非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、二次電池、電池モジュールおよび電池パックに防弾素材を設けることにより、前記二次電池などの安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一つ以上の防弾素材(耐衝撃素材:ballistic material)が設けられている二次電池を提供する。
【0010】
前記防弾素材(耐衝撃素材)は、1.0〜6.0GPaの引張強度を有しており、150℃以上で熱分解される高強度および高耐熱性のものであれば、当業界で使用するものを制限なく使用することが可能であり、非制限的な例として、アラミド繊維(Aramid fiber)、ガラス繊維(Glass fiber)、UHMWPE繊維(ウルトラ−ハイ−モレキュラーウエイト ポリエチレン 繊維:Ultra-high-molecular-weight polyethylene fiber:超高分子量ポリエチレン繊維)およびPBO繊維(ポリベンゾオキサゾール繊維:Polybenzoxazole fiber)などが挙げられる。
【0011】
前記防弾素材は、二次電池の電極組立体の内部、電池外装材の内側面および電池外装材の最外側の面(最外側面と呼ぶ)など、二次電池の何れの位置に設けられてもよい。
【0012】
また、本発明は、複数の二次電池を直列または並列に連結して含む電池モジュールにおいて、前記防弾素材が一つ以上設けられている電池モジュールを提供する。
【0013】
前記防弾素材は、上述したものと同一の物質を使用することができる。
【0014】
本発明に係る電池モジュールは、1)前記電池モジュールに含まれる二次電池は防弾素材を含んでいないが、電池モジュール単位で防弾素材が介在されている電池モジュール、2)前記電池モジュールに含まれる二次電池は防弾素材を含んでいるが、電池モジュール単位では防弾素材が介在されていない電池モジュールおよび3)前記電池モジュールに含まれる二次電池だけでなく、電池モジュール単位でも防弾素材が介在されている電池モジュールなど、様々な形態を示すことができる。
【0015】
前記電池モジュール単位で防弾素材が介在される位置(箇所、場所)は、電池モジュールの内部、電池モジュール外装材の内側面および電池モジュール外装材の最外側面など、電池モジュールの何れの位置でも可能であり、一つ以上の位置に介在することが可能であることは言うまでもない。
【0016】
さらに、本発明は、複数の電池モジュールを含む電池パックにおいて、上述したような防弾素材を一つ以上設けることで安全性が向上した電池パックを提供する。
【0017】
本発明に係る電池パックは、1)前記電池パックに含まれる電池モジュールは防弾素材を含んでいないが、電池パック単位で防弾素材が介在されている電池パック、2)前記電池パックに含まれる電池モジュールは防弾素材を含んでいるが、電池パック単位では防弾素材が介在されていない電池パックおよび3)前記電池パックに含まれる電池モジュールだけでなく、電池パック単位でも防弾素材が介在されている電池パックなど、様々な形態を示すことができる。
【0018】
記電池パック単位で防弾素材が介在される位置は、電池パックの内部、電池パック外装材の内側面および電池パック外装材の最外側面など、電池パックの何れの位置でも可能であり、一つ以上の位置に介在することが可能であることは言うまでもない。
【0019】
前記電池パックは、パワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)およびプラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などの電気車、E-バイク(E-bike)またはE-スクーター(E-scooter)などの電気二輪車、電気ゴルフカート(Electric golf cart);電気トラックおよび電気商用車などの電源として使用することができる。
【0020】
前記電池パックは、前記電気車などのエンジンルームに搭載される場合、冷媒が流れるダクトと隣接して位置(配置)することができ、前記電池パックまたはダクトに防弾素材を設けることができる。
【0021】
前記電池パックは、電池パックとダクトとの間に防弾素材が設けられている構造を有するか、電池パックと防弾素材との間にダクトが位置する構造を有してもよく、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、防弾素材が設けられている二次電池、電池モジュールおよび電池パックに関するものであり、伝導性針状物体が二次電池などの内部を貫通する際に発生し得る過熱または発火、気化電解液の外部噴出、伝導性針状物体と電極の電気的接触などを防止することで、二次電池、電池モジュールおよび電池パックの安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る二次電池が伝導性針状物体によって貫通される状態を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電池モジュールが伝導性針状物体によって貫通される状態を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電池パックが伝導性針状物体によって貫通される状態を概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るダクトと隣接して配置された電池パックが伝導性針状物体によって貫通される状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る二次電池は、一つ以上の防弾素材が設けられていることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る前記防弾素材は、特に、1.0〜6.0GPa範囲の引張強度を有し、150℃以上で熱分解される防弾素材であることが好ましい。
【0026】
前記防弾素材は、外部の衝撃から二次電池を防御する役割を行い、二次電池が伝導性の針状物体による攻撃を受けても防弾素材によって二次電池内部の電極組立体などが損傷を受ける恐れを予め防止する。
【0027】
図1を参照すると、前記防弾素材4が伝導性針状物体5によって穿孔されても、前記防弾素材4が伝導性針状物体5を包みながらともに二次電池1の内部に入ることにより、電極組立体2と防弾素材4が接触して発熱、発火および短絡のような現象を起こすことを防止する。また、伝導性針状物体5とともに貫通した防弾素材4は、スパーク発生を抑制し、局所的な地域短絡による温度上昇時に気化した電解液の過度な噴出を防止して発火の恐れを減少させる。
【0028】
しかし、前記防弾素材の引張強度が1.0GPa未満の場合には前記防弾素材が伝導性針状物体によって破裂し、伝導性針状物体と電極組立体が接触して発熱、発火および短絡のような現象が発生する恐れがあるため好ましくなく、前記防弾素材の引張強度が6.0GPaを超える場合には防弾素材の柔軟性が低下して伝導性針状物体の表面を包むことが難しくなり、電極組立体との接触を十分に防止することができないという問題があるため好ましくない。
【0029】
また、前記分解温度が150℃未満の場合には電池の誤作動または外部衝撃による急激な温度上昇時に前記防弾素材が熱分解されて電池の保護物質として作用することができないだけでなく、前記防弾素材によりかえって電池の副反応をもたらすことがあるため好ましくない。
【0030】
前記の目的および効果に適するためには、防弾素材の引張強度が2.0〜6.0GPaの範囲であることが好ましく、3.0〜6.0GPaの範囲であることがより好ましく、防弾素材の分解温度が200℃以上が好ましく、350℃以上の分解温度を有することがより好ましい。
【0031】
本発明の二次電池に設けられる防弾素材は、高分子樹脂より優れた引張強度、耐熱性および絶縁性を有するため、伝導性針状物体によって発生する発熱、発火および短絡のような恐れを防止する効果に優れる。
【0032】
前記防弾素材は1.0〜6.0GPaの引張強度および150℃以上の熱分解温度を有する防弾素材であれば、当業界で使用するものを制限なく使用することができる。
【0033】
非制限的な例として、アラミド繊維(Aramid fiber)、ガラス繊維(Glass fiber)、UHMWPE繊維(Ultra-high-molecular-weight polyethylene fiber)およびPBO繊維(Polybenzoxazole fiber)などが挙げられ、より詳細には、前記アラミド繊維としてはケブラー(Kevlar)、トワロン(Twaron)、ヘラクロン(Heracron)およびテクノーラ(Technora)などが好適であり、前記UHMWPE繊維としてはダイニーマ(Dyneema)、スペクトラ(Spectra)などが好適であり、PBO繊維としてはザイロン(Zylon)などが好適である。
【0034】
以下、図1を参照して説明すると、本発明に係る二次電池1は、前記電池外装材3の内部および/または外部に上述した防弾素材4を設けていることを特徴としており、その位置は特に限定されず、例えば、電極組立体2の表面、電池外装材3の内側面および電池外装材の最外側面から選択される一つ以上に介在することが可能である。
【0035】
そのうち、電池外装材3の最外側面に防弾素材4を介在することが、外部衝撃から電池外装材3を保護するだけでなく、伝導性針状物体5などによって二次電池が貫通されても伝導性針状物体5と電極組立体2との絶縁効果をもたらすため好ましい。
【0036】
防弾素材4を二次電池1に介在する方法についてより詳細に説明すると、前記防弾素材4が、電極組立体2の4面の全部または一部を包む形態、または電極組立体2の最も広い表面の全部または一部に位置する形態で介在されることができる。
【0037】
また、前記防弾素材4が電池外装材3の外部に介在される場合には、電池外装材3の外部全体を包む形態またはその一部分だけ包む形態で介在されることができ、好ましくは、広い表面に介在(図1参照)されることが、電池を保護しようとする本発明の目的に適する。
【0038】
前記二次電池1内に含まれる防弾素材4の数量は、二次電池の用途および容量などを考慮して、防弾素材の体積、重量などに応じて調節することができる。
【0039】
さらに、本発明は、複数の二次電池1を直列または並列に連結して含む電池モジュール10において、上述したような防弾素材4を一つ以上設けることで安全性が向上した電池モジュール10を提供する。
【0040】
本発明に係る電池モジュール10は、1)前記電池モジュールに含まれる二次電池1は防弾素材4を含んでいないが、電池モジュール単位で防弾素材が介在されている電池モジュール、2)前記電気モジュールに含まれる二次電池は防弾素材を含んでいるが、電池モジュール単位では防弾素材が介在されていない電池モジュールおよび3)前記電池モジュールに含まれる二次電池だけでなく、電池モジュール単位でも防弾素材が介在されている電池モジュールなど、様々な形態が可能である。
【0041】
前記電池モジュール10単位で防弾素材4が介在される位置は、電池モジュールの内部、電池モジュール外装材11の内側面および電池モジュール外装材11の最外側面など、電池モジュール10の何れの位置でも可能であり、一つ以上の位置に介在することが可能であることは言うまでもない。
【0042】
本発明の好ましい一実施形態に係る防弾素材を介在した電池モジュール10を図2に示した。図2は本発明を説明するために示したものであり、本発明の範囲はこれによって限定されず、電池モジュール10に含まれる防弾素材4および二次電池1は、電池モジュール10の用途および容量などを考慮して調節することができることは言うまでもない。
【0043】
さらに、本発明は、複数の電池モジュール10を含む電池パック20において、上述したような防弾素材4を一つ以上設けることで安全性が向上した電池パックを提供する。
【0044】
本発明に係る電池パック20は、1)前記電池パック20に含まれる電池モジュール10は防弾素材4を含んでいないが、電池パック単位で防弾素材が介在されている電池パック、2)前記電池パックに含まれる電池モジュールは防弾素材を含んでいるが、電池パック単位では防弾素材が介在されていない電池パックおよび3)前記電池パックに含まれる電池モジュールだけでなく、電池パック単位でも防弾素材が介在されている電池パックなど、様々な形態が可能である。
【0045】
前記電池パック20の単位で防弾素材4が介在される位置は、電池パック20の内部、電池パック外装材21の内側面および電池パック外装材21の最外側面など、電池パック20の何れの位置でも可能であり、一つ以上の位置に介在することが可能であることは言うまでもない。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態に係る防弾素材を介在した電池パック20を図3に示した。図3は本発明を説明するために示したものであり、本発明の範囲はこれによって限定されず、電池パックに含まれる防弾素材4、二次電池1および電池モジュール10は、電池パック20の用途および容量などを考慮して調節することができることは言うまでもない。
【0047】
本発明に係る一つ以上の防弾素材が設けられている電池パックは、パワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)およびプラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などの電気車、E-バイク(E-bike)またはE-スクーター(E-scooter)などの電気二輪車、電気ゴルフカート(Electric golf cart);電気トラックおよび電気商用車などの電源として使用されることができる。
【0048】
前記電気車などのエンジンルームには、電気車などの運行時に発生する熱を冷却するために冷媒が流れるダクト(duct)が設けられており、電池パックから発生する熱もともに冷却することができるように、前記電池パックが前記ダクトと隣接して設けられる場合が多い。
【0049】
この場合、本発明に係る電池パックに含まれる防弾素材の位置を決定するにあたり、前記ダクトの位置を考慮することができる。
【0050】
前記ダクトの位置は特に限定されず、中大型電池パックの上側または下側に位置することができ、通常、自動車の構造上、前記ダクトが中大型電池パックの上側に位置するように設計されることができる。ただし、実際自動車に中大型電池パックを搭載する際には前記中大型電池パックの上側と下側が覆われた形態で搭載される場合があるため、構造の設計時にこのような点は参考することができる。
【0051】
前記ダクトが前記電池パックの上側に位置する場合、防弾素材は、電池パック外装材表面の電池パックとダクトとの間または図4のように電池パック20の上側に位置したダクト6の上面に位置することができる。
【0052】
特に、図4のように電池パック20の上側に位置したダクト6の上面に防弾素材4が位置する場合、自動車のエンジンルームが伝導性針状物体5による攻撃を受けても、一次的に防弾素材4が電池パック20だけでなくダクト6も伝導性針状物体5から物理的に保護する効果があるため好ましい。
【0053】
その他、防弾素材を設けることにより電池パックの安全性を向上させる効果および防弾素材の具体的な構成は、上述したとおりである。
【0054】
本発明の明細書では、前記電池パックが電気車などのエンジンルームに搭載される場合に限定して前記防弾素材の位置などについて具体的に説明したが、本発明に係る電池パックは、使用分野に応じて適した位置に防弾素材を設けることができ、様々な位置に追加の防弾素材をさらに設けることができることは言うまでもない。
【0055】
以下、下記の合成例および実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は合成例および実施例に限定されない。
【0056】
実施例1
本発明の防弾素材として、商品名Heracron HT640(コーロンインダストリー社製)を使用した。前記Heracron HT640は、引張強度が2.0GPaであり、熱分解温度が550℃である。
【0057】
前記Heracron HT640を厚さ20mm、二次電池のパウチの最外側の広い表面と同一の面積で用意した。前記用意したHeracron HT640を二次電池のパウチの最外側の広い表面に、接着剤を用いて介在した。
実施例2
Heracron HT640を厚さ50mm、電池モジュール(二次電池8個含み)の外装材の最外側の広い表面と同一の面積で用意した。前記用意したHeracron HT640を電池モジュール外装材の最外側の広い表面に、接着剤を用いて介在した。
【0058】
実施例3
Heracron HT640を厚さ100mm、電池パック(二次電池48個含み)の外装材の最外側の広い表面と同一の面積で用意した。前記用意したHeracron HT640を電池パック外装材の最外側の広い表面に、接着剤を用いて介在した。
【0059】
比較例1
実施例1の防弾素材が介在されていない二次電池。
【0060】
比較例2
実施例2の防弾素材が介在されていない電池モジュール。
【0061】
比較例3
実施例3の防弾素材が介在されていない電池パック。
【0062】
実験例.二次電池電池モジュールおよび電池パックの安全性評価
前記製作された実施例および比較例の電池、電池モジュールおよび電池パックを4.2Vの電圧下で完全に充電し、直径2.5〜20mmの釘(nail)を用いて電池、電池モジュールおよび電池パックの中央および側面を貫通させた後、発火有無を観察した。この際、釘刺しは12m/minの速度で行い、前記実施例および比較例の電池、電池モジュールおよび電池パックの安全性を評価した。
【表1】
【符号の説明】
【0063】
1 二次電池
2 電極組立体
3 電池外装材
4 防弾素材
5 伝導性針状物体
6 ダクト
10 電池モジュール
11 電池モジュール外装材
20 電池パック
21 電池パック外装材
図1
図2
図3
図4