【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一側面によると、オリビン結晶構造を有するリン酸鉄リチウムが提供され、ここで、リン酸鉄リチウムは以下の式1によって表される組成を有し、カーボン(C)は、カーボン以外の異種元素による化学結合によってリン酸鉄リチウムの表面をコーティングする。
Li1+aFe1−xMx(PO4−b)Xb (1)
ここで、
Mは、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、ZnおよびYから選択された少なくとも1つであり、
Xは、F、SおよびNから選択された少なくとも1つであり、
−0.5≦a≦+0.5、0≦x≦0.5、0≦b≦0.1である。
【0018】
本発明によるオリビン型リン酸鉄リチウムは、均一なコーティングにより高導電率を示すことができ、強い結合力により電極製造プロセスにおける分離を防止でき、少量使用の場合であっても所望の導電率を達成でき、故に、カーボンは化学結合を介してその表面上にコーティングされるため、電極密度が向上する。
【0019】
任意の化合物が、それが以下の式1の条件を満たす限り、本発明によるオリビン型リン酸鉄リチウムとして使用され得、その代表例はLiFePO4である。
【0020】
カーボン(C)は好ましくは、リン酸鉄リチウムの重量をベースとして、0.01から10重量%の量でコーティングされる。カーボンの含量が過剰であるとき、活物質量は相対的に低下し、容量は不利なことに減少し、電極密度は不利なことに悪化する。一方、カーボンの含量が過度に少ないとき、不利なことに、所望の導電率が得られない。コーティングされるカーボンの量は、より好ましくは0.03から7重量%である。
【0021】
加えて、カーボンは好ましくは、2から10nmの厚さで、リン酸鉄リチウムの表面上に均一にコーティングされる。カーボンが過剰に厚くリン酸鉄リチウムの表面上にコーティングされるとき、それはリチウムイオンのインターカレーションおよびデインターカレーションを妨げ、一方、過剰に薄いコーティングは、均一なコーティングを保証できず、所望の導電性を提供できない。より好ましいコーティング厚さは、3から7nmであり得る。
【0022】
化学結合は好ましくは、イオン結合ではなく、共有結合である。
【0023】
カーボンが化学結合を介してリン酸鉄リチウムの表面上にコーティングされるとき、物理結合とは異なり、有利なことに、カーボンは薄膜の形態でリン酸鉄リチウムの表面上に均一にコーティングされることができ、電極の製造プロセスにおいて分離しない。
【0024】
通常、カーボンを金属または金属酸化物の表面に化学的に結合させることは、非常に難しい。加えて、リン酸鉄リチウムなどのリチウム金属酸化物において、カーボンに化学的に結合されるとき、酸化物の端部は通常、酸素およびCOまたはCO2の形態のリチウム金属酸化物蒸気から成る。
【0025】
従って、本発明によると、カーボンは異種元素を介してリン酸鉄リチウムの表面に化学的に結合される。任意の元素が、酸素に化学的に結合されるとき、真空下でリン酸鉄リチウムの表面から分離されず、リン酸鉄リチウムを含む二次電池の作動を害さない限り、特に制限なく異種元素として使用することができ、好ましくは硫黄(S)である。この場合、活物質として、リン酸鉄リチウムは、例えば“酸素−硫黄−カーボン”の形態で、カーボン(コーティングされる材料)に化学的に結合され得る。
【0026】
カーボンとリン酸鉄リチウムとの間のブリッジとして機能する硫黄(S)は例えば、リン酸鉄リチウムの調製に対する前駆体から生じる。FeSO4がリン酸鉄リチウムの調製に使用されるとき、硫黄は反応後にその生成物に残存することがある。通常、硫黄が活物質に残存するとき、硫黄を除去するために繰り返しの洗浄プロセスが必要である。
【0027】
一方、本発明によると、残存する硫黄(S)はカーボンコーティングに使用され得る。例えば、洗浄プロセスの数または洗浄強度を減少させることで所定量の硫黄がリン酸鉄リチウムの表面に残存した後に、カーボンがコーティングされるため、化学結合をベースとするカーボンコーティングによって得られる効果に加え、洗浄プロセスの単純化を実現でき、活物質の調製コストは故に低減され得る。特に、リン酸鉄リチウムの一次粒子がナノ材料であるとき、洗浄の間の濾過は容易ではない。従って、洗浄プロセスを制限することによって、二次電池製造の全体効率がさらに向上され得る。
【0028】
別の実施形態では、硫黄(S)は、硫黄含有化合物を有するリン酸鉄リチウムをコーティングすることによって組み込まれ得る。硫黄含有化合物は、硫化物、亜硫酸塩および硫酸{りゅうさん}塩から選ばれた1つ以上であり得る。
【0029】
硫黄は、リン酸鉄リチウムの全重量をベースとして、0.005から1重量%の量で含まれ得る。
【0030】
硫黄の含量が過度に高いとき、活物質の導電率並びに電極の密度は低下することがあり、一方、硫黄の含量が過度に低いとき、リン酸鉄リチウムとカーボンとの間の十分な化学結合が、不利なことに不可能であり得る。より好ましい硫黄の含量は、0.01から0.7重量%であり得る。
【0031】
本発明は、オリビン型リン酸鉄リチウムの調製方法を提供する。
【0032】
好ましい実施形態では、オリビン型リン酸鉄リチウムは、以下の段階を含む方法によって調製され得る:
(a)初めに、開始材料としての前駆体とアルカリ化剤とを混合する段階;
(b)次に、段階(a)の混合物を超臨界水または亜臨界水と混合し、リン酸鉄リチウムを合成する段階;
(c)合成されたリン酸鉄リチウムをカーボン前駆体と混合し、その混合物を乾燥させる段階;
(d)リン酸鉄リチウムとカーボン前駆体との混合物を加熱する段階。
【0033】
段階(a)では、リチウム前駆体として、Li2CO3、Li(OH)、Li(OH)・H2O、LiNO3などの原料の1つが使用され得る。鉄(Fe)前駆体として、FeSO4、FeC2O4・2H2OまたはFeCl2などの、作られたリン酸鉄リチウムの表面上に硫黄が残るように少なくとも硫黄原料を含む化合物が使用され得る。FeSO4は特に好ましいが、それは、それが硫黄元素を含んでいるからである。リン(P)前駆体として、H3PO4、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4、P2O5などのアンモニウム塩が使用され得る。加えて、アルカリ化剤の例は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア化合物などを含む。
【0034】
段階(b)では、超臨界水または亜臨界水は、180から550barの圧力、200から700℃の水であり得、段階(d)での加熱温度は、600から1200℃であり得る。
【0035】
任意のカーボン前駆体が、それが還元雰囲気下でのベーキングプロセスの間にカーボンを作ることが出来る限り、使用され得る。好ましくは、カーボン前駆体はポリオールタイプのカーボン含有前駆体であり得、その非限定的な例は、スクロース、セルロース、グルコースなどを含む。
【0036】
別の実施形態では、オリビン型リン酸鉄リチウムは、以下の段階を含む方法によって調製され得る:
(a’) 初めに、開始材料としての前駆体とアルカリ化剤とを混合する段階;
(b’)次に、段階(a’)の混合物を超臨界水または亜臨界水と混合し、リン酸鉄リチウムを合成し、続いて乾燥させる段階;
(c’)合成されたリン酸鉄リチウムを加熱する段階;
(d’)リン酸鉄リチウムおよびカーボンパウダーをミリングする段階。
【0037】
段階(d’)では、ミリング方法は当該技術分野で既知であり、その詳細な説明は故に省略される。好ましい実施形態では、ミリング方法はボールミリングであり得る。
【0038】
段階(d)または(c’)では、加熱が不活性ガス雰囲気下で実施され得る。任意の不活性ガスが、それが低反応性を有する限り、特に制限なく使用され得る。その好ましい例は、Ar、N2などを含む。
【0039】
本発明によるリン酸鉄リチウムは、一次粒子または二次粒子の形態であり得る。二次粒子の形態のリン酸鉄リチウムは、所定の粒子直径を有する一次粒子、バインダーおよび溶媒の混合物を乾燥し、続いて凝集させることによって調製され得る。
【0040】
混合物では、好ましくは、一次粒子は、溶媒の重量に対して5から20wt%の量で存在し、バインダーは、溶媒の重量に対して5から20wt%の量で存在する。一次粒子と溶媒の比率を制御することによって、二次粒子のくされ(internal porosity)が制御され得る。そのプロセスの間に使用され得る溶媒の例は、水などの極性溶媒および非極性溶媒の全ての有機溶媒を含む。加えて、その段階で使用されるバインダーの例は、それらに限定されないが、スクロース、ラクトースベースの糖類、PVDFまたはPEベースのポリマー、および極性溶媒に溶解できるコークスを含む。
【0041】
二次粒子の乾燥および調製は、スプレー乾燥、流動床乾燥、振動、乾燥などを含む当該技術分野で既知の様々な方法によって同時に実施され得る。特に、回転スプレー乾燥が好ましいが、それは、それが球形の二次粒子の調製、故にタップ密度の改善を可能にするからである。
【0042】
乾燥は、不活性ガス(Ar、N2など)雰囲気下、120から200℃で実施され得る。
【0043】
また、本発明によるオリビン型リン酸鉄リチウムは、好ましくは共沈または固相方法によって調製される。
【0044】
別の実施形態では、本発明によるオリビン型リン酸鉄リチウムは、以下の段階を含む方法によって調製され得る:
(a’’)開始材料としての前駆体を用いて、共沈または固相方法によってリン酸鉄リチウムを合成する段階;
(b’’)合成されたリン酸鉄リチウムを、硫黄含有化合物を含む分散槽に添加し、続いて撹拌する段階;
(c’’)段階(b’’)で得られた混合物を乾燥させ、続いてベーキングする段階;
(d’’)段階(c’’)で得られたリン酸鉄リチウムをカーボンパウダーと混合させ、続いてミリングするか、または焼成されたリン酸鉄リチウムおよびカーボン前駆体を溶媒と混合し、続いて乾燥およびベーキングする段階。
【0045】
段階(a’’)での共沈または固相方法は、当該技術分野において既知であり、その詳細な説明は故に省略される。
【0046】
段階(b’’)に使用される硫黄含有化合物は、上述のように、硫化物、亜硫酸塩、硫酸塩などであり得、本発明で示唆された硫黄量の範囲内で使用され得る。
【0047】
本発明は、カソード活物質として、化学的方法によってカーボンでコーティングされたリン酸鉄リチウムを含む、カソード混合物を提供する。カソード混合物は場合によっては、カソード活物質に加えて、導電性材料、バインダー、フィラーなどを含むことができる。
【0048】
導電性材料は、カソード活物質を含む混合物の全重量をベースとして、通常1から30重量%の量で添加される。任意の導電性材料が、それが電池において不都合な化学的変化をもたらすことなく適切な導電性を有する限り、特に制限なく使用され得る。導電性材料の例は、グラファイト;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラック;カーボンファイバーおよび金属ファイバーなどの導電性ファイバー;フッ化炭素パウダー、アルミニウムパウダーおよびニッケルパウダーなどの金属パウダー;酸化亜鉛およびチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカ;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;およびポリフェニレン誘導体;を含む導電性材料を含む。
【0049】
バインダーは、電極活物質の導電性材料および電流コレクタへの結合を高める成分である。バインダーは通常、カソード活物質を含む混合物の全重量をベースとして、1から30重量%の量で添加される。バインダーの例は、ポリ{えんか}ビニリデン、ポリ{えんか}ビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、再生{さいせい}セルロース、ポリビニル・ピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)、スルホン酸化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムおよび様々なコポリマーを含む。
【0050】
フィラーは、場合によっては電極の膨張を抑制するために使用される成分である。任意のフィラーが、それが製造された電池において不利な化学的変化をもたらさず、繊維性材料である限り、特に制限なく使用され得る。フィラーの例は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのオレフィンポリマー;並びにガラスファイバーおよびカーボンファイバーなどの繊維性材料を含む。
【0051】
一方、カソード活物質は、オリビン型リン酸鉄リチウムのみ、および必要であれば、オリビン型リン酸鉄リチウムとリチウム含有遷移金属酸化物との結合物から成り得る。
【0052】
リチウム遷移金属複合酸化物の例は、それらに限定されないが、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)およびリチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物、または1つ以上の遷移金属で置換された化合物;式Li1+yMn2−yO4(0≦y≦0.33)の化合物、LiMnO3、LiMn2O3およびLiMnO2などのリチウムマンガン酸化物{さんかぶつ};リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiFe3O4、V2O5およびCu2V2O7などのバナジウム酸化物;式LiNi1−yMyO2(M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGa、および0.01≦y≦0.3)のNiサイトタイプのリチウム化(lithiated)ニッケル酸化物;式LiMn2−yMyO2(M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTa、および0.01≦y≦0.1)、または式Li2Mn3MO8(M=Fe、Co、Ni、CuまたはZn)のリチウムマンガン複合酸化物;Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されているLiMn2O4;ジスルフィド化合物;およびFe2(MoO4)3を含む。
【0053】
本発明は、カソード混合物がコレクタに適用されるカソードを提供する。
【0054】
二次電池のためのカソードは、カソード混合物をNMPなどの溶媒と混合することによって得られるスラリーをカソード電流コレクタに適用し、続いて乾燥およびプレスローリングすることによって調製され得る。
【0055】
カソード電流コレクタは通常、3から500μmの厚さを有するように作られる。それが製造された電池において不利な化学的変化をもたらすことなく適切な導電率を有する限り、カソード電流コレクタに関し特に制限はない。カソード電流コレクタの例は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼結カーボン、およびカーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理されたアルミニウムまたはステンレス鋼を含む。必要であれば、これらの電流コレクタはまた、カソード活物質への接着強度を高めるために、その表面上に微細な凸凹を形成するように処理され得る。加えて、電流コレクタは、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質構造、発泡体および不織布織物を含む様々な形態で使用され得る。
【0056】
本発明は、カソード、アノード、セパレータ、およびリチウム塩含有非水電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0057】
例えば、アノードは、アノード活物質を含むアノード混合物をアノード電流コレクタに適用し、続いて乾燥することによって調製される。アノード混合物は、必要であれば、前述の構成要素、つまり、導電性材料、バインダーおよびフィラーを含み得る。
【0058】
アノード電流コレクタは通常、3から500μmの厚さを有するように作られる。それが製造された電池において不利な化学的変化をもたらすことなく適切な伝導率を有する限り、アノード電流コレクタに関し特に制限はない。アノード電流コレクタの例は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼結カーボン、およびカーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理された銅またはステンレス鋼、並びにアルミニウム−カドミウム合金を含む。カソード電流コレクタと同様に、必要であれば、これらの電流コレクタはまた、アノード活物質への接着強度を高めるために、その表面上に微細な凸凹を形成するように処理され得る。加えて、電流コレクタは、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質構造、発泡体および不織布織物を含む様々な形態で使用され得る。
【0059】
アノード活物質の例は、天然グラファイト、人工グラファイト、膨張グラファイト、カーボンファイバー、ハードカーボン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ペリレン、活性カーボンなどのカーボンおよびグラファイト材料;Al、Si、Sn、Ag、Bi、Mg、Zn、In、Ge、Pb、Pd、PtおよびTi、並びにこれらの元素を含む化合物などの、リチウムと合金可能な金属;カーボンおよびグラファイト材料と、金属およびその化合物との複合材料;並びにリチウム含有窒化物を含む。これらの中で、カーボンベースの活物質、シリコンベースの活物質、スズベースの活物質、またはシリコン−カーボンベースの活物質がより好ましい。その材料は、単独で、またはその2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0060】
セパレータは、カソードとアノードとの間に挟まれる。セパレータとして、高いイオン透過性および機械的強度を有する絶縁薄膜が使用される。セパレータは典型的に、0.01から10μmの孔径および5から300μmの厚さを有する。セパレータとして、ポリプロピレンなどのオレフィンポリマーおよび/またはガラスファイバーまたはポリエチレンで作られ、耐薬品性および疎水性を有するシートまたは不織布織物が使用される。ポリマーなどの固体電解質が電解質として採用されるとき、固体電解質はまた、セパレータおよび電解質の両方としての役割を果たし得る。
【0061】
リチウム塩含有非水電解質は、非水電解質およびリチウム塩から成る。非水電解質として、非水電解質溶液、固体電解質および無機固体電解質が利用され得る。
【0062】
本発明で使用され得る非水電解質溶液の例は、N−メチル−2−ピロリジノン(pyrollidinone)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(Franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン(dioxolane)、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸{さくさん}メチル、{ゆうき}リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチルおよびプロピオン酸エチルなどの非プロトン有機溶媒を含む。
【0063】
本発明で利用される有機固体電解質の例は、ポリエチレン誘導体、ポリエチレン酸化物誘導体、ポリプロピレン酸化物誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアギテーションリシン(poly agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリビニリデンフッ化物、およびイオン解離基(group)を含むポリマーを含む。
【0064】
無機固体電解質の例は、Li3N、LiI、Li5NI2、Li3N−LiI−LiOH、LiSiO4、LiSiO4−LiI−LiOH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOHおよびLi3PO4−Li2S−SiS2などのリチウムの窒化物、ハロゲン化物および硫酸{りゅうさん}塩を含む。
【0065】
リチウム塩は、上述の非水電解質に容易に溶ける材料であり、その例は、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロボランリチウム、低脂肪族カルボン酸リチウム、リチウムテトラフェニルホウ酸塩およびイミドを含む。
【0066】
追加的に、充電/放電特性および難燃性を改善するために、例えば、ピリジン、トリエチルホスフェート(triethylphosphite)、トリエタノールアミン(triethanolamine)、環状{かんじょう}エーテル、エチレンジアミン、n−グリム、ヘキサリン酸トリアミド(hexaphosphoric triamide)、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリドン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、アルミニウムトリクロリドなどが、非水電解質に添加され得る。必要であれば、不燃性を与えるために、非水電解質はさらに、カーボンテトラクロリドおよびエチレン三フッ化物などのハロゲン含有溶媒を含み得る。さらに、高温保管特性を改善するために、非水電解質はさらに、二酸化炭素ガスなどを含むことができ、さらにフルオロ−エチレンカーボネート(FEC)、プロペンサルトン(PRS)、フルオロ−エチレンカーボネート(FEC)などを含むことができる。
【0067】
本発明によるリチウム二次電池は、電池モジュールの単一電池として使用され得、それらは、高温安定性、長いサイクル特性および高率特性を必要とする中型および大型デバイスの電源である。
【0068】
好ましくは、中型および大型デバイスの例は、電池駆動モーターを動力源{どうりょくげん}とした動力工具;電気自動車(EVs)、ハイブリッド電気自動車(HEVs)およびプラグインハイブリッド電気自動車(PHEVs)を含む電気車両;電気バイク(E−bikes)、電気スクーター(E−scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカートなど;を含む。
【0069】
上記および他の目的、特徴および本発明の他の利点は、添付の図面と併用される以下の詳細な説明からより明確に理解されよう。