(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、排気中の臭気成分に含まれる腐食性成分については考慮されなかった。
【0008】
すなわち、排気中の臭気成分には、真空ポンプを構成する鋳鉄を腐食させる成分(腐食性成分)が含まれている。従来技術のように、脱臭装置を真空ポンプの排気吐き出し側に設置した場合、排気中に含まれる腐食性成分はそのまま真空ポンプに吸引されるので、真空ポンプが腐食し、真空ポンプの寿命が短くなるおそれがある。真空ポンプの腐食を抑制するためには、真空ポンプに耐食性に優れた高級材質を使用することも考えられるが、コストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の真空ポンプユニットは、上記課題に鑑みなされたもので、液体及び該液体を同伴搬送する気体が収集される集水タンクから前記気体を吸引する真空ポンプと、前記集水タンクと前記真空ポンプとの間を連通する連通路に設けられ、前記気体に含まれる腐食
性成分を除去する除去装置と、前記真空ポンプの下流側に接続された排気路に設けられ、前記真空ポンプから吐出された気体に含まれる臭気成分を除去する脱臭装置と、を備える。
【0010】
このように、集水タンクと真空ポンプとを連通する連通路(気体吸入側の搬送路)に、気体に含まれる腐食性成分を除去する除去装置(硫化水素除去装置)を設けたので、腐食性成分による真空ポンプの腐食を抑制することができ、真空ポンプの長寿命化を図ることができる。
【0011】
また、前記真空ポンプはドライ式とすることができる。
【0012】
また、前記真空ポンプは、前記集水タンクから前記気体を吸引する第1のモード、及び前記第1のモードと反対側に回転することによって前記集水タンクに収集された液体を圧送する圧送気体を前記集水タンクへ吐出する第2のモードで運転可能な真空ポンプとすることができる。
【0013】
また、前記除去装置は、前記腐食性成分を除去した気体に含まれる硫化水素の平均濃度が20ppm以下になるように前記腐食性成分を除去することができる。
【0014】
また、前記連通路のうち前記除去装置の上流側の連通路と下流側の連通路との間を、前記除去装置をバイパスして接続するバイパス搬送路をさらに備え、前記上流側の連通路又は前記下流側の連通路には、前記真空ポンプが前記第1のモードで運転している際にのみ前記気体を搬送させる第1の逆止弁が設けられ、前記バイパス搬送路には、前記真空ポンプが前記第2の運転モードで運転している際にのみ前記圧送気体を搬送させる第2の逆止弁が設けることができる。
【0015】
また、前記真空ポンプが前記第1のモードで運転しているときの前記真空ポンプの吸入側の圧力の検出値に基づいて、前記真空ポンプの第1のモードの運転/前記真空ポンプの停止を制御する制御部をさらに備えることができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記集水タンクの前記下水の水位の検出値に基づいて、前記真空ポンプの第2のモードの運転/前記真空ポンプの停止を制御することができる。
【0017】
また、前記制御部は、前記集水タンクを収容する躯体の内部の水位の検出値に基づいて、前記躯体の内部と前記集水タンクとを接続する配管に設けられたバルブの開閉を制御することができる。
【0018】
また、前記真空ポンプに接続された前記気体を吸入する連通路及び前記気体を吐出する連通路の少なくとも一方には、前記気体に含まれる水分を前記集水タンクへ戻すための返水配管が設けることができる。
【0019】
また、前記液体は、生活排水を含む下水とすることができる。
【0020】
また、前記真空ポンプと前記脱臭装置とを連通する連通路に設けられ、前記真空ポンプから吐出された気体を冷却する冷却装置をさらに備えることができる。
【0021】
また、真空ステーションは、液体及び該液体を同伴搬送する気体が収集される集水タンクと、前記集水タンクから前記気体を吸引する真空ポンプと、前記集水タンクと前記真空ポンプとの間を連通する連通路に設けられ、前記気体に含まれる腐食性成分を除去する除去装置と、前記真空ポンプの下流側に接続された排気路に設けられ、前記真空ポンプから
吐出された気体に含まれる臭気成分を除去する脱臭装置と、を備える。
【0022】
また、真空ステーションは、前記集水タンクを地下に埋設し、前記真空ポンプ、前記除去装置、及び前記脱臭装置を地上に設置することができる。
【発明の効果】
【0023】
かかる本願発明によれば、真空ポンプの腐食を抑制することができるため、真空ポンプの長寿命化を図ることができる。また、本願発明によれば、真空ポンプ手前の吸排気ラインに硫化水素除去装置が配されるために、真空ポンプからの外部排気ラインに取り付ける脱臭装置を簡略化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る真空ポンプユニット及び真空ステーションを図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態では、一例として、真空ステーションを挙げて説明するが、これには限られない。例えば、真空ポンプを腐食させる成分を発生させる液体を、真空ポンプによる気体の吸引力を利用して搬送する施設において、本発明を適用することができる。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の真空ステーションの全体構成を示す図である。第1実施形態では、真空ステーションの基本的な構成及び動作を理解し易いように、真空ポンプが1台設けられたシンプルな構成を例にして説明を行う。
図1に示すように、真空ステーション400は、集水タンクユニット200と、真空ポンプユニット300とを備える。第1実施形態の真空ステーションは、例えばマンホール内などの地下に集水タンクユニット200が埋設され、地上に真空ポンプユニット300が設置される道路下埋設型である。ただし、真空弁ユニット300は地上に限定するものではなく、地下や道路下に埋設設置する場合にも適用できる。また、本発明は道路下埋設型に限らず、例えば、地上の建屋内に集水タンク及び真空ポンプが設置される一般的な真空ステーションなどにおいても適用することができる。
【0027】
集水タンクユニット200は、集水タンク202、逆止弁ユニット204、下水水位計測器206、水位計測器208、連通管210、及び大気開放弁212を備える。
【0028】
集水タンク202は、生活排水を含む下水、及びこの下水を同伴搬送する排気が収集される容器である。集水タンク202の天井部には、例えば真空弁ユニットなどに一時的に貯められた下水及び排気を同伴搬送する汚水流入管110の一端が接続されている。逆止弁ユニット204は、汚水流入管110に設けられている。逆止弁ユニット204は、真空弁ユニット等から集水タンク202へ向かう方向のみ下水及び排気を流すバルブである。
【0029】
下水水位計測器206は、集水タンク202内の下水の水位を計測する計測器である。下水水位計測器206は、例えば電極式水位計とすることができる。下水水位計測器20
6によって計測された水位は、真空ポンプユニット300内に設けられた制御部382へ出力される。
【0030】
水位計測器208は、集水タンクユニット200の躯体内の水位を計測する計測器である。水位計測器208は、例えば、電極式水位計とすることができる。水位計測器208によって計測された水位は、真空ポンプユニット300内に設けられた制御部382へ出力される。
【0031】
連通管210は、集水タンク202の天井部と集水タンクユニット200の躯体内の下部とを連通する管である。大気開放弁212は、連通管210に設けられており、集水タンク202の天井部と集水タンクユニット200の躯体内の下部との連通を開閉するバルブである。
【0032】
また、集水タンク202の天井部には、集水タンク202の天井部と真空ポンプユニット300とを接続する給排気管120が接続されている。給排気管120は、集水タンク202と真空ポンプユニット300内に含まれる真空ポンプ314との間を連通する連通路である。また、給排気管120は、真空ポンプ314によって吸引された排気が搬送される搬送路である。
【0033】
また、集水タンク202の底部には、下水を例えば下水処理の公共施設等へ搬送する汚水圧送管130の一端が連通している。汚水圧送管130には、逆止弁214が設けられる。逆止弁214は、集水タンク202から公共施設等への方向にのみ下水を通流可能にするバルブである。また、汚水圧送管130の途中からは、汚水圧送管130内の空気を抜くための空気抜き管140が分岐して設けられている。空気抜き管140には、空気抜き弁142が設けられている。空気抜き弁142は、例えばボール弁などで構成することができ、空気抜き管140を開閉する。
【0034】
また、集水タンクユニット200には、集水タンクユニット200の躯体の内部と大気とを連通する吸気管150が設けられている。吸気管150は、集水タンクユニット200の躯体の内部が負圧になった場合に大気から躯体内部へ空気を吸気し、正圧となった場合に躯体内部から空気を排気する。
【0035】
次に、真空ポンプユニット300について説明する。真空ポンプユニット300は、機械室310と制御室380とを備える。
【0036】
機械室310には、硫化水素除去装置362(除去装置)、真空ポンプ314、冷却装置358、脱臭装置360、吸気サイレンサ316、排気サイレンサ318,320,及び排気ファン322などが設けられている。真空ポンプ314はドライ式である。
【0037】
制御室380には、真空ポンプ314の回転制御、及び大気開放弁212の開閉制御などを行う制御部382が設けられている。
【0038】
給排気管120は、一端が集水タンク202の天井部に接続され、他端が排気サイレンサ318に接続されている。給排気管120には、集水タンク202側(上流側)から順に、硫化水素除去装置362、真空ポンプ314などが設けられている。
【0039】
給排気管120のうち真空ポンプ314より上流側には、圧力計測器324が設けられている。圧力計測器324は、集水タンクを含む給排気管120の真空ポンプ314より上流側の圧力を計測する。圧力計測器324によって計測された圧力値は、制御部382へ出力される。
【0040】
真空ポンプ314は、給排気管120を介して集水タンク202から排気を吸引する。より具体的には、給排気管120は集水タンク202の天井部(気相部)に連通しており、真空ポンプ314は集水タンク202内の気相部から排気を吸引する。これにより、集水タンク202の内部は負圧になる。その結果、真空弁ユニットに貯められた下水は、排気とともに汚水流入管110の内部を同伴搬送され、逆止弁ユニット204を介して集水タンク202内に貯められる。
【0041】
また、真空ポンプ314は、集水タンク202から排気を吸引する第1のモード、及び第1のモードと反対側に回転することによって、集水タンク202内の下水を圧送するための気体(以下、圧送気体という。)を集水タンク202へ吐出する第2のモードで運転可能なポンプとすることができる。第2のモードでは、給排気管120を介して圧送気体が集水タンク202に吐出され、これにより、集水タンク202に貯められた下水が汚水圧送管130を介して例えば下水処理の公共施設へ圧送される。
【0042】
真空ポンプ314は、例えば、集水タンク202の圧力が一定値を下回ると第1のモードで運転して下水及び排気を集水タンク202へ収集するとともに、集水タンク202にある程度下水が貯まったら、第1のモードの運転をいったん停止して第2のモードの運転に切り替える。また、真空ポンプ314は、例えば、第2のモードの運転を行うことによって集水タンク202内の下水の水位が下がってきたら第2のモードの運転をいったん停止して、集水タンク202の圧力が一定値を下回ると第1のモードの運転に切り替える。また、真空ポンプ314は、例えば夜間など、集水タンク202の圧力が一定値以上に保持されている場合には運転を停止する。
【0043】
硫化水素除去装置362は、真空ポンプ314の入口側に設けられており、排気に含まれる腐食性成分を除去する。ここで、排気に含まれる腐食性成分とは、真空ポンプ314を腐食させる成分のことであり、例えば硫化水素が代表的である。硫化水素はそれ自身も腐食性を有するが、好気性細菌である硫黄酸化細菌の作用によって腐食性の強い硫酸に変化する。硫化水素除去装置362は、こういった腐食性成分あるいは腐食性成分の原因物質を除去するためのものである。硫化水素除去装置362は、硫化水素除去装置362からの排気に含まれる硫化水素の平均濃度が20ppm以下(好ましくは10ppm以下)になるように腐食性成分を除去する。20ppm以下であれば、硫化水素に起因する腐食の問題をある程度抑えることができるが、絶対ではない。10ppm以下であれば、硫化水素に起因する腐食はほとんど抑えることができる。硫化水素除去装置362には、例えば、バキュームカー、生ゴミ、し尿処理場等で使用されている高濃度臭気用脱臭剤など、負圧下で使用可能な脱臭装置を用いることができる。これにより、負圧下であっても、硫化水素除去装置362で腐食性成分を吸着・除去させることができる。
【0044】
また、硫化水素除去装置362の上流側(排気吸入搬送路)及び下流側(排気吐出搬送路)の給排気管120にはそれぞれバルブ326,328が設けられている。バルブ326,328はそれぞれ、硫化水素除去装置362の上流側及び下流側の給排気管120を開閉するバルブであり、通常時にはいずれも開になっている。バルブ326,328は、例えば硫化水素除去装置362をメンテナンス又は交換で取り外す際にいずれも閉になる。
【0045】
また、真空ポンプ314の上流側及び下流側の給排気管120にもそれぞれバルブ330,332が設けられている。バルブ330,332はそれぞれ、真空ポンプ314の上流側及び下流側の給排気管120を開閉するバルブであり、通常時にはいずれも開になっている。バルブ330,332は、例えば真空ポンプ314をメンテナンス又は交換で取り外す際にいずれも閉になる。
【0046】
また、硫化水素除去装置362の上流側及び下流側の給排気管120には、硫化水素除去装置362をバイパスして接続するバイパス管334(バイパス搬送路)が設けられている。バイパス配管334は、給排気管120のうち硫化水素除去装置362の上流側の連通路と下流側の連通路との間を、硫化水素除去装置362をバイパスして接続する。バイパス管334には、真空ポンプ314が第2の運転モード(圧送モード)で運転している際に圧送気体を搬送させる逆止弁336(第2の逆止弁)が設けられる。また、硫化水素除去装置362の上流側の給排気管120(上流側の連通路)には、真空ポンプ314が第1のモード(集水モード)で運転している際にのみ排気を搬送させる逆止弁338(第1の逆止弁)が設けられている。なお、逆止弁338は、硫化水素除去装置362の下流側の給排気管120(下流側の連通路)に設けることもできる。
【0047】
このように、バイパス管334と逆止弁336,338を設けることによって、真空ポンプ314が第1のモード(集水モード)で運転している際には、排気はバイパス管334を通らず硫化水素除去装置362を通って真空ポンプ314へ吸引される。一方、真空ポンプ314が第2のモード(圧送モード)で運転している際には、圧送気体は硫化水素除去装置362を通らずバイパス管334を通って集水タンク202へ圧送される。したがって、圧送モードの際に硫化水素除去装置362に圧送気体が逆流することを抑制することができる。
【0048】
また、バイパス管334と、硫化水素除去装置362の上流側の給排気管120とは、配管340によって接続されており、配管340にはバルブ342が設けられている。バルブ342は、配管340を開閉するバルブである。配管340は、例えば硫化水素除去装置362をメンテナンス又は交換する際に使われる。すなわち、バルブ342は通常は閉になっている一方、硫化水素除去装置362をメンテナンス又は交換で取り外している際には開になる。硫化水素除去装置362が取り外された際には、排気は配管340及びバイパス管334を通って真空ポンプ314へ吸引される。
【0049】
また、真空ポンプ314下流の給排気管120の外部排気ラインには、冷却装置358と脱臭装置360が設けられる。また、冷却装置358は、給排気管120のうち、真空ポンプ314と脱臭装置360とを連通する連通路に設けられる。すなわち、真空ポンプ314の上流側に設けた硫化水素除去装置362によって、排気に含まれる真空ポンプ314の腐食性成分(硫化水素など)を除去するとともに、真空ポンプ314の下流側(排気吐出連通路)に設けた脱臭装置360により排気に含まれる臭気成分を除去する例を示したが、これには限られない。
【0050】
第1実施形態では、真空ポンプ314の上流側に設けた硫化水素除去装置362は、排気に含まれる真空ポンプ314の腐食性成分(硫化水素など)を除去できるものであればよい。例えば、硫化水素除去装置362は、腐食性成分を除去した排気に含まれる硫化水素の平均濃度が20ppm以下(好ましくは10ppm以下)になるように腐食性成分を除去するものであればよい。一方、排気に含まれる臭気成分については、真空ポンプ314下流の外部排気ラインに設けた脱臭装置360によって除去することができる。真空ポンプ314により温度上昇した排気は冷却装置358によって所定温度まで冷却された後に、脱臭装置360に供給され排気中に含まれる臭気成分のうち例えば硫化水素濃度は0.2ppm以下(好ましくは0.1ppm以下、より好ましくは0.02ppm以下)のレベルまで低減される。なお、0.2ppmは敷地境界線の地表における規則基準の上限値で臭気強度3.5に相当し、0.02ppmは同じく規則基準の下限値で臭気強度2.5に相当する。
【0051】
排気サイレンサ318は、集水モード時に真空ポンプユニット300の外部へ排気を放
出する際に生じる音が外部へ流出することを抑制するとともに、圧送モード時に真空ポンプユニット300の外部から圧送気体を吸入する際に生じる音が外部へ流出することを抑制する。
【0052】
排気ファン322は、真空ポンプユニット300の内部の熱を外部放出するためのファンである。排気ファン322を運転すると、吸気サイレンサ316を介して真空ポンプユニット300の外部から空気が吸気され、排気サイレンサ320を介して真空ポンプユニット300の外部へ放出される。これにより、熱を発生させる機械(例えば真空ポンプ314など)の温度を下げることができる。
【0053】
吸気サイレンサ316は、真空ポンプユニット300の外部から空気を吸気する際の音を抑制する。また、排気サイレンサ320は、真空ポンプユニット300の外部へ空気を排気する際の音を抑制する。
【0054】
また、
図1に示すように、真空ポンプ314の上流側(排気吸入連通路)及び下流側(排気吐出連通路)の給排気管120にはそれぞれ、排気に含まれる水分を集水タンク202へ戻すための返水配管344,346が設けられている。返水配管344,346にはそれぞれバルブ348,350が設けられる。バルブ348,350は、返水配管344,346をそれぞれ開閉するバルブであり、適宜開閉制御される。返水配管344,346を設けることによって、排気に含まれる水分は集水タンク202へ戻されるので、水分が真空ポンプ314に吸引されることに起因する真空ポンプ314の故障などの発生を抑制することができる。
【0055】
次に、制御部382について説明する。
図1に示すように、制御部382には、下水水位計測器206によって計測された水位、水位計測器208によって計測された水位、及び圧力計測器324によって計測された圧力値が入力される。制御部382は、入力された水位の値、及び圧力値に基づいて真空ポンプ314の回転制御、及び大気開放弁212の開閉を制御する。
【0056】
以下、制御部382の具体的な制御例について説明する。まず、
図2は、真空ポンプの制御の一例を示す図である。制御部382は、真空ポンプ314が第1のモードで運転しているときの真空ポンプ314の吸入側の圧力の検出値に基づいて、真空ポンプ314の第1のモードの運転/停止を制御する。
【0057】
具体的には、
図2に示すように、制御部382は、圧力計測器324によって計測された圧力値が第1のしきい値(LP)より低くなったら、真空ポンプ314の回転(正転方向の回転)を停止する。また、制御部382は、圧力計測器324によって計測された圧力値が第1のしきい値より高く設定された第2のしきい値(HP)より高くなったら、真空ポンプ314を正転方向(集水モードの回転方向)に回転させる。また、制御部382は、圧力計測器324によって計測された圧力値が第2のしきい値より高く設定された第3のしきい値(HHP)より高くなったら、警報を発報する。一方、制御部382は、警報が発報されている状態で、圧力計測器324によって計測された圧力値が第2のしきい値(HP)より低くなった場合には、警報をリセットする。以上のような制御によって、集水モード時に集水タンク202は適切な負圧に制御される。
【0058】
次に、
図3は、真空ポンプの制御の一例を示す図である。制御部382は、集水タンク202の下水の水位の検出値に基づいて、真空ポンプ314の第2のモードの運転/真空ポンプの停止を制御する。
【0059】
具体的には、
図3に示すように、制御部382は、下水水位計測器206によって計測
された水位が第1のしきい値(LWL)より低くなったら、真空ポンプ314の回転(逆転方向の回転)を停止する。また、制御部382は、下水水位計測器206によって計測された水位が第1のしきい値より高く設定された第2のしきい値(HWL)より高くなったら、真空ポンプ314を逆転方向(圧送モードの回転方向)に回転させる。また、制御部382は、下水水位計測器206によって計測された水位が第2のしきい値より高く設定された第3のしきい値(HHWL)より高くなったら、警報を発報する。一方、制御部382は、警報が発報されている状態で、下水水位計測器206によって計測された水位が第2のしきい値(HWL)より低くなった場合には、警報をリセットする。以上のような制御によって、集水タンク202に貯められた下水は適切に圧送される。
【0060】
次に、大気開放弁212は真空ポンプ314の第1のモードから第2のモード及び第2のモードから第1のモードに切り替わる際に集水タンク202内の圧力を大気圧に戻すように制御されるが、それ以外の用途として、
図4に示すような制御とすることもできる。制御部382は、集水タンク202を収容する躯体の内部の水位の検出値に基づいて、躯体の内部と集水タンク202とを接続する連通管210に設けられた大気開放弁212の開閉を制御する。
【0061】
具体的には、
図4に示すように、制御部382は、水位計測器208によって計測された水位が第1のしきい値(LWL)より低くなったら、大気開放弁212を閉にする。また、制御部382は、水位計測器208によって計測された水位が第1のしきい値より高く設定された第2のしきい値(HWL)より高くなったら、大気開放弁212を開にする。また、制御部382は、水位計測器208によって計測された水位が第2のしきい値より高く設定された第3のしきい値(HHWL)より高くなったら、躯体外部からのリークが発生している可能性があるので警報を発報する。一方、制御部382は、警報が発報されている状態で、水位計測器208によって計測された水位が第2のしきい値(HWL)より低くなった場合には、警報をリセットする。以上のような制御によって、集水タンクユニット200の躯体内に水がある程度貯まったら、大気開放弁212が開になり、その結果、躯体内の水が負圧の集水タンク202内へ搬送される。
【0062】
以上のように、第1実施形態の真空ステーション100は、集水タンク202に集まる排気中の腐食性ガス成分を真空ポンプ314の手前に設置した硫化水素除去装置362によって除去する。これにより、排気に含まれる腐食性ガス成分を真空ポンプ314の手前で除去することができるので、真空ポンプ314の腐食を抑制することができ、真空ポンプ314の長寿命化を図ることができる。また、真空ポンプ314を耐腐食性に優れた材料で製作しなくてもよいので、真空ポンプ314のコストを抑制することができる。
【0063】
ここで、第1実施形態では、正回転及び逆回転が可能な真空ポンプ314を用いている。正回転及び逆回転可能な真空ポンプでは、腐食性成分による腐食が特に問題となるところ、第1実施形態のように、真空ポンプ314の正回転時の上流側に硫化水素除去装置362を設けたことは、真空ポンプ314の腐食を抑制することができるので好ましい。
【0064】
また、真空ポンプ314の排気吸入側(上流側)で硫化水素等の腐食性成分を除去することにより、真空ポンプ314の上流側で排気に含まれる臭気成分の一部を除去することができる。したがって、真空ポンプ314の排気吐出側(下流側)に設ける脱臭装置は一回り小さな能力とすることができる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の真空ステーションについて説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、真空ポンプを3台並列に設ける点、集水タンク202内の下水の水位を2系統で検出する点、集水タンク202内の圧力を2系統で検出する点などが異なる。そ
こで、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分だけを説明し、重複する部分の説明を省略する。
【0066】
図5は、第2実施形態の真空ステーションの全体構成を示す図である。図示するように、真空ステーション600では、下水水位計測器206の他に、集水タンク202内の下水の水位を検出する下水水位計測器216が設けられる。下水水位計測器216は、例えば、導電率式の水位計とすることができる。下水水位計測器206,216によって計測された水位は真空ポンプユニット300の制御室380内に設けられた切替回路384へ出力される。切替回路384は、入力された2つの検出水位のいずれかを制御部382へ出力する。第2実施形態によれば、集水タンク202内の水位を2系統で検出するため、集水タンク202内の水位検出の信頼性が向上する。
【0067】
また、真空ステーション600では、圧力計測器324の他に、給排気管120の真空ポンプ314より上流側の圧力を計測する圧力計測器325が設けられる。圧力計測器324,325によって計測された圧力値は真空ポンプユニット300の制御室380内に設けられた切替回路386へ出力される。切替回路386は、入力された2つの検出圧力のいずれかを制御部382へ出力する。第2実施形態によれば、給排気管120の真空ポンプ314より上流側の圧力を2系統で検出するため、集水タンク202内の圧力検出の信頼性が向上する。
【0068】
また、真空ステーション600では、真空ポンプ314の他に、2台の真空ポンプ351,352が設けられる。真空ポンプ351の上流側及び下流側の給排気管120にはそれぞれバルブ353,354が設けられている。バルブ353,354はそれぞれ、真空ポンプ351の上流側及び下流側の給排気管120を開閉するバルブであり、通常時にはいずれも開になっている。バルブ353,354は、例えば真空ポンプ351をメンテナンス又は交換で取り外す際にいずれも閉になる。
【0069】
また、真空ポンプ352の上流側及び下流側の給排気管120にはそれぞれバルブ355,356が設けられている。バルブ355,356はそれぞれ、真空ポンプ352の上流側及び下流側の給排気管120を開閉するバルブであり、通常時にはいずれも開になっている。バルブ355,356は、例えば真空ポンプ352をメンテナンス又は交換で取り外す際にいずれも閉になる。
【0070】
3台の真空ポンプ314,351,352は並列に接続されている。真空ステーション600では、3台の真空ポンプ314,351,352のうちの2台が通常時に使用され、1台はバックアップ用となる。第2実施形態によれば、複数の真空ポンプを並列接続し、バックアップ用の真空ポンプを設けることにより、真空ポンプの故障時などに迅速に運転を復旧することができるので、その結果、真空ステーションの信頼性を向上させることができる。
【0071】
なお、第2実施形態のように真空ポンプを複数台設けることにより、真空ポンプユニット300の機械室310内部の温度は上昇しやすくなる。この点、第2実施形態では、排気ファン322を第1実施形態よりも多く設けている。これにより、機械室310内を通流する大気を増量することができるので、機械室310内の放熱量を増大させ、機械室310内を適切な温度に制御することができる。
【0072】
また、第2実施形態では、2台の真空ポンプを同時に使用することにより、制御部382による真空ポンプの回転制御は第1実施形態と異なる。以下、この点について説明する。
【0073】
図6は、真空ポンプの制御の一例を示す図である。制御部382は、2台の真空ポンプが第1のモードで運転しているときの真空ポンプの吸入側の圧力の検出値に基づいて、2台の真空ポンプの第1のモードの運転/真空ポンプの停止を制御する。
【0074】
具体的には、
図6に示すように、制御部382は、圧力計測器324又は圧力計測器325によって計測された圧力値が第1のしきい値(例えば−70.0kPa)より低くなったら、2台の真空ポンプの両方の回転(正転方向の回転)を停止する。また、制御部382は、圧力計測器324又は圧力計測器325によって計測された圧力値が第1のしきい値より高く設定された第2のしきい値(例えば−65.0kPa)より高くなったら、1台目の真空ポンプを正転方向(集水モードの回転方向)に回転させるとともに2台目の真空ポンプは停止したままとする。また、制御部382は、圧力計測器324又は圧力計測器325によって計測された圧力値が第2のしきい値より高く設定された第3のしきい値(例えば−60.0kPa)より高くなったら、2台目の真空ポンプも正転方向(集水モードの回転方向)に回転させる。さらに、制御部382は、圧力計測器324又は圧力計測器325によって計測された圧力値が第3のしきい値より高く設定された第4のしきい値(例えば−50.0kPa)より高くなったら、警報を発報する。一方、制御部382は、警報が発報されている状態で、圧力計測器324又は圧力計測器325によって計測された圧力値が第3のしきい値(例えば−60.0kPa)より低くなった場合には、警報をリセットする。以上のような制御によって、集水モード時に集水タンク202は適切な負圧に制御される。
【0075】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、真空ポンプ314,351,352の上流側で排気に含まれる腐食性成分を除去するので、真空ポンプ314,351,352の腐食を抑制することができ、真空ポンプ314,351,352の長寿命化を図ることができる。また、真空ポンプ314,351,352を耐腐食性に優れた高級な材料で製作しなくてもよいので、真空ポンプ314,351,352のコストを抑制することができる。